SCP-XXXX-JP
特別収容プロトコル
説明:SCP-XXXX-JPは異常性のあるカクテルです。材料・レシピはごく一般的なもので、偶然再現される可能性もあります。SCP-XXXX-JPはレシピからの計算上では、アルコール度数は30%を超えるはずですが、実際のアルコール度数は0%に限りなく近い値になります。
ヒトがSCP-XXXX-JPを15分以内に概ね300ml以上飲んだ場合、ほろ酔い期程度の酔いを覚えますが、服用から30分ほどで酔いが完全に醒めます。この時、要注意団体・酩酊街および如月工務店由来のものを初めとする一部のオブジェクトによる異常な影響を不可逆的に除去します。除去される影響は摂取者にとって不快に感じていたものが多いですが、規則性は判明していません。
実験記録(抜粋)
被験者:牛深研究員
実験内容:SCP-XXXX-JPを摂取させる。
補足:牛深研究員はSCP-824-JPの影響下にあり施設内で暴れまわったことがある。
実験結果:摂取後5年経過したが、摂取後SCP-824-JPを見ていないとの証言。
考察:研究初期に寄せられた証言はだいたいあっているようだ。ただ、酩酊街系のオブジェクトは危害を加えてくるものは少ない上、記憶処理が要らないオブジェクトも多いので、認識災害のオブジェクトを広くしらべてみます。
被験者:D-XXXX-2
実験内容:SCP-XXXX-JPを摂取させる。
補足:D-XXXX-2はSCP-619-JPにあやまって立ち入ったことがある。
実験結果:D-XXXX-2はSCP-619-JP-1群を知覚出来なくなった。継続観察の結果、SCP-619-JP-1群の悪影響も現在に至るまで発生していない。
考察:如月工務店系のオブジェクトにも通用するようです。
被験者:D-XXXX-5
補足:相極性障害の診断が下っています。
実験内容:SCP-1254-JPに108回暴露させた後、SCP-XXXX-JPを摂取させる。
実験結果:SCP-1254-JPの影響を除去。また、躁鬱症状も軽快した。
考察:酩酊街をかたったオブジェクトでしたが、効果はあったようです。
SCP-XXX-JP スナック千代子
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:性質上、SCP-XXX-JPの収容は不可能です。
日常の諜報活動中で「スナック千代子」が発見された際は近隣のサイトからスタッフを派遣して内部、メニュー、店員について調査を行ってください。このオブジェクトにかかわった人物の記憶処理は不要です。
説明:SCP-XXX-JPは不定期に日本国内の空きテナントに発生する飲食店です。屋号は時期によって変化しますが1970年代ごろからはほとんどの場合、「スナック千代子」です。発生中は、登録制のグルメサイトにも掲載されるようになります。
SCP-XXX-JPは一回出現すると、おおむね12時間程度発現します。大体の場合は出現した地域の法令に従い、夕方に開店し翌朝の明け方に閉店します。
SCP-XXX-JPは1950年代から発生の記録がありますが、グルメサイトが発達した1990年代後半から、確実な調査ができるようになりました。SCP-XXX-JPのメニューは軽食と酒類で構成されます。軽食のラインナップはお酒と一緒に食べるのに向いているもので毎回少しずつ変化します。酒類は日本酒・焼酎・ビール・ワイン・オリジナルカクテル「帰ってきたヨッパライ」を必ず含みます。
SCP-XXX-JP内には店員として2名の人型実態が存在します。彼女らは店内のみで存在できるものと考えられ、店外には現れません。
SCP-XXX-JP-1:自身を刑部千代子と呼称。40代前半の女性の姿をしている。こめかみから2本1対の角が生えている。店の運営のほとんどを担当。
SCP-XXX-JP-2:自身を刑部鈴鹿と呼称。SCP-XXX-JP-1の娘を自称。10代後半の女性の姿をしている。額から1本の角が生えている。基本的には異常性のないゲーム機やスマートフォンをいじっていたり、高校生レベルの教材に取り組んでいるが、客が多いときは調理を行う。メッセージアプリのアドレス交換も可能。
SCP-XXX-JPの店内は6人掛けカウンター席、いくつかの4人掛けテーブル席と厨房で構成されます。また、4人掛けの席は間取りによって複数配置される場合もあります。バックヤードは存在せず、厨房内の冷蔵庫および戸棚に食品やお酒類を保管しています。
また、以下の備品も配置されます。
週刊誌・スポーツ新聞・漫画を含む本棚
通信カラオケ
テレビ
SCP-XXX-JPの内部にある物品などは店外にも実在する物品と店外には実在しない物品が混在します。
SCP-XXX-JP 体が覚えている
オブジェクトクラス:Euclid
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPは普段は低危険度オブジェクト収容ロッカーに保管してください。
実験のには被験者の体力テストと、運動歴に関するヒアリングを行い、
後述の異常性による無理な運動が予見される場合は実験を中止してください。
説明:SCP-XXX-JPは一般にシュシュと呼ばれる髪飾りです。
周囲25cmで、一般的なシュシュと同様の伸縮性があります。
