Yatoiのサンドボックス

(仮名)認識依存症

評価: 0+x

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の人型標準収容房に収容されます。生活面は人型標準収容プロトコルに従ってください。またSCP-XXX-JPの標準人型収容房には極力立ち入らないでください、立ち入る場合はSCP-XXX-JPとすれ違わないようにしてください、すれ違った場合には必ず再度SCP-XXX-JPを視認するようにしてください。SCP-XXX-JPには軽度の鬱、無気力の傾向が見られます、SCP-XXX-JPが軽作業や娯楽を拒否し始めた場合は抗鬱剤の処方、および精神療法を受けさせてください。
SCP-XXX-JPを収容房の外に出す実験は必ず1週間以上前に申請してください、SCP-XXX-JPを収容房の外へ出す際、SCP-XXX-JPとすれ違う職員や他オブジェクトの発生を防ぐための処置です。申請の時期によっては申請を受理できない、あるいは実験を強制的に中止させる場合があります。

説明: SCP-XXX-JPは外見上およそ30代のモンゴロイド系の成人男性のように見える人型実体です。SCP-XXX-JPを視認した人物は相貌失認に似た症状を発露し、SCP-XXX-JPの顔や風体を詳しく覚えることはできませんが、SCP-XXX-JP以外には上記の効果を発揮されません。SCP-XXX-JPを写真などに撮影することは可能ですが、写真に写ったSCP-XXX-JPを覚えておくのは同様に困難であり、コンピューターなどでもSCP-XXX-JPの顔を認識することはできません。またSCP-XXX-JPの名称も記憶するのが困難であると判明しています。
SCP-XXX-JPの異常性はSCP-XXX-JPとすれ違った際にも発露します。SCP-XXX-JPとすれ違った人物はSCP-XXX-JPを必ず振り返ります。これは生理的な反射に近く、口頭による制止や武力的な手段をもって止められた前例は現在まで存在しません。またすれ違った人物は多少の差異はありますが一様にSCP-XXX-JPを「他の人と見間違えた」という証言を残しています。SCP-XXX-JPと1.2m以上離れている場合はすれ違っても異常性が発露しないのが確認されています。同様に対象者が壁を向いているなどSCP-XXX-JPをすれ違う際に認識しなかった場合も異常性は発露しません。

SCP-XXX-JPは2011/09/03に警察によって保護されました。SCP-XXX-JPは自身に関する記憶を喪失しており前述の異常性も含め身元の特定が難航していたため、何らかの認識災害を疑った警察勤務の財団エージェントにより財団預かりになりました。その後異常性の発見をもってSCP-XXX-JPに割り当てられ財団に収容されました。

追記1: SCP-XXX-JPの精神状態を鑑みて定期的に財団フロント経営の介護施設、サーバント・ケア・ピース(Servant・Care・Peace)で財団職員監督の元で作業を行っています。軽作業や娯楽を拒否することはあっても介護施設での作業を拒否した前例はなく、SCP-XXX-JPへのインタビューでは「収容房より監視付きであっても他の人がそばにいるほうが安心する。」と回答しています。介護施設での作業はSCP-XXX-JPの精神回復に効果的であり、記憶の回復や身元の情報の手がかりとなる可能性があるため今後も続行される予定です。

追記2: 2012/01/28、介護施設にて偶発的に認知症の女性(79歳入居者、以下『笹嶋氏』と呼称)とのすれ違いが発生しました。笹嶋氏はすれ違うと振り返り、驚いた様子で「こうちゃん」とSCP-XXX-JPを呼称しました。笹嶋氏はSCP-XXX-JPに接近すると「コウスケ大きくなったねぇ」とSCP-XXX-JPを抱擁しました。その日の作業は即時中止となり、SCP-XXX-JPへのインタビューが行われました。当初は困惑した様子のSCP-XXX-JPでしたが、すれ違い発生から6時間経過すると落ち着き、「記憶を取り戻した、俺は森谷浩輔だ。」とインタビューに明快に答えました。SCP-XXX-JPの自称した森谷浩輔というのは笹嶋氏の孫にあたり、両親はすでに死亡していることが判明しています。また森谷浩輔と自称したSCP-XXX-JPにこれまで確認されたすべての異常性は見られませんでした。