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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低脅威度収容ロッカーに収容されます。実験の際にはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を得る必要があります。

説明: SCP-XXX-JPは電子レンジです。サイズは一般的な家庭用電子レンジと同サイズですが、形状、型番は現在流通しているいずれの製品とも一致しません。また、回収時に梱包されていた段ボール箱には以下の文言を記したカードが封入されていました。

家庭用高出力電子レンジ!

「冷めてしまったものを温めたい……」そんなご経験はありませんか?超工家電の高出力電子レンジならどれだけ冷たくとも瞬時に❤アツアツ❤に!あなたのご家庭を一発で温めます!

SCP-XXX-JPの異常性は周囲10m以内で特定の条件を満たす男女1が使用時間を設定し、加熱する料理を電子レンジ内に投入して「あたためボタン」を押した際に発生します。付近にいる男女(以下、対象と記述)の体温は急激に250℃まで上昇します。この時、対象には温度上昇に由来する身体的な変化は見られません。

また、体温が250℃まで上昇した対象は強い性的興奮を覚えます。この性的興奮は非常に強く、物理的制約がなければ即座に対象同士で性行為を始めます。性行為が進むごとに体温は上昇していき、最終的に対象は挿入した性器をこすり合わせたことによる摩擦熱で発火、そのまま焼死します。実験のいずれの結果でもこれら一連のプロセスは設定した使用時間内で行われ、電子レンジの使用終了の音ともに対象は発火しています。

なお、利用するために投入された料理は温められません。

SCP-XXX-JPは五十嵐研究員が地域のビンゴ大会で景品として入手したものです。当初、利用した五十嵐研究員により「正常に動作するにもかかわらず入れた物が温まらない電子レンジ」として財団に持ち込まれました。五十嵐研究員は独身であったため異常性の影響を受けませんでした。

また、ビンゴ大会の主催者から事情聴取を行いましたが、景品受け渡し直前まで一般的な電子レンジが保管されていたことが判明しています。この電子レンジがどこでSCP-XXX-JPと入れ替わったかは不明です。


アイテム番号: SCP-1067-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1067-JPは無力化されました。現場に残存していた物品はサイト-8181の非異常性物品収容ロッカーに保存されます。

アーカイブされた特別収容プロトコル)SCP-1067-JPはサイト-8181の標準的な無形実体用真空房に収容します。SCP-1067-JPの収容に友好的な態度を維持するため、1日に1度、長さ30cm以上の靴紐、もしくは形状が類似した紐類を投入してください。全ての物品の投入は収容房に接続されたスライダーより行われます。

説明: SCP-1067-JPは女児靴の形をしたクラスⅡ霊的実体です。SCP-1067-JPはピンク色のマジックテープ式の女児靴で、市販のものと同一の形状であり、██メーカーの████の型番と一致していることが判明しています。

SCP-1067-JPの異常性は周囲10mに紐状の物品が存在するときに発生します。SCP-1067-JPは周囲にある紐状の物品を″固結び″にします。固結びはサイズが小さいものから順に行われ、硬度が高いもの6が対象になることはありません。

SCP-1067-JPが固結びにしたもののリスト

  • 靴紐
  • 衣服の袖
  • 紙(影響範囲に持ち込まれた際、細長く伸ばされた後結ばれた。)
  • 細長い茎を持つ植物
  • ブランコのチェーン
  • D-4689の両腕

SCP-1067-JPは新潟県長岡市の██公園の「公園内にあるチェーンやロープが何者かによって全て固結びにされている。」という通報により発見されました。初期収容に向かった機動隊員の全ての靴紐が固結びになったため異常性が発覚。オブジェクトが紐を求めて活動していることが判明し、現在の収容体制が確立されました。

補遺: 20██/██/██、SCP-1067-JPの収容房に取り付けられた観測装置の数値が低下、同時にSCP-XXX-JPが消失しました。収容房には非異常性のスニーカーが残されていました。スニーカーの靴紐は"蝶々結び"の状態でした。


アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが媒介とするwebサイトは財団の所有するwebクローラXXX-JPによって走査されます。SCP-XXX-JPの対象となった個人にはネットワーク利用の監視をする必要があり、対象がSCP-XXX-JPを発見した際にはネットを通じて適切な記憶処理ミームに曝露させる必要があります。

SCP-XXX-JPについての新たな異常性の発見により特別収容プロトコルは審議中です。SCP-XXX-JPの対象となった個人は財団によって保護下におかれます。

説明: SCP-XXX-JPはネット上のインターネット百科事典(Internet encyclopedia)に区分されるサイトに生成される異常なページです。SCP-XXX-JPは通常のページと同様にサイト内、または外にハイパーリンク10などを作成したり、そこからアクセスできるなどの一般的なウェブページと同様の振る舞いを見せますが、そのリンクの削除は正規、非正規いかなる手段を取ったとしても不可能であり、また既存のネットワーク網から隔離することもできません。

SCP-XXX-JPには指向性の認識災害があり、SCP-XXX-JPの対象となる人物以外はその内容を知覚できません。例として、その他の人物からはSCP-XXX-JPは他の内容を記述した—特に直前まで利用していたサイトに深く関連する事項を記述したページであると確認されます。この異常性は記憶補強薬、もしくは専用の対認識災害ミームにより取り除くことができます。

SCP-XXX-JPの主な異常性は対象とされた人物についての情報が、媒体となったサイトのフォーマットに沿った形で記載されることです。最初期では記載される情報は氏名(もしくはネット上でのハンドルネーム)、年齢、性別、国籍など最低限の物ですが、対象がSCP-XXX-JPを確認する毎に情報についての記述は詳細になります。対象はネット利用、ネット上での活動が多い人物から優先的に選ばれます。対象は自身のページが作成されたことについて喜び、困惑、不安など様々な症状を訴えますが、これは対象の特性による非異常性の心理状態であることが判明しています。

対象がSCP-XXX-JPの内容を知人や家族に見せた場合、前述の特性により、対象についての内容であるとは知覚されません。そのため、対象がSCP-XXX-JPの内容について強く訴えた場合には、その認識の不和により、多くの場合には精神病としての診断が下されます。

SCP-XXX-JPは主に対象のエゴサーチ11により発見されます。どの出現例においても、対象が必ず1週間以内にSCP-XXX-JPを発見することから、なんらかの強制力が働いている可能性が指摘されていますがその詳細は不明です。また、対象が死亡する、もしくは長期間SCP-XXX-JPにアクセスしない12ことでSCP-XXX-JPは消失し、新たな対象についてのページを作成します。同時期に存在するSCP-XXX-JPは存在しないことに留意してください。

以下は主な異常性のパターンです。

段階 異常性
第1段階 対象は自身のページが作成されていることに気づく。内容は知人なら容易に把握できる簡素な物である。
第2段階 対象の情報が追加される。いずれの情報も対象が利用していたSNSサービスなどに記載された情報を元にしており、対象が特定を避けるために公開していた偽の情報も修正することなく追加されている。
第3段階 対象の実際の情報に則したように内容が修正され始める。多くの場合、対象は精神的な不安を訴え、ページを楽しんでいた対象も不審を抱く。
第4段階 ページの内容が対象の出生、家族の経歴などにまで及ぶ。この時点でほぼ全ての対象が精神衰弱を訴え、場合によっては警察などへの通報を行う。
第5段階 対象が1週間のうちに行った行動などにまで詳細な記述がなされる。対象はSCP-XXX-JPに対して強い恐怖を抱くが、同時にSCP-XXX-JPに常にアクセスしていないとパニックを起こす。これは常に更新されるSCP-XXX-JPを監視するためと思われる。
第6段階 SCP-XXX-JPが起床、食事、排泄などの日常的な行動をリアルタイムで更新するようになる。最終的に対象はパニック、もしくはSCP-XXX-JPの更新の監視のために衰弱して死亡する。

以下はSCP-XXX-JPの対象となった篠田 浩介氏へのインタビューです。

インタビュー記録SCP-XXX-JP-3

インタビュワー: 荒井研究員

対象: 篠田 浩介氏

付記: 保護の時点でSCP-XXX-JPは第5段階から第6段階に及んでおり、篠田氏にはパニックの兆候が確認されていた。


[記録開始]

荒井研究員: 落ち着きましたか?まずお名前をお伺いします。

篠田氏: 俺の名前は……えっと、し、しの、違う。笠原?違う。しの……なんだ?俺はなんだ?

