TF2045の物置小屋
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「やあ、お邪魔するよ」

広いスタジオの扉が開き、ロイヤルブルーのスーツの男が、笑みを浮かべながら奥のセットへ進んでいく。男――ラフィ・マクラファーソンの視線の先では、ピエロのボブルが椅子に座っていた。カラフルな衣装とメイク、トーク番組のような派手なセットとは反対にその表情は暗く、床やテーブルには大量の資料が散乱していた。ラフィは床から何枚か資料を拾い上げてから、やや俯いているボブルに目を向ける。

2人はそれぞれ長寿ドッキリ番組の進行役と、子供向け教育アニメのキャラクターという対照的な人物ではあるが、今求めているものは同じだった。

インターネットの普及によるテレビの衰退、そして番組の終了を真剣に危惧していたボブルは、何とかしてそれを防ごうとしていた。普段のどこか不遜なキャラクターを捨て、多くの人物を必死に説得し、一堂に会して対策を協議する約束を取り付けた。ボブルと同じ、教育テレビ番組の司会者じわじわと人気を高めている通販番組の進行役たち一部の層からのカリスマ的人気を誇る牧師。既にこのような顔触れが計画に賛同している。彼らにとっても、衰退と打ち切りは存在意義の消滅と同義である。協力者はゆっくりとだが着実に集まっていった。ラフィもその実力ある協力者の1人である。

ラフィ自身はテレビが無くなろうと活動していけるため、計画に乗る確率は低いと一時は予想されていた。ある程度メンバーが集まったあたりで状況は一変し、「ポリシーに従う」という理由から計画に加わった。これはボブルにとっては願っても無い展開で、ラフィの長年の経験と豊富な知識は強力な武器となった。その翌日から、ボブルはラフィに頼み、協議とは別に何度か議論を繰り広げている。今日もまた、そのためにわざわざスタジオが準備されている。

「少しは休んだら? まとめ役が倒れたら一大事だ」
「ああ……ありがとう。でも今は解決策を練りたい」

僅かな沈黙の後に返ってきた答えを聞いたラフィは、やや呆れ気味に「お疲れ様」と労いの言葉をかけ、今回に持ち越された議題について尋ねる。

「ところで、前回僕が言った案、君はどうするんだい?」

ラフィが言う案というのは、「ネット放送への志願制の移行」である。当然、これはテレビの衰退を防ぐことを最大の目的とするボブルの意思を真っ向から否定する、ある意味本末転倒なものだったが、完全に反対することはできなかった。
そもそも、協議の参加者たちの多くが目指しているのは「番組の存続」である。衰退や終焉が確実に迫ってくるならば、今後の視聴者と発信力の増大が容易に想像できるネットで活動すればいい。これなら多くの番組が簡単に目的を果たせる。それに、ネットでの知名度と影響力を上げれば、テレビ以上の黄金時代を築くことだって夢ではない。

あくまでもテレビという場にこだわるボブルは「双方が納得できる結論を見出す」という議論の目的も忘れ、ラフィのアイデアをねじ伏せ、皆を説得する対抗策を見つけようとしていた。ただ、未だにそれを見つけられてはいなかった。代わりに口から出てきた言葉は、ずっと昔から持っていた、拒絶する理由だった。

「……番組を守るためなら、あの案も悪くないよ。でも、ボクは志願なんてしない」
「へえ。理由は?」
「いい年した大人でも馬鹿なことをやらかすようなインターネットは子供たちに悪影響だ。ネットに頼る前に、できることがあるはずなんだ」

ラフィは小さな声で、ふうん、と呟き、「確か、『子供たちの人生を彩る番組』だったよね」と続けた。

「確かに子供は大切だよ。そのために危険を遠ざけるのも必要だ。でもそれって、肝心の『情報を伝える手段』を潰してるだけじゃないかな? 社会だって、そんな危険を野放しにしているわけじゃない」

理想に理解は示しつつも、ラフィは返答に納得できていなかった。声も表情もにこやかに保ちながら、反論のためにスーツの内ポケットに手を伸ばす。手はすぐに、1台のゲーム機を持って外に出てきた。

「例えば、これ。インターネットができるゲーム機。こういうのには保護者が機能に制限をかけることができる。ホームページの閲覧やカードの使用とかにね。あのツイッターだって13歳未満の人間の利用が禁止された。まだまだゆっくりとだけど、確実に締め上げは進んでる。それでも安心できない?」

「……できないね。それでも」

このポリシーはボブルがテレビデビューした頃に決めた、彼の全てとも言えるものだった。そのために、実用的で確実な効果が得られる知識を提供してきた。教育を妨げる親を抑える手段も作った。現れた邪魔者には自分らしい方法で仕返しを決めた。

