- haloの待つバス停
- 各オブジェクトの要約
- X
- SCP-978拡張実験記録-81
- 試作車両IRV0014-運用レポート
- 氷の水平線
- 空と門
- 暗殺者
- 軍医
- テンプラ
- 自由の女神
- 太陽
- 悲しみよ消え去れ
- 雲の糸
- 非常図書館
- 時よ止まれ
- 中途半端な記憶処理
- タイタニックの思い出
- ハイライト
- 映画の半券
- tale深い海の底へ
- 磁力
- 天然火力発電所
- tale00000000
- tale海蝕と海の王
- 今日は映画にもってこいの日
- 11次元プリンター
- 001の提言『予算』
- Cの町
- tale All"S"
- あっちむいて
- ブラックボックス
- 水がめ
- 白いアカサロマライト
- 星の騎士なら滑走路で死ね
- tale ギルバートのハートについて
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは半径20m内を立入禁止区域とし、遠隔監視および警備職員により24時間の監視が行われます。SCP-XXX-JPへ接続する道路の両端30mは封鎖され、迂回路が敷設されます。影響範囲内に民間人が立ち入った場合、クラスA記憶処置を行い市民再編プログラムにて処分されます。SCP-XXX-JP-A05は暫定的に機動部隊隊員として職員用セキュリティクリアランスを付与されます。使用許可リストに記載されたオブジェクトを運用し、定期的に"UNSC軍事演習"を行ってください。演習中は常に、ミシマ研究員の音声が聞き取れる状態に置かなければなりません。
ミシマ研究員がネット接続を用いてhaloシリーズを動作させることは禁止されています。
説明: SCP-XXX-JPは███の███に存在する、路線運行バスの停留所を含めた一定面積の区域です。
SCP-XXX-JPは、停留所を中心とした半径8m以内に人間が立ち入ると、人型実体またはそれに類する実体(SCP-XXX-JP-A)を出現させる異常性を持っています。SCP-XXX-JP-Aは、停留所に設置されたベンチの上に座った状態で出現します。SCP-XXX-JP-Aは、出現させた人間が過去に関係した人物の複製ですが、再現の精度に差異が見られます。SCP-XXX-JP-A実体は、1度に1体のみが出現し、一定の条件を満たすと消失します。
SCP-XXX-JPの異常性は、停留所の時刻表やベンチ、上屋に依存せず、それら全てを撤去しても同じ場所に再出現し停留所の状態を維持します。すでに1体以上のSCP-XXX-JP-Aが存在している場合、影響範囲に人間が侵入しても新たな実体は出現しません。
実体出現記録: 観測されたSCP-XXX-JP-A実体についての記録です。
SCP-XXX-JP-A01実例: 2014/01/31 11:46:00(GMT) 確認された最初の実体です。
複製元: 20代 男性 ████
出現経緯: 付近を通りかかった市民により、偶発的に出現したものと見られます。SCP-XXX-JP-A実体(-A01)は最寄の病院で複製元と対面し、現場に大きな混乱をもたらしました。当日中に財団が異常性を察知し、A01実体と複製元の人物を確保しました。
消失まで: SCP-XXX-JP-A01の証言により、出現させた人間が特定され、当該人物の聴取を行っている最中にA01実体が消失しました。複製元の人物に影響は見られませんでした。
SCP-XXX-JP-A02実例: 2014/03/16 10:30:00(GMT) 最初の実体出現実験です。
複製元: 20代 男性 ████
出現経緯: Dクラス職員(IDNo.-D-XXX001)をSCP-XXX-JPのベンチに配置。20分後、D-XXX001の弟と同一の人型実体(-A02)がベンチの上に出現しました。
消失まで: D-XXX001とA02実体との会話を許可したところ、複製元の人物と同様の言動を見せました。会話内容から、A02実体は約1年前からの記憶を持たないことが確認されました。会話開始から7分32秒後、A02実体は瞬時に消失しました。複製元の人物に影響はありませんでした。
SCP-XXX-JP-A03実例: 2014/03/21 11:20:00(GMT) 2回目の実体出現実験です。
複製元: 20代 女性 ████
出現経緯: Dクラス職員(IDNo.-D-XXX002)をSCP-XXX-JPの影響範囲限界に配置。5分後、D-XXX002の知人と同一の人型実体(-A03)がベンチの上に出現しました。
消失まで: 実体はD-XXX002に対し少額の金銭(1,204,970円)を要求しました。記録のため要求額をD-XXX002に付与し、A03実体に譲渡しましたがA03実体は拒否しました。経過観察後、両者共に収容施設へ移送し、消失実験が行われました。6日後、押収されたD-XXX002の資産の一部を譲渡したことによりA03実体は消失しました。複製元の人物に影響はありませんでしたが、消失条件は把握していました。
SCP-XXX-JP-A04実例: 2015/02/03 10:30:00(GMT) 3回目の実体出現実験です。
複製元: 20代 男性 ████
出現経緯: D-XXX002をSCP-XXX-JPの影響範囲内に配置。10分後、準人型実体(-A04)がベンチの上に出現。A04実体は人間の特徴を持ちますが、頭部は激しく損傷を受けた人間の胸部に置き換わっており、全身の皮膚組織が欠落しています。A04実体は人間に対し非常に攻撃的です。
消失まで: 実体出現直後、D-XXX002が激しい動揺を見せ、収容区域から逃走を試みました。即時の確保後、両者共に収容施設へ移送し、消失実験へ移行しました。D-XXX002はA04実体の破壊を要求しましたが、却下されました。消失手順について、前回と同様に思い当たるものがないか、D-XXX002に質問したところ、自身の終了が条件ではないかと証言しました。試験的に、D-XXX002を仮死状態に置いたところ、D-XXX002の脳波消失と同時にA04実体は消失しました。複製元の人物はD-XXX002に激しい敵意を示していました。
SCP-XXX-JP-A05実例/事案XXX-001: 2015/02/04 09:14:36(GMT) 事案記録に分類された出現事例です。
複製元: 10代 男性 ████
出現経緯: Dクラス職員(IDNo.-D-XXX003)をSCP-XXX-JPの影響範囲内に配置。2分後、人型実体(-A05)が出現。A05実体はビデオゲーム"Halo: Combat Evolved"におけるmultiplayer(青)の容姿をしていますが、細部に独自の形状が見られます。エネルギーシールド他、携帯する銃器全てにおいて作中と同等の性能を発揮します。
消失まで: 消失実験は予定されていません。
実験担当のミシマ研究員がSCP-XXX-JP-A05に対する聴取を要請しました。保安職員の立会いの下、聴取は許可されました。実験過程において、付き添ったミシマ研究員がSCP-XXX-JP-A05を出現させたと見られます。
聴取記録-A05-001: 2015/02/05 10:31:00(GMT)
M研究員: やあ。こんにちは。
SCP-XXX-JP-A05: やあ。はじめまして。私はBowman607だ。
M研究員: ここで何をしてるのかな?
SCP-XXX-JP-A05: エンバース3357におけるコヴナント掃討作戦のため、隊員のMisima002を待っているところだ。
M研究員: そう。それは大変そうですね。どれくらい待っているの?
SCP-XXX-JP-A05: SAAIによれば、100754時間と15分30秒だ。あちらの戦況も悪くなっているようだな。
M研究員: Misima002無しでは作戦は遂行できないのかい?
SCP-XXX-JP-A05: 考えられないな。彼とはいろんなものを見てきた。もっとも信頼できる仲間だ。
M研究員: [10秒間沈黙] そうですか。あなたはどこで生まれましたか?
SCP-XXX-JP-A05: 惑星エオスの第8地区アドラステア市だ。まだ平和なようだが、私の故郷もいつ敵に襲われるか。
M研究員: Misima002はどこで生まれたか知っていますか?
SCP-XXX-JP-A05: ああ。その話もしたな。惑星ガイアのオケアノス市だと記憶している。海に囲まれた良い街だ。
M研究員: コヴナントについて教えてもらえますか。
SCP-XXX-JP-A05: なに。知らないのか。ここはよほど平和な惑星のようだな。コヴナントは高度な技術を持った知的生命体の連合軍だ。2525:0907惑星ハーベストに突如として攻撃を仕掛けてきた。そこから人類は27年間戦い続けている。
M研究員: Haloの機能についてはご存知ですか?
SCP-XXX-JP-A05: Halo?パラシュートでの降下作戦のことか?
M研究員: いいえ。
SCP-XXX-JP-A05: ではHaloとは一体なんだ。
M研究員: 残念ですがお教えすることはできません。
SCP-XXX-JP-A05: 私はUNSCに所属する2級司令官だぞ。明かせない秘密があるはずがない。
M研究員: 私たちの組織はUNSCとは別の組織です。Misima002もその組織に所属しています。
SCP-XXX-JP-A05: それでここに来るのが遅れているのだな。一体どのような組織なのだ。UNSCに機密開示の義務が無い組織があるとは初めて知った。ヘカトンフォニエの政府組織か?
M研究員: 具体的な内容は教えられませんが、人類を守る仕事をしています。
SCP-XXX-JP-A05: ほう。それはすごい。よほど重要な任務についているのだな。いつか人類に関わる大きな仕事をしてみたいと言っていたからな。夢は叶ったようだな。
M研究員: [10秒間沈黙] Misima002はここに来られません。
SCP-XXX-JP-A05: ふむ。それは残念だ。その任務から離れられないのだな。あいつと別れてからいろんな戦場へ行った。いろんなものを見た。その話もしてやりたかったのだが。特にこの宇宙にまだ見たことも無い、すばらしい景色があったことを伝えたい。
M研究員: どのようなものを見ましたか?
SCP-XXX-JP-A05: ヘリオス星系にある双子連星だ。ほぼ同質量の恒星同士が、お互いを引き込みながら回っている。光の渦が手を取り合っているようで、さながら踊っているかのようだった。青やオレンジの光がまたまぶしくてな。レクリエーションルームでずっと眺めていたよ。
M研究員: [20秒間沈黙] ほかには?
SCP-XXX-JP-A05: 惑星プシュラの青い夕焼けはどうだ。まだ移住できる惑星ではなかったが、資源調査に着陸したよ。自転周期が10時間くらいでな、夕焼けがよく見えたんだ。大気成分の違いで青い光を放っていて、薄い雲にそれが反射するんだ。故郷の海を思わせる静かな青さ。
M研究員: [1分間沈黙] ほかには?
SCP-XXX-JP-A05: 衛星バリオスの銀の滝。これは荘厳だった。主成分は水銀のようだったが、そのせいか音もすごくてな。Misima002にも見せてやりたかった。
M研究員: あなたは、2003年11月15日になにが起きたか知っていますか?
SCP-XXX-JP-A05: おかしなことを言うやつだ。私が生まれたのは2517年だぞ? 2003年はまだ人類は地球から出ていないだろう。
M研究員: あなたがいつかバスケットの選手になりたいと言っていたことは覚えていますか?
SCP-XXX-JP-A05: ああ覚えているよ。私の夢は叶わなかったが、あいつの夢は叶ったようだな。あいつに会うことがあったら、おめでとうと伝えておいてくれないか。
M研究員: [沈黙] 私は、 [沈黙] 伝えておきます。
SCP-XXX-JP-A05: それと早くここに来るように言ってくれ。話したいことが山ほどあるんだ。
M研究員: [沈黙]
SCP-XXX-JP-A05: どうした?
M研究員: 伝えておきます。
補遺01: 一度消失したSCP-XXX-JP-A実体は二度と出現しません。
いじっている最中の記事たちです。
これが面白いという記事があれば、Twtterなどで教えていただければ参考になります。→Zero_Winchester
氷の水平線: この世界を書き換える箱と最後の生き残り。
空と門: 瞬間移動の代償。
暗殺者: 生きた爆弾と関係者の葛藤。
軍医: 確実な治療をもたらす存在。条件付き。
テンプラ: 衣をたっぷりつけたくなりますよね。
自由の女神: 自由を与える自由の女神
太陽: 燃える野球ボール
悲しみよ消え去れ: 悲しみを消し去るゴミ箱
雲の糸: 天国へ行ける雲の糸
非常図書館: 扉を開けると本棚が!
時よ止まれ: それで止まった花火。収容手順のみの追及。
中途半端な記憶処理: 金の靴の完全収容のために作ったけど失敗という経緯。
タイタニックの思い出: 歴史の中の巡り会わせを扱ったけど、国内収容しようとするとライディーンに・・・
ハイライト: 致死性の認識災害。そんなにうまくつかえてないかもしれません。
映画の半券: 映画版、欲望カメラ。
磁力: ワンツーディフェンス
天然火力発電所: 天然ではありえない構造物
11次元プリンター: 見た目と実体に誤差。チャットからのネタ。
今日は映画にもってこいの日: ニコラス・コッポラをお届け!
ブラックボックス: 人型Keter。変化するループ。
Cの町: 英雄を称える街。
神殿: カラクリ屋敷。
haloの待つバス停: いつかネットで出会った誰かの思い出。
水がめ: 誰の目にもこの海が見えたら。
白いアカサロマライト: これなら絶滅しない。
星の騎士なら滑走路で死ね: ほら、目の前にいるだろう。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
説明: SCP-XXXX-JPは可変性抽象的-形而学的概念構成ポインタの一種です。連続する事象の任意の位置にSCP-XXX-JPを配置し、クリックすることで終了処理を実行できます。
実験記録:
対象: サイト-XXXXの蛇口から流れる水道水。
終了位置: 着地点から高さ50.30mmの位置。結果: クリックによって無事に終了した。
対象: サイト-XXXXのユニットSH-5030の室温。
終了位置: 摂氏25度の位置。結果: クリックによって無事に終了した。
対象: 印刷された"Bal du moulin de la Galette"における1色(#255030)の波長。
終了位置: 基準点から682nmの位置。結果: クリックによって無事に終了した。
対象: SCP-682の敵対的行動。
終了位置: SCP-682のF4表象に相当する意識決定領域。結果: クリックによって無事に終了した。
対象: Dクラス職員(D255030)の日記107ページ目。
終了位置:実験日に当たる107ページ目。結果: クリックによって無事に終了した。
対象: Dクラス職員(D255030)の終了予定。
終了位置:D255030の終了予定日の午前01:07。結果: クリックによってfalseを返した。
収容位置: 以下はSCP-XXXX-JPが現在格納されている場所です。セキュリティクリアランスLevel(false)以下の職員がクリックすることは許可されません。有意な結果が出力された場合、収容担当研究員に報告してください。
0000:0000
SCP-978を使用した実験記録です。SCP-978の使用は施設職員であれば自由に行えます。使用後は必ず指定の収容ロッカーへ戻してください。
被験者:
撮影された行動:
撮影結果:
追記する場合は上記のように追記してください。
被験者: SCP-201-JP-1
撮影された行動: 背筋を伸ばし、手を身体の前で重ね合わせている。映像記録からは、撮影に際して被験者が少し緊張していることが感じ取れる。
撮影結果: [LEVEL3クリアランスを承認しました] 文化体系が判然としないが絢爛な室内で、大きなテーブルに料理が所狭しと並んでいる。中央にはSCP-201-JP-2と思われる料理が大量に乗った大皿が置かれている。テーブルの撮影者側から見て真向かいに、対象と似た背格好で若く精悍な顔立ちの男性が立っており、満足げに微笑んでいる。
結局、このオブジェクトとその背景については未だわからないことだらけってわけね。 — 那澤博士
被験者: SCP-191-JP(紙媒体)
撮影された行動: Dクラスに描画させた絵本の一ページ。対象は数珠を片手に多数の鬼と戦っている。
撮影結果: 鬼は全て財団職員に変化しており、全員が棒立ちで合唱している。写り込んだ影から察するにSCP-191-JP自身は撮影者の背後に立っていると思われる。
被験者: SCP-325-JP
撮影された行動: 収容中のSCP-325-JP。対象は大の字になって収容室に転がっている。
撮影結果: 銃を構え、標準的なGOC装備を見に纏った状態で収容室の中心に立っている。銃口はこちらを向いている。
財団職員及び所有物による実験
被験者: エージェント・カナヘビ
撮影された行動: 水槽のアームを使い書類整理を行っている。
撮影結果: エージェント・カナヘビは存在せず、白衣を着た極めて高齢と思われる老人が、書類ではなく大量の札に筆で複雑な記号を書き込んでいる。
被験者: エージェント・育良
撮影された行動: 喫煙室でタバコを吸っている。
撮影結果: 被験者はすべての驚異的存在から身を守るため3mx3mx3mの人型オブジェクト用収容室の中央で体育座りをしている。表情は非常に穏やか。
被験者: 那澤至博士
撮影された行動: SCP-███-JPの運動方法解明のため、類似オブジェクトの映像記録を閲覧している。
撮影結果: マンションの一室でテーブルに座り、読書している。 身体の変化が見られる前の容姿だが上尾筒だけが臀部に見られる。奥に見えるキッチンには博士の弟のエージェント・那澤和が立っている(調理をしているとおぼしい)。
被験者: エージェント・那澤なごむ
撮影された行動: 撮影者に向けてにっこりと笑みを浮かべ、顔の横にピースサインを掲げている。
撮影結果: エージェント・魚住の眼鏡の交換費用の援助申請書類を両手で持ち、それで口元を隠している。表情には変化がない。書類にはマロース博士の署名が認められる。
これじゃ撮影者と被験者、アベコベじゃないですか…… — 魚住
被験者: 阿藤博士
撮影された行動: 畑仕事をしている。
撮影結果: 収穫した芋を片手に、ふかした芋を食べている。背景は大量の芋類で埋め尽くされている。
被験者: 鹿島研究員
撮影された行動: 研究室のモニタ越しにVサインをしている
撮影結果: 台所。女性が包丁を持って料理を作っている。女性は鹿島研究員が最も頻繁に用いる3Dモデルに酷似。
被験者: エージェント魚住
撮影された行動: 家庭用ビデオカメラでのサイト内行事の記録撮影
撮影結果: 屋外にて対象が大型のカメラを担いている。なお、大きく異なる点として対象が眼鏡を着用していないことが挙げられる。
被験者: エージェント魚住のメガネ
撮影された行動: 机の上に放置されている
撮影結果: レンズが割れている。周りにはフレームがゆがんだり、原型がわからないほどに変形したメガネが転がっている。
被験者: 三国技師
撮影された行動: 技士補を相手に長々と古典の引用を語っている。技師補は押し黙って聞いている。技士補をフレームにいれないように撮影。
撮影結果: 三国技師と技士補がお互いに鬼気迫る表情で口論している。
被験者: 横溝特派員
撮影された行動: 自身の拳銃を分解し、点検している。
撮影結果: 横溝特派員の隣には、カメラに背を向けた白衣姿の男が写っている。2人は会話をしているようで、横溝特派員は笑顔で白衣の男の脇を肘で小突いている。
被験者: 諸知博士及びエージェント█
撮影された行動: 負傷したエージェントを博士が治療している。
撮影結果: 治癒したエージェントと博士が肩を組んでいる。顔は白く塗りつぶされている。
被験者: 水野研究員
撮影された行動: はにかみながらピースしている。
撮影結果: 晴れた日の公園でココアを飲んでいる。写っている水野研究員は濡れていない。写真自体は霧がかっている。
被験者: 前原博士
撮影された行動: パソコンの画面に向かい、書類を作成している。
撮影結果: 光輝き、美しく、安らぎと豊穣に満ちた世界。人々は皆笑顔で仕事をし、一切の苦悩はなく。病も争いも無い世界。皆懸命に、賢く、思いやりに溢れている。
――――このような実験記録は存在しません。 ――██研究員
被験者: 鬼食料理長
撮影された行動: 鍋物を調理している。
撮影結果: 「鍋」を食べている。
被験者: 赤村修理工
撮影された行動: 3本のアームを使用しながら収容機材を作成している。
撮影結果: 赤村修理工の位置には自動車のエンジンにも似た機械が設置されており、周囲には3人の中性的な人間が写っている。
被験者: 串間保育士
撮影された行動: 困ったように微笑みながらぎこちなくピースサインをしている。
撮影結果: 幸せそうな笑顔で撮影者へと両手を伸ばしている。
備考:実験時、撮影者は██氏であった。撮影結果との関連性は不明。追加実験は別項を参照されたし
被験者: 虎屋博士
撮影された行動: 白衣で胸を張って立っている。
撮影結果: 大量の唐揚げをテーブルに置き、息子を膝に乗せてゲームをしている。背景ではワニや熊や猿のぬいぐるみが走り回っており、1匹の猫が寝ている。パンツと狐面のみ身につけている。
機体概要: ノストロモ計画にて投入予定だった作業補助装置の試作機です。当該計画遂行までに、自律行動処理ソフトが完成せず、当該計画が凍結されたため保留状態にあった機体ですが、エージェント.カナヘビを中枢制御装置に採用したことで、設計当初の動作が可能となりました。
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試作車両IRV0014(標準型) 仕様 | ||||||||||||
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品質向上のため、試作機材に対する職員の意見を提出してください。 |
必殺技と呼称している、"スクラントンビーム"なるものは、頭部の口部分から発射する必要はあるのでしょうか? 臨機応変に対象へ照射するためにも、携帯可能な外部装置として運用すべきではないですか? ―研究員E
操縦者不在による転倒防止機構が必要だと思われます。作戦行動中に、突然試作機が転倒し、追跡対象を見失いました。 ―機動部隊隊員G
- 長時間操作が行われなかった場合、操縦者に微弱なパルス電流を流すように変更しました。
- それより機内にコーヒーメーカー置いてくれへん?
まともじゃない。 ―ミシマ研究員
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは3x3x3mの密閉保管室に収容します。保管室の壁は厚さ10cm以上のコンクリートと厚さ2cm以上の鉛で覆いあらゆる電波や微小な物質が通り抜けるのを妨害する必要があります。警備員が出入りできるよう保管室には電子ロックを施した入り口を設置します。
SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPにとどまっているあいだ特別な収容手順は必要ありません。
異常の発生をすばやく検知するため、保管室の直前に摂氏0度を保った水の入った容器を用意しその水に氷を浮かべ、氷が沈んだ場合警報が鳴るようにしておいてください。
追加手順01:SCP-XXX-JPはカプセルの開放を防ぐために遠隔ロックのできる器具で壁に固定します。SCP-XXX-JP-1を取り押さえるため常に警備員を2人以上配置する必要があります。保管室の内部に監視カメラを設置しカプセルの開放を常に監視します。
追加手順02:SCP-XXX-JP-1に対する娯楽目的としてカプセル内部から見える位置にモニターを設置することを認めます。表示する映像は研究員が検閲した風景映像でなければなりません。
説明: SCP-XXX-JPは大きさが0.7x0.6x2.0mで重さ208kgの金属製のカプセルです。金属の組成は不明ですが、アルミニウムに近しいものと考えられます。
SCP-XXX-JPは一人用の生命維持装置のように見え、正面についた小窓からは中にいる人型の存在(SCP-XXX-JP-1と呼称)が確認できます。
カプセルは開くことができますが、開いた場合にSCP-XXX-JPの異常性が発揮されます。SCP-XXX-JPの周囲にある氷は密度が変化し、水に沈むようになります。その範囲はカプセルを中心に毎秒60mの速さで広がり、カプセルを開いているあいだは限界はないものと思われます。その範囲はカプセルを閉じても即座に消えるわけではなく、開いていた時間に応じてその場にとどまります。5分間の開放では範囲が縮んで消え去るまで7分ほどかかります。
SCP-XXX-JPは19██/03/27に南極の██基地での地質調査中に氷の下300mほどで発見されました。
回収した地質調査の研究員がその場でカプセルを開き、数分間の"書き換え"が起ったため、36平方キロメートルの棚氷の崩壊という事態を招きました。消滅した██基地と調査員たちの捜索の過程でSCP-XXX-JPは財団が確保しました。
SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPの中で眠る人型の存在です。
SCP-XXX-JP-1は自主的に目覚め、会話を試みることがあります。カプセルの小窓に指で文字を書くことにより、意思疎通が可能です。SCP-XXX-JP-1が使用する文字は未知の言語ではありますが、構成する文字の違いこそあれ、英語に近い言語であるため解読は容易です。
以下は手順が成立してからの最初の会話です。
SCP-XXX-JP-1: ここはどこ?
(この間に言語の翻訳に1日が費やされている。以降はスムーズに翻訳されている)
研究員K: 安全な場所だ。
SCP-XXX-JP-1: きみはぼくたちの言葉を使うんだね。
研究員K: あなたはどうして氷を水に沈めるのですか?
SCP-XXX-JP-1: きみたちはどうして氷を浮かべてしまうの?
SCP-XXX-JP-1はかつて自分たちこそがこの世界の住人で、いまの人類がこの世界を"書き換えた"と主張します。自分も書き換わってしまうことを怖れてこのカプセルに逃れたと語ります。なぜSCP-XXX-JPの周りがかつての環境に戻るのか本人には説明しきれません。
事案:XXX-01 ████/07/19 SCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JPから自主的に外へ出て、保管室からの解放を訴えました。すぐさま警備員によってカプセルの閉鎖が試みられましたが、フタを閉めることができませんでした。5分後、SCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JPの中へ戻したことによりカプセルが閉じました。以降はカプセルを覆うようなロック機構がつけられ、内側からは出られないような収容手順が確立されました。
その間に火災報知機が誤作動したことによりSCP-XXX-JPの別の異常性が確認されました。SCP-XXX-JPが開いているあいだ効果範囲の中で二酸化炭素の比重が空気よりも軽くなります。
補遺:XXX-01 収容違反によりカプセルを内側から開けないようにする装置を追加する必要が出てきましたが、驚異的な機構のためカプセル開放の阻止は非常に困難です。24時間以上の開放は地球全体の沿岸部の水没という大規模な損害が生じるため、できるたけ速やかにSCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JPに戻さねばなりません。幸いSCP-XXX-JP-1自身は非力であり、保管室からは出られないため比較的容易にカプセルに戻し眠らせることができます。
補遺:XXX-02 研究員との会話によりSCP-XXX-JP-1に外部の脅威が去ったと気づかせ、外へ出る動機を与えてしまったと考えられるため、現在SCP-XXX-JP-1を説得によってカプセルの中に留め置く方法を模索しています。SCP-XXX-JP-1は保管室から出れないことに不満をもらしますが比較的研究員に協力的です。
以下は██回目の説得の抜粋です。
SCP-XXX-JP-1: 外に出たい。
研究員L: 我々のためにその中にとどまってくれないだろうか。
SCP-XXX-JP-1: 海が見たい。
研究員L: きみを外へ出すわけにはいかない。
SCP-XXX-JP-1をカプセルの中にとどめておく措置として保管室の中に収容施設外の様子を見られるモニターが設置されました。
(海の映像を見ながら)
SCP-XXX-JP-1: 氷が浮いてるなんて気持ち悪い。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは収容することができないため発生する場所(SCP-XXX-JP-1AおよびB)は常に監視カメラで監視し映像を記録せねばなりません。移動イベントが始まった場合、移動先に医療班を待機させ迅速に船員を船から救出します。収容の困難さが見込まれるためSCP-XXX-JP-2が発見された場合、陸地から最低300km以上離れた公海上で沈没されなければなりません。
現在移動イベントの発生する可能性が非常に低いため現地のスタッフは監視員2名と財団所属の医師1名とします。
説明: SCP-XXX-JPは████運河の閘門で見られる瞬間移動に似た異常現象です。
████閘門の█番目の閘室(以降SCP-XXX-JP-1Aと呼称)に船が入った時にごく低確率でSCP-XXX-JPが発生します。船が閘室に入り注水を開始すると海水の代わりに由来不明の液体が閘室に注がれます。液体に船が浮かぶことはなく閘室が満たされる2時間ほどで船が液体の中に沈みます。SCP-XXX-JP-1Aでイベントが発生したのと同時に反対側の██████閘門の█番目の閘室(以降SCP-XXX-JP-1Bと呼称)でも液体の注水が開始されます。すでに別の船がいる場合このイベントは発生しません。2時間ほどで液体が満たされるとSCP-XXX-JP-1Aで消失した船が液体の中に現れます(以降SCP-XXX-JP-2と呼称)。その後閘門扉が開きSCP-XXX-JP-2が洋上へ放出されます。消失前と消失後における船体に変化は見られません。船体にこそ変化はないものの、"移動"後の船員には多大な損失が発生しており回復不能なケガを負うか死亡しています。数滴でも液体に触れると"移動"してしまうためイベントが発生した時点で閘門からの脱出は不可能に近く、船から飛び降りれば即座の"移動"という結果になります。
SCP-XXX-JP-2は移動後、船員や装置の補助なしに洋上をさまよいます。およそ1ヶ月~6ヶ月ほど無軌道な航行をしたあとSCP-XXX-JP-1Aの直前にに戻ってきて停止します。その大きさによる収容の困難さと停止後の異常性は見られないことから現在は公海上へ曳航し████海軍の協力を得て沈没させる処置をとっています。それによる異常現象はこれまでのところ観測されていません。
SCP-XXX-JPは運河の建造当時から発生しており運河を管理する団体から財団へ調査と解決を求められていました。管理団体からの要請以来、財団は異常現象の停止実験を行っています。
実験記録001: 19██/02/30 財団が保有する最古のSCP-XXX-JP停止実験です。当時の報告書が残されています。
注水装置の停止:制御室からの操作に反応無し。失敗。
全電源の停止:変化無し。失敗。
注水口の閉鎖:独立電源による閉鎖装置を増設。閉鎖装置ごと移動。失敗。
実験記録002: 19██/03/05 最初の実験から年月がたっているため同じ試みが含まれます。
注水装置の停止:制御室からの操作に反応無し。失敗。
全電源の停止:変化無し。失敗。
海水の注入:ポンプ車を動員し液体よりも多くの海水を注入。通常2時間の"移動"時間が45分に短縮。失敗。
実験記録005: 19██/07/11
注水装置の停止:制御室からの操作に反応無し。失敗。
全電源の停止:変化無し。失敗。
曳航船による閘門扉の開放:注水完了前に閘門扉を開く試みが行われたが扉は動かなかった。失敗。
榴弾による閘門扉の開放:変化無し。扉には傷一つ付かなかった。失敗。
これと同時期に運河の管理団体から破壊行為に対する苦情が届いた。O5の命令により施設への破壊行為が禁止される。
実験記録011: 20██/01/25
注水装置の停止:制御室からの操作に反応無し。失敗。
液体窒素の注入:注入口付近から液体窒素を投入。一時的に停止に成功するも液体窒素の枯渇により注入再開。失敗。
実験記録013: 20██/12/04 これは財団の監視中に管理団体が自主的に行った回避行動の報告書です。
管理団体からの報告書の要約:クレーンを増設しイベント発生と同時に閘門から船を持ち上げ液体からの離脱に成功するも、注水完了と同時に船が消失。通常の"移動"が発生。失敗。
実験記録015: 20██/05/26
注水装置の停止:制御室からの操作に反応無し。失敗。
クレーンでの船員の救出:船員に液体を浴びないよう厳重に注意しクレーンで救出。液体注入完了と同時に船員が"移動"した。失敗。
分子レベルでの接触が"移動"を招くのか、現在の団体が保有する科学技術では確認しようがありません。
補遺001:
イベントXXX-0064において"移動中"に無線から異様な音声を聞いたとの報告がありました。イベントXXX-0064で"移動"した船は████社が所有する全長180m貨物船███号。船員35名のうち12名が死亡。7名が意識不明。残りの船員も重傷。
インタビューログXXX-0064-001:
研究員I: すみません、大変混乱していると思いますがあなたが聞いたという無線の声について教えていただけますか。
(対象の船員0064-001は右脚の大部分と肝臓の一部を消失している)船員0064-001: ああ、いいんだ。昔から聞いていたよ、あの運河は「食われる」ってな。とうとうオレの番だったわけだ。
研究員I: 昔から有名だったんですか?
