アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは20██年█月██日現在、未収容です。オブジェクトが非異常性の脅威を有し、世界的にも流行しているため、財団が関与していないものも含めて国際的な無力化が進行中です。無力化の支援と、異常性の隠蔽に重点を置いたSCP-XXX-JP暫定収容プロトコルが実施されています。
SCP-XXX-JPへの対応を専門とするサイト81██が設置されています。サイト81██管理官はサイト81██での研究成果を取りまとめ、O5評議会に提出すると共に、必要ならば新たなプロトコルを策定・実施してください。
現在、実施されているSCP-XXX-JP暫定収容プロトコルのうち、主たるものを以下に挙げます。プロトコルの全体はSCP-XXX-JP暫定収容プロトコル一覧を参照してください。
・SCP-XXX-JP-1となりうる艦船からの乗員の下船を、それを保有する国家・団体に対して非公式に要請します。要請が拒否され、同時にその乗員にSCP-XXX-JPが感染も拡大している場合、SCP-XXX-JP-1の乗員全員を何らかの形で強制的に下船させることが検討されています。
・SCP-XXX-JP-1となりうる財団保有の船舶は直ちに指定の寄港地に移動し、乗員を全員下船させてください。
・SCP-XXX-JP-1から乗員が下船する際、SCP-XXX-JPの感染者を先に降ろしてください。
・財団フロント企業を通じて、SCP-XXX-JP無力化のためのキャンペーンに資金を供出してください。
・SCP-XXX-JPの脅威の存在を拒否する、SCP-XXX-JPの無力化に非協力的、あるいは無力化の著しい妨げとなる国家・団体に対しては、O5評議会の同意を得た上で、その指導部を強制的に変更するなどしてSCP-XXX-JPの無力化に協力させてください。
・サイト81██に配置された医療研究スタッフは、非異常性の技術を利用したSCP-XXX-JPのワクチン・予防処置の開発を進めてください。研究の過程で非異常性の予防に役立つ措置が発見された場合、直ちに財団フロント企業を通じて公開してください。
・サイト81██に配置された社会科学研究スタッフは、国家の財政・人口規模と艦船の保有数とを継続的に確認し、著しい差異・非合理性が確認された場合には、サイト81██管理官に報告してください。
・サイト81██に配置された歴史研究スタッフは、SCP-XXX-JP-2について、その経歴と実在性を調査してください。不審な点が見つかった場合には、サイト81██管理官に報告してください。
・サイト81██に配置された政治工作スタッフは、SCP-XXX-JP-1となりうる艦船が減少するように各国政府に対して働きかけてください。
・サイト81██に配置された情報処理スタッフは、消失あるいは歴史的重要性を失ったSCP-XXX-JP-2に由来するSCP-XXX-JP-1について、その由来を捏造・隠蔽してください。
・SCP-XXX-JPを対象とした実験は禁止されています。
脅威が収束した場合、少数のサンプルが研究のために保管される予定です SCP-XXX-JPの性質から、予期せぬ影響が発生する可能性が提起されており、現在議論が進行中です。
説明: SCP-XXX-JPは、コロナウイルス科の新型ウィルスで、人に感染し、場合によっては死をもたらします。個別の人間に感染した場合のオブジェクトの病理学的性質について調査が進行中ですが、20██年█月██日現在、異常性は確認されていません。
SCP-XXX-JPの異常性は、実在した歴史的個人に由来する名称を持つ艦船に乗船している乗員に感染した場合に発現します。この条件に当てはまる感染が発生した艦船をSCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-1の名称に使われた歴史的人物をSCP-XXX-JP-2と指定します。SCP-XXX-JPは、SCP-XXX-JP-1内の乗員の感染率と正比例して、SCP-XXX-JP-2の生存期間が短縮するように、その没年を早める過去改変を行います。結果として、SCP-XXX-JP-2の歴史的影響が大きいほど、また活動時期が早いほど、大規模な過去改変が進行します。この過去改変は不可逆的かつ累積的なものであり、SCP-XXX-JP-1の乗員を入れ替える、感染者を退去させるなどの処置は過去改変事象からの復元をもたらしません。
SCP-XXX-JPによる過去改変は、既存の艦船とその乗員の存在・所属に影響を及ぼしません。過去改変による状況の変化と、艦船の存在との間の矛盾点は、現在まで発見されていなかったように改変されます。
SCP-XXX-JP-2の存在そのものが消失した場合、それ以上の異常性の発現は起こりません。
SCP-XXX-JPの異常性は、20██年█月██日のアメリカ合衆国によるデフォルト宣言に不審な経緯があったことが財団の興味を引き、発覚しました。当該国家は独立以来、拡張に失敗し続け、国内政治は混乱の連続であったにも関わらず、一貫して、特に20世紀以降、財政的・戦略的に明確に不必要であるにも関わらず、極めて過剰な数の艦船を有していました。その後、当該国家の艦船の多くの名称に、存在しない、あるいは当該国家の歴史に対して重要性を持たない個人の名称が冠されていたことが発見され、異常性が発覚しました。
広範囲における調査の結果、同様の事例が多数発見されました。現存しない過去の艦船において、明らかに実在しない、あるいは歴史的重要性を持たない歴史的個人の名称が冠された例は存在しないため、SCP-XXX-JPが異常性を獲得したのはごく最近のことであると推定されています。
SCP-XXX-JPによる過去改変による影響の全貌は、その範囲の広さ、ありえる可能性の多さ、被害が未だに拡大し続けていることから把握できていません。人名を冠する艦船は特に軍用艦艇に多く、政治家・軍人が主として影響を受けたと考えられます。保有艦艇の多さと現在の国力とを比較して、アメリカ合衆国が最大の被害国であると推定されていますが、君主制国家が革命家の名前を有する艦艇を保有している、他国の人物の名前を有する艦艇を持っているなど、国家の存立・政体も含めて広範かつ甚大な改変が起こったと考えられています。日本・中国など人名を艦船に付けることが少ない国家では、直接的な歴史的人物の早逝・消失は少ないですが、過去改変事象による影響は受けています。
現在までに判明しているSCP-XXX-JP-1および-2の完全なリストはSCP-XXX-JP一覧を参照してください。また、SCP-XXX-JPによる過去改変事象の影響の詳細な考察についてはSCP-XXX-JPによる影響の考察を参照してください。
SCP-XXX-JPの異常性の起源について調査が進められていますが、その異常性の対象が限定的であることから研究は難航しています。
現在のところ、財団はその職務を遂行できている。しかし、これ以上の過去改変が進行した場合、財団の成立や危険なオブジェクトの収容にまで改変事象が及ぶ可能性が高い。迅速な対応のためにも、各国首脳部にSCP-XXX-JPの情報を公開し、オブジェクトの収容、少なくともSCP-XXX-JP-1及びこれになりうる船の無人化を要請することを提案する。 - 村上管理官
提案は10-3で却下された。本オブジェクトの異常性は人類全体の脅威であるが、人類社会の喪失に至らない限りは、内陸国もしくは人名を艦船の名前にする習慣のない国家にとって有利に働く。特に歴史的な被害意識が強い国家は、SCP-XXX-JPを拡大させることを選択する可能性がある。オブジェクトの収容、少なくとも異常性の拡大阻止は、各国政府にその理由を気取られることがないように行わなければならない。 - O5-6
████共和国海軍に属する駆逐艦『██████』は同型艦の命名規則に反しています。他の艦は、現在の████共和国の主要都市の名称が付けられているのに対して、██████だけは由来が不明でした。調査を行ったところ、██████という都市は過去に████の沿岸部に存在しましたが、1███年に未曾有の津波によって水没しています。SCP-XXX-JPが変異した可能性を調査することを提案します。 - 九鬼研究員
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1が存在する█████████島はサイト81██に指定され、第151合同任務部隊の海上監視施設所在地として偽装されます。█████████島を中心に半径15kmを封鎖エリアとし、進入の禁止を常時、無線でアナウンスしてください。封鎖エリア周辺を対艦・対空レーダーおよびSCP-XXX-JP-2周辺に展開する小型衛星に搭載された光学望遠カメラによって常時監視し、エリアに侵入する船舶・航空機が確認された時は、無線で警告してください。警告が無視された場合にはSCP-XXX-JP-1から半径5kmに到達した時点で対艦ミサイル・対空ミサイルによって破壊してください。警告を了解した上で、燃料切れなどやむを得ない事情がある場合は、サイト81██管理官の了解の下で寄港・着陸を許可してもかまいません。その際はクラスA記憶処理を施し、ジブチ港で第161任務合同部隊に引き渡してください。
サイト81██は、SCP-XXX-JPの研究と隠蔽を行いますが、同時に近隣を航行する船舶・航空機の情報を収集し、第151合同任務部隊へ提供してください。
財団職員のSCP-XXX-JP-1の中心部(SCP-XXX-JP-1-A)への進入を禁止します。SCP-XXX-JP-1-Aを用いて実験を行う場合には、サイト81██管理官の許可が必要です。実験で用いられる人間はDクラス職員に限られます。
SCP-XXX-JP-2は現時点で収容が不可能であるため、その存在を隠蔽します。SCP-XXX-JP-2が、アメリカ合衆国が打ち上げた対衛星兵器の機密実験衛星であるという偽情報が流布されます。SCP-XXX-JP-2から東西方向に40kmの地点に小型の衛星を配置し、全貌が認識されないようにジャミングを行ってください。SCP-XXX-JP-2から半径6km以内への財団の衛星・宇宙船の進入は禁止されます。他国の衛星などが進入しようとした場合には、その衛星の保有機関に対し、米軍CSpOC(連合宇宙作戦センター)を通して衝突の回避を促してください。SCP-XXX-JP-2の観測情報の公開など、SCP-XXX-JP-2の存在が公になりかねない事態が発生した時は、アメリカ政府のエージェントに偽装した財団職員を派遣し、差し止めてください。
SCP-XXX-JP-3は収容が困難かつ、その必要性も小さいと考えられます。SCP-XXX-JP-3と思われる物体を発見した場合は、サイト81██に報告してください。
説明: SCP-XXX-JPは、紀元前██世紀に建造されたと思われる重力操作型軌道エレベーターの遺構です。SCP-XXX-JP-1および-2によって構成されています。
SCP-XXX-JP-1は、ソマリア沿岸███km、東経██°、北緯0°にある█████████島に存在する、軌道エレベーターの地上部分と思われる遺構です。直径105m、最大深度20mのすり鉢状の土台部分エレベーター装置(SCP-XXX-JP-1-A)、付随施設の基礎などが残存しています。
SCP-XXX-JP-2は-1の上空35786kmに存在する軌道エレベーターの静止軌道上部分と思われる大型の衛星です。底面の直径166m、高さ225mの円筒形で、天頂・天底両方向に直径105mの穴が開いています。赤外線による探査の結果、内部は無人であることが判明しています。未知の重力操作装置を装備しており、半径約6km内部に侵入したデブリ・衛星などの軌道を変更することで衝突を回避しています。その性質上、接近に成功しておらず、外形上の調査のみが行われています。
SCP-XXX-JP-2は195█年に存在が確認され、当初は奇妙な形の岩石片と思われていました。しかし、197█年に財団の地球軌道探査衛星が人工物であることを確認し、以後は財団による隠蔽下に置かれています。当初、SCP-XXX-JP-2のみが、近づくものを重力操作によってはじき返す未知の人工衛星として、単独でSCP-XXX-JPに指定されていました。しかし、201█年、ソマリア海賊の拠点として知られていた█████████島に第151合同任務部隊の分遣隊が強襲を仕掛けた際に、そこで奇妙な遺跡が発見されたという連絡を財団の衛星通信傍受ネットワークが感知し、SCP-XXX-JP-1が発見されました。SCP-XXX-JP-1の収容に当たって、第151合同任務部隊司令部との間で交渉がなされ、現在の収容プロトコルが策定されました。
█████████島を根拠としていた海賊に対するインタビュー、沿岸の漁民に対するインタビューからはその起源について有益な情報を得ることは出来ませんでした。海賊からのインタビューでは、これまでに最低でも6名がSCP-XXX-JP-3となったことが明らかになっています。
SCP-XXX-JP-1の考古学的調査の結果、紀元前██世紀に40年ほどの時間をかけて建造されたと考えられています。SCP-XXX-JP-1の周辺には簡易な石造の家屋の遺跡のほか、大規模な祭祀の痕跡が見つかっています。農地・放牧地や道具作成の痕跡は発見されていますが、墓地は発見されていません。建造開始の数年前に20人程度の人間が住み着き、SCP-XXX-JP-1建造時完了までに約300人に増加したと考えられます。しかし、SCP-XXX-JP-1の建造終了後には、人類が居住した痕跡は見られません、
SCP-XXX-JP-1-Aは石材と加工した隕鉄で構成されており、中央に未知の金属球(SCP-XXX-JP-1-A-Core)が存在しています。SCP-XXX-JP-1-A-Coreが重力操作に関与していると考えられますが、後述するSCP-XXX-JP-1-Aの異常性およびSCP-XXX-JP-1-A-Coreの強い耐久性から、調査は成功されていません。
SCP-XXX-JP-1-Aの内側に質量41.4kg以上の物体が完全に進入したときに異常性が発生します。進入から30秒後に、SCP-XXX-JP-1-Aの境界に沿って強力な斥力環がSCP-XXX-JP-2まで出現し、斥力環の内側と外側とが重力的に遮断されます。この時、斥力環の内部に存在する物体をSCP-XXX-JP-3に指定します。この斥力環の影響は環から10mの地点で消失します。斥力環出現から10秒後に、斥力環内部でSCP-XXX-JP-2に向かう重力が発生し、SCP-XXX-JP-3は天頂方向へと落ち続けることになります。最初は低速ですが、最終的には秒速652kmに到達し、124秒でSCP-XXX-JP-2へ到達します。この際、SCP-XXX-JP-3は何ら損傷を受けることがなく、また低速の時点の観測では意識も確認されています。SCP-XXX-JP-2にSCP-XXX-JP-3が到達してから20秒で斥力環は消失します。
SCP-XXX-JP-2に到達したSCP-XXX-JP-3は最高速度である秒速652kmを維持したまま、SCP-XXX-JP-2内部を通過して宇宙空間へと射出されます。これは、SCP-XXX-JP-2の天頂部分が不完全であるか、破損したために、SCP-XXX-JP-3を止めることができないと推測されています。
SCP-XXX-JP-3は高速度で飛行しているため、捕獲することは現在の技術では不可能です。SCP-XXX-JP-3が有機体あるいは小型の物体の場合、捕捉も困難です。真空空間のため、生物は死亡していると考えられます。
補遺: SCP-XXX-JPの文化人類学研究に従事している印出井博士が、SCP-XXX-JPについて以下の仮説を唱えています。
現在まで、SCP-XXX-JPは単独の軌道エレベーターであるとの前提で研究が進められていた。しかし過去にSCP-XXX-JP-2で-3を停止させることが出来ていたならば、SCP-XXX-JP-2は多くの機能を備えて、より巨大になっているはずだろう。また、SCP-XXX-JP-2から-1への移動も可能であるはずだ。
SCP-XXX-JPは単独で機能するものではなく、SCP-XXX-JP-3を受け止める別のオブジェクト、SCP-XXX-JP-4が存在していた可能性がある。それは大型の宇宙船だろう。しかも地球外生命体のものではないか。
重力操作のような高度な技術を先史時代の人類が保持していたのは考えづらく、何らかの地球外生命体が関与していることは間違いない。地球外生命体が隕石とSCP-XXX-JP-1-A-Coreを█████████島に落とし、SCP-XXX-JP-1を建造させ、彼らと各種動植物をサンプルとして回収したと私は考えている。
SCP-XXX-JPの建造時期は無文字時代であり、以上の仮説も状況証拠から導かれたものだ。更なる発掘調査によって仮説を証明するために、追加の予算と人員を申請する。
印出井博士の要請は、これ以上の調査が収容に必要ないと判断されたため、却下されました。現在の収容プロトコルが維持されます。