『裸の美少女が見える薬』
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは低脅威度収容ロッカーに収容してください。また、SCP-XXX-JPに関与する職員は男性に限定されます。
説明: SCP-XXX-JPは高さ4cmの瓶です。「裸の美少女が見える薬」と印字されたラベルが貼られています。現在の総重量は150g程です。内部にはSCP-XXX-JP-1と指定される特徴的な臭いを有する錠剤が入っています。
SCP-XXX-JP-1を服用した人間(以下、使用者)は自身が認識する存在(以下、対象)を「裸の美少女」と認識します。認識する対象は時間が経過するごとに進行していきます。これは以下の段階を踏みます。
段階 | 対象 | 備考 |
第1段階 | 人間女性 | 対象となる年齢は時間経過で拡大する。 |
第2段階 | 人間男性 | この時点で対象となる年齢は関係なくなる。 |
第3段階 | 哺乳類 | 最初は霊長類が対象となる。その後、他の哺乳類と続いていく。 |
第4段階 | 爬虫類及び鳥類 | 大抵の場合、この段階で自身の現状に違和感を抱かなくなる。 |
第5段階 | 魚類 | 多くの服用者はこの段階で精神に異常をきたし始める。 |
第6段階 | 虫類 | 独り言が増え始める。 |
第7段階 | 植物類 | この段階の初期においては食事を拒否するが、後期では問題なく行う。 |
第8段階 | 無生物 | 空気や液体などの流体は対象とならない。一方で、粒子レベルでは認識しているが、小さすぎるため見えていないとする仮説も存在する。 |
SCP-XXX-JPは猥褻物陳列罪の判決を受けた事件を調査した結果発見されました。作成した人物はジョークグッズとして自作のラベルを錠剤の瓶に張り付けて販売しただけと主張しています。実際、SCP-XXX-JP-1を解析した結果、元となる錠剤と同一の成分を有しています。そのため、特異性とは別に腹痛に効果があると考えられています。
補遺1: 以下はSCP-XXX-JPの実験記録です。
実験記録XXX-1
対象: D-XXX-1(第2段階)
実施方法: 複数の男性職員を視認させ、モンタージュ写真を作成し、D-XXX-1が視認している状況を確認する。
結果: 作成されたモンタージュ写真は全て女性であった。
分析: 対象を「裸の美少女である」と思い込むのではなく、本当に「裸の美少女」と認識しているようだ。また、モンタージュ写真の内容から、美少女の定義は服用者の価値観に大きく依存すると考えられる。
実験記録XXX-2
対象: D-XXX-1(第2段階)
実施方法: 鉄板を胸に仕込んだ男性職員の胸を触らせる。
結果: D-XXX-1は「柔らかい」と答えた。
分析: 触覚も影響するようだ。臭いに関しても「女の子の良い匂いがする」と答えていることから、嗅覚にも影響を与えていると思われる。また、声も完全に女性のものとして認識している。追記: 味覚に関して調査するため、人肉を食したことがあるDクラス職員の配置を申請した。しかし、そのようなDクラス職員は希少なため、申請は却下された。
実験記録XXX-3
対象: D-XXX-1(第3段階)
実施方法: D-XXX-1の「美少女」の定義を現実の女性を基準にしたものではなく、漫画の女性1を基準にしたものにする。
結果: 美少女の定義を変更することができた。
分析: 仮説ではあるが、この定義の変更は女性でなくとも問題ないと考えられる。
実験記録XXX-4
対象: D-XXX-1(第3段階)
実施方法: 定義を「服を着た男性」に変更できるか実験を行う。基準の参考となった人物はSCP-XXX-JP担当研究員江口博士である。
結果: 美少女の定義を変更することができた。
分析: 服用者が「裸の美少女」と認識するものであれば「服を着た男性」でもそう認識するようだ。おそらく、「美少女」の定義がまな板や電柱といった無生物でも成立するのだろう。追記: 予算の都合上、D-XXX-1に対して認識に関する実験をこれ以上行わないこととする。そのため、定義は元に戻さないものとする。
補遺2: 以下は事案報告です。現在も調査が続いています。
事案報告SCP-XXX-JP
対象: D-XXX-1
インタビュアー: 江口博士
付記: D-XXX-1を外部へと連れ出し、見えているものを尋ねた際の記録です。D-XXX-1は実験記録XXX-4より「美少女」の定義が「服を着た男性」となっています。また、D-XXX-1は当時第8段階でした。
<録音開始>
(D-XXX-1の目隠しを外す)
江口博士: D-XXX-1、周囲の様子を報告してください。
D-XXX-1: 報告、か。裸の美少女に囲まれているよ。
江口博士: そうですか。具体的には?
D-XXX-1: あのくそでかい美少女に何百人もの美少女が出たり入ったりしている。たまに細長くて速い美少女が横から入って行ってるな。よく生きてられるな。
江口博士: わかりました。ではあれは?
D-XXX-1: 裸の美少女だな。光り輝く。
江口博士: わかりました。他に何かありますか。裸の美少女以外で。
D-XXX-1: あるわけないだろ。この世界は裸の美少女でできているんだぞ。
江口博士: ……わかりました。はい。
(D-XXX-1が人混みの一点を凝視し始める)
江口博士: ……どうかしましたか?
D-XXX-1: 博士、前言撤回するよ。この世界には裸の美少女以外にもいる。
江口博士: 具体的には?
D-XXX-1: 服を着た男だ。
江口博士: はあ……。待ってください。今何て?
D-XXX-1: だから、服を着た男がいる。ほら、あそこ。くそ。見失った。
江口博士: 本部、こちらSCP-XXX-JP担当研究員江口。異常存在と思しき不審者が確認された。ああ。少なくともD-XXX-1は「服を着た男」と認識している。応援をよこしてくれ。
江口博士: 実験を終了する。
<録音終了>
終了報告書: この10分後、財団エージェントが現場に到着しましたが、D-XXX-1が「服を着た男」と称した存在は発見できませんでした。また、D-XXX-1が何をもって「服を着た男性」と認識したのかは不明です。