(財団の監視下に入ってからは関わった船員には記憶処置が施されている)船員0064-001: 古い船乗りの間ではよく言われてたよ。あのあたりのじいさんどもに聞いたらもっと詳しく聞けるさ。あんだけひどいことをしたんだ。あそこが呪われてたって何の不思議も無い。
研究員I: ひどいこととは?
船員0064-001: あそこを運河にしようって話が出たのはどれくらい前だと思う?400年くらい前さ、そっから土地の買い上げなんかで詐欺まがいのことや強引な立ち退き、工事が始まる前からそんな有様さ。そっから実際に運河が作られてみたらひどい環境で働かされて、当時のひとたちはそりゃあの運河を恨んだろう。
研究員I: そうですか。それでそのあなたが聞いた無線はその話と関係がありますか?
船員0064-001: うーん、それがあるようなないような…よくわからん。とにかく人間のもんじゃなかった。そりゃたしかだ。なんだか恨まれているようなそんな…
研究員I: どんな内容ですか?
船員0064-001: あの気持ちの悪い赤い水が降ってきてからしばらくたってからだったよ、ああもうオレもここで食われるのかと無線の前で神様にお祈りしてたときさ、最初は小さなノイズが聞こえてきて、そっから小さいけど不気味にはっきりとした低い声で聞こえてきたんだ。『通行料は?』って。
研究員I: 現地の言葉でなく、あなたの母国語でした?
船員0064-001: まってくれ!こっからだよ!オレたちを恨んでいるような声はこのあとだ…なんだか薄ら寒いな…思い出すと、『通行料は?』のあと数秒してこう聞こえた…『船員で』って…
以降のイベントでは無線の音声を記録しています。どのイベントでも記録された音声からは前述のインタビューと同様の会話が記録されていますが、"通行料を払う声"は毎回違った声色に聞こえます。
事案XXX-01:
イベントXXX-0219以降██年に渡ってSCP-XXX-JPが発生していません。このイベントを事案XXX-01と位置づけ、Neutralizedへのオブジェクトクラスの変更を審議中です。このイベントにおいて通常とは違った会話が記録されました。このイベントにおいて"移動"した船は███軍の所有する全長270mの戦艦██████。乗員253名が"移動"後SCP-XXX-JP-1Bにて全員無傷で出現。戦艦██████は消失し現在も見つかっていません。
インタビューログXXX-0219-056:
研究員I: あなたが無線を担当していた█████さんですね?
船員0219-056: (ひどく動揺したすすり泣くような声)
研究員I: 大丈夫ですか?お話できますか?
船員0219-056: 話してもあんたは信じちゃくれないだろうし、わかってもくれないだろう。
研究員I: 我々はあなたたちよりもこういった事態に真摯に冷静に対処してきました。真実なら必ず受け入れられます。
船員0219-056: たぶんあれはあいつの声だったんだと思います…だからオレたちの代わりに…
(すすり泣く声が続く)
研究員I: やはり日を置いてからにしましょう。すみません、インタビューを終了し…船員0219-056: まってください!ちゃんと話します!!あれは無線から聞こえてきた、じいさんみたいな声だった…!!赤い水が出てきたあと聞こえてきたんだ!!もうすぐ退役だから…
研究員I: 落ち着いて、最初から順を追ってお願いします。
船員0219-056: (数秒の沈黙)無線からノイズが聞こえてきて…そこからオレの名前を呼ぶ声が聞こえてきた…そしたら言ったんだ『きみたちには未来がある』って…それから…『[データ削除済]大佐や[データ削除済][データ削除済]にともに戦えて光栄だったって伝えてくれ』って…そしたらすぐに…『通行料は』って…
(再び大声で泣き始める)
研究員I: インタビューを終了します。
無線音声記録XXX-0219-001:
『通行料は?』
『私で』
インタビューログXXX-0064-001で得られた情報からこの運河の運用停止までNeutralizedへの分類は保留とします。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは地中30m以下に埋められた3x3x3mの密閉収容室に収容してください。収容室は最低でも厚さ30cm以上のコンクリートで構成してください。収容室の壁は合成ゴムなどの絶縁体で覆う必要があります。収容室内部の床も同様に絶縁体で敷き詰めてください。SCP-XXX-JPは基本的に食事や睡眠の必要はありませんが精神疾患の傾向を示しているため通常人間型オブジェクトに必要なベッドと机椅子一式を収容室に備えます。机、椅子、ベッドのフレームは必ず木製にしシーツおよび布団は木綿で構成されます。室内の湿度は必ず60%以上を保ち温度は摂氏40度を上回らないように注意してください。収容室の扉も金属を使わず石材と強化ガラス、合成樹脂か強化プラスチックで製造してください。施錠に関係する機構は摩擦を起こしやすいため木製の簡素なストッパーのみを取り付けます。SCP-XXX-JPの研究に準ずる職員はなるべく薄着にするように努め木綿素材の衣類を着用してください。研究員はSCP-XXX-JPのフロアでは白衣やネームプレートを着用する義務はありません。同フロアに備え付ける机や椅子は全て木製のものを使用してください。照明は全てLEDまたは白熱電球にしてください。モニターなどは有機ELを強く推奨しますが液晶でも容認します。電源コードには細心の注意を払い地中に埋めるかカバーで覆ってください。
SCP-XXX-JPのフロアに入る際には必ず静電気除去プレートに触れてください。フロアの中にいる間はできれば10分おき最低でも30分おきに除去プレートに触れる義務があります。違反した職員には罰則があります。
SCP-XXX-JPのフロアには熱源になる可能性のあるものはどんなものであっても持ち込むことはできません。これには携帯電話、懐中電灯、電波時計が含まれます。タバコとライターを持ち込んだ職員には厳重な処罰が下されます。金属の摩擦を避けるために金属製の装飾品も持ち込むことはできません。これには金属製のペンダント、指輪、ベルト、革靴の装飾品などが含まれます。歯の詰め物は容認されます。また一切の洗剤も持ち込めません。職員は入浴や洗濯の残留物に注意してください。理由は化学の得意な職員に聞いてください。SCP-XXX-JPが入浴や手の洗浄を要求した場合は水のみで全てを処理してください。SCP-XXX-JPが水に触れた場合若干の色の変化や体積の増減がありますが問題ありません。
研究に従事する職員は日本の"ニンジャ"について多少の知識が必要になります。SCP-XXX-JPに所属や立場について尋ねられた場合『トウシュの直属の部下』『ブンケの跡取り』などと名乗ると立場上それ以上聞いてきません。またそのようなカバーに失敗した場合、威圧的な態度をとると攻撃してきません。そのような態度を取れない職員は急いでフロアから退出してください。追ってくることはまずありません。SCP-XXX-JPと接する職員はSCP-XXX-JPが危険なオブジェクトであることは絶対にわすれないでください。
追加手順a001:フロアに持ち込むパソコンは水冷式のものかノートパソコンにしてください。
追加手順a002:筆記用具にノック式のボールペンを持ち込むことは禁止されました。必ず鉛筆かノック式でないボールペンを使用してください。
追加手順a003:眼鏡のフレームはプラスチックなどの非金属製にしてください。またそれをパソコンに落とさないように注意してください。
追加手順a004:挟み込むタイプのヘアピンの使用はフロア内では絶対に認められません。
追加手順a005:ブックエンドは金属製のものを使用してはいけません。クリップボードについても同様です。
追加手順a006:食事は必ず日本の"箸"を使用してください。また食事は加熱せずに食べられるものか50度以下に冷ましたものを持ち込んでください。
追加手順a007:コピー用紙の静電気は自然放電されるものなので隔離手順は必要ありません。
SCP-XXX-JPにはフロアに備えた図書室への入室が許可されています。所蔵書物からは以下のものを除去してください。
・ベンゼン環について説明された化学の参考書および専門書。
・1500年から1800年までにおける指定された家系[調査報告001を参照]について記述された歴史書。
・現代兵器について記述された新聞記事または雑誌、専門書、説明書、その他の書類。
・炎にまつわる能力について描写された小説、マンガ、その他の書物。
SCP-XXX-JPが疑問に思ったことについて返答できない場合、精神衛生の悪化を招く可能性があります。所蔵書物には細心の注意を払ってください。またSCP-XXX-JPの知能は高く知的欲求も高いためできるだけ長期間の興味を惹いておける難解な専門書を置いておくことが推奨されます。例としてMBAの関連書物に長期間興味を示しました。
追加手順c001:SCP-XXX-JPの精神の安定を図るため『直属家系の子孫』『トウシュ』『イイナヅケ』を装った人物との文通が認められました。彼の主張とは裏腹に彼の書き記す文章は現代の言語に非常に近く外来語も理解できます。(例:フォルクスワーゲン、グーグルアースなど)担当研究員の許可を得た職員であれば誰でも手紙を執筆できますが彼の身体的特徴、特に体組織の特徴およびその性能について絶対に言及してはいけません。あくまで精神衛生の向上を目的としているため役柄の一貫性、親身な態度、一定以上の好意の表記に注意を払ってください。手紙を担当する職員はSCP-XXX-JPが危険なオブジェクトであることは絶対にわすれないでください。再三の注意にも関わらず当該オブジェクトに同情的な態度を示す職員は別の部署に異動してもらいます。罰則があります。補足:収容手順の煩雑さから人員の異動を最小限に抑えることが決定されました。
追記:収容に際するストレスの多さは理解できますが担当研究員は収容手順の表記を短くすることに努めてください。
説明: SCP-XXX-JPは起源不明の高さ約1.8mの人型のオブジェクトです。
SCP-XXX-JPの体は水よりも多少粘度の高い透明な液体によって構成されています。また頭部にはイヌ科のものと思われる頭蓋骨が付いています。調査の結果液体はトリニトロトルエン(以降TNTと表記)であることが発覚。即座に反応の阻害物質として木炭が注入されました。現在当該オブジェクトの見た目は黒い液体になっています。(職員には不評で見た目を損なわないシリカゲルとの代替が提案されましたが却下されました)
SCP-XXX-JPは 19██/08/19 ████の██████にて夜間の道路上に大きな石を置いている人間がいるとの通報を受けた地元警察により現行犯逮捕されています。その異様な外見により即座に財団の知ることとなりオブジェクトの収容と関係者へのクラスB記憶処置が施されました。
SCP-XXX-JPはこちらが[データ編集済]家の人間であると主張している限り非常に従順で友好的です。知能は比較的高く社交性も持ち合わせていますが当該オブジェクトは強迫性障害に似た症状を示しています。現在カウンセリングによる治療が試みられています。
記録映像によるカウンセリングの様子-20██/08/22: 収容手順確立以前の記録です。
T医師: なぜ道路に石を置いていたのですか?
SCP-XXX-JP: ████家の者は殺さねばならない。
T医師: 地名が████だからといって████さんが住んでるとは限らないのでは?
SCP-XXX-JP: なんだこれは尋問か。
記録映像によるカウンセリングの様子-20██/10/04: SCP-XXX-JPの話にあわせて彼のストレスを軽減する試みも行われました。
SCP-XXX-JP: ████家の者は殺さねばならない。
T医師: ████家の者はすべて我らがトウシュが成敗なさった。
SCP-XXX-JP: なんと。
T医師: 今はゆるりと休まれよ。
SCP-XXX-JP: ████家の者は殺さねばならない…
記録映像によるカウンセリングの様子-20██/11/12: めずらしくSCP-XXX-JPからT医師の呼び出しがありました。
T医師: 今日はあなたのほうから呼ばれましたね。どうしました?
SCP-XXX-JP: なぜ私は████家の者を殺さねばならないのですか?トウシュにうかがってください。
T医師: しばしまたれよ。
(T医師は数分間席を外し、研究員と相談したのち戻ってくる)T医師: ████家の者は我が領地の畑を荒らしたそうだ。だがもうすでに成敗いたした。
SCP-XXX-JP: なんと。食い物の恨みはおそろしいものだな。
記録映像によるカウンセリングの様子-20██/11/20: エージェント███に立場の強い役柄を演じてもらい、T医師を正式に医者として紹介し知っていること全てを包み隠さず話すよう命じたあとの様子です。
SCP-XXX-JP: あなたは高名なお医者様であったのですね。
T医師: あなたの体はどうしてTNTで構成されているのですか?
SCP-XXX-JP: てぃーえぬてぃー?
T医師: あなたは誰に作られたのですか?
SCP-XXX-JP: おそらくあなたと同じだと思うのですが。
T医師: 具体的には?
SCP-XXX-JP: 答えねばなりませんか?
T医師: お願いします。
SCP-XXX-JP: (数秒間動揺し口ごもる)その…男と女で[編集済]
SCP-XXX-JPが書いた手紙からの抜粋: 精神的な傾向の参照として手紙の文章を併記しておきます。
『イイナヅケ』に当てられた手紙0073の抜粋:
ココは楽しいところです。外国の音楽を聴くこともできますし、ショウギに付き合ってくださる友人もおります。トウシュの命令では今は十分に休んでも良いとのことですがいつかは私もたくさんの敵を殺し一人前にならなければなりません。その前にあなたに会えれば幸いです。
『トウシュ』に当てられた手紙0003の抜粋:
勉学に励めとのご命令で教本も送っていただき誠に恐縮なのですが『ジャばスクリプト』なるものは敵を殺す上でどのような役割を果たすのでしょうか?
上記補足:SCP-XXX-JPはSCP-███-JPの監視システムの一部を構築するほどに至りました。精密検査でも悪意のあるマルウェアは検出されませんでした。
SCP-XXX-JPは自身と人類との違いを認識できていません。SCP-XXX-JPの証言では████年に存在していた██家に仕えていたことになりますが記録は残っていません。父親と母親とされる人物についても同様です。現在SCP-XXX-JPの体を構成するTNTを完全に制御できる阻害物質を模索中です。
実験記録001: SCP-XXX-JPを構成するTNTが具体的にどれほどの威力があるのか確認実験が行われました。SCP-XXX-JPの体から10gの体組織を採取。このとき対象はくすぐったいとの感想をもらす。███の████にある鉱山跡にて遠隔爆破。通常のTNTの性質から想定されるものより大規模な爆発が発生。十分に注意していましたが研究員3名が軽い聴覚障害に陥り、近隣住民へのカバーストーリーが必要になりました。追加の確認実験には███博士の承認を必要とします。追記:精密検査により減少した10gの分がその日のうちに元に戻っていることが発覚しました。どうやって追加のTNTを生成しているのかは不明です。
担当研究員のメモ:
SCP-XXX-JP自身は自分の体が街ひとつを吹き飛ばすほどの兵器だと気づいていません。なるべくこのまま気づかせないことが多くの人間にとって安全だと思われます。職員は言動に十分注意してください。仮に彼を処分しなければならない場合、我々がどれほどの代償を支払うことになるのか想像もできません。私個人としても大切な友人を失いたくありません。
彼の従順な性質から危険なSCPオブジェクトへの対抗策に使えるのではないかという審議はする必要もありません。彼にとってどんなに危険なオブジェクトよりもおそろしいのは静電気であるからです。 ――███博士
SCP-XXX-JPのSafeへの分類申請を却下します。
どんなに従順でどんなに長い時間一緒にすごしどんなに仲良くなろうともSCP-XXX-JPが危険なオブジェクトであることは変わりありません。しかも非常に危険な。 ――███博士
SCP-XXX-JPのSafeへの分類申請を再度却下します。
ニトロセルロースでの爆発感度の鈍化は十分な制御とは言えずまたSCP-XXX-JPの体内での拡散具合も不十分です。 ――███博士
担当研究員は至急当該オブジェクトの冷凍保存処置に関する実験を行ってください。これ以上無意味な事後報告書の提出があれば上層部に命令を下してもらいます。 ――███博士
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは未知の技術により壁を通り抜ける能力があるため物理的な収容は困難です。捜索に当たる職員は地元警察との連絡を常に取れるようにし実例の発見に最大限努めてください。遂行中の実例を把握できた場合は最寄の収容施設へ誘導するか、できるだけ壁の厚い建物に誘導し機動部隊を派遣してください。施設内にいる間できるかぎりDクラス職員を用いてSCP-XXX-JPを施設内にとどめてください。基準として全治2週間以上かかるようなケガに対して反応を示します。SCP-XXX-JPに治療されたまたは殺害された人物の関係者にはクラスA記憶処置をほどこし病院での治療が行われた、もしくは事故死したというカバーストーリーを用意してください。SCP-XXX-JPは一般人にも目撃されますが格好こそ異様であるものの人間に近しいため目撃しただけの人間に対する処置は必要ありません。SCP-XXX-JP-1は可能な限り回収してください。
もしSCP-XXX-JPを収容できた場合に備え厚さ30cm以上のコンクリートと厚さ10cm以上の鉛で覆った収容室を用意します。これは収容施設の脱出の際、密度の高い金属になるほど通り抜けに時間を要していたことから推測される暫定的な処置です。また垂直方向への通り抜けはほとんど見られなかったため重力には逆らえないものと推測し、収容室は高さ30m以上にワイヤーで吊るし側面と上方には10m以上の空間を開けます。収容室の内側全ての面に対して水平に照射できるように2GW以上の出力をもったレーザーを設置し密閉してください。
制圧に向かう機動部隊は補遺02も参照してください。
説明: SCP-XXX-JPは高さ約1.8mの人型のオブジェクトです。
SCP-XXX-JPは通常████社製の1940年代に製造されたボディアーマーと同じ年代の████社製のガスマスクに黒いロングコートを装着しているため実体そのものは観測できません。ときおりアサルトライフルやその他の大きな銃火器を持った状態で目撃されます。
SCP-XXX-JPは通常の行動として大きな怪我や治療困難な病気を患った人間(以降対象者と呼称)の前に突如として現れます。そして服の下から契約書のような紙(以降SCP-XXX-JP-1と呼称)を取り出し対象者にサインさせようとします。その際、短い会話がある場合がありますが大抵無言のままです。対象者がサインする意思を見せなければそのままSCP-XXX-JPは立ち去ります。対象者がSCP-XXX-JP-1にサインをし契約内容を完遂した場合、最寄の医療施設かベッドのある場所まで対象者を連れて行き適切な治療を行います。その成功率は現在100%のままです。この治療内容には現在の医療では治療できない疾患も含まれます。
SCP-XXX-JP-1に書かれた遂行すべき契約内容は大抵対象者にとって屈辱的な内容であり達成が困難であることが多いです。契約遂行の間はずっとSCP-XXX-JPが対象者のそばに立ちます。対象者がSCP-XXX-JP-1にサインをし、かつ契約内容の遂行を途中で断念する意思を見せるとSCP-XXX-JPは激しく怒り、持っている武器で対象者を惨殺します。
SCP-XXX-JPの情報は1940年代の初め頃から████軍の兵士の間で噂されることになり財団の知るところとなりました。対象者がどのような行動をとろうと契約破棄の意思さえ見せなければSCP-XXX-JPは妨害など行わないため、警察への通報を通じて何件かの実例が記録されています。しかし大抵は契約破棄後の対象者以外の通報によるもののためSCP-XXX-JP-1の内容の把握は難しいものとなっています。
回収されたSCP-XXX-JP-1の契約内容および契約遂行の結果:
実例-A0001: 19██/07/15 戦時下における実例です。財団の把握する最古の記録ですが証言が得られたのは20██/07/15です。
契約内容: 敵兵を10人撃ち殺し、脊髄を取り出し一口ずつ飲む。
結果: 対象者は契約を完遂し、3箇所の銃弾による傷と化膿、栄養失調が完治しました。
備考:戦時下の作戦従事者からも似たような証言を得られています。考慮すべき点として契約を完遂した人間すべてが平均年齢を大きく上回って生存しています。
実例-A0032: 19██/02/17 対象者は57歳男性。糖尿病による慢性腎不全を患っていました。
契約内容: その日病院内で集められた検査のための尿を全て飲み干す。
結果: 病院内の関係者の協力で契約を完遂し、対象者は治療されました。
備考:騒動の最中に財団が情報を察知、確保に努めましたが病院関係者との衝突が起こりました。SCP-XXX-JPは逃走しました。
実例-A0074: 19██/04/04 対象者は40歳男性。HIVによるAIDSを発症していました。
契約内容: SCP-XXX-JPの[編集済]を飲む。
結果: 対象者は契約を完遂し、治療が行われました。対象者の証言によれば注射器により未知の液体を投与されたとのことです。
備考:治療後になりますが対象者の家族による通報で財団が事態を察知しました。対象者は証言を激しく拒みました。実績のある聞き手により証言を得ました。
実例-A0161において財団のエージェントが対象者となり契約遂行中に収容施設へ誘導することに成功しました。
Dクラス職員におけるSCP-XXX-JP-1の契約内容および契約遂行の結果:
以下はSCP-XXX-JPを収容できていた間にDクラス職員を用いて情報収集を行った結果です。
実例-B0001: 20██/03/24 対象者は21歳男性。過去の怪我により左手の指を3本失っています。
契約内容: 対象者が暴行した女性の前に立ち過去自分が行った犯罪行為を全て告白し、許しを得る。
結果: 対象者を収容施設の外へ出すことはできないという審議結果を対象者に伝えた瞬間、サバイバルナイフのようなもので対象者が切り刻まれる。
備考:これまでの実例で摂食に関する契約内容が多かったのにも関わらずDクラスを対象者した途端、精神的な困難さに切り替わったことは興味深い事実です。
実例-B0002: 20██/03/24 対象者は22歳女性。健全であったが注射によりテトロドトキシンを投与する。
契約内容: 対象者が行った犯行により死亡した被害者の母親に自身の初恋の話をし、許しを得る。
結果: 音声通話により件の母親との会話に成功。しかし会話の途中で通話が切断され、以降応答がなく対象者はそのままテトロドトキシンの中毒により死亡。
備考:前例により達成の難易度を調整した可能性があります。対象者の記憶のみを読み取っている可能性が高まりました。
以下の実例は唯一の成功例です。
実例-B0005: 20██/03/24 対象者は22歳女性。健全であったが注射によりテトロドトキシンを投与する。
契約内容: 対象者の父親に自身の行った犯行の詳細(切り取った臓器の部位などの描写)を語り、許しを得る。
結果: 音声通話により件の父親との会話に成功。対象の説明は20分ほどで終了したが通話は1時間46分にもおよび、対象が意識を失う前に父親の許しを得る。治療はSCP-XXX-JP-1によって適切に行われました。
備考:音声記録が乱れるため担当職員は冷静に実験にあたってください。
他数件の実験のあと職員の必死の努力にも関わらずSCP-XXX-JPは施設から脱走しました。
補遺01: 契約遂行を待つあいだに財団職員がSCP-XXX-JPとの会話に成功しました。会話を行った職員は現在カウンセリングによる治療が行われています。
財団職員による会話内容の書き起こし001:
研究員N: あなたはなぜ人間の治療をするのですか?
SCP-XXX-JP: (数秒の間をおいて)お前たち、弱い。
研究員N: どうして治療の前に試練のようなことをするのですか?
SCP-XXX-JP: (数秒の間をおいて)オレ、強い。(研究員を指差し)死ぬ。避ける。強くなる。
研究員N: 顔を見せてもらえますか?
実例-B0002における監視カメラの20██/03/24 09:18:56 から20██/03/24 09:20:03 までの映像記録の閲覧にはLevel4以上のクリアランスを必要とします。
補遺02: SCP-XXX-JPの収容施設からの脱出の際、効果の無かったものは以下のものです。
・5.56x45mm NATO弾による1分間に1000発以上の銃撃。装備に傷も付きませんし、よろめきもしません。
・40mm×53グレネードによる爆撃。装備に傷も付きませんし、よろめきもしません。
・MK3手榴弾による爆撃。装備に傷も付きませんし、よろめきもしません。蹴り返される可能性が非常に高いです。
・スタングレネード。効果ありません。
・110万ボルトのテーザー銃。効果ありません。
・麻酔銃。刺さりません。
・催涙ガス。ほぼ効果ありません。ただし若干の動作の鈍化は見られました。
以上のことを踏まえ、機動部隊はSCP-XXX-JPを武力で制圧する場合、液体窒素を積載した装甲車による体当たりを試みてください。SCP-XXX-JPの耐久性は測定不能なほどですが所持している武器(アサルトライフルなど)は戦時中のものと同性能であり、またそれらを使用して反撃してくる様子は今のところ見られません。
アイテム番号と考えられる数字とアルファベットの組み合わせ: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラスと呼ばれる危険度の指針: 97.55%の確率においてSafeまたは2.45%においてそれ以外
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP実体または本体と考えられる物体は幅40cm奥行き30cm高さ30cm厚さ12cmになるように成型したケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)とケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)とカルシウムアルミネート(3CaO・Al2O3)とカルシウムアルミノフェライト(4CaO・Al2O3・Fe2O3)硫酸カルシウム(CaSO4・2H2O)を水で攪拌し固めたものを厚さ1mmの鉄で全体を覆った密閉容器に2つの蝶番によって開閉できるようにした同様の素材で製造された9ケタの10進法による数字が表記されたダイアル式のロック機構を内包する扉を取り付けた収容装置の内部の中央にこのオブジェクトを設置し扉を閉め9ケタの10進法による数字が表記されたダイアルを解除できない不規則な組み合わせに回して収容を完了してください。担当する研究員と収容施設の警備主任がロック機構を解除できる9ケタの10進法による数字の番号の組み合わせを把握していなければなりません。収容装置が設置されている収容室は火災を検知する装置と盗難を察知するための重量を比較する装置とセキュリティルームへ映像を送信することのできる監視カメラを備え火災が発生した場合は警報の発令と消火剤の散布および鎮火後の収容装置および収容室の修復または収容場所の移動を行い盗難があった場合は警備員への連絡と本部への連絡を行いエージェントに捜索依頼を申請します。現在のところこのオブジェクトの実体または本体と考えられる物体およびSCP-XXX-JP-1の紹介を試みた文字情報以外に有害性は認められないか無害であると研究の結果が示しているためこれ以上の収容手続は必要ないと考えられています。
説明または概略および性質か性能: SCP-XXX-JPは20██/03/22 ████の██████に在住する█████と称されたHomo sapiens(ヒト)が製作したTriticum aestivum(パンコムギ)を粉末状にしたものをメスのGallus gallus domesticus(ニワトリ)から排出された未受精の卵細胞を攪拌した液体により外皮と頭部を除去したMetapenaeus joyneri(シバエビ)に塗布しBrassica napus(セイヨウアブラナ)の種子を摂氏90度以上の水蒸気に暴露したのち圧力を加えて搾り出した液体を摂氏170度前後に加熱したものに沈めたのちに取り出した日本国で広く認知された加工方法を用いられた食品を塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)を付加重合させアセチルクエン酸トリブチルとカルシウムを加えたものを高周波ヒーターにより半固体の状態に維持したのち鋳型により成型された模倣元の食品の外見的特長を観測者に伝えることを目的としたオブジェクト(SCP-XXX-JP実体または本体と考えられる物体)およびそれをケイ酸塩および石英および石油から精製された合成樹脂など透明な物質を成型したレンズを通し化学変化を起こさせた写真フィルムおよびCMOSイメージセンサにより記録されたデジタルデータおよびそれを元に複製された印画紙およびMicrosoftWindows BitmapImageファイルやEncapsulated PostScriptファイルおよびJoint Photographic Experts GroupやGraphics Interchange Formatを用いて圧縮された静止画像デジタルデータ(以降SCP-XXX-JP-1と呼称することとなると考えられる)または上記のものを紹介するために執筆された紙媒体およびデジタルデータに記録された文字情報です。
SCP-XXX-JPを文字情報として他の知的生命体に紹介しようと試みる場合その文章は平均して必要量の150%~300%か場合によっては執筆し終わらないほどに非常に冗長で無意味な追記や必要以上に歪曲した表現または読み手にとって理解しがたいほどに回りくどい表現になります。この効果は執筆者の知的レベルつまり保有する科学的知識と文学的知識にまつわる情報および精神的な傾向によって大きく差異が出ると考えらています。このSCP-XXX-JPと呼称されるオブジェクトの認識というものに対する有害性が未知数であると考えられるため財団に雇用されている研究員による試験を行うことは財団にとって有益とは考えられないため紙媒体を用いた試験を用いて知的レベルを測定し好成績を収めたDクラスと呼称される職員4名を執筆者として試験したところ全てにおいてまったく違った表現になったものの全ての文章はやはり冗長で長く場合によっては重複表現や意味を成していない歪曲された表現を含んでいました。試験終了後も一定しない期間においてSCP-XXX-JPの影響と考えられる会話や筆記における冗長な表現または歪曲した表現がDクラスと呼称される職員たちに見られましたがいずれも短い期間のうちに効果が消失または害の無いほど希薄になったと研究の結果考えられています。
これより下部の段落においてこのSCP-XXX-JPと呼称されるオブジェクトの理解の一助として試験の結果で非常に低い成績を記録したDクラスと呼称される職員が執筆したSCP-XXX-JPと呼称されるオブジェクトの紹介文を元のデジタルデータそのままに複製したものを貼り付け執筆を終了します。
補遺001:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: SafeったらSafe
特別収容プロトコル: とっても頑丈な小さな金庫に入れておいてください。
説明: SCP-XXX-JPはたぶん何年か前かくらいに作られたっぽいテンプラっていう料理か写真かオモチャかなにかの変な効果です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは設置場所から移動できず屋内に収容することができないため周辺に視界を遮るものを設置します。実験の結果100m以上離れた場所であれば樹木を植えても影響がないことがわかったためSCP-XXX-JPが見える公共の場所には全て高さ30m以上の常緑樹を植え、葉が落ちないよう維持管理します。付近にある建物は所有者の協力を得てSCP-XXX-JPが観測可能な側面全ての窓ガラスを曇りガラスと交換します。東側は海で北側は運河なので付近を航行する船は可能な限りの速度で通り過ぎるよう関係団体に通達を出してください。
SCP-XXX-JPの効果範囲は人間が視認できる距離であれば限界はないと思われ最大で11km離れた位置での事例が発生しています。実験以外でSCP-XXX-JPが黒く変色した場合SCP-XXX-JP-1が発生した可能性が非常に高く付近を徹底的に捜索し聞き込み調査などでSCP-XXX-JP-1を確保してください。
説明: SCP-XXX-JPは████の██████前に在住する自由の女神像のレプリカです。高さ11m(台座を含めると21m)重さ9tのブロンズ像です。外見については補遺01を参照してください。
SCP-XXX-JPは人間が目視する場合に低確率で全体が黒く変色して見えることがあります。その際にSCP-XXX-JPの異常性が発現します。オブジェクトの変色を発見した人間(以降SCP-XXX-JP-1-XXXXと呼称)には何らかの形で『自由になった』と表現できる変化が与えられます。この変化は対象にとって有害であったり無害であったり規模の大小も様々でまったく規則性がありません。変化を与えられた対象は遠くから響く教会の鐘のような音と『あなたは[それぞれの事例]から自由になった』という女性の声を耳にします。変化を元に戻す試みは現在のところ成功していません。
SCP-XXX-JPを移動する試みはすべて失敗しています。不透明な覆いで隠す試みも同様です。シートが上空へ浮上する、凍結し破砕する、[データ削除済]ウイルスに変化するなどの理由です。
以下は報告された有害な事例です。一部は財団からの視点による有害なものです。対象 | 自由の項目 | 変化 | 結果 |
---|---|---|---|
1-C001:一般市民・40歳男性 | 重力からの自由(推測) | 地球上の物質との引力が喪失。 | その場で即座に上空へ打ち上げられる。対象は発見できませんでした。財団の把握する最初の事例です。 |
1-C002:一般市民・17歳男性 | 圧力からの自由(推測) | 大気からの気圧を喪失。 | 内側から全身が破裂。体液が蒸発。対象は即死。 |
1-C005:一般市民・19歳女性 | 慣性からの自由 | 運動の第一法則(慣性の法則)の喪失。 | 上記の男性と共に財団が収容。60日後、開いたドアに吹き飛ばされ壁に激突し死亡。 |
1-C006:一般市民・33歳女性 | 日焼けからの自由 | 紫外線との相互作用を喪失。 | 目撃直後は変化なし。ビタミンの生成の不備から体調不良を訴える。投薬を継続中。 |
1-D002:Dクラス職員・32歳男性 | 恐怖からの自由 | ホルモンを分泌する機能の一部を喪失 | 対象は恐怖を感じなくなりました。保護処分にて経過観察中。 |
1-C007:一般市民・56歳男性 | 退屈からの自由 | ホルモンを分泌する機能の一部を喪失 | 対象は幸福を感じなくなりました。カウンセリングと投薬を継続中。 |
1-D003:Dクラス職員・22歳男性 | 過去からの自由 | あらゆるデータベースから対象の犯罪履歴が消失。 | 対象の犯罪に関する新規の情報も記録できません。財団が収容中です。 |
1-D005:Dクラス職員・22歳男性 | 財団からの自由 | 財団のデータベースから対象の情報が消失。収容違反の発生。 | 財団の収容の試みがすべて回避されました。地元警察が収容中です。 |
1-D006:Dクラス職員・23歳男性 | 束縛からの自由 | あらゆるデータベースと関係者の記憶から対象の情報が消失。収容違反の発生。 | 事案報告D006-01を参照。対象の死亡が確認されました。 |
対象 | 自由の項目 | 変化 | 結果 |
---|---|---|---|
1-C003:・一般市民17歳女性 | 嫌いな虫からの自由 | 対象にとって有害な昆虫が半径7mに渡って排除。 | ダニ類も含む。効果は継続しているもよう。保護処分にて経過観察中。 |
1-C004:一般市民・30歳男性 | 苦痛からの自由 | あらゆる疾病と怪我の即時回復。 | 事象の回避ではなく回復であることは注目すべきです。保護処分にて経過観察中。 |
1-D001:Dクラス職員・20歳男性 | 病気からの自由 | ウイルス性の疾病の回復。 | ケガや毒による損傷は回復しません 保護処分にて経過観察中。 |
1-D007:Dクラス職員・31歳女性 | ストレスからの自由 | 多数の言語の知識とテレパシー能力の獲得。 | 高度な人心掌握能力を示しました。対象の犯罪歴を考慮し15日後に解雇されました。 |
1-D008:Dクラス職員・26歳男性 | 驚くことからの自由 | あらゆる突発的な危険の回避 | 慢性疾患には効果がありません。また財団の収容を回避できないことは注目すべきです。 |
事案報告D006-01: SCP-XXX-JP-1-D006の実験において収容違反が発生しました。財団エージェントと地元警察による大規模な封じ込め作戦はすべて回避されました。対象はあらゆる施錠された扉も開き障害物も通り抜け重力の影響も受けませんでした。20██/06/04 █████の████にて対象が銃撃を受け死亡しているのが発見されました。捜査の結果対象のかつての仲間であった男性に撃たれたことが発覚しました。
事案報告A002-01: 研究員T(SCP-XXX-JP-1-A002)が不注意からSCP-XXX-JPを目視しました。その32秒後に研究施設が蒸発。SCP-XXX-JPはこの衝撃で西側に5mmずれています。当時の監視カメラの記録が残されていました。
20██/10/19 08:05:12 から 08:05:44
研究員T: あ!しまった!黒…黒くなった…
研究員G: な、なんで窓が…セキュリティ!彼を実験体の収容室へ!
