遠野司書の記憶の片隅

SCP-XXX-JP — 本懐

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8163の生体飼育収容施設に収容されます。個体数維持のために定期的に交配を行ってください。SCP-XXX-JPおよびSCP-XXX-JP-hの死後サンプルは、同サイトの生物学的保管ユニットに保存されています。死亡した個体は、研究に必要な場合を除いて焼却処分してください。

未収容のSCP-XXX-JP個体が発見された場合、直ちに捕獲し、サイト-8163に搬送してください。一般人による目撃があった場合は適切なカバーストーリーの適用、あるいは記憶処理によって対応してください。推奨カバーストーリーは“捏造オカルト映像の撮影”です。

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SCP-XXX-JP個体

説明: SCP-XXX-JPは異常な身体特徴を有するドブネズミ(Rattus norvegicus)です。遺伝子検査から、元来は動物実験に汎用されるWistar系ラットであることが判っています。

SCP-XXX-JPの最も顕著な特徴は、前額部の1本の角です。SCP-XXX-JPの角は前頭骨の一部が隆起、尖鋭化したものであり、皮膚を貫穿して体外に露出しています。長さは2cmから5cm程度で、やや上向きに湾曲しています。その他、SCP-XXX-JPは通常のドブネズミと比較して以下のような特徴を示します。

  • 自然治癒力の向上
  • 免疫機能の向上
  • 筋肉量の増加
  • 運動能力の向上
  • 犬歯の発達
  • 全般的な感覚の鋭敏化
  • 高血圧
  • 複数の食物アレルギー、とりわけ重度の大豆アレルギー

最初のSCP-XXX-JP個体(SCP-XXX-JP-1)は、████/11/26に京都市左京区北白川の道路上で発見されました。SCP-XXX-JP-1は道路上を歩行中に自動車に轢かれたと見られ、発見時点で既に死亡していました。PEJEOPAT1規定に基づき、SCP-XXX-JPは環境省隠棲生物室との協同調査対象に指定されました。

SCP-XXX-JP発見地点が日時の経過と共に西の方角へ推移していたことから、京都市中部・西部を中心に大規模な捜索が実施されました。11月末までに確保されたSCP-XXX-JP個体24体のうち、右京区で確保された個体は19体に上ります。また確保時に生存していた個体も10体おり、一部は収容下での繁殖に成功しています。角をはじめとする特異的形質はSCP-XXX-JPの子孫にも伝播し、成長と共に発現します。

補遺1: 同年12/16、京都市東山区の住宅火災現場より多数のSCP-XXX-JP個体が回収されていたことが発覚しました。火災は11/24に元京都市会議員・橘麒三郎氏の自宅より出火、京都府警が不審火として捜査中でしたが、橘氏と要注意団体“石榴倶楽部”との繋がり2が明らかになったことから財団による再調査が実施されました。回収されたSCP-XXX-JP個体はいずれも火災による損傷が激しく、消防および府警はこれを単なる精巧な模型だと考えていました。

現場からは同時に身元不明のヒトの焼死体も回収されていましたが、その頭骨に僅かながらSCP-XXX-JPの角に類似する隆起が見られました。焼死体はSCP-XXX-JPと共に財団に移管され、SCP-XXX-JP-h1と指定されました3。遺体発見現場付近は化学実験器具の残骸が散乱していましたが、実験内容の手掛かりとなるような資料は見つかりませんでした。

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SCP-XXX-JP-h2の頭部X線写真

補遺2: 同年12/30、京都市北区の集合住宅にて住人2人が殺害された事件に関連して、事件発生当日の午前2時頃、現場付近から走り去るSCP-XXX-JP-hらしき不審人物が目撃されました。当日は雨天のため視界が悪かったものの、目撃者は共通して「不審者は身長1.4m前後で、額に角があった」と証言しています。

事件の被害者である塩沢慶一・祐子夫妻はいずれも自宅内で殺害されていました。遺体は損傷が激しく、特に祐子氏の右前腕はもぎ取られ、現場に残っていませんでした。遺体各所に残った歯型は“犬歯の異常に発達したヒト”のものと判定されました。

12/31の20時頃、京都市右京区愛宕山を捜索中の隠棲生物室職員3名が、上記右前腕を所持したSCP-XXX-JP-h個体を発見しました。財団職員が現場に到着した際、当該個体は発見した隠棲生物室職員による発砲を受け心肺停止の状態でした。直ちに蘇生処置が試みられたものの20:33に死亡、遺体は財団に移管されSCP-XXX-JP-h2と指定されました。SCP-XXX-JP-h2は推定年齢13歳の女性であり、前額部の角は長さ15cmに達していました。

