アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8125の低危険度物品ロッカー内に保管されています。実験を行う場合はセキュリティレベル2以上の担当職員から許可を得てください。非活性化状態から変化する様子を見ていた者とDクラス職員以外、活性化状態のSCP-XXX-JPを視認することは禁止されています。SCP-XXX-JPを活性化状態のみ目視した人間はSCP-XXX-JPが非活性化するまで隔離される必要があります。
説明: SCP-XXX-JPはA4サイズの白いコート紙です。上部右寄りに「を食べて健やかな生活を!」というゴシック体の文字列が印刷されています。
SCP-XXX-JPは文字列の左側に日本語で食物の名前を書き込んだときに活性化します。食物の名前を書き込むと、書き込んだ文字は元から印刷されている文字列と同じフォントに変化します。その後SCP-XXX-JP上に文章や図表、イラストなどが現れます。現れる文章などは書き込まれた食物が健康に良いことを説明するものですが、すべての場合で科学的にあり得ないことや疑わしいことが記載されています。書き込んでから最短で3時間、最長で372日経つとSCP-XXX-JPは非活性化し、食物の名前を書き込む前の状態に戻ります。
日本語を読める人物が活性化状態のSCP-XXX-JPを視認した場合、本人の知識や経験に関係なく書き込まれている食物が「健康に良いものである」と思い込み、その食物を摂取することへの欲求を強く持つようになります。この思い込みや欲求は記憶処理をしても消えることはありません。ただし非活性化状態から活性化状態になるSCP-XXX-JPを見た人物はその影響を受けません。影響を受けた人物が書き込まれた食物を摂取した場合、若干健康状態がよくなるという結果が出ることもありますが、SCP-XXX-JPの影響であるかどうかは現在研究中です。少なくともSCP-XXX-JPに記載されるような効果が顕著に現れたことはありません。SCP-XXX-JPの影響を受けた人物は、書き込まれた食物が健康に良いということを積極的に他人へ伝えようとします。伝えられた人物はSCP-XXX-JPを視認した際と同様の影響を受けます。
SCP-XXX-JPが非活性化状態に戻ると同時に、SCP-XXX-JPの影響を受けた人物は思い込みや欲求がなくなり、影響を伝播させる異常性も失います。またSCP-XXX-JPを見たという記憶もなくなります。しかし書き込まれていた食物を摂取すると、最悪の場合死に至るほどの激しいアレルギー反応と似た症状を引き起こすようになります。これは影響を受けた人物がその食物を摂取したと認識していた場合にのみ起こり、その人物が認識できないほど加工された食物では引き起こされません。
SCP-XXX-JPは███████という食品会社のオフィスで発見されました。この食品会社では販売を予定していた自社の商品の試食で社員█人が死亡するという事件が発生しましたが、捜査機関はその原因を特定できませんでした。そのことが財団の興味を引き、SCP-XXX-JPの発見に至りました。社員の証言によるとSCP-XXX-JPは社員の一人である█████氏がチラシの試作品として会社に持ち込んだものであると判明しました。█████氏は事件が起きた翌日から行方が分からなくなっています。現在█████氏の行方を調査するとともに、類似したオブジェクトが出回っていないか監視をしています。
補遺: 以下はSCP-XXX-JPの実験に関わった██研究員へのインタビュー記録です。
対象: ██研究員
インタビュアー: ███博士
<録音開始>
███博士: それではもう一度最初から。██研究員は20██年█月██日に行った実験で、SCP-XXX-JPに██████と書き込んだ。そうだね?
██研究員: はい。
███博士: SCP-XXX-JPに現れた文章などを見て、君はどう思った?
██研究員: 文章はうまかったと思います。でも根拠のないことばかり書かれていて。グラフのデータも妙に揃いすぎていて信用できませんでした。まあそもそも██████が健康にいいはずがないので一目見た瞬間から嘘臭さしかありませんでしたね。
███博士: 一般的に██████は健康にいいとされているはずだが、どうして「いいはずがない」と?