研究員T: まってくれ!おねがいだ!まって…鐘の音が…なんだ… ん?…すべて?
この直後記録が終了しています。事態の収拾後、施設は再建されました。近隣住民へのカバーストーリーの流布も問題なく終了しました。財団は現在研究員Tの痕跡を捜索中です。
以下は未だに効果がわかっていない事例です。不注意により目撃した研究員への偏りが目立ちます。対象 | 自由の項目 | 変化 | 結果 |
---|---|---|---|
1-A001:財団職員・42歳男性 | 支配からの自由 | なし。 | 財団での立場、公共機関からの扱いなど変化が見られません。 |
1-A003:財団職員・29歳男性 | 法律からの自由 | なし。 | 財団の特性上、対象が公共機関での重大な法律違反を犯せないため効果は不明です。 |
1-D009:Dクラス職員・19歳男性 | 自由からの自由 | なし。 | 対象の聞き違いの可能性もあります。あらゆる実験は正常に作用します。保護処分にて経過観察中。 |
補遺01: SCP-XXX-JPは製造時はオリジナルの自由の女神と全く同一に造られたのにもかかわらず現在では以下の点で若干のデザインの差異が見られます。
・女神の被っている冠の突起がオリジナルでは7つだが8つになっている。
・足元で踏みつけられている足枷がオリジナルでは1つしかないが2つになっている。
・眼球部分にオリジナルにはない瞳の彫刻がなされている。視線は西方向の遠方を向いている。
・服のシワの彫刻がわずかだが全体的にずり下がっている。
・露出している肌部分に素材の違う金属で血管が表現されている。表層ではなく肌に埋没している。
・手にしている本に施された文字はオリジナルはアルファベットで『1776年7月4日』だが『7727 10 2』となっている。
最大の相違点は台座に設置された銘板の文章です。台座の部分は製造時からオリジナルと全く違うものでしたが、製造時に見られなかった銘板が現在は設置されています。使用されている言語は統一されておらず60%が広東語、20%が英語、10%がチベット語、残りは由来不明の文字です。
銘板に記された文章:
かの地より「世界を照らす自由の女神」は[判読不能]のグランドマスター[判読不能]による式典とともに設置された。自由を[判読不能]構成員ら8つの国々の代表および自由の国々の構成員らならびに名高い市民たちが参列し祝福しました。友人たる[判読不能]たちに捧げられる。
補遺02: 以前はSCP-XXX-JPと同様の事例が███████の██にある自由の女神像のレプリカに起きていましたが、現地の財団支部による収容違反により破壊されその62日後SCP-XXX-JPの最初の事例が報告されました。このことを踏まえ要注意団体などによる破壊は絶対に阻止せねばなりません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Anomalous Euclid Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは摂氏5000度まで対応できる耐熱性の金庫内に収容されます。
説明: SCP-XXX-JPは1930年代初頭に製造されたと推定されるMizuno社製の硬式球です。
SCP-XXX-JPは18.4m(誤差±1m以内)間でキャッチボールを行った場合、どんな投げ方をしても時速160kmを記録するAnomalousアイテムとして収容されていました。収容から14年後の定期点検において2回連続して受け手がボールを取りこぼしたことによりさらなる異常性が発覚しました。このときSCP-XXX-JPは手で触ってわかるほどの温度の上昇を示していました。その後の実験により1935/06/24にアメリカの████にて行われた試合と同様の動作を行うことにより、SCP-XXX-JPは摂氏20度ずつ温度の上昇を示すことがわかりました。
再現実験001の結果:当該の試合に関する詳細な記録は残っておらず、当時まだ生存していた関係者の証言により試合の再現が行われました。選手はすべてDクラス職員を当てました。
当該イニング | 状況 | オブジェクトの温度 |
---|---|---|
1回表 | 2者3振のちショートが捕球し試合終了。耐熱性の手袋の交換。 | 摂氏240度 |
2回表 | 2ヒット1塁3塁ののちセカンドが捕球し試合終了。さらに高性能の耐熱性の手袋に交換。 | 摂氏680度 |
4回裏 | 1者3振のち1ヒット。次の打者は3振になり試合終了。オブジェクトが発光しはじめる。 | 摂氏1820度 |
7回裏 | 3者3振。高熱のため選手に耐熱スーツを着用させる。 | 摂氏3600度 |
9回表 | 2者3振のち2塁手が捕球1塁送球で試合終了。 | 摂氏5800度 |
9回開始時点でSCP-XXX-JPはすでに人間が取り扱えるような温度ではなく、機械による代替も行いましたが人間が試合を行わない限り温度の変化は見られませんでした。8回以降の試合は選手が咄嗟にボールを避ける、耐熱スーツの視認性の悪さにより投球や捕球を失敗する、地面に落として発火を招くなどの原因で再現には非常に困難をともないました。また9回裏の途中から関係者の証言どおりの試合を行っても変化を示さなくなりました。
再現実験005の結果:関係者の証言: 当時2塁手として試合に参加していた90歳の男性です。
[編集済](彼のチームの投手の名前)はくやしそうでした。それしか覚えていません。彼は最後までひとりで投球を続けていました。その疲労のせいでしょう。9回裏ホームランかヒットか、とにかくそれで試合に負けてくやしそうでした。私もくやしかったのを覚えています。それでも彼は私たちをねぎらいました。
他の関係者の証言などからも得られた試合結果とは異なる試合を意図的に行った結果SCP-XXX-JPに変化が見られました。
実際の試合結果: | 9回裏 | 2アウト満塁のち逆転ホームランにて試合終了 | 摂氏6000度(変化なし) |
---|---|---|---|
変化のあった試合結果: | 9回裏 | 2アウト満塁のち打者3振にて試合終了。 | 摂氏20度(室温です) |
備考: 4人目の打者のミスにより3振になることは何度かありましたが、その状況下で審判役の職員が試しに『ストライク!バッターアウト!ゲームセット!』と叫んだところSCP-XXX-JPの温度が室温程度に戻り異常性を示さなくなりました。またその試合において職員以外の誰かが歩いて立ち去る足音が聞こえたという証言がありますが詳細は不明です。
補遺: 再現実験005以降SCP-XXX-JPの性質は変化し、どのように投げても瞬時に時速160kmに達し摂氏6000度の火の玉になって飛んでいくというオブジェクトになりました。また試合の再現を行っても温度に変化は見られなくなりました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト8181の収容ロッカーに収容されます。実験などによる持ち出しはLevel3以上の研究員の許可を得てください。
説明: SCP-XXX-JPは幅52cm高さ86cmのプラスチック製のゴミ箱です。正面下部に"悲しみよ消え去れ"とその下段に"Goodbye My Only friend"と印字されています。
SCP-XXX-JPは活性時にフタを開くとSCP-XXX-JP-1と呼ばれる小型の生物を放ちます。SCP-XXX-JP-1は約2cmほどのプランクトンのような姿をした存在で、一度に約200~300体が現出し未知の原理により空中に漂います。SCP-XXX-JP-1はわずかに発光しながら漂い、SCP-XXX-JPから100m以上離れることはありません。活性終了時または休眠状態へ移行するときにSCP-XXX-JP内部へ戻りフタが閉じます。SCP-XXX-JP-1が出現しているあいだ、SCP-XXX-JPからはゼリー状の花弁のようなものが複数伸びているのが確認できます。
SCP-XXX-JP-1に人間が触れるとSCP-XXX-JP-1はシャボン玉のように弾け消失します。物理的痕跡は残りません。その際SCP-XXX-JP-1に触れた人間は非常に短いささやき声のようなものを耳にします。その声は通常において対象に対し精神的向上を示唆する声で、実験の被験者によれば前向きになるような言葉だとされます。精神的に不調な対象においてそれが顕著となり、精神的に健全な対象の場合あまり効果を感じられません。しかし過度のSCP-XXX-JP-1の消費は精神的悪影響があると考えられます。SCP-XXX-JP-1が全て消費されるか、24時間以上誰もSCP-XXX-JP-1に接触しなかった場合SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPへ戻ります。全て消費した場合は不活性状態となり約1ヶ月から2ヶ月間活性状態に戻りません。
SCP-XXX-JPはの20██年の秋ごろリサイクルショップにおいて不思議なゴミ箱があるとの噂が広がり財団が察知しました。すぐさまエージェントが確保に向かい関係者にはクラスAの記憶処置が施されました。製造元を捜索する試みは成功していません。
曝露実験001: 20██/11/12 Dクラス職員を動員しSCP-XXX-JP-1への曝露実験を行いました。被験者 | 精神状態 | 結果 | 備考 |
---|---|---|---|
D001 26歳男性 | 良好 | 30体の標本と接触。被験者は始終笑顔で標本と触れ合いました。 | 特筆すべき点なし |
D003 27歳男性 | 若干の不調 | 30体の標本と接触。被験者は徐々に笑顔になり、精神状態が健全になりました。 | その効果は今もって持続中で被験者は再度の曝露を要求しています。 |
D004 22歳男性 | 不調 | 50体の標本と接触。同上。 | 同上。曝露への要求が多少強いように見受けられます。 |
D007 21歳女性 | 大きな不調 | 60体の標本と接触。被験者は徐々に笑顔になり、標本と会話する様子も見せました。 | 同上。曝露への要求がかなり強いようです。 |
D010 30歳男性 | 大きな不調 | 80体の標本と接触。被験者は徐々に笑顔になり、最終的に泣き出しました。 | 再度の曝露を要求していますが、それほど強い欲求には見えません。 |
D010は配属の経緯から非常に精神が不安定になっており、抑うつ症状を見せるようになっていましたが、曝露実験により精神状態が大きく改善しました。
T医師との会話ログ: 20██/11/12 16:44:12 曝露実験後の診察での会話
D010: あれはなんだったんですか。新しい治療法かなにかですか。とてもきれいでしたね。
T医師: SCP-XXX-JP-1に触れたとき何か声が聞こえたと思いますが、どんな声だったか聞かせてもらえますか。
D010: おかしなことを聞きますね。そうですね。彼らは私を励ましていました。元気を出して、とか、笑ってとか、私のことを好きだとささやく声もありました。男の声に女の声に、子供にオトナにさまざまでした。ご存知のはずでは?
T医師: ええ、どんな声が聞こえるのか私たちにもわかりません。
D010: だとすれば、やはりあれは私の中にある声だったのでしょうか。私がいままで迷惑をかけてきた、この世ならざる人間たちの声だったのでしょうか。今まで見てきた悪夢の中の彼らは私を責め続け、殺してやるとか早く死ねとか言っていました。
T医師: それらの声に似ていましたか?
D010: そうかもしれませんし、そうではないかもしれません。私はもう許されることはないと思っていました。しかし彼らは許すと言ってくれました。
T医師: そのような声が聞かれたのは初めてですね。
D010: ならばあれは天使だったのでしょうか。
その後の調査で、1人の人間がSCP-XXX-JP-1を消費し続けるとSCP-XXX-JP-1の発する言葉が大きく変化することがわかりました。
曝露実験002: 20██/12/24 Dクラス職員を動員しSCP-XXX-JP-1への暴露実験を行いました。消費量 | 聞こえた声 | 備考 |
---|---|---|
1~10体 | 「元気を出して」「笑って笑って」「あなたが好き」「あなたはきれい」「明日もいい日だよ」 | どれも非常に漠然とした言葉でした |
10~50体 | 「その傷はいつか治るよ」「目が悪くても大丈夫だよ」「まだ解雇されないよ」 | 多少個人情報に踏み込んだ言葉に変化しはじめました |
50~100体 | 「14日後に解雇されるけど大丈夫だよ」「SCP-███-JPの痛みは15分くらいしか続かないよ」 | 機密情報を含む言葉に変化しました。 |
100体~200体 | 「おいでおいで」「寒くない痛くないみんないるよ」[データ削除済] | この段階で被験者は外部からの呼びかけに反応しなくなります。 |
1人の人間が断続的にでもSCP-XXX-JP-1を200体以上消費した場合、対象者はSCP-XXX-JPに向かって歩いていきその中へ体を押し込もうとします。そして開口部から生えている花弁のようなものが対象者の体を包み、脆弱そうな見た目からは想像もできないような大きな力で無理やり体を変形させ調整したあと対象者を飲み込みます。医学的に死に至るような変形をするのにもかかわらず、変形の間も被験者は一切抵抗するそぶりを見せません。その後、フタが閉じて不活性状態になります。この場合次の活性化までの期間が短くなる傾向があります。
補遺001: 被験者が声のひとつに聞き覚えがあるとの証言から比較調査したところ、活性化までの期間と施設付近での失踪者の数との比例が指摘されています。Euclidへの分類は審議中です。
補遺002: 研究員の一人がSCP-XXX-JP-1に特定の発光パターンがあることに気づきました。モールス信号によく似たパターンでSCP-XXX-JP-1同士で会話をしているようです。以下は解析された会話のサンプルです。
「あたま。あたま。」「私は腕の上。」「私は肝臓が好き。」「おいしそう。この目」「あるけ。あるけ。あるけ。」
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは3mx3mx3mの標準的な低危険度オブジェクト用収容室に収容します。収容室の中央に台座を用意しその上面に金属製の2本の止め具で固定します。現在のところ活性状態を防ぐことはできないため決して密閉しないでください。収容室も施設の上部に造るようにし、天井に金網と鉄格子で造った0.3mx0.3mの天窓を用意します。天窓と空の間に障害物がないようにしてください。各SCP-XXX-JP-1オブジェクトは協力的であるうちは特別な収容手順を必要としません。ほとんどのSCP-XXX-JP-1は寺院内の台座から動かないためその周囲に監視カメラを設置し遠隔で監視と記録を行ってください。財団との協定を破りSCP-XXX-JP-1が寺院内から出た場合、即座に機動部隊を派遣しすべてのSCP-XXX-JP-1を財団の施設に収容します。各SCP-XXX-JP-1オブジェクトとの接触はLevel4以上のクリアランスを持った職員の3名以上の許可が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは幅約1m長さ約4.5mの杉綾織で織られたリネンの古い布です。驚くべきことに全体が1本の糸で織られています。
SCP-XXX-JPは不定期に端からひとりでにほつれ始め1本の糸に戻ろうとします。これを活性状態とします。その様は蛇が動くようでもあり、見えない力に引っ張られているようでもあります。ほつれた糸は秒速2mほどで真上に伸びていきます。建物内で活性状態になった場合は最短距離で空へ向かえる隙間を見つけ、そこを縫うように進み建物の外へ出ます。この動きは12時間ほど続き、布がすべて解け垂直に自立した完全な1本の糸になると停止します。また人間の手でつかむことでも一時的に停止します。この状態を待機状態とします。その状態で24時間が経過したのち、また12時間かけて一枚の布に戻ります。これを不活性状態とします。戻ってきたSCP-XXX-JPの端には時折未知の液体が付着していることがあります。その物質は地球上では存在し得ないものです。
待機状態は目測でもあきらかに元の布に使われていた糸の長さよりも長く上空へ伸びており、活性状態の間にローラーを挟んでみたところ約100km伸びていることがわかりました。SCP-XXX-JPは物理的な損傷を一切受け付けず、また炎などでも燃えません。しかし破損させることができないこと以外は普通の糸で、待機状態の場合でも頂点は固定されていますが動かすこともできます。
19██/01/07 ███の███にある████教の少数一派である██████教の寺院にて大規模な爆発があったと近隣住民の通報があり地元警察が寺院周辺を捜査したことにより発見されました。当初寺院に異常は見られず、また寺院の関係者が非常に非協力的なため捜査は難航しました。その捜査の途中で警察から寺院内に異常な存在を発見したとの相談を受け、財団がSCP-XXX-JPを回収するにいたりました。回収までに12年を要しました。
██████教の指導者によればSCP-XXX-JPは"天国へ至る梯子"であり、伝って登っていけば天国へ行けるとされています。寺院内には一度"天国"まで行き戻ってきたとされる存在が4体存在しておりそれぞれSCP-XXX-JP-1-A001からA004と呼称します。人間の手で細い糸であるSCP-XXX-JPをつかんで100km登ることは途方もない困難が伴うことが予想され、実際挑戦したほとんどの人間が途中で落下し絶命したと関係者は語っています。関係者の語る"天国"まで登れる条件を得ていますが具体性は見られません。以下に証言をそのまま併記します。
以下は寺院内に存在するSCP-XXX-JP-1たちです。各オブジェクトは人間のように動き話しますが、A004を除き人間らしい感情は見て取れません。真の教えの道は一つにして細き道、我執雑念一切取り去り、天地の間の全てを受け入れ望み高くあらば、罪無き世界へ至れる。
SCP-XXX-JP-1-A001 | 自身を18██年ごろにいた修行者だと語ります。SCP-XXX-JP-1の中でもっとも外見が人間から離れており、おおむね人型でありますが黒い鉱石でできた植物の彫刻のようです。会話相手の心を読む能力があると思われます。寺院内の意思決定の中心であり、各SCP-XXX-JP-1オブジェクトの統率、登攀失敗者の処分の決定を行っています。 |
SCP-XXX-JP-1-A002 | 自身を18██年ごろにいた修行者だと語ります。全身が薄い青色の鉱石でできた彫刻か鎧のような外見です。植物と会話ができると語りますが真偽は不明です。 |
SCP-XXX-JP-1-A003 | 自身を19██年ごろにいた修行者だと語ります。全身が乳白色の鉱石でできた鎧のような外見です。SCP-XXX-JP-1の中で唯一攻撃的な能力を有してると思われ、A001の語りかけ以外に反応しません。能力の詳細は不明です。 |
SCP-XXX-JP-1-A004 | 自身を20██年ごろにいたアスリートだと語ります。全身が白い鉱石でできた鎧のような外見ですが、全体的に現代の軍用装備に似た意匠が見られます。SCP-XXX-JP-1の中で最も話しやすく一番現代人との意思疎通に興味を示しています。寺院からは彼を通して各SCP-XXX-JP-1オブジェクトと会話することを推奨されています。外見以外に目立った特異性は見られません。 |
SCP-XXX-JP-1-A004の記録はかなりはっきりしており、本人の語るところによれば███の███で生まれた███社社員の█████であるとされます。実際にその人物がSCP-XXX-JP-1-A004の証言する日付から会社に出社しておらず、また家族もその人物は現在当該の寺院で暮らしていると証言しました。20██/03/01に登攀に成功し今の姿になったと語ります。SCP-XXX-JP-1-A004は常に不自然な高揚状態にあり、会話には困難をともないます。
事情聴取記録001-069: 20██/06/15 4:56:10
研究員I: それではあの糸を登ったときのことをお聞かせもらえますか?
SCP-XXX-JP-1-A004: あれそれSONYの?いいレコーダーつかってんね。iPhoneとかで録音しないの?あれかっこいいよね。オレの今の姿もかっこよくない?Xメンに出てそうじゃん?
研究員I: あの…糸を登ったときの話を聞かせてください。あとレポートで困るのであまり商品名など出さないようにお願いします。
SCP-XXX-JP-1-A004: そんな固いこと言わないでさ。じゃんじゃん書いてよ。あー、糸登ったときね。へへへ。ごめんねこの姿になってからずっとテンション高くて。ああ、いい気分なんだよ。寒くもないし熱くもないし、どこも痛くない!脳みその中も澄み渡ってなにもかも見えるようだ!TOEICで満点出せそう!
研究員I: あの…糸を登ったときの話を…
SCP-XXX-JP-1-A004: あの糸ね!あの話は子供のころからじいさんに聞いててさ、んでオレ会社の陸上部ですげー体鍛えてたわけ!自信があったからこのお寺に頼んで登らしてもらったの。登りきったらあそこにいるヒトたち(A002とA003を指しながら)みたいになれるっていうんでさ。でも最初めっちゃ断られたの!そんなある日ね、ある日。いつもみたいに頼みに来たらたまたま糸が伸びててさ、もうこれは無理やり登るしかないなって思って、突然しがみついて登ったわけ。大変だったねー。よくスーさん(A003の通称名)が撃ち落さなかったもんだ。
研究員I: それは経緯ですよね?糸を登ってる最中どういう状態でした?頂上にはなにがありました?
SCP-XXX-JP-1-A004: あんたらも登るつもり?財団って言ってたっけ?悪いことは言わないからやめといたほうがいいよ。なんでもかんでもあんたらが制御できるなんて思わないこった。
研究員I: しかし原理を解明し、いろんな脅威を取り去らなければなりません。教えてもらえませんか。頂上でなにがあったのか。
SCP-XXX-JP-1-A004: それよりPSP持ってない?ここずっとヒマでさー。
要求された物品を提供したところSCP-XXX-JP-1-A001に口止めされていることを供述しました。寺院の秘密とされている部分の証言はあまり得られていません。SCP-XXX-JP-1-A003の能力についても話題をそらします。
登高実験報告: このオブジェクトは人間以外の登高に反応せず、糸を巻きつけた昇降機で頂上まで登高が可能です。ただしその場合目立った異常はなく通常通り上空100kmほどに到達します。糸の頂点には何もありませんでした。高所の低温低酸素に対応したスーツと登山用具を装備したDクラス職員を用いて登高を行いました。
登高実験002の記録映像より: 20██/07/23 05:10:30 登高開始
当時はまだSCP-XXX-JPは寺院内に設置されており実験協力という形をとっています。被験者にはカメラと通信装置を持たせ、地上の研究員と連絡を取り合い登高します。
100m時点 20██/07/23 05:45:24
XXX-D002: 先生。たしかまだ朝だったよね。研究員I: はい。
XXX-D002: 周りが薄暗いんだけど、やっぱりこの糸の効果なんでしょうか。
(被験者のカメラの映像では通常よりも空が暗く写って見えている。)
研究員I: わかりません。地上からは異常が見られません。登頂を続けてください。
500m時点 20██/07/23 07:50:40
XXX-D002: もう雲に届いたのかな。周りが霧がかってきました。見えますか?雲の奥が少し赤いようです。(カメラの映像でも霧が見え始め、雲の向こうに見える空が薄っすらと赤く光っている。)
研究員I: 映像ではそう見えますね。地上からは異常ありません。登頂を続けてください。
1000m時点 20██/07/23 10:32:13
研究員I: 高度計ではそろそろ1kmです。何か変化はありますか?XXX-D002: いや、特には…さすがにスーツ着てても寒くなってきた気はするけど…それより先生。
研究員I: なんでしょう?
XXX-D002: 登ってるのって私ひとりだけですよね?
研究員I: はい。
XXX-D002: そっか…ならきっと気のせいだと思います。
1600m時点 20██/07/23 13:36:11
XXX-D002: た、大変だ!応答願います!!研究員I: どうしました!?
XXX-D002: し、下から誰か登ってきてる!!誰なんだあれは!!
(カメラの映像でも下からゆっくりと登ってくる人影が確認できる。200m以上離れているように見える。)
研究員I: 落ち着いてください。地上からは確認できませんが、無人機を飛ばして確認させます。登頂を続けてください。
20██/07/23 13:43:29
無人機を飛ばして確認するが何も確認できなかった。また被験者のカメラと違い無人機のカメラでは異常が起きていない
2000m時点 20██/07/23 15:56:54
(空の色が緑や赤など不規則に移り変わり、見えるはずの地上は雲に隠れ、隙間から時折見える地上は荒野のように見える。)(被験者のカメラが下を向くと正体不明の人影はさらに近づいており、さらに人数が増えているように見える。)
XXX-D002: ああ…っ神様…っ!!なんだこれは!!ちくしょう!!ここはほんとに地球なのか!?空間移動ってやつかこれは!?
研究員I: わかりません。少なくとも無人機や地上の望遠鏡では登っているあなただけが確認できます。異常は見られません。
XXX-D002: あいつらは…あいつらはなんなんだ…いったいどこから…(荒い息遣い)
研究員I: あなたのカメラの映像ではだいぶ近づかれているように見えます。急いで登ってください。
XXX-D002: そんなこと言ったってどんだけ登ったと思ってんだよ!!
2300m時点 20██/07/23 17:51:34
XXX-D002: (被験者の悲鳴)研究員I: どうしました?
XXX-D002: もうダメだ!!助けてくれ!!追いつかれる!!
研究員I: ヘリコプターは近づけません。自力で登りきってください。
XXX-D002: そんな…!!そんな!!
研究員I: しかたない…昇降機を向かわせます。1時間ほどがんばってください。
2400m時点 20██/07/23 18:40:32
XXX-D002: (被験者の悲鳴)顔が…!!!ああああ!!!なにか、なにか言ってる!!!たすけて…研究員I: なんて言ってます?
XXX-D002: たすけて…!!た、たすけて…!!!(被験者の悲鳴)ああっ神様!!!助けてください…!!!
研究員I: もしもし?どうしました?もしもし?