荒井研究員: まだ混乱しているようですね。落ち着きましょう。

篠田氏: あ、ああ。

荒井研究員: あなたは篠田浩介さんです。しっかりと周囲の人物からも確認をとっています。必要なら公的書類もお見せします。

篠田氏: あぁ、いや大丈夫だ。俺は篠田浩介、落ち着いた。うん、大丈夫だ。

荒井研究員: では、あのサイトのことについてお聞かせ願えますか。

篠田氏: あのサイトって、俺の名前が載ってたウィキペディアのページのことで良いんだろ?

荒井研究員: ええ、そうです。最初にあのページを見つけたのはいつでしょうか。

篠田氏: 確か、調べ物でウィキペディアを開いたときだな。何ページか遷移して、知りたいものも分かったし、ページを閉じようとしたんだけど、関連ページに俺と同じ名前のページがあったんだ。

荒井研究員: そして、それをクリックしてみたと。

篠田氏: 同姓同名の芸能人か何かと思ってさ。どんなこと書いてあるのかと思って試しに開いてみたんだ。そしたら、俺の事が書いてあったんだ。驚いたけど、ちょっと嬉しかったよ。

荒井研究員: 内容はどのようなものでしたか?

篠田氏: 大したことは書いてなかった。最初は。実は俺、ネットの小さなサイトでライターみたいなことやっててさ。普通に会社員してるし、ちょっとした副業みたいなものだったんだけど。ファンの人がページを作ってくれたんだと思ってたんだよ。名前と性別とライターやってることぐらいしか載ってなかったし。

荒井研究員: なるほど、では違和感のようなものは無かったのですね。

篠田氏: ああ、まぁ。

荒井研究員: その後、そのページにはどのぐらいの頻度で訪れていたのですか?

篠田氏: 最初は週1ぐらいで、更新が頻繁にされてるのに気が付いてからは毎日かな。そしたらまぁ、だんだん内容がおかしくなり始めて、俺の出身学校とか最寄り駅とかにまで言及し始めたんだ。

荒井研究員: ページを見るのをやめようとは思わなかったのですか?

篠田氏: 明らかに誰かに監視されてるのが見て取れるんだぜ?見るだろ。相手の思う壺だとは思ったけどそれより監視されてる恐怖が勝ったんだよ。トイレに行こうって思う前に「篠田浩介はトイレに行く」とか更新されるんだぜ?どう考えてもおかしいだろ。

荒井研究員: なるほど。分かりました。

篠田氏: ……なぁ、それよりもあのページ、また更新されてないだろうな。大丈夫だろうな。

荒井研究員: ご安心ください。あなたに付きまとっていた団体については既に捜査が入っています。時期に捕まるでしょう。あなたには安全と精神の経過観察のためしばらくはここにいて貰うことになりますが。

篠田氏: そうか、捕まったならまぁいい。よかった。

[記録終了]

補遺1: 篠田氏を対象としたSCP-XXX-JPの消失が確認され、精神状況も安定していたことから篠田氏の解放が決定されました。しかし、記憶処理後に篠田氏に対する新たな異常性が確認されました。以下は医務室内に設置されていた映像の抜粋です。

付記: 篠田氏には一連の事項に対して記憶処理が行われた直後であり、財団に保護されていた期間についての疑似記憶が挿入されていました。


[抜粋開始]

加原技師: お目覚めですか?

篠田氏: あぁ、うん?なんだここ。

加原技師: 検査室ですよ。あなたが職場で倒れられてここに運ばれてきたんです。

篠田氏: ああ、そっか。俺大丈夫なんですか?

