ykamikuraの頭の中身(ぶれいーんっ

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ターゲット接近時の発症者の心電図、異常な心拍数の上昇が見られる

アイテム番号: SCP-1370-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 医療機関に潜入中のフィールドエージェントはSCP-1370-JPの兆候を示す患者をリストアップし、そのターゲットと共にレベル3監視下に置きます。

SCP-1370-JPの発症が認められた場合、発症者は終了対象となりカバーストーリー「エラータイプ認定」が適用されます。感染が認められた場合、ターゲットも同様に処理します。

研究班の要請があれば、最長72時間まで観察実験が認められます。この際、発症者およびターゲットが暴力的になる可能性があるため、フロント医療機関の隔離病棟で行って下さい。

本プロトコルの改訂には、O5評議会の許可が必要です。

説明: SCP-1370-JPは原因不明の精神障害です。10~20代の若年層が多いこと以外には、発症者に遺伝的、環境的な共通点は見られません。当初は反社会的人格障害等の通常の精神障害と混同されていましたが、201█/█/██、人間心理研究所により後述の特徴が発見され、ナンバリングに至りました。発症例や統計についての詳細なデータは、医療部門のデータベースに保管されたファイルSCP-1370-JP-Reportを参照して下さい。

SCP-1370-JP発症者はある特定の個人(以下、ターゲット)に対して、異常行動を繰り返すようになります。ターゲットに指定されるのは、発症者の同級生や同僚などの身近な異性が多くを占めますが、稀に日常的な接点がほとんどない異性や、同性が指定された例も存在します。個人差はあるものの、異常行動は時間経過に比例してエスカレートする傾向があり、発症者およびターゲットは生活に支障をきたすことになります。

初期症状(発症直後)

 1. 常にターゲットについて思考するようになる。
 2. 必要がないにも関わらず、ターゲットに接近やコミュニケーションを試みる。
 3. それに成功した場合、急激な心拍数の上昇、発汗、顔面が赤みを帯びる等の生理不調を起こす。

中期症状(発症から平均27.5日経過)

 初期症状に加えて、
 1. ターゲットの市民評価に対して、無根拠な高評価を行う。
 2. 必要がないにも関わらず、ターゲットに学習や業務の援助、物品や配給ポイントの譲渡を行う。
 3. ターゲットが自分以外の異性とコミュニケーションを行うと、不快感を覚える。

末期症状(発症から平均53.2日経過)

 初・中期症状に加えて、
 1. 必要がないにも関わらず、ターゲットに肉体的接触を試みる。
 2. ターゲットへの異常行動を妨害されると強い怒りを覚え、多くは暴力を用いて抵抗する。
 3. 自らの異常行動が正常と思い込み、一般常識の方が誤っていると主張するようになる。

SCP-1370-JPと通常の精神障害との最大の相違点は、ターゲットへの感染性です。感染のメカニズムは研究中ですが、発症者の異常行動に巻き込まれた回数が多い程、感染確率が上がることが判明しています。感染したターゲットは発症者の異常行動を拒まなくなり、症状が進行すると発症者に対して同様の異常行動を試みます。

診療ログSCP-1370-JP-████: 問診部分からの抜粋

患者: 斎藤一貴氏(男性、24歳、市民区分・ブルー、エリア-████車両製造センター職員、ターゲットの山下美奈さんと共に末期症状と診断されている)

担当医: 戸神博士

日付: 201█/██/█

〈前略〉

斎藤氏: 美奈はどこだ! 美奈に会わせろ!〈15:07:50〉

戸神博士: それは、食料配給センター職員の山下美奈さんのことですね? ご心配なく、彼女もここで保護していますよ。〈15:07:59〉

斎藤氏: 何だって、俺たちがこんな所に連れて来られなきゃいけないんだ。〈15:08:08〉

戸神博士: 強引な処置については謝罪します。しかし、どうかご理解下さい。あなたと山下さんは、ある病気に罹患している可能性があります。一刻も早く保護する必要がありました。〈15:08:13〉

