to_o_鮭の水槽の底

伊頼寺前駅にて始発を待つミス・ゲハイトマン

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81K3Eの無力化物品保管倉庫に収容されています。オブジェクトの管理は標準的な油彩画の取扱いに準じます。SCP-XXX-JP付属資料は標準古書取扱いプロトコルに準じて扱われます。

以下は異常性が消失する以前の特別収容プロトコルです。


追加事項-3: 2016/4/26、SCP-XXX-JPの異常性の消失が認定されました。異常性の消失に伴い、オブジェクトクラスの変更および特別収容プロトコルの改定が行われます。

説明: SCP-XXX-JPは72.5cm x 53.0cmの油彩画です。SCP-XXX-JPには岐阜県旧伊頼内町いらいうちちょうに存在していた伊頼寺前駅(現在は██駅。以下、当該駅)と和装の女性が描かれています。SCP-XXX-JPは絵具の移動および変色、微量の増減によって現在の当該駅と一致する光景を示します。しかしながらSCP-XXX-JPの描写は常に電灯が灯った夜明け前頃であり、当該駅を利用する電車は確認されません。また当該駅を利用する客が電車を乗り降りする場合、瞬間的に出現するように描写されます。描かれた女性はベンチに座る・立つ・読書や裁縫を行うなどの動作を行っています。多くの場合、この女性を認識した対象は「電車(あるいは「何か」)を待っているような」と表現します。

SCP-XXX-JPは視認可能な範囲に存在する不特定の対象に影響を与え、後述の幻覚を体験させます。この影響を複数の対象が同時に受けた事例は確認されていません。この影響を受ける対象の条件は判明していませんが、影響を受けた対象(以下、被験者)からは「視線を感じた」、「絵の中の女性と目が合った」、「女性の声に呼び掛けられた」などの証言が得られています。これらの証言に一致する事象は観測されていません。幻覚内で被験者はSCP-XXX-JPの存在および1940年代以降の歴史認識を部分的に忘却すると推測されています。この忘却は幻覚から覚醒した際に解消されます。また幻覚内の被験者は軽度の暗示処置などでコントロールが可能です。被験者を意図的に幻覚から覚醒させる試みは成功していません。幻覚内の時間経過は概ね現実と一致していると推測されます。

以下は被験者がSCP-XXX-JPによって体験する幻覚です。

  • 被験者は駅に停車している電車に乗っていることに気付きます。またそこが伊頼寺前駅の始発であることを認知しています。
  • 反対車線のホーム1に女性(以下、SCP-XXX-JP-a)が存在していることに気付きます。
  • SCP-XXX-JP-aは被験者に話しかけます。多くの場合、SCP-XXX-JP-aは被験者およびSCP-XXX-JP-aがどこへ行くのかを話題にします。
  • SCP-XXX-JP-aは自身をマリー・ゲハイトマン(Marie Geheitmann)2と称し、アメリカから帰国する婚約者の舟緒ふなお 清史郎せいしろう3を横浜港まで迎えに行く予定であると話します。(マリー・ゲハイトマンおよび舟緒 清史郎の詳細は別途資料を参照してください。)
  • SCP-XXX-JP-aとの会話中、被験者は思い出の場所に向かっていると思い出します。多くの場合、その思い出は被験者にとってポジティブなものであり、被験者と親密な関係にあった人物が関わっています。
  • 被験者がSCP-XXX-JPの影響を受けてから約13分後、被験者は幻覚から覚醒します。この覚醒について被験者は、「電車が出発してしばらく走行した後に、夜が明け、窓の外から強い光が差し込み、眠りから覚めるよう」に覚醒したと証言しています。
  • SCP-XXX-JP-aを無視する・席を移動する・電車から降りるなどの行動でSCP-XXX-JP-aとの会話を行わない場合、あるいは被験者の言語能力などによりSCP-XXX-JP-aとの会話が不可能であった場合、被験者は速やかに幻覚から覚醒します。

