ずっと抱いてほしかったお星ちゃん
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アイテム番号: SCP-687-JP
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床に全身をつけるSCP-687-JP

オブジェクトクラス: Euclid 

旧収容プロトコル: SCP-687-JPは厚さ1㎝ほどの鉄板で構成された縦20㎝、横30㎝の金庫に収納してください。この金庫には防音シートを敷き、財団職員らにSCP-687-JPの声を聞かせないようにしてください。金庫の腐食などがあった場合はすぐに財団本部に報告し、適切な処置を行ってください。この金庫の開閉にはセキュリティクリアランス3以上の職員による許可が必要です。許可なく金庫が開けられてSCP-687-JPが脱走した場合は直ちに機動部隊に救援を要請し、捕獲に向かってください。

説明: SCP-687-JPは米(出雲米)が入ったビニール袋をポリエステル繊維で包んだ星型のぬいぐるみです。SCP-687-JPは人間と会話することが可能で、その主な言語は日本語のみです。他の言語も話すことが可能ですが、あまり流暢に話すことができません。SCP-687-JPと会話した人間は(以下、被験者と呼称。)SCP-687-JPに好意的な感情を覚えます。被験者は会話から約30分後にSCP-687-JPに「抱き着きたくなる」感情を覚えます。詳しくは、実験記録1、2を参照してください。またSCP-687-JPは普段は体全体を床につけていますが、直立二足歩行をすることも可能であることも確認されています。現在測定されている速度は時速50kmです。

補遺: SCP-687-JPは20██/██/██、██県██市の█████マンションにて、「そこに住む父親とその娘が星型のぬいぐるみと話している。」という情報が財団の注意を惹き、財団職員がSCP-687-JPの捕獲に向かいました。財団職員は娘が抱き着いて会話しているSCP-687-JPを力ずくで取り上げ、サイト█████に持ち帰りました。SCP-687-JPの回収に成功した財団職員は「取り上げようとした時は非常に力が必要だった。娘とSCP-687-JPが磁力で引っ付けられたような感じだった。」と供述しています。この供述によりSCP-687-JPの特異性を調査するために以下の実験が行われました。

実験記録1 - 日付20██/██/██

対象: SCP-687-JP

実施方法: Dクラス職員D‐567833の独房にSCP-687-JPを設置する。


D‐567833: ねぇ、なんで私がこんな目に合わなくちゃいけないの?私は暴力を振るわれそうになって必死に抵抗しただけなのに、なんでなのよ・・・

SCP-687-JP: そ、そこの女の人?大丈夫?

D‐567833: ・・・(数分間沈黙が続く)

SCP-687-JP: 僕でよければお話し相手になるよ?

D‐567833: ああ、私疲れているんだわ。こんなお星さまのぬいぐるみが話すわけがないじゃない。

SCP-687-JP: お姉さん、きれいだね!

D‐567833: 本当にしゃべってるの…?あなた日本語わかるの?
(ここから数時間にわたって、D‐567833の起こした殺人事件の動機をSCP-687-JPが聞きだし、慰めやその動機を肯定するような言葉をD‐567833に投げかける。)

結果: Dクラス職員D‐567833とSCP-687-JPはお互いに友好的になり、毎時間抱き着きあうようになりました。次第に抱き合う力は増大し、最終的に約〔データ削除済み〕にまで達しました。機動部隊が突入し、D‐567833とSCP-687-JPを引きはがしました。

分析: 門田博士 SCP-687-JPは人間と友好的なオブジェクトなのか?もう少し実験を続けてみる必要があるな。

実験記録2 - 日付20██/██/██

対象: SCP-687-JP

実施方法: Dクラス職員D‐567833の独房にSCP-687-JPを設置する。

D‐567833: あ、お星ちゃん(ここではSCP-687-JPのことを指す)!こんにちは!

SCP-687-JP: お姉さんこんにちは。
D‐567833: お星ちゃん、私昨日からあなたに抱き着きたくてしょうがないの。抱き着かせてくれないかしら?

SCP-687-JP: うん、いいよ(少し不満そうな声)

結果: 次第に抱き合う力は増大し、最終的に約〔データ削除済み〕にまで達しました。このためD‐567833の腕は内出血を起こしました。D‐567833にはAクラス記憶処理を施しました。

分析: 門田博士 D‐567833がSCP-687-JPに執拗に抱き着こうとしているな。もしSCP-687-JPが破れてしまったりしたらまずい。この実験はいったん中止しよう。次はインタビューだ。

インタビュー記録 0

対象: SCP-687-JP

インタビュアー: 門田博士

<SCP-687-JPが椅子に座る。録音開始>

門田博士: やぁ、SCP-687-JP。調子はどうだい?私は門田、いくつか質問したいのだが、いいかな?

