以下から下書きです。
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXXX-JPは██県██市の██山で12月下旬から2月上旬中に出現する実体です。SCP-XXXX-JPの回収には特殊な手順を踏む必要があり、手順を無視した接触を行うと「山鳴り」と呼称される現象が生じます。
手順は██山周辺の集落で口伝されていたもので、財団が認知した時点で手順の詳細を知る人物は死去していました。民間伝承を記した書物などの媒体から得られる情報のみでは正確な手順を踏むことが出来ず、██回の失敗を余儀なくされています。
「山鳴り」という現象は██周辺であれば確実に聴き取る事が可能で、約100dB程の大きさで鳴り響き、聴いた人間の多くは苦痛を覚えます。
補遺:
『あけくちをなぞる車』
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが発現する前日から██市██町上空を含む航空交通路を財団フロント企業と連携して整備した後に、財団保有の散布用小型航空機を用いて人工雲を発生させて下さい。気候条件によって、人工雲でSCP-XXX-JPを妨害出来ない場合は、財団の医療バックアップを運用して十分な体制を整えて下さい。
説明: SCP-XXX-JPは██県██市██町で発現する現象です。当該オブジェクトの異常性は以下の2点です。
第1異常性: 発現には以下の条件があります。
- 12月24日
- 晴天
以上の条件が揃った場合、██町上空に「ジッパー加工1」と酷似した模様が出現します。この模様を視認した人間を対象者として、SCP-XXX-JPは身体に「ジッパー加工」と酷似した痣を出現させます。曝露後の身体には痣以外の異常は現れず、健康や生活に支障はありません。後述の第2異常性が完了した場合に限り、曝露した対象者の身体が痣模様に沿って分裂する場合があります。この分裂の被害は各対象者の身体に出現した痣の数だけ連鎖的に発生します。分裂した部位は腐食前に縫合等の適切な処置により回復出来ます。分裂後の対象者は精神的ストレスに対して以前より抵抗力を持つようになると共に、ドーパミン分泌が活発になる傾向が見られます。
SCP-XXX-JPの視認による曝露は██町のみで作用しますが、曝露後の身体的状態は██町から離れた場合でも影響し続けます。加えて、曝露した対象者はSCP-XXX-JPについてごく自然な気象現象と認識する様になります。この認識はクラスB記憶処理によって解消します。
第2異常性: 第1異常性が発現している状態で時刻が午後5時30分前後の時、同町で19██年まで利用されていた旧国道██号線で特有の異常性を発揮します。(以下から異常性発揮時の旧国道██号線を地点-1224と記載する。) この地点-1224では自動車の衝突事故を模した現象が発生します。まず、現象は車線に1台の車両2(以下からSCP-XXX-JP-1と記載)を出現させます。その後、██町内走行中の一般車両を地点-1224の対向車線へ出現させる事でSCP-XXX-JP-1との衝突事故を成立させます(現在まで、選択される一般車両に作為性は確認されていません)。衝突が完了した後のSCP-XXX-JP-1は消失します。なお、SCP-XXX-JP-1は出現後に走行もせず、そのまま消失したケースも確認されており、これは大型車両が衝突相手となった場合に最も多いです。この消失後にSCP-XXX-JP-1が再出現したケースは確認されていません。
無作為に選択された車両の搭乗者は、走行中に強い目眩や意識の高揚が現われます。同時に意思とは関係の無いハンドル操作が衝突を促す目的で突発的に起こり、事故を起こします。このハンドルの異常に対して瞬時かつ適切に対処する事は目眩等の諸症状があり、困難と判断されています。SCP-XXX-JPの第2異常性は燃料不足やエンジントラブルが発生した場合でも、車両の基本的な仕組みを無視して続行し、中断しませんでした。
付録01: 「SCP-XXX-JPと地点-1224の因果関係について」から抜粋。
記録者: ██研究員
SCP-XXX-JPが発生した場合、当該オブジェクトは地点-1224でも異常性が発揮するとされています。19██年〜20██年まで記録されている限りでは地点-1224以外での異常性は発揮されていません。(中略)
因果関係の模索を目的として██市年表、██町郷土誌、██町誌、町内会報などからアプローチを行いました。 結果としてSCP-XXX-JPが普遍的に出現する以前の町内会報にて、地点-1224で発生する現象と符合した内容の衝突事故に関する記載を発見しました。
その記載を元に調査を拡大した結果、当時の事故について知識のある██氏と接触が可能となりました。
付録02: 町内会長██氏とのインタビュー記録。以下のインタビューは飽くまで参考情報であり、今後の調査結果によっては付録を削除します。
対象: 町内会長██氏
インタビュアー: エージェント██
付記: ██氏はSCP-XXX-JPの異常性により、適切な処置が遅れたため片腕を損失しています。エージェント██は新聞記者に扮してインタビューを行っています。
<録音開始>
インタビュアー: この度はインタビューに応じて頂き有難うございます。
██氏: こちらこそ雪の降るお足元の悪い中、御苦労様です。確か電話で少し聞いていた限りでは19██年の衝突事故について聞きたいとの事でしたね。今でもあの事故は覚えています。インタビュアー: はい。事故についてお聞きしたいのが、恐らくですが当時の町内会報に追悼文を寄せていた点から██氏はこの衝突事故の当事者と面識があったのでないですか?
██氏: ええ、ええ、そうなのですよ。良く調べていらっしゃいますね。追悼文を寄せたのは友人の母親でしたから。
インタビュアー: では、その友人の方とその母親について聞かせて頂ければと思います。印象に残っている事が無ければ些細な事でも構いません。
██氏: そうですね、友人……いいえ、彼女については時折思い出す事もあるのです。その度に私が片腕を失った理由は何かと考えいて。でもこれは、あの事故とは関係の無い話になってしまいますね。インタビュアー: いえ、念の為お聞きします。
██氏: (嘆息)██氏: 私は、彼女が母親を無くす3日前に約束をしていました。終業式当日は学校が早く終わるものだから、終わった後は神社に集まって皆んなと遊ぼうという約束です。でも次の日、その約束は無かった事になりました。
██氏: それは終業式という節目を機に別の学校へ移る事になった担任の先生へプレゼントを渡す計画があったのだけど、そのプレゼントを買う為のみんなで出し合ったお金がいつのまにか減っていました。だから誰が言い出したのか今となってはもう思い出せませんが……誰かが盗んだのではないかという話が始まりました。そして、皆んなは母子家庭で貧しい家庭だと知っていた事もあったから、全員が曖昧な根拠で彼女を犯人だと疑った。その時、私は庇う事をしなかった。私にも矛先が向くのを恐れたから。██氏: (沈黙)
インタビュアー: 続けて下さい。
██氏: この事があったから3日前に誘っていた約束は無かったことになって、終業式当日は私も含めて誰も神社に行きませんでした。それは直ぐに後悔しました。彼女から聞いていたから分かっていたのですが、遊んだ後にパートを終えた彼女の母親が、神社の前まで迎えに来てくれるつもりだったそうなのです。でも彼女の母親は衝突事故に遭われてしまって。
██氏: 恐らく既に知っていると思いますけど。彼女は事故の次の日に行方不明になっています。インタビュアー: はい、存じています。
██氏: 行方不明になった後、学校から配布された児童文集を開いて彼女が書いていたページがありましたから、何か行方のヒントを探すつもりで読んだ事を覚えています。その文集には手掛かりになるような事は有りませんでしたが、代わりに彼女とお母さんの日常が書かれていました。
インタビュアー: どのような内容ですか?
██氏: そうですね、嫌な事があった日はお母さんの仕事帰りに車の後部座席で買ってもらったお菓子を開けながら、今日の事を話すと嫌な事は忘れて優しくなれるといった内容でした。その文集を読んだ日から3日が経って、神社の雑木林から彼女の死体が見つかりました。だから庇いもしなかった私が片腕になったのは、ごく単純な報いだと思うのです。でもどうしてなのか、報いを受け入れたからなのか、失って不自由になったと言うのに不思議と以前よりも落ち着いて生活できてしまう。
インタビュアー: なるほど、他に言いたい事などはありませんか?無いとの事ですのでインタビューを終わりたいと思います。ご協力感謝します。
<録音終了, 20██/12/25>
終了報告書: ██氏とのインタビューはあくまで参考とする程度であり、科学的根拠が無い以上の情報のみでSCP-XXX-JPと地点-1224との因果関係の実情を確定するべきではないと判断します。他分野での検証および調査で有力な発見がない場合にのみ、以上のインタビューを今後付録として添付します。予定されていた全調査が終了しました。各成果を考査した結果、本インタビューを添付する事が受理されました。
補遺001: 収容プロトコルによって曝露者は減少傾向にあります。なお反比例する形で██町での死亡者数および逮捕者数が増加傾向にあります。
補遺002: 20██/12/24にエージェント██の提案により行われた実験です。
実験記録███
対象: SCP-XXX-JPの第2異常性
実施方法: 予めDクラスを搭乗させた車両を、交通規制などを行う事で地点-1224の対象車両に選択されるよう操作します。エージェント██が強制的に乗り込み、ハンドルを切る手法で衝突事故回避を試みます。
結果: 衝突事故回避に成功しました。なお、エージェント██は走行中の一般車両に対して強引な侵入を試みた為、右腕部の脱臼と右脚部を捻挫しました。その後、SCP-XXX-JP-1は消失する事なく走行を継続し、市道第1-███号線3の██地点で停車し消失しました。
備考: 以上の実験によって地点-1224またはSCP-XXX-JP-1に影響があった場合を考慮し、翌年の調査結果で明確な変化等が確認できた場合に限り、その結果を補遺003として追加します。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Neutralized
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは青森県██市の████神社周辺で出現する存在です。オブジェクトの出現は、神社関係者の発言から████神社が保有している御神体の破壊4が起因と推測できます。SCP-XXX-JPは全長124cm前後で人型に近い十二単を着用した容姿で出現します。なお頭部と背部にのみ、複眼や吸収管また翅等の特徴を持つため視覚での判別が容易です。
SCP-XXX-JPの異常性は暴露条件が存在する為、一部の参拝者にのみ発揮します。異常性の暴露条件は実験結果から、参拝者が異性との交友関係に意欲的、または既に親密な関係を持つ場合が必要条件と推測が出来ます。以上に当てはまる人物が████神社に侵入する事でSCP-XXX-JPは‶参拝者”と判断し、自身の異常性に暴露させます。オブジェクトの異常性に暴露した対象者は言語能力が著しく低下し、これを要因とした‶交友関係の喪失”等の影響が生じ、最終的には‶孤独死”等へ直結する状況に発展します。
補遺:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Fortune
特別収容プロトコル: 貴方の運勢を財団の持つ技術で、簡単に把握出来る様になりました。以下に表示される運勢は望ましい結果が得られない場合があります。
説明: 少しばかり運が上がります。凶や大凶が出た方はどうぞ。
ヌシノカゲ
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: オブジェクトの繁殖力から、完全な収容は困難です。 実験、研究等にSCP-XXX-JPの捕獲を申請する場合、クリアランスレベル2の職員2名による承認が必要です。 捕獲作戦には担当研究者の同伴で必ず行います。 他種生物に回復不可の悪影響を及ぼす懸念から、如何なる理由でもSCP-XXX-JPの多量の捕獲は認められません。 捕獲したSCP-XXX-JPの収容水槽は、一般的な水族館等で用いる厚み60cmのアクリル樹脂製水槽に収容します。加えて、オブジェクトの性質から水槽は常に海水で満たして下さい。
説明: SCP-XXX-JPは生物学的にスズキ目ハタ科に属するタマカイ(学名:Epinephelus lanceolatus)に類する海水魚です。 オブジェクトは体長14.8m以上、体重1345kg以上まで成長5し、生息域で確認が出来る基本的な他種に対して食物関係に於ける高い優位性を得ます。 SCP-XXX-JPは人間を含めた他種族に対し最も自然に‶何も居ない”と認識6させます。この異常性によってSCP-XXX-JPは安定した捕食と迅速な危機回避を実現する事が可能です。
オブジェクトの眼球を含めた体表保護は、葉状鱗7に類似した極めて硬質の鱗で成立しています。 この鱗は異常な剛性、硬度、耐衝撃性、耐久性、耐熱性、耐圧性等を同時に実現する事で、天敵関係となる他種生物の出現を論理的に排除しています。 加えて、SCP-XXX-JPは海中を最高時速114kmで移動可能な運動能力と毒等に対する高い免疫、高い骨密度によって実現する約18tの咬合力を持つ為、生物間に於ける消費者あるいは生産者的関係性に関わらず捕食します。 なお自身より体表面積の広い水生生物8を捕食対象とした場合、同種個体と簡易的な群れを形成します。この状態にのみSCP-XXX-JPは新たな異常性を発揮し、体表の模様の変化や背びれの肥大化を伴いつつ第2捕食形態へと移行します。 第2捕食形態のSCP-XXX-JP群は捕食対象に牙や鱗等を用い損傷を与えます。 これにより損傷部位の細胞組織を部分的に分子レベルで分解する事で、SCP-XXX-JPに適したサイズへ物理的に変形させ、群れでの捕食を完了します。 以上全ての異常性は体表全体が海水で覆われ、持続的に海水の取り込みがエラから行える状態でのみ発揮と継続が可能となります。
SCP-XXX-JPは群れでの統率的な捕食行動や、実験により判明した鏡像自己認知9能力から高い知能を有すると判断できます。 財団は簡易的な動作を用いた意思疎通方法でオブジェクトがある程度の言語を理解していると判明しています。 以上から知能を有するSCP-XXX-JPは通常の捕獲方法では効果を示さない為、基本的に単独行動を好む固体を調査した上で、対象に捕獲船4隻を用いた‶追い込み漁”方式の捕獲が現状の最適採集手順です。 なお調査結果からSCP-XXX-JPが一度に産卵する個数は約2億個10と膨大な事から、捕獲による駆除作業は効果的ではありません。 オブジェクトは20██/██/██現在の飼育観察から長期寿命を有します。確認されている個体の最長命記録は[編集済]歳です。
付録 001:実験ファイル89██-1の抜粋。
対象: D-576342
実施方法: 異常性を発揮不能となった調理済みのSCP-XXX-JPを「一般的な青魚料理」として説明し、摂食するように指示する。
結果: D-576342は摂食し「大変美味である」と答えました。その後のD-576342は一時的な知能の向上や胃腸疾患を完治する等の影響が現れました。
インシデント記録XXX-JP-1
水槽内のSCP-XXX-JPがエージェント██の「昼食は焼き魚だった」という話題に不自然な反応を示した報告を受け、言語の意味をある程度把握している可能性を鑑み意思疎通を試みました。結果、20██/██/██現在では水槽内でオブジェクトが左右どちらか一方に移動することでYES、NOの簡易的な意思疎通を確立しました。
日付 | 結果内容および事象 |
20██/09/21 | SCP-XXX-JPは「同種族の間で生息域や食物に関連した闘争は有るか?」という質問に対し過半数がYESと答えました。 引き続き生態調査を続けます。 |
20██/09/22 | SCP-XXX-JPに「自身の種は海水がない場合、殆どの力を失う点について理解しているか?」という質問に対し、YESと答えました。 ここまでの調査に協力的な個体が多く全体的に温厚な種族と判断できます。 |
20██/09/23 | SCP-XXX-JPに██研究員は、異常性について驚愕の意を示しました。これに水槽内のオブジェクト過半数はNOと答え、その後も異常性や生態について‶最も優れている”という様な意見には必ずNOと答えていました。 |
20██/09/24 | 同オブジェクトからの攻撃では体表保護を突破できない事から、SCP-XXX-JPに「同種族の闘争は基本的に意思疎通等の方法で平和的な解決を行うのか?」と質問しました。これにオブジェクト全個体はYESと答えました。 |
20██/09/25 | オブジェクトの活動海域が限定されている事項の解明の為、映像実験を行いました。まず類似環境に該当する幾つかの海域と、活動していた海域の映像を無作為に視聴させます。次に「生活環境として理想と感じた映像は何番か」を質問しました。結果、全個体が元々の活動海域の映像番号を答えました。また、この結果は人工的に孵化させ、水槽内で成長した個体からも得られた為、オブジェクトの経験に基づく印象ではなく遺伝的な認識の可能性があります。 |
20██/09/28 | 前回の実験で用いた活動海域の映像に対して、強い執着を見せるようになり興奮状態に陥った個体が水槽を破壊、海水が流出した事で異常性を失い沈黙しました。 |
20██/09/29 | エージェント██が机から落下させた灰皿にオブジェクトが過剰な反応を示しました。この反応を用いることで興奮状態のSCP-XXX-JPに対し、安全な鎮静化が可能になりました。後の実験で円盤型の物品には同様の反応を示す事が判明しました。 |
20██/10/01 | 水槽内の全個体が研究員の目前で消失する現象が発生しました。同時に生態研究の為、発信機を装着し、放流した個体群からの信号が消失しました。 |
インシデント記録XXX-JP-2
20██/10/01 サイト-81██で発信機11の全信号を再受信しました。確認した地点は生息域から16km離れた███市の上空55mと判明。最終的に信号は高度の上昇を記録し、高度50km程で受信不可になりました。なお周辺住民の避難誘導は近辺を調査していたエージェントにその後の対応と記憶処理を命令しました。加えて周辺住民が所持していたビデオカメラを押収し、保管しました。
補遺001: SCP-XXX-JPは██県██市で「未確認の魚類が打ち上げられた12」という████████大学の研究チームから報告を受け調査を開始した所、存在の認知に至りました。
補遺002: 20██/10/03 現在、SCP-XXX-JPの生息海域は財団の要監視地域として設定され、継続的な調査が行われます。
改善点
その上位個体についてもう少し詳しく表現、或いは読者に想像させられるといい
不老という事は長寿命であると予想できます。で、
長寿命で繁殖力が高くなおかつ外敵の攻撃をかわす生物
が存在したら、地球はこいつで埋め尽くされるでしょう。
なんで海域が限られているのかとか、
そういう所を詰めないと、違和感のある生物になりますそういう所を詰めないと、違和感のある生物になる
〈書きたい要素リスト〉
自分がこっそり書いてる創作
見えない範囲のほくろの位置
自分が見てきた視点そのものとか
個人情報はベタなところとして、自分の本音とか黒歴史とか?