インタビュー記録

対象: 夏井鵤(隠棲生物室職員)

インタビュアー: エージェント・ルコ


[記録開始]

ルコ: SCP-XXX-JP-h2発見時の状況をお聞かせ願えますか。

夏井: これはなんの真似だ。尋問か。

ルコ: いえ、インタビューです。

夏井: 物は言いようだな。

ルコ: お話しいただけますか。

夏井: 私達のチームは愛宕山の登山道沿いを捜索していた。最初は当てずっぽうに歩き回っていたんだが、途中で藤田が鋼索線跡を見てみようと言い出して、それがビンゴだった。山頂側の駅の廃墟に奴が隠れていたのを見つけた。壁際に座り込んで、衰弱した様子だった。

ルコ: 発砲したのはあなたですね?

夏井: そうだ。私が3発撃った。藤田と柳津は撃っていない。

ルコ: なぜSCP-XXX-JP-h2に対して発砲を?

夏井: なぜ、とは?

ルコ: 対象が衰弱していたのなら、発砲は不要だったのではありませんか。

夏井: 私を糾弾するつもりか? 弱った少女を無慈悲にも撃ち殺したから?

ルコ: そうは言っていません。

夏井: なら何が不満だ。

ルコ: 生存状態のサンプルが得られなかったのは大いに残念だったと、うちの上司が。

夏井: 財団の先生方は呑気なものだな。生憎、お宅と違ってウチは人手も金もない。そんな冷静な判断を下す余裕はないよ。特に最近は鼠捕りに駆り出されて忙しくてな。必死になって捕まえても私達の手許には文字通り鼠一匹残らない。お宅が全部持っていくからだ。とんだ徒労だったよ。

ルコ: だから、我々に対する当てつけに射殺したと?

夏井: 山頂の神社は大晦日で混雑していた。不測の事態を避けるには撃つ以外になかった。呑気な上司に教えてやれ。奴はか弱い少女でも研究用のラットでもない。人を2人殺した化け物なんだ、とな。

ルコ: 御忠言どうも。インタビューは以上です。御協力感謝します。

[記録終了]

DNA鑑定の結果、SCP-XXX-JP-h2と塩沢夫妻が親子関係にあることが判明しました。塩沢夫妻の間には娘が1人いたものの、小学校卒業前後を境にその姿は目撃されていません。確かな目撃例として最も新しいのは事件から約9ヶ月前、塩沢夫妻宅を訪問した児童相談所職員によるものです。

補遺3: POI-5819-JPに対する尋問において、SCP-XXX-JP-h2に関する証言が得られました。尋問中にSCP-XXX-JP-h2の画像を提示したところ、POI-5819-JPは「画像の人物に見憶えがある」と答え、以下のように述べました。

彼女のことはよく憶えています。強烈でしたからね。確か今年の春だったか。石榴倶楽部の会合に突然乱入してきたんです。倶楽部は仮にも秘密結社ですよ。そこにまさか子供が一人で乗り込むなんて。でもそのときは、こんな角は生えていませんでした。普通の子供でしたよ。

勿論驚きました。私だけじゃない、恐らく会合に出ていた全員が。何人かは目に見えて狼狽していました。血の気の多い東条さん4なんか、もう殴りかかりそうな勢いで、誰だ貴様はと叫んでいました。すると彼女が言うんですよ。私を鬼にしてくれ、と。

後で聞いた話ですが、どうやら近所の小学校で妙な噂が広まっていたそうです。近くに夜な夜な食人鬼の集まるアジトがあるとかないとか。一体どこから聞きつけたのかは知りませんが、明らかに倶楽部の話ですよね。確かに、人の肉を食うなんて鬼の所業に他ならない。

ともかく、そんな曖昧な噂話を頼りに、彼女は本当に倶楽部に辿り着いてしまったんです。大したものです。

私は呆気に取られて、叫ぶ彼女をただ眺めていました。すると突然六角さんが立ち上がって、彼女を奥の部屋に連れていきました。その日の会合はそれでお開きになって、私は帰りました。彼女を見たのはその1回だけです。鬼になって一体何をしたかったのか、私には判りません。でも随分と必死な様子で、ただの遊びでないのは確かでした。椎名さんが言っていたんです。彼女はきっと、鬼になってでも遂げたい思い、本懐があるのだと。

これは本当に彼女ですか。特殊メイクではありませんよね。今こうして訊かれているということは、彼女に何かあったんですか。

いえ、別に教えてほしいわけではありません。

でも、どうしても気になるんです。彼女は鬼になって、ちゃんと本懐を遂げられたのか、と。

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(下書きここまで)


(以下オマケ)




















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