組成は一般的なゴム紐と木綿でできており異常は確認されておりません。
SCP-XXX-JPは腕、頭髪などに着用した際に活性化します。
着用者はしばらくの間、今までの人生で最も練習した動きをとります。
これは、武道の構えやダンスなど様々な形をとります。
また、未知の作用で周りにその動作にあった音が鳴ることもあります。
外部要因でSCP-XXX-JPが脱落するか、着用者が一通り動きの型を終えると、
SCP-XXX-JPは休眠状態に入ります。一度、着用者から外され、
もう一度着用されるまで、異常性を喪失します。
実験記録
被験者:35歳女性(本渡医師の隣家)
実験理由:発見時。
実験結果:NIGHT OF FIREを踊っていた。
実験後コメント:パラパラを踊ったのは高校生以来でした。しんどかったです。
被験者:SCP-155-JP-1
実験理由:財団が被験者の触れる書物・ビデオなどをほぼ完全に掌握できているため。
クロステストになってしまうが、特異例として実験を行った。
実験前コメント:先日から、新しい[黒塗り5文字]が放映されていて、毎日エンディングのダンスをまねしています。—-収容スペシャリスト・美墨
実験結果:[黒塗り12文字]をテレビ放映とほぼ同じ時間、同じような振り付けで踊った。収容スペシャリスト・美墨が指摘した女児向けアニメのエンディングテーマである。
被験者:エージェント・ローラ
実験理由:ダンス経験のない者が装着した場合のチェック。
実験前コメント:一番行った行動ですか…メッカへの礼拝でしょうか?(彼女は敬虔なイスラム教徒です。念のためメッカの方向に向いて実験を行います。)
実験結果:その場にそのままの向きでひざまづき、礼拝を行った。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (未定)
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1はサイト-81██の人型収容施設に収容します。SCP-XXX-JP-2群は原則SCP-XXX-JP-1と同じ部屋に収容します。
SCP-XXX-JP-2群の収容にはSCP-XXX-JP-1の協力が不可欠です。SCP-XXX-JP-1には自身の特性について最低限理解させてください。SCP-XXX-JP-1へのCクラス収容スペシャリストの基礎教育も検討されています。
SCP-XXX-JP-1に物品を与える際は必ず収容チームに連絡の上、チェックを行ってください。収容スペシャリストはすべての物品に追跡用ICタグを取り付けてください。
大型の物品・危険物がSCP-XXX-JP-2に変化することを阻止するため、収容室内に家具が必要な場合は必ず収容室に建付けてください。
特性の解明のため、SCP-XXX-JP-1のつけたあだ名はすべて記録されます。SCP-XXX-JP-1にあだ名をつけられた職員は必ず収容チームにつけられたあだ名を報告してください。
説明: SCP-XXX-JP-1は池内██と呼ばれていた10歳の女性です。SCP-XXX-JP-1は自身の所有物や出会った人物などにあだ名をつけることを好んでおり、多くの場合、物をあだ名で呼びます。
SCP-XXX-JP-1が生物以外の物品にあだ名をつけた場合、物品はSCP-XXX-JP-2群に分類される存在になります。
SCP-XXX-JP-2は自ら浮遊して移動できるようになり、基本的に呼びかけたら応える、簡単な命令が通用するなど、イヌ程度の知能を有しています。特に、SCP-XXX-JP-1の命令には忠実です。これらはあだ名をアルファベットで記載した際の頭文字によって性格が変化します。
現存するSCP-XXX-JP-2群の一部は以下の通りです。
完全なリストは収容チームに請求してください。
名前(アルファベット表記) |
物品の概要 |
性格 |
ジョン(John) |
タオルハンカチ |
活発。SCP-XXX-JP-1が「静かにして!」というまで基本的に飛び回っている。 |
たけぞー(Takezo) |
ゲームアプリ「██████」のキャラクター████ドラゴンのぬいぐるみ。 |
おとなしく、寝そべったり転がる動きをよく見せる。SCP-XXX-JP-1がのどをなでると気持ちよさそうにふるまう。 |
ゼロ(zero) |
青いカバーのクッション。45cm×45cm |
人なつっこく、財団職員・SCP-XXX-JP-1のどちらが部屋に入室しても真っ先に飛んでくる。 |
SCP-XXX-JPは██県██市において、SCP-XXX-JP-1にベッドが衝突するという事故でその異常性が発見されました。SCP-XXX-JP-1は全身骨折で、█か月の入院を余儀なくされました。その際に財団職員で小児科医である本渡医師の回診中、SCP-XXX-JP-1「ご飯の後部屋に戻ったら『じゅんいちくん』がとびかかってきた」という発言をしたため、調査を進めた結果、「あだ名をつけたものが、浮遊する生命体のようにふるまう」という因果関係が認められ、収容に至りました。
インシデントレポートXXX-JP-001:
日時:20██/██/██
