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本報告書にはミーム的異常性を持った記録が含まれます。閲覧には対ミーム処置が必要です。
現在の本報告書にはミーム的異常性は存在しません。その為、閲覧に対ミーム処置は不要です。

ヒガンバナ

活性化状態のSCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: インシデントXXX-JP以降、SCP-XXX-JP区域内で異常性が確認されない事から、SCP-XXX-JPは無力化したものと判断されています。異常性の再発に備え、当該地域は引き続き財団の管理下に置き、定期的に女性の監視担当職員を派遣して下さい。

説明: SCP-XXX-JPは特定の時間帯に男性が侵入することで、異常な現象が発生する区域です。日本時間で17:30から20:30の時刻に異常性が活性化し、SCP-XXX-JP区域内に開花した状態のヒガンバナ(Lycoris radiata)が大量に発生します。1この状態の時に男性が侵入すると、ヒガンバナは消失し縁日広場や盆踊りのやぐらなどの、一般的な夏祭会場のように見える異常空間2が出現します。異常空間内は発生時点で時刻が17:30まで巻き戻り、後述するSCP-XXX-JP-A、SCP-XXX-JP-Bが出現し、20:30まで特定の行動を毎回繰り返します(ここまでの一連の流れを、以下イベント-マツリと呼称)。20:30になると、異常空間と内部にいた全ての人間は消失します。消失した人間は、SCP-XXX-JP-A個体となって、次回以降のイベント-マツリの際に出現します。異常空間には侵入可能ですが、男性が侵入する度にイベント-マツリが発生します。この場合、複数地点で同時に発生しますが、別々の異常空間が発生していることが判明しています。

お祭り

SCP-XXX-JP区域内で撮影されたSCP-XXX-JP-A個体

SCP-XXX-JP-Aは、異常空間内に存在している複数の人間です。夏祭の屋台の店員や、参加客のように振る舞います。発言にミーム的異常性が確認されており、発言を認識した場合、夏祭に参加したくなる精神影響を受けます。複数地点でイベント-マツリが発生した場合、同じ容姿の個体がそれぞれの空間内に出現します。SCP-XXX-JP区域外にSCP-XXX-JP-A個体が出た場合、その場で消失します。

浴衣

SCP-XXX-JP-B

SCP-XXX-JP-Bは、異常空間内に存在する、浴衣を着用した女性のように見える人型実体です。異常空間を発生させた男性に接近し、行動を共にしようとします。これまでの全てのパターンにおいて、SCP-XXX-JP-Bは対象の男性の友人のように振る舞います。発言に記憶影響を引き起こす異常性が確認されており、対象の男性が発言を認識すると、自身に関する記憶を全て失います。同時に、SCP-XXX-JP-Bと昔から友人関係にあった幼なじみである、という内容の記憶に改変されます。イベント-マツリが終了する10分前に、後述するSCP-XXX-JP-Cを空中から出現させ手渡してきます。複数地点でイベント-マツリが発生した場合、同じ容姿の個体がそれぞれの空間内に出現します。

花火

SCP-XXX-JP-Cの出現によって発生した打ち上げ花火

SCP-XXX-JP-Cは、SCP-XXX-JP-Bから手渡されるダイヤモンド貼りされた封筒です。対象の男性が開封すると、内部から大量のシロバナマンジュシャゲ(Lycoris ×albifloraKoidz)と、絡み付くように3蛸の触手が出現します。実体は対象の男性に、シロバナマンジュシャゲを食べさせようとします。摂食した場合、含まれる毒によって死亡します。また、実体が出現すると、夏祭会場とSCP-XXX-JP-A個体は消失し、周囲に大量の花火玉が出現します。花火玉は不明な原理で打ち上げられ、外部からも観測が可能です。打ち上げられる光景を視覚・聴覚のいずれかで認識した人物は、SCP-XXX-JPに関する記憶を全て失います。外部からの干渉などにより、開封が行われなかった場合、花火玉は出現せず時間経過によってイベント-マツリは終了します。