被験者は幻覚中の体験を「非常に現実的であった」、「現実の当該駅に転移していたようだった」と評価します。複数回の実験の結果、SCP-XXX-JP-aは他の被験者および幻覚中の経験を記憶していないように観察され、あくまでも被験者の幻覚の中のみの存在であると推測されています。

SCP-XXX-JPは伊頼寺町の郷土資料館の倉庫で発見されました。収容当初、SCP-XXX-JPは「動く絵」としてAnomalousアイテムに分類されていましたが、1998/4/28、Anomalousアイテム収容倉庫を巡回していた冴崎研究助手がオブジェクトと類似した幻覚を報告したため、さらなる研究が行われることになりました。その結果、新たな異常性が判明し、SCPナンバーの付与、オブジェクトクラスの変更および特別収容プロトコルの改定が行われました。発見場所である郷土資料館にはSCP-XXX-JPに関する資料は存在しておらずその来歴は不明です(補遺-3を参照)。またSCP-XXX-JPが異常性を獲得した経緯も同様に不明です。郷土資料館および郷土資料館関係者、保管状況などに異常存在との関係は確認されていません。SCP-XXX-JPの発見者および郷土資料館関係者には記憶処理が行われ、カバーストーリー『絵画のクリーニング』が適用された後に非異常の絵画と交換されました。

補遺-1: SCP-XXX-JPの実験記録の抜粋

補遺-2: 1999/3/4、SCP-XXX-JPの表面が暗色になりました。その瞬間を目撃した職員からは「数回に渡ってSCP-XXX-JPの表面が明滅するように変色した後に完全に暗くなった」、「電球が切れたようだった」と報告されています。調査の結果、当該駅の電気配線が断線していることが判明しました。変色の確認から約5時間後、断線は修復され、同時にSCP-XXX-JPの描写も回復しました。断線の修復から約30分の間、描写された女性は「不安がるような」様子であったと報告されています。この事案の最中はSCP-XXX-JPによる幻覚が確認されていませんが、断線との関係は不明です。

補遺-3: 2001/4/22、SCP-XXX-JPの製作者が特定されました。SCP-XXX-JPは伊頼寺町に隣接する██町の舟緒 ███(舟緒 清史郎の弟)によって1930年代の不明の時期に作成されています。該当人物は既に死亡していましたが、大甥にあたる舟緒 ██氏との接触に成功し、SCP-XXX-JPの作成に使用したと思われる素描および文書を計46点(以下、SCP-XXX-JP付属資料)回収しました。SCP-XXX-JP付属資料によると、SCP-XXX-JPは「当時、町に移住してきた異国の女性」を題材にした人物画として作成されています。また舟緒 ███は該当女性に対して「強い関心」あるいは「偏執的な感情」を持っていたと推測されています。舟緒 ███の死後、舟緒 ███の制作物は当時の██町の有力者であった██家に寄贈されています。SCP-XXX-JPが伊頼寺町の郷土資料館にあった経緯は不明です。SCP-XXX-JP付属資料の女性の素描とSCP-XXX-JP-aは「非常に良く似ている」と評価されています。舟緒 ███氏、██氏およびその血縁者に異常存在との関係は確認されておらず、またSCP-XXX-JP付属資料およびその他の制作物に異常性は確認されていません。

補遺-4: SCP-XXX-JP-aのインタビュー記録

補遺-5: 2015/4/26、SCP-XXX-JPの描写がマリー・ゲハイトマンと推測される老齢の女性のバストショットに変化していることが確認されました。SCP-XXX-JP付属資料に類似の描写は確認されていませんが、被験者はこの老齢の女性とSCP-XXX-JP-aを「非常に良く似ている」と評価しています。また、この日以降、SCP-XXX-JPは異常性が確認されていません。

