yasomizu note

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPは窓の無い標準人型収容室に収容してください。実験等で収容室外に連れ出す時はミラーレンズのゴーグルを装着させてください。SCP-XXX-JPと接触するのは女性スタッフが望ましいですが、男性スタッフもSCP-XXX-JPがゴーグルを装着している限り接触可能です。万が一暴露した場合もその影響内容を理解し、SCP-XXX-JPを拒否する・憐れむ発言は慎んでください。

説明: SCP-XXX-JPは平均的体格と容姿をした日本人女性です。20██/██/██の収容時17歳で、以来通常通りの加齢とその成長の兆候を示しています。軽度の無気力と厭世を示しますが、これはSCP-XXX-JPが置かれてきた状況によるものと考えられます。

SCP-XXX-JPの目を10秒間連続して目視した人間の男性(以下曝露者と表記)は例外無く、SCP-XXX-JPに対して「この女性は自分を愛しているらしいが自分はそれに応えられない」という感情を持ちます。この現象は視線が合っている合っていないに関わらず、一方的であろうと男性ががSCP-XXX-JPの眼球を見続けることで引き起こされ、その際両者のまばたきは無視されます。
曝露者には先述の感情と共にSCP-XXX-JPからの愛情に応えられない罪悪感や同情心が芽生えます。これまでの実験で嫌悪感を現した対曝露者は確認されておらず、この効果も曝露の影響であると考えられます。
被曝対象は男性に限られ、曝露者の性的指向は関係しません。

SCP-XXX-JPは千葉県で起きた連続婦女暴行事件の犯人と思われる████氏が刺殺体で発見された件で、その容疑者として逮捕されていました。
事件の取り調べにおいてSCP-XXX-JPは「男の人に嫌われ続け、とうとう強姦魔にまで途中で嫌われたことでそれまでのストレスから逆上した」と発言、被害妄想の症状として精神鑑定に回される予定でしたが、後に取り調べにあたった警察職員複数名が実際にそのような感情を持っていたと噂になり財団の目に留まりました。

以下はインタビュー内でその事件に関する部分の抜粋です。

インタビュー対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員

(一部抜粋)

██研究員:それでは、あなたが警察に証言した「男性に嫌われ続けた」という点について説明をお願いします。

SCP-XXX-JP:とにかく男子に告白しても無いのに振られ続けるんです。男子っていうか、大人が相手でもなんですけど。

██研究員:あなたが何かする前に?

SCP-XXX-JP:なにもしなくてもです。なので振られるというより釘を刺されるという感じです。「ごめんね」って。でもそもそも好きじゃないんですよ私は。ずっと好きじゃ無い人たちに断られ続けて、もうカウントも面倒になって、だから人を好きになるとかない、ありえないのに「君の気持ちは嬉しいけど」って断られて同情されるんです。

██研究員:そうなった、なにかきっかけのような出来事は思い出せますか?

SCP-XXX-JP:いいえ……ただ幼稚園の時からそういうことはありました。あとこれは何となくですが、父も……ずっと私にそう思っていたような気がします。だから生まれつきといえば生まれつきかもしれません。

██研究員:わかりました。お父様にはのちほど確認が行くかもしれません。では、その自覚があなたの起こした事件についてどう関係するのか話せますか?

SCP-XXX-JP:はい……あの。最初に襲われた時は、はじめて……男の人に好かれたと思って。

██研究員:ゆっくり話せるところからでいいですよ。

SCP-XXX-JP:はい、その、事件のことは知っていたんです。私のじゃなくてレイ……暴行事件の方。学校からも遠回しに言われてたし、でも自分には関係ないと思ってました。この体質……体質でいいんですよねもう?この体質の私を襲う男なんていないと。だから急に襲われて、ナイフで脅されて公民館みたいなところに連れ込まれてもまだ驚きの方が強かったです。私ずっとなんで自分がこうなのか考えてて、顔が悪いのか、何で誤解されるのか、そんなに思わせぶりな態度をしてるのかなとか、もしかしたら体臭がひどいのかとか色目使ってるのかとか何かの罰ゲームなのかとか……でも最近はさすがに諦めるしかないと思ってて、それなのにその……女としての対象になったので……少し安心したんです……。

██研究員:……続けられますか?

SCP-XXX-JP:……押し倒されてしばらくして、突然犯人の手が止まったんです。私の顔をじっと見て、急に「俺なんかを好きになっちゃだめだ君の気持ちは俺には重すぎる」って言い出して、ああまた振られたんだなと思って、なんでレイプ魔にお断りされてんだとかやっぱりこうなったかとか一瞬でも嬉しいと思ったみじめさとかでいっぱいになって、もういいかと思って……脅されてたナイフで殺しました。

██研究員:話しづらいところをありがとう。ここはあなたは今後SCP-XXX-JPに指定され、当財団に研究されていきます。研究結果によってはいくらかの自由も保障されますので、今後もご協力お願いします。何かご質問は?

SCP-XXX-JP:研究というのはその、治療ではないんですよね。私はずっとここにいることになるんですか?

██研究員:あなたの性質が消えない限り、そうなります。

SCP-XXX-JP:いえ、私も私が悪いわけじゃないとわかったし外にいても今までと変わらないのでいいです。いいんです。ただどっちにしてもむなしいなと思っただけです。

補遺: 曝露者がSCP-XXX-JPに"応えられない"旨を伝えるかどうかは個人の意志によるものと見られています。SCP-XXX-JPが認識している(少なくとも20人)よりはるかに多数の曝露者がいるものと思われますが、後遺症は確認されておらず特定も困難であるため記憶処理は検討されていません。