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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██内に設置された小動物収容セルにて収容されています。収容セル内の飼育環境は熱帯雨林を模倣するように設定し、設置する植物はマメ科であることが好ましいです。餌として、給餌皿にリンゴやオレンジなどの果実を断面が見えるように配置してください。これらは一日ごとに交換し、給餌皿は常に清潔であるべきです。また身体に外的損傷のある職員は収容セル内への立ち入りが禁止されています。

SCP-XXX-JPを実験等で持ち出す場合にはレベル3以上の職員の許可が必要です。またその特異性により、実体への直接的な殺傷行為は認められません。解剖等でSCP-XXX-JPの死骸が必要な際は指定の毒を配合した飼料を実体に与えてください。現在、SCP-XXX-JPの性質を医療等に利用するという案は審議中です。

説明: SCP-XXX-JPはPapilio ulysses(オオルリアゲハ)に類似した外見を持つ、アゲハチョウ属の未知の節足動物です。食性等の生態はアゲハチョウ属の他の種と殆ど共通しています。しかし、SCP-XXX-JPは通常の種と比べ飛行速度が非常に遅いことが確認されています。また鳥類や肉食昆虫等の外敵を避けるような行為は見られません。そのため、野生でのSCP-XXX-JPは頻繁に捕食されることが予想されます。

SCP-XXX-JPは適切な環境下においては外部からの干渉がない限り、その寿命に限りがないと推測されます。現在、最も長期間にわたって生存している個体は17██年より財団の収容下にあります。しかし、外部からの干渉には非常に脆弱であり、僅かな接触でも致命的な損傷を受けます。

SCP-XXX-JPは嗅覚器官は花の蜜の香りや食物の腐臭の他に、動物の血液から発せられる匂いにも反応することが判明しています。これによって、SCP-XXX-JPは傷を負った動物を探知することができると考えられます。傷を負った動物を発見したSCP-XXX-JPは対象の傷口へと集まります。そして対象の傷口と接触したSCP-XXX-JPは消失します。それと同時に、対象の損傷は未知のプロセスにより即座に完全に治癒します。対象が死亡していない限り、この特異性は全ての外的損傷に有効です。例として、手首を欠損した被験者にSCP-XXX-JPが接触した際、被験者の手首は急速に再生し始め、欠損する以前の状態へと戻りました。

SCP-XXX-JPを直接的な方法で殺傷した全ての動物は、段階を経て死亡することが確認されています。初期症状として、一時間後に全身に軽度の痒みが発生します。その後、三、四時間後に対象は重度の意識障害を患い、錯乱状態に陥ります。五、六時間後、対象は全身から糸状の物質を大量に放出します。糸状の物質は数分間で対象の全身を覆い、対象は鋳型の繭に包まれた状態になります。このとき、対象がこれに対して抵抗をするといった事例は観測されていません。そして対象は繭内で神経や呼吸器を除き全身が溶解していきます。七、八時間後、繭からSCP-XXX-JPが発生します。このとき、発生するSCP-XXX-JPの個体数はその生物の体積によって違い、人間の成人男性であれば、およそ五十匹ほど発生します。SCP-XXX-JPは通常の方法での繁殖は確認されておらず、また幼虫も発見されていません。そのため、以上の過程がSCP-XXX-JPの個体数を増やす唯一の方法だと推測されます。

経過時間 症状
0.5〜1時間 全身に痒みが生じる。比較的穏やかであり、日常生活には支障をきたさないため、大抵は無視されると予測される。
3〜4時間 突発的に重度の意識障害を患い、対象は錯乱状態にに陥る。この時、対象は何らかの事象を認識していると推測されているが、その症状により詳しい内容は不明(撮影記録-XXX-JPを参照)
5〜6時間 全身から大量の糸状の物質を放出。
内容 内容
内容 内容
内容 内容

補遺: 現在、SCP-XXX-JPは1███匹収容下にあります。

撮影記録-XXX-JP

付記: D-███はSCP-XXX-JPへの給餌の際、不手際により地面に留まっていたSCP-XXX-JPを踏みつけ、殺傷しており、その特異性により重度の錯乱状態になっている。以下は鎮静に向かった担当職員である██博士が、D-███の発言にSCP-XXX-JPと何らかの関係性があると推測し、急遽、撮影したものです。

<記録開始>

D-███: お、俺は、だめだ、駄目なんだ。もう、何もかも、もう手遅れなんだ。

██博士: 落ち着いてください。ゆっくりと、今の状況を話してください。

D-███: 俺は罪を、罪を贖罪しなければならないんだ。そう、罪を、人を救うことで罪を。

██博士: 罪? SCP-XXX-JPを、あの青い蝶を殺してしまったことですか。

D-███: 違う……もっと古いし、そもそもそれは俺の罪だ。贖うのは俺の罪ではない。人、人を救わなければ、つ、罪は消えない。そう、永遠に、ずっとずっとずっと殺されるまで、いや、殺されても駄目なんだ、ただ被害者が増えるだけ。永遠に永遠に永遠に永遠に永遠にずっと。人を救って、ようやく解放される。だから、怪我をしてくれ。そして治させてくれ。

██博士: では、その罪は誰の罪なのですか。

D-███: そ、それは…… (ノイズが遮る)

██博士: よく聞き取れません。もう一度、お願いします。

D-███: それは私の罪です。

(D-███が壁に頭をひたすら叩きつける。額からは大量に出血している)

██博士: (舌打ち)。警備員、鎮静剤を打て。

<記録終了>