██研究員: まさか。██████が健康にいいはずがありませんよ。悪いとは言いませんが、特にプラスにもならないはずです。
<録音終了>
上記のインタビューを受けて調査を行ったところ、SCP-XXX-JPが活性化している間、SCP-XXX-JPに食物の名前を書き込んだ人物はその食物が「特に健康に良いものではない」と思い込み、さらにその食物を摂取すると得ることができる効果をほとんど得られなくなることが判明しました。それ以外の影響は現在発見されていません。
念のためSCP-XXX-JPへの書き込みもDクラス職員にさせるようにすること。──███博士
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Neutralized Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8123の高耐久ロッカー内に、バンドの留め具を外した状態で保管してください。実験を行う場合はセキュリティレベル3以上の担当職員の許可を取ってください。
SCP-XXX-JPはサイト-8123の低危険度物品ロッカー内に保管してください。
SCP-XXX-JPの継続的な収容は現在成功していません。SCP-XXX-JPが原因と思われる事件が発生した際は機動部隊し-6"刀さらへ"が回収に向かいます。関係者にはクラスAからクラスB記憶処理を施し、状況に応じてカバーストーリー「経年劣化」「交通事故」等を適用してください。また財団が監視可能なX線検査装置からSCP-XXX-JP-aと思われるオブジェクトを発見した場合、オブジェクトの最も近くにいる財団職員をすぐさま回収に向かわせてください。SCP-XXX-JPが発現しているSCP-XXX-JP-aを収容できた時は、バンドの留め具を外した状態で専用の保護ケースに収めた上で高耐久ロッカー内に保管してください。SCP-XXX-JPを喪失したSCP-XXX-JP-a群は引き続き低危険度物品ロッカー内に保管してください。SCP-XXX-JPが発現しているSCP-XXX-JP-aを使用する実験を行う場合はセキュリティレベル3以上の職員3名以上の許可を取ってください。
説明: SCP-XXX-JPは全長68cmの黄色のジャンプ傘です。に現れる異常性です。現在SCP-XXX-JPが現れるジャンプ傘に規則性は見つかっていません。SCP-XXX-JPが発現した傘はSCP-XXX-JP-aに分類されます。
SCP-XXX-JPSCP-XXX-JP-aはバンドの留め具を外した状態では、通常の傘となんら変わりはありません。しかしバンドを巻き付け留め具を固定すると、SCP-XXX-JPSCP-XXX-JP-aは活性化します。留め具を固定した時点でSCP-XXX-JPSCP-XXX-JP-aのバンドと石突の間にある生地の内側を外部から観測できなくなります。電磁波や音波などは問題の箇所を透過できなくなり、小型カメラなどはバンドより先は侵入できる大きさの隙間があるにも関わらず進むことができず、またその隙間からも撮影はできません。あらかじめ内部に観測機材を設置していた場合、機材が消失するという結果に終わりました。この状態のSCP-XXX-JPSCP-XXX-JP-aを刀剣類を持つように握り、はじきボタンを押し込むことでバンドより石突側の部分に不可視の「刃」のようなものが現れます。この「刃」の直接の観測には成功していませんが、ウルツ鉱型窒化ホウ素を切断できるほどの能力を持っています。この「刃」ははじきボタンを元の位置に戻すことで消失します。
SCP-XXX-JP-aは通常初めて「刃」を出してから7日間でSCP-XXX-JPを喪失します。しかし生地に穴を開けるなど、傘としての機能を損なうような損傷がSCP-XXX-JP-aに与えられた場合、SCP-XXX-JP-aはその時点で即座にSCP-XXX-JPを喪失します。喪失したSCP-XXX-JPはほぼ同時刻に異常性のないジャンプ傘の一つに発現すると考えられています。