好きな相手、嫌いな人
あとは、自分のその時の感情とか考えとか
自分しか知らない筈のことを他人が知ってたら怖いですよね、自分すら知らないことも知っている恐怖
自分の実際の能力とかそれで今後どんな一生をたどるかとか全部知られた上で笑顔で応対されてたら怖いです
でも同じことでもこの人になら、そのことを知っていてほしいということも同様にしてあるのではなかろうか。
警告 下記の情報に対して不正なアクセスと判明した場合、厳重な処罰が科せられます。
ログインを確認しました。情報の同期化を開始します。
現在は270°です。
下記の情報はクリアランスレベルに応じた閲覧が可能です。
クリアランスレベルを提示してください。
確認しました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██のセルロースナノファイバーによって構成された特別収容房第██で管理されています。当該オブジェクトは、肉眼および監視カメラの設置かつ警備兵の配置によって構成される厳重な管理下に置く事で、外内部からの脅威性に警戒して下さい。対処後の補充には迅速な対応をして下さい。 特別収容房内で実験ないし清掃等を行う場合は、予め持ち込む機材や物品を報告する事が義務付けられています。 各職員は所持品を手放さないように注意して下さい。 なおSCP-XXX-JPが異常性を発揮した場合はセルロースナノファイバーを含む銃弾を撃ち込み、正常化して下さい。
説明: SCP-XXX-JPは██県██群██村の山奥にて発見されたアメーバ状の原生生物です。 発見当時は周辺地域で行方不明事件が多発しており、これについて捜査していた██県警に属する██名の相次ぐ消失と、同組織に潜入していた財団エージェント██名との通信途絶を起因としてGPSの情報を元に調査した所、山奥に位置する
██████寺院内部の地下空間で当該オブジェクトを発見、収容に至りました。 発見時の状況は以下の付録001にて確認してください。
19██年08月██日現在、██県██群██村に位置する██████寺院の周辺で多発する行方不明事件について、専門的観点による██県警の応援要請に応え、2名のエージェント並びに3名の研究員、計5名を派遣しました。 以後、エージェント及び研究員からの報告は無く、██県警に属する██名も消息不明と判明。別件による地理把握の為に同ポイント周辺に出動していた調査隊も通信途絶しているため、状況を鑑みて可及的速やかに機動隊及び各種専門家との混合編成による特別調査隊を編成し、██████寺院の周辺に出動しました。
19██年08月██日、██県██群██村に位置する██████寺院周辺の捜索後、内部に潜入。██████寺院に関連する人物は確認できませんでした。内部調査で約2時間に及ぶ探索により、地下通路を発見。機動隊員数名による侵入と、外部の専門家へ各種情報の伝達を行いました。
地下内で数名の身元不明者を発見、その内数名は攻撃性の高い行動を示した為、捕縛ないし鎮圧処置を取りました。地下最奥と思われる地点にて有機実体と接触、後日回収に至りました。今後、この有機実体は識別番号Ag13396を与え、財団本部の専門的研究が終了するまで、これを名称とします。 19██年09月██日、有機実体ないし別称 ‶Ag13396” は各種検査、装置に反応はありません。よって、現状では暫定的な脅威性は低いと思われますが、██████寺院周辺の行方不明事件との関連性が疑われている為に引き続き研究と入念な調査を重ねます。19██年09月██日、有機実体ないし別称 ‶Ag13396” は各種検査、装置に反応はありません。よって、現状では暫定的な脅威性は低いと思われますが、██████寺院周辺の行方不明事件との関連性が疑われている為に引き続き研究と入念な調査を重ねます。
SCP-XXX-JPは最大全長172.5cmで、身体はある程度の流動性を持ったアメーバ状の有機物で構成されています。
当該オブジェクトは、触覚以外であれば目や耳等の外的情報を取得する受容体を持ちません。 身体を構成している有機物には複数の遺伝情報からなる細胞が混在しており、その8割が人間を除く脊椎動物がルーツです。 なお細胞は重要な器官を除く部分の細胞接着を変化させ、様々な姿態に変化する事で多様な空間構造での生存を可能にしています。 またサンプルを用いた実験から、オブジェクトの細胞は高度な修復能力を持ち、テストレベル██までの衝撃をリカバーする事が可能と予測できます。 加えてオブジェクトから切り離した一部の細胞は殆どの場合、2日間壊死しませんでした。
SCP-XXX-JPの内部には消化器官と思われる部分が存在し、材質問わず"食物"として吸収します。 後述の調査で、器官内部には消化酵素と判断できる物質は検出されませんでしたが、未知の物質を発見しています。 19██年12月██日まで酸による消化作用と考えられていましたが、専用検査機材の開発によって内部を調査した所、器官内部に機材が侵入した事が起因と考えられる小規模な現実改変が内部にて発生。 これにより、隣接している第506番収容室にて行われていたカント計数機改修型が試験運転中にヒューム値の微弱な歪みを検知。 19██年01月██日に財団は、SCP-XXX-JPの消化は小規模な現実改変を用いて行っていると認識を改めています。 加えて、当該オブジェクトは消化によって、物品の特徴や材質を学習していると考えられる振る舞いが幾つか確認されています。 更に消化によって物品の作用や効果を自身で再現ないし利用が可能です。 この異常性を利用して、財団は複製不可能物品のバックアップ等に使用する計画案が提出されていましたが、後述のインシデント4890‐S後に却下されました。
補遺001:
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXXX-JPは██県██市██に立地する飲食店の床下収納を門口にして発生した広域亜空間です。
SCP-XXXX-JPの内部は調査によって、地球と類似した大気組成と自然環境が確認できます。ただし、物理法則及び一部の有機物に対する微生物の作用は類型と異なる点を留意して下さい。
当該オブジェクト内に存在する地表の推定表面積は約37680km²程と視られます。地表上には人類の18世紀に相当する君主制を持って国家を形成する独自の知的生命体(以下からSCP-XXX-JP-1とする。)が確認され、その国家と視られる大規模な集団は複数確認されています。SCP-XXXX-JP-1の体長は寸法平均46cm×40cm×22cmで、外見は日本伝統料理の一般的な寿司に酷似しています。全体の半数をタマゴ、キュウリ、イカ、タコの外見を持った個体が占め、一部の個体にのみ高額とされる寿司ネタのマグロ等や軍艦巻きに酷似した外見を持ちます。SCP-XXXX-JP-1にはそれぞれ階級が設けられていて、高等である程に外見の寿司ネタも高級である傾向があります。よって外見から得られる情報から優先接触対象を選抜する事が可能であり、SCP-XXXX-JP-1の文化研究や当該コミュニティとの交渉を効率良く行う事が出来ます。
補遺001:
補遺002:
補遺003:
「シアワセ茶碗」
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8107内の105番保管用ロッカーに収容して下さい。変質の終了したSCP-XXX-JP-1についてもサイト-8107内の保管用ロッカーに収容してください。オブジェクトは常に対になる様に厳重な保管が必要です。管理者は配偶者が存在しない場合のみ接触が認められます。暴露した対象者は随時、経過観察を行って下さい。新たに発見報告があったSCP-XXX-JP-1は速やかに回収班を向かわせて下さい。
説明: SCP-XXX-JPは茶碗を模したプラスチック製の玩具です。この玩具は19██年に発売されていた幼児用玩具であり、1体の人形に2つの茶碗が同梱する形で販売されていた物の1つです。しかし、異常性を発揮した玩具はSCP-XXX-JPのみであり、同じく販売されていた他の商品からは異常性を確認していません。
SCP-XXX-JPの最初の事例は、エージェント中邑が祝儀品という体裁で送られてきた当該オブジェクトと接触し、暴露したインシデントになります。エージェント中邑については以下の文書を確認して下さい。配属テストで行った精神分析から抜粋しています。
分析対象: エージェント中邑
経緯: サイト-8107に配属のため、████の規定に従い各種分析を行いました。以下は精神面における分析結果になります。
分析に用いた要素: ロールシャッハテストなどの検査結果、家族構成、交友関係、生活態度、趣味結果: 配属条件に適合します。特筆する能力を有してはいませんが、積極的な態度で職務に従事できる人物です。趣味を持たない事から、仕事に熱心になりすぎる点が予測されます。
SCP-XXX-JPは青と赤の2色が存在し、同空間に2色とも存在する事で異常性を発揮します。 なお、SCP-XXX-JPが遮蔽物等で隔絶され、同空間に2色ペアで存在しない場合や片方の距離が300m前後まで離れた場合は、どちらかが無作為に消失し、遮蔽物の存在を無視可能な転移13現象を起こす事でオブジェクト同士の物理的な隔たりを解消します。
SCP-XXX-JPの異常性発揮は、曝露者に配偶者が存在する場合のみに限られます。 曝露者ないし、その配偶者がオブジェクトに接触した場合、約1週間の期間を経て配偶者に第三者との不倫関係が発生します。 第三者に当たる人物は、曝露者と同性かつ交友関係にある人物に限られます。この不倫関係は、曝露者が配偶者に対して強い好意を持っていた場合、より早く進行します。次に配偶者の不倫関係が進行し、これを原因として曝露者が強い自殺願望を持つ傾向があります。曝露者がとる自殺行動の70%は、何度かの失敗ないし未遂を繰り返して完遂します。SCP-XXX-JPは、この自殺を起点に活性化状態になり、自殺した曝露者の細胞をプラスチックと酷似した成分へ徐々に置換します。
この置換現象は足先と指先から頭部に向かって進行していきます。頭髪や爪などを含めた全身の部位が、置換現象を完了した場合、オリジナルのSCP-XXX-JPと同様の質量に収縮します。収縮後は強い発熱を起こし、この熱を用いて整形します。(以後、オリジナルと同様の形状に変化した物体をSCP-XXX-JP-1と表記)なお、以上のプロセスで形質を変化させたSCP-XXX-JP-1は青色となります。次に、SCP-XXX-JPは配偶者に対しても上記に類似した現象を発揮します。しかし、この場合では自殺行為を必要としない為、全身に激痛を伴いながら置換現象を進行させて赤色のSCP-XXX-JP-1となります。
配偶者がSCP-XXX-JP-1に変質する過程は、不倫相手に当たる第三者にとって非常に平凡な事と認識させます。 なお、置換現象の過程で訴える苦痛は全て親密な関係性による会話として認識する為、発見を遅らせる要素となります。 次に、60%の身体が置換を完了した状態のSCP-XXX-JP-1は、不倫相手の第三者に軟禁手段を取らせる働きがあります。この働きは置換現象過程にある配偶者の意志に関係無く発揮します。 SCP-XXX-JP-1のまた、 上記の異常性による認識の異常は、各種記憶処理によって影響を一時的に解消します。
付録01: 異常性で不倫関係を持った一般人男性に行ったインタビュー記録。
対象: 一般人男性 ████
インタビュアー: ██博士<録音開始, 19██/3/15>
██博士: 貴重な時間を頂き有難うございます。 では質問させていただきますが貴方はSCP……いえ、彼女と親密な関係を気づいていらっしゃると思われますがそれはいつ頃からですか?
男性: ええ、確か去年の10月の中旬頃からです。 付き合う前まではただの同僚といった関係でしたが、いつの間にか魅力的に思える様になり、徐々に惹かれて……あのこれ以上は正直、恥ずかしいので。
██博士: そうですね有難う御座います。 お恥ずかしいかとは思いますが、貴方との生活はどのように過ごしていらっしゃるのかお聞かせ下さい。どのような事でも構いませんよ。
男性: 分かりました。この家で同棲を始めた当初は良く会話が弾んでいて、毎日が活力に満たされていたと思います。とても活発に話しかけてくれる彼女を、私も大事に思っていたのでマンションのワンルームをプレゼントしました。するととても喜んでくれてマンションの一室から手を振ってくれる彼女の笑顔を今でも思い出しますよ。██博士: なるほど。では別の質問ですが、あなたがそこに置いてある桐箱に入れた茶碗をどう思っていますか?
男性: 茶碗ですか?何処にそのような物が…… 彼女について質問しに来たのに何故茶碗の話をするのです?██博士: その、私には彼女が桐箱に入った茶碗に見えるのですよ。
男性: どういった冗談なのか分かりませんが。
██博士: では、すこし失礼。(桐箱を持つ)
男性: 勝手に何をするのですか!彼女に乱暴をしないで下さい!
██博士: (桐箱からSCP-XXX-JP-1だけをとりだして)この箱はなんですか?
男性: ただの桐箱でしょう!それよりも彼女を離してください!
██博士: (桐箱にSCP-XXX-JP-1を戻す)ならこの状態の彼女はどう見えますか?
男性: それは見ての通りイスに座っているだけでしょう。こんなおかしなことを聞くために彼女に掴みかかるなんて!
██博士: なるほど失礼しました。最後にしますので、もう1つ質問させて下さい。彼女は貴方に対して不満を言っていませんでしたか?
男性: 外に出たいという話はしていましたが彼女は体を怪我している訳ではないですし、それについて少し妙だなと思っていますけれど…… それよりも彼女に謝罪すべきではありませんか?
██博士: そうですね。大変お気持ちを害されたこと申し訳ありません。(桐箱に入ったSCP-XXX-JP-1に頭を下げる)
<録音終了>
終了報告書: ██さんはこれまでのケースと同様に、SCP-XXX-JP-1への置換現象を異常と感じていませんでした。 ██さんが購入したというマンションは存在が確認できませんでしたが、後の訪問でマンションとは食器棚の事と判明しました。これは██さんが棚に入っているSCP-XXX-JP-1に手を振った際に質問した内容から明らかになっています。加えて、調査記録と照らし合わせた通り暴露してから約2ヶ月で異常性の兆候が表れる事が確認できました。 なお、軟禁に関しても他の被害者と同様に、監禁行動を常識から逸脱している自覚が皆無であると分かります。「活発に話しかけてくれている」という発言がありましたが、置換現象の苦痛による訴えが激しい時期であった為と思われます。
付録02: 変質過程のSCP-XXX-JP-1に対して行ったインタビュー記録。
対象: クラスA記憶処理を施した60%以上の身体が置換しているエージェント中邑
インタビュアー: ██博士<録音開始, 19██/3/24>
██博士: お伺いしたい事がいくつかあります。
A.中邑: はい。██博士: あなたが離婚した原因を、少しでも良いのでお聞かせ下さい。
A.中邑: そうですね。愛していたという事実しか分からなくなる様な感覚があり、それが原因だと思います。だから例えば、夫が別人にすり替わっていたとしても目前の幸せが真実を教えてくれませんでした。でも私が愛していた相手は変わりません。
██博士: 本来であれば、不倫や離婚をしたのは本意では無かったという事ですか?A.中邑: そうですね。 ……夫は今どうしていますか?