斎藤氏: 病気? 俺と美奈が?〈15:08:21〉

戸神博士: 現時点では断定できません。診断のために、いくつか質問させて頂いてもよろしいでしょうか?〈15:08:24〉

斎藤氏: それで、美奈に会わせてくれるなら。〈15:08:32〉

戸神博士: はい、お約束します。では、まず、お二人が初めてお会いしたのはいつですか?〈15:08:35〉

斎藤氏: ええと、2ヶ月ぐらい前だったかな。休憩時間に馴染みの食料配給センターに行ったら、そこに美奈が配属されていて……いや、違うか。本当に初めて会ったのは、10年以上前だ。俺と美奈は、初期教育センターの同級生だった。卒業以来一度も会っていなかったが、一目見て分かったよ。〈15:08:42〉

戸神博士: それは不思議ですね。10年も経過すれば、ご容貌も変っているはずですが。〈15:08:42〉

斎藤氏: そうだな。でも、美奈も俺だとすぐに分かったらしいぜ。嬉しかったな。〈15:08:47〉

戸神博士: 嬉しかったのですか?〈15:08:54〉

斎藤氏: ああ、それが何か?〈15:08:59〉

戸神博士: いえ、分かりました。それから、あなたは山下さんに対して、どう接したのですか?〈15:09:02〉

斎藤氏: あれ以来、休憩時間の度に会いに行くようになってさ。色々話している内、美奈にヴィークルが配給されたと知ったんだ。もちろん自走モードは付いてるけど、できれば自分で運転してみたいらしくて。だから、しばらく練習に付き合うことにしたんだ。〈15:09:09〉

戸神博士: ご自分の余暇を費やして、ですか? 学習用のAIに任せればいいのでは?〈15:09:18〉

斎藤氏: まあ、そうだな。だから、これは口実だよ。美奈に会うためのな。〈15:09:25〉

戸神博士: なるほど。山下さんはどう返答しましたか?〈15:09:31〉

斎藤氏: 喜んでたぜ。AIより俺に教わる方が分かり易いと言ってたが、本当にそれが理由かな。〈15:09:36〉

戸神博士: その頃にはもう感染していたか。〈15:09:42〉

斎藤氏: 何だって?〈15:09:45〉

戸神博士: いえ、お気になさらず。それでは次に、昨日の出来事を伺いたいのですが。〈15:09:47〉

斎藤氏: 監視してたなら、知ってるだろ。〈15:09:52〉

戸神博士: あなた自身が、どう捉えているかを知りたいのですよ。〈15:09:55〉

斎藤氏: ふうん、まあいいけど。あの日も一緒にあちこち回って、気付くとあの浜辺にいたんだ。美奈が外の空気を吸いたいって言うから、ヴィークルを降りた。そうして、しばらく海を眺めていたんだが。その、何故か、俺は、美奈に、急に。〈15:10:01〉

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保護直前の斎藤氏および山下さん

戸神博士: お互いの口唇を接触させたのですね?〈15:10:14〉

斎藤氏: うん、まあ、そうだ。どうしてあんなことしたんだろう。〈15:10:18〉

戸神博士: 山下さんはどう反応しましたか?〈15:10:23〉

斎藤氏: 少し驚いていた。でも、嫌がってはいなかったと思う。俺がもう一度やろうとしても、逃げなかったし。そこへ、いきなり医療センターの職員だとかいう奴らが現れて、搬送ヴィークルに押し込まれて……さあ、もういいだろ。美奈に会わせてくれ!〈15:10:26〉

戸神博士: 斎藤さん、落ち着いてお聞き下さい。〈15:10:41〉

[戸神博士、SCP-1370-JPについて説明]