「でも、君も子供たちのためだけに番組をやっている訳じゃないだろう? ほら、『あなたが嫌い』とその次の」
「あれは……今は反省してる」


起(対談の始まり)→承(ネット放送への移行)→転→(互いのポリシー)→結()

(ここから先改稿)

「いいかラフィ、1つ言っておいてやる」
たっぷりとメイクを施した道化の顔が、怒りで僅かに赤く染まった。
「ボクはみんなの人生を彩るために全力を尽くしているんだ。その点に関しては、あの白衣とスーツの連中がボクを潰そうとしても、絶対に変わらない」

「お前と同じでボクにも志ってもんがある。」

「志? 随分変なことを言うね」

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Eric&Dylan

エリック・デヴィッド・ハリス(左)
ディラン・ベネット・クレボルド(右)

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1の出現を把握するため、アメリカ合衆国の全高等学校の生徒名簿が1ヶ月毎に調査されます。出現が確認された場合、認識災害防護装備を着用した機動部隊り-8("懸念を抱いた住民")が派遣され、SCP-XXX-JP-1の監視が行われます。SCP-XXX-JP-1の大まかな行動については"監視手順:SCP-XXX-JP-1"を参照し、SCP-XXX-JP-1が対象校以外で一般人と共謀して犯罪行為を行った場合、現場周辺の住民にAクラス記憶処理を行い、通報や逮捕を防止してください。SCP-XXX-JP-1を確保する試みは、NBKイベント発生サイクルを著しく改変する可能性から禁止されています。SCP-XXX-JP-1がNBKイベント発生前に瀕死状態となった場合、財団管理下の医療施設で治療や蘇生措置が行われます。生存が確認された場合はSCP-XXX-JP-1に記憶処理が行われ、死亡した場合はNBKイベント発生から355日経過後にプロトコル・緑地会議が実行されます。

プロトコル・緑地会議が実行された場合、イベントで死亡した一般人の遺族はサイト-67に10日間拘束されます。解放する際は記憶処理が行われ、カバーストーリー「他の遺族との協議」「提訴断念」が適用されます(詳しくは補遺1を参照してください)。

説明: SCP-XXX-JPは不定期にアメリカ合衆国の高等学校(以下、対象校)を中心に発生する一連の現象です。発生から終了までの期間は約2年で、主に対象校の生徒とその関係者の行動と思考に影響を及ぼします。対象校に規則性はないと考えられていますが、後述するSCP-XXX-1及びNBKイベントの特徴から、男女別学校女子校では発生しない可能性が高いと考えられています。

SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JP発生と同時に出現する2体の人型実体の総称です。外見・指紋・声紋などの身体的特徴は、コロンバイン高校銃乱射事件13の犯人である、エリック・デヴィッド・ハリス(Eric David Harris)、ディラン・ベネット・クレボルド(Dylan Bennet Klebold)と同一です (以下、前者をSCP-XXX-JP-A、後者をSCP-XXX-JP-Bとします)。SCP-XXX-JP-1を認識した人物はSCP-XXX-JP-1の外見や出現前の記憶について、「似てはいるが別人である」「以前からいた」と主張します。SCP-XXX-JP-1の出現時、対象校に在籍する2年生の男子生徒2名が消失し、SCP-XXX-JP-1がそれぞれ「Eric David Harris」、「Dylan Bennet Klebold」の名前で対象校の2年生として登録されます。SCP-XXX-JP-1はNBKイベント発生まで対象校の生徒として行動します。これらの行動は実際のエリック・ハリスとディラン・クレボルドのものと酷似しています14が、事件に使用された銃やパイプ爆弾の購入や作成に関する行動は確認されていません。

NBKイベントはSCP-XXX-JP-1出現の約2年後に発生する、コロンバイン高校銃乱射事件と類似した特徴を持つ銃乱射事件とそれに伴う現実改変です。現在財団が確認できた限りで4件が、いずれも4月20日に発生しています。イベントは約45分間続き、13人が死亡、24人が負傷します。死亡者の内訳は生徒12人、教師1人で、死亡者と負傷者の性別に規則性は見られません。

事案記録XXX-1: 2023/04/17、SCP-XXX-JP-Bが対象校である███████高校の駐車場で死亡しました。死因は自身の口内に向けて拳銃を発砲したことによるショック死で、死体がSCP-XXX-JP-Bが所有していた自動車の内部で発見されたこと、

補遺: 第4回NBKイベント発生前、


予定タグ: euclid scp-jp 人間型 ループ 自我 精神影響 歴史 現実改変