オブジェクトクラス:Safe
特別収容プロトコル:SCP-664-JPは最低でも60平方メートル以上の床面積を持つコンクリートタイプの収容室に収容してください。また、可能な限り収容室の扉から最も遠い位置に安置するようにし、SCP-664-JPへの接触を試みる場合、二人以上の職員が収容室へ進入するようにしてください。
収容室内には必ず大きな音を立てる物体(例:ブザー等)を配置し、音を鳴らし続けてください。音源が鳴らなくなった場合には即座に警報を鳴らし、それを音源の代わりとしてください。職員の接触時には音を発生させなくても構いませんが、接触時にSCP-664-JPにヒトの言葉を聞かせないようにすることが重要です。しかし、SCP-664-JPとの接触時に音声で外部との通信や連絡を行う場合には職員の叫び声でも音源として代用できます。
説明:SCP-664-JPは原稿用紙の形をとっており、常に活性状態にあります。SCP-664-JPには如何なる筆記具でも筆記・描画ができますが、約30分後にSCP-664-JP-2のシステムによって消去されます。消去されるまでの間はSCP-664-JP-1のシステムが作動します。
それらのシステムは以下の通りです。
SCP-664-JP-1: SCP-664-JPに筆記・描画された時点で、その地点の300メートル圏内のどこかで筆記・描画された内容を具現化させます。筆記・描画したものは約30分後にSCP-664-JP-2によって消去され、消去された内容が筆記・描画した者の記憶に影響を与えます。また、半径30メートル以内にいるヒトの音声を聞き取って自ら文字に変換し表示する能力を有しているようです。
SCP-664-JP-2: SCP-664-JPに筆記・描画されたものを約30分後に消去します。
収容室に収容されている間、まれに音源の音を写しとることがあります。その場合、音源が鳴り続けているように錯覚することがありますが、音源が鳴っていない時と同等の状態であるため、直ちに音源や警報を鳴らすようにしてください。
実験記録 664-JP-001 | 20××/02/05 |
対象 | N-60531(一般的な成人男性) |
概要 | 筆記具を用い、SCP-664-JPに筆記あるいは描画を自由に行うように指示。 |
結果 | N-60531は私物の万年筆を用い、自らの投資が成功するという物語を執筆した。実験の最中、N-60531の携帯に「株が当たった」という電話が身内から入り、また、電話でのその会話内容がSCP-664-JPに記録された。実験終了30分後、N-60531は身内からの電話を折り返し株の話を確認すると、身内は株の話をしたことを否定し、電話もしていないと言った。SCP-664-JPの記録は完全に消去されていた。 |
分析 | 彼自身は、自らの執筆した物語が現実になったと思い込み、財産が増えたと認識しているようだ。 |
実験記録 664-JP-002 | 20××/05/17 |
対象 | N-16753(被虐待経験のある成人女性) |
概要 | 職員が用意した鉛筆と色鉛筆を用い、SCP-664-JPに筆記あるいは描画を自由に行うように指示。 |
結果 | N-16753はSCP-664-JPの裏面に交通事故に遭った女性の姿を描いた。前回の実験同様に実験の最中、被験者の身内が交通事故に遭ったという連絡を職員が被験者に伝えた。実験終了直後には身内の事故を職員が連絡した内容として記憶していたが、約30分が経過すると自らがその光景を直接見たかのように身内の事故を語っていた。 |
分析 | 前回と今回の実験により、SCP-664-JPは使用者の記憶にのみ影響を与えることがわかった。また、被験者への情報の伝わり方は他人を通し、かつ情報を伝えたと被験者が主張する人物には情報を伝えたという認識がないことが判明した。 |
備考 | N-16753は実験中にSCP-664-JPにシワをつけてしまったが、被験者が描いた絵と共に消えたことから、SCP-664-JP自体の変形も筆記・描画と同等に扱われているようだ。 |
実験記録 664-JP-003 | 20××/11/25 |
対象 | N-82651(一般高校生) |
概要 | SCP-664-JPを用い、折り紙を行うように指示。 |
結果 | N-82651は紙飛行機を制作し、一度だけ部屋の隅から隅へ飛ばした。その後彼は何も行わなかったが、SCP-664-JPはひとりでに実験開始前の形と位置へ戻り、紙飛行機の形に自ら変形しN-82651が飛ばしたように部屋の隅から隅へ飛んだ。この現象はSCP-664-JPが紙飛行機の形に折られた30分後まで繰り返された。 |
分析 | 筆記や描画では被験者の望みを写すことが多いが、SCP-664-JP自体の形を変えた場合、すなわち被験者の望みを写さなかった場合には被験者の記憶に影響を与えることはないと判明した。 |