https://pixabay.com/ja/%E6%97%A5%E6%9C%AC-%E6%9D%B1%E4%BA%AC-%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84-%E9%89%84%E9%81%93-%E5%BE%85%E6%A9%9F-%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3-%E5%AE%9F%E6%A5%AD%E5%AE%B6-%E9%80%9A%E5%8B%A4-1529456/
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特別収容プロトコル:
1.オブジェクトの保管(或いは封鎖している)場所について
2.収容ロッカーや収容室について
3.オブジェクトの封じ込めや制御法
4.実験上での注意点
5.その他(収容プロトコルの改定など)
説明:
1.オブジェクトの全体的な形状や性質
2.規格・重量・作成年代(人型や生物の場合は年齢)
3.異常性
4.SCP-XXX-JP-2(-A)
5.実験記録・インタビュー・補遺…など
対象を捕捉
アップデートを開始します
鉄筋コンクリートを好むキノコというのは面白いのですが、記事内でもう少しそこを掘り下げてほしかったと思います。人間にも生えるところでそこがあんまり活かされてないかなと思いました。
また鉄筋コンクリート造の建物となると中型から大型の建物になります。戸建住宅で鉄筋コンクリートはあまりないと思います。そうなるとあの家族だけでなく他にも色んな人が住んでいてすごい被害が出てる方が自然と思いました。
コンクリートを苗床にする、という面白い異常性なのにクローズアップされているのが一般家庭かつ一家族単位なのはもったいないですね。もっと大規模なビルや集合住宅が被害にあっていてもおかしくないと思うので、市井の小単位ではなく社会の広範囲を脅かす側面をピックアップした方が面白くなると思いました。
僕の場合、皆さんのご意見とは少し違うのですが、そもそも異常性にあまり魅力を感じることができず、「コンクリートをターゲットに着生する超強力なカビ・キノコ」という感じで終わってしまいました。
何か超劇的な変異が起きれば、こういうのに似た変異も実際にあるかも、みたいにも感じました。
「ヒトにも寄生する」とか「意思を持ってる」とか これは凄く安直な例で、実際はもっと練る必要がありますが そういったインパクトのある異常性が更に必要なように思えます。
実験記録もインタビュー記録も、どちらもその強力さの陳述に留まっていて、意外性が無いように感じました。
現段階で言えることはあまり多くなくて申し訳ないのですが、どうか改稿頑張ってください!
SCP-871-JPは、サイト-8103にて鉄筋コンクリートで作られた10×10×10mの個室に着生した状態で収容されます。
特性を見る限り、鉄筋コンクリートで作られた物体であれば良いように見えます。鉄筋コンクリートの建材に付着させ、木造その他鉄筋コンクリート製ではない収容室に入れておけば良いのではないでしょうか。10x10x10mも広すぎだと思われます(高さ10mとは3階建ての建物に相当します)。
周囲を補強ガラスで覆われ
「補強ガラス」というのが何かよく分かりませんでした。強化ガラスの事でしょうか? なぜガラスで覆うのかもよく分かりません。
SCP-871-JPはキノコの一種で
「キノコ」とは俗称ですので、学術的な報告書であるならば「菌類の一種」とした方が良いでしょう。
鉄筋コンクリートを苗床とするという部分はおもしろいのですが、その後の菌の振る舞いが一般的なキノコと同様すぎてあまり面白みが感じられませんでした。
いっそのこと、鉄筋コンクリートが全て菌糸に置換され、建造物自体が巨大なキノコになるくらいあった方が楽しいと思います。そしてキノコ自体は養分をとれずに自壊するとか。