補遺: SCP-XXX-JPは19██年11月23日、高知県██町にて「ちゃんばらをしていた子供の一人が傘で玄関先のヒメシャラの木を切り倒した」という警察への通報を財団が傍受し、発見に至りました。所有者やその保護者、友人に聞き込みをしましたが、この異常性がいつからあるものなのかは判明しませんでした。製造から販売までのルートも調査しましたが不審な点は見当たりませんでした。調査の結果、財団は傘をSCP-XXX-JPに指定、オブジェクトクラスをSafeに分類しました。しかし発見から7日後の19██年11月30日、SCP-XXX-JPは実験の最中に突如条件を満たしてもその異常性を発現しなくなりました。その後数度の実験を経てSCP-XXX-JPは異常性を喪失したと判断され、オブジェクトクラスはNeutralizedに変更されました。
19██年6月4日、SCP-XXX-JPと同じ異常性を持つ傘が回収されました。関係者の証言と映像からこのオブジェクトは最初から異常性を持っていたわけではないことが判明しました。このことからSCP-XXX-JPは複数存在し、さらに新たに生まれる可能性が出てきたため、財団はSCP-XXX-JPのオブジェクトクラスをEuclidに変更、特別収容プロトコルを改訂しました。また最初に見つかったSCP-XXX-JPをSCP-XXX-JP-1に再分類、この時見つかったオブジェクトをSCP-XXX-JP-2に指定しました。
20██年9月12日、SCP-XXX-JP-3が回収されました。SCP-XXX-JP-3は20██年9月18日に行われた実験が原因で異常性を喪失しました。しかし同日のほぼ同時刻に別の場所でSCP-XXX-JP-4が発見されました。SCP-XXX-JP-4はサイト-81██所属の██研究員が所有する傘であり、X線手荷物検査装置の画像と██検査員の証言から発見時刻10分前のSCP-XXX-JP-4はなんら異常性のない傘であったことが判明しました。これらの事実からSCP-XXX-JPは複数あるのではなく、SCP-XXX-JPの異常性がランダムに1つの傘に発現している可能性が指摘されました。協議の結果、SCP-XXX-JPは異常性そのものとし、特別収容プロトコルが改訂されました。また異常性が発現した傘はSCP-XXX-JP-aに再分類されたため、それまでSCP-XXX-JP-1~4に分類されていたオブジェクトはSCP-XXX-JP-a-1~4へと変更されました。
20██年4月13日、SCP-XXX-JP-a-6が回収されました。SCP-XXX-JP-a-6は同年1月29日、旅客機に手荷物として持ち込まれており、その時のX線手荷物検査装置の画像を調査すると、その時点ですでにSCP-XXX-JPが発現していたことが判明しました。SCP-XXX-JP-a-6は7日後の20██年4月20日にSCP-XXX-JPを喪失しました。このことから一度も「刃」を出したことのないSCP-XXX-JP-aの収容はSCP-XXX-JPの完全な収容につながる公算が高いとされ、特別収容プロトコルが改訂されました。
SCP-XXX-JP-a-1
[省略]
SCP-XXX-JP-a-2
発見年月日: 19██/6/5
発見場所: 新潟県██市
発見経緯: 19██/6/4、██████というマンションの貯水タンクに穴が開くという事件が発生。地元の小学生が貯水タンクにSCP-XXX-JP-a-2を突き刺す様子を映した防犯カメラの映像を、当時新潟県警に潜入していたエージェント███が発見。映像を基に19██/6/5にSCP-XXX-JP-a-2を発見、回収した。
補足情報: SCP-XXX-JP-a-2の所有者は過去何度もSCP-XXX-JP-a-2で貯水タンクを突いており、その際「刃」が出る条件を満たしていたことを証言した。映像記録から少なくとも19██/6/1まではSCP-XXX-JP-a-2は異常性のない傘であったことが判明した。19██/6/11に異常性を喪失。
SCP-XXX-JP-a-3
発見年月日: 20██/9/12
発見場所: 大阪府██市
発見経緯: 帰宅中であったエージェント██が、地元の小学生がSCP-XXX-JP-a-3で道路のアスファルトを約20m切り裂くのを目撃。その場でSCP-XXX-JP-a-3を回収した。