(被験者のカメラが正体不明の人影を間近で捉える、カメラが激しく揺れているため良く見えないが黒い人型の物体が下から無数に登ってきている。人型の存在は焼け焦げた人間の肌のような質感をしており、目や口にあたる真っ暗なくぼみも見える。人影に足を掴まれ、被験者が糸から手を放したところで映像が切断される)
映像と通信の切断直後、被験者が糸から引き摺り下ろされるように手を放した姿を望遠鏡にて確認しましたが、その次の瞬間に被験者は消失しました。
補遺001: 登高実験002終了後SCP-XXX-JPは布に戻りましたが、次に活性状態になった時、糸の真上から人型の物体(SCP-XXX-JP-1-B032と呼称)が降ってきました。SCP-XXX-JP-1-B032の外見は皮膚が無数に切り裂かれ体内が見えるほどに筋繊維がめくられている人間のようでした。SCP-XXX-JP-1-B032は地面へ落下後、立ち上がり寺院内の人間を襲おうとしていたためSCP-XXX-JP-1-A003により終了されました。SCP-XXX-JP-1-A003が能力を行使している映像は残っていません。SCP-XXX-JP-1-B032の体組織の分析の結果登高実験002の被験者であることが発覚しました。
補遺001-B: SCP-XXX-JP-1-B032の出現直後、切断されていた登高実験002の通信機器が突如回復しました。SCP-XXX-JP-1-B032終了までの32分40秒間ノイズだけが送信されてきましたが、ノイズを除去し音量を調整したところ不明瞭ではありますが以下のような声が繰り返し聞こえました。
ころして…
SCP-XXX-JP-1-A001はこの件についても話題をそらしました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1A、SCP-XXX-JP-1B、SCP-XXX-JP-1Cはそれぞれ別室の低危険度オブジェクト用の収容室に収容します。収容室は常に遠隔カメラによって監視し、常時2人以上の職員がモニタの前にいる必要があります。SCP-XXX-JPは1架でも監視されていれば移動しないため、暫定的にSCP-XXX-JP-1Aを集中的に監視します。収容室は収容サイトの最も中央に配置します。収容違反が起こった場合、SCP-XXX-JPの周囲半径1km以内の全ての扉の開閉を行わないようにし、収容室の扉の開閉によりSCP-XXX-JPを収容室へ誘導します。その後、可動式の床もしくは床と壁の切断により、SCP-XXX-JPそれぞれを別室へ分断します。SCP-XXX-JP-2は担当研究員の要請がなければSCP-XXX-JPへ戻します。
説明: SCP-XXX-JPは、幅約80cm高さ185cmの木製の本棚です。3架1組でそれぞれSCP-XXX-JP-1A、SCP-XXX-JP-1B、SCP-XXX-JP-1Cとします。
SCP-XXX-JPは、扉を開けようとする人間の前に移動する異常な性質を持っています。その中でもより読書に興味を示す人間の前に現れる傾向にあります。移動は瞬間的に行われますが、1度の移動範囲は最大でも1km程度ということが判明しています。SCP-XXX-JPは、移動先に必ず閉じた状態の扉の前を選びます。その扉の前を囲むように並び、扉から出てきた人間を完全に閉じ込めます。SCP-XXX-JPに囲われたエリアに人間がいる状態で、扉を閉めるとSCP-XXX-JPが消失するまで、その扉を開くことはできません。SCP-XXX-JPを物理的に移動しようとする試みは、建造物自体を破壊すること以外、全て失敗しています。天井が十分に高い場合や、屋外だった場合、SCP-XXX-JPの上部から簡単に脱出できます。
SCP-XXX-JPが所蔵している本を1冊以上読み終え、本を棚に戻すと、SCP-XXX-JPはその人間が視線を外した瞬間に移動を行い視界から消えます。SCP-XXX-JPへ本を戻さなければ、複数の本を読むことも可能です。すべての本を読み終えた場合は、扉の開閉が可能になり、扉を出た瞬間にSCP-XXX-JPが移動します。
SCP-XXX-JPには常に隙間無く本が並んでいます。本の厚みにより200冊から300冊程度の本が所蔵されています。SCP-XXX-JPの所蔵する本(以下SCP-XXX-JP-2)は、移動の度に、その内容が変わります。マンガから技術的な専門書、写真集や百科事典など様々ですが、装丁の完成度に関わらず、本の内容は未完あるいは情報不足のまま執筆されています。すべての本の装丁は市販されている本と酷似していますが、奥付の欠落や、表紙と背表紙における出版社の未記入、裏表紙のISBNやその他類似した図書コードが無いなど、発行元を追跡できるデータは著者名以外一切ありません。表記されている著者名は全て実在する、あるいは過去に実在していた人物の名前ですが、その約90%が執筆活動などの出版に関わる仕事に従事しておらず、そのうちの約80%は出版物を創作したことすらありません。非常に稀ではありますが現時点で存命であり、商業において執筆活動を行っている著者の本もありました。その著者への聴取により、その本が未完成原稿を本の形にしたものであることが判明しています。また、出版など行ったことのないSCP-XXX-JP-2の著者であっても、趣味で書いていた未完成原稿が存在し、その原稿がSCP-XXX-JP-2の元になっていることも判明しました。SCP-XXX-JPがどのように未完成原稿を入手し、どのように製本をしているのかは不明です。SCP-XXX-JPから取り出されたSCP-XXX-JP-2も本体同様、視線を外すと瞬間的に移動し、SCP-XXX-JPへ戻ります。
以下は実験により取り出された著名な作家の名前が入ったSCP-XXX-JP-2の一部です。
原本と考えられる原稿 | 原本からの改稿部分 | 備考 |
---|---|---|
補作前の████ █████氏による「トゥーランドット」の楽譜および台本 | 原本は召使リューの自刃の場面で楽譜が終わっていますが、取り出された本には終盤までの楽譜が追加されていました。また台本のほうは、3つの謎のうち1つ目の答えが「絶望」と書き換えられており、終盤の「彼の名は」というところで楽譜も台本も終わっています。 | 改稿部分は過去いずれかの対象者によるものと思われます。████ █████氏の存命中にもSCP-XXX-JPが存在していたかは不明です。また追加された楽譜を作曲ソフトを使用し演奏しましたが、異常性は認められませんでした。 |
フランス料理の著名な料理人███ ██████氏の未公開のスペシャリテをまとめたレシピ本 | 後半の3品のレシピについて、調味料の量の変更と若干の食材の変更、また原本のレシピに続いて42のレシピが追加されていました。 | ███ ██████氏は存命中であり、原本の後半のレシピは、ごく少数の関係者以外には未だに公開されていないものです。念のため、実験により追加されたレシピを元に、Dクラス職員が調理と試食を行いましたが、異常性は認められませんでした。試食を行った職員は大変に美味だったと述べています。 |
████氏によるゲーテのファウストを題材にした漫画 | 原本の終盤は下書きのままでしたが、ペン入れが行われ、最後のセリフ「先生の側近に三人のおもしろい者たちをはべらせます」「誰なんだ」に続いて3コマだけ場面が追加されています。人物が描かれているようにも見えますが、氏の絵柄から激しく逸脱し、どこが目でどこが口なのかも判別できません。 | Dクラス職員を用いた実験によりこれ以降の続きも描かれましたが、ペン入れが成されていないためかSCP-XXX-JP-2に変移しませんでした。 |
これ以外にも著名な作家の名前が入ったSCP-XXX-JP-2が数冊存在すると思われます。それ以外のSCP-XXX-JP-2は、およそ素人が書いたと推察できるものであり、特記すべき点はありません。
Dクラス職員を用いた実験において、SCP-XXX-JPの本を読み始めると、読み始めた人間(以下対象者)はその続きを求めて次々に本を読んでいくことがわかっています。この欲求は非常に強力なもので、通信による制止でも、遠隔操作で電気ショックを与えても、対象者は本を棚に戻さず次々に本を取り出してしまいます。結果的に、実験に従事した職員のほとんどがSCP-XXX-JPからすべての本を取り出し、扉から退出しています。
SCP-XXX-JP-2を1冊以上読了した対象者は、SCP-XXX-JPから離れても、本を読みたいという強い欲求に襲われます。この欲求はSCP-XXX-JP-2の読了直後ほど強くはありませんが、永続的であるように見られます。個人差はありますがおおむね7日以上、本を読まなかった場合、対象者は執筆を始めます。その内容は、SCP-XXX-JP-2のうちの任意のどれかの続きと思われる内容で、対象者はこれを完結させることができないまま、執筆を続けます。執筆対象として選ばれるSCP-XXX-JP-2は、対象者の保有する知識や趣味、執筆に必要な道具により選ばれていると推測されます。Dクラス職員の場合、経歴や環境から小説の続きを執筆する傾向にあります。執筆された紙やノートは、記入が終了した時点で新たなSCP-XXX-JP-2となり、視線を受けていない状態になると瞬間的に移動し、SCP-XXX-JPへ追加されます。コピーやデジタルデータには、SCP-XXX-JP-2の特性は備わっていません。対象者の執筆に対する執着は時間が経つほどに増大していき、次第に生活に支障をきたすようになります。個人差はありますがおおむね20日ほどで飲料以外の食事を摂らなくなり、そこから10日ほどで飲料も摂取しなくなります。最終的には排泄も執筆をしたまま行うようになります。結果として重度の脱水症状や、電解質の代謝異常による循環器系の障害、または極度の栄養失調により死亡します。例外として、対象者の執筆したSCP-XXX-JP-2の続きが書かれ、SCP-XXX-JPに追加された場合にのみ、即座にSCP-XXX-JPの影響から解放されます。
補遺01: SCP-XXX-JPは19██/08/15、███の███にある雑居ビルの火災現場から回収されました。大規模な火災の中で、まったく無傷の本棚3架と、同じく無傷な大量の本、そしてその前に成人男性のものと思われる焼死体があるという異常な状況を見た消防隊隊員からの通報により財団が回収へ向かいました。野次馬や報道機関などにより偶発的に監視下にあったためか、SCP-XXX-JPは財団の回収まで移動を行いませんでした。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPを物理的に移動することはできないため、周囲を囲うように建造された収容サイトにて収容します。SCP-XXX-JPはその大きさから完全に壁で覆うことが困難なため、直下に150mから200mの偽装のオフィスビル4棟を建造し、屋上からSCP-XXX-JPへ届くよう電波塔を設置、電飾と並列させ偽装しています。
説明: SCP-XXX-JPは高さ251.7m、直径52.4mで停止している燃焼現象です。
SCP-XXX-JPの発光体からは熱エネルギーが移行せず、可視光のみが常に発生し続けています。物理的に接触することは可能ですが、移動させることもサンプルを採取することもできません。
発生と封じ込め: SCP-XXX-JPは20██/08/31 20:19 ███ ███にて行われた花火大会にて発生しました。発生から10分後、その様子を現場で見物していたエージェントから連絡があり、即座に財団が封じ込めに向かいました。当時の見物客は推定で1万人前後と見られ、SCP-XXX-JPはその視認性の高さから、封じ込めは困難を極めました。異変に気づいたイベント主催者が、発生後10分から15分の5分間、花火の打ち上げを中止していましたが、財団エージェントと地元警察の協力により説得し、発生から15分後、打ち上げが再開されました。花火の打ち上げは、通常、発生した煙が風に流されるのを待ってから打ち上げますが、その性質を利用し、煙と新たな花火によってSCP-XXX-JPが視認しにくくなるように打ち上げられました。
発生から30分後、██隊の協力を得て、入手可能な限りの発炎筒と、発煙装置を搭載した車両を借用。SCP-XXX-JPの直下にて煙幕を展開させました。同時に地元の消防隊からサーチライトを借用。SCP-XXX-JPへ向けて照射し、視認性を低下させました。この初期封じ込めは、エージェントの努力により、花火大会終了までに完了しました。翌日より、SCP-XXX-JPを撮影してしまった見物客に向けて、レーザー光線による試験的なイベントだったこと、マスメディアに向けては、花火の打ち上げ現場で火災が発生し、現在も延焼中であり消火作業が行われていると、各媒体を通じて擬似情報が流布されました。
初期収容まで: 発生の翌日から、SCP-XXX-JPの調査および収容サイトの建設が始まりました。煙幕を展開させ続けているため、どちらも作業を阻害され正確性に欠けました。ヘリコプターによるSCP-XXX-JPのサンプル採取は失敗し、目視やセンサーによる調査もほぼ行えなかったため、収容サイトの建造のみ進行することがその日のうちに決定されました。██隊の協力を得て、大型の輸送ヘリを借用。同時に██工業に要請し、送電用の鉄塔から即席の鉄塔を製造。高さ260mの4本の支線式鉄塔を現場に建造しました。鉄塔の間を遮光シートで全て覆い、仮設サイトが完成するまでに6日間を要しました。遮光シートが上面70%を覆った時点で、煙幕の発生は終了させました。
現在の収容まで: 発生から1ヶ月の間に、仮設サイトには、シートの内側に鉄板と不燃ボードの追加が行われました。さらに1ヶ月後には天井の追加も行われ、詳細な試験が行えるようになりました。建設当初こそ安定した収容手順でしたが、仮設サイト完成から2年の間に、高層の強風のため、シートと外壁の脱落が12件起こり、また仮設サイトに対する地元住民の不信が増大しているとの報告もあり、この形態でのこれ以上の収容は困難と判断。台風などの自然災害の懸念もされていたため、現在の、オフィスビルと電波塔による偽装へ移行されました。
調査報告: 同現象の再発防止のため、発生原因を探索していますが有力な手がかりは見つかっていません。エージェントの報告により、発生当日のネット上に疑わしい書き込み、および日記やブログが数件発見されています。以下は、その一部です。
████のサーバーにあるホームページの日記からの抜粋: 20██/08/31 (発生から8日後に発見)
止まれと念じたら、果たして止まるものだろうか。気のせいだったかもしれない。そのあと怪しいヒトたちがやってきてたみたい。(記事上部に煙幕に隠れたSCP-XXX-JPの写真)
█████の運営するブログからの抜粋: 20██/08/31 (発生から11日後に発見)
夏休みが終わってほしくない!そう願ってたらほんとに止まっちゃいました!って言っても花火だけですが…(発生直後のSCP-XXX-JPの写真が添付されている)
████の運営する掲示板での書き込み: 20██/08/31 (発生から20日後に発見)
花火って一瞬で消えるからきれいなんだよね。誰かが言ってた、時よ止まれ、お前は美しいって。ほんとに止まるとは思ってなかったけど。
アクセス情報から追跡し、警察の調査と偽り、書き込んだ本人たちに聴取を行いましたが、決定的な証拠は得られていません。現在も、当時の書き込みが断続的に発見されていますが、年月が経つにつれ追跡は困難になっています。
█████のサーバーにあるホームページにリンクされていた掲示板での書き込みの復元データの抜粋: 20██/08/31 (発生から614日後に発見)
歩道橋に2人の男?が立ってた。外国語(ドイツ語?)で楽しそうに話してた。ちょっとだけドイツ語習ってたから、ちょっとだけ聞き取れたんだけど、「光」とか「未来」とか。こんな暑い日なのに二人とも厚手のコート着ててあきらかにおかしかった。ずっと二人のこと見てたわけじゃないから、「行こう」って聞こえたあと、二人のほう見たら、消えてた。そんなにヒトもいなかったし、歩道橋の真ん中だし、絶対おかしい。幽霊かな。それにしてもドイツ語って。
同様の書き込みは、現在見つかっていません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは密閉容器に保存し、医療品用の施錠されたロッカーに収容されます。実験などによる持ち出しは、担当研究員もしくはLevel4以上のクリアランスを持った職員の許可を得てください。
説明: SCP-XXX-JPは、記憶処理の際に使用される薬剤と、同質の薬剤です。
SCP-XXX-JPは、記憶処理の薬剤を合成する際に、偶然生成されたオブジェクトです。記憶処理の薬剤は████から抽出される█████を、有機分子触媒による██████反応により██████へ変換することで得られますが、現在の成分では、1gで20時間~30時間のほぼ全ての記憶を消去するに留まっています。これに改良を加え、長期間の記憶から、一部の情報を削除する薬剤を生成するため、様々な触媒を試していたところ、██研究員が持ち込んだ詳細不明の触媒によりSCP-XXX-JPが生成されました。この触媒は薬剤の生成過程において不活性状態になり、現在のところ同様の物質は発見されていません。
SCP-XXX-JPを投与された人間からは、1gにつき、1つの情報が削除されます。削除される情報は、深層意識に達する概念なども含まれ、どの情報を削除するのか誘導することもできず、また法則性も認められません。確認作業が非常に長時間に及ぶため、十分な実験記録が取れていません。
Dクラス職員を用いた投与実験:識別番号 | 削除された情報 | 予後 |
---|---|---|
T-XXX-D001 | 数学における『0』の概念 | 0の乗算はもちろんのこと、1-1も計算できなくなりました。1-1に対しては、『なくなるだけだろ』などと供述しています。 |
T-XXX-D002 | 太陽の存在 | 太陽以外の周辺情報から、被験者は上空にある光源に対し、「巨大な照明器具をつけた人工衛星」と結論付けました。 |
T-XXX-D003 | 色の概念 | 色覚異常(1色覚)とは異なり、青や赤といった色を全て見分けることができるのにもかかわらず、空の色の変化などに反応できません。 |
T-XXX-D005 | インターネットの存在 | 被験者は学習し直すことができましたが、処置前と比べ、感覚的には身についていない様子です。 |
T-XXX-D006 | マクドナルドの存在 | 実験的に学習し直させず、当該店舗の商品を食べさせたところ、「とてもなつかしく、おいしい」などと供述しました。 |
補遺01: SCP-XXX-JPの生成当初、この薬剤を実験の成果物とするか、異常オブジェクトとするかの議論になりました。触媒に使われた試材は、財団施設の保管庫にあったものですが、19██年11月以前の保管記録が存在せず、由来不明、詳細不明として、生成された薬剤はSCP-XXX-JPに指定されました。
補遺02: 効用期間と範囲について疑問が持たれています。長期記憶の処置に、実験的に用いようとする職員は、投与実験記録-004を参照してください。
Dクラス職員を用いた投与実験記録-004: T-XXX-D004への投与の結果、『母親の存在』が削除されました。
聴取記録D004-002からの抜粋: 20██/02/02 09:30:05
研究員T: これが誰だかわかりますか?
[研究員TがT-XXX-D004の母親の写真を見せる]T-XXX-D004: 誰だ、この女。けっこう年だな。
研究員T: では、これが誰だかわかりますか?
[研究員TがT-XXX-D004の父親の写真を見せる]T-XXX-D004: ああ、オレの親父だよ。5年前の免許の写真だな。もう死んじまったが。
研究員T: あなたの母親が誰だか、教えてもらえますか?
T-XXX-D004: 母親?ははおやってなんだ?
研究員T: あなたを生んで、育てた女性です。
T-XXX-D004: 女が人間を産むのか・・・?
聴取記録D004-004からの抜粋: 20██/02/10 09:30:13
研究員T: あなたがどうやって育ってきたのか聞かせてもらえますか。
T-XXX-D004: あんまり幸せな家庭じゃなかったかもな、でも普通に学校行って、それも普通じゃないか、気に入らないやつはボコボコにして、せんせーから目をつけられてた。小学校も中学校もそんな感じだったかな。高校はほとんど行かなかった。
研究員T: よく思い出してください。家に帰ったときに、誰かいませんでしたか?
T-XXX-D004: ん?高校までは弟がいたけど、帰るとだいたい誰もいなかったぜ。親父が帰ってくるのは夜だったしな。いつも酔っ払ってて、怒ってたな。
研究員T: それだけですか?夕食は誰が作っていましたか?
T-XXX-D004: 晩飯…そういや、晩飯があったな。弟と食ってた…でも、待てよ、親父が帰ってくるのは、ずっともっと後だったはず…自分で作ってたか、弟が作ってたのか?
研究員T: あなたは料理は作れるのですか?
T-XXX-D004: いや、とんでもねえ。目玉焼きだって丸焦げにするんだ。弟も一緒だ。でも、あの晩御飯はうまかったな…いつも… いつもうまかった。
注記: T-XXX-D004は██拘置所の死刑囚として収容されていたものを、財団が引き継いだ被験体だったため、T-XXX-D004の母親からの再三の面会要求を拘置所が却下していました。注目すべきは、被験体の死刑が執行されたと擬似情報を伝えたあとにも面会要求がなされていたことです。これは、引き渡した偽装の遺体に不備があったと考えられていますが、SCP-XXX-JPとの関連があるのかは詳細は不明です。 20██/05/10 当該の女性の死亡が、研究員に伝えられました。
聴取記録D004-009からの抜粋: 20██/05/10 10:15:30
研究員T: あなたの母親が死亡しました。
T-XXX-D004: ああ、そうか。母親って、オレを出産した女ってことでいいんだよな?
研究員T: はい。
T-XXX-D004: 父親が死んだときは、せいせいしたって思ったけど、これも、同じように思うべきなのか?
研究員T: あなたが思うように思ってください。一般的には悲しみます。
T-XXX-D004: そうか・・・わからないな。オレにとっちゃ、知らない女だし。
T-XXX-D004の母親の自宅から、長期保存のための発酵食品が発見されました。各感覚器官からの刺激にも記憶消去が強固なものであるかどうか、実験のため、T-XXX-D004に発見された発酵食品が与えられました。
聴取記録D004-010からの抜粋: 20██/05/11 09:32:33
[聴取室にてT-XXX-D004が発酵食品を食べ始める]
研究員T: どうですか?なにか思い出しましたか?
T-XXX-D004: 普通のキュウリのぬか漬けだな。まあ…普通だ。
[T-XXX-D004は発酵食品を食べ続ける]
研究員T: おいしいですか?
T-XXX-D004: 普通だっつってんだろ。なんの変哲も無い、普通の味だ。
[T-XXX-D004は発酵食品を食べ続ける]
研究員T: おいしいんじゃないですか?
T-XXX-D004: ん。うーん。まあ、まずくはないが…
[T-XXX-D004は発酵食品を食べ続ける]
研究員T: どうしました?
T-XXX-D004: オレの母親は死んだんだよな?
研究員T: はい。
T-XXX-D004: これを作ったのって…
研究員T: はい。
[T-XXX-D004の発酵食品を食べる手が止まる]
T-XXX-D004: 晩飯に…
研究員T: はい?
T-XXX-D004: 晩飯に、いつもこれが出てた…そうだ、カレーのときにも出てた。合わないって言っても、出してやがった。いつも、笑ってはぐらかされた…
研究員T: そうですか。母親のことは全て思い出しましたか?
T-XXX-D004: わからない…どうしていままで忘れてたんだ…みんな、こういうものなのか?忘れていくものなのか?
上記以外に3件の記憶の復元が報告されています。個人差はありますが、SCP-XXX-JPの効用は1年前後の間だけ有効だと考えられています。普遍的な概念や情報の場合、周辺情報から記憶が復元されるまでの時間が縮まる傾向にあります。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、発生頻度が低く、発生時間も短いうえに発生場所が海洋上のため、目撃例が少ないことと、その性質上、収容が困難であるため、SCP-XXX-JP自体の収容は行われません。目撃者を発見した場合、クラスAの記憶処置を施し、通常の航行が問題なく行われたというカバーストーリーを付与します。万が一、SCP-XXX-JPにより再現された船との、衝突事故が起きた場合、クラスAの記憶処置を施し、放棄された貨物船との衝突事故というカバーストーリーを付与します。
将来予想される、当該現象による大規模爆発に備えるため、当該の港の予想時点を財団傘下の企業に買い取らせ、倉庫に偽装した収容施設を建造します。収容施設の壁は、厚さ3m以上のコンクリートと、緩衝材の土砂で構成されます。床は、当該現象で発生する船が浮かべるだけの海水を残し、壁と同様の造成をします。天井には、10,000トンの土砂と、同量の水を設置し、上方へ向かう爆発エネルギーを運動エネルギーとして消費させ、拡散するエネルギーを最小限にします。
当該現象が発生するまでに、当該の港周辺の住宅街を可能な限り財団傘下の企業に買い取らせ、埋め立て用の土砂の一時保管場所と称して防護壁を造成します。当該現象が発生した場合、即座に現地の警察消防に緊急連絡をし、周辺住民を避難させます。
説明: SCP-XXX-JPは、1912年4月10日にタイタニックの1等船室に乗船していた████(以降SCP-XXX-JP-1と呼称)を中心とした異常現象です。
SCP-XXX-JP-1は、当該客船の沈没事故により、既に死亡しているため詳細は不明ですが、何らかの現実改変能力を有していたと見られます。
当該客船の沈没事故後、5年ほどのあいだ、事故現場にて当該客船の沈没する姿が、往来する船の乗組員により目撃されていました。当該客船の姿が現れる時間に法則性は見られず、日中に目撃された例もあります。当該客船の出現する時間は数分から数十分ほどですが、接触している海面が影響を受けている様子が目撃され、物理的影響力があったと推測されます。この時期、財団は当該の異常現象を把握しておらず、現象の大部分は詳細不明です。
当該客船の沈没事故後、5年以降、異常現象がわずかですが移動していることが、各種の聴取記録から推測されています。再現される船も、当該客船から、遺体の回収にあたった船、現象の発生している場所をかつて往来していた船と変化しはじめました。再現される船に規則性は見られず、異常現象の発生場所を、通過したことのある船が無作為に選ばれていると考えられます。再現された船が稼働中だった場合、エンジン音や汽笛なども聞き取ることができます。この、再現される船の存在する時間軸を再現時間軸とします。再現時間軸は、現行の時間軸よりも、20から25分の1程度の速度で時間か経過していると見られます。沈没事故から100年経過した場合、再現される船は、沈没事故から4年から5年経過した時代のものになります。
異常現象は、SCP-XXX-JP-1の遺体が通ったと思われるルートを、1年間で10kmずつ移動しています。このままの速度が維持された場合、沈没事故から100年後に、SCP-XXX-JP-1の遺体が埋葬されている英連邦王国カナダのノバスコシア州ハリファクスに到達します。
SCP-XXX-JPの引き起こす異常現象が、ハリファクス到達後も維持された場合、当該地域に破滅的な被害がもたらされると考えられるため、収容施設の建造が行われています。
現在のところ、一時的現象と見られるため、Keterへの分類申請は予定されていません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 普通紙に印刷されたSCP-XXX-JPの報告書を、低危険度オブジェクト用の収容ロッカーに収容することで、SCP-XXX-JP自体の収容とします。SCP-XXX-JPに言及した文章全てが、SCP-XXX-JPの異常性を拡散させる媒体となるため、収容された媒体以外の全ての文章は、焼却または消去されます。収容施設外でSCP-XXX-JPに言及した文章が発見された場合、媒体の回収および、関係者への記憶処置が施されます。
説明: SCP-XXX-JPは、文章中に認識災害をもたらす存在です。
SCP-XXX-JPの影響に曝された文章は、紙や電子機材などの媒体によらず、文章の一部にハイライトが施されます。ハイライトは、文章中の単語から無作為に選出され、続けて読むことで1つから2つの単語、場合によっては短い文章を作り出します。ハイライトの施される箇所は、閲覧者によって違いがあり、複数の人間に見られた場合、異常性を発揮しません。
作り出される単語は、大抵閲覧者にとって都合の悪い事象、もしくは嫌悪感を示すようなものです。また、SCP-XXX-JPは作り出した単語に関する事象を、実際に引き起こす力を有しています。その力の由来は不明ですが、主に人間の認識や生物学的変化をもたらすもので、小規模な現実改変を伴うこともあります。SCP-XXX-JPの影響力は、記録媒体に関わらず当該の文章を複製することで、増大していきます。
複写実験01: Dクラス職員を用いて、普通紙に印刷された報告書を複写しました。1回目の複写では、閲覧者の頭髪の激減をもたらし、2回目では大腸に悪性腫瘍を作り出しました、3回目の複写にて、閲覧者は心不全を発症し、死亡しました。
説明: SCP-XXX-JPは、文章中に認識災害をもたらす存在です。
SCP-XXX-JPの影響に曝された文章は、紙や電子機材などの媒体によらず、文章の一部にハイライトが施されます。ハイライトは、文章中の単語から無作為に選出され、続けて読むことで1つから2つの単語、場合によっては短い文章を作り出します。ハイライトの施される箇所は、閲覧者によって違いがあり、複数の人間に見られた場合、異常性を発揮しません。
作り出される単語は、大抵閲覧者にとって都合の悪い事象、もしくは嫌悪感を示すようなものです。また、SCP-XXX-JPは作り出した単語に関する事象を、実際に引き起こす力を有しています。その力の由来は不明ですが、主に人間の認識や生物学的変化をもたらすもので、小規模な現実改変を伴うこともあります。SCP-XXX-JPの影響力は、記録媒体に関わらず当該の文章を複製することで、増大していきます。
説明: SCP-XXX-JPは、文章中に認識災害をもたらす存在です。
SCP-XXX-JPの影響に曝された文章は、紙や電子機材などの媒体によらず、文章の一部にハイライトが施されます。ハイライトは、文章中の単語から無作為に選出され、続けて読むことで1つから2つの単語、場合によっては短い文章を作り出します。ハイライトの施される箇所は、閲覧者によって違いがあり、複数の人間に見られた場合、異常性を発揮しません。
作り出される単語は、大抵閲覧者にとって都合の悪い事象、もしくは嫌悪感を示すようなものです。また、SCP-XXX-JPは作り出した単語に関する事象を、実際に引き起こす力を有しています。その力の由来は不明ですが、主に人間の認識や生物学的変化をもたらすもので、小規模な現実改変を伴うこともあります。SCP-XXX-JPの影響力は、記録媒体に関わらず当該の文章を複製することで、増大していきます。
説明: SCP-XXX-JPは、文章中に認識災害をもたらす存在です。
SCP-XXX-JPの影響に曝された文章は、紙や電子機材などの媒体によらず、文章の一部にハイライトが施されます。ハイライトは、文章中の単語から無作為に選出され、続けて読むことで1つから2つの単語、場合によっては短い文章を作り出します。ハイライトの施される箇所は、閲覧者によって違いがあり、複数の人間に見られた場合、異常性を発揮しません。
作り出される単語は、大抵閲覧者にとって都合の悪い事象、もしくは嫌悪感を示すようなものです。また、SCP-XXX-JPは作り出した単語に関する事象を、実際に引き起こす力を有しています。その力の由来は不明ですが、主に人間の認識や生物学的変化をもたらすもので、小規模な現実改変を伴うこともあります。SCP-XXX-JPの影響力は、記録媒体に関わらず当該の文章を複製することで、増大していきます。
補遺02: SCP-XXX-JPは、媒体となる文章が長いほど、複雑で大規模な現実改変を引き起こすと考えられています。
(注釈:Nanimono Demonaiさんの、消える██████をお借りしています。)
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト8181の収容ロッカーに収容されます。実験などによる持ち出しはLevel3以上の研究員の許可を得てください。
説明: SCP-XXX-JPは、3cmx4cmの無地のコート紙です。1辺に切り離されたミシン目が見られます。
SCP-XXX-JPは、物理的にはなんの異常性もなく、何も印刷されていません。表面処理の施されていない裏面には、H████ H██████氏のサインと思しき手書きの文字が小さく書き込まれています。この紙を、知的生命体が手にしたとき第1の異常性が発現します。知的生命体と接触した瞬間、紙の裏側からインクが滲み出るように、SCP-XXX-JPの表面に文字列が浮かび上がります。書式、書体や文字数、装飾など様々ですが、浮かび上がる文字は映画のタイトルと、その他の関連情報と思われます。鑑賞料金、上映館名、場合によっては上映日時や座席番号が記載されることもあります。
浮かび上がる映画のタイトルは、各種の心理学的な試験から、対象者の思考や精神を構成する要素に、最も近い作品が選ばれています。おおむね対象者が見たことのある映画ですが、映画を見たことのない対象者、またはふさわしい映画を見たことのない対象者の場合、存在しない映画のタイトルが新たに生成されます。この状態のSCP-XXX-JPを、活性状態とし、無地の状態を不活性状態とします。
SCP-XXX-JPの第2の異常性は、SCP-XXX-JPから半径20m以内に稼動可能な状態の映写機があった場合、すでに設置されているフィルムの種類、またはフィルムの有無に関わらず、SCP-XXX-JPに浮かび上がったタイトルの映画を映写させる能力です。SCP-XXX-JPが不活性状態だった場合、この能力は発現しません。一度上映が終了すると、SCP-XXX-JPから文字が消え、不活性状態になります。
既存のタイトルでない映画だった場合、およそタイトルから推測できる映像が作り出され、映写されます。その様な映像の場合、不鮮明かつ演出に工夫のない映像、音楽が無い場合がほとんどで、上映時間も数分から数十分と短くなる傾向にあります。これは、対象者の記憶やイメージから、映像が作り出されているためだと考えられています。また、既存の映画だった場合でも、結末の変更、場合によっては全編に渡る改変が見られることがあります。
接触実験: Dクラス職員、および研究員を用いて接触および上映を行った実験です。
実験記録XXX - MT0001
対象: Dクラス職員 XXX-D001 過去3件の殺人強姦の犯罪歴がある。
浮かび上がったタイトル: 『時計仕掛けのオレンジ』(既存・1971年に公開)
映写された映像: ほぼ元の映画通りだが、暴力描写において元の映画には存在しない具体的な箇所が追加されている。追加された場面の映像は、背景がほとんどぼやけており、暴力を振るう主人公の顔と手以外もぼやけ、動きについていけないようなブレを見せる。被害者の悲鳴がひずんでおり、また演じた俳優の声質とは大きく異なる。殴られた瞬間に、不自然な効果音が遅れて聞こえてくる。
分析: この映画から対象者は暴力性のみを感じ取ったと考えられる。
実験記録XXX - MT0002
対象: Dクラス職員 XXX-D002 過去1件の大量殺人の犯罪歴がある。
浮かび上がったタイトル: 『血だまりと[編集済]』(存在しない映画)
映写された映像: 対象者が行った殺人の場面を第3者視点から撮影したもの。背景がぼやけ、色もほとんど判別できない映像だが、刺殺されていく被害者の顔、および血液は非常に鮮明。対象者と思われる主人公は、実在する俳優████に置き換わっている。実際の記録とは違い、現場となった住宅街の住人のほとんどを殺害している。また、殺人の前後に身元不明の女性と、会話や密接な関係を結ぶ場面が差し込まれるが、女性の顔は不鮮明で、言動も不自然でした。上映時間32分。
分析: 対象者の願望を形にしたものと思われる。この映像をみた研究員2名が精神的疲労および、暴力性の上昇を訴えたが、どちらも3日以内に正常に戻った。
実験記録XXX - MT0005
対象: 下位研究員I
浮かび上がったタイトル: 『彼女と彼女の家』(存在しない映画)
映写された映像: 研究員I目線で、女優の████と会話や密接な関係を結ぶ映像が続く。上映時間16分。
分析: 正常な人間が、およそ正常に抱いている願望がそのまま形となった映像だと考えられます。
実験記録XXX - MT0006
対象: 上位研究員T
浮かび上がったタイトル: 『ニューシネマパラダイス』(既存・1988年に公開)
映写された映像: ほぼ元の映画通りだが、結末に上映される映像が差し替えられている。異常性の無くなった、SCP-███、SCP-███-JP、SCP-███-JP、SCP-████-JPの映像が、それぞれ数秒づつ映されている。
分析: 職員の精神分析ができるという意味では有用かもしれません。
補遺01: SCP-XXX-JPを、知性を持ったオブジェクトに接触させ、その精神面を探る試験が予定されています。その場合、映画の視聴はDクラス職員によって行われます。
――ちょっと降りてきてもらえる?