オブジェクトの背景に描写が主に置かれているようです。しかしながらSCPの異常性自体も非常に興味深いものであり、さらりとした説明で流すには惜しいものがあると思います。加えて、研究者の発言に根拠が薄い部分もあるので、背景自体もあまり強く響くものではないと感じました。異常性の描写を増やす、オブジェクトの背景に関してより描写するなど、まだまだ改善の余地がある作品だと感じました。
初めまして、[名前]さん。
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財団へようこそ。
SCP-XXX-JP-J感染者の判定に使われる画像の一例
アイテム番号: SCP-XXX-JP-J
オブジェクトクラス: Euclid Keter Explained
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-Jの感染の疑いがある場合直ちに診断が行われ、SCP-XXX-JP-Jが発症したと確認された人員は一時間の講習及び場合に応じた記憶処理を受けます。SCP-XXX-JP-Jに特別収容プロコトルは必要ありません。
説明: SCP-XXX-JP-Jは非異常存在を異常存在と認識してしまう未知の病です。SCP-XXX-JP-Jは財団及びSCiPを知覚している人間にのみ発症し、20██年現在までに確認された感染者はいずれも財団に勤務する職員でした。
SCP-XXX-JP-J感染者はまず視認したものを「それはSCPオブジェクトかもしれない」「収容すべきである」というように考えるようになり、他人にそれを伝えようとします。症状が進むと知覚した存在に対し今までに記憶したSCPオブジェクトの異常性を重ね合わせ、「それはSCP-███だ」と誤認するようになります。SCP-XXX-JP-J感染者の「あれはSCPかもしれない」というような言葉を聞いた人物もSCP-XXX-JP-Jを発症する可能性があるため、SCP-XXX-JP-Jは声を媒介するミーム的異常性を含んでいると推測されています。
なんかSCP-040-JPみたいですね。-██研究員
██研究員はSCP-XXX-JP-Jに感染していたためBクラス記憶処理が行われました。
SCP-XXX-JP-JはAクラス以上の記憶処理によって治療が可能ですが再発する危険性があり、その確率は個人差があるものの受けた記憶処理の回数に応じて低くなっていくことが判明しています。
SCP-XXX-JP-J感染者の特徴としてアノマリー、またはSCPオブジェクトを指して「SCP」と呼称する傾向にあり、発症者の半数以上が財団に勤務し始めて間もない職員であることが判明しています。しかし全ての感染者が当てはまるわけではないため診断による判定以外の方法で感染者を判別することは困難です。
以下はSCP-XXX-JP-Jの症例です。
SCP-XXX-JP-J 症例記録-1 20██/█/██
感染者: D-█████
内容: SCP-1475-JPの実験に参加後から椅子に座るとノースカロライナに射出されると考えてしまい椅子に座れない。
対応: D-█████に精神鑑定を行い異常なしと診断。
SCP-XXX-JP-J 症例記録-4 20██/█/██
感染者: ██研究員
内容: 最近目に付くもの全てが異常存在に見え、特に今使っているボールペンがSCP-485だと思ってしまいノックすることが怖い。
対応: ██研究員にAクラス記憶処理を行った。
何か怪しい。症例記録1の時刻から4の時刻までが短すぎていて商用自体もどこか一貫しているようにも思える。これはきっとSCPだ。この謎の症状は収容すべきでないか?-██博士
承認。これをSCP-XXX-JP-Jとし、██博士を研究主任に任命する。あと異常存在のことをSCPと呼ばないように。それはその存在を指す言葉として不適格だ。-O5-█
SCP-XXX-JP-J 症例記録-12 20██/█/██
感染者: ███博士
内容: 以前インターネット上で見た画像にSCPらしきものが写っていたため、収容のために機動部隊を貸し出してほしい。
対応: プロコトル通りに対応。
SCP-XXX-JP-J 症例記録-19 20██/█/██
感染者: エージェント・ヤマトモ
