遠野司書の記憶の片隅

SCP-XXX-JP — 氷室の供犠

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SCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは常に通電した状態で、標準低脅威収容庫に保管してください。SCP-XXX-JP-Aの保全のため、1ヶ月に1回以上の頻度で内部空間に人員を派遣してください。

SCP-XXX-JP-Bは現在未収容ですが、近畿地方一帯で潜伏を続けている可能性があります。確保に向けた捜索を継続してください。

説明: SCP-XXX-JPはボッシュ社製の家庭用冷蔵庫です。SCP-XXX-JP内部には、外観から予想されるより遥かに広大な空間が存在します。

SCP-XXX-JP内部空間は幅2.4km、奥行き3.6km、高さ3.2kmの直方体です。外部のコンセントから通電が行われている限り、気温は常に-18℃に保たれます。底面には深さ平均200mほどの永久凍土が堆積しており、一部に生育するコケ植物を除けば植生はありません。

SCP-XXX-JP内部では人工的構造物が多数発見されており、SCP-XXX-JP-A群と指定されています。各SCP-XXX-JP-A実例は、その位置によって更に2群に大別されます。下記2群の位置は1.6kmほど離れていますが、両者は未舗装の直線道路によって接続されています。

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SCP-XXX-JP-Aα001。内部空間壁面に面して建つ石造りのピラミッド状建築で、全SCP-XXX-JP-A実例中最大の構造物です。最上段の開口部は内部空間の出入口に直結しています。

  • SCP-XXX-JP-Aα群: SCP-XXX-JP内部空間の出入口付近に点在する構造物群です。一列に並んだ石柱、祭壇のような建造物など全25例が指定されています。
  • SCP-XXX-JP-Aβ群: SCP-XXX-JP内部空間の中央付近に点在する構造物群であり、全42例が指定されています。そのほとんどは寄棟造の木造住居であり、アイヌの伝統的建築であるチセとの類似が指摘されています。Aβ群周辺では原始的な家財道具や焚火の跡が見つかっており、なんらかの実体(暫定指定番号SCP-XXX-JP-B)が集団で生活を営んでいた可能性があります。

全てのSCP-XXX-JP-A実例に共通する傾向として、建築物としてのサイズが全体的に著しく小さいことは特筆すべき点です。戸口や階段のサイズを基にした試算では、SCP-XXX-JP-Bの身長は現生人類の1/4未満、約0.4m前後と推定されました。SCP-XXX-JP-Bは現在未発見です。

発見経緯: SCP-XXX-JPは京都市左京区[編集済]の個人宅で発見されました。当該住宅の唯一の住民であった越智明弘氏(当時51歳)は要注意団体との深い関係性を疑われており、財団諜報機関の監視対象となっていました。20██/██/██、越智氏が自宅に入ったまま3日間に渡って一切の動きを示さなかったことから、監視を担当していた諜報機関員が越智氏宅への潜入調査を敢行、台所にてSCP-XXX-JPを発見しました。

越智氏はSCP-XXX-JP-Aα群から約50m離れた位置で、死亡した状態で発見されました。死亡から推定3日が経過していたものの、低温環境に置かれていたため遺体の腐敗は最小限に抑えられていました。小型の刃物によると推測される無数の切創や刺創が全身に見られ、死因は失血死と判定されました。

発見当時、SCP-XXX-JPの背面には筆書きの文章を記した紙が貼られていました。調査の結果、記載されていた文章は蒐集物覚書帖目録1第七四八番の一部と一致しました。回収された文書の全文を以下に示します。

「氷室童子」(蒐集物覚書帖目録第七四八番)
明治四十二年捕捉。研儀官柳田君発見。身ノ丈一尺三寸ばかり。童児のようなる下級神霊なり。所謂座敷童子の類なれど寒冷なる場をすこぶる好み、聚落の氷室に棲む。故に氷室童子という。子は生涯親より離れず一族共棲し、短命なれど多産なり。差詰め二十日鼠の如し。この神、氷室の主に望みの品を授く。品は金銀や織物の場合もあれば、翌年の豊穣、病魔平伏など非物質的現象の場合もあり。いずれも主の益なるものなれば、人々、氷室童子を敬い羨望すること頻りなり。一つ所に長く棲み、棲処を移すこと稀。ただ氷室の主の失せし時のみ、別の家に移るものなり。

補遺1: SCP-XXX-JP回収翌日の午後22時頃、越智氏宅に来客がありました。訪問者は高齢の男性およびその付き人と思しき2人の若年男性であり、若年男性の一方が運転する黒い乗用車に乗っていました。現地の財団職員が警察官に扮して対応したところ、男性らは再び乗用車に乗り込み、走り去りました。以下は対応に当たった職員と高齢男性との会話記録です。なお、若年男性2人は終始一貫して言葉を発しませんでした。

職員: こんばんは。こちらのお宅に御用ですか。

男性: おや、なんだね、君は。

職員: 警察の者です。あなたは?

男性: この家の住人の友人だよ。彼に何かあったのかね。

職員: 申し上げにくいのですが、越智さんは昨日、亡くなられました。急病で……。

男性: なんと。それは本当かね……。そうか、それはそれは。[合掌し、念仏の一節を囁く]

職員: 今夜は越智さんと何か約束でも?

男性: 彼から食事に誘われていてね。珍しいものが手に入ったから是非来てくれと。どうやらお流れになってしまったようだが。

職員: 御愁傷様です。

男性: なに、悲しむほどではないさ。肥えたザクロの実はいずれ裂ける。世の習いならば、受け容れるほかあるまい。天命を全うしたか……いや、彼のことだ。遂に神の怒りを買ったのかもしれんな。

職員: 神の?

男性: それほど罰当たりな奴だったのさ。神をも畏れぬ男だった。この街には向いていなかったんだ。

補遺2: 諜報機関による調査の結果、生前の越智氏は“東条”という偽名を名乗り、要注意団体“石榴倶楽部”の一員として活動していたことが判明しました。

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画像出典:










(下書きここまで)


(以下オマケ)











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