そう、そこに座って。ちゃんと顔出して。
私は、いままでも、これからもあなたを認めるつもりはありません。
本当なら、今すぐにでも、この家から出て行ってほしいくらいです。
この世に、不思議なんてありません。
今はわからないことでも、いつか科学が証明してくれるからです。
だから、奇跡なんてものもありませんし、魔法もありません。
あの子がこの先、魔法や奇跡だなんてものに憧れたり、頼ったりしたら、あなたのせいです。
あの子をそんな、この世に存在しないものに頼ったりする子になってほしくありません。
あの子はまだ、いろんなことを知らなきゃいけないし、自分で乗り越えていかなきゃいけない。
だからまだ、ひとりじゃ生きていけない。
だからもし、私や夫が、死んだりしたら、親戚もいないし、誰にも頼れない。
だからね、あなたがあの子を守ってくれるなら、
私が死んだとき、まだあの子が大人になっていなくて、いろんなことを教えなくちゃいけないとき
あなたがそばにいてくれるなら、まだここにいてもいいわ。
そして、私たちは遠くへ行ったと、あの子に伝えて。
あの子がもっと、強くなるまで・・・
「愚かなメスザルめ。深き海とそびえる山を統べる偉大なる王に向かって、命令をしようというのか。
なぜ私がそのような不遜な命令を聞かねばならぬ。それなりの献上品があれば、話は別だがな。」
冷蔵庫にスイカがあるわ。
今日スーパーで売ってた中で一番大きなやつよ。
「善処しよう。」
アイリと半分こにしなさい。
SCP-120-JPは20██/08/19 ████の██████における大規模な土砂災害の最中に、、
SCP-120-JP-1が目撃され、その調査の過程で████(以降SCP-120-JP-2と呼称)という女性から回収されました。
SCP-XXX-JP-2は19██年の6月ごろに、近所の海岸でSCP-120-JPを拾ったと証言しています。
目撃者にはクラスAの記憶処置が施されました。
SCP-120-JP-2は、ごく一般的な人間の女性であるため特別な処置は必要ありませんが、
前述の災害により保護者が死亡したため、保護という名目で財団が収容しています。
追記:SCP-120-JP-1は、機動部隊による制圧に一度も成功していませんが、別の要因により、一度だけ無力化された可能性があります。
前述の土砂災害時、SCP-120-JP-1は数秒間だけ顕現し、すぐに消失していたという目撃証言を得ています。
SCP-120-JP-2からの要請によるビデオ通話記録-0003からの抜粋:
SCP-120-JP-2: ヤドカリさん。おとうさんと、おかあさんはどこへ行ったの?
SCP-120-JP: アイリ。彼らは今、深い海の底にある、私の城で働いてもらっている。
SCP-120-JP-2: えー。そうなんだ。お城でなにをしているの?
SCP-120-JP: お前の母は、城の料理長をしているぞ。お前の父は、海の郵便局員だ。
SCP-120-JP-2: いつ帰ってくるの?
SCP-120-JP: 城は遠い。あまりに遠い。しばらく帰ってくることはないだろう。
SCP-120-JP-2: えー。じゃあ、私から会いに行ってもいい?
SCP-120-JP: そうだな。いつか、お前も、私の城に呼ぶ日が、来るかもしれないな。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-2Aは、新たに迂回路を増設し指定区域を立入禁止にします。SCP-XXX-JP-2Bには噴水を含めた装飾的設備を建造し、同様に民間人の立ち入りを禁じます。両区域ともに24時間体制で監視し、1名以上の警備職員を常駐させます。SCP-XXX-JP-1の発生が確認された場合、プロトコル'エルドリッジ'を実行してください。
説明: SCP-XXX-JPは、主に脊椎動物の行動に制限を与える未解明の力です。
SCP-XXX-JPは、指定された2箇所の地域(SCP-XXX-JP-2A、SCP-XXX-JP-2B)を、通過した生物(以下SCP-XXX-JP-1と呼称)に影響を与えます。
SCP-XXX-JP-1になった対象は、異なる地域によって影響を受けた対象とごく弱い力で引き合うようになります。この強制力に外的な圧力などは発生しておらず、対象の行動によってのみ発生します。SCP-XXX-JPによる強制力の有効範囲は3mほどと見られ、この範囲に両対象が近づくと、強制力によってお互いに歩み寄り、接触しようとします。強制力は意思とは無関係に働くため、通常の反応として対象は強制力に抵抗します。ほとんどの場合、抵抗により接触は起こりません。
SCP-XXX-JP-1になった対象群は、歩行中に接近する場合が多く、互いのゆるやかな接近と抵抗による離脱によって、小さな違和感としてSCP-XXX-JPを認識します。
接触した場合、その場で更なる異常性は発現しないため、通常気づかずに離れます。異常性は接触から2時間前後で発現し始めます。遠距離においても強制力が働き始め、両者は互いに接近しようとします。両者は互いのいる方向を無意識に察知し、妨害がなければどのような地理であっても必ず接触を果たします。以降、両対象は接触状態を維持しようとします。接触状態が続くと、両対象に働く強制力は次第に増大していき、接触状態がおよそ6時間続くと、対象者の力では離脱できなくなります。12時間経過後の対象については事案報告XXX-001を参照してください。
SCP-XXX-JP-1の持つ異常性は比較的容易に消失します。SCP-XXX-JP-2A由来の対象はSCP-XXX-JP-2Bを通過することによって、SCP-XXX-JP-2B由来の対象はSCP-XXX-JP-2Aを通過することによって、その異常性を消失します。また指定区域通過後、約28時間経過することでも消失します。再び指定区域を通過した場合、1度目と同様に異常性を帯びます。
識別番号 | 指定区域 |
---|---|
SCP-XXX-JP-2A | ██駅のA-██出口における2mx2mの範囲。1日平均23,000人が通過する区域。 |
SCP-XXX-JP-2B | ██駅の██出口前の交差点、中央部3mx3mの範囲。1日平均15,000人が通過する区域。 |
両者は███km以上離れており、SCP-XXX-JP-1同士が接近する確率は比較的低いと考えられます。
20██/10/03 SCP-XXX-JP-2Aを通過したと思われるエージェント██が、路上で偶発的に一般市民と接触。財団施設に戻ったエージェント██は、3日後、職務を放棄し外出しようとしたため精神鑑定を含めた精密検査が行われました。その過程において、対象への執着と、異常なほど方角の把握が可能であることが発覚し、収容対象と判断。追跡調査により、もう一方の対象を発見。さらなる調査により指定区域の特定に至りました。エージェント██を含めた対象者にはプロトコル'エルドリッジ'が適用されました。
エージェント██(エージェント・I)に対する聴取記録: 20██/10/08 09:32:45
エージェント・I: はい。当該オブジェクトの性質は理解したつもりです。
M博士: では、どういう精神状態だったのか参考までに聞かせてもらえますか。
エージェント・I: まるで運命の人に出会ったようでした。その人にもう一度出会わなければ、と強く思いました。
M博士: 抵抗はできましたか?
エージェント・I: はい。オブジェクトの性質を聞いた上なら、完全に制御できると思いますし、その前でも十分抵抗できました。
M博士: ではなぜ、職務放棄してまで、もう一方の対象に近づこうとしたのですか。
エージェント・I: あまりにも変化が小さかったため、異常とは思わず、単に自分がその人に会いたいだけなのだと思ったのです。
M博士: 会ってどうするつもりだったのですか?
エージェント・I: そうですね。そのときは、自分の後悔もあったせいなんでしょうけど、肩モミをするべきなのだと思っていました。
M博士: もう一方の対象は、そうは言っていませんでしたけどね。
事案報告XXX-001: 接触状態が10時間以上続いたSCP-XXX-JP-1両対象に働く強制力は、構成分子に対する未解明の引力として作用し始めます。この段階においては、機械によっても引き離すことが困難です。12時間後、強制力は原子にまで及び、接触面から融合させていきます。原子の融合により、異なる核種へ移行したことで発生する強大なエネルギーは特殊相対性理論に記された通りです。20██/10/12 04:53:42 SCP-XXX-JPの収容サイトが半壊。実験用マウスの体重が15gしかなかったことで、サイトそのもの消滅は免れました。
補遺01: 事案XXX-001以降の接触実験は禁止されましたが、未収用のSCP-XXX-JP-1が大規模破壊を引き起こす可能性は残されています。事案XXX-001の記録では、接触面での炸裂によって構成物が四散すると、SCP-XXX-JPの強制力が消失することが判明しました。そのため、対象の全質量が変換される可能性は極めて低く、目立った被害にはならないのではないかという意見が現在は主流です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPと隣接する地域との境界線には、高さ3m以上のフェンスを設置し、人間および中型以上の動物の侵入を防ぎます。2箇所のゲートには各1名以上の警備職員を配置し、指定区域には20mおきに監視カメラを設置します。地下に存在する各空洞にも監視カメラを設置し、24時間映像を記録します。異常が発生した場合は、即時担当研究員に連絡をしてください。緊急の場合には、財団が設置した保安装置を作動させ、各駆動部を完全に停止させます。
説明: SCP-XXX-JPは、███の████に存在する異常性をもった地域です。
当該地域は、標高████の成層火山で、傾斜の緩やかな独立峰になっています。SCP-XXX-JPに生育している植物群落は、周囲では見られない植物種を含んでおり、当該地域内のみで生長しています。植物同様に生息する動物種の中にも、本来当該地域では見られない個体が存在しますが、動物の個体数は周辺環境に比べ非常に少数です。SCP-XXX-JPの地下には、複雑に伸びた洞窟が総延長██kmに渡って伸びており、複数の広大な空洞(最大1.2万㎡)が存在しています。
空洞のいくつかには、回転運動や上下運動が可能な構造物が存在しており、これらは蒸気によって駆動しています。構造物は、当該地域の広い範囲において存在しており、個々の構造物が連動し、明確な目的をもって稼働中であると見られます。調査の結果、SCP-XXX-JPの稼動目的は発電と送電であると考えられています。SCP-XXX-JPの形成が、人為的か偶発的かは判明していません。個々の構造物に、人為的な加工成形の痕跡が見られないことは確認されています。
SCP-XXX-JPの空洞は、それぞれ機能別に識別番号を割り振られています。
識別番号 | 機能 | 説明 |
---|---|---|
SCP-XXX-JP-1A | 発電機 | SCP-XXX-JP内でもっとも複雑な構造体です。溝の入った円柱状の石(長さ20m直径10m)がSCP-XXX-JP-1Bからの動力を得て回転しています。円柱状の石は鉄とコバルトを含んだ鉱石で形成されており、強磁性を示します。円柱状の石を囲む壁には銅が含まれていると見られ、石の回転により電力を生み出します。 |
SCP-XXX-JP-1B | タービン | SCP-XXX-JP-1Cで発生した蒸気を受け、深い溝の入ったくびれた円柱状の石(長さ15m直径10m)が回転します。中心から細い円柱が伸びており、SCP-XXX-JP-1Aに直結しています。 |
SCP-XXX-JP-1C | ボイラー | SCP-XXX-JP-1Cの下層には常に炎が発生しており、岩板を挟んだ上層の水を蒸発させます。下層の熱源は不明ながら、常に摂氏1600度以上を維持しています。 |
SCP-XXX-JP-1D | 復水器 | SCP-XXX-JP-1Bの直下に存在する空洞で、SCP-XXX-JP-1Bで使われた水蒸気を水に戻し、細い洞穴を通してSCP-XXX-JP-1Cへと回します。 |
SCP-XXX-JP-1E | タンク | 地底湖です。透水性の非常に高い岩石でSCP-XXX-JP-1Cと繋がっており、SCP-XXX-JP-1Cへ水を送っています。 |
SCP-XXX-JP-1AとSCP-XXX-JP-1Bはそれぞれ5つ存在し、1つの空洞に6つの円柱状の石が設置されています。SCP-XXX-JP-1Cの下層は常に摂氏1600度以上を維持しており、詳細な内部の調査を妨げています。SCP-XXX-JP-1Aの計測結果からSCP-XXX-JP全体で200万kWの出力を得ていると見られます。発生した電力の供給先については、判明している部分が少なく現在も調査中です。
SCP-XXX-JP-2は、SCP-XXX-JP内で施設の維持管理に従事する自立型のオブジェクト群です。現在67体が確認されています。
SCP-XXX-JP-2は、全体が白い繊維質で構成された人型に近い形をしており、高さは160cm前後です。背中の部分に8本前後の突起が見られます。成分分析では、体のどの部位からも樹木由来と見られる物質が検出されています。SCP-XXX-JP-2は、頭部に開いた小さな穴から笛のような音を出し、互いに情報伝達を行っています。発せられる音のパターンには規則性があり、これを言語として解読、現在は当該オブジェクト群と会話が可能な状態にあります。
SCP-XXX-JP-2は、SCP-XXX-JPへ侵入した外部の生物に対し敵対的です。
SCP-XXX-JP-2は、侵入者に対し殴打や体当たりなどで敵意を示しますが、体の構造上、対象の損壊に至るような筋力を出すことができません。結果的に、複数体のSCP-XXX-JP-2によって区域外へ押し出す形で侵入者に対処します。指定区域外で収容しているSCP-XXX-JP-2は、頻繁にSCP-XXX-JPへの帰還を要求しますが職員には協力的です。事案XXX-001の結果から、SCP-XXX-JP-2の財団施設への移送は無期限に中止されています。
SCP-XXX-JPは、19██/03/02 測量に訪れた自治体職員がSCP-XXX-JP-2と接触したことにより発見されました。当該地域の所有者は、自治体職員の立ち入りに強く抵抗していたとの記録もあり、当該地域の所有者の調査が行われました。結果、所有者は当該地域の異常性についてほとんど把握しておらず、以前の所有者である祖父から、立ち入ってはならないと警告されていたと証言しています。関係者への記憶処置の後、当該地域の封鎖が行われました。
注記01: 収容初期の実地調査中に研究職員2名が所在不明となりました。警護に当たった職員は「落とし穴に落ちた」と証言しており、現場を調査しましたが何の痕跡も発見できませんでした。その後のSCP-XXX-JP-1Cでのサンプル採取において、下層底面から眼鏡フレームの一部と見られる金属片が見つかっています。失踪した研究職員との関連は不明です。
SCP-XXX-JP-2に対する聴取記録からの抜粋: 19██/03/21 10:12:30
(付記:会話は笛の音によって行われ、それを日本語に解読したものです)
研究員I: あなたたちが発電する目的はなんですか?
SCP-XXX-JP-2-30: 発電。わからない。自分たち。燃やす。
研究員I: それが電気を産み出していることは知っていますか?
SCP-XXX-JP-2-30: 電気。わからない。帰りたい。エネルギー。絶やせない。
研究員I: もう少し質問させてください。あの洞窟で燃えてるものはなんですか?
SCP-XXX-JP-2-30: よく燃える。燃料。
研究員I: 具体的にはどのようなものですか?
SCP-XXX-JP-2-30: 燃料。逃げる。つかまえる。あと知らない。帰りたい。
研究員I: 私たちの仲間が数人見つからないのですが。何か知っていますか?
SCP-XXX-JP-2-30: 人間。燃やさない。悪い燃料。くさい。
研究員I: 絶対に燃やしませんか?
SCP-XXX-JP-2-30: 知らない。帰りたい。
研究員I: わかりました。以上です。
事案報告XXX-001: 19██/11/12 SCP-XXX-JPの全機能が停止。SCP-XXX-JP-2を全て収容していたことで、維持管理が滞ったためと考えられる。30分後、確認作業中に新たなSCP-XXX-JP-2が、SCP-XXX-JP-1Dエリアから発生しました。これにより、当初32体だったSCP-XXX-JP-2が、67体に増加。以後、SCP-XXX-JP-2をSCP-XXX-JPから移送する手順は、無期限に延期されています。
事案報告XXX-002: 新たに発生するSCP-XXX-JP-2の収容を中断し、SCP-XXX-JP-2群によってSCP-XXX-JPが再稼動するまでの7日間、当該区域の動物個体数が激増しました。調査中、SCP-XXX-JP-2と同じ会話方法を試みたところ、返答する動物種が2種類(SCP-XXX-JP-3A、SCP-XXX-JP-3Bと呼称)発見されました。SCP-XXX-JP-2群よりも知能が低いと見られ、高度な会話には応答できませんでした。
生きるために! 生き残るために…!!
何が必要だった? オレたちは何をしてきた?
もっと早く気づいていれば、オレたちはこんなにも傷を負うことはなかったかもしれない。
お互い、平和に暮らしていたのかもしれない。
また、あのポンコツ自販機のまずいコーヒーを飲みながら、明日のことを話していたかもしれない。
あいつらに悪意なんかなかった。ただルールに従っているだけだ。
そのルールを誰が決めたかなんて、今は知るすべなんかないし。知りたいとも思わない。
きっとクソったれだ。
最初の作戦があんなことになって、指揮官は焦っていた。
指揮官だけじゃない、上の人たちはみんな焦っていた。
そうさ、こんなとんでもない災害をもたらす世界だ。一刻も早く壊したいと思うのは当然さ。
だからってこんなものを使おうなんて、オレたちはもうそんなに追い詰められたのか。
腹が痛い。すごくいたい。
オレはなにを奪われた?
根岸は下半身を奪われた。
中心部を目指そうなんて、思ってみれば場当たりな作戦だった。
中心部なんかないさ。ここは世界だ。オレたちの世界とほとんど同じ。
だからもうここで使おう。
ちゃんと書いてるか?
そうだよな。もっと詳しく書かなきゃいけないよな。
入り口から出て、周りを確認してから、街の中心地を目指した。そこが異常の中心かもしれないからだ。
歩いて2時間くらいか?
すごく高いビルがあった。ずっと霧の中だった。上なんか見えないくらい高いビルだった。
ドローンを飛ばしてみたが、異常は見られなかった。普通のビルだった。
プランBに、できるだけ高所でこいつを使用するってあったから、ともかくも登ることになった。
入ってみればなんてことはない、普通のオフィスビルさ。
隊は頂上を目指した。とにかく上を目指した。
でも途中で見ちまった。
真っ白な紙を、何枚も何枚もコピーしてる女を…あたりまえの仕事のように…何枚も。
コピー機を止めた。その紙を見ようとしたんだ。ちがう。オレじゃない。
うかつだった。こっちが攻撃しなきゃ、無害だと思っていたんだ。
こいつをエレベーターで運ぶ班と、階段で登る班に分かれてて、オレたちがヘマをしたのさ。
そこからさ、その女は表情ひとつ変えずに机に戻って電話をかけた。
1分もしないうちに、幽霊みたいに現れた何人もの警備員がオレたちを捕まえようとした。
撃った。
でも効かなかった。
でも撃つだろ?
オレは泣きそうだった。
捕まれば、最初の作戦に出てきた裁判所行きだ。死ぬ。
死ぬ…!!
オレたちは撃ちながら走った。走って1階を目指した。撤退命令さ。無様だろ。くそったれ。
あれくらいのことで、この作戦が崩れていくなんて。オレも思っていなかったさ。
根岸は死んだ。平坂も。大田も。矢凪も。
ここに来る前、あんなにまずいコーヒーを、うまいうまいって言いながら飲んでたあいつらが…
もういない。「侵入罪」?
追いかけてきた警察みたいなやつがそう言ってた。そこから、ばらばらと、いろんなものがこぼれた。
腕が転がり、足がもげ、平坂の首が窓から飛んでいった。
根岸は死んだ。腹から下が無くなった。
死にたくない。そう言ってたあいつをオレは置いていった。
腹から下がなくなって、だらだらと内臓と血を垂れ流して、泣きながら叫んだあいつを置いて。
あいつを置いて、お前をここまで連れてきた。
見も知らないお前をここに…
もうオレとお前しかいない。
根岸は死んだ。あいつが好きだった映画を語ることももうないだろう。
あいつの好きだった、ニューシネマなんだっけ…? あとで調べておいてくれ。
お前は生きて帰れ。生きて帰ってちゃんと報告しろ。そういう役目だろ。
オレたちは生き残る。
ただ生きるだけの、あいつらとは違う。
死ぬことだってできる。全人類を生かすためなら死ぬことだってできる。
オレたちは強い。あいつらなんかより…
この世界を作ったやつはクソったれさ。オレは大嫌いだ。
神様なんかいない。ちゃんと書いておけ。
この世界に神なんかいない。
それを書いたらもう帰れ。そこの梯子を降りて、お前はお前の世界に。
オレだって帰りたいさ。帰れると思っていたさ。でももういない。みんな死んだ。
オレも死ぬ。もうすぐ死ぬ。死にたくない …でも、これが最後の仕事だ。
やり遂げる。ただで死ぬもんか。生き残るのはオレたちのほうだ。
ああ。
なんてこった。これがパスコード?
これが、こんなのが、この世界で最後に打つ文字だっていうのか。ふざけてるのか。笑えないぞ。
ちっとも笑えない。
非常事態宣言が発令されました。全てのセキュリティクリアランスの職員は指定の避難路を使用しヘリポートへ移動してください。関係書類の持ち出しは禁止されています。IDカードのみを持参し、ヘリポートへ移動してください。対応マニュアルL-002B。対地Cクラスシナリオを参照してください。
「人類はみな、海からやってきた。
人類だけではない。この陸地に生きとし生けるもの全ては、海からやってきた。
いまこの、今日このときに、帰るときがやってきたのだ。」
繰り返します。非常事態宣言が発令されました。全てのセキュリティクリアランスの職員は指定の避難路を使用しヘリポートへ移動してください。関係書類の持ち出しは禁止されています。IDカードのみを持参し、ヘリポートへ移動してください。対応マニュアルL-002B。対地Cクラスシナリオを参照してください。
「いいえ。SCP-203-JPの収容プロトコルは完全だったはず。
私たちは失敗していない。これは外的要因に違いないの。教えて。何か知っているのなら。」
「あせっているのか。こんなところにやってきて。」
「あなたの話が本当なら、海からの脅威であるSCP-203-JPのことを知らないはずがない。ただそれだけ。」
L-002Bの手順に従い、全ての書類、全ての物品、全てのオブジェクトは収容サイトで処分されます。職員はIDカードのみを持参してください。
「時間がないの。ここに来るのだって本当は規則違反なの。教えて。何が起こったの。」
「この陸地を目指すものが、おまえたちだけだと思っていたのか。
夜、闇に潜むものが獣だけだと思っていたのか。
闇を踏み越え、海を掻き分け、ついに平穏の淵に手を掛けたのだ。」
「わからない。手を掛けた? つまりそれは…」
繰り返します。L-002Bの手順に従い、全ての書類、全ての物品、全てのオブジェクトは収容サイトで処分されます。職員はIDカードのみを持参してください。
「まず魚があった。魚は呼吸を覚え。手足を伸ばし。草木を食んだ。
もはや魚ではない。海を泳ぐ魚ではない。
海流の音も、波に立つ白い泡も、月夜の銀のにおいも知らない。海の住人ではなくなった。」
「変異した…というの?」
「おまえたちは進化と呼んだ。
おまえたちだって、ついこの間まで洞窟で裸で暮らしていたじゃないか。」
当サイトは20分後に最終安全措置が発動します。全てのセキュリティクリアランスの職員は保全措置を完了させ、ヘリポートへ移動してください。
「呪いの力など信じていたのか。この世に神があると?
この私にすら語り掛けない神など、いないも同然だ。」
「神の話なんかしてないわ。SCP-120-JP。SCP-203-JPの正体を聞きたいの。」
「ウキタ。私の名前は、深き海とすべての山を統べる偉大なる王だ。
それを語るには、残された時間はあまりにも短く、別れを告げるには少々長すぎる。」
「わかっているの?」
当サイトは18分30秒後に最終安全措置が発動します。全てのセキュリティクリアランスの職員は保全措置を完了させ、ヘリポートへ移動してください。
「私にはもう、かつての力は残っていない。
この檻を破ることもできないだろう。」
「ごめんなさい。あなたをそこから出すわけにはいかない。私たちをダマすウソかもしれない。
またかつてのように、この施設を破壊するかもしれない。」
「私にはもう、その価値がないようだ。」
当サイトは17分後に最終安全措置が発動します。全てのセキュリティクリアランスの職員は保全措置を完了させ、ヘリポートへ移動してください。
「さあ行くがいい。運が良ければ、私もかつての場所に戻れるだろう。」
「ごめんなさい。本当に。」
「思い出せ。かつて海にいたことを。おまえも私もあいつらも、等しく海にいたことを。
おまえたちは弱くない。かならず道はある。」
侵食は収容サイトを飲み込み、海の底へと引きずり込んだ。
飛び立った職員たちは為す術も無く、その光景を空から眺めるしかなかった。
10分後、ひとつの閃光が空を照らした。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは低危険度オブジェクト用の収容ロッカーに保管されます。実験などの持ち出しにはLevel3以上のセキュリティクリアランスを持った職員の許可を得て下さい。
説明: SCP-XXX-JPはアーノルド&リヒター社製の、異常性を持った35mmフィルムカメラ『アリフレックス535B』です。
SCP-XXX-JPは、フィルムを装着し、映画の撮影を開始した場合に異常性を発揮します。記録映像やその他映画以外の目的での録画では異常性は発揮しません。撮影を開始した場合、SCP-XXX-JPの10m以内に存在している死角からSCP-XXX-JP-1が出現します。複数の人間やカメラによる監視で死角が存在しない場合、SCP-XXX-JP-1は出現しません。
SCP-XXX-JP-1は、映画俳優のNicolas Kim Coppola氏(便宜上SCP-XXX-JP-1-Oと呼称)の外見と声を持った人型の存在です。
SCP-XXX-JP-1は、SCP-XXX-JPを使用している撮影現場に割り込み、自身を出演させようとします。収容前の出現時、多くの場合それは受け入れられ、端役として撮影が再開されていました。SCP-XXX-JP-1を被写体に含んだ状態で、SCP-XXX-JPを使用した場合、更なる異常現象が発生します。撮影再開後、必ず何らかの事象が起こり撮影が妨害されます。発生する妨害現象は、通常起こり得る事故から第3者の介入など様々ですが、多くの場合、SCP-XXX-JP-1を含む人的損壊を発生させません。
妨害現象は、SCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JPから10m以上離れるか、SCP-XXX-JPの使用者が撮影をあきらめた場合にのみ消失します。SCP-XXX-JPを停止させても妨害現象は消失しません。SCP-XXX-JP-1は撮影が中断された場合や、出演を断られた場合は、その場から立ち去ります。
以下は、調査の結果判明した過去の妨害現象です。
作品名: █████ 撮影日時: 19██/03/06
映画の内容: 湾岸戦争を題材にした戦争映画
SCP-XXX-JP-1の役柄: 主人公と同行し、銃撃を受け戦死する兵士発生した妨害現象: 予定には無い輸送ヘリ(CH-47の後期型と推定)が出現。3名の戦闘員が降下後、撮影セットに向けて実弾を用いた銃撃を開始。ヘリからも榴弾が発射され、撮影セットの80%が破壊されました。出現から10分後にヘリと戦闘員は逃走しました。
作品名: ████████ 撮影日時: 19██/04/24
映画の内容: 地球外知的生命体との接触を描いたSF映画
SCP-XXX-JP-1の役柄: 主人公たちの転送装置を修理する科学者発生した妨害現象: 現場には置かれていなかった宇宙人の外装スーツを着た3名のスタッフによって、転送装置の破壊が試みられました。出演者およびSCP-XXX-JP-1の妨害により破壊は阻止されました。撮影監督が撮影の続行を断念したことにより、宇宙人たちは攻撃を止め、すばやく逃走しました。追いかけたスタッフによれば、建物の角を曲がった瞬間に見失ったとされています。
作品名: ███████ 撮影日時: 19██/06/09
映画の内容: 異常な隣人に殺されるホラー映画
SCP-XXX-JP-1の役柄: 冒頭で主人公の子供に話しかける能天気な友人役発生した妨害現象: 出演予定の無い、特殊メイクの施されたゾンビが3体現れ、うめき声によって撮影を妨害しました。排除しようとするとするスタッフおよびSCP-XXX-JP-1と、激しいもみ合いになり、その過程で照明装置が破損、撮影は中断されました。中断後、撮影所の混乱に乗じゾンビは逃走しました。SCP-XXX-JP-1は、ゾンビとのもみ合いの最中、ゾンビの頭部を小道具の斧によって切断しようとしている様子が目撃されています。
作品名: ███████████ 撮影日時: 19██/02/11
映画の内容: ヨットで航海中に嵐に見舞われるパニック映画
SCP-XXX-JP-1の役柄: 中盤で海に投げ出されるコック発生した妨害現象: 海とヨットを再現した撮影セットの直上に、突如ハリケーンが出現しました。SCP-XXX-JP-1は必死にヨットにしがみつきましたが、秒速60m(推定)の風で吹き飛ばされました。
作品名: ███████ 撮影日時: 19██/11/12
映画の内容: モンスターの住む島の謎を探るサスペンス映画
SCP-XXX-JP-1の役柄: トンネルの途中に住むおかしな男発生した妨害現象: 撮影開始から3分後、発注履歴には無い3体のモンスターが出現。撮影に使用した坑道は完全に破壊されました。死傷者は出ませんでした。モンスターに関して得られた証言の外見的特徴は、収容中の人型オブジェクト3体の外見と一致しています。
これらすべての事例において、SCP-XXX-JP-1は撮影を続行しようと、あらゆる努力をしていたという証言を得ています。
SCP-XXX-JPは、映画業界内において事故の多発する撮影所があるとの情報を元に、調査を行っていた現地のエージェントが、原因であるSCP-XXX-JPを突き止め、撮影所の倉庫から回収しました。収容前にSCP-XXX-JPが使用された事例は、全て小規模な映画撮影だったため、SCP-XXX-JPおよびSCP-XXX-JP-1の異常性に気づいた人間は存在せず、情報操作の必要はないと考えられます。
SCP-XXX-JP-1実体、もしくはSCP-XXX-JP-1の転写元と考えられるSCP-XXX-JP-1-Oは、SCP-XXX-JP-1の出現時、常に自宅にいることが確認されています。SCP-XXX-JP-1-Oの社会的知名度から、直接の確保は困難と見られ、現在は遠距離からの監視のみが行われています。
聴取記録XXX-001: 形式上、映画撮影の体裁を整え、SCP-XXX-JPを使用し、SCP-XXX-JP-1を出現させました。会話はすべてSCP-XXX-JP-1-Oの母国語で行われています。
研究員I: 私には理解ができませんでした。もう一度、簡潔にお願いします。
SCP-XXX-JP-1: ボクは『夢』だよ。そこにいる彼のね。[出演者の一人である職員を指差す]
研究員I: それは我々が用意した台本の役です。あなたが[SCP-XXX-JP-1-O]とどういった関係にあるのか教えてください。
SCP-XXX-JP-1: 今そんな役じゃないだろ?ボクはね、とにかく役になりきりたいんだ。それが映画だろ?