内容: 自分がSCiPに思えてきて夜も眠れない。
対応: 即座にPクラス記憶処理を実行。
SCP-XXX-JP-J 症例記録-27 20██/█/██
感染者: エージェント・桜庭
内容: 前原博士が人間に見える[データ編集済]である可能性が非常に高いため収容すべきであるとしか考えられない。
対応: [削除済]
日本支部でまず最初に教わることをあのバカは忘れていたのか?これもSCP-XXX-JP-Jの影響か?-██研究主任
ころす。-前原博士
最近発見されたオブジェクトが非異常的であったという事例が相次いでいる。初期収容エージェントも我々機動部隊も無尽蔵にいるわけではない。それを留意していてくれ。 -機動部隊か-2("蟹漁船")█隊長
補遺1: SCP-XXX-JP-Jに感染していたと推定されるエージェント・██が財団管理下外においてSCP-XXX-JP-Jの症状を発露させたため、財団の秘匿及び機密の漏洩を行ったとして終了処分を受けました。エージェント・██の発言を聞いたと思われる一般人にはAクラス記憶処理が行われました。詳細はインシデント-XXX-JP-Jを参照してください。
O5はSCP-XXX-JP-Jの危険性を鑑みオブジェクトクラスをKeterに格上げしました。
補遺2: インシデント-XXX-JP-J後、財団内にてSCP-XXX-JP-J判定診断が一斉に行われました。その結果、SCP-XXX-JP-J担当者がSCP-XXX-JP-Jに感染していたことが判明したため、本報告書がSCP-XXX-JP-Jの症状によるものである可能性があるとして再調査が行われました。その結果、SCP-XXX-JP-Jに異常性は一切なかったと判明しExplainedクラスに再分類されました。██研究主任は解雇されました。
判定診断の結果はO5評議会の命令によって破棄されました。
勿論、我々は最初からわかっていたとも。-O5-1
アイテム番号: SCP-871-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-871-JPは、サイト-8102の木造の収容ロッカーに鉄筋コンクリートのブロックに着生した状態で収容されます。新たなSCP-871-JP-1が確認され次第、機動部隊う-10("キノコ狩りツアー")によってSCP-871-JPの廃棄、SCP-871-JP-1の破壊が行われます。近隣住民にはクラスA、またはクラスB記憶処理が施され、場合に応じて適切なカバーストーリーが適用されます。SCP-871-JP-1に住んでいた住民にはクラスB記憶処理の後再び適切な住居が与えられ、必要であれば一時的に財団で療養を受けます。
追記: SCP-871-JP-1-12の周囲には臨時サイト-81██が設置され、月に一度機動部隊う-10("キノコ狩りツアー")
による内部の調査が行われます。
説明: SCP-871-JPは糸状菌の一種です。SCP-871-JPは外見や生態からホンシメジ(Lyophyllum shimeji)の突然変異種と推測されていますが、情報が不足しており種の特定には至っていません。
SCP-871-JPはコンクリートを菌床とし、表面に付着すると非常に硬い菌糸をコンクリート内の鉄筋に侵入させ菌根を形成します。その後コンクリートに含まれた水分やセメントの成分を養分として成長します。この過程において鉄筋はSCP-871-JPの菌糸の動きを補助します。そのためSCP-871-JPは鉄筋が無い場合でも成長できることが判明していますが、鉄筋がある場合に比べてその成長速度は非常に遅くなります。
SCP-871-JP-1はSCP-871-JPが着生したコンクリートです。SCP-871-JP-1の内外にはSCP-871-JPの菌糸や子実体が多数確認されます。またSCP-871-JPがある程度まで成長し、SCP-871-JP-1の強度が十分でない場合SCP-871-JPの菌糸によってSCP-871-JP-1は崩壊します。以下はSCP-871-JPの事案記録です。
事案記録871-JP-1-2
日時: 19██/█/█