██博士: 大変申し訳にくいのですが、あなたの夫は自殺しました。
A.中邑: [数分間の沈黙]
██博士: 今回は続行不可と判断し、インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: 対象は変質による負担から酷く衰弱しています。徐々にSCP-XXX-JP-1に完成しつつあります。これまでの研究で異常性に対する技術研究を試みていますが、完成には至っていません。対象に施した記憶処理が今回のインタビューによりある程度有効であると判明しました。
補遺001: SCP-XXX-JPはエージェント中邑が財団フロント企業に勤める██氏との婚約後に、差出人不明の祝儀品という体裁で送られてきた物品です。
補遺002: 以下はSCP-XXX-JPの最初の曝露者であるエージェント中邑の自宅から発見された文書群になります。
ご結婚おめでとう!
██さんは元気にしてる? 結婚式はどうしても都合がつかなくてごめんね。
ところで新婚旅行先は決めたの? 私ね、ピッタリの場所を見つけて (中略)〈数行に渡り、特筆すべきでない内容の記述が続きます〉
でも、最近は私と遊んでくれなくなって正直、寂しいなと思います。
だから顔も見れずにとても心配でした。 もう1つ正直に言えば、久しぶりに近況が分かったと思えば貴方が見知らぬ人と結婚するなんて聞いたとき、あの時と好きな人が変わっていて大変驚きました。 それと、私に一言も掛けずに結婚を決めていて、とてもショックです。 だって、あなたがこっそり書いていた日記は想いとともに机の中にしまったままだもの。かわいそうよ。結婚相手は死んだ後も相性の合う人とするべきよ。 あとね、書かなくなってから机の鍵の番号を変えてないのも危ないと思います。 あなたの1番が言うのだから間違いありません。
ついでに思い出したけど、あなたが書いていたお話の続きも読みたいです。 あのまま紙の箱にしまうなんて勿体ないわ。
また何かあったら連絡するね!あなたの1番の友達より
こんにちは。
まずは謝ります。あの後、あんなに怒るなんて思わなかったの。ごめんなさい。
でもね、私はあなたの事を1番に思っているからこそ手紙を書いているの。〈数行に渡り、特筆すべきでない内容の記述が続きます〉
やっぱり結婚はやめた方が良いと思います。だって、あなたは背中のあざとかほくろとかが恥ずかしいって言ってたじゃない。 見てた私はそんなこと思わなかったけど、きっとあなたが好きな██って人は嫌がるに違いないわ。 あなたの1番が言うのだから間違いありません。それに、私がもっとピッタリな人を代わりに見つけてあげるからね。あと大事なお金の番号を引き出しのカギと同じにするなんて昔と変わらず心配になります。気をつけてね。
あなたの1番の友達より
何で分かってくれないの
あなたの事を1番に想って書いているのに。
あなたのお話から言葉を学んだのに
あなたの日記から好き嫌いを学んだのに
あなたの事は全部しってるのに、ずっといっしょにいるっていった (一部判読不能)
あいにいきます
〈数行に渡り、文字として認識できません〉
それまで
お死合わせに
あなたの1番の友達より
補遺003: 死亡したエージェント中邑の遺留物
- 遺族宛の遺書
- 貯金残高████
- 各種生活用品
- その他(電子機器、嗜好品〈人形〉)
ある所、武甕槌神が御坐すと伝えある霊験灼たかな霊山があった。武神の裾元とあれば、加護に肖り武を極める者の修練場となる事は当然であった。研鑽に時を費やし、修練を見守る山と武神に感謝の拳を振るうその者達は「犀賀」と名乗った。彼等は各地を巡礼した末に、この地で研究所を構えたのだった。ある日、1人の漢がその門を叩いた。
「共振パンチッ!」
救済とまで言わしめた犀賀流を打ち砕かんとする一撃に、研究所内で組手を行なっていた犀賀六巳と構成員達は動きを止めた。共振パンチにより無残な瓦礫となった研究所の門を確認した犀賀達は、その瓦礫の山の上で白い道着に身を包んだ漢が仁王立ちしている事に気付く。構成員の1人が、道着の漢に問う。
「貴様、何者だ!」
「ここの師範は誰だ? 私は研究所破りに来た!」
構成員達は犀賀流の構えを取る。しかし、犀賀六巳がそれを手で遮った。
「私が師範の犀賀六巳だ。受けて立とう」
その言葉を聞いた構成員達は犀賀六巳に一礼して、研究所の中へと姿を晦ました。周囲を確認した後、犀賀六巳は犀賀流直伝の構えを取る。荘厳な趣きさえ感じる緊張した雰囲気の中で、1枚の木の葉が相対する2人の間で舞っていた。やがて、木の葉が地に触れた途端、火蓋が切って落ちる。
透かさず犀賀六巳は犀賀流奥義が1つ、多次元理論を駆使した空間干渉で瞬間移動を可能にした「犀賀多次元縮地」を行い、一気に距離を詰めた。続いて、同様の理論で任意の空間座標に真空を発生させる奥義「犀賀宙空凄舞」を行う事で勝負を決める……その筈だった。
犀賀六巳が奥義を発動する前に、漢は一瞬で財団神拳秘伝「天殺・認識災害の構え」を行い、犀賀六巳に特定の眼球運動を強制させる事で麻痺性の認識災害を起こしていたのだった。よって、漢の幻影を見ていたに過ぎない犀賀六巳は亜光速で繰り出される「真・共振パンチ」によって急所を突かれ、敗れたのだった。
敗北を受け入れた犀賀六巳は、漢に名と真の目的を問う。
「名は捨てた。そして、私の真の目的は各地の拳法を訪ね、財団神拳の真髄を得る事だ。でなくては現在の財団を救えない」
漢の真の目的は研究所破りでは無い。
現在、財団は真の財団神拳伝承者を名乗るカオス・インサージェンシーとの激しい戦いにより、数々の収容対象を奪われ、崩壊寸前であった。奪われた収容対象の回収と戦いに決着をつける為、漢は修行の旅に出たのだった。
「この研究所が最後だ。奪われた収容対象を奴等が各地にばら撒いているのは知っている。再収容させて貰おう」
こうして漢はまた1つ再収容を成し遂げた。
戦え財団神拳!全てを取り戻す為に!
申請書: 以上の創作を元にした商品展開を購買で行い、売り上げを研究費に充てたいのですが。—██研究員
Re: 却下します。現実に即した内容では無いからです。なので、██研究員は第██ホールに来て下さい。本物を見せてあげましょう。—O5評議会
ある所に、武甕槌神タケミカヅチノカミが御坐おわすと伝えある霊験れいげん灼あらたかな霊山があった。武神の裾元とあれば、加護に肖あやかり武を極める者の修練場となる事は当然であった。研鑽に時を費やし、修練を見守る山と武神に感謝の拳を振るうその者達は「犀賀」と名乗った。彼等は各地を巡礼した末に、この地で研究所を構えたのだった。
ある日、1人の漢がその門を叩いた。
「共振パンチッ!」
救済とまで言わしめた犀賀流を打ち砕かんとする一撃に、研究所内で組手を行なっていた犀賀六巳と構成員達は動きを止めた。共振パンチにより瓦礫となった研究所の門を犀賀達はただ静観していた。瓦礫の山の上で白い道着に身を包んだ漢が、仁王立ちしている事に構成員達は気付いた。1人の構成員が道着の漢に問う。
「貴様、何者だ!」
「ここの師範は誰だ? 私は研究所破りに来た!」
構成員達は犀賀流の構えを取る。しかし、犀賀六巳がそれを手で遮った。
「私が師範の犀賀六巳だ。受けて立とう」
その言葉を聞いた構成員達は犀賀六巳に一礼して、研究所の中へと姿を晦ました。周囲を確認した後、犀賀六巳は犀賀流直伝の構えを取る。荘厳な趣きさえ感じる緊張した雰囲気の中で、1枚の木の葉が相対する2人の間で舞っていた。やがて、木の葉が地に触れた途端、火蓋が切って落ちる。
透かさず犀賀六巳は犀賀流奥義が1つ、多次元理論を駆使した空間干渉で瞬間移動を可能にした「犀賀多次元縮地」を行い、一気に距離を詰めた。続いて、同様の理論で任意の空間座標に真空を発生させる奥義「犀賀宙空凄舞」を行う事で勝負を決める……その筈だった。
犀賀六巳が奥義を発動する前に、漢は一瞬で財団神拳秘伝「天殺・認識災害の構え」を行い、犀賀六巳に特定の眼球運動を強制させる事で麻痺性の認識災害を起こしていたのだった。よって、漢の幻影を見ていたに過ぎない犀賀六巳は亜光速で繰り出される「真・共振パンチ」によって急所を突かれた。
しかし、犀賀六巳は敗北を認めず、不敵に笑う。
「最初の私を倒した様に、他の私も倒せるかな…?」
その声を合図に倒れた犀賀六巳の傍らから空間を裂いて3人の新手が現れた。彼らは研究所で控えている構成員を呼び寄せると、側で倒れ伏している犀賀六巳を背負わせて研究所内に退かせた。漢は倒れた犀賀六巳が最後にこちらを試す様な言葉を放っていた事が気にかかっていた。恐らく同じ技は通用しないという事を漢は本能で理解した。
それぞれ体格も気迫も違う3人の内で、最も屈強そうな者から口を開いた。
「私は力の救済、犀賀六巳!」
「俺は技の救済、犀賀六巳!」
「某は思想の救済、犀賀六巳!」
「我ら犀賀3人衆!」
力の救済と名乗る新手は誰から相手になるか漢に問うた。
「纏めてかかって来ると良い」
覚悟と熱が籠る漢の返答を聞いて誠心誠意の拳で救済するべき強者と確信した犀賀3人衆は、犀賀流「救済闘法・龍の構え」で受けて立つ。犀賀流の構えを見た漢は、透かさず財団神拳奥義「神速・韋駄天の呼吸」を行い、特殊な構えで行う呼吸法によって空気の摩擦から独自の生態電流を体内で発生させた。これを脚部に作用させる事で筋繊維の超人的な肥大化と筋収縮を助け、高速移動を可能にしたのだった。
そして、漢は手に入れた韋駄天の如き速さで人数差を埋め、「共振遠当て」で牽制しつつ距離を取りながら隙を伺った。しかし、「救済闘法・龍の構え」が齎した強大な身体能力を発揮する犀賀六巳達に対して決定打を見出せず、力の救済が繰り出す力技と技の救済が使う巧みな体術によって翻弄され、漢は徐々に消耗していくのだった。
現状を打破する為に漢が搦め手を狙えば即時、思想の救済が筋肉の緊張や発汗から動きを見破り、精神を惑わせる「犀賀演舞・功羅伊魔くらいま」を行う事で漢の呼吸を乱した。恐るべきは犀賀流。無駄の無い武により、救済せんと拳を振るう。とうとう、漢は消耗の中で生じた自分の隙に気づきながらも防御が間に合わず、3度の正拳突きを受けてしまった。
このままでは負ける、と膝をついた漢は感じていた。動きを止めた漢の弱る闘志を見透かしたのか、犀賀3人衆は止めの一撃を放つ構えを取った。
「財団神拳伝承者よ…良き戦士であった。安心召されよ。我ら3人衆の拳が必ずや救済しよう」
止めの一撃が漢に振るわれんとしたその時、強く空気が震えた。膝をついた漢の拳が共振している事に3人衆は気付いた。そのまま、漢は正拳突きを始めながら立ち上がる。
右、左、右、左。
交互に行われる正拳突きは徐々に加速し、空気中の物質を共振させ、周囲の温度を少しづつ上昇させていく。やがて、陽炎が揺らめき始めた。この時、犀賀3人衆は陽炎の奥にぼんやりとした数人の見知らぬ姿を見た。その姿は徐々に濃くなり、漢の傍らで佇んでいる。
漢は膝をついて居た時、敗北を悟り、闘志を弱らせた訳では無かった。勝利する手掛かりを掴む為、今までの研鑽を反芻して居たのだ。そして、漢は財団神拳で最も最初に会得した共振パンチせいけんづきを選んだ。何故、共振パンチを選んだのかは漢自身にも分からない。ただ本能だった。だが、共振パンチを振るう事が漢に勝利を掴む手掛かりとなった事は間違い無い。
漢にとって共振パンチは最初に会得した技であり、格闘家としてのルーツになる。漢だけでは無い。財団神拳を継ぐ者は同じく共振パンチをルーツとして来た。
故に奇跡が起きた。
限界まで武術の頂きに近付いた漢が極限状態で振るう共振パンチが、空気を共振させ、次元を共振させ、量子を共振させ、パラドックスを覆して財団神拳の歴史に名を刻む歴代伝承者達を呼び出したのだった。
「敵ながら見事なり!」
「行くぞ、犀賀3人衆!私達、財団神拳が必ず打ち倒す!」
「来い、財団神拳!」
伝承者達は一斉に拳の振動を同調させると犀賀3人衆に向けて共振パンチを放った。
「相伝、真・共振パンチ!」
凄まじい衝撃波を生んだ一撃に犀賀3人衆は為す術が無い。地面を引き裂き、周囲の木々さえ吹き飛ばす。犀賀3人衆は地に伏して敗北を悟り、この勝負は財団神拳の勝ちとなった。
「ありがとう!先代の財団神拳伝承者達よ!」
「財団神拳を受け継いだ者よ。神髄を得るまで研鑽を続けるのだ」
その一言を残して、先代の財団神拳伝承者達は元の時代へと帰った。そして、勝負の結果を受け入れた犀賀六巳達は、漢に名と真の目的を問うた。
「名は捨てた。そして、私の真の目的は各地の拳法を訪ね、財団神拳の真髄を得る事だ。でなくては現在の財団を救えない」
漢には真の目的がある。
現在、財団は真の財団神拳伝承者を名乗るカオス・インサージェンシーとの激しい戦いにより、数々の収容対象を奪われ、崩壊寸前であった。奪われた収容対象の回収と戦いに決着をつける為、漢は修行の旅に出たのだった。
「この研究所が最後だ。奪われた収容対象を奴等は各地にばら撒いている。そして、その収容対象を君達は遺物と呼称し、この研究所内部の収容房に格納していた。再収容させて貰おう」
カオス・インサージェンシーは態わざと痕跡を残す様に奪った収容対象を各地にばら撒き、それによって痕跡を辿る財団関係者を各地の強者と対峙させ、財団神拳の真髄に目覚めさせる手引きをしている。つまり、奴らは真髄に辿り着いた財団神拳を真向まっこうから完膚無きまでに下し、徹底した決着を着ける算段なのだろうと漢は敵の意図に気付いていた。
こうして、また1つ再収容を成し遂げた漢は真髄に近付く事が出来た。
カオス・インサージェンシーとの決着は直ぐそこまで迫っている。
戦え財団神拳!打ち勝て財団神拳!全てを取り戻す為に!
申請書: 以上は私が趣味で執筆した原稿から抜粋した文書です。これを元にした映像作品の製作を申請します。好評であれば様々なグッズの商品展開を購買で行い、売り上げを研究費に充てたいのですが可能ですか?—██研究員
Re: 却下します。現実に即した内容では無いからです。—O5評議会
Re: テーマがお嫌いでしたか?—██研究員
Re: いいえ、趣味嗜好の範疇の話ではありません。現実に即していない内容は誤解を与える可能性があります。なので、██研究員は第██ホールに来て下さい。本物の財団神拳を見せて差し上げましょう。—O5評議会
これいる?