斎藤氏: ち、違う! 俺も美奈も、病気なんかじゃない!〈15:12:10〉

戸神博士: では、根本的なことをお聞きします。あなたはどうして、山下さんに会いたいと思うのですか?〈15:12:14〉

斎藤氏: それは……う、上手くは言えないが、美奈が一緒じゃないと、居ても経ってもいられないんだ!〈15:12:19〉

戸神博士: 説明不能な衝動に駆られている状態、それは即ち精神障害では?〈15:12:24〉

斎藤氏: くそっ! どいつもこいつも、俺たちをエラータイプみたいに言いやがって。ああ、そうだ。以前から薄々感じていたが、やっぱりそうだ。間違っているのは、この世界の方だ!〈15:12:31〉

戸神博士: ほう、具体的にどのような点が?〈15:12:42〉

斎藤氏: 間違いだらけだ! 遺伝子で生殖相手を決めたり、子育てを機械にやらせたり、おかしいと思わないのか? 挙句の果てに、年齢上限が来たから死ねなんて。〈15:12:48〉

戸神博士: なぜですか? どのシステムも、社会実験で有用性が証明されています。〈15:12:50〉

斎藤氏: 違う、違う、こんなの間違ってる。美奈に会わせてくれ。俺は美奈を、美奈を。〈15:12:56〉

戸神博士: 斎藤さん?〈15:13:04〉

斎藤氏: 俺は美奈をどうしたいんだ。何でこんなに胸が苦しいんだ。〈15:13:07〉

〈後略〉

付記: 両名の終了処理とカバーストーリー適用は、問題なく完了しています。


 
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以下の認証ダイアログは、O5評議会から専用パスコードを発行された職員の端末にのみ表示されています。適切な対抗ミームの摂取を行わずに不正アクセスを試みた場合、ミーム抹殺エージェント″Gott ist tot″により致命的な人格破壊を招きます。
 
職員コード
パスワード

タグ: scp-jp unclassed 医療 強制力 K-クラスシナリオ 精神影響 未収容 認識災害 視覚 非実体

~記事ココマデ、お読み頂きありがとうございました!~

画像はこちらこちらこちらこちらこちら、これ以外は自作です。

以下の記事を参考にさせて頂きました。

・本格的に関係する記事

SCP-963/不死の首飾りSCP-2000/機械仕掛けの神ブライト博士の人事ファイル

・少しだけ言及した記事

SCP-008/ゾンビ病SCP-321/我々の子供SCP-752/ヒトならざる者の理想郷SCP-1887/量子メカニックスクレフ博士の人事ファイルケイン・パトス・クロウの著者ページ

心配な点

1. 面白いでしょうか?
2. SCP-1682-JP/救難信号と差別化できているでしょうか?
3. 分かりにくい箇所はないでしょうか? 現職のO5-12が後任者に向けた文書なので、SCP-2000の知識は前提にして語っていますが、問題ないでしょうか?
4. ″愛″の定義はあえて明確にしていないのですが、問題ないでしょうか?
5.(追加項目) あえて恋愛感情だけに絞っているのですが、問題ないでしょうか? 家族愛や友情にまで広げると、さすがに説明欄が複雑になりすぎそうなんですよねえ。友情では「肉体的接触」はしないでしょうし……シナイヨネ?
6.(追加項目) インタビューログが長すぎないでしょうか? 「愛がオブジェクト扱いされている違和感が、もう少し欲しい」というご意見があったので、斎藤氏と戸神博士のズレた会話で表現してみたのですが、もっと記事が短くて済む方法はないでしょうかね……。
7.(追加項目) 発症者とターゲットを終了しちゃってますが、問題ないでしょうか? え、記憶処理で良くね? という疑問は、最後まで読めば分かる(万が一にも、人類が愛を思い出したら困るから)ようにしたつもりなのですが……。

その他、気になる点ございましたら、ご指摘下さい。贅沢言ってすいませんが、問題がある場合、なるべく代案も出して頂けると助かります!