事例:SCP-XXX-JP-1が██病院に入院中、警察に「ベッドが空を飛んでいる」という報告が入りました。事の成り行きについては録音記録を参照してください。なお、記録中、本渡医師はSCP-XXX-JP-1を本名で呼んでいます。
SCP-XXX-JP-1「本渡先生。どうしたんですか?」
本渡医師「ちょっとね。台風が来るから準備しているんだ(窓ガラスに飛散防止用テープを貼る)」
SCP-XXX-JP-1「(窓の外を見る)先生。もしかして、じゅんいちくんのことですか?」
本渡医師「やっぱり隠せないか。君に襲い掛かってくるベッドを…」
(窓ガラスが砕ける音。本渡医師は吹き飛ぶ)
SCP-XXX-JP-1「じゅんいちくん。おうちに帰って。私は大丈夫…これ以上みんなに心配をかけさせないで…。」
(窓ガラスが砕ける音。)
録音終了
数分後、SCP-XXX-JP-2-"じゅんいちくん"は財団機動部隊により終了。異常性は喪失しました。
SCP-XXX-JP-1は「じゅんいちくんがばらばらに…」と泣きじゃくっていました。
報告:SCP-XXX-JP-1はSCiPをほぼ無限に生み出す存在ですが、正しい教育により、SCP-XXX-JP-2群に対する最大の切り札にもなります。SCP-XXX-JP-2群の安全な収容のため、SCP-XXX-JP-1の寛大な取り扱いを求めます。 - 本渡医師
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (未定)
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは財団標準仕様の小型金庫を使用して収容してください。2個以上のSCP-XXX-JPが半径10km圏内に2個以上収容しないようにしてください。まだ、収容されていないオブジェクトが存在する可能性があるので、カバーストリー”不良品回収”のもと、同型のメトロノームをすべて回収して、異常性をチェックしてください。
実験の際は計算式(1)の計算を行い実際の実験時間を計算したうえで実験室を予約してください。
(1)
\begin{align} 実際の実験時間=\frac{120}{SCP-XXX-JPに設定する拍(拍/分)}\times 実験室内の実験時間 \end{align}
実験の際、SCP-XXX-JPを使用する部屋に配置する人物には必ず文字でコミュニケーションがとれるようにしてください。実験室内を観察することができるアクリルガラスの大きな窓が付いた標準実験施設S-27の使用を推奨します。
説明: SCP-XXX-JPは███社製の振り子式メトロノーム██-███と同じ形をしています。現在異常性が検出されているものは20個です。(それぞれSCP-XXX-JP-01~20と分類)40-208拍/分の間で拍を設定できます。
SCP-XXX-JPは、18平方メートル以内の部屋で通常のメトロノームと同様に使用した場合に異常性を発揮します。
SCP-XXX-JPを使用している部屋の中と外では時間の流れが変化します。SCP-XXX-JPが使用されている間、室内で1秒経過している間に、室外ではSCP-XXX-JPに設定した拍の2拍分の時間が経過します。
部屋の気密性は必ずしも強く要求はされません。空いている窓があったとしてもそれは壁とみなされます。また、ドアのない出入り口も部屋の境界として認識されます。
SCP-XXX-JPは、██県████市内のピアノ教室で初めて発見されました。エージェント・██が自身の娘をピアノ教室に送迎したところ、1時間のレッスン受けていたにもかかわらず、40分ほどで娘が帰ってきたことを不審に思い、講師に聞き取りをしたところ異常性が発見されました。
実験記録001 - 日付20██/██/█
対象: SCP-XXX-JP-01
実施方法: 実験室内でSCP-XXX-JPを5分間使用し、手に持ったストップウォッチが5分を経過したら連絡ボタンを押して連絡するよう指示。設定する拍は60拍/分。
<記録開始>
██博士:「何かあったらすぐに言ってくださいね。」
D-XXX-01:「はあーい……」
██博士:「どうしましたか?状況を説明してください。」
D-XXX-01:「はーかーせ……」
██博士:「何か苦しいことがありますか?君、医務班を…」
D-XXX-01:「こーえーが……はーやーくーて……よーくーわーかーりーまーせーん……もーうーすーこーしー……ゆーっくり……はーなーしーて……くーだーさーい……」
<以下割愛>
結果: 10分後D-XXX-01は指示通り連絡ボタンを押下。
分析: 映像機器などで、中の様子を撮影すると、リアルタイムで時空が変化しているようだということが分かりました。今後はホワイトボードをカメラに向けるという方法で被験者とコミュニケーションをとります。 - ██博士
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
7月13日19時
「俺は幸運かもしれない。しかし、この幸運もいつまで続くか……」
医務室で、2週間の書類をまとめつつ本渡はつぶやいた。
それも、いつものエージェント・カナヘビの"無理"であった。
「I5サイト-8130が半壊滅状態だから応援医療スタッフとして2か月間南国でバカンスや!