以下、溜め込み場
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81XXの保管室に収容されています。 19██/02/15に遠く隔てた場所の、高さ約200mのコンクリート壁によって囲まれているエリア‐██ に移送されました。現在は活性化範囲を設けているオブジェクトはSCP‐XXX‐JP‐1のみとなりますが、同様の異常性を持った〝SCP‐XXX‐JPシリーズ” はこちらに収容して下さい。 各種SCP-XXX-JPの接触はレベル4以上の職員5名以上に許可を取ってください。 使用は担当研究員の同伴でのみ許可されます。 なおSCP-XXX-JP‐1で実験する場合は性質上、行う人員と研究員の全てに採血検査を行って下さい。 その他、類似するオブジェクト “SCP‐XXX‐JPシリーズ” は活性化圏内を持つオブジェクトの場合のみ、同様の収容プロトコルを用いてください。そうでない場合はサイト‐81██の保管室に収容して下さい。SCP-XXX-JPで実験する場合は、貴重品を身に付けての接触はSCP-XXX-JPの “対価” として見なされた場合、消失しますので注意して下さい。 検査の結果から条件をクリア出来ないと判断した場合は、条件に適合する人員を補充して下さい。実験後、AAクラスの記憶処理を行う必要があります。収容違反が発生した場合、施設内の全職員は金属製の物品の着用と所持を直ちに禁止し、採血検査の終了後、担当研究員指導のもとでSCP-XXX-JPの回収を行って下さい。
説明: SCP-XXX-JPシリーズは食品や生活必需品各種、精密機械に至るまで、あらゆる外見をしています。最初の発見に至ったSCP‐XXX‐JP‐1は、20██年代に流行したアーケードゲーム台に酷似した外見をしています。SCP‐XXX‐JP‐1は活性状態の場合において、射出されたカードが被験者に特異な能力を与える等を除き、オブジェクト自体の異常な点は現在確認できていません。SCP-XXX-JP‐1は、██県███市█町内に存在するショッピングモール内のアミューズメントスポットから廃品として業者が回収する際、業者が活性化した状態のSCP-XXX-JPを不審に思い警察に通報した結果、財団が存在の補足に至りました。アミューズメントスポット関係者、回収業者にはAクラス記憶処理を施しました。
SCP-XXX-JPは大別して2種の活性化があります。SCP-XXX-JP‐1の場合、オブジェクトが独自に設けている条件に見合った人物が近くに存在することで活性化します。SCP‐XXX‐JP‐2の場合、袋に詰められているオブジェクトが人間の胃の中になければなりません。2種の違いは道具と食品の違いになります。理由は判明していませんが、2種の活性化には個々で細かい条件があります。SCP‐XXX‐JP‐1の場合、音声指示に従い、指示された物質または、指示条件と同等の金属をオブジェクトに使用しなければなりません。以上の操作を行うとSCP-XXX-JP‐1は、オブジェクトの下部に設けてある縦幅約1mm、横幅8cmの隙間からカードが出てきます。(以下からカードをSCP-XXX-JP-1‐Aとする。)SCP-XXX-JP-1を財団は19██/10/15に行われた別SCPオブジェクト、SCP-███-JPの実験が行われる前まで、SCP‐XXX‐JP‐1‐Aの無差別な配布と、その “対価” として軽度な身体的異常をもたらすだけのオブジェクトと考えられていました。しかし、別実験中に投入されていたD-965432が発揮した異常性は、SCP-XXX-JP‐1の影響と推測され、2度目の実験に使用されたD-865432にも接触から1ヶ月の間が空いたとはいえ、如実に異常性を発揮した事から、SCP‐XXX‐JP‐1及びSCP-XXX-JPシリーズは使用者に異常な能力を与えるオブジェクト群と判明します。(3度目の実験で確証に至りました。各実験については、報告書の最期に時系列順で添付します。)オブジェクト接触後、稀に “対価” として被験者は著しく体調が崩れます。回復にはごく当たり前の治療で済みます。対価は各オブジェクトで異なります。SCP‐XXX‐JP‐1の場合は通常100円硬貨で十分とされていますが、オブジェクトが求める “対価” は同じ金属であれど、徐々にグラム等が変更されてきています。被験者の与えられた特異な能力はAAクラスの記憶処理で無力化する事ができます。 なお記憶処理で消失した能力は再びオブジェクトと接触することで再発現します。これは4度目の実験で分かりました。
活性化時のSCP‐XXX‐JP‐1はSCP‐XXX‐JPシリーズの中で唯一の精密機械です。活性状態の挙動も他SCP‐XXX‐JPシリーズとは異なります。SCP‐XXX‐JP‐1の他と大きく異なる特徴は、活性時、オブジェクトの条件に当てはまる物質を所持または身に付けている生物に対し、10〜12歳前後の男性の声をスピーカーから発します。その音声は内容ともに間隔も全く同じで、延々と再生され続けますが、条件に当てはまる人物が1人も存在しない場合、即座に不活性状態になり停止します。100円玉や、100円玉貨幣と同じ配合量の金属製物質や場合によっては別の金属物質を要求する事もあり、また別の金属で代用できるなどの情報が、オブジェクトのコイン投入口付近に記述がある事です。
以上がこのSCP‐XXX‐JP‐1そのものの説明です。以下から〝食品系SCP‐XXX‐JP”の説明になります。食品系SCP‐XXX‐JPのうちSCP‐XXX‐JP‐2の場合は、後に添付するファイルNo.76で、SCP‐XXX‐JP‐1と類似する異常性のオブジェクトが存在する可能性が示唆されたため、各地のエージェントと連携して調査を行ったところ生活必需品や工業用製品のSCP‐XXX‐JPが発見される中で初めて捕捉された食品系オブジェクトです。SCP‐XXX‐JP‐2を含めた食品系のSCP‐XXX‐JPは個々のオブジェクトを最も摂取した人物にのみ異常性を与えます。 能力の再発現に用いる場合も同様です。食品ではない別のSCP‐XXX‐JPと接触することでも、再発現は可能であることが実験ファイル89██-7で明らかになっています。加えて食品系SCP‐XXX‐JPは、摂取するまでSCPオブジェクトと判明しません。なので “SCP‐XXX‐JPシリーズ” と接触し異常性を得た人物は、記憶処理の影響を打ち消さないためにも食料の管理を行うため、財団保護下に置かなければなりません。
付録01:実験ファイル89██-1の抜粋。
実験目的: 異常性の確認。
実験記録XXX-JP-1 - 日付19██/09/15
被験者:D-965432
実施方法:ごく普通のアーケードゲーム台として紹介し、100円玉をSCP-XXX-JP‐1に投入し、異常がなければそのまま“プレイ”する事を指示。
結果:被験者がオブジェクトを中心として約5m程の地点まで近づいた。オブジェクトが活性化し始める。被験者は100円玉を投入。音声メッセージと共にカード射出口よりSCP-XXX-JP-1‐Aが出現。SCP-XXX-JP-1‐Aを被験者が入手。 SCP-XXX-JP‐1は画面に『ようこそ』とメッセージを表示した。その約5分後、オブジェクトは非活性状態に入る。
分析:SCP-XXX-JP-1‐Aの入手後、画面のメッセージ表示後に直ぐ非活性状態に入った事から、SCP-XXX-JP‐1の“目的”が存在するならばSCP-XXX-JP-1‐Aの無差別な配布ではないだろうか? そしてメッセージの意図が不明だ。引き続き実験を行うものとする。
付録02:実験記録89██-2の抜粋。
実験目的: 前回と同様。
実験記録XXX-JP-2 - 日付19██/10/15
被験者:D-876433(前回、投入されたDクラスは別実験に使用された為に別の職員を使用)
実施方法:前回と同様にSCP-XXX-JP‐1をごく普通のアーケードゲーム台と説明。100円玉をオブジェクトに投入。異常がなければ “プレイ” を続行。
結果:被験者がオブジェクトを中心として半径約10m圏内まで近づく。オブジェクトは活性化し始める。(前回より範囲が大きくなっている。)この時、オブジェクトから前回と同様の音声メッセージがスピーカーから発生されていたが、更に被験者がオブジェクトに近づいた事でメッセージの内容が変わった。 このメッセージは前回と異なり、内容は『コインだけでは足りないので別のコストを支払ってもらう。 ただし金属を約2497mg以上含まれる物質とする。』 という物だった。被験者にはSCP-XXX-JP-1から何かしら要求があれば必ず従う事を指示。ボタン操作による否応の示しかたを説明され、被験者は我々の指示通りオブジェクトから示された提案に応じる。 被験者がボタン操作での意思表示終了後。SCP-XXX-JP-1‐Aが射出され、これを被験者に取得させる。メッセージ表示後から約5分、オブジェクトは非活性状態になる。その後も前回同様に画面に『ようこそ』と表示された。実験終了時、被験者は体調不良を申告した為、検査したところ被験者は金属製ビタミンの殆どが不足し一部、欠乏を起こしていた。 なお、実験終了後にコンセントが接続されていない事が判明した。
分析:体調不良を除けば、前回と同様の結果が得られた事で仮説通りである可能性が高いと判断。仮説をより確実とする為、実験を続ける。 体調不良に関しては、恐らく対価として100円玉硬貨ではコストとして不足しているとオブジェクトは判断したのか、D- 876433の体から不足した分の金属製ビタミンを回収したからではと思われる。
この実験中、同時刻で行われていた別実験が失敗しその実験に使用されたSCP-███-JPが収容違反を起こしていた。実験に投入されていた1度目のDクラス(D-965432)が、SCP-███-JPの暴走を特異な能力を発揮し鎮静化に成功。この事がきっかけでSCP-XXX-JPの実験の効果が示唆され、SCP-██-JPを鎮静化したD-965432のインタビューによりオブジェクトの異常性が判明する。なお1度目の被験者がオブジェクトから得た特異性は素手で鉄を折り曲げる等の“怪力”。機動隊員の発砲を受けても傷つかない肉体の“耐久性”でした。2度目の実験で投入されたD-876433に特異な“能力”は見られなかったが、恐らく“能力”が扱えるまでに1ヶ月間程の“ラグ”があるか、SCP-XXX-JP‐1によって適切な人材を“選別”しているものと思われる。その1ヶ月後、D-876433にも異常性が現れました。
オブジェクトから能力を得た、最初の実験の被験者でもあるD‐965432を拘束し、ミーム感染等の危険性を確かめる為インタビューを行いました。
対象: 別実験の鎮静化に成功した直後のD-965432
インタビュアー: 梶尾かじお博士
付記: 特異な能力の使用を警戒し、別室で拘束されたD-965432を映像とマイクを通してインタビュー
<録音開始, (19██/10/15)>
梶尾博士: 「D-965432、私の声が聞こえていますね。 これから貴方が身につけた異常性について詳しく聞きます。」
D-965432: 「ああ。」(力ない声で返事をするD-965432)
梶尾博士: 「単刀直入に言いますと、何がありました?」D-965432: 「あの時…SCP-███-JP…のクソッタレが俺に向かってきやがった。あんまり急な事だったから俺は気を失ったと思う……多分。」
梶尾博士: 「いいえ。気を失っていません。貴方はSCP-███-JPに襲われる前に自らの手で、その……鎮静化しました。その時の映像も残っています。」
D-965432: 「ああ…ああ…分かってる。気を失ったと思っていただけだ。あのクソッタレをただ殴り始めた時、自分の中で今まで感じた事のない感覚に戸惑ってただけだ。」
梶尾博士: 「感覚について出来れば具体的な情報を下さい。」
D-965432: 「でも…1つだけはっきりしていて、俺は……あのクソッタレに勝たなきゃいけないってのを思い出したんだ。」
梶尾博士: 「質問に答えて下さい。あと思い出した事についても教えて下さい。」
D-965432: 「あいつは今も笑ってやがったよ。」
梶尾博士: 「……はい?」
D-965432: 「俺にも家族がいた。何故だか少し力を入れただけで良く物を壊しちまったりしてガキの俺は迷惑を掛けてばっかだったが、ガキなりに親父やお袋、兄貴にも感謝していた。
壊しちまうほど力入れたつもりはなかったが、ひょっとすると、あんたらが研究してるやつのせいだったのかもな。
幸せだったんだろうな。よく覚えてねぇけど。
それを、あのクソッタレは笑ってぶち壊した。ああ、今でも笑えてくる。俺の事をあんな煙たがってた兄貴が初めて……初めて笑って、生きろなんて言った。……あのSCP-XXX-JP‐1だっけ?あのゲーム機に会うまで忘れてたけどな。だけど…」梶尾博士: 「…………」
D-965432:「やっと終わったんだ。」
梶尾博士: 「D-965432の精神状態では我々の欲する情報を得る事は出来ないと判断する。D-965432には十分な休息を与える事を強く進言します。」
<録音終了, (19██/10/15)>
終了報告書: 落ち着きを取り戻したD-965432は、この後インタビューに非常に協力的だった。 D-965432がSCP-XXX-JP-1‐Aを入手した事で得た能力は、肉体の耐久性を上げると言うより、物理的作用を自由にコントロールする能力であり、以前にもSCP-XXX-JP-1と似た体験を経て別の能力を使用していた経験もあると、被験者は発言この物理的作用コントロールは、実験で初めて身に付けた様です。確かにD-965432の身辺情報を調べると、少年期にSCP-███-JPと接触し、家族を抹殺されています。その後財団から記憶処理を施され、18歳まで保護を受けていました。 よって記憶処理の影響で以前から持っていたと言う能力を失ったと思われる。 以上の事からSCP-XXX-JPの異常性には、記憶処理が有効な可能性がある。インタビュー終了後、もとよりSCP-███-JPの鎮静化でD-965432は身体に大きなダメージが見られ、応急処置終了後、直ぐさま行われたインタビューでした。D-965432はインタビュー終了後、懸命な処置も及ばずに死亡しました。
付録03:実験記録89██-3の抜粋。
実験目的: インタビューをもとに、オブジェクトが被験者に特異な能力を与える異常性を持っているかの確認。またオブジェクトが被験者をある条件下で選別しているかどうかの真偽。記憶処理が有効かの確認。
実験記録XXX-JP-3 - 日付19██/11/15
被験者:Dクラス職員20人。
実施方法:ごく普通のアーケードゲーム台として紹介し、各Dクラス職員に100円玉を所持させSCP-XXX-JP‐1に投入し、オブジェクトから提示された要求は速やかに操作して応じる事とした。実験終了後、Dクラス達は別室に拘束。 今後の経過を見るものとする。
結果:20人のうち1人目の被験者がオブジェクトを中心として半径 約20m程の地点まで近づいた。オブジェクトが活性化し始める。(前回より倍の距離である。)各被験者は100円玉を投入。20人のうち20人のうち8人のみ音声メッセージと共にカード射出口よりSCP-XXX-JP-1‐Aが出現。8人は皆、SCP-XXX-JP-1‐Aを入手。 8人のどのケースにもSCP-XXX-JP‐1は画面に『ようこそ』とメッセージを表示した。反応のなかった12人は、何度も100円硬貨を投入したが「おつり」として排出口から出てくるだけだった。 その約5分後、オブジェクトは非活性状態に入る。 この実験で体調不良の起こすものは居なかった。実験終了後、反応のあった8人のうち二人がわずか2時間の間に空中を浮遊する等の異常性を発現しました。 異常性の発言したDクラスにAAクラスの記憶処理を行うと、特異な現象を起こせなくなりました。
分析:今回でオブジェクトはSCP‐XXX‐JP‐1‐Aを無差別に配布しているわけではない事が明らかになった。 やはり異常性を与える事が可能のようである。 これは記憶処理で消失する物のようだ。
付録04:実験ファイル89██-4の抜粋。
実験目的: 記憶処理で消失した能力は、被験者が再びオブジェクトとの接触に成功するとまた現れるのか。
実験記録XXX-JP-4 - 日付19██/12/15
被験者:記憶処理を施した後のDクラス職員3名。
実施方法:3名のDクラス職員は、順番に100円玉をSCP-XXX-JP‐1に投入。 異常があれば報告させる。
結果:被験者がオブジェクトを中心として約40m程の地点まで近づいた。オブジェクトが活性化し始める。被験者は100円玉を投入。 音声メッセージが鳴る。 しかし、SCP-XXX-JP-1‐Aは出現せず。 被験者3名のうち1人がコイン投入前に倒れる。 被験者の使用時、倒れた者も含めてSCP-XXX-JP‐1は画面に『ようこそ』とメッセージを表示している。 その約5分後、オブジェクトは非活性状態に入りました。 倒れなかった2名はその場で異常性を発揮、倒れた者もその後、当たり前の治療で回復し異常性を取り戻しました。