以下は、イベント-マツリの一連の流れを記録したものです。

日時: 20██年██月██日

対象: D-8076、20代男性。

付記: ミーム処置を行った職員が派遣され、D-8076とSCP-XXX-JP-Bの様子を隠しカメラで撮影し、映像記録を近隣の収容サイトに中継していました。

<記録開始>

D-8076: うわっ、なんだこれ。景色が急に夏祭りみたいになったぞ。

[SCP-XXX-JP-Bが足を引きずりながら走って接近してくる]

SCP-XXX-JP-B: ハァ、ハァ…ごめんね、遅刻しちゃって。待った?

[D-8076はその場で5秒間静止する]

D-8076: いや、俺も今来た所だし。それより、足大丈夫か?

SCP-XXX-JP-B: うん、大丈夫、平気。

D-8076: 分かった。何かあったらすぐ帰るからな。無理すんなよ。じゃ…行こうぜ。

SCP-XXX-JP-B: あっ、待ってよぉ。

D-8076: 何か食べたいものあるか?

SCP-XXX-JP-B: うーんとね、あっ、りんご飴食べたいかも。

D-8076: 分かった。…あれ?ヤバい、財布忘れたかも…。4

SCP-XXX-JP-B: えーっ、嘘でしょ。しっかりしてよ…もう、しょうがないな。おじさん、いくらですか?

SCP-XXX-JP-A: 500円だよ。でも、今のやり取り見ちゃってさ。1個、サービスしてあげる。彼氏さんにも、持っていってあげな。

SCP-XXX-JP-B: あっ、違います。…その…まだ彼氏とかじゃないんです…。

SCP-XXX-JP-A: まだ?

SCP-XXX-JP-B: あっ、な、何でもないです。ありがとうございます。それじゃ!

[少し離れた所にいたD-8076に、SCP-XXX-JP-Bが駆け寄る]

SCP-XXX-JP-B: ほら、買ってきたよ。

D-8076: ありがとう…。はぁ…情けねぇ。色々、考えてきたのにな…。

SCP-XXX-JP-B: ん、何か言った?あ、口に赤いのついてるよ。ハンカチ使う?

D-8076: いいよ、自分の持ってるから。5サンキュな。

[その後、D-8076とSCP-XXX-JP-Bは縁日広場や盆踊り会場を見て回りましたが、重要性が低いため省略]

SCP-XXX-JP-B: あっ、鼻緒が切れちゃった…。

D-8076: ん、ちょっと待ってな。そこに座ってな。5円玉借りていいか?

[D-8076は自分のハンカチを紐状に裂き、5円玉を使い簡易的に鼻緒を修理しました。]

SCP-XXX-JP-B: わぁ、すごい。もしかして、準備してた?いつもは、ハンカチなんて持ってないもんね。

D-8076: …良いだろ、そんなの。…歩けるか?

SCP-XXX-JP-B: うん、大丈夫!ありがと!次、どこに行こっか。そうだ、ちょっと丘の上の神社の所に行かない?8時半からやる花火大会、あそこなら良く見えるんじゃない?あと、20分くらいで始まるし。

D-8076: それ良いな。行こう。

[D-8076とSCP-XXX-JP-Bは神社まで移動する]

SCP-XXX-JP-B: あと10分で始まるね。今日は本当に楽しかったんだ。…ちょっと良い?今日は、これを渡そうと思って、来たの。受け取ってくれる?

[SCP-XXX-JP-Cが出現する]

D-8076: 手紙?…うわぁぁぁ!なんだこれ?蛸?うぐっ、花?口に…。やめろ、うぐっ。あれ?神社は、どこだココ?えっ?