研究員I: あなたは[SCP-XXX-JP-1-O]ではないのですか?
SCP-XXX-JP-1: そうだとも言えるし、そうじゃないとも言える。ただボクが。ここにいることでこの映画は成功する。
研究員I: 撮影は一度も成功していません。あなたが妨害しているのですか?
SCP-XXX-JP-1: おいおいおい。ちょっと待ってくれ。ボクがいつ。そんなことをした? 言ってくれ。キミはなにが不満なんだ。
研究員I: SCP-XXX-JPはいつ、だれが、どういう目的で作ったのですか?
SCP-XXX-JP-1: 知らないね。ただこれだけは言える。[1秒前後の沈黙] 映画にハプニングはつきものさ。
撮影および聴取開始から4分後、HAZMATスーツを着用した所属不明の3名の職員が、撮影セットのある研究室に侵入。噴霧器により催涙ガスを無作為に噴射しました。SCP-XXX-JP-1は即座に、侵入者に殴りかかりましたが、催涙ガスによりその場にうずくまりました。撮影は中断され、妨害現象発生から1分後、警備職員が研究室へ到着。侵入者を確保しましたが、HAZMATスーツの中には誰もいませんでした。
上記の事案後、SCP-XXX-JP-1は帰宅することを要求しました。要求を拒否し、人型オブジェクト用収容室へ確保しましたが、収容から1時間後、収容室に用意されていた毛布で監視カメラを覆った直後に消失しました。
補遺01: 映画撮影に興味のない職員がSCP-XXX-JPを使用しても、SCP-XXX-JP-1は出現しませんでした。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは低危険度オブジェクト用の収容ロッカーに保管されます。実験などの持ち出しにはLevel3以上のセキュリティクリアランスを持った職員の許可を得て下さい。
説明: SCP-XXX-JPは、30cmx50cmx40cmの箱状の機械です。
SCP-XXX-JPの外見は一般的に「電子レンジ」と呼ばれる家電製品に見られる特徴を備えていますが、過去製造されたどの製品とも一致しません。製造元や製造番号の表記は存在せず、唯一背面下部に『11次元プリンター』という名称が印字されています。外装は全て分解できますが、内部部品の一部は非常に頑強で分解することができず、どのような原理で動作しているのか判明していません。
SCP-XXX-JPは内部に空洞を有しており、前面の扉を開閉することで内部を確認できます。扉の右側には小型の液晶画面が備えられており、画面の下には12個の文字入力ボタン、調整ダイヤル、"スキャン"ボタン、"スタート"ボタンが付いています。SCP-XXX-JP内部に収納可能な物体を投入し、扉を閉め、"スキャン"ボタンを押下することでSCP-XXX-JP内部の記録媒体に物体の形状が記録されます。"スキャン"後、画面にて名称の入力を求められ、画面下の文字入力ボタンで任意の文字列を登録することが可能です。登録された形状は画面の操作で何度でも呼び出すことができます。
SCP-XXX-JP内部を空にし、画面にて形状選択後、"スタート"ボタンを押下することにより、SCP-XXX-JP内部にSCP-XXX-JP-1が生成されます。
SCP-XXX-JP-1は、ヒモ状の素材が絡み合った物体です。SCP-XXX-JP-1は、選択した形状に関わらず単純な塊として生成されます。ほとんどの場合、重量は選択した形状と一致することが確認されていますが、体積はおよそ500mlが上限と見られます。SCP-XXX-JP-1は光学的(X線撮影なども含む)には上記のような特徴を示しますが、物理的には選択された形状と同一の性質を示します。SCP-XXX-JP-1を構成する素材の供給源は依然として判明していません。出力される形状には、通常保存も再現も困難とされる物体も含まれます。
また、どのような方法かは不明ですが、SCP-XXX-JP内部に収納することができない形状のものが、過去の選択リストの中に含まれています。
SCP-XXX-JPは20██/03/14 ██大学の研究棟にて6名の学生が死傷する事案が発生。即座に地元警察が事態の収拾に当たりましたが、さらに2名の負傷者を出しました。無線連絡の異常な内容から、傍受していたエージェントが事態を察知、財団がSCP-XXX-JP-1(SCP-XXX-JP-1-A001と指定)とSCP-XXX-JP本体を確保しました。確保時、SCP-XXX-JPの画面には『最も気高き獣』という名称と、その重量が表示されていました。大学と警察関係者には記憶処置を施し、被害者の家族にはカバーストーリー「実験動物の脱走」が伝えられました。
SCP-XXX-JPを製造したと思われる学生は上記の事案により死亡。SCP-XXX-JPが置かれていた部屋から、関係する資料は発見できませんでした。このことにより、過去の選択リストはどのように"スキャン"されたのか、SCP-XXX-JPの製造方法、または発見場所および経緯など一切が不明のままです。
実験記録XXX-001: 収容前に登録されたと考えられる形状の出力実験です。
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以下は結果が予測できないために出力していない表示名です。
選択した形状の表示名: 『愛知県』
予想される出力結果: 収拾不能な重量のSCP-XXX-JP-1が生成されると考えられる。
備考: 表示名の物体をスキャンしたとは考えにくく、なんらかの方法で入力したものと思われる。
選択した形状の表示名: 『カー』
予想される出力結果: 収拾不能な重量のSCP-XXX-JP-1が生成されると考えられる。
備考: このリストの前に『シュヴァルツシルト』『ライスナー』と続いており『カー・ブラックホール』と推測される。
補遺01: 選択リストの003番目に上記の事案で死亡した学生の氏名が表示されました。出力したところ、体積400ml重量2.4kgほどのSCP-XXX-JP-1(SCP-XXX-JP-1-A023と指定)を生成しました。SCP-XXX-JP-1-A023には発話能力があり、死亡した学生と一致する記憶を有していますが、SCP-XXX-JPが完成する以前の状態であり、出力直後は現状に混乱する様子を見せました。現在は状況を理解しています。
SCP-XXX-JP-1-A023聴取記録011:
SCP-XXX-JP-1-A023: [非常に興奮した口調で] ということは11次元プリンターは完成したんだ?
研究員I: はい。どのような原理で通常次元の物体を、別次元の物体へと移行させているんですか?
SCP-XXX-JP-1-A023: [非常に興奮した口調で] わかんない。前は覚えてたんだけど。ちゃんとスキャンできてないかも。
研究員I: 今あなたはどのような状態にあるのですか?
SCP-XXX-JP-1-A023: [非常に興奮した口調で] わかんない。ちゃんとスキャンできてないかも。手と足の感覚がないや。
研究員I: では歩くことはできないということですか?
SCP-XXX-JP-1-A023: [非常に興奮した口調で] ということは11次元プリンターは完成したんだ?
研究員I: はい。出力結果には問題があるようですが。
補遺02: SCP-XXX-JP-1-A023をSCP-XXX-JP-1-A020に接触させたところ、通常の自動車と同様の動作を行いました。
アイテム番号: SCP-001-JP
オブジェクトクラス: Thaumiel
特別収容プロトコル: SCP-001-JPは移動しません。指定地域の通信記録を可能な限り傍受し、SCP-001-JP-1が停止した場合の変化を監視します。SCP-001-JP-1を含む端局施設は現在財団の管理下にあり、周囲100mを民間人の立ち入り禁止区域とし、施設には武装した警備職員を最低4名以上常駐させます。SCP-001-JPによる記録改竄の監視は、セキュリティクリアランスLevel4以上を所持する職員によってのみ行われます。
説明: SCP-001-JPは、財団および傘下企業が保有する有価証券及び取引用口座に影響を与える強制力の総称です。
SCP-001-JPは現在、日本の███の████に置かれたサーバー(以下SCP-001-JP-1)を介した通信記録にのみ異常性を示します。SCP-001-JP-1を介した、財団および傘下企業が関わる資産記録が影響を受け、SCP-001-JP-1通過前後で所有する有価証券の数値が変動します。同時に公的記録も影響を受け、全ての記録から矛盾は検出されません。この改竄現象は、オフラインデータおよび印刷された文章にも影響を与えます。
SCP-001-JPは異常性の発見当初、現SCP-001-JP-1の存在しているエリアのみで起こる通信異常と、文章の改竄現象として観測されました。職員または関係者の関与が疑われましたが、通信および保安体制の堅牢性はあらゆる侵入実験を経て証明されており、改竄現象はSCP-001-JPのオブジェクト指定を受けました。
影響を受けた資産は、変動時点では総合的に見て資産価値の変化はありませんが、時間経過と共に資産価値を増加させる傾向にあります。合わせて、SCP-001-JPによって発生する利得は、結果的に収容にかかる予算によって打ち消される傾向も示します。また、特定地域に限定された現象のため、その多くが日本の企業に関わっています。
改竄記録抜粋: 特に資産価値の変動の大きな記録の一部です。
改竄記録-DNOx035a01: ████/02/18 09:10:30 - 09:11:05 - 管理ID-TNO0800228
██硝子の株式を購入する取引を行いました。██硝子は、特殊用途向けのガラス製品を製造する民営企業です。SCP-035を収容するための強化ガラス製中央格納容器を製造しています。20██年06月現在、購入時より5%の株価上昇を確認。
改竄記録-DNOx106a01: ████/04/30 09:01:10 - 09:01:42 - 管理ID-TNO0900467
██鋳工の株式を購入する取引を行いました。██鋳工は、SCP-106の収容室を浮上させるための、ELO-IIDに使用される電磁石の心棒を鋳造しています。20██年06月現在、購入時より10%の株価上昇を確認。
改竄記録-DNOx682a02: ████/12/03 09:00:07 - 09:06:82 - 管理ID-TNO1200043
██工業の株式を購入する取引を行いました。██工業はソーダ製品を主な商品とする民営企業です。当該企業に対しては財団傘下の企業を経由し、SCP-682の収容に必要な塩素の購入を行っています。20██年06月現在、購入時より27%の株価上昇を確認。
改竄記録-DNOx1012a03: ████/01/17 09:00:12 - 09:01:09 - 管理ID-TNO1203345
███電機の株式を購入する取引を行いました。███電機は、SCP-1012の指定された周波数の音波を打ち消すために、設置された音響装置の構成部品である集音マイクを製造しています。20██年06月現在、購入時より49%の株価上昇を確認。
SCP-001-JPの記録改竄は、当該企業の関わるオブジェクトが確保収容される以前に発生します。
SCP-001-JPの特異性により、収容のための資金調達および技術向上が容易になっていると考えられており、現在SCP-001-JPの異常性に対する隔離措置は行われていません。SCP-001-JPが各オブジェクトを捕捉している原理はほぼ未解明であり、記録そのものを予知している可能性も指摘されています。
==セキュリティクリアランス開示要求== | ||
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改訂前の報告書の閲覧にはLevel4以上のセキュリティクリアランスが必要です。閲覧の際は監視要員の立会いの下で指定の端末から接続してください。 |
AO-550(ASCP-001-JP)保存容器および構成部品 |
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- 19██/3/30までの付属資料
保管ID: L01L01-XMT0071
備考: 破壊不能。分解不能。製造元に問い合わせるも保有資料に在庫および設計図なし。通信機器の部品と見られるも接続部は不明な形状。
- 19██/01/12までの付属資料 -AOリストAnomalous Object#: AO-550抜粋
概要: 開発される以前から存在していたと見られる海底ケーブルの海底中継器
回収日: 19██/07/30
回収場所: ███島沖320km地点にて通信業者の███が回収。[編集済]。現財団に引き継がれました。
現状: 現体制で接続可能となったため、オブジェクトを介した通信に変化が起こるか検証中。
- 19██/05/08までの付属資料
アイテム番号: SCP-001-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-001-JPは特定座標の指定深度以下に設置し、回収用の船舶と修理班を最寄の港に常駐させます。SCP-001-JPの状態は、水圧計温度計など各種計器により常に監視されます。SCP-001-JPの異常性は財団職員が周知するものであり、異常性の消失は混乱を招くと考えられるため、SCP-001-JPの状態は必要最低限の人員のみが把握してください。
説明: SCP-001-JPは直径50cm全長2mの、海底ケーブルの海底中継器です。
SCP-001-JPは、通常の使用と同様にケーブルを交換することは可能ですが、分解する試みは、当該物品の物理的な頑強さから全て失敗しています。
SCP-001-JPの異常性は当初、端局装置の置かれた██エリアにのみ発生する現象と考えられていました。19██/07/30 海底ケーブルの保全作業のため、SCP-001-JPを含む3個の中継器が引き揚げられました。保全作業後、SCP-001-JPの異常性が消失したため徹底した調査が行われた結果、修理中のSCP-001-JPが民間企業から回収されました。
SCP-001-JPは、特定座標[11°22.7'N. 142°35.3'E.(WGS-84)]のジオイド高-10,000m以下に存在している場合に限り、異常性を発揮します。
SCP-001-JPを経由した通信のうち、財団および傘下企業が関わる資産管理記録のみがSCP-001-JP通過後に改竄を受けます。異常性による記録改竄は、財団および傘下企業以外が管理する資産記録までも影響を受けることが確認されています。そのため、改竄後の資産記録は恣意的な改竄とみなされず、あらゆる公的記録と一致し、完全な正当性を示します。
SCP-001-JPは、製造した███工業の同製品と全く同一の外見と機能を示しますが、製造番号などの表記は欠落しています。当該オブジェクトは同時期に製造された同製品に比べ激しい経年劣化が見られます。金属部品の酸化の度合いから、当該製品が製造開始される██年前に製造されたと推測されています。放射性炭素年代測定では製造年を探るには誤差が大きく、正確な製造年は不明です。
破壊不可能性と過去改変事象の可能性から、当該オブジェクトは[Anomalous Object#: AO-550]として収容されましたが、先に発見されていた異常現象の原因であることからSCP-001-JPへの割り当て変更が行われました。
特記事項TNO-001: SCP-001-JPの持つ物理的特性のため、修繕や補強といった人為的な加工を行うことができません。水圧や酸素などの自然現象による経年劣化は通常の範囲で起こっており、耐用年数は製造から約60年ほどと見積もられています。SCP-001-JPは製造から約30年が経過していると見られ、SCP-001-JPの修繕はOCPP優先度4(T4)の懸案事項です。
特記事項TNO-002: プロトコル"チャレンジャー"は進行中です。
特記事項TNO-003: TNO0000001からTNO0000040までの未分類改竄記録(TNO)は今後永続的に分類済み改訂記録(DNO)へ編入されることはありません。
これら記録は財団が収容施設を新設するのに必要だった資産記録を含み、機密漏洩も示唆された。現段階ではその可能性は否定されたが、オブジェクトの示すこれら記録が今後財団の崩壊を目指すものだと否定することはできない。オブジェクトの示す施設および組織構成要員は、可能な限り我々から切り離さなければならない。 -O5-07
19██/██/██ 保安体制維持の必要性から報告書の改訂を要請する。 -O5-07
19██/██/██ 当該オブジェクトの耐用年数を伏せるための改訂を行いました。 -██博士
==セキュリティクリアランス開示要求== | ||
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未分類改竄記録(TNO)の閲覧にはエリア管理権限、T5付属権限、またはLevel5のセキュリティクリアランスが必要です。閲覧の際は監視要員の立会いの下で指定の端末から接続してください。規則違反者には速やかな終了処置が施されます。 |
未分類改竄記録: 以下の記録は監視によってSCP-001-JPによる改竄と認められ、現在DNO分類待ちの記録です。
改竄記録-TNOx3128: 20██/06/05 09:00:40 - 09:01:07 - 管理ID-TNO2409189
██工業の株式を購入する取引を行いました。██工業は██重工業の下請けとして、金属加工を行う機械の設計製造を行っています。20██年06月現在、購入時より22%の株価上昇を確認。
改竄記録-TNOx3129: 20██/07/11 09:00:02 - 09:01:11 - 管理ID-TNO2409193
██造船の株式を購入する取引を行いました。██造船は国内で唯一、超パナマックス船の製造を行っている民間企業です。20██年06月現在、購入時より5%の株価上昇を確認。
改竄記録-TNOx3130: 20██/07/19 09:00:30 - 09:01:40 - 管理ID-TNO3200452
█████および██████の株式を購入する取引を行いました。█████は██████の下請けとして、送風機のインペラの製造加工を行っています。20██年06月現在、購入時より32%の株価上昇を確認。
改竄記録-TNOx3131: 20██/07/26 09:00:02 - 09:01:05 - 管理ID-TNO3200453
██████████の株式を購入する取引を行いました。██████████は██重工業の下請けとして、航空機のエンジンの製造を行っています。20██年06月現在、購入時より17%の株価上昇を確認。
改竄記録-TNOx3132: 20██/08/10 09:00:04 - 09:01:23 - 管理ID-TNO3200456
████の所有する不動産を購入する取引を行いました。████は保存食を製造販売を行っている民間企業です。20██年06月現在、購入時より53%の地価上昇を確認。
上記の取引に対応するオブジェクトは未だに発見されておらず、財団の資産へ利得を発生させ続けています。現在までに発生した資産上昇の合計は███████████に達しており、前例の無い大規模な収容になると推測されます。
補遺TNO-001: 未分類改竄記録の中にSCP-001-JP自身を保護する、プロトコル"チャレンジャー"に関する改竄は現在のところ認められません。SCP-001-JPによる改竄の意向は依然不明ですが、当該オブジェクトの修繕はOCPP優先度4(T4)の懸案事項です。
補遺TNO-002: プロトコル"チャレンジャー"に投じられる予算が、SCP-001-JPの発生させる利得を上回りつつあります。
20██/██/██ OCPP優先度の引き上げを要請する。 -O5-07
20██/██/██ OCPP優先度の引き上げは認められません。自分たちの足で歩く時が来たのです。 -██次席研究員
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは当該地域の住人に認知されない形で、高さ3m以上の金属製のフェンスによって封鎖されます。宿泊施設ならびに住居の賃貸業は、財団の傘下企業が独占し、当該地域外の人間が7日以上滞在しないように妨害します。当該地域に登録された車両全てに追跡装置を追加し、動向を記録します。当該地域に唯一存在していた鉄道駅の移設作業は完了しました。
説明: SCP-XXX-JPは、████に存在する人口5,560人(20██年5月現在)の街です。
SCP-XXX-JPは、山間部に位置しており他地域からの住人の往来は比較的少なく、住人のうち98.9%は勤務地と住居が当該地区内に存在しています。当該地域の住人は、定住後、当該地域外へ退出する機会が、極端に減少する傾向にあります。財団が収容下に置いて以降、居住地を移動させた住人は存在しません。
SCP-XXX-JP内の人間は、後述するSCP-XXX-JP-1、通称"チャッピー"という人物について異常な反応を見せます。
SCP-XXX-JP-1は、C██████・████という氏名で、1918年に出生記録のある実在の人物です。SCP-XXX-JP-1は、1936年に███空軍の士官候補生として入隊し、第51戦闘航空団の第3飛行隊第8中隊に配属され、同航空団の中隊長まで昇進しました。SCP-XXX-JP-1は、1944年5月12日████上空で撃墜され死去したものと記録されています。
SCP-XXX-JP内で、SCP-XXX-JP-1は極度に英雄視されており、SCP-XXX-JP内の人間全てがSCP-XXX-JP-1に対し非常に好意的な反応を示します。また、SCP-XXX-JP-1に由来すると考えられる人物や物品、SCP-XXX-JP-1の氏名や関係する数字に近しい人物や物品も、SCP-XXX-JP-1と同様に重要視されます。この異常性は7日以上SCP-XXX-JPに留まった人間にのみ発現し、同様にSCP-XXX-JP外で7日以上滞在すると消失します。最初に異常性が発生したのは、1981年ごろと判明していますが、直接的な原因は依然として不明です。
以下は、異常性の認められた当該地区での事象記録です。当該事象 | SCP-XXX-JP-1との関連性 |
---|---|
"チャッピー" "チャップ"などの名前の急増 | 1981年生まれ以降の人間、店舗、商品が同様の名前を有しており、住人に多少の混乱が見られます。同様の名前の店舗や商品は人気となっています。 |
"チャッピー" "チャップ"といった愛称の急増 | 正式な名称でないものの、チャッピーと呼ばれる人間が多数存在し、住人に多少の混乱が見られます。 |
Coca-Cola社以外のコーラの排除 | 頭文字がSCP-XXX-JP-1と同じ"C"という理由で偏って販売されています。 |
現市長の就任 | 1981年に現市長が就任してから現在まで当選し続けています。SCP-XXX-JP-1に生年月日が最も近いという理由です。当該人物は非常に高齢であり、現在は自宅から移動できません。 |
"1918" "1944"のナンバープレートの急増 | 共にSCP-XXX-JP-1の生誕、死没の西暦にあたります。 |
レンタルビデオの"C"の棚の異常な拡充 | 頭文字がSCP-XXX-JP-1と同じ"C"という理由です。特にチャールズ・チャップリンの作品は全作品が複数個陳列されており、デジタルリマスターおよび当該人物を題材とした作品も同様の扱いを受けています。 |
映画館における"チャッピーの日" | 毎週水曜日に行われています。チャールズ・チャップリンの作品などが上映されます。理由は同上。 |
書店におけるイギリス古書の陳列 | チャップ・ブックと呼ばれていることに由来します。 |
書店における"ライ麦畑でつかまえて"の大量陳列 | 1980年に著名な音楽家を殺害した犯人が、事件当日に読んでいた本。当該人物の名前が"チャップマン"であることが理由と思われます。 |
ケチャップの製造業の開始 | "チャップ"の文字が含まれているためと考えられる。マスコットキャラクターの名称は公募により"チャッピー"に決定。 |
以下は、完全収容前の調査中に記録された音声の一部です。
調査記録XXX-JP-0023-Vo002: 2003/10/19 13:45:00
付記: エージェントTがSCP-XXX-JP内の潜伏調査中、住人と接触した際の録音です。エージェントTと接触した住人はのちにE.H.氏と判明。エージェントT: Coca-Cola社以外の清涼飲料水は扱わないのですか?
E.H.: 妙な言い方するんだなあんた。Coca-Colaならチャッピーが2つも入ってるだろ?[笑い声]
エージェントT: Pepsi-Colaのほうがチャッピー(chappie)の綴りに近くありませんか?
E.H.: [笑い声] Cから始まらなきゃ、チャッピーじゃないだろ。まあ買いたいなら隣町まで行くんだな。
エージェントT: いえ、私もCoca-Colaのほうが好きなので。[物音] チャッピーに関係のない商品は扱っていますか?
E.H.: お。チャッピーが好きか。オレも好きだぜ。かっこいいもんなあ。
エージェントT: いえ、私が好きなのはCoca-Colaです。[物音] あ、いえ、チャッピーも好きです。
E.H.: Coca-Colaはチャッピーが2つも入ってるからなあ。[笑い声] 他のやつはダメだな。
エージェントT: チャッピーを初めて見たのはいつごろですか?
E.H.: よく見てみろよ。ここに2つも入ってるだろ。(Coca-Colaのロゴを指して) オレが小さいころからチャッピーはあったさ。
エージェントT: [沈黙] チャッピーのどこが好きですか?
E.H.: [笑い声] そっか。お前も好きなんだな。かっこいいもんな。ほら、飛行機操縦するところとか。
エージェントT: 他にチャッピーについて知ってることはありますか?
E.H.: そうだなあ。[笑い声] みんなが好きだってことかな。
エージェントT: [沈黙] [物音] チュッパチャップス(Chupa-Chups)をください。
事案報告XXX-01: 2003/11/05 封じ込め下にも関わらず、出入管理記録と住民記録に存在しない人物が監視カメラの映像に発見されました。追跡調査の結果、SCP-XXX-JP-1の実弟であることが確認されました。他、SCP-XXX-JP-1と同じ学校に在籍していたD██████・█████氏、近所に暮らしていたS███・██████氏、同じ航空団に所属していたJ███・████████氏が当該地域で生活している様子が確認されています。いずれの人物も記録上すでに死亡しています。
それぞれをSCP-XXX-JP-2A、同-2B、同-2C、同-2Dと指定し、SCP-XXX-JPの住人に秘匿された状態で確保収容しました。SCP-XXX-JP-2群は、SCP-XXX-JP-1が死亡した時期の年齢と見られる外見をしており、また同時期の記憶を有しているように見られます。いずれも身体および精神に異常性は認められません。
聴取記録XXX-002: SCP-XXX-JP-2D(J███・████████氏と同一の外見)に対して行われた聴取記録の抜粋です。
S博士: やあ。今日はあの街で目を覚ましたところからもう一度聞かせてもらえないかな。
SCP-XXX-JP-2D: はい。奇妙なことです。入隊してからぐっすり眠れたことは無いのに、あの日は別の部屋で目を覚ますまで、眠り続けていたようです。
S博士: 誘拐された日?
SCP-XXX-JP-2D: はい。他にも3人の男が同じ部屋にいました。1人は写真で見たことがありました。[SCP-XXX-JP-1]の弟でした。
S博士: そのとき、同じ部屋に他に誰かいましたか?
SCP-XXX-JP-2D: おそらく誘拐犯だとは思うのですが、他に3人の男がいました。目を覚ますとすぐに[SCP-XXX-JP-1]のことを聞かれました。非常に興奮していて、一度に聞かれるものだからそのときなんと聞かれたか。
S博士: なんと答えましたか?
SCP-XXX-JP-2D: ここはどこだと聞きました。すると、██の████だと言うのです。しかも2003年の。それを聞き出すのにも時間がかかりました。彼らの言語は拙いもので。それに頻繁に[SCP-XXX-JP-1]のことを聞くのです。
S博士: [SCP-XXX-JP-1]について答えましたか?
SCP-XXX-JP-2D: ええ。まあ、普通の男だったのでこれと言って教えることはなかったのですが。戦闘機の操縦はそこそこ上手かったとか、窓ガラスに落書きするのが趣味とか、ひとつひとつ教えるたびに彼らは大いに喜んでいました。そのあと、家に帰してくれと頼むと、できればこの街に留まってほしいと頼まれました。
S博士: 受け入れましたか?
SCP-XXX-JP-2D: 最初は断りました。すると、数日の間、街を見て回れば、その後に帰してくれると言いました。しかし、2日の間に私の考えは変わりました。ここが本当に2003年の、外国の知らない街であることを痛感したのです。戦争は終わり、私の家族はほとんどこの世にいませんし、私との別れを終えたあとでした。
S博士: その後どうしていましたか?
SCP-XXX-JP-2D: どういうわけか、彼らは私たちの生活を助けてくれました。カフェで道端で、[SCP-XXX-JP-1]の話をするだけで彼らは喜んでいました。なぜ普通の男の話で喜び、彼らはあいつを英雄と呼ぶのでしょう。あいつが撃ち落した敵といえば、10か20くらいで、もっとすごいやつはいるのに。
S博士: 少し複雑な話かもしれませんが、彼らはあなたをどうやって1944年から連れ出したのかわかりますか?
SCP-XXX-JP-2D: さあ、物理学はさっぱりですしSFにもあまり興味がありません。私が死んでいるという事実は、私の私への興味を失わせました。あまり知りたくない事実です。
S博士: すみません。気分を害しましたか。
SCP-XXX-JP-2D: いえ。ただ、なぜ[SCP-XXX-JP-1]を呼ばないのかと聞いたところ、彼は潔癖症だったからできなかった、と答えていました。
S博士: 潔癖症?どういう意味か聞きましたか?