分析:SCP-XXX-JP-1‐Aはすでに受け取った者に対して射出されない。 代わりに失った異常性を取り戻すようだ。 “再発現” にはコインのようなトリガーが不要な者も存在する。
付録05:実験記録89██-5の抜粋。
実験目的: 貧血患者や金属性ビタミンの欠乏症患者がコストの不足を告げられた時、不足分コストを支払うとどうなるのか。
実験記録XXX-JP-5 - 日付19██/01/15
被験者:貧血や金属製ビタミンの欠乏症を起こしているDクラス20人。
実施方法:ごく普通のアーケードゲーム台として紹介し、各被験者は100円玉をSCP-XXX-JP‐1に投入し、オブジェクトからの指示は必ず応じる事とする。
結果:20人のうち1人目の被験者がオブジェクトを中心として半径 約80m程の地点まで近づいた。オブジェクトが活性化し始める。被験者は100円玉を投入。音声メッセージと共にカード射出口よりSCP-XXX-JP-1‐Aが出現。SCP-XXX-JP-1‐Aを被験者が入手。 SCP-XXX-JP‐1は画面に『ようこそ』とメッセージを表示した。その約5分後、オブジェクトは非活性状態に入る。2人目の被験者はコイン投入後、コストが不足していると告げられる。 ボタン操作で不足分コストを支払うことに応じる意志を示した。 『ようこそ』というメッセージ表示後、衣服のチャックやボタン、指輪などが消失しました。3人目以降は衣服にも所持品も金属を使った物を使用せずに行いました。 16人目でコストの不足を告げられ、16人目はボタン操作にて不足コストを支払う意思を示しました。 その後、[削除済]
分析:今後SCP-XXX-JP‐1の実験は採血検査を行った後、行うものとする。 また貴重品の所持をしたまま実験に臨む事は推奨しない。
付録06:実験ファイル89██-6の抜粋。
実験目的: 活性化圏内は使用しなければ拡大しないのでないかという仮説の立証。
実験記録XXX-JP-6 - 日付19██/01/16 ~ 19██/02/15
被験者:なし。
実施方法:放置。
結果:活性化圏内がオブジェクトを中心としておよそ半径160mになったことが確認される。 梶尾博士の経過観察により判明。
分析:SCP-XXX-JPは、使用の有無に関わらず、約1ヶ月単位で活性化圏内の距離を拡大できる。 よってサイト-81██からエリア‐██ に移送する事を提案する。 オブジェクトクラスもSafeからEuclidへの変更を申請する。
19██/02/16追記 提案は許可され、オブジェクトはエリア‐██に移送されます。 クラスの変更申請も許可します。 ‐ O5評議会
付録07:実験ファイル89██-7の抜粋。
実験目的: 添付ファイルNo76の内容から、調査に至る事で新たに収容したSCP‐XXX‐JP‐2の異常性を確認する。 (新たに発見されたSCP‐XXX‐JP‐2は一般的な食品のマシュマロと見分けがつかない外見をしています。)
実験記録XXX-JP-7 - 日付19██/03/15
被験者:D-576342と以前に実験で投入され記憶処理が施されたD-665432。
実施方法:一度、異常性を得てその後に記憶処理を施されたD-665432を近づけさせる事で活性化圏内を調べるとともに、別のSCP‐XXX‐JPシリーズを用いても消去した能力を取り戻せるか検証する。D‐576432にはSCP‐XXX‐JP‐2を一般的なマシュマロとして与える。 袋に詰められたオブジェクトを一粒ずつ摂取させながら異常があれば報告させる。異常性が出た後、数時間してから正常に消化できているか確認するため腹部のレントゲンを撮影する。 消化できた場合。 速やかにAAクラスの記憶処理を施し、余ったSCP‐XXX‐JP‐2を摂取させて能力の再発現と別の能力も得るか確かめる。以上を行った後、再びAAクラス記憶処理を施しSCP‐XXX‐JP‐1の活性化範囲に侵入させても異常性の再発現が可能か検証する。
結果:D-665432はいくら接近しても異常性を再発現しませんでした。 そこで一粒だけ摂取させましたが、それでも異常性の再発現は起こりませんでした。 加えて新たな能力を身に着けることもありませんでした。D-576342の実験手順では、残りのオブジェクトを完食するまで異常性が発現しませんでした。 発現した時間は完食直後でした。 完食後、AA記憶処理を行い異常性が消失した事を確認、レントゲン結果からSCP‐XXX‐JP‐2は正常に消化されていました。 AAクラス記憶処理を行い余ったSCP‐XXX‐JP‐2を摂取させる手順は完食した事で不可能となりましたが、代わりにSCP‐XXX‐JP‐1との接触手順を速やかに行いました。 記憶処理を施したD-576342は活性化圏内に侵入しただけで全ての異常性を再発現しました。 今回は被験者から対価として回収された対象は恐らく免疫力であると検査結果から把握できます。
分析:SCP-XXX-JP‐1に類似するオブジェクトシリーズは、固体や液体、食品や道具など、個々の形態によって若干性質が異なるようだ。 今回はSCP‐XXX‐JP‐1のように活性化に範囲を設けているわけではないようだ。 問題はSCP‐XXX‐JP-2が完食するまで異常性が発現されなかった点だ。 これによって摂取してからでないと食品系SCP‐XXX‐JPを判別できない事が分かる。 よって全ての食品系SCP‐XXX‐JPの封じ込めは難しい。 エージェントによる捜査方法も周辺住民の聞き取りでしか新たな出現情報を得ることが出来ないのも大きな問題になってくる。
付録08:実験ファイル89██-8の抜粋。
実験目的: 更に発見されたSCP‐XXX‐JP‐3の異常性確認。 (SCP‐XXX‐JP‐3は一般的な南瓜と見分けがつきません。)
実験記録XXX-JP-8 - 日付19██/04/15
被験者:D-245679、D-376521
実施方法:SCP‐XXX‐JP‐3を調理します。 オブジェクトを小さく切って飴色になるまで炒めたタマネギと一緒に、約2cmの深さになるまで水を加えた鍋で火にかけます。 オブジェクトが柔らかくなったところで好みで加えていた月桂樹の葉などは取り出しましょう。 この後ミキサーに移すことで手早く出来ますが、調理担当になった梶尾博士の好みでマッシャーを用いました。 少しずつ量を調節しながら牛乳を加え、混ぜてひとつまみほどパセリを中心にまぶして完成になります。 こうして調理したオブジェクトを被験者に一般的なかぼちゃスープとして振る舞います。 一口ずつ感想を述べながら観察します。 異常性を発揮した後に記憶処理を施して別のSCP‐XXX‐JPシリーズに接触させ、能力を取り戻すか検証します。
結果:オブジェクトは完食するまで能力を被験者に与えませんでした。 そこで急遽、被験者の胃に残っているスープを吐き出させ、別のDクラス職員の胃に注入しました。 すると吐き出したD-245679は異常性を発揮できなくなり、D-245679が発現した能力は注入されたD-376521に現れました。 D‐376521は記憶処理を施され、別のSCP‐XXX‐JPシリーズと接触、活性化範囲に侵入しただけで能力を再発現しました。 今回、対価として被験者から回収されたのは水分でした。 被験者二人とも対価として回収されています。 回収されたのは体中の水分ではなく、スープとともに摂取していた水や被験者の尿だけです。 検査から推測できます。
分析:この実験で食品系SCP‐XXX‐JPは完食というよりも、そのオブジェクトを最も多く摂取するに至った人物に能力を与えるようである。 なので一つが複数に分かれている食品系SCP‐XXX‐JPは、最も多く摂取した人物にしかオブジェクトの持つ再発現させる性質や、能力を与える性質は起こせない。
補遺001:SCP-XXX-JP‐1が商業施設内で一般人に曝露した可能性が高く、被害は大きいです。一般人が曝露した可能性については、『今までこんな物があった記録が無い。』というアミューズメントスポット関係者の供述により調査に至った結果、確かにアミューズメントスポットでSCP-XXX-JP‐1が稼働していた情報がないため、可能性は薄いと判断出来ますが念のため周辺の地域住民の記憶処理等のケアを財団傘下の医療機関に協力し、大規模な記憶処理を行いました。今後、疑いのある者の出現についても引き続き調査を進めています。
補遺002:SCP-XXX-JPシリーズを用いた特殊部隊の編成をO5評議会に提案。19██/12/15のSCP-XXX-JP‐1内から取得出来た文書から示唆される可能性を考慮して、オブジェクトを用いた特異能力者による部隊編成案は危険と判断。これを却下しました。19██/12/15のSCP-XXX-JP‐1内部から入手した文書は後に添付するファイルNo.076を参照して下さい。
補遺003:ファイルNo.076からSCP‐XXX‐JP‐1と同じ異常性の持ったオブジェクトが存在する可能性が高いです。その場合、必ずしもSCP‐XXX‐JP‐1同様の精密機械である事は保証できません。 食品やその他製品である可能性もあります。この件は引き続き調査を続けています。
補遺004:梶尾博士は19██/2/15の6度目の実験終了となる経過観察の後、体調を崩して倒れました。 3日の休暇を経て財団復帰後、彼の下で働く研究員によると人格が以前より一層、穏やかになっと報告があります。ミーム感染の疑いがある為、厳密な検査をしましたが異常性は見られませんでした。その後、梶尾博士はSCP‐XXX‐JPシリーズを12件収容するに至っています。
補遺005:8度目の実験で用いられたSCP‐XXX‐JP‐3は██県███市█町内に存在する八百屋が所有する畑から採れた物です。 購入していたエージェントが半分ほど調理に用いて摂取したことにより判明しました。 実験で用いられたのはその残った半分になります。 エージェントは異常性を消去する為にAAクラスの記憶処理を施して食料の接種を財団が厳密に管理している状態です。
補遺006:SCP‐XXX‐JPシリーズを生み出した存在がいるという可能性があります。これはSCP‐XXX‐JP‐1の内部を調査する際に発見されたファイルNo.76の本文で可能性が示唆された為ですが、財団はそのような存在を捕捉するに至っていません。
添付ファイル No.076
19██/12/15 アーケードゲームの構造上、オブジェクト内部が存在すると思われたので調査を行いました。
SCP‐XXX‐JP‐1‐Aを生成する仕組みや機関らしき部分は発見できませんでした。内部基盤なども分析しましたが、19██年代に流行したアーケードゲームと同様のプログラムでした。 ですが、内部の空間にA4用紙を四つ折りにして張り付けられていた “ファイルNo.76” を発見。 オブジェクトの関連性が見受けられる内容の為、ここに添付します。以下がその本文になります。
親愛なる私たちへ。
この手紙をしたためるまでに二日も時間を掛けてしまった。何から記そうか、書きたい事が山ほどある。
しかし、どうやっても時間が残されていない様だ。ならば君たちが抱いた疑問の中で恐らく一番の疑問と、その意味と、彼らに気づいていないなら今すぐ手を引いてほしいという意志だけを伝えたい。
今はどんな形でもいいから誰かに伝えたい。
そうだ、これが読める願わくば私と同じ種族であることを願って。私は学者だ。しかしながら見る影もなくなってしまった研究室跡地で、誰かに希望の紡ぎ方を記すしかやれる事が無いのは不甲斐ないとしか言えない。
これを読んでいる誰かは優しく、そして愛おしい時間の中で世界をどういう風に歩いているのだろう。
これを読んでいる誰か、世界は争っているか?
随分と抽象的で漠然とした表現なのかは分かっている。 どんな形でもいい。 武器を持った兵隊が存在するか? そもそも武器が流通しているのか? 多くの人が苦しんではいないか? 実際に会って聞きたいことも山積みにあるが、まずは言わなくてはならないだろう。すまなかった。
人々が争い、血を流し、飛び散る火種の全てが、私達のせいだ。
間接的にも全ての責任は私達にある。
止めるつもりだった彼らは、はるか昔から存在していた存在だ。 姿の見えない彼らは厄災としか形容できない。
そんな彼らは、手を変え品を変え、私たちに容赦がなかった。
そもそも記録に残っているのがほんの一部だったから、今までもそうであっただろうと予測しかできない。
しかし今回は我々の番になったのだ。
今度こそは次の番になる君たちの為にどういった滅び方をするのか、今の私達を余さず伝えよう。
まず、彼らの目的は求めている趣旨に合った世界と、その世界に見合う人間に潜在意識を改竄してから放り込んで、その趣旨の世界が至った結果とそれまでの過程を記録する。 そしてそれを教訓にする事だ。彼らは人類を、「彼らの為にある大規模なシミュレーター」としてしか見ていない。
手順は先述したのとほぼ同じく、彼らの見たい世界になるよう私たちの潜在意識を改竄し、おまけとしてその意識の促進を結果的に促す要素となる能力を与える。
能力の与え方は、食べ物や道具、有機物や無機物に関係なく人類の周りに存在する様々な物体を真似る事で、警戒心をほとんど与えることなく能力を植え付ける。
なので自分の才能や経験から身に着けた技能と思っていた物も、知らず知らずのうちに彼らから与えられていたものかもしれないのだ。
そうして世界のあり方に即した潜在意識と、その意識に見合った能力を与えた後は、やりたいようにやらせるだけで彼らは観察するだけ。 とれたデータは彼らの為に有効活用される。
荒唐無稽だが、今の世界はそうして出来た。我々の意識に何かを刷り込ませる事など何度行ったのだろう。 考えるだけで虫唾が走る。
我々が抱く思想も、より発展しようと意気込むことも、努力しようと考えたことも、何かを楽しいと思えた時間も、悲しみのあまりひどく涙を流した日も、そして誰かを愛しいと思った時間も。
全て彼らの手引きがあってこそ行われていた。貴方もそうですよね。
そして事実にたどりつくことが出来た私もまた、意識の改竄があった後の私なのだろう。
同じ体を共有していた以前の私はどんな人間だったろうか分からない。そもそも私が彼らについて詳しく知ることになった経緯を記さなければいけなかったな。
ひとまず誰でもない今の私にとって、彼らとの関連性を持った最初の接触について記しておこう。あれは小学生の時だ。彼らの作り出したものへの最初の接触は、駄菓子屋で買ったフーセンガムだった。
彼らにとって格好の被験者は年齢の低い人間だ。
理由は総合的に子供の方が伸びしろがあると彼らが判断したのと、与えたものの保持が年齢的に大人より勝るからだろう。
なので私の場合、子供の好む食品が最初となった。因みに周りにいた友人も同じ箱のガムを買っていたが、特に異常もなく味を楽しんでいたのだから、私がつかんだ最初の一粒だけに異常性があったのだろう。
ともあれその日から、私にとって勉学が楽な物になったのだ。 代わりに体が弱くなったが。
食品や道具によって支払う対価は、形も違えば質も違う。 恐らく対価として払ったものが、身体の健康だったのかもしれない。
やがて教科書に書いてある事では物足りなくなった私に、ある時スーツに身を包んだ人物が私に接触してきた。
丁度、高校生に上がったばかりの私は対人関係やコミュニケーションを思春期とでも言うのか、取り立てて斜に構えていた節があったが、当時に至っては顔を見るなり挨拶のひとつやふたつ交わすことなく一目散に逃げ出した。白昼夢でも見ていたかと思ったが、体のあちこちに擦り傷や痣があったために夢でないことが分かった。
その日から頭の回りが悪くなったと思う。 だが努力で補った。 いずれ私は科学者になり、気づくと超常現象を取り扱っている。 こんなことをしているのは私の研究所だけだ。 願わくば、次の世界にそういったことを取り扱う大規模な団体が存在していることを祈っている。
さて、そんな私の研究所にある物体が運ばれて来た。 その物体で彼らとの関節的な接触は二度目になった。任された物体との接触で私はまた、記憶処理で失っていた一度目の能力を取り戻した。
これは恐らく、彼らの物体は能力を与える際に、脳に作用するものだからだろう。
そして作用することで掛けられた負荷で、記憶処理の影響を消してしまったのだろう。
こうして私は、一度目の能力を取り戻すだけでなく、二度目に得た能力も合わさり、私は通常の人間には知覚できないだろう感覚を味わった。
以下に記す体験は、二度目で得た能力の影響だ。
突如、目の前に広がる空間と膨大な情報、私は押し寄せる知識に飲まれそうになるが取り戻した一度目の能力で我を忘れずにすべてを理解することが出来た。
流れてきた情報は私たちの歴史だ。
ほんの一部だったが丁度、彼らと人類の歴史だった。
こうして、彼らは今の私達に何をさせたいのか、何をしていたのかを理解したのだった。そして今、滅びゆく私達の世界は『発展に発展を重ねる』という趣旨だそうだ。
そのために一度目の経験で私に知恵をくれる真似をしたのだ。
ここで疑問が起きる。 二度目に得た能力で彼らの存在と思惑に気づいたが、なぜ不安分子を生み出すような能力を二度目に与えてきたのか?