加原技師: ただの過労だと思いますよ。体に異常はありませんが、2、3日は家で休んでいてください。会社には連絡しておきます。

篠田氏: そうですか。でも先生、俺は自営業なんで会社への連絡は大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます。

加原技師: 自営業?篠田さんの仕事先は██証券では?

篠田氏: 違いますよ。ていうか篠田って誰ですか。まさか誰かと間違ってませんか。

加原技師: ……確認しましょう。あなたは篠田浩介、28歳のはずです。

篠田氏: 違います。笠原淳、26歳です。

加原技師: あなたは副業としてWebライターをやっているはずだ。

篠田氏: やってません。ホントに誰かと取り違えてませんか。

加原技師: ……失礼、上に連絡してきます。

[抜粋終了]

この事案の後、改めて篠田氏についての確認が行われましたが、経歴、身体検査など、いずれにおいても以前の篠田氏と同一であることが確認されました。また、氏が主張している笠原淳という人物に関してはいずれの経歴にも一致する調査結果が得られず、架空の人物であると推定されます。 岸和田博士により仮説が立てられました。以下はその内容です。

これは1つの推測ですが、篠田氏が実際に笠原淳という人物であった可能性はあります。SCP-XXX-JPは現実改変によって笠原淳という人物を篠田浩介という人物に置き換えたのではないでしょうか。

篠田氏のインタビューで『相手の思う壺だとは思ったけどそれより監視されてる恐怖が勝ったんだよ。トイレに行こうって思う前に「篠田浩介はトイレに行く」とか更新されるんだぜ?どう考えてもおかしいだろ。』と語っていました。

明らかにおかしい —— 異常というのはおかしいから異常と言うのですが、これを篠田氏の比喩ではなく、実際にその通りであったと考えることも出来ます。篠田氏が考えたことを意識する前にSCP-XXX-JPが記載したのではなく、SCP-XXX-JPに記載されたから篠田氏が意識したのではないでしょうか。

これは、篠田氏の行動をリアルタイムで監視した結果ではなく、篠田氏の行動をリアルタイムで改変した結果ではないでしょうか。

そしてその現実改変は篠田氏だけに及ばず、篠田氏には記憶改変という形で現れたのではないでしょうか。

SCP-XXX-JPが強力な現実改変能力を有している可能性は否定できません。再分類し直す必要が有ると思われます。

岸和田の仮説により、SCP-XXX-JPは潜在的危険性の高さからKeterクラスに再分類されました。ただし、現実改変に対する調査は難航しています。

補遺2: 保護期間が延長されていた篠田氏が突発的なパニック発作を引き起こしました。駆けつけた医師の応対により、パニック発作から新たな異常性が発見されました。以下はその内容です。

映像記録XXX-JP-35

付記: 篠田氏は記憶処理の後より笠原淳という人物であることを主張しているため、面会の際には笠原氏として呼称されています。映像記録に関しても便宜的に″笠原氏″として記載します。


[抜粋開始]

笠原氏: [過呼吸を起こし強く咳き込んでいる]

麻垂医師: [背中をさすりながら]大丈夫ですか笠原さん。落ち着いてください。

笠原氏: [うめくような声で] 違う、違う……。

麻垂医師: どうかしましたか。なんでも言ってください。

笠原氏: 俺は笠原じゃない。今田圭13だ。

麻垂医師: 違います、あなたは今田圭ではありません。

笠原氏: だから私は君嶋由理……違う、高山浩俊14なのよ。

麻垂医師: くそ、誰か応援を。また新しい異常性の発現だ。

笠原氏: やめろ、僕はおかしくない。おかしくないんだ。あたしは普通なのよ!

麻垂医師: 薬剤を使用し1度眠らせます!誰か手伝って!

笠原氏: やめて、ぼくは、ぼくは…… ── 俺は誰だ?

[抜粋終了]

この事案の後、篠田氏には██人の人格が確認されました。いずれもSCP-XXX-JPの対象になり死亡した人物です。現在、異常性が不透明なことから、特別収容プロトコルの改訂が議論されています。