2016/4/26、SCP-XXX-JPは異常性の消失を認定されました。


▼ セキュリティクリアランスレベル4以上の職員のみ閲覧可能
閲覧を希望する職員はサイト-81K3E管理者に申請し、パスワードを取得してください。

SCP-XXX-JPの無力化に伴い、セキュリティクリアランス制限が解除されました。


2001/9/10: 科山博士の提言によりSCP-XXX-JPおよび伊頼寺町の再調査を行ったところ、以下の結果が得られました。

  • 伊頼寺町と██町の地形、地質および歴史の類似性が確認されました。
    • 伊頼川および██川の水量は概ね一致しています。しかしながら███川は両方の川が流入しているにも関わらず、伊頼川あるいは██川に相当する水量が確認されませんでした。
    • 岐阜県の総面積が衛星測量と実地測量では結果が異なることが確認されました。実地測量の場合、伊頼寺町の面積に相当する約██km2分の面積が増加していることが確認されました。
    • 1920年代に伊頼寺町および██町に居住していたヒトを調査した結果、サンプル数██件中██件について伊頼寺町と██町に同一人物が存在していた可能性が判明しました。(主に戦災により充分かつ正確なサンプルを得られていません。)
    • 1923年以前の伊頼寺町の存在を確認できません。
  • SCP-XXX-JPに関する明らかな異常を財団は関知していませんでした。
    • 再調査以前のSCP-XXX-JP担当職員が確認できません。
    • 再調査以前にSCP-XXX-JP報告書および追記、関連文書を執筆した職員が確認できません。
    • マリー・ゲハイトマン、舟緒 清史郎などSCP-XXX-JP関連人物の判明に関与した職員が確認できません。
  • SCP-XXX-JPの関連人物などが判明するまでの間に財団の調査能力と比べて不自然な遅れがあることが指摘されました。
  • 実験で得られた被験者の思い出の場所が主に岐阜県伊頼寺町から神奈川県横浜市に存在している、あるいは存在していた鉄道路線付近に存在していることが指摘されました。
  • 被験者の「思い出」として得られた地点に微弱な時空間の歪み(以下、SCP-XXX-JP-P)が確認されました。SCP-XXX-JP-Pよる一般人への影響は低いと推測されています。
  • 上記の異常を財団は関知していませんでした。

補足: 総面積の差異、川の水量、SCP-XXX-JP-Pなどに関してはAnomalousアイテムとして管理され、隠蔽されています。またこの時点からSCP-XXX-JP報告書および追記、関連文書の執筆に関する厳格化とSCP-XXX-JPの実験に関する制限が加えられました。

2002/8/1: SCP-XXX-JP-Pについて財団内部から文書が発見されました。文書によるとSCP-XXX-JP-Pは1923年には蒐集院に認知されており、その後に財団に引き継がれていたことになっています。しかしながら、該当の文書を執筆した人物および職員は確認できておらず、SCP-XXX-JP-Pについて認知していた職員も確認されていません。また当時の技術でどのようにSCP-XXX-JP-Pを発見したのかも不明です。

2004/3/1: 岐阜県内の市町村合併に際し、伊頼寺町は██町に編入されました。

2005/7/29: SCP-XXX-JP-Pが縮小していることが確認されました。衛星測量と実地測量の結果の差異が縮小していることが確認されました。███川に流入する水量が徐々に増加していることが確認されました。

2007/6/15: 全てのSCP-XXX-JP-Pの消失が確認されました。

2013/5/1: 衛星測量と実地測量の差異が誤差レベルに縮小しているのが確認されました。また███川の水量の異常がおおむね解消されていることが確認されました。

2015/4/26: SCP-XXX-JPの描写の変化が確認されました。

2015/4/28: ██町の郷土資料館に変化後のSCP-XXX-JPと類似した絵画が存在していることが判明しました。該当の絵画は若い女性のバストショットでしたが、変化後のSCP-XXX-JPと新たに発見された女性の絵は「祖母と孫のように似ている」と評価されており、特に被験者は「同一人物である」と評価する傾向にあります。

2016/4/26: SCP-XXX-JPの異常性の消失が認定されました。

2016/5/1: 異常性の消失に伴い、セキュリティクリアランスによる閲覧制限が解除されました。公開に伴い文書の簡略化が行われました。

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  • 幻覚
  • 視覚

Ms.Geheitmann waiting for the first train of Iraidera Station