なので私は一つの仮説を唱えるに至った。 彼らは世界の趣旨に見合う能力を与えているが、能力の内容を彼ら自身が一つずつデザインして与えているのではないという仮説だ。
残念ながらこの仮説を立証する事は難しい。
だがこの調子だと、私のほかに気づいた人間もきっといるだろう、そしてこれをきっかけに我々は総力を尽くして彼らに一矢報いる事が可能ではないかと。そのつもりでいた。
もう手遅れだった。 私たちの意識、人格、記憶のリセットは始まっている。
今までに私達の存在がいたというあらゆる証拠を破壊し、同じ顔の、同じ体をした、別の意識に変わった私たちになって、何事もなく、次の趣旨に見合った世界になる。私たちはいつから私達だったのか。
何にせよ改変を阻止し、この世界と今の私達を保持するには、やはり時間が足りない。
それでも諦めるわけにはいかず、やれるだけの事をやった。 けど、だめだ。 彼らには会う事も叶わなかった。
この世界は終わる。 しかし、これを読んでいる誰かはまだ対抗できる。彼らの思惑と思わしき存在を広めるな。
疑え、探せ、封じろ。 ありとあらゆる手段を尽くせ。 この先の歴史を読むと次の趣旨は「破壊が絶えることない世界」だ。
そのまた次の趣旨までは見透す事が出来ない。 いつか彼らの趣旨に見合う存在が人類である必要がなくなり、我々のいた世界はなくなるかもしれない。
だから、思惑に乗るな。 彼らの気配に決まった形は無い。 常に近くにいる。私たちの世界はもう、地球に留まらず、他の星にある資源にも手を付けた。
だが、そろそろ底がつく。 今まで武器を持つことのなかった我々は、とうとう資源を巡って争い始める者が中から出てきた。 起こってしまえば今までこうした武力を持ち、他を圧する存在が生まれなかったのは不思議なものだ。
これも恐らくは、大方の結果が見れたという彼らの判断からこうした争いの為の意識改変が起こったのだろう。
武力なき平和な世界も彼らの制御ありきの物と思うと、怒りを通り越して理解に苦しむ。
ラジオによると今、私の故郷にミサイルが飛んだ。
昔のように数式を書いていたあのころと違って、タイムリミットを気にしながらの生活は苦痛そのものだ。
次の私は研究をする人間なのだろうか。
一先ずこの手紙は、あらゆる情報媒体に伝播させる。 手紙の原本も彼らのサンプルのうち一つに隠す。
腐らない形のあるサンプルはどうやら使いまわされているみたいだからな。
私達の世界は歴史から失われてしまうが、これを読んでいる私たちとは地続きの世界に変わりはない。
無関係な異世界などではない。
これを読む貴方はひょっとすると名前や考えることは異なるが、私と同じ顔をしているかもしれない。さて私が考え付く方法のすべてを使った。
後は私たちにお願いします。全てを忘れ、別人になった私達を、私たちの事を頼みます。
Dr.k
(株)財団職品
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの異常性から、全財団職員の身辺情報整理を1ヶ月単位で行ってください。異常が見られる職員は直ちに拘束し、その存在を報告してください。あらゆる方法を用いてSCP-XXX-JPから特定の地理情報を入手し、速やかに機動隊を派遣して下さい。なおSCP-XXX-JPと関連性のある施設の制圧は、作戦にターゲット殲滅を第一に指揮して下さい。殲滅した施設跡はカバーストーリーを与え、周辺住民の接近を削減します。
説明: SCP-XXX-JPは、自ら生産したオブジェクトのみで構成されている存在が不明瞭な団体です。SCP-XXX-JPは彼らの言う‶製品”を、一般会社から軍事組織までの各種組織に対してメリットになる提供を目的としています。これには特有の開発理念やある種スローガンの様な物を基本として活動と開発を繰り返します。SCP-XXX-JPは、主に対象の組織に対して非常に適性のある人材を生産します。生産された人材(SCP-XXX-JP-1と表記)は、その組織で非常に高いポテンシャルを発揮します。有用性のある活動からSCP-XXX-JP-1は、徐々に周囲から高評価と信頼性を得ます。
SCP-XXX-JP-1は一般的な人間と判別が困難な外見をしています。また会話でも判別できず、組織に対して有用性が大いにある振る舞いをするため、不信感を抱くこと自体が難しい存在です。SCP-XXX-JP-1は得た信頼性と高評価を利用し、人員雇用の権限の取得を望みます。権限を取得したSCP-XXX-JP-1は、自身と同様のSCP-XXX-JP-1のグループを必ず雇用して、組織内に侵入させます。SCP-XXX-JP-1グループは皆、組織に対して有用な行動しか起こしません。
SCP-XXX-JPは組織内で有能な人物の接触も目的としています。この行動によってSCP-XXX-JP-1の最大目標が可能となります。まず、SCP-XXX-JP-1は接触対象の交流を中心に活動します。親密な関係や対象の親族に及ぶ程の個人的な信頼性を築き、最終的に親族の一部を拉致しSCP-XXX-JPの保有する施設内で‶加工”します。加工した機構を用いてより優秀な人材を生産します。生産したオブジェクトを対象組織に雇用させ、結果的に雇用した組織の業績が向上します。このようにして得たサンプルでSCP-XXX-JPの製法ポテンシャル向上が最大目標です。
自然に防ぐ事が困難となるよう、SCP-XXX-JP-1の初期固体の雇用には現実改変に似た現象を用います。我々は財団内に侵入しているSCP-XXX-JP-1を現実改変に伴う、わずかな事実の差異を発見する事で存在の認知に至りました。SCP-XXX-JP-1は特有のDNA塩基配列を保有している為、遺伝情報の検査で明確に判別できます。
付録01:財団が存在の捕捉を可能にしたSCP-XXX-JP-1を最初にインタビューした記録。
対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: 梶尾かじお博士
付記: 別室から映像とマイクを通して拘束された対象をインタビューしています。
<録音開始, 19██/2/15>梶尾博士: 「貴方に質問したい事がいくつかあります。間違いであれば貴方は普通のエージェントという事で私からお詫びしなければなりません。」
SCP-XXX-JP-1: 「いえいえ、私はあなた方に雇われている身です。協力しなければなりません。」
梶尾博士: 「有難うございます。ではまず生年月日と出身、この財団に入った日付を確認します。」SCP-XXX-JP-1: 「はい。19██年6月8日が誕生日、出身は日本の██県█町。職がエージェントに決まった日は19██年6月8日のちょうど私が誕生日の時でした。」
梶尾博士: 「・・・分かりました。貴方を別オブジェクトの異常性に暴露した他組織のスパイの可能性などを鑑み、趣旨を尋問に移行します。」
SCP-XXX-JP-1: 「え、なぜですか?いきなり私が、そんな馬鹿な。」
<録音終了>
終了報告書: SCP-XXX-JP-1は19██年6月8日が誕生日、出身は日本の██県█町。職がエージェントに決まった日付けは19██年6月8日と供述しました。19██年6月8日以前に█町は██市へと合併されています。よって対象が生まれた時点で既に存在しません。加えて以前から対象のみならず、対象の推薦に従って採用したエージェント██や研究員██ にも経歴に不自然な点を発見。
このインタビューは、対象と共に働く職員が彼の過去を尋ねた時に毎度異なる回答をするため、何かに暴露しているのではと感じ財団に報告、財団は念のため調査しました。調査の中でも対象のDNAサンプルを採取し、鑑定した結果、著しく人と異なった事で財団は不審と判断し、そのうえで開始しています。
付録02:付録01のSCP-XXX-JP-1とは別個体の接触記録。この記録はエージェント██が、自身の息子の誕生日にそのSCP-XXX-JP-1を招いた時の映像記録になる。
<撮影開始, 19██/07/19>
SCP-XXX-JP-1: 「この度はお招きいただいて、誠にありがとうございます。」
エージェント██: 「そんなに固くなるなよ。それでも礼を言う気なら、招くよう頼んで来た息子に言ってくれ。」
SCP-XXX-JP-1: 「ああ、そうするよ。」(暫く、エージェント██の家族とSCP‐XXX‐JP‐1が楽し気に過ごす映像が30分近く記録されています。)
SCP-XXX-JP-1: 「・・・・・・・・・」
エージェント██: 「どうしたんだ?もう疲れてしまったのか?」
SCP-XXX-JP-1: 「君の家族は素晴らしいね、奥さんも君のお子さんも優秀だ。大人になればお子さんもきっと良いエージェントになる。」エージェント██: 「やめてくれよ、家族は巻き込みたくない。俺は普通の銀行員で、お前もそうだろう?」
SCP-XXX-JP-1: 「ブラックジョークは嫌いかい?」
エージェント██: 「おいおい、勘弁してくれよ。」
<映像終了>
報告書: エージェント██の妻はその後消息を絶ち、行方不明。消息を絶った日に周辺住民から夜遅くに大きな鞄を肩に担いだSCP-XXX-JP-1の目撃情報を得ている。
付録03:付録02のインタビューによりSCP-XXX-JP-1を財団は拘束し、インタビューを行いました。
対象: 疑いのあるSCP-XXX-JP-1
インタビュアー: 梶尾博士
付記: 拘束したSCP-XXX-JP-1を別室からカメラとマイクを通してインタビュー。
<録音開始, 19██/07/30>
梶尾博士: 「単刀直入に言ってエージェント██の妻である████さんを拉致したのは貴方ですね?」
SCP-XXX-JP-1: 「はいそうです。我々財団職品は、より優秀な製品を自然由来の素材にこだわって作る事を理念としていますので」
梶尾博士: 「財団・・・えっと、今なんと?」
SCP-XXX-JP-1: 「財団職品です。ショクは食品のショクではなく、職員のショクです。ヒンはそのまま品と書きます。」
梶尾博士: 「えっと、それは・・・なんですか?」
SCP-XXX-JP-1: 「提供先の財団には回答義務があります。お答えすると財団職品とは、我々が制作する人材を用いて頂いて、提供先の業績アップを目的とした株式会社にございます。なお社名は提供先と親和性が溢れるように名付けられています。」梶尾博士: 「えっと・・・・・・なんですか?」
SCP-XXX-JP-1: 「提供先の財団には私を含めた我々の人材製品をお使い頂いております。これにより職員の生存確率と今年のオブジェクト収容実績数はぐんと跳ね上がりました!おめでとうございます!」梶尾博士: 「・・・・・・・では改めて、エージェント██の妻である████さんを拉致したのは何故ですか?」
SCP-XXX-JP-1: 「はい。我々、財団職品はより優秀な製品を自然由来の素材にこだわって作る事を理念としています。ですから優秀であるエージェント██様の妻に当たる████様、お二人のご子息様を一目見て████様もまた非常に優秀なDNAを所有していると察しました。案の定、サンプルの鑑定結果で我々、二つの組織に大変有用である事が分かり、回収させて頂きました。エージェント██様の遺伝子も非常に優秀ですので今頃、回収が済んでいるものと思われますが。」
梶尾博士: 「拉致してどうする。」
SCP-XXX-JP-1: 「財団職品工場で人材生産に用いられる機構に加工します。」梶尾博士: 「工場の場所は?」
SCP-XXX-JP-1: 「それは企業秘密です。」梶尾博士: 「では、君たちが他組織のスパイである可能性もあるため、製品ともに不信感を払拭したいから工場見学がしたいと言っても場所を教えてくれないのか?」
SCP-XXX-JP-1: 「・・・そうですか分かりました。では場所を・・・」
<録音終了>
終了報告書: 我々が対象に重要性の高い場所を質問し、これに回答する事は同時に他組織のスパイの可能性を否定する。理由として、他の組織に潜入するスパイなら自ら重要性の高い情報を開示し、不利になる行動を取る事はスパイとして存在の意味を成しません。以上より他組織のスパイの可能性からなる隔離処置から認識を改め、正式な収容対象としてSCPオブジェクトに指定する。対象から聞き出した場所と地理情報を下に、速やかに作戦を立て機動部隊を派遣する事を進言します。
付録04:制圧作戦に自ら参加を進言した梶尾博士の工場内部を映した映像記録です。工場内部にいたSCP‐XXX‐JP‐1を区別するためにSCP-XXX-JP-1-Aとする。
付記: 梶尾博士には発信機の着用と、突撃の合図をノックすることで発信するシャープペンシル型の通信機器をカメラと共に所持させています。
<撮影開始, 19██/08/01>
梶尾博士: 「工場の見学なんて小学生の遠足以来だぞ・・・」
SCP-XXX-JP-1-A: 「お待ちしておりました、梶尾博士。」
梶尾博士: 「ああ、見学に来た梶尾です。」SCP-XXX-JP-1-A: 「提供先には情報を開示しなくてはならないと、上司も仰っていたので今回だけですがどうぞこちらへ」
梶尾博士: 「・・・・・・」
(通路を進み、ガラス越しに上から見下ろす形で製造工程を見せられる。)
SCP-XXX-JP-1-A: 「こちらは採取したサンプルを加工する工程になります。」
梶尾博士: 「・・・おい、加工する人間は死んでいるのか?」SCP-XXX-JP-1-A: 「いいえ、死亡していては意味がありません。生きたまま加工します。」
梶尾博士: 「それで・・・」
SCP-XXX-JP-1-A: 「それで、まず女性の人体を頭部と手足を切断し、速やかにわが社独自の手法を用いて一瞬で完全止血します。そのあと水槽に満たされたわが社独自の加工用液の中へ入れます。すると人材製造機として有効になります。次に男性から採取した相性の良い遺伝子サンプルを、わが社独自の技術で胎内に送り込み、発生した胎児を取り出してDNA単位で提供元に合うようデザインします。こうして自然由来の素材を、わが社独自の技術であなた方に完全で優秀な人材を派遣できるのです。あと私もここで生まれました。」
(その後、約1時間にわたり製造やDNAの組み換えを未知の手法で行う映像が記録される。)
梶尾博士: 「最後に君たち自体の目的を教えてくれ。」
SCP-XXX-JP-1-A: 「ああ、はい。私たち財団職品株式会社は皆様に商品を提供し、自然由来で優秀なサンプルを採取し続ける事で、会社が生み出す製品の質を向上し続ける事が最大の目的になります。対象の組織は業績のアップも出来るので損失はありません。我が社は職場環境も良く、非常にクリーンで・・・どうなさいましたか博士?」梶尾博士: 「・・・」(シャープペンシルをノックする。)
SCP-XXX-JP-1-A: 「その手のシャープペンシル・・・いいえ、それはなんですか?」
梶尾博士: 「さあ、分かりません。」
<映像終了>終了報告書: 梶尾博士の信号を受信後、速やかに周囲を包囲し、先行を務める部隊が入り口を爆破して侵入しました。内部の制圧には約1時間を要して完了。内部の生存者を保護。SCP-XXX-JP-1-Aらは機動隊侵入と同時に心肺が停止して死亡した事が検死で明らかになっている。
最後まで癪に障った。 ‐梶尾博士
補遺001: エージェント██の身は安全でした。加えて彼の妻に当たる████さんも施設内で生存を確認。保護してAクラス記憶処理を行いました。
補遺002: 財団内に残存しているSCP-XXX-JP-1を全員拘束し、うち一人から更なる情報を引き出すためにインタビューを行いました。対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: 梶尾博士
付記: 拘束したSCP-XXX-JP-1を別室からカメラとマイクを通してインタビュー。
<録音開始, 19██/08/02>
梶尾博士: 「これよりSCP-XXX-JP-1のインタビューを行う。」
SCP-XXX-JP-1: 「・・・・・・」
梶尾博士: 「我々に協力するのだろう?」
SCP-XXX-JP-1: 「何故ですか。我々は完全で優良な職品であるのに・・・」
梶尾博士: 「ではあなた方の言う優良とは何ですか?」
SCP-XXX-JP-1: 「会社の為、人の為、より良く行動し遂行する人間です。これは会社に係らず全てに言えるでしょう。」
梶尾博士: 「そうですか、では貴方たちの事ではない。」
SCP-XXX-JP-1: 「いいえ、そんな訳はありません。我々の製造方法に嫌悪を催す組織は、財団職品という社名へ変更を行う以前にも存在した記録がありますが、これは結果的に他人の為になる事です。それを非人道的と非難するのなら、貴方たち財団もDクラスを用いて実験を行っているではありませんか。」
梶尾博士: 「では他人の為になるなら人間をあのように扱っていいというのですね。」
SCP-XXX-JP-1: 「我々はより優秀な製品を自然由来の素材にこだわって作る事を理念としています。その妨げになるのがどれ程までに無駄か理解していないのですか!?」
梶尾博士: 「ほら、貴方たちは把握していない。我々が冷淡ではあるが残酷ではないという事。それ以前に人間がどういう生き物かを。提供元も禄に理解しないで製品を作る会社なんですよ貴方たちは。それは完全で優良と言えますか?」
SCP-XXX-JP-1: 「・・・・・・」梶尾博士: 「少なくとも私の実験で大いに貢献したDクラスは、整形して記憶処理を施した後に開放しています。勿論、解放せずに射殺される者もいますが、私の権限が及ぶ範囲内で貢献者のアフターサービスがありますよ。」
SCP-XXX-JP-1: 「・・・・・・・・・リコール申請を受け取りました!」 (叫ぶSCP-XXX-JP-1)
梶尾博士: 「これは、SCP-XXX-JP-1に早く鎮静剤を・・・!」
SCP-XXX-JP-1: 「製品に明確な欠点を指摘して頂き有難うございます!この度は我が社の製品でご迷惑をおかけして大変申し訳ございません!これは音声メッセージになりますので返信出来かねます。不備が見られたた為、こちらに提供して頂いている製品全てを我が社が自主処分します!ご安心ください!最後にアンケートを実施しています!なお、我が社の都合で改善点や感想、使用感のみ内容を送信しますので誠に勝手ではありますがご了承ください!何かあればどうぞ!」梶尾博士: 「今まで本当に癪に障った、改善するなら勝手にしろ。」
SCP-XXX-JP-1: 「アンケート回答ありがとうございます!我々は終わる時もみんな笑顔でをスローガンにしていますので笑います!さあ、ご一緒にどうぞ!」 (突如として体全体から発火するSCP‐XXX‐JP‐1。この後、笑いながら約15分は燃える続けるSCP-XXX-JP-1と、それを消火する映像が記録されています。)
<録音終了>報告書: これまでにも財団以外の組織が標的になっていた可能性がインタビュー中に見受けられた点を報告する。最後の人体発火はあらゆる消火器を用いましたが効果を示しませんでした。
補遺003: 財団宛に差出人住所不定の手紙が届きました。関連性が示唆されます。以下はその本文です。
財団職品通信! 8月号
我々財団職品が、なんとなんと復活いたしました!以前よりもサンプルを揃え、会社の技術力も向上!