補足情報: 20██/9/18に実施された実験XXX-JP-3-7の最中に異常性を喪失。これ以降SCP-XXX-JP-aに傘としての機能を損なうような損傷を与える実験は禁止された。詳細は「SCP-XXX-JP実験記録」を参照。
SCP-XXX-JP-a-4
発見年月日: 20██/9/18
発見場所: サイト-81██
発見経緯: ██研究員が側溝の穴にはまった自らの傘を引き抜こうとし、側溝の蓋が切断されるという事件が発生。██研究員は即座にこのことを報告し、SCP-XXX-JP-a-4の発見に至った。
補足情報: 20██/9/25に異常性を喪失。
SCP-XXX-JP-a-5
発見年月日: 20██/5/17
発見場所: 東京都███区
発見経緯: ███駅付近の消火栓の一部が破壊される事件が発生。現場にて、持っていた傘が消火栓用マンホールを貫通したという内容の証言をする人物が現れ、機動部隊し-6が出動。付近を捜索し、███駅の屋根にてマンホールに刺さった状態のSCP-XXX-JP-a-5を発見した。
補足: 20██/5/24に異常性を喪失。
SCP-XXX-JP-a-6
発見年月日: 20██/4/13
発見場所: 北海道██町
発見経緯: 「傘で街灯を切り倒してしまった」という警察への通報を傍受し、機動部隊し-6が出動。SCP-XXX-JP-a-6を発見した。
補足情報: 20██/4/20に異常性を喪失。
SCP-XXX-JP-a-7
発見年月日: 20██/7/28
発見場所: 秋田県███市
発見経緯: 地元の小学生が森に聖剣を隠したという趣旨の話をしているのを偶然休暇で旅行に来ていたエージェント██████が聞き、森を探索したところSCP-XXX-JP-a-7を発見した。
補足情報: 20██/8/4に異常性を喪失。
SCP-XXX-JP-a-8
発見年月日: 20██/9/3
発見場所: 福岡県███市
発見経緯: 後述。
補足情報: 20██/9/7に異常性を喪失。
20██年8月31日、福岡県███市の█小学校の4階で爆発事故が発生しました。地元の警察と消防が調査をしましたが、爆発の原因を一切突き止められなかったため財団の興味を引きました。財団が調査したところ爆発が起きる直前、現場から約80m離れた道路上で奇妙な行動を取る子供がいたという目撃情報を入手しました。調査の結果、█████という爆発事故が発生した小学校の児童であることが判明しました。以下はエージェント███が█████に対して行ったインタビューの記録です。
インタビュー記録XXX-JP-8_
対象: █████
インタビュアー: エージェント███
<録音開始, 20██/9/3>
(重要でない会話であったため省略)
エージェント██: それじゃあ██君は8月31日、学校の近くで何をしてたのかな?
█████:(約5秒間の沈黙)学校を見て。明日からまた学校が始まるなあ、夏休み終わるの嫌だなあって思って……それで、学校が爆発でもすれば休みになるのにって思って。……思っただけなんです。
エージェント███: ええ、私もたまにそんなことは思うわ。大丈夫。それで、██君はその後どうしたの?
█████: えっと、その。その場で忍者座りして、持っていた傘をこうやって、肩にかけて。
エージェント███: こうってことは、傘の手で持つ所を肩に引っ掛けて傘の先端が前を差すように手で支えて、という感じかしら?
█████: そうです。それです。それで、傘の先っぽを学校に向けて……傘を開く時に押すあのぽっちを押したんです。そうしたら。(約5秒間の沈黙)
エージェント███: そうしたら?
█████: 学校が、爆発しました……。確かに頭の中では、撃つような気持ちやったけど……どうしよう。
エージェント███: 傘で学校が爆発するなんてあり得ないわ。大丈夫よ、██君。きっと君のせいじゃない。
(以下重要でない会話が続くため省略)
<録音終了>
エージェント███はインタビュー後ただちに█████の自宅から問題の傘を回収しました。その後の実験で、巻き付けたバンドを留め具で固定したこの傘を、ハンドル付近を肩に乗せるようにして担ぎ、片方の手で傘の生地の部分を掴んで支えた状態ではじきボタンを押すと、石突を向けた方向にある物体の表面で爆発現象を引き起