場所: ██県██市
被害内容: ██県が管理している集合住宅が侵食を受けていた。█号棟4██号室を中心に8部屋にわたってSCP-871-JPが確認され、█号棟は破壊された。近隣住民にはAクラス記憶処理が施され、█号棟の住民は財団で一時保護された後Bクラス記憶処理を受けて建て直された█号棟へと戻された。
分析: 宿主の大きさとSCP-871-JPの成長の速さは比例するようだ。
事案記録871-JP-1-5
日時: 19██/█/█
場所: ██
被害内容:
分析:
事案記録871-JP-1-9
日時: 19██/█/█
場所: ██県██市街地
被害内容: SCP-871-JPに寄生されていた市内のアパート一件が崩落した。空き部屋となっていた一階から大量のSCP-871-JPが発見され、支柱のコンクリートがひどく老朽化していた事が判明した。崩落により事案当時住宅内と周囲にいた█人が巻き込まれたがいずれも命に別状はなかった。
分析: 宿主のアパートは高度経済成長期に建てられていたものだった。今回はアパートが小さ目で良かったが高層マンションやビルの崩落の可能性を考えると危険だな。
詳細は事案記録871-JPを参照してください
SCP-871-JPの起源はわかっておらず、鉄筋コンクリートの普及に伴い国内での被害が多数報告されました。SCP-871-JPの活動は戦時中の鉄不足の一因とも考えられており、蒐集院による破壊活動や竹筋コンクリートの使用の推奨が行われましたが絶滅には至らず、終戦後財団に収容されました。
補遺-1: 20██年、██山中の旧██鉱山にてSCP-871-JP-1が発見された際、無人探査機による内部の調査中に突如探査機が破壊されました。そのためDクラス職員を使用した探査が行われました。以下はその探査記録です。
日付: 20██/█/█
調査員: D-████(カメラ、マイクを装備)
備考: SCP-871-JP-1-12が発見された時に行われた。██鉱山は良質な鉄が取れることで有名だったが、現在既に閉鎖されている。
<記録開始>
D-████: なんだよここ、湿気がすげえし森ん中みてえだぜ。
野島博士: そのまま続けて。とりあえずそこを歩き回って気づいたことは全て教えてください。
D-████: どうもこうもねえよ。壁は全部糸だらけキノコだらけだ気色悪い。すげえカラスの数だし怖えよ。
野島博士: 我慢してください。ではそこの建物に入ってください。
D-████: ここに入るのか。[三秒間の沈黙]わかった。ここは事務所だったみたいだな。やっぱりここもキノコがびっしりだ。なんかが腐ったみたいなニオイもするぜ。[短い悲鳴]すげえデカいクモだ。見たことねえぞこんなやつ。
野島博士: ありがとうございました。ではさっきの大通りに戻って。
D-████: 了解。うん?[悲鳴]
>
[何かが崩れる音]
野島博士: D-████。応答してください。何が起こりましたか?
D-████: ああ、大丈夫だ。危なかったぜ。壁が崩れやがった。
野島博士: 建物が劣化していてもおかしくありませんから、十分注意してください。ではさっきの大通りを進んでください。
> D-████: わかったよ。[重要度が低いため割愛]ここは・・・広場だったみたいだな。瓦礫がたくさんあるぜ。これも多分建物だったんだろうな。量からして結構デカいやつだったはずだ。[沈黙]
野島博士: どうかしましたか?
D-████: [声を潜めて]野良犬、いやオオカミか?絶滅したんじゃねえのかよ。
野島博士: カメラに映せますか?
D-████: わかった。こんな感じでいいか?
野島博士: うーん、こちらからははっきりとは確認できませんね。後で機動部隊を派遣します。では[D-████の声に遮られる]
D-████: やべえ、こっちに走ってきてる。
野島博士: 逃げてください。
D-████: なんでオオカミなんかいるんだよ[罵倒]、ああ壁だ。糸でできてる。
野島博士: 迂回できそうですか?
D-████: いや行き止まりだ、ただ糸に手がかかる。登るぞ。[オオカミの鳴き声]こら、近寄るな。
野島博士: 大丈夫ですか?
D-████: [D-████の力む声]ああ、なんとかな。[オオカミの鳴き声]歓迎されてねえなあ。[D-████が地面に着地する]
野島博士: ただ映像を見ていると最近あまり見ない生物が映りますね。まさか絶滅したはずの動物がいるとは思いませんでしたが。
D-████: 人間様が住めるような環境じゃなくなったしなあ。動物には住みやすいんだろうよ。
[何かが落下する音]
D-████: [罵倒]、またかよ。
野島博士: 大丈夫ですか?何か大きな音が聞こえましたが。
D-████: また建物が崩れた。瓦礫だ。瓦礫が落ちてきた。誰かが俺を狙ってるんだ。
野島博士: 落ち着いて。まずはその路地を抜けてください。
D-████: [罵倒]、カメラを落としちまった。[崩落の音]
野島博士: D-████、応答してください。
D-████: 大丈夫だ。[罵倒]まだ死にたくねえよ。[何かが落下する音]先生、道が塞がり始めた。糸だ。キノコが糸を出しやがる。
野島博士: 急いでください。向こうはまた広場のはずです。
D-████: [短い悲鳴]まずい、糸が足に[崩落音]
野島博士: D-████、応答してください。D-████。
<記録終了>
終了報告書: D-████と連絡が取れなくなってから機動部隊う-10隊員8名をSCP-871-JP-1-12内に派遣したところ、この探査と同様に建造物に接近した者を狙ったように思えるSCP-871-JP-1-12の崩落が見られ、一名が軽い怪我を負いました。また、探査中にD-████に発見された動物の遺伝子を解析した結果、動物はニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)だったと判明しました。その他絶滅したと思われていた、または絶滅危惧種に指定されている生物がSCP-871-JP-1-12内で多数確認されました。破壊された探査機とD-████の遺体はそれぞれの通信が途絶えた場所で発見されました。
SCP-871-JP-1-12内において人間は邪魔者として扱われるようです。なぜ絶滅種が住み着いているのかは今後の研究課題ですね。-野島博士
補遺-2: SCP-871-JPについての調査の結果、SCP-871-JPと同じ外見の菌類が19世紀、アマチュアの探検家に発見されていたことがわかりました。該当の菌はシメジ属(
Lyophyllum)の新種として提出される予定でしたが、提出前に発見者が死亡し後継者がいなかったために正式に認知されませんでした。その時点から該当の菌の発見情報は一切見つかっておらず、SCP-871-JPとの関係性などは現在も調査中です。
朝起きると枕元にプレゼントが置いてあった。ああ、何年ぶりだろう。嬉しいものだな。
――うん?プレゼント?独り暮らしの男に?
えっ、こわ。なんかやったっけ?駄目だ、思考を巡らすにも頭が痛い。昨日はかなり飲んだんだった。昨日…。
クソ。
深夜の歓楽街。もはや見慣れてしまった景色だが今日はいつもより浮足立った雰囲気だった。
そうだ。クリスマスだ。
クソ、どいつもこいつも浮かれやがって。特にアイツだけは絶対に許さねえ。あの「ちょっと待ち合わせしてて~」とか言って残業から逃げやがった新卒。お前のせいで俺がどれだけ被害被ったのかわかってんのか?もう11時だぞ?いやわかってるよ。「どうせお前には予定無いんだから」とでも言いたいんだろ。死ね。
そうして心の中でキレ散らかしていると、ますます俺の惨めさが際立って嫌になる。俺は今年でもう34になるが、まだ女性とは一度も付き合ったことがない。同い年の連中はもう結婚して家庭を持ってる年だがな。その上特に突出した能力があるわけでもなく、むしろポンコツな方だ。昇進の話なんざ一度たりとも出たことがない。これからの人生には希望もクソもない。実家に帰れば両親が結婚しろだの何だののたまいやがる。ああ、そうだよ、典型的なダメ人間ですよ、舐めんなボケ。
俺がそういうことを言うとあのクソ忌々しい成功者たちは言う。人生なんて何があるかわからないと。俺はそんな無責任な言葉が大嫌いだ。その言葉を信じたせいで今こうやって別に好きでもない職に就き、クソみたいな上司や同僚には無下に扱われ、後輩にさえ仕事を押し付けられては遅くに帰る羽目になっている。
ああ、もうどうでもいい。いっそ今から死んでしまってもいいか。いや、早まるな俺。こういう時はやっぱり酒だ。酒を飲もう。そうして俺は独り居酒屋に入ったんだ。
頼んだ熱燗を少しずつ飲み、もつ煮を食べているといつもよりも幾分か酔いが早く回ってきた。――いけねえ。目頭が熱い。思えば小さい頃からそうだ。周りに振り回されて、どうにもならなくて、こうやって独りでベソかいてしょげるんだ。情けねえ男だな、本当に。
「またまた浮かない顔をして、愚痴なら聞きますよ。」
いきなり耳に入って来た聞きなれない声に俺ははっとした。
「あはは、びっくりしすぎ。」
そう言ってその声の主はころころと笑った。
マジで誰だこいつ。
そもそもなんで知らない女がいきなり俺に話しかけてくるんだ?店員ではなさそうだし、まずこの店はそっち系ではない。どっかで会ったのか?いや、全く見たことのない顔だ。えっ、めっちゃかわいいじゃん。えっ。
俺の頭はひどく混乱していた。正直言って俺には到底不釣り合いな女性だ。どうしてこんなことになったのか本当に意味が分からない。俺の気持ちは興奮と不信感でいっそう緊張した。あっ、それはやばいって、見えるって。
「隣座りますね。いや、なんかこの人死にそうだなあって心配だっただけです。たまに嫌なこととかを吐き出すのは大切ですよ。そんでお酒を飲んで一発ヤれば全部忘れちゃいますよ。」
おう、テレパシーかな?そんでまた随分大胆な娘だな。クソ童貞の俺はこの類の女は苦手だったはずなのだが、彼女の声によって不思議なことに俺の緊張は一気に解けた。
そしてそれから、俺は随分と色んなことを喋った。学生時代にやらかした馬鹿、失敗の連続だった大学受験、最近のヘマや嫌な同僚の話。こんなくだらない男のくだらない話を、彼女はずいぶん親身になって聴いてくれた。考えてみればこうして女性と長時間話したのは初めてかもしれん。最近に至っては女の同僚には明らかに避けられてるしな。あの新卒からすればこんなこと、ありふれたものなのかも知れないが、俺にとってこの状況とは天国そのものだった。時々彼女の口から下ネタが飛び出してきてカルチャーショックに近いものを受けたが、こんなに素敵な人がいるなんて世の中捨てたもんではないなと感じていた。
かなり飲んでしまったな。今は何時だろうか。ふと彼女の方に目を向けると明らかに酔いつぶれていた。声をかけても何かよくわからないことを言うだけだった。
いや、これはやばいな。かなりやばい。拍動がさらに早くなるのを感じた。夢かとも思ったがこの股間の熱さから考えればこれは確かに現実だ。人生何が起こるかわからないか…。確かにそうなのかもしれねえ。このままうまくいけば俺も勝ち組の仲間入りだ。俺は彼女を何とか起こして店から出た。
しかし、緊張してしまうな。俺は自分のコミュニケーション能力の低さと女性経験の無さを呪った。さっきまであんなに喋れてただろ俺、なんでそこで言葉が出ないんだ。そういうところだぞ俺。こんな千載一遇のチャンスをドブに捨てるわけにはいかねえだろう?なんか言え!言うんだ!
そうだった。俺はその後彼女をタクシーに乗せて帰したんだ。
なあ、一体全体何をやってるんだ?何でそこでヘタレちまうんだ!だからお前はいつまで経ってもダメ男なんだよ!
朝からクソみたいな気分になった。仕事も半休取ろう。二度寝だ二度寝。
それにしても、このプレゼントはいったい何なのだろう。赤色の小さな箱には緑色のリボンがついていて、「ミスター・サンタクロースより」と書いたカードが貼ってあった。本当に誰だよ、こんな何の魅力もない男にサンタがプレゼントをやるか?普通。
気になる。
俺は目の前の不審物への恐怖を振り払い、箱を開けた。
中から出てきたのはスマートフォンだった。
誰のものだ?ピンク色のスマホケース、どこかで見覚えがあったような…?あれっ、ロックがかかってない。
その瞬間スマホが鳴った。
うおっ、という悲鳴と共に俺は携帯を落としてしまった。電話だ。俺は急いでスマホを拾い上げ、書いてある名前を見たがやはり誰かわからない。非常に怖い。
いや、しかし、やはり出るべきだ。出ねばならない。俺は不思議とそう思い、おそるおそる電話に出た。
聞こえてきたのは昨日の彼女の声だった。
彼女の話を要約すると、朝起きるとスマホが見当たず、いつ無くしたか見当がつかなかったのでとりあえず電話してみたらしい。
はは、何だよ。いるのかよ、サンタ。最高じゃねえか。この際怪しいなんて言ってられねえ。彼女はあと15分でこっちに着くらしい。それまでに掃除してしまおう。おっと、その前にまず顔を洗わねば。俺は身支度をしながら頭の中で作戦会議を始めた。今日はつながりを作るだけで良い。あまり急いても事を仕損じるだけだ。此間ネット掲示板で見た情報をもう一度思い出した。ああ、せっかく彼女の電話がここにあるんだ。連絡先を聞いてもそこまで不自然ではないはずだ。よし、いける。
大急ぎで場を整えているとインターフォンが鳴った。きっと彼女だ。ああ、今度はきっとうまくいくさ。
俺はドアを開けて彼女を迎え入れた。
「朝早くから本当にすみません、助かりました。」
こちらこそ紛れてたのに気付かなくて申し訳ない、なんて誤魔化し携帯を渡した。あまり引き留めるのも良くないだろうし玄関で全て済ませよう、そう思っていると彼女はこう言った。
「すいません、今日結構乾燥してて喉乾いちゃって。お忙しいのに申し訳ないんですが何か一杯もらえませんか?」
おお、そう来たか。やっぱちょっと図太いところあるんだな?じゃねえとまあ夜の居酒屋で俺に話しかけたりしねえわな。俺は小急ぎで温かいお茶を入れた。
今思えば、俺はその外見とヘタレ癖で幾度となく損をしてきた。今までの好きな人は皆俺を避け、こちらからは勿論何も出来なかった。何かに打ち込むということも出来ないまま大人になって、このザマだ。さて、これが本当に最後のチャンスだろう。これもサンタと彼女がくれたものだ。生かさねえ手はねえ。さあ、行け。俺のヘタレ史に終止符を打つ時だ。そう思いながらも俺はまた何も言えないまま、ただただ彼女のお茶を啜る音だけが部屋に響きわたった。
「じゃあ、私も仕事に行かなきゃ。あなたもそうでしょう?」
沈黙を破ったのは彼女だった。待ってくれ、と言おうとしたが声が出ない。引き留めようとしても体が勝手に動いて彼女を送り出そうとしている。
駄目だ、待ってくれ、待って――。
「そうだ、私から最後に話しておきたいことがあったんです。」
何だろう、と思った次の瞬間だった。
「ブワハハハハハハハハ!メリークリスマス!ゲーマーズ・アゲインスト・ウィードのミスター・小悪魔系女子(X-mas mix)を見つけてしまったようだな!据え膳食わぬは男の恥だぞ?これからは昔の失敗など忘れ今を必死に生きることだ。では、よいお年を。」
デーモン閣下だった。紛れもない、サンタ衣装を身に纏ったデーモン閣下がそこにいた。
部屋は元の静寂を取り戻し、いつもの清々しい朝だ。
人生何が起きるかわからない。そうだ、その通りだ。俺は久々に大笑いした。愉快、実に愉快だ。
背後で俺の携帯が鳴った。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
日時: 出来事
SCP財団
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写真の説明 |