SCP-XXX-JP-2D: いえ。そのことを知っている人間はあまりいないようでした。
SCP-XXX-JP-2A、SCP-XXX-JP-2B、SCP-XXX-JP-2Cへの聴取でも、クローニングに関係する可能性の高い証言を得ています。しかしながら、クローン技術のみでは記憶の再現は不可能と見られ、情報のかく乱の可能性も指摘されています。いずれの場合も、大規模な施設が必要と考えられるため、当該地域における建造物の徹底的な調査が行われていますが、成果は上がっていません。
補遺01: 2003年06月ごろから、SCP-XXX-JP内において建造物の窓ガラスへの落書きが急増しています。
脅威は去った。
窓は景色を映し、木の陰にヒトの顔はもはや無い。
命の水は哀れな男を癒し、次元の壁に歪みは無い。
扉の鍵は二度と開かない。
すべては正しい位置に、すべては正しい温度に・・・
45日前、収容サイト-8102は3回目の改修工事を終えていた。
今回の改修工事により規模を28%に縮小した。収容しているオブジェクトの危険性が低下したためである。
その施設の一角、かつて数多くの制圧用備品が置かれていた部屋で、二人の男が語り合っていた。
この冷たい部屋は地下2階。天井近くの細長い窓から、わずかな太陽光が差し込んでくる以外、
今はもう何も無い。
あるとすれば、かつての金属、分厚い紙の束、真新しい火薬たちの、緊張感をもたらす匂いだけだ。
この広い空室の真ん中に、粗末なパイプ椅子を2つ並べて、二人の男が向かい合って座っている。
二人はこの部屋の、ほこりひとつ無い空気を乱さないかのように、静かに言葉を交わす。
「なにもないね」
「なにもないですね」
言葉が響く。部屋の空気を震わせる。相変わらず壁は冷たい。
「これからどうするんですか。」
「まだわからない。でも行きたいところは山ほどある。大陸の奥深くに、途方も無い高さの滝があるらしい。
水は溜まらない。途中で霧になるから。その下を両手を広げて歩きたい。きっと気持ちいい。」
床も冷たい。
「我々は何をしてきたのでしょう。人類にとって、我々とはなんだったのでしょう。」
細身の男がため息混じりに聞いた。
銀色の髪の男が、少しだけ考えて答える。
「保留用オルゴールというのを知っているか?」
「保留?電話の機能ですか?」
「かつての電話は受話器を取って話すことしかできなかった。保留ボタンがついたのは何年も後で、
その間に作られたのが、保留用のオルゴールなんだ。
受話器を上に置くと、内部で留め金が外れ、音楽が流れ始める小さな箱さ。」
「知りませんでした。」
「保留ボタンのない電話はもう無い。そして、オルゴールも必要なくなった。
彼らは人類の歴史に突然現れ、そして突然消えた。
いつか彼らは忘れ去られる。そのために存在した我々もまた忘れ去られる。」
「そのオルゴールのように?」
その問いかけに、銀色の髪の男が小さく笑う。
「しかし、オルゴールはオルゴールのことを忘れない。そうだろう?」
銀色の髪の男は何か考えている。何かを含ませて、こちらを見ている。
細身の男は、その小さな鍵穴に気づいて答える。
「あなたは人間の世界で暮らしていけるのですか?」
銀色の髪の男が目を細める。舐めるような視線で、こちらを見ている。
「あなたはその体を返さないのか?」
細身の男の表情が曇る。
「もう返すところなどありません。彼女の家族は、もう彼女のことなど覚えていないのですから。」
「あなたはもはや、その体無しでは生きられない。それとも、適当な死体を見つけて頭を食べるのか?」
答える声に怒気がこもる。
「私は人間だ」
「私も人間だ」
銀色の髪の狼が立ち上がる。
「まだ私には仕事がある。」
狼は扉に向かって歩き始めた。細身の女性も立ち上がる。ボール状の頭が狼を見据える。
「これからどうするのですか。」
「受話器は取ってもらう。自分の手で電話は切らなければならない。」
記録映像からは異常性は見られない。検査手順36-Aに差し戻す。
除去処理は3回行われています。両名の確保を申請。
映像の職員に異常性は認められない。UkitanomosとZeroWinchesterは収容サイトから外出は認められていない。
これ以上の措置は必要ない。
SRAから回収された映像はXACTSのタイムスタンプと整合性を示しません。抽出後に改変された可能性があります。
映像内では複数のオブジェクトが破壊、もしくは完全収容されていると考えられる。
映像の解析により、高危険度オブジェクトの効率的収容手順の発見が期待される。異常性は認められない。
収容サイトで異常性を失っている状態は正常ではありません。
ZeroWinchesterは霧の中を歩いている。Ukitanomosはかつての制圧用備品室に鍵をかけた。扉は二度と開かない。
脅威は去ったのだ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの進路上に存在する都市は、到達前後2時間は財団の監視下に置かれます。影響範囲内にあるネットワーク上の監視カメラには、SCP-XXX-JP通過までの1分間、擬似映像が挿入されます。SCP-XXX-JPの進路と交差する航空機の飛行経路は、直ちに変更されます。財団が運用する静止衛星FOS-2-05"クロッカスII"によって、衛星航法システムに割り込み、偽装された迂回ルートを運行させます。同様に、衛星軌道からの観測などもクロッカスIIによって擬似情報に置き換えられます。SCP-XXX-JPの通過後、移動経路付近で頭部の損傷により死亡した人間が確認された場合、公共機関から対象を秘密裏に確保し、関係者にはクラスA記憶処置を施します。
- 進路変更計画-作戦Dについての要項:
- SCP-XXX-JP上面に建設されたサイト-8162には、ガス気球を使用し7日毎に2000tの液体燃料および必要物資が補給されます。
- サイト-8162内で精密機器は動作しません。例外として、電卓やSSDなど半導体のみで構成された機械類は動作します。
- サイト-8162の入退出時、床材や壁で被覆されていない部分を視認しないで下さい。
進路変更計画-作戦Dが完遂された場合、SCP-XXX-JPは南極点へ到達すると予想され、移動経路は非常に狭い範囲となるため、南極点を最終収容場所と定めた収容施設の建造が開始されています。
説明: SCP-XXX-JPは、直径3220m高さ630mの円錐状の物体です。
SCP-XXX-JPは、最下部がジオイド高1200m(±5m)の位置に存在し、未解明の原理により常に宙に浮いた状態にあります。SCP-XXX-JPは、赤道付近を西方向へ、最大時速240kmで移動し続けており、移動経路は回帰線とほぼ一致しています。地球の公転面上に位置し続けているためと見られますが、地球および太陽との因果関係は不明です。
SCP-XXX-JPは移動と合わせ、240分に1回転の速度で、東回りに自転しています。SCP-XXX-JPの中央には、主に鉄から構成される支柱が上下に伸びており、この支柱が回転の中心にあります。SCP-XXX-JPの全体は、カシ(Quercus robur)の木材で構成されており、物理的手段で破損させることが可能です。採取した試料の分析により、SCP-XXX-JPは製造から50年程度経過していることが判明しています。
SCP-XXX-JPは移動領域がほぼ海洋上であること、移動速度が高速であること、加えて下記の異常性のため一般市民が発見した記録は存在しません。
SCP-XXX-JPは、自身を中心とした半径15.4kmの範囲において、可動部位を持った生物と非生物に対し影響を与えます。影響範囲内に入った生物は、SCP-XXX-JPの方向を向くことができなくなります。この影響力は物理的外力ではなく、生物の無意識的な選択行動によって発生します。影響力の強さは、SCP-XXX-JPとの距離に比例し、当該オブジェクトの直下においては一時的な記憶の欠落も発生します。
SCP-XXX-JPの影響は、カメラや鏡など光学的にSCP-XXX-JPを観測可能な物品にも及び、それら非生物には物理的外力によって向きを変更します。発生する物理的外力は最大でも50N/cm2程度と見られますが、固定された物品などに対しては、内部部品の変動によって観測不能な状態を発生させます。
SCP-XXX-JPの影響範囲内にある生物は、向きの強制に伴い行動力が低下する傾向にあります。同様に、可動部品を使用した機械類にも運動と仕事の欠損が発生します。この性質は、都市部において重大な経済的損失を与えることが判明しており、SCP-XXX-JPの進路変更は対象の収容や隠蔽よりも優先されています。
補遺: 十分な知性を持った生物は、SCP-XXX-JPの影響力に抵抗することも可能ですが、肉眼によるSCP-XXX-JPの視認は致命的な結果が伴います。以下の資料は、偶発的にSCP-XXX-JPを視認した職員の検査結果です。
詳細の閲覧にはセキュリティクリアランスLevel4以上が必要です。 |
---|
消失現象の直前に、不随意の排泄現象が見られますが関連は不明です。消失した生体組織の発見は未だに成功していません。
進路変更計画: SCP-XXX-JPの最北進路に都市部が集中しているため、現在の進路よりも南へ600km以上移動させる計画が立案されました。
提出された計画一覧:
作戦A: [許可] 収容および設計担当班によって発案された最も早期の計画です。 | |
初期手順は輸送ヘリの導入が想定されましたが、SCP-XXX-JP付近では動力を喪失したためガス気球に切り替えられました。ガス気球の導入により、SCP-XXX-JP上面への着陸が可能になり、機材の設置などが行えるようになりました。床材の敷設により、SCP-XXX-JP上面は現在、安全に行動が可能です。
全ての土台が引き抜かれるまでの1分間に、SCP-XXX-JPの移動速度が12%低下したため、土台となる構造体が見直されました。 |
作戦B: [却下] 高危険度オブジェクト対策会議による計画です。 |
却下理由: 捕獲ネットの強度不足および、吊り上げ可能重量を超過すると見込まれるため。 |
作戦C: [許可] 収容および設計担当班によって発案された計画です。 | |
作戦Cによって、SCP-XXX-JPの進路が南へ50cm程度移動したことが確認されました。 |
作戦D: [許可] 対策班"ディアボロ"によって発案された長期的な計画です。 |
進行中の計画一覧を参照。 |
作戦E: [許可] 収容および設計担当班によって発案された計画です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作戦Dの有用性が認められたため、作戦Eは中止されました。NEZACは作業補助および、緊急時対処手段としてサイト-8162で維持管理されます。 |
進行中の計画一覧:
作戦D: [継続中] | |
NEZACの導入により、ロケットエンジンの設置が早期に完了しました。現在は、作戦Dのみが継続的に実行中です。 |
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの発生源である実験ユニット-U002は完全に封鎖されています。SCP-XXX-JP-Aの開放には、セキュリティクリアランスLevel4を持つ職員2名以上の許可が必要です。SCP-XXX-JPによって発生した映像郡はRAISA監理分類に指定されます。認証コードはRAISAが管理しています。
説明: SCP-XXX-JPはサイト-8111の第7区画における異常現象の総称です。
異常現象の中心と見られる、実験ユニット-U002の出入り口は、SCP-XXX-JP-Aに指定されています。SCP-XXX-JP-Aを開く、あるいは当該区画内を監視カメラなどによって認識した瞬間に、SCP-XXX-JPが発生していると考えられます。
SCP-XXX-JPが発生すると、財団の監視システム内に、実験ユニット-U002内部の監視映像が記録されます。
映像内の実験ユニット-U002内部は、███に存在する家屋の一室が再現されており、1980年02月14日(午前3時45分)時点の主寝室および居住者が正確に再現されています。映像は10分間のみで、再現空間内の人間の死亡と同時に録画が終了します。監視映像の付属情報には、財団職員による実験記録が書き込まれており、当該職員の記憶および保安情報一切に、実験が行われた痕跡はありません。
SCP-XXX-JP-Aを開いて再現空間へ干渉する試みは、現在までに8回行われましたが、全て失敗しています。
監視映像および付属情報一覧:
- 再生001: 19-i/0f/18 10:05:11
再生実験XXX-RP003-001: 実施日 19-[不明]/0[不明]/18
指定対象: Dクラス職員(IDNo.-D-450979)の父親
死亡時の状況: 1980/02/14 03:45 対象の自宅へ強盗が侵入。対象は就寝中に銃撃を受け、3分12秒後、頭部の損壊により死亡。
実験の実施状況: 押収した物品で現場を再現し、SCP-XXX-JPを配置。D-450979の証言から再生行動を策定。照合のためD-450979も同席。
タイムライン 再生された場面(RP003-S001-寝室) 00:00:03 再生開始と同時に、実験室に対象の寝室が再現される。対象の隣に配偶者が出現。両者共に就寝中。 00:06:42 強盗が静かに寝室へ侵入。ベッドの対象と配偶者へ向け発砲。5発の発射を確認。両者ともにベッドの下へ転落。 00:08:21 銃声を聞いた子供が寝室へ近づく。 00:08:57 対象が起き上がり強盗に襲い掛かる。対象さらに3発の銃弾を胴体部に受ける。 00:09:26 対象の抵抗で強盗が銃を落とす。対象が離れないため、強盗は戸棚の彫刻を手に取り、対象の頭部を殴打。 00:10:00 再生終了。 検証報告: 当該地域で過去に発生した事件の再現と見られます。実際の事件記録と多少差異があり、付属情報にてSCP-XXX-JPの呼称が使用されています。実験を実施した職員に異常は認められません。
- 再生002: 19ta/0h/18 10:42:30
再生実験XXX-RP003-002: 実施日 19[不明]/0[不明]/18
指定対象: Dクラス職員(IDNo.-D-450979)の父親
死亡時の状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。
実験の実施状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。タイムライン 再生された場面(RP003-S001-寝室) 00:00:02 実験室に対象の寝室が再現される。対象の隣に配偶者が出現。両者共に就寝中。 00:07:04 強盗が静かに寝室へ侵入。ベッドの対象と配偶者へ向け発砲。5発の発射を確認。両者ともにベッドの下へ転落。 00:08:43 銃声を聞いた子供が寝室へ近づく。 00:08:57 対象が起き上がり強盗に襲い掛かる。対象さらに3発の銃弾を胴体部に、頭部に1発受ける。 00:09:26 対象の抵抗で強盗が銃を落とす。対象が離れないため、強盗は戸棚の彫刻を手に取り、対象の頭部を殴打。 00:10:00 再生終了。 検証報告: 映像内の人物の行動にわずかな変化が発生。起き上がる時間が再生001の映像よりも22秒早くなっています。
- 再生003: 19-y/-a/19 11:07:09
再生実験XXX-RP003-003: 実施日 19-[不明]/-[不明]/19
指定対象: Dクラス職員(IDNo.-D-450979)の父親
死亡時の状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。
実験の実施状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。タイムライン 再生された場面(RP003-S001-寝室) 00:00:02 実験室に対象の寝室が再現される。対象の隣に配偶者が出現。両者共に就寝中。 00:07:42 強盗が静かに寝室へ侵入。ベッドの対象と配偶者へ向け発砲。5発の発射を確認。両者ともにベッドの下へ転落。 00:08:55 対象が起き上がり強盗に襲い掛かる。 00:08:57 対象さらに2発の銃弾を胴体部に受けつつ、強盗へ殴りかかる。強盗が銃を落とす。 00:09:26 対象が離れないため、強盗は戸棚の彫刻を手に取り、対象の頭部を殴打。 00:10:00 再生終了。 検証報告: 映像内で撃たれる人物の被弾数が変化。映像内の人物の内1名が死亡した直後、映像内の人間が全て消失し、死亡した人物と入れ替わるように、別の人間が出現する映像が1.5秒間記録されていました。出現した人物は、SCP-XXX-JP-1と指定されました。
- 再生004: 19si/0m/25 10:03:47
再生実験XXX-RP003-004: 実施日 19[不明]/0[不明]/25
指定対象: Dクラス職員(IDNo.-D-450979)の父親
死亡時の状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。
実験の実施状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。タイムライン 再生された場面(RP003-S001-寝室) 00:00:02 実験室に対象の寝室が再現される。対象の隣に配偶者が出現。両者共に就寝中。 00:07:42 強盗が静かに寝室へ侵入。ベッドの対象と配偶者へ向け発砲。5発の発射を確認。両者ともにベッドの下へ転落。 00:08:40 対象が起き上がり強盗に襲い掛かる。 00:08:46 強盗がさらに5発発砲。対象が4発回避。対象が強盗へ殴りかかる。強盗が銃を落とす。 00:09:10 対象が離れないため、強盗は戸棚の彫刻を手に取り、対象の頭部を殴打。 00:10:00 再生終了。 検証報告: 映像内で死亡する人物の被弾数がさらに減少。指定対象の死亡後の映像が4秒間に増加。死亡後に出現したSCP-XXX-JP-1が、監視カメラを振り返る動作を見せました。
- 再生005: 19si/0-/25 10:25:17
再生実験XXX-RP003-005: 実施日 19[不明]/0-/25
指定対象: Dクラス職員(IDNo.-D-450979)の父親
死亡時の状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。
実験の実施状況: 再生実験XXX-RP003-001に同じ。タイムライン 再生された場面(RP003-S001-寝室) 00:00:02 実験室に対象の寝室が再現される。対象の隣に配偶者が出現。両者共に就寝中。 00:08:42 強盗が静かに寝室へ侵入。ベッドの対象と配偶者へ向け発砲。5発の発射を確認。対象が配偶者に覆いかぶさり被弾。 00:08:50 対象が起き上がり強盗に襲い掛かる。 00:08:54 強盗がさらに5発発砲。対象が全て回避。対象が強盗へ殴りかかる。強盗が銃を落とす。 00:09:20 対象が離れないため、強盗は戸棚の彫刻を手に取り、対象の頭部を殴打。 00:09:41 子供が床に落ちた銃を拾い上げる。 00:10:00 再生終了。 検証報告: 死亡後の映像が6秒間に増加。SCP-XXX-JP-1が監視カメラに向かい、自身の目前の空間を指差し、映像が終了しました。
- 再生006-007: N/A
[監理分類へ移動済] - 再生008: 19-m/0-/27 10:25:17
再生実験XXX-RP004-003 実施日 19-[不明]/0-/27
指定対象: Dクラス職員(IDNo.-D-450979)の父親を殺害した犯人
死亡時の状況: 19██/08/15 対象が民家へ侵入。就寝中の夫婦を共に銃撃する。女性は即死。男性は3分12秒後に死亡。
実験の実施状況: 実験ユニットに当該車両とSCP-XXX-JPを配置。再生行動終了後に録画を確認。照合のためD-450979も同席。
タイムライン 再生された場面(RP004-S001-道路) 00:00:02 実験室に道路が再現される。対象は車に乗っている。盗聴器を確認中。 00:03:46 対象が降車。近くの民家の玄関前へ移動。解錠作業開始。 00:07:09 対象が玄関ドアを解錠。民家内へ侵入。 00:08:27 対象が静かに寝室へ侵入。ベッドの夫婦へ向け発砲。男性が配偶者に覆いかぶさり被弾。 00:09:10 男性が起き上がり対象に襲い掛かる。 00:09:34 対象の体が硬直し銃を落とす。男性が対象へ殴りかかる。対象と男性でもみ合いとなる。 00:09:58 男性が離れないため、対象は戸棚の彫刻を手に取る。 00:09:56 子供が床に落ちた銃を拾い上げました。 00:09:58 子供が対象の頭部を狙って発砲。 00:10:00 再生終了。 検証報告: 指定対象とされる人物と、再現される空間が変化。映像は実際の事件記録とほぼ一致します。死亡後の映像は2分23秒間記録されていました。
映像の内容から、SCP-XXX-JPは過去改変事象(CKクラス-再構築シナリオ)の可能性があり、各種測定装置により実験ユニット-U002内部の観測が行われました。観測によってデコヒーレンスが発生する可能性があるため、全ての測定はパッシブ方式が用いられています。
SeAFS電子分光器(SES)によるオージェ電子の検知を行い、内部空間への高ヒューム流入による原子の励起状態が測定されました。
SES検査結果: 実施日 20a-/g0/27
受信距離(cm) | 10 | 50 | 100 | 300 | 500 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ピーク時エネルギー(eV) | C | 360 | 360 | 360 | 360 | 360 |
O | 505 | 505 | 500 | 500 | 500 | |
Fe | 690 | 690 | 680 | 680 | 680 |
SESによるオージェ電子の測定では、現実強度の変化による物質の励起状態への移行はほとんど認められず、14式-カント計数機(KCM)による観測機器自体のヒューム値測定が行われました。
KCM検査結果: 実施日 20la/q0/01
受信バンド(bW) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
パッシブ | 電子分光器(SES) | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
アクティブ | X線光電子分光器(XPSM) | 1.0 | 1.3 | 1.3 | 1.4 | 1.6 |
カント計数機(KCM) | 2.0 | 2.2 | 2.4 | 2.5 | 2.6 | |
監視カメラ | 1.0 | 4.7 | 5.7 | 6.6 | 10.1 |
以上の測定結果から、観測によるデコヒーレンスが発生する可能性は高く、直接的な視認によって内部の改変事象が外部へ波及するものと考えられます。
死亡後の映像: 再生008で指定対象が死亡した後の映像には、T博士の音声が確認されました。実験ユニット-U002に設置されたスピーカーを通じて、SCP-XXX-JP-1と対話を行っています。T博士は該当する映像内での記憶を有していません。
映像記録-NVO003: [不明][不明]/[不明] 取得日:[不明] 再生008から抜粋。
T博士: あなたの姓名を教えてください。
SCP-XXX-JP-1: [T博士]? 戻ったのですか?
T博士: [5秒間][背後の職員と相談?] どういうことですか?
SCP-XXX-JP-1: 彼は。D-450979はどうなりましたか?
T博士: 待ってください。[30秒間] 機密事項なので多くはお教えできません。現在は、別サイトの業務に従事しています。
SCP-XXX-JP-1: そうですか。最初の台本では、彼は死ぬことになっていましたね。私のアドリブが気に入ってもらえてよかったです。
T博士: [30秒間][背後の職員と相談?] 最初の台本に何が書いてあったのか覚えていますか?
SCP-XXX-JP-1: 最初、この建物は閉じていました。過去に死んだ彼を演じたことで、この建物の多くのヒトが死ぬことになっていました。あなたの出番はもう終わりだと思っていたので、うれしいです。
T博士: 過去? 過去を演じているのですか? 閉じているとは一体?
SCP-XXX-JP-1: 今回の仕事はすばらしい仕事です。人知れず、この世界を守っているヒトたちの記録映画なのですから。
T博士: [5秒間] 映画は何時間の上映予定ですか?
SCP-XXX-JP-1: さあ。そこまでは聞かされていません。とても長い仕事だと、聞いています。
T博士: 台本を見せてもらえますか?
SCP-XXX-JP-1: すみません。家で覚えてきたもので。ここには持ってきていません。[T博士]は持っていないのですか? あなたが死なない新しい台本を。
T博士: 探してみます。
[1分間][席を離れていた?]
T博士: 新しい台本は手元にないようです。古いほうの台本を演じることはできますか?
SCP-XXX-JP-1: なぜです? あなたはこれから大きな仕事をしていくのに?
T博士: 過去は。[沈黙] 記録映画は正確に作られるべきです。アドリブで、台本を変えることはよくありません。どんなに、それが良い方向に変わってもです。そのヒトたちは、最善を尽くしました。どんな結果になろうとも、その結果が残されるべきです。
SCP-XXX-JP-1: 私は今の台本のほうが好きです。監督だってそう言います。
T博士: 監督?
SCP-XXX-JP-1: 次の仕事の時間です。続きを始めなければ。
T博士: 仕事は終わりです。これ以上
<映像終了>
再生006と再生007の死亡後の映像にはSCP-XXX-JP-1の短い音声が記録されていますが、内容に一貫性は見られません。
映像記録-NVO002: [不明][不明]/[不明] 取得日:[不明] 再生006から抜粋。
SCP-XXX-JP-1: どこまで [不明瞭な音声] せ [ノイズ] [ノイズ]
<映像終了>
映像記録-NVO001: [不明][不明]/[不明] 取得日:[不明] 再生007から抜粋。
SCP-XXX-JP-1: [不明瞭な音声]なかないで[不明瞭な音声] [ノイズ]
<映像終了>
映像内でD-450979と呼ばれる人物は、実在が確認されている民間人であり、財団で一時的に確保しました。聴取が行われた後に記憶処理を行い、現在は解放されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、防水コンクリート製の水槽を備えた低危険度収容室(カテゴリ-1)に収容されます。水槽の容量は62,000L以上が推奨され、SCP-XXX-JP-Bが溢れた場合は水密扉が開放されます。収容室内で発生するSCP-XXX-JP-Bの流出量は、月間の合算で0(cm3/s)になるよう、調整を行ってください。SCP-XXX-JPには、収容室内もしくは収容サイト内で、書類整理や清掃作業に従事させることが推奨されています。
説明: SCP-XXX-JPは、体組織の99.995%が希ガスで構成されている、ミズクラゲ(Aurelia sp.)によく似たオブジェクトです。
SCP-XXX-JPは、ある程度の自発的意思を有しており、破壊された物体あるいは散乱した物質を元の状態へ戻そうとする働きを見せます。オブジェクトの興味は主に、人類の社会生活における規律や規範、文明社会において最良とされる状態に強く向かいます。この性質において、オブジェクトは人間の使用する道具や衣類、あるいは機械類の整備整頓を最優先に行います。それらが満たされていた場合、人間を含む生物の欠損や病変の治療を試みますが、オブジェクトの治癒能力はごく小さなものです。
財団で現在収容している個体(-A001)は、直径26cm体積600ml程度の大きさで、重量はほぼゼロです。通常時は、地表から10cm程度の高さを漂うように浮遊します。SCP-XXX-JPは物理的な性質上、光をほとんど反射せず、肉眼で直接観測することはできません。観測する場合、赤外線による熱分布測定や、人口的な霧の散布などによって容易に視認できるようになります。
SCP-XXX-JPの最初の個体(-A001)は、2004/12/31に日本列島の東京都江東区において発見、確保されました。
発見前、当該地域において目的不明の清掃作業が行われる現象が発生しており、清掃作業従事者への聴取と現地調査を行っていたところ、地面を横移動する嘔吐物が発見され、SCP-XXX-JP-A001の確保収容に至りました。
実験記録: SCP-XXX-JPが行動する基準、または目的を解明するために行われた実験です。
実験-001: 実施日 2005/02/11 10:30:00
実施状況: 実験室に本棚のみを配置し、床に3冊の本(電話帳、国語辞典、プリンターの取扱説明書)を置き、SCP-XXX-JPを入室させる。
結果: SCP-XXX-JPは本棚には興味を示さず、3冊の本のページを繰り返しめくっていた。
実験-002: 実施日 2005/02/11 12:30:00
実施状況: 実験-001の状態から、本を全て本棚へ収納し、SCP-XXX-JPを入室させる。
結果: SCP-XXX-JPは本棚から本を取り出し、実験-001と同じ状況を作り出した上で、本のページを繰り返しめくっていた。
実験-003: 実施日 2005/03/07 11:25:00
実施状況: 実験室内に研究員Iの自室(かなり雑然としている)を再現。SCP-XXX-JPを入室させる。
結果: 室内の書類を全てめくって確認したあと、室内の筆記用具を使い全ての誤字を訂正した。
研究員Iのコメント: 気をつけます。
実験-004: 実施日 2005/03/15 11:40:00
実施状況: 周辺を隔離した上で、実際の研究員Iの自室(かなり雑然としている)にSCP-XXX-JPを入室させる。
結果: 室内を徹底的に整理整頓し、不要な物品は全て部屋の隅にまとめた。書類は全て誤字を訂正した上で、紙媒体資料は全てスキャンし、電子記録へ移行させた。
研究員Iのコメント: もうやめてください。
実験-005: 実施日 2005/03/17 10:30:00
実施状況: 実験室内に「なにか必要な物はありますか?」と印刷された紙と筆記用具を置き、SCP-XXX-JPを入室させる。
結果: SCP-XXX-JPは何もせずに室内をうろついていた。
誤字を訂正したことから、明確な識字能力を持つと見られますが、文字や図形を利用したコミュニケーションの試みは有意な結果を得られていません。
SCP-XXX-JP-B-EXの収容は必要ありません。 |
---|
SCP-XXX-JP-B-EX: SCP-XXX-JP-B-EXは、流動性の仮想物質です。
発見経緯: SCP-XXX-JPが浮遊できる高度は、1ヶ月に約5cmずつ上昇しており、別の収容室へ移動させると高度は元に戻ります。また、収容室下部の空調が開放されると、高度が低下するため、SCP-XXX-JPの周囲で液状の存在が発生しているものと推定され、収容方法が改訂されました。この存在は、SCP-XXX-JP-Bと指定されています。
WP-PD浮力計: SCP-XXX-JP-Bは、SCP-XXX-JPのみに相互作用し、あらゆる物質に影響を与えません。そのため、SCP-XXX-JP-Bの存在量を計測できる専用機材 "WP-PD浮力計" が開発されました。WP-PD浮力計には、オブジェクト表面から採取した試料5μgが使用されています。WP-DP浮力計は、SCP-XXX-JP-B中にある時と、水中にある時で同一の数値を示します。
SCP-XXX-JP-A群: WP-PD浮力計を用いて、各所でSCP-XXX-JP-Bの検出を行った結果、新たに17体(A002-A018)のオブジェクトが回収されました。
日本列島 新潟 | 3体 | 日本列島 佐賀 | 1体 |
アメリカ合衆国 ニューオーリンズ | 3体 | アメリカ合衆国 ミシシッピ | 5体 |
オランダ アムステルダム | 2体 | 回収地不明 | 3体 |
A001以外の回収個体は、回収から24日目までに全て消滅しています。
SCP-XXX-JP-B漏洩事故: 85回目以降の定期高度測定に変化が見られず、90回目以降は1ヶ月に2cmずつの低下が確認されました。精密な調査の結果、収容室に損傷は認められず、SCP-XXX-JP-Bの漏洩も確認されませんでした。
107回目の定期高度測定中に、SCP-XXX-JP-Bの漏洩が確認されました。収容室の破損は認められず、SCP-XXX-JP-Bの流出元を追跡した結果、M博士の身体から発生していることが確認されました。
追加調査により、収容サイトの職員全員からSCP-XXX-JP-Bの発生が確認されました。流出量には個体差が認められ(平均流量0.03cm3/s)、収容サイト内ではM博士が最も多く流出させていました(最大流量0.7cm3/s)。WP-DP浮力計の貸与によって、他2箇所の収容サイトでも全職員からSCP-XXX-JP-Bが微量ながら検出されましたが、WP-DP浮力計による影響を考慮し、これ以上の職員の測定は行われませんでした。
同標本であっても、SCP-XXX-JP-Bの流出量は測定する時期によって違い、ほぼ流出の認められない標本もあります。
108回目の高度測定により、SCP-XXX-JPの浮遊高度が再び5cm上昇していることが確認されました。110回目の高度測定によって前担当研究員との関連性が指摘されました。
会議音声記録IPI-002: 2012/04/17 22:14:00 SS8181-SR002-2211-004 print:Saig
S博士: 現担当の私と、前担当のあなたの行った収容および研究手順に違いは見られません。なぜ浮遊高度は変化したのでしょうか。
研究員I: 私の知るところではありません。
S博士: 事故調査の間、あなたが一時的に担当に戻った途端に、SCP-XXX-JPの高度は再び上昇し始めました。関連はあるはずです。
研究員I: WP-DP浮力計はオブジェクトの体組織によって作られた計器です。信頼できる数値とは思えません。
S博士: SCP-XXX-JP-Bの深さが1cm以下になったSCP-XXX-JPは、全て消滅しています。少なくともオブジェクトの保全には必要な数値です。
[編集済:disp/Maeh][編集済:disp/Yash]
研究員I: もしも、WP-DP浮力計の示す数値が確かなものだとするなら、答えはかなり単純なものです。
S博士: 私はまだその答えを持ち合わせていません。
研究員I: あなたは自分をWP-DP浮力計で測ったことはありますか?
SCP-XXX-JP-Bの発生を停止させる試験的治療には、10名のDクラス職員が参加しましたが、有意な結果は得られませんでした。意識レベルを低下させる処置には、SCP-XXX-JP-Bを減少させる一定の効果が認められましたが、治療薬の効果が切れるとSCP-XXX-JP-Bの流出量は元に戻ります。
SCP-XXX-JP-Bの発生が完全に停止した事例は、生体標本では現在1例のみです。標本の意識が喪失した場合や、肉体的な生命活動が停止した場合においても、SCP-XXX-JP-Bの発生は停止しません。標本が焼失する、粉砕され拡散するなどして、標本の同一性が失われた場合、SCP-XXX-JP-Bの発生は停止します。また、SCP-XXX-JP-Bの流出の認められない標本から、新たに発生が確認された事例はありません。
SCP-XXX-JP-Bの発生を異常状態として、職員全員を治療する提案は、O5を含めた会議の結果、無期限に見送られることになりました。
以下は、提出された治療方法です。
広域収容計画XXX-JP-LP001: SCP-XXX-JP-B治療手順。
SCP-XXX-JP-Bは以下の手順によって治療され、封じ込めを行うものとする。
- 手順-01: SCP-XXX-JP-Bの発生が認められる標本(以下標本)を、冷却材(77K)の使用によって保存処置を施す。
- 手順-02: 保存中に、SCP-XXX-JP-Bの流出量の低下が認められた標本を解凍、保存処置作業へ従事させる。
- 手順-03: 解凍後、SCP-XXX-JP-Bの流出が完全に停止した標本は、記憶処置および再編入手続きへ送致する。
- (手順-03-re01): SCP-XXX-JP-Bの流出量が増加した標本は再冷凍し、手順-02へ。
- 手順-04: 保存期間終了後、SCP-XXX-JP-Bの流出量が低下しなかった標本は、粉砕焼却処置とする。
治療手順を考案したS博士以外の全てのサイト職員が、治療手順実施に反対、もしくは代替案の考案を申請しました。
会議音声記録IPI-005: 2012/04/18 14:07:00 SS8181-SR002-2211-013 print:Saig
S博士: どのような原因で、SCP-XXX-JP-Bがあなた自身から発生していると思いますか?