SCP-687-JP: えっと、ハイ大丈夫です。よろしくお願いします。

門田博士: 君はぬいぐるみなのに喋れるんだ、そして考えることもできる。「なぜか」って考えたことはあるかい?

SCP-687-JP: そうですね、あの子ともっと抱き着きたいと思ったからです。

門田博士:「あの子」?ああ、君が回収されたところに住んでいた・・・

SCP-687-JP: お願いです、僕をあの子のもとに返してください。

門田博士:残念ながらそれは無理なんだ、すまない。

SCP-687-JP:あのお姉さんの抱き心地じゃダメなんです、お願いします。

門田博士:お姉さん?D‐567833のことか。そんなにも個人で抱き心地が違うものかね・・・

門田博士: でも君を返すことはできないんだ、すまない。かわいそうなのだが・・・

SCP-687-JP: 僕はあの子のもとに帰らないとだめなんだ。あの子も寂しがる。あの子に会うためだったら僕は何でもする。

門田博士: 私も上とは話をしてみる、できる限りのことはするから・・・。

(ここから数時間にわたって門田博士とSCP-687-JPがSCP-687-JPを開放するための議論が続く)

[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]

<録音終了>

終了報告書: 門田博士 SCP-687-JPと話しているときはとても快く話せたよ。話を聞いていると娘さんに記憶処理を施すなんてできない!だが、私は無意識にSCP-687-JPを開放するための議論を行ってしまっていた。挙句の果てに上司に「SCP-687-JPを開放してくれ」なんてメールを送る恐ろしいことをしてしまった。やってしまった。

インタビュー記録 1

対象: ██県██市の█████マンションに住む父親(ここでは 父親 と表記)

インタビュアー: 財団職員

<父親が椅子に座る。録音開始>

財団職員: どうもこんにちは、いくつか質問をしてもよろしいですか?

父親: ええ、あのぬいぐるみのことでしょう?

財団職員: はい、あのぬいぐるみはいつから喋りだしたのですか?

父親: 彼【ここではSCP-687-JPのことを指す】がしゃべりだしたのは確か日付20██/██ごろだったと

財団職員: と、なると今から█年前、ですね?娘さんが小学█年生のころ?

父親: はい、その時彼はボロボロで、新しいぬいぐるみを買おうと娘に言ったのですが・・

財団職員: その時に彼がしゃべりだしたのですね?

父親: そうなんです。娘は彼とずっと生活して、学校にまでもっていく始末で

財団職員: 彼が話すこと以外に変わったことは?

父親: ・・・娘は彼にいつも抱き着きがっていました。いや、彼が娘に抱き着きがっていたというべきか。

財団職員: わかりました。ありがとうございます。
<録音終了>

終了報告書: SCP-687-JPの情報が娘の通っている██小学校にまで広まっているとして、地域全体に大規模な記憶処理が施されました。父親にもAクラス記憶処理を施しました。

インタビュー記録 2

対象: ██県██市の█████マンションに住む娘

インタビュアー: 財団職員

<録音開始>

財団職員: どうもこんにちはお嬢ちゃん。気分はどう・・・

娘: お星ちゃんはどこにいるの?お星ちゃんは無事なの?

財団職員: お星ちゃんはおじさんたちが責任をもって保護するから無事だよ。

娘: じゃあ、お星ちゃんは帰ってこないの?

財団職員: そうだね、もしかしたらお星ちゃんは君をケガさせちゃうかもしれないから

娘: そんなことないもん!お星ちゃんは(解読不能)

<録音終了>

終了報告書: 娘は執拗にSCP-687-JPに会いたがっていました。これはSCP-687-JPの特異性と推測されます。娘にもAクラス記憶処理を施そうとしましたが門田博士の指示により中止されました。この理由は「小学生は記憶処理で成長に支障をきたす場合があるため」です。██県██市の小学生には記憶処理を施したのに娘だけには記憶処理を施さなかった理由は不明です。

事件記録1124 - 日付20██/██/██

概要: SCP-687-JPの脱走。SCP-687-JPは何らかの方法で金庫から脱出し、██県██市の█████マンションに向かって逃走しました。

結果: 機動部隊の隊長は██県██市の█████マンションに突入し、SCP-687-JPを娘から引きはがし、サイト███に再収容しました。機動部隊の隊長は「引きはがすために全く力が必要なかった。」と供述しています。