あ、ちなみにスタッフもぎりぎりやから、君臨時リーダーな。」
なるほど。Euclidとは名ばかりのノーガード状態に自分を含めてたった3名。
ましてや、心理不安が大敵のオブジェクトに専門の精神科医は不在…。
自分ら臨時スタッフが全員1年以上の久しぶりのSCP-155-JP-1警備。
普通だったら大規模収容違反が2~3度起きても何らおかしくはない。
しかも
カナヘビから渡された書類には
「指揮官が不在なので、到着次第キミが指揮官になること。あと、I5サイト-8130の現況も逐一まとめること。」
とまであったのだ。何分、I5サイト-8130に向かう船のメンバーでミーティングを行い、即席チームを作るくらいの余裕はあったが、
それでも、SCP-155-JP-1に1年以上会っていないものがほとんどであった
SCP-155-JP-1自身も危機的であった。第2次性徴期特有の現象がSCP-155-JP-1を常に襲い続けている。
対策はとられていたかもしれないが、引継ぎがろくにできなかったのだ。
それどころか、SCP-155-JP-1はこうも言った。
「私は……今置かれている環境が本当はおかしいものなのかもしれない。そして、私は確実におかしいと思う。」
SCP-155-JPの特別収容プロトコルは完全に破綻していた。
財団は必ずしも一枚岩ではない。そして、その英知も完全ではない。しかし、絶海の孤島ですでに世界の危機が起こってしまっていたとは……。
本渡は頭を抱えていた。こんなことすべて打ち明けられれば……。ん?打ち明ける?
SCP-155-JP-1はすでに14歳であった。彼女はもう立派にモノも分かる。大人の階段を上り始めた存在だ。
最終最強のクロステストを行うときが来たのかもしれない。彼はカナヘビに報告書を書いた。
特別収容プロトコル[12時の鐘]
このプロトコル実行のために、エージェント・雛倉を要求します。
受理しました-エージェント・カナヘビ
7月17日10時
エージェント・雛倉は絶海の孤島に降り立っていた。一回限りの「特別収容プロトコル[12時の鐘]」の執行のためだ。
そして傍らには青年がもう一人。彼女の隣に立っていた青年。SCP-014-JP-EX-2…今は竹崎██と呼ばれる青年だ。
青年が先に口を開く
「雛倉…やっべえ。はずかしい。あのさ、あの時の名前で呼んでいいか?」
「…やめてよ恥ずかしい。でも、私ひとりじゃなくてよかった。」
「そうだな…大村は少林寺のインターハイで忙しいんだっけ。」
「そうそう。まさか、アマゾネスの経験が本当に活きちゃうなんてね…現実復帰の時は想像もつかなかった。」
見たこともない南洋の海鳥を見ながら雛倉は伸びをした。竹崎が話しかける。
「…本渡センセからの話ってなんだっけ。」
「█████ちゃんのお兄ちゃんおねえちゃんをやってくれだってさ。王国の話も自由にしていいし、それ以外の話も。」
「"財団"らしくねえよな。なんだか。昔あったことをあけすけにしていいなんて。」
「……でも███ちゃんは今まで難病患者だと信じ込まされている。本渡先生がお父さん・お母さんの話はぶち壊したらしい。」
「……最後の一撃を加えろってか。素人にやらすことか?これ。」
「大丈夫。うまくやるよ。███ちゃんも竹崎も私が守る。私が無理言ってあなたを連れてきたんだから、あなたを五体満足で返す義務がある。」
「……まかせるよ。魔法も剣術もお前のほうが強かったんだからな。皇女様。」
「だーかーらー!火炎放射器の魔法とか本当に恥ずかしいんだから!」