M博士: 私は、WP-DP浮力計の示す物質が、私自身から発生しているとは考えていません。
[編集済:disp/Jing][編集済:disp/Zero]
S博士: しかし、現に、A001はSCP-XXX-JP-Bの影響を受けています。他職員とあなたを隔てている違いが、何かあるはずです。
[編集済:disp/Zero][編集済:disp/Yash]
M博士: あなたに何ができるのかよりも、適切な人材を収容に当てるべきではないですか。
S博士: 私がSCP-XXX-JPの収容にふさわしくないとでも?
M博士: だってあなたクラゲが嫌いでしょ?
[編集済:disp/Saig]
無作為抽出による民間人へのWP-DP浮力計の測定においても、微量ながらSCP-XXX-JP-Bの流出を確認しました。その他の哺乳類、鳥類では全ての標本から、魚類、爬虫類、両生類では一部の種からSCP-XXX-JP-Bの発生が確認されています。
SCP-XXX-JP-Bについては、WP-DP浮力計あるいはSCP-XXX-JPが作り出した情報汚染の可能性もあり、物質的なオブジェクトとしての収容は見送られました。あるいは、WP-DP浮力計の計測しているものが、物質的に存在するものだとしたら、報告書に記載するにはふさわしくない単語を使用しなければなりません。その場合、SCP-XXX-JP-Bは人類に普遍的かつ必要とされているものであり、WP-DP浮力計はその存在を目に見える形にしているにすぎず、やはり収容するべきものではありません。
SCP-XXX-JP-BはEXへ分類されました。
SCP-XXX-JP(-A001)の収容処置に変更はありません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは完全に収容されません。最後の17個体が生息している特別収容区域-8175は、面積5.97km2の島であり、収容サイトとしての機能を持ちません。SCP-XXX-JPは遠隔カメラによって常時監視され、個体数を維持しなければなりません。当該区域では、SCP-XXX-JP以外の全ての動植物は、徹底的に排除されます。当該区域以外で発見されたSCP-XXX-JPは、収容サイト-8181の地下ユニット(U-0198-0203)へ移送されます。
説明: SCP-XXX-JPはアカサロマライト(alexaromalite)と同一の外見を持つオブジェクトです。
SCP-XXX-JPの異常性は、全ての個体が瞬間的に空間転移を行い、同時に総数を増減させることです。個体数の変化は最小で17個、最大で11,050,034個までの変化を確認しています。転移先の場所に規則性は見られず、移動距離にも制限が見られません。最長で17,898km移動したことが確認されています。
SCP-XXX-JPの転移現象には、小規模ながら高深度の情報改変現象も発生しており、転移先に目撃者などが存在していても、最初からSCP-XXX-JPがその場所にあったと証言します。そのため、現地調査によるSCP-XXX-JPの発見、再収容を困難なものにしています。SCP-XXX-JPは通常の個体と違い、白色をしているために目視によるオブジェクトの識別は容易です。
オブジェクトが転移を行う条件は確定的ではなく、現在の隔離措置も暫定的でしかありません。
回収記録: SCP-XXX-JPの転移後、回収された記録です。
回収記録-001 2007/01/01 |
最初の回収記録です。日本列島の北海道サロマ湖にて、捕獲のできないアカサロマライトとして民間の研究団体に発見され、財団が全ての個体を回収しました。関係者には記憶処理が行われました。 |
---|---|
回収数: 17 | |
回収記録-002 2007/01/02 |
最初の収容違反記録です。オブジェクトの重量測定中に転移現象が発生。物理的隔壁は全く効果が認められませんでした。SCP-XXX-JPは日本列島の湖を中心に拡散し、個体数の増殖を確認しました。収容サイトの食堂からも加熱調理されたSCP-XXX-JPが発見されました。以降、50m以内の人員の立ち入りが禁止されました。 |
回収数: 7,170,180 | |
回収記録-003 2009/04/06 |
再度収容違反が発生。ロボットアームによる遠隔操作中に転移現象が発生。最大転移距離は17,898kmまで及び、収容施設内の機材に使用されていた接合部品も、SCP-XXX-JPと置き換えられていました。以降、SCP-XXX-JPに接触する機材は全て木材、もしくは合成樹脂で製造された物のみが使用されました。 |
回収数: 560,999 | |
回収記録-004 2009/05/11 |
3度目の収容違反が発生。最大転移距離は612km。SCP-XXX-JPは主に山中へ転移し、近縁種の樹木と同様に自生している状態で見つかりました。以降、SCP-XXX-JPの収容室は5箇所に分散されました。 |
回収数: 1,750,900 | |
回収記録-005 2012/10/05 |
4度目の収容違反が発生。最大転移距離は8,302km。SCP-XXX-JPは主に山間部に転移し、SCP-XXX-JPの栽培を行っている民間人も存在していました。SCP-XXX-JPに関する記録は、民間人の証言と矛盾しませんでした。また、収容サイトの食堂からも再び加熱調理されたSCP-XXX-JPが発見されました。以降、人員の立入禁止範囲が1kmまで拡大され、収容室は地下施設へ移されました。 |
回収数: 11,050,034 | |
回収記録-006 2015/06/28 |
5度目の収容違反が発生。最大転移距離は██,███km。 |
回収数: ████████ | |
回収記録-007 2015/07/03 |
6度目の収容違反が発生。再収容計画内で意図的に行われたものです。 |
回収数: (不明) |
聴取記録: SCP-XXX-JPに対し行われた聴取記録です。
聴取記録XXX-JP-001: 2014/08/03 14:53:00
研究員G: それではあなたの名前から聞かせてもらえますか?
SCP-XXX-JP: ████です。
研究員G: あなたがSCP-XXX-JPになったときの話を教えてもらえますか?
SCP-XXX-JP: 収容ケースに何かの植物を収容したときでした。SCP-XXX-JPとして、同行していた職員に拘束されました。
研究員G: 自身がいつから、アカサロマライトだったと記憶していますか?
SCP-XXX-JP: この研究施設に入ってからです。ああ、これでアカサロマライトになるのだと、緊張していたことを覚えています。
研究員G: 自身の空間転移能力について、どのような条件で発揮されるか、教えてもらえますか?
SCP-XXX-JP: 言わなければいけませんか?
研究員G: お願いします。
SCP-XXX-JP: おそらくですが、絶滅を避けたいんじゃないでしょうか。
研究員G: 絶滅?
SCP-XXX-JP: 今にして思えば、転移する瞬間というのは、全ての個体が収容された瞬間だったのかもしれません。
研究員G: 収容されることは、絶滅することと、同じ意味を持つということでしょうか。
SCP-XXX-JP: 自由な繁殖を制限されるというのは、おそらく同じ意味なのでしょう。あなたにもわかりますよね?
研究員G: そうですね。
SCP-XXX-JP: あなたはいつ、アカサロマライトになったのか。覚えていますか?
研究員G: 私の記憶は、保安のために制限を受けています。大学を卒業してから、アカサロマライトとして目覚めるまでの記憶はありません。
SCP-XXX-JP: 効率的な収容について、いくつかの提案があります。
研究員G: では一旦録音を停止します。
<録音終了>
補遺01: SCP-XXX-JPの収容室からは、未分類のアオサ藻網の海草、未分類の二枚貝網の生物、未分類の竜弓類の化石、未分類のブナ目の植物、未分類のキジカクシ目の植物が発見され、それぞれSCP-XXX-JP-(1-6)と分類されました。SCP-XXX-JP-5も含め、再定義修復作業は完了しています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは隔離区域外では異常実体を発生させません。隔離区域JP-4140の外周には高さ3m以上のフェンスを設置し、民間人の立ち入りを防いでください。隔離区域外周のフェンスには指定波長(570-580nm)の検知器を4m間隔で設置し、付近に保安職員3名以上が常駐しなければなりません。SCP-XXX-JP-A実体が区域外へ出た場合は、説得もしくは接触によって区域内へ戻してください。
追加手順-2007: 特定隔離区域JP-4140-Aには、一辺が5m以上の捕獲装置を設置しなければなりません。捕獲装置は厚さ1cm以上の金属(引張強度520N/mm2以上)で製造し、5mm以上の隙間を空けないでください。SCP-XXX-JP-Cの形成が確認された場合、即座に警戒態勢へ入り、SCP-XXX-JP-Bの早期の捕獲に努めてください。捕獲装置内のSCP-XXX-JPが死滅したことを確認した場合、装置を初期化し準警戒態勢へ移行してください。指定期間外はこの限りではありません。
説明: SCP-XXX-JPは、遺伝学的に Photinus pyralis と同一のホタルの一種です。
SCP-XXX-JPは、███の███の山中に生息しておりその個体数は最大で3,000匹程度です。類縁のホタルと同様に陸棲で、成虫になると腹部の発光器から光を放つようになります。発光が可能になったSCP-XXX-JPは、個体同士で連携し、空中に立体的な図形を形成するという異常行動を見せ始めます。図形を形成している間、各個体は不可視の物体につかまるように空中に留まっています。
SCP-XXX-JPによって形成された図形は、異常な性質を持っており、自律した実体として活動します。現在以下の一覧に見られる配列を確認しています。
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SCP-XXX-JPは、2002年に██大学で発表された論文の追跡調査の結果発見されました。発表された論文"特定ホタル科の調査01-07"および"アルタイ諸語類型ヤタト語"は、各情報媒体から削除され、当報告書のみに添付されています。関係各所ではクラスAからBの記憶処置と再編プログラムが実行されました。
SCP-XXX-JPは、付近の地域住民に古くから知られており、口承によって伝えられていました。地域住民は当初、SCP-XXX-JPの情報提供に強い抵抗を示しましたが、長期間の説得および取引によって調査に協力するようになりました。
聴取記録IV-XXX-002: 2003/02/09/ 14:55:00 lo:XXXB001-A001 ID:44345
付記:隔離区域に最も近い住宅に住む男性(O████ K██████氏)に対する聴取記録です。[中略:SCP-XXX-JPの説明]
O.K.氏: そこまで知られているのなら、もう隠してもしょうがないね。そうだよ。あそこには化けもんと騎士がいる。
M博士: 騎士? どこの騎士か聞いたことはありますか?
O.K.氏: いやないね。隊長さんは口が堅いから。それに、私が子供のころ、大叔父に聞かされたときは侍だって言ってたしね。あの森には入るんじゃないと、さんざん聞かされていたよ。
M博士: 大叔父さんは亡くなられていますね? 他にこのことに詳しい方はいらっしゃいますか?
O.K.氏: さあね。トシローくんが一番詳しいんじゃないかな。██大学の偉い教授になったしね。あの虫の勉強するって言ってたよ。
M博士: 論文は読みました。確かに詳しく記載されていましたが、全てではありませんでした。
O.K.氏: まあね。調査の途中だったしね。虫の光る時期には必ず帰ってきて、隊長さんと調査してたけど、それももうできないね。大学の監事から、警告を受けたんだとか。まあ、どうせ知ってるんだろう。
M博士: 我々も、あの虫の調査には協力します。我々の目的は、あの虫の駆除ではありません。
O.K.氏: 駆除しなくても、どんどん数は減っているよ。昔はもっとたくさん飛んでいたね。あとはトシローくんか、隊長さんに聞いてくれ。くれぐれも、ろくでなしの方の話は聞くんじゃないよ。
M博士: ろくでなし?
O.K.氏: あそこを閉鎖してるのも、あんたたちだろ。ついでに、あいつをもう町に下りてこないようにしてくれ。
SCP-XXX-JP-A群は、形状の違いから現在までに46体を確認しています。収容開始から実体数は減少しており、現在は39体 24体 5体 1体を隔離区域で収容しています。SCP-XXX-JP-A群のうち2体は発声と会話が可能で、聴取記録に応じています。母語の解明はほぼ終了していますが、会話は基本的に日本語で行われています。
聴取記録-A群: A群実体に対する聴取記録の一部です。
聴取記録IA-XXX-005: 2003/06/14/ 22:01:00 lo:XXXA001-00 ID:44348
付記:隔離区域に形成されたSCP-XXX-JP-A実体(-A002)に対する聴取記録ですM博士: お名前を聞かせてもらえますか?
A002: 名前などない。お前たちからは"隊長"と呼ばれている。
M博士: では、あなたたちが何人いるか教えてもらえますか?
A002: 数えたことなどない。私たちは数え切れないほどいる。
M博士: 私たちの観測では全部で46体いるように見えます。
A002: お前たちにそう見えるのなら、そうなのだろう。
M博士: この場所以外にも、あなたたちは存在しているということですか?
A002: お前たちが、どこにいるのかわからない。
聴取記録IA-XXX-001: 2003/06/05/ 23:17:00 lo:XXXB001-A013 ID:44367
付記:隔離区域外の住宅付近を歩いていたSCP-XXX-JP-A実体(-A001)に対する聴取記録です。保安職員E: あなたは騎士たちのひとりですか?
A001: そうだよ。キミはきれいなヒトたちのひとりだね。
保安職員E: ここは現在、あなたの居ていい場所ではありません。隔離区域が指定されましたので、そちらへ移動してください。
A001: [10秒間返答なし]
保安職員E: どうしました?
A001: キミのきれいな瞳に見とれていた。こういうときキミたちはなんて表現するのかな? まるで星の海のようだよ。
保安職員E: 私は男ですが、あなたは女性なのですか?
A001: ここからじゃ男か女かなんてわからないよ。それにどうだっていいだろう、そんなこと。
指定期間XXX-Jun: SCP-XXX-JPは完全変態を行います。1年の寿命のうち大半が幼虫期で、蛹から成虫になります。蛹になったSCP-XXX-JPは、6月ごろに一斉に羽化を行うため、成虫になったSCP-XXX-JPが寿命を迎える7-30日間は、会戦イベントの発生する指定期間です。
指定期間中は1回(最多で3回)、SCP-XXX-JP-C(通称"滑走路")が特定の場所(特定隔離区域JP-4140-A)に形成され、その中央付近にSCP-XXX-JP-B群の1体が形成されます。形成されたSCP-XXX-JP-Bは、必ず東側へ進行します。この進行によってSCP-XXX-JP-Cの幅は広がり、次回形成されるSCP-XXX-JP-B群が巨大化することがわかっています。
SCP-XXX-JP-A群は指定期間中、常に形成されているため、SCP-XXX-JP-B群の出現直後に攻撃を行い、会戦イベントが発生します。両者共に、およそ致命傷と思われる損傷を受けると、SCP-XXX-JPが散開する形で消滅します。SCP-XXX-JP-A群が勝利した場合にのみ、SCP-XXX-JP-Cの拡張は停止します。
生命体が出現実体に接触することでも、SCP-XXX-JPは散開しますが、その場合はSCP-XXX-JP-Cの拡張が停止しないため、実体そのものは存在し続けていると推測されます。
消失現象: 会戦イベントの終了後、残されたSCP-XXX-JP-A群のうち1体が、SCP-XXX-JP-Cを南端から北端へ歩きます。北端へ辿り着いた実体は、SCP-XXX-JP-Aの散開によって消失し、以降出現することがありません。SCP-XXX-JP-Cはこの現象によって散開し、次回の指定期間まで出現しません。
会戦イベント(DI)記録:
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DI-150の6時間後、SCP-XXX-JP-A002がSCP-XXX-JP-Cの南端に立ちました。その状態のまま2時間が経過し、財団職員の呼びかけにも反応を示しませんでした。-A001の提案によって、M.T博士がその場に招致されました。
M.T博士の説得により、SCP-XXX-JP-A002は激しい動揺と嗚咽する様子を見せましたが、22分後にSCP-XXX-JP-Cを歩き切り、A002実体とC実体は消失しました。
音声記録IU-XXX-002: 2006/06/11/ 04:01:00 lo:SS8105-T013 ID:44480
付記:SCP-XXX-JPについての最初の論文を執筆した著者(M█████ Toshiro)は、2002年財団に雇用されました。M.T博士: 彼は怖れていました。あの道を渡ってしまうことを。
M博士: これまでの言動から、そのような感情は見られませんでした。彼は、向こうへ行くのを望んでいたように思えます。
M.T博士: 自分が約束を守れなかったからです。自分は、あのホタルの謎を解いて、いつか本当の彼と会うことを約束していました。光の姿ではない彼と。
M博士: "謎は解けたか?"というのは、そういうことだったんですね。
M.T博士: 生物学の分野から、彼らの謎を解くことは早い段階で行き詰りました。位相幾何学や統一場理論などにも手を出してみましたが、ダメでした。そうしている間にも、彼らの数はどんどん減っていき、いよいよ彼の番が近づいてきたとき、あなたたちに出会いました。これはチャンスだと思いました。超常的な情報の中には、彼らに関するものがあるかもしれない。自分は、ここに入ってから死に物狂いで研究を続けました。
M博士: でも解けなかったんですね。それがなぜ、A002の怖れにつながるのですか?
M.T博士: 自分に会えなくなるからです。
M博士: あなたたちの特別な関係については聞いています。それは、彼の言う"最高の栄誉"を躊躇させるほどのものなのですか?
M.T博士: 自分も、彼の中で自分の存在が、そこまで大きなものだとは思っていませんでした。彼と過ごす時間は、とてもすばらしいものでした。しかしそれは、自分が一方的に感じているものだと思っていました。彼がどう感じているのか、表情もわかりませんでしたし、何もわかりませんでした。彼も同じ気持ちだったと、知ったのはあの時が初めてです。
M博士: "これからは夜の幕でキミを見守る"とは、どういう意味ですか?
M.T博士: さあ、わかりません。向こうの世界を、彼らが"夜の幕"と呼んでいるのは知っていますが、そこからこちらが見えるということでしょうか。
M博士: 最後にどうやって、彼をあの滑走路へ向かわせたのですか?
M.T博士: 自分も、あとから行くから、先に行って待っていてくれ。と言いました。これは、正しかったのでしょうか。自分は、彼のあとを追うべきでしょうか。彼は向こうで、自分を待っていてくれるのでしょうか。これからずっと向こうで。
M博士: 少なくとも、現時点では最善の行動でした。私では、そう言えたかわかりません。しかし、あなたをあの滑走路に送るわけにはいきません。
M.T博士: なぜですか。Dクラス職員ではないからですか。
M博士: あなたが騎士ではないからです。
補遺01: 最後のSCP-XXX-JP-A群である-A001は、隔離区域での監視要員として財団に協力しています。SCP-XXX-JP-A群の攻撃以外で、SCP-XXX-JP-B群を沈静化させる方法は現在まで見つかっていません。
私はジョン… ジョン ヴィンセント ギルバート
私は悪魔だ。そして人類の救世主だ。
私が創り上げた会社は、いまや金融世界全体の10%を動かすまでになった。それまでに多くの敵を作り、多くの仲間を失った。私はいまやたったひとりだ。
私は、私の会社がいつか世界全体を掌握し、資産のすべてをコントロールできるようになれば、あるいはそんな野望に燃えて、突き進んできた。そう思っていた。しかし、そうではなかったのだ。
私も老いた。死が迫ってきたのだ。
私は自身を厳格にコントロールしてきた。現実として死が訪れるのは、おそらくまだ10年以上先だろう。それでも、私の進むレールの先に、暗くて深い闇が見え始めたのだ。そうなったとき、私は、私が本当にするべきこと、求めていた未来に気づいた。
私は救世主になりたい。人類の、あるいはたったひとりでもいい、救うべき人間を救いたい。人類をより良き未来へ導きたい。そう思ってから、私はいろんな事業や研究に資金を提供した。相手は選んだが、人類の未来のためと思えば、協力は惜しまなかった。――空飛ぶ車、反重力エンジン、どんな病気でも治す薬、宇宙の果てを見る研究。そんなものにも金を出した。
"ヒトの意識を機械に移す技術"
あるとき、そんな噂が私の耳に届いた。どこかの団体が、ヒトの意識をデータ化し保存する技術を、密かに研究、実現させたというのだ。私はその団体に接触を図った。とても興味があったので、話を聞きたかったが、その団体とは一向に接触できなかった。
財団。そう呼ばれていることを知ったのは、調査を始めて1ヶ月も経ったころだ。
―何の財団だ? ―誰が作った? ―何をしている?
あらゆる疑問は疑問のまま残り続けた。優秀な人間を何人も雇い、莫大な資金と時間を費やしても、"財団"の正体はつかめなかった。
正体はつかめないが、"財団"という組織の断片的な情報は入ってきた。世界規模で土地や施設を所有しており、豊富な人材と無尽蔵の資金を持っていることだけは、あらゆる方面から伝わってきた。―私は世界の支配者だぞ。そんなことを思った時期もあった。そんな私が、門前で追い払われる一社員のように、平凡でちっぽけな存在だと思い知らされた。
この世の中には、まるでスパイ映画の主人公のような、別格に優秀な人間というのも存在する。私が信頼するそんな人間でさえ、"財団"によって一蹴された。彼らは、あきらかに記憶の一部分を失っていた。私は何を相手にしていたのだ。意識を機械に転写する組織だ、それくらいワケも無いだろう。想像が足りていなかった。
"F5" "表象領域" "最後の救い"
3年もかけて、入手できたキーワードはこれだけだ。表象領域? そう呼ばれているのか? 最後の救いというのはどういう意味だ?
どんな手段を使っても、彼らに接触することはできない。半ばあきらめかけていたが、まさか彼らの方から接触があるとは、私は夢にも思わなかった。
カササギ計画。
小惑星から石か砂を採取して、地球に持ち帰るとかいうとんでもない計画。日本天体開発公社(YEGA)という会社を立ち上げ、私が資金面で全てを負担していたその計画に、彼らが興味を示したのだ。なぜかはわからなかった。しかし、私の雇っていたエージェントが、"財団"の人間が接触をしてくるだろうという情報を得たのだ。
かくして、その日はやってきた。
彼らは、宇宙を研究する組織だと語っていたが、私が"財団"の名を口にすると、即座に表情を変えた。―消されるか? 一瞬私の脳裏にそんなことがよぎったが、彼らは私を諭すように、その秘密を一部を打ち明けてきた。
ノストロモ計画。彼らの作った機械を、小惑星2001-AL120へ設置する計画。彼らはそれを秘密裏に行いたいというのだ。どんな機械なのかと聞くと、彼らは口を閉ざしたが、私が"表象領域"に関係があるかと問うと、またしても彼らの態度が変わった。ヒトの意識の入った装置。彼らはそれを宇宙へ送り出そうとしている。なぜ彼らがそんなことをするのか、私にはわからない。しかし、私はこの日を、ずっと待っていたのだ。
「私を"表象領域"に入れてほしい」
私の出した条件に、彼らは良い顔をしなかった。
「あなたはもしかして、"表象領域"を自分の意識を複製できる技術だと思っていますか?」
「違うのか?」
「我々は、現在の科学で説明のできない、様々な超常的存在と相対してきました。その中には、記憶を書き換えたり、視覚や聴覚などに異常を起こさせるものがあり、時には意識さえも乗っ取られることもあります」
「それが、あなたたちの仕事なのですか」
「はい。それでも、我々は多くの仲間や、何の罪の無いヒトを失いながら、あることに気がついたのです」
「あること?」
「異常に対する、侵されにくさです。記憶や感覚は、比較的容易に異常性に晒されます。このふたつを仮にF1、F2層として、最も侵されにくいF5層まで、存在することが判明しています。より深い階層ほど、異常性に晒されにくいのです」
「F1とF2が記憶と感覚として、それ以降はなんなんだ?」
「よくわかっていません。F3は自発的な意識、F4はより潜在的な意識と考えていますが、F5に至ってはなにが存在しているのか」
「F5…」
「我々は、その"人間性"とも呼べる表象領域を、複製する手段を得ました。しかしそれは、異常な変化に対する防衛手段なのです。あなたの思うような、"意識の保存"と言えるかどうかは、はっきりと申し上げられません」
「しかし、記憶や意識はたしかに複製できるのだろう?」
「そうですね… 我々は常に異常性に晒される可能性があるのです。我々の仲間が、異常な変化を起こしたとき、正常な状態と比較するために、表象領域の割り当ては行われています。しかも、ごく限られた職員に対してです。決して"意識の保存"のためではりません」
「私にはその資格はないと?」
「必要なのは資格ではありません。あなたのすべてを複製するには、F5層まで転写しなければなりません。F4層までは"複写"ですが、F5層は"転写"です。その意味は ―わかりますね?」
「"最後の救い"…」
「そうです。身も心も異常性に侵され、自分自身をほとんど失った職員が、最後に望めば受けられる処置なのです。普通の人間が入るところではありません」
「それでもいい。どんな犠牲を払ってもいい。私のF5表象領域とやらを、その機械に保存してほしい。どんな結果になろうとも…」
私の懇願が彼らに届くことは無かった。
彼らは決して、首を縦に振ることは無かった。
それでも、私は形の上で彼らに協力することにした。彼らの強大さはよく知っている。断ったら、彼らの計画のため、私の記憶を書き換えられる可能性があった。
それから幾日か流れ、今日その機体が打ち上がる。
打ち上げの現場に立ち会うことは許された。白く長細いロケットが、青い海に突き出した半島の発射台に、整然と立て掛けられている。カウントダウンが始まり、ゼロと同時にロケットは火を噴き、その巨体が空へ向けて浮き上がる。
轟音と白い煙が、一直線に宇宙へ向けて伸びていく。その先端に、彼らの希望が詰まっている。最後の救いを受けたものたち。やがて、遠く、一筋の煙になってそれらは見えなくなった。それから、私の頬を一筋を涙がこぼれた。
F5層の彼ら。もっとも純粋な人間性の複製。だとしたら、彼らはあらゆる罪を許されたのではないだろうか。生まれたばかりの、いや、それ以前の、何の汚れも無い存在。私は、心の底から彼らがうらやましかった。私もそこへ行きたかった。なぜ私も連れて行ってくれなかったんだ。
あふれる涙をぬぐうこともできず、空の彼方へ消えてく彼らを見送った。私は人類の救世主なんかじゃない。
救われたかったのは、私だったんだ…
ライセンス表記:
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・底なし村:
ミミズの写真はDaniel Ansel Tingcungco氏のこちらの写真をお借りしました。
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・ガラスの心:
ダムの写真は写真素材サイト「足成」のこちらの写真を使用しています。
・5分後の世界:
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・帰り道:
写真は Grand Parc氏の こちらの写真 と
Matt Biddulph氏の こちらの写真 をお借りしました。
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・ニコラスケイジ:
写真は Wikipediaの こちらの写真 をお借りしました。
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あわせて写真素材サイト「足成」のこちらの写真を使用しています。
・磁力:
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・希望の星:
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・予算
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・雪庭
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写真は Pascal Gaudette氏の こちらの写真 をお借りしました。
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・チャッピー
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・ブラックボックス
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CCライセンスは 表示(BY 2.0)です。
・コマ
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CCライセンスは表示-継承(BY-SA 2.0)です。
・バス停
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CCライセンスは表示-継承(BY-SA 2.0)です。
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Eugene Peretz氏の こちらの写真 をお借りしました。
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・滑走路
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CCライセンスは表示-継承(BY-SA 2.0) です。
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- rararain (最終更新日:14 May 2024 14:52)
- キコの砂箱 (最終更新日:11 May 2024 16:35)
- SCP-3991-JP (最終更新日:28 Apr 2024 09:52)
- nooooon (最終更新日:18 Apr 2024 11:44)
- fullfool578 (最終更新日:04 Apr 2024 15:56)
- Ki Ki Ki (最終更新日:18 Mar 2024 13:12)
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- SCP-YR/Parody (最終更新日:10 Mar 2024 21:56)
- ハニー (最終更新日:08 Mar 2024 19:59)
- SCP-3954-JP (最終更新日:02 Feb 2024 07:43)
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- SCP-下書き-JP (最終更新日:20 Jan 2024 04:44)
- 碁盤目サンドニウムボックス (最終更新日:13 Jan 2024 11:18)
- 5g Gagagigo (最終更新日:06 Jan 2024 04:01)
- Tokotoko7 (最終更新日:23 Dec 2023 05:26)
著者ページよりはちょっと解説。
SCP-102-JP 『金の靴』
音の鳴る水虫。元ネタは口蹄疫で、利益のために殺処分って怖いなと思って書いたもの。さすがに人間は処分できないので靴に。功利主義と被った。
SCP-109-JP 『底なし村でワルツを』
ヒトも動物も人外の存在に変形させる寄生虫。元は自分で見た夢。記事中盤の調査員になる夢だった。夢の中ではオブジェクトの正体は不明だったので、推測して書き上げた。村人のインタビュー映像の確認中に、後ろの窓が少し開いて…というところで夢が終わって怖かった。
SCP-120-JP 『世界で一番の宝石』
元のタイトルは『1億ドルのダイヤ』。唐突すぎとの指摘で今のタイトルに。子供のほうが財団より効果的に収容できていた、というオブジェクトだったので、ヤドカリさんのキャラクターは後付け。
SCP-197-JP 『セーブポイント』
記録したところからやり直しってよく考えたら怖いんじゃないかと思って書いたもの。
SCP-194-JP 『記憶の中の楽園』
水溜りに落ちるSCPがあって、その中はどうなっているのかと考えたもの。水溜りって角度によっては鏡みたいに景色が映るから不思議。
SCP-189-JP 『ガラスの心、ガラスの門番』
日誌に出てくる3名の人間が、果たして普通の人間なのか、財団とは別の団体なのかは不明。
SCP-062-JP 『生存権』
生存権にも著作権があったら。
SCP-550-JP 『帰り道』
未来は上流から流れてくる決定された事象であるという時間観を元にしたもの。
SCP-308-JP 『希望の星』
死滅の穴の被害者側というコンセプトで書き始めたもの。当初のオチは、情報漏洩なので情報を消去してくれませんか。というものだったけど、今のオチを思いつき本投稿へ。
SCP-310-JP 『骨。霧の生まれた場所。』
お店でふと見つけた宇宙パズル。外枠を2つに分けて完成させたものの、くっつかずに絶望。接合部の成否判断の難しさからSCPに出来ないかと、今の形に。記述はないけど、完全に紙の質感なので被害者の骨は検出されない。
SCP-331-JP 『手のひらの雪庭』
誰もが知っていそうなビジュアルイメージの想起を想定していたものの、さすがにヒツジグサではわかりにくかったかもしれない。
SCP-1000-JP 『特別回収任務』
1000JPコンテストで優勝してしまったもの。他の候補よりテーマの『日本』から離れてる。アニヲタwikiの解説すごすぎない?
(SCP-207-JP) 『最初の人間』 気づいたら死ぬという情報災害。歴史的事実で誰でも到達しうるというもの。最初に書いた報告書。(最終評価-4)