SCP-XXX-JP-B: ██さん。6今日はありがとう。巻き込んで、ごめんなさい。私、こうしないと、あの時を忘れちゃいそうだから…。彼が、何て返事したのかな、なんて彼にしか分からないのに。本当にごめんなさい。

D-8076: どういう…

[打ち上げ花火が打ち上げられる]

<記録終了>

終了報告書: 当時、SCP-XXX-JPの性質は調査中であり、SCP-XXX-JP-Cの出現を防ぐことができませんでした。後の調査により記録等を担当していた計██人の職員が、SCP-XXX-JP-A個体になったことが確認されています。

補遺1: SCP-XXX-JP-Bの容姿を元に、SCP-XXX-JPの起源を探る調査が行われました。調査の結果、██県の神社で3年前に死亡した''██梨子''という人物と、SCP-XXX-JP-Bが同じ容姿であることが判明しました。''██梨子''氏は、1型糖尿病を発症しており、合併症である末梢動脈疾患7が原因で神社の階段から落下し、死亡しました。行動を共にしていた''██拓真''氏は心的ショックが原因で発症した、健忘症の症状によって当時の事を覚えておらず、インタビューは失敗しました。

補遺2: 予期せぬイベント-マツリが発生し、インシデントXXX-JPが引き起こされました。これ以降、SCP-XXX-JP区域内で異常性は確認されていません。

<インシデントXXX-JP>

日時: 20██年██月██日

対象: ''██拓真''氏。

付記: 対象が、''██梨子''氏の墓地に侵入したことで、イベント-マツリが発生したと思われます。当該地域は、ヒガンバナが植えられていましたが、異常性は確認されていませんでした。''██梨子''氏の調査を担当していた職員が異常に気付き、記録担当職員が現地に到着した時点で、時刻は20:10になっていました。

<記録開始>

SCP-XXX-JP-B: うん、大丈夫!ありがと!次、どこに行こっか。そうだ、ちょっと丘の上の神社の所に行かない?8時半からやる花火大会、あそこなら良く見えるんじゃない?あと、20分くらいで始まるし。

''██拓真'': それ良いな。行こう。…あれ、頭が何か痛いな…。

SCP-XXX-JP-B: どうしたの?早く行こう?

[D-8076とSCP-XXX-JP-Bは神社まで移動する]

SCP-XXX-JP-B: あと10分で始まるね。今日は本当に楽しかったんだ。…ちょっと良い?今日は、これを渡そうと思って、来たの。受け取ってくれる?

[SCP-XXX-JP-Cが出現する]

''██拓真'': 手紙?蛸?花…、食べればいいのか?

[''██拓真''氏はシロバナマンジュシャゲを摂食し、その場で嘔吐しました。約15秒間悶えた後、自ら喉を掻き毟り、死亡しました]

SCP-XXX-JP-B: 来てくれたんだね。拓真君、あの時は、ごめんね。思い出してくれた?8でも、どうしてもこの想いだけは伝えておきたかったの。あの日、書いてきてたラブレター、今なら読めるの。…お返事聞かせて?

[''██拓真''氏は死亡していたにも関わらず、立ち上がる]

''██拓真'': うん、…良いよ。

SCP-XXX-JP-B: 自分の気持ち 君の笑顔を 見つめていたら 気付いたよ。とても可愛い 君の横顔 真剣な目で 素敵だよ。これからずっと 側に居たいよ こんな気持ちは 初めてで。遂に出逢えた 運命の人 君が大好き 言えないよ。今の関係 壊れないでと 願いをかける 恋の歌。口に出来ない 歯痒い想い 君が好きだと 伝わって。

''██拓真'': …………蛸が持つ花 彼岸花咲く あの夏の日の 死者の歌。三途の川を 共に行くため 待っててくれて ありがとう。君の事 僕も好きだよ さあ行こう。

<記録終了>

終了報告書: SCP-XXX-JP-Cが出現したにも関わらず、花火玉は出現せずイベント-マツリは終了しました。''██拓真''氏の遺体は消失していなかったため、回収され、通常の手順で火葬されました。SCP-XXX-JPの無力化により、SCP-XXX-JP-A個体の救出は、事実上不可能であると結論付けられました。