皆様に愛されて、私達も幸せです!
モチロン!今回も自然由来の素材で、より優秀な人材を作る理念を忘れていません。さあ、もう一度!新しくできた製品を今なら無料で使用できます!
この機会にぜひ!
絶対に満足しますから
私がここに勤め始めたのは██年前からの事だ。長らくこの仕事を務めていられる程に不満な要素は無い。 何しろ、やりたい研究の為には整った環境が必要不可欠だったからという理由である。 更に金銭面の話をすれば正直、戦時下であるにも関わらず、そこそこ実入りが良いという点は魅力的だ。 思えば私にはこの環境に自然な文句を吐き出すきっかけすらなかった。勤続██年の記憶を反芻しながら納得して頷いた。
いや、ただ一点、そうだな。勤務初日を思い出す。その記憶から、たった一つ見つけた不満を掬い上げた。それは此処にいる誰しもが最初に行う軍服式の様な、通過儀礼の記憶だ。 つまり命の保証を捨てる諸々の同意書に記入しなくてはならなかった初日の記憶だ。
此処では当たり前の事なので文句として捉えるのは間違いなのだろう。しかし、あの紙切れを理由に幾人かを切り捨て、平静を保つための盾にした経験がある身としては、的外れな文句の一つや二つを言わないとやっていられない。
「どうでしょう博士? 何かご要望があれば遠慮なく」
「いえいえ、今のままで十分ですよ」
いつもの『職場に対する要望書類』の回収担当が変わっていることに気づいた私は、目の前の紙面に筆先を下すことはしなかった。この紙は人間的な不満を求めていない。私も合理性に欠く意見や要望を上に報告する時期は新人研修の時期で卒業している。思う事が有っても口にはしないのは何処であっても重要な教訓だ。
暫くして書き終えた用紙を担当員は受け取るのだが、その彼女の襟が曲がっている事に気づき、私は「細かい事で申し訳ないが……」と付け加えながら指摘した。
すると彼女は襟を整えながら溜息を吐きつつ、最近 受け持った仕事で大変だと言った。そして今日、私の研究室にやって来る為に臨時で回収担当を変わったのは、その仕事について研究室の協力を仰ぐ為であったと彼女は明かした。 そして目的地に着くまで詳細は話せないという。不信感はあるが上からの要請状を見せられては断る選択肢は皆無だ。
彼女の案内で私と数名の助手は件の仕事場である██████に訪れていた。 ここは現在、蒐集院が各種実験に利用する為に保有している僻地だ。航空機に乗って移動する私は上空からその僻地を眺め、驚いた。 以前は何度か此処で管理していた対象物の耐久実験を行っていた事もあり、上から眺めた時の姿は見慣れていたのだが、端々に散見できた雑木林どころか草の根一つ見当たらない荒地と化していて、見覚えがある等とは口が裂けても言えない程に記憶と食い違う様子だった。何があったのかと次々に浮かぶ疑問を拾い上げているうちに、私の乗る航空機は着陸を済ませていた。降り立った大地から足を伝う感触で海岸の様に水分を多く含んでいる事が分かる。水はけが良いのだろう、水たまり等は発見できない。
「博士、こちらです。 行きましょう」
担当である彼女の誘導に従い歩く。 霧が出てきた。
「あの、詳細はいつ話してもらえますか?」
「目的地はここではありません」
先行していた彼女はそう言って立ち止まり、振り向いて
「この先はより霧が深くなるでしょう。 しっかりと付いて来てください」
彼女の言葉通り、深い霧に覆われ始めたが一切の休みは無く進行していく。湿った白衣の襟はへしゃげ、使い古した革靴の底には土がへばりついて離れない。 かれこれ一時間が経った。 我々が目指している目的地とはまだなのか?
「待ってくれ!」
私は気付いた事実に堪らなくなり、先行する彼女を呼び止めた。 30分前後程前までは付いて来ていた数名の助手が居ない。今ここに居るのは私と担当員の彼女だけだ。 この濃い霧で満たされた僻地で逸れたのならば危険だ。我々が保有する土地だ。無人島で遭難するよりも悪い結果が待っている。
「彼らなら大丈夫ですよ。 そろそろ到着しますので急ぎましょう」
彼女は最初から気にも留めていなかった様子で自然体に見えた。
「何故、彼らの安全が分かる? 此処での無線機は限られた人間のみにしか与えられていないし、それに此処は強い磁場の発生した地点が多いと聞く。 どのような手段で安否を確認したんだ?」
彼女は振り向いて、私を見つめた。 瞬きはしなかった。
「最初からここに居ないのですから、当然です」
そんな訳は無いと声を荒げて反論したが、思えばこの道中に護衛機の操縦者や助手たちとは会話が無かった。 それどころか、私が乗った航空機の操縦者ですら身分確認の為の最低限必要な会話でさえ交わした記憶が私には一切無い事に気づく。
今、自身に起きている状況を整理するたびに不可解な気分になった。 私は何かに暴露しているのか? であれば目前の彼女、いや、人型実体は何者だ?
「博士、着きましたよ」
人型実体の言葉に、はっとした私は抱え込んでいた頭を上げて辺りを見回した。 いつの間にか得体のしれない人型実体の姿は無く、代わりに濃い霧の向こうから影が迫って来るのが分かった。 逃げるべき状況下であるにも関わらず、蛇に睨まれた蛙の如く身体が微動だにしない。 迫って来る影は複数に分かれ、私を取り囲んだ。 命の保証を捨てる意思を明確にさせた、あの同意書が脳裏を過る。
複数の影は膝をついた私を見下ろしたまま、にじり寄り、幾つかの影は高さの異なる不可解な音を出していた。
「やめてくれ、私をどうするつもりだ!」
酷く動揺する私の言葉を聞いて影は動きを止め、奇妙な音を出さなくなった。 それどころか私の声を真似て音を出し始め、やがて話しかけてきた。 最初の内は戦々恐々としていたが時間が経つにつれて、私は落ち着きを取り戻した。 落ち着きを取り戻すまで律義に待っていた相手は、私の様子を把握したのか姿形が釈然としないまま語りかけてきた。 聞けば、彼らは私との意思疎通において出来る限りの齟齬を排斥する為に、適度な音程と言語を探っていた様だ。 取り囲んだ理由を理解した私は、彼らが何者なのかを問い質した。 すると私と同じ声色で
「海王星から来た。 目的は試験体の観察」
と答える。 続いて私は彼らの言う試験体と、先程まで共に道中を歩いていた担当員の彼女についても質問した。
「██████は我々が送った存在。 目的は試験体の観察。 試験体は今、管理されている」
「彼女は謂わば偵察機だったのか。 それで試験体とは恐らく我々が管理している存在だろう? 特徴は?」
この質問に彼らは答えず、左右にゆらゆらと揺れるだけだった。 答えを急いだ私は明確な返事を再び求める。 その瞬間、影は一切の動きを止めた。 前方に直立する一体が腕の様な影を伸ばして私に触れ、その途端に全身がむず痒くなり始める。 息が苦しくなり蹲る。 顔を覆った掌を見て、皮膚の下を走る血管が異常なまでに浮き上がり続けるのを見た。 全身の骨が軋み、大木がなぎ倒される様な音が身体の中で暴れ回る。 悲鳴に似た嗚咽を出している事に気付いた頃、私の頭部は五つに割れ始め、やがて剥離する。
駆け巡る激痛の中、私は勤務初日、あの同意書に名前を入れるよりも前の記憶に浸かっていた。 時代に流されながら徐々に失われていった、ずっとずっと昔の私を思い出したのだ。 彼らの言う試験体が私で、そしてその私の意味は彼ら異星人、いや同胞達の為にこの星が我々にとって適した環境なのか、肉体に手を加えれば適応可能かを身をもって判断する為に。 こうして若い私は選ばれた。 此処まで連れてきた彼女と共に。
私は遥か昔の記憶を想起する。 同胞達から託された可能性を多くの仲間達と共に背負い、広大な星の海に旅立ったあの日。 理想の星々は見つからず、やがて舟が寿命を迎えた時、命を捨てる覚悟で不時着陸したこの大地こそ追い求めた新天地となる可能性を蓄えていた。
とうとう辿り着いたという喜びが胸元で弾けた。 この星が持つ環境に適応する手術を自らの身体に施し、姿を変え、文化を学び、人という種族として生きた。 この███年という時間は、私の手元から重要な記憶を奪っていたが、今はもう全てを取り戻すことが出来た。
こうして湿った大地の上で異星人わたしが力なく座り込んでいる様子を、一通り見届けた同胞達は深い霧の中に身を溶け込ませて、消えた。
私がここに勤め始めたのは███年前の事だ。 それはもう長い事。
再び溶け込むため姿形を人に変化しているうちに、試行錯誤の結果で白熊やウスバカゲロウ、果ては仏像や裸族にも化けた事があったが今の財団ここでは本来の姿のままでも多少は問題ないのでとても助かっている。
「濃霧院博士、収容プロトコルの最終確認をお願いします」
その呼びかけに答え、職務に臨む。 やはり皆無ではないが不満な要素はおおよそ無いに等しい。
何故ならば、私の身をもって実験は続いているのだから。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの発生が確認された地域一帯の住民に対して必ず集団検診を実施して下さい。検診にて発見が出来たSCP-XXX-JP-1の外出記録を調査し、外出先の地域も同様に集団検診を実施して下さい。SCP-XXX-JPの隔離処置には必ずレベル4相当のハザードスーツを着用し、男性のみで行って下さい。基本的にSCP-XXX-JP-1は射殺して下さい。収容し保管する場合は、ハザードレベル4相当の設備を備えた隔離室に収容して下さい。完全に虫卵の拡散を防ぐ為、SCP-XXX-JP-1の死体は焼却処分して下さい。
説明: SCP-XXX-JPは生物学上、寄生蠕虫14に類似する無鉤条虫15(学名:Taenia saginata)です。
オブジェクトの虫卵は粒径23μm前後で、大気中を浮遊する事が可能です。浮遊した虫卵は呼吸や、付着した食物を通して人間の体内に侵入します。侵入したオブジェクトは肺胞及び、食道で孵化16した後、交尾を行い産卵します。次に粘膜を破壊し血管内部に移動します。SCP-XXX-JPはそのまま血管系を用いて対象者の脳に到達し、対象者が女性17であればSCP-XXX-JPは髄膜で脱皮を繰り返し続ける事で完全な寄生が可能となります。オブジェクトに寄生された対象者は呼吸器系に炎症が見られ、咳の頻度が増加します。よって、対象者の咳で産卵したオブジェクトの虫卵を大気中に拡散し、SCP-XXX-JP自体の勢力を拡大します。
SCP-XXX-JPは約2週間程の期間を要して寄生した脳から、対象者の記憶や社会的規範などを‶学習”します。これにより、オブジェクトは対象者に擬態して人間社会での活動が可能になります。次に、脳の血管を通じて自身の触手を全身に拡げます。(以上の状態に至った対象者をSCP-XXX-JP-1とします。)
SCP-XXX-JP-1は容姿に異常を見せない為、外見での判別は困難です。加えて、SCP-XXX-JP自体の学習能力の高さからコミュニケーションによる判別も困難です。SCP-XXX-JP-1は人間社会での生殖を目的に活動し始めます。これにより発生した胎児を胎内部まで拡大した触手を用いて捕食する事で、オブジェクト自体の栄養源を確保します。
手術によるSCP-XXX-JPの摘出は、オブジェクトが神経に直結している為、いずれも失敗しています。
事件記録XXX-JP-1 - 20██/██/██
青森県███市の出生率が急激に低下した事で不審に感じた現地エージェントの調査中に「レントゲン結果に異常性が見られる」という財団傘下の病院から報告を受け、オブジェクトの認知に至りました。
その後、SCP-XXX-JP-1となった住民を‶治療”しました。
付録001: SCP-XXX-JPの拡散能力を示す資料として、事件記録XXX-JP-2〜4を添付します。
事件記録XXX-JP-2 - 20██/██/██
秋田県██市の出生率が事件記録XXX-JP-1と同様のペースで急激に低下した事で不審と判断し、財団は大規模な調査と集団検診を行い‶治療”しました。
事件記録XXX-JP-3 - 20██/██/██
山形県、宮城県、福島県でオブジェクトの発生を確認、前回と同様に財団は大規模な調査と集団検診を行い‶治療”しました。
報告: ウイルスではない為、ワクチン開発は根本的に不可能です。加えて、SCP-XXX-JPの極めて高い学習能力と拡散能力によって二次発生を防ぐ事が難しいです。
事件記録XXX-JP-4 - 20██/██/██
3各国でSCP-XXX-JPの発生を確認、犠牲者は延べ[修正済み]人に相当。各地の財団本部と協力し、カバーストーリー‶バイオセーフティーレベル4相当のエボラウイルス拡大”の下に交通規制、一般人への厳重な注意喚起を促し、オブジェクトの封じ込めが行われました。その間に各地、財団の機動隊の導入と医療対応を整え自体収束に勤めた結果、迅速で懸命な処置により、1年弱で収束しました。
報告: SCP-XXX-JPの拡散能力に対し、何らかの有効的な対応策の考案、または効果的な治療法を新たに開発する事を進言します。
補遺001: 20██/██/██ 異常性から知能を有している事を確認している為、インタビューを試みました。
対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: 梶尾かじお博士
付記: 隔離室からカメラとマイクを通してインタビューをしています。
<録音開始, 20██/██/██>
梶尾博士: 私の質問内容に答えて下さい。まず、貴方達はなぜ私達に危害を加えているのですか?
SCP-XXX-JP-1: [沈黙]
梶尾博士: 質問を変えます。貴方達に目的はありますか?
SCP-XXX-JP-1: [沈黙]
[この後も幾らかの質問をしましたが、答えずに沈黙を続ける。]
梶尾博士: 最後の質問になりますが、貴方は財団から逃れる為、海外に移動を試みました。その時に集団での移動に伴うリスクを考慮していましたか?SCP-XXX-JP-1: ・・・集団で?それは違う。
梶尾博士: どう違うのですか?
SCP-XXX-JP-1: 貴方達は勘違いをしている。我々は知能を得る事が出来ても、理性を有した訳ではない。ただ勘違いをしないで欲しい。その様な行動のメリットを一切、理解していない訳ではない。なので勤めてはいるが、耐え切れなくなった時は本能に生きる事を良しとしているだけだ。よって、あの時は集団で移動した訳ではなくただ同じ個体の空腹が重なっただけだ。付け加えて、我々が卵の拡散も目的としているので貴方達の妨害も受ける。更に活動領域を拡大する必要があった。その点では多くの人口と土地を持つ国を好ましく思い、偶然同じ考え方をした個体と行き先が重なった。まあ私の場合は結局、このように拘束されてしまったが。しかし良いのだろうか?私から情報を引き出そうとする事は結構ではあるが、その間に我々の布石を貴方達は防いでいるのだろうか?この様な質問をしている事から察するにその様には見えないが。
梶尾博士: 貴方達は本能で取った行動が複数の個体と一致しただけで、集団で行動した訳ではないのですね。あと布石とは具体的に何ですか?
SCP-XXX-JP-1: それについて簡潔に言うと、各国では私達と同様の個体が政治に絡んでいる。私が知っているのはそれだけだ。しかし、彼等は隠れ方が上手いので私でさえ票を入れる時に困る。少し喋り過ぎましたね。この肉体の人格に擬態し過ぎた弊害のようだ。
梶尾博士: そ、その個体の名前を全て答えて下さい!
[この時点でSCP-XXX-JP-1は既に自身の舌を噛み切り絶命しています。]
<録音終了>
終了報告書: SCP-XXX-JP-1に蘇生を試みましたが失敗しました。以上の情報から存在の危険性を鑑み、我が国の政治に関連する人物の身体検査を実施し、外出記録を調査、及び外出先の集団検査の実施を進言します。各国の財団支部に連絡し、情報を提携して下さい。
調査で発見したオブジェクトはカバーストーリー‶税金の不正利用”を与え社会から排斥した後、収容に移ります。
エージェントヤマトモは腹を立てていた。 日頃、冗談の通じない他職員から人権を無視した罵詈雑言と拳を受けているからである。 彼曰く、エージェントはサンドバックではない。勿論その通りである。
しかし、ヤマトモの場合はその限りではない。 冗談だと許容し続けると付け上がるからである。故に他職員から基本ぞんざいな扱いを受けている。 自業自得なヤマトモに腹を立てる権利は無いのだが、それはそれとして冗談に対する反撃が最近、過剰になり過ぎているため腹を立てていた。 この前は、██博士から塩酸の入ったフラスコを投げつけられもした。実験データが紛失したと嘘をついただけなのだが。
今日のヤマトモは一通の封筒を受け取っている事もあり、怒りにかまけて冷静さを欠いてはならない。 今後の職務に差し支えないよう気分転換と腹ごしらえも兼ねて食堂に赴く事にした。 ここ最近は丁度この時間、桑名博士が遅い昼食を摂っており、リラックスしている時間でもある。 つまり、ヤマトモは罪の無い相手に腹いせをする気だ。
食堂には彼の思惑通りに桑名博士がサバの味噌煮を箸で崩している所だった。
「どうも、桑名博士! 奇遇ですね。 昼食ご一緒しても?」
「ああ、エージェントヤマトモ。 貴方もこの時間に昼食ですか? 私、嘘をつくのがあまり得意ではないので明言しますが、貴方と居ると不利益を被る事が多いので正直お断りしたいのですが。」
「そんなこと言わずに! それにしても博士は何処から味噌煮を摂取するんです? 面倒でしょうし、その着ぐるみを脱いでは如何ですか?」
そう言ってヤマトモは桑名博士の中身を暴こうと掴む。
「ちょっと、やめて下さい!」
「いいでしょ。ちょっとだけ」
「やめて下さい! シワが出来るでしょ!」
「もう少しで中身が見えそうなんですよ! 引き下がりませんよ博士! あ、今見え…」
「[罵倒]」
「[絶叫]」
数分にわたる攻防の末、突き飛ばす事に成功した桑名博士は反撃とばかりに自分の座っていたパイプ椅子を持って立ち上がったヤマトモに殴りかかった。だが腐ってもエージェント、そこは間一髪でしゃがみ込み回避。
すると、パイプ椅子は桑名博士の手から滑り飛んで、近くでスープを飲んでいた大和博士の後頭部に直撃した。ここで我に返った桑名博士は大和博士の動かない体に駆け寄り脈を測る。
「私の死体は私が片付ける、それより彼の事はもう良いのかね?」
そう言って新しい大和博士が指をさした先にはもう、ヤマトモの姿は無かった。
「逃がしてしまいましたか…」
意識が朦朧とする。 いつの間にか廊下に居た。
逃走するうちに気付いたが、頭部の装備に軽度の損傷がある。 どうやらパイプ椅子を上手く回避できたと思っていただけで、実際そうではなかった様だ。 やがて朦朧とする意識は酷くなり、ヤマトモは廊下で倒れ、気絶した。
数時間後の事である。 気付けば見慣れない部屋でヤマトモは佇んでいた。 一通の封筒が届いていた事をすっかり失念していただけあり軽く驚きもしたが、むしろ落ち着いた時間を過ごせる事に喜びを感じ噛みしめる気でいた。
とはいえ、する事も限られる現状では暇を持て余してしまうと考えたヤマトモは、扉の前に立つSCP-374-JP-Bに視線を向けて、噂に聞く異常性を試す事にした。 丁度、昼食の時間を悪ノリで費やした事もあり、とても腹が減っている。 であれば、得意な魚介料理を作らせてみようというもの。
「俺は腹が減ったから何か食べたい。 サイト-81██の食糧庫には魚介も豊富に貯蔵されている筈だ。それでなにか作ってくれないか? どうせなら踊り食いなんて出来れば嬉しいけれど」
ジョークのつもりで少し意地悪に、踊り食いという出来ないことを提案する。 因みにサイト-81██の食糧庫を指定したのは、少しでも食材の出所が明確だと安心するからである。
報告書からすると奴等の料理は美味と聞く。 さて、どんな物が運ばれてくるのか…正直、ヤマトモは期待していた。 そして10分後、ヤマトモのジョークは現実となって現れる。SCP-374-JP-Bは生きたまま丼ぶりに横たわる異常魚介を目前に差し出したからだ。
「なんだ、コレは…食糧庫から持って来た物なのか?」
SCP-374-JP-Bは答えない。
丼ぶりの中で蠢く主役の物体は、見れば見るほどマグロにも見えるしウニにも見え、はたまたカニにも見えた。だが、瑞々しい艶やかさを湛えていて新鮮である事は明白で、驚いたことに割と美味しそうに見えた。 勿論、抵抗はあるが空腹の状態で目の前に食物を出されてしまえば、食欲に逆らえない。
加えて、食糧庫から持ち込んだ食材であるならば摂取は可能なはず。 それに食堂で提供する料理にはSCiPが使用されているなんて話も聞いた事がある。
ヤマトモは空腹と少しの好奇心に観念して、タコにもエビにも見える魚介に目掛けて醤油を垂らした。 過剰な塩分を粘膜に垂らされた事に驚いた様子で丼の上で奴は跳ね回った。 すかさずヤマトモは箸で器用に押さえつけ、思い切って米ごと掻き込んだ。 口の中で暴れる異常魚介をどうにか胃袋に押し込み、一息ついた。
「これは、どういう事なんだ」
踊り食いをした後の感想でもあるが、SCP-374-JP-Bの頭部をまじまじと見つめての感想でもある。
SCP-374-JP-Bに人間の頭部はありません。人間の頭部の替わりにオオクチバス(Micropterus salmoides)18がついており、魚の腹部と首の断面が接合しています。
SCP-374-JP-Bの頭部がエビに見えるのだ。 ヤマトモは焦った。
もしSCP-374-JPに自身の行動によって異常を与えたと知れれば自分の懲戒処分は逃れられない。 だが、まだそうと決まった訳ではなく、今のSCP-374-JP-Bの頭部がヤマトモからヒラメに見えているだけかも知れない。 このケースなら自身に記憶処理を施せば済む話だ。 はたまた、SCP-374-JPによく似た別のSCiPである可能性も捨てがたい。
非常な場所で異常な物を口にした影響なのかも知れないが、パニックになりつつあるヤマトモは、まずSCP-374-JP-Bが正常か確かめる質問を投げかけてみる事にした。
「秘密結社キャッチ&リリース…それを証明出来る物を持って来て欲しい」
何かしら取りに行ったのか部屋から消失したSCP-374-JP-Bが戻って来たのは5分後だった。 頭部は相変わらずカジキに見えるが、手には封筒があった。 その封筒を受け取り中を開く。
東弊重工ですしゅうしゅういん
秘密結社キャッチ&リリースにほんしょうるいそうけん
「分からない…」
正常ではないのは判るが、書いている意味が分からない。 要注意団体の名前を適当に書いただけの様な気もする。 とはいえ、ここで諦めては懲戒処分が待っている。 斯くなる上は…
「お前をどうにか消して、証拠を隠滅する!」
日付: 20██/05/06
懲戒処分報告
対象者: エージェント・ヤマトモ
自白剤により聞き出した情報から、代理で黒瀬博士が報告書を作成。 オブジェクトに対する行動に大きな不備を確認したことにより、懲戒処分の対象となりました。 一定期間のライセンス停止につき後日、エージェント・ヤマトモの業務代理人を選出し報告します。
対象: エージェント・ヤマトモ
インタビュアー: 黒瀬博士
付記: 対象が錯乱した様子なので、精神安定剤を投与後に念のためインタビューを行います。
<録音開始>
黒瀬博士: 率直に聞きますが、なぜ軽率な行動を?
A.ヤマトモ: あのイカなのかタコなのか不明な魚介類を口にしたら、SCP-374-JP-Bが異常に見えて動揺したからです。
黒瀬博士: イカなのかタコなのか不明と言いましたが、それはおかしいですね。 まるで初めて見た様な口ぶりですが、貴方が食べたのは他でもなく現在、貴方自身が担当しているSCiPですよ?
A.ヤマトモ: え?黒瀬博士: 今朝もそのSCiPの特別漁業プロトコルに従い、スクラブトン現実錨を装着した巡視船に乗っていたではありませんか?
A.ヤマトモ: は?
<録音終了>
終了報告書: 対象は酷く錯乱している状態と判断します。 SCP-374-JP-Bには対象の発言からみられる異常は確認していません。
数日後。
暫くしてから理解した事だが、この財団で俺は特別漁業プロトコルに従い意味不明の魚介を捕獲している任務に就いている。 つまり、いつの間にか俺は別の世界に移っていた。 この事は、この世界の財団に報告するべきではないだろう。 身内とはいえ俺の事をどう扱うか分からない。
戻る方法を模索し、あの日の行動を丁寧になぞる中で、この財団に桑名博士の名簿が無い事が分かった。 単なる偶然とは思えない。 あの食堂で桑名博士の中身を見たのが原因かも知れない。 可能性があるならなんでも良い。 今の財団に桑名博士は居ないが、この世界中ではいるかも知れない。 その可能性を信じて密かに捜索を続ける事にした。
いつもの化け物相手ならいざ知らず、冗談じみた奴等まで相手にしなくてはならないなんて身が持たない。 その想いで、俺は漸く数年をかけて桑名博士の居所を掴んだ。 そこからの段取りは上手く行った。 この世界の桑名博士を眠らせ、誘拐した後に隠れ家にて博士の中身を見る。
「手荒な真似をしたが今やもう、鍵を握るのは博士だけだ」
桑名博士の中身を見た瞬間、あの日と同じ朦朧とした意識に包まれ始めた。 俺はそのまま意識を手放した。
「…ここは?」
見覚えのある場所。 サイト‐81██の廊下だ。 此処の廊下は良く電灯が壊れてて、暗いんだったな。 それさえ懐かしい。
「暗くてよく見えないが、そこで倒れているのは誰だ? 大丈夫か?」
男の声がする。 こちらに手を伸ばしてきた。
「ああ、大丈夫だ」
手をとって漸く、漸く、数年越しに
「なんだお前…異常発生! 大至急!大至急!」
「おい、どうした? 俺だ。 エージェント・ヤマトモだ、聞いているのか?」
「お前のどこがエージェントなんだ!? 状況報告、SCiPの収容違反を確認した!」
何を言っているんだ?
直ぐに意味は分かった。 通信機器を取り出した男は、あの日のSCP-374-JP-Bのような頭部をしていて、この男が呼んだ応援も皆、頭部が異常だった。 いや、異常なのは俺だ。 この世界では恐らく人間状態の俺がおかしいのだ。
彼曰く、エージェントはサンドバックではない。勿論その通りである。
銃口がこちらに向く。
エージェント ヤマトモは窓のない部屋に一人で佇んでいた。 サイト-81██内の食堂で朝食を摂る筈だったが一通の封筒によって断念し、プロトコルに従って業務を隠れ蓑に一日を過ごしていた。
しかしヤマトモは失敗した。 陽気にも昼寝をしたからだ。 本人はこの事について後に、今回の報告書で誘拐を防ぐための業務に励んだ影響で義肢が故障して動けなくなってしまったと記載している。
こうして現在に至る。 昼食も摂らずにいた彼は、する事も限られるので折角だからと扉の前に立つSCP-374-JP-Bに視線を向けて、噂に聞く異常性を試そうか考えていた。
「俺は腹が減ったから、何か持って来て欲しい。 具体的には朝食で食べそびれたアレの踊り食いが出来る料理を頼む」
少し無理を言う事にした。 持って来れる筈がないことを見越した要求だった。
それは即ち、アレと呼称した魚介が締めてから食糧庫に運ばれているのをヤマトモは知っていたからで、つまり踊り食いは不可能なのだ。 よって、ジョークだった。 だがヤマトモはイレギュラーを知らない。 誰が言い出したのか刺身にしようという事になり、今日の夕食で生きの良いSCiPとして搬入されている個体もいるという事に。
そして10分後、ヤマトモの思惑とは裏腹にSCP-374-JP-Bは生きたまま丼ぶりに横たわる異常魚介を目前に差し出した。 丼ぶりの中で蠢く主役のアレは、白米と異常性を持たない普通の刺身で装飾を施しており、瑞々しい艶やかさを湛えていて新鮮である事が判る。
「持って来れたのか…」
ヤマトモは観念して、タコにもエビにも見える魚介に目掛けて醤油を垂らした。
過剰な塩分を粘膜に垂らされた事に驚いた様子で丼の上で奴は跳ね回った。 すかさずヤマトモは箸で器用に押さえつけ、そのままの勢いで米ごと掻き込んだ。 口の中で暴れる異常魚介をどうにか胃袋に押し込み、どうにか一息ついた。
「どういう事だこれは…」
踊り食いをした感想でもあるが、SCP-374-JP-Bの頭部をまじまじと見つめての感想でもある。
SCP-374-JP-Bに人間の頭部はありません。人間の頭部の替わりにオオクチバス(Micropterus salmoides)19がついており、魚の腹部と首の断面が接合しています。
SCP-374-JP-Bの頭部がエビに見えるのだ。 ヤマトモは焦った。
もし自身の軽率な行動によってSCP-374-JPに意図せず異常性を与えたと知れれば自分の懲戒処分は逃れられない。 だが、まだそうと決まった訳ではなく今のSCP-374-JP-Bの頭部がヤマトモからヒラメに見えているだけかも知れない。 このケースなら自身に記憶処理を施せば済む話だ。 はたまたSCP-374-JPによく似た別のSCiPである可能性も捨てがたい。
非常な場所で異常な物を口にした影響なのかも知れないが、パニックになりつつあるヤマトモは、まずSCP-374-JP-Bが正常か確かめる質問を投げかけてみる事にした。
「秘密結社キャッチ&リリース…それを証明出来る物を持って来て欲しい」
何かしら取りに行ったのか部屋から消失したSCP-374-JP-Bが戻って来たのは5分後だった。 頭部は相変わらずカジキに見えるが、手には封筒があった。 その封筒を受け取り中を開く。
東弊重工ですしゅうしゅういん
[[span class="ruby"]]秘密結社キャッチ&リリース[[span class="rt"]]にほんしょうるいそうけん
「分からない…」
正常ではないのは判るが、書いている意味が分からない。 要注意団体の名前を適当に書いただけの様な気もする。 とはいえ、ここで諦めては懲戒処分が待っている。 斯くなる上は…
「お前をどうにか消して、証拠を隠滅する!」
日付: 20██/05/06
懲戒処分報告
対象者: エージェント・ヤマトモ
自白剤により聞き出した情報から、代理で黒瀬博士が報告書を作成。 オブジェクトに対する行動に大きな不備を確認したことにより、懲戒処分の対象となりました。 一定期間のライセンス停止につき後日、エージェント・ヤマトモの業務代理人を選出し報告します。
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