
発見当時のSCP-865-JP
アイテム番号:SCP-865-JP
オブジェクトクラス: Euclid Keter
特別収容プロトコル: SCP-865-JPはサイト-81██に建設された対腐食性特別収容セルに収容し、常に監視下に置かなければなりません。清掃、食餌を与える際、若しくは隔壁に万が一損傷が見られた場合、即座にガスマスク、汎用防護スーツ、鎮静化ガス噴霧器を装備させたDクラス職員を入室させ、SCP-865-JPを鎮静化させてください。
もし収容違反が発生した場合、機動部隊 は-9 ("虫取り網")を召集し、鎮静化させてください。
そして、新たな種のSCP-865-JP-1が確認された場合、SCP-865-JPを鎮静化、別室に移動した後、確保、保管してください。
そして、能力を行使した収容違反を起こす可能性が高いためSCP-865-JPへの不用意な接触は禁止してください。
説明: SCP-865-JPは、10代後半程の異常性質を持ったモンゴロイドの男性です。目の色は茶で、頭髪は後述する能力の行使時に生じる多大なストレスによって薄い灰色になっています。SCP-865-JPの外見は概ね一般的な人間と同一ですが、各種の身体検査を実施したところ、以下の異常な特徴が発覚しています。
• 体組織の構成成分の約█%にワックスと植物性繊維、フィブロインの混合物を含有
• 骨格の構成成分の約█%にキチン質を含有
• 気管支からの補助的な気管及び気嚢の形成
• 体毛の一部が、ケラチンの代わりにセリシンとフィブロインを含むものや昆虫の触角に相似な器官に置き換わっている
• DNA検査の結果、約██%に不特定な虫類の遺伝子を確認
• 体腔内部に不明な種の昆虫類の虫卵、幼虫、蛹が密集して存在
• 脳幹に不明な種の節足動物の個体が存在
SCP-865-JPは多種多様な昆虫または一般的に"虫"と呼称されるそのほかの節足動物、軟体動物、環形動物など(以下、便宜上「虫類」と表記)を空間から“出現”させる能力を有しています。SCP-865-JPが出現させる虫類は現在存在する種の他にSCP-865-JP-1と分類される異常な性質を持った種が存在します。SCP-865-JPはSCP-865-JP-1の出現、動作をある程度コントロールすることが出来ますが、操作の具合はSCP-865-JPの感情や精神状態に左右されます。
SCP-865-JP-1はSCP-865-JPが出現させる異常な性質を持った虫類です。これ迄に11種が確認されており、それぞれSCP-865-JP-a~kと番号が振られています。
SCP-865-JP-1個体は現在存在する虫類の種とほぼ同一の外見をしています。そして、SCP-865-JP-1個体はオス・メスの個体が存在しますが、繁殖行動は行いません。そして、現在確認されているSCP-865-JP-1の同時出現数は、約█████匹です。
以下は、SCP-865-JP-1個体ごとの外見、性質の記録です。
SCP-865-JP-は20██/█/██に██県の██大学のサークル内で噂になっていた「立ち入った人間は出てこられない廃ビル」の存在が大学内に潜入していたエージェントの耳に入り、廃墟を調査した際に発見されました。発見当時、SCP-865-JPは極度の恐慌状態にあり、能力を行使し激しく抵抗したため、エージェントの要請を受け、到着した機動部隊は-9("虫取り網")によって鎮静化されました。
廃墟内にはいくつかの文書(後述)と██体分の人骨が発見されました。
発見された白骨のDNAを照合した所、██大学で行方不明となっていた学生██人、その他興味本意で立ち入ったと思われる周辺地域に住んでいた住民██人と一致しました。
██大学の教員、学生及び地域の住民にはクラスB記憶処理を施し、カバーストーリー「汚染区域」が流布されました。
以下はSCP-865-JP収容直後のインタビュー記録です。
補遺: SCP-865-JPはあらゆる虫類の命を第一に考えており、上記の事件記録から財団に対して極めて敵対的です。不用意に刺激すると能力を行使して収容違反を起こす可能性があるため、SCP-865-JPとの接触は禁止されています。
注記:以下のインタビュー記録は████研究員の提案を受け実施されたものです。該当する回収文書との関連性が指摘されたため、文書記録と共に掲載します。
なお、回収文書の原本は既に紛失している点に留意してください。
補遺2:上記の事案以降、SCP-865-JPの筋組織内に軟骨質の嚢胞が確認されています。摘出による内部構造の調査の結果、分岐のある穿孔を持つもの、硬化した何かしらの分泌物に裏打ちされた瘻管を持つもの、フィブロインの網状構造を含むもの、脂肪酸エステルのハニカム構造を持つものなどが確認されました。
この構造が何を意味しているのかは不明です。
構造を破壊したところ、破裂音と共に内容物が数メートル近い規模まで拡大して展開されることが判明しています。そのサイズから、何らかの意図を持った構造の可能性もみられていますが、詳細は不明です。
全てはっきりしたわけではないが、ひとつ確実であることは、あいつはかつて思われていたような"虫達のヒーロー"ではなく、あの操り人形の中身の"それ"がそう思わせていただけということだ。ー████研究員