Yatsuhaka
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト

概要: SCP-XXX-JPは月をモチーフとした中型のテーブルライト(以降、SCP-XXX-JP-1とする)と表紙が白く何も書かれていない一冊の文庫本(以降、SCP-XXX-JP-2とする)で構成されています。

SCP-XXX-JP-1の見かけと性能は一般的なテーブルライトとほぼ一致していますが、内部に未知の機械が付与されています。これは後述の活性時の異常性から、スピーカーと判断されています。1この機械を取り出す実験は、再び装着できる可能性が極めて低いと指摘されたため、現在保留となっています。また、装備されている白熱電球は発見からおよそ██ヶ月経っているにも関わらず、フィラメントの破損が起こっていません。

SCP-XXX-JP-1の異常性はSCP-XXX-JP-2と共に部屋に置かれ、照明を消し、SCP-XXX-JP-1の電源を入れた場合のみ発現されます。この条件より、SCP-XXX-JP-1が照明を認識していると考えられていますが、どのようにして認識しているのか明らかになっておりません。条件を満たすとき、SCP-XXX-JP-1は通常のテーブルライトと同様の機能を発揮しますが、その他に音声を流し始めます。この音声は、スズムシやコオロギなど、コオロギ科の昆虫の鳴き声であると確認されました。流れる音声を聞いた人物(以下、対象者)は、睡眠の有無に関わらず、眠気に襲われますが、睡眠には至らない状態(以下、特殊不眠状態)に陥ります。特殊不眠状態の程度は対象者によって異なります。特殊不眠状態はSCP-XXX-JP-2の異常性に暴露するまで解除されません。SCP-XXX-JP-2の暴露が解除され、対象者が就寝すると、SCP-XXX-JP-1は自動的に消灯し、音声も解除されます。

SCP-XXX-JP-2は大きさと紙質は一般的な文庫本と一致しています。しかし、最大の特徴として、非活性化状態のSCP-XXX-JP-2には本の題名、著者、内容などが一切書かれていません。また、カバーやスピン2も存在していません。ページ数は非活性状態の場合は100ページ3で、活性状態の場合は、本の題名に合わせてページを増減させています。4 活性化状態のSCP-XXX-JP-2は表紙に題名と著者が記されますが、デザインは財団が確認しているどの出版社とも一致しません。本の題名、著者、内容は現在までに世界中で出版されているものから無作為に選ばれているようです。

SCP-XXX-JP-2の異常性は、上記のSCP-XXX-JP-1の異常性が対象者に発揮された際に暴露します。対象者が特殊不眠状態になると、SCP-XXX-JP-2は対象者の半径数十cm~数cm付近に瞬間移動します。この時、必ず対象者はSCP-XXX-JP-2を手に取り、読み始めます。読書をする習慣がない人物、または本が読めない人物が対象者になっても、同様の行動が起こります。読む速度は対象者によって異なりますが、最高でも1時間以内に読み終わります。読み終わるタイミングは2つのパターンに分けられます。

1つ目のパターンは、対象者がSCP-XXX-JP-2を読み終わらず途中で就寝するパターンです。このパターンでは、対象者は8時間のノンレム睡眠を行います。対象者はこの睡眠に対して、「ぐっすりと眠ることができた」「すっきりとした目覚めだった」と述べています。このパターンになる割合は、約65%です。なぜSCP-XXX-JP-2を読み終わらなかったか尋ねると、対象者は「途中で眠気に耐え切れなかった」と説明しています。
2つ目のパターンは、対象者がSCP-XXX-JP-2を全て読み終わり、就寝するパターンです。この状態では、対象者は平均して6時間のレム睡眠を行います。対象者はこの睡眠に対して、必ず「懐かしい夢を見ていた」「涼しい感覚があって、コオロギの鳴き声が聞こえた」と述べています。夢の内容について言及すると、対象者は「自分の両親どちらか一方(またはその役割に近しい人物)が自分に本を読み聞かせている」という内容であったと述べていました。涼しい感覚については、「水に浸かっていたのでなく、涼しく弱い風が吹いていて、不快感は無かった」と述べていました。この状態になる割合は、約35%です。なぜ読み切ったかを尋ねると、「懐かしくて心地よい感覚だったので、まだ起きてこの感覚を味わっていたいと考えたから」と説明しました。これらのパターンに陥る人物の差異については明らかになっておりません。

補遺1: SCP-XXX-JPは研究サイト-81██勤務の降田研究員が発見しました。降田研究員は自身がSCP-XXX-JPの異常性を発見し、財団に報告するまで、気が付かずにSCP-XXX-JPを安眠グッズとして利用していました。降田研究員はSCP-XXX-JP-2の異常性については、主に1つ目のパターンにかかっていたと報告しています。降田研究員はSCP-XXX-JPを2012年9月28日、ネットオークションで購入したと供述しています。財団はオークションの出品者の行方を調査中です。

補遺2: SCP-XXX-JPの異常性でSCP-XXX-JP-2の暴露時、2つ目のパターンの場合のみ、対象者に対して幼児退行、記憶の改ざんを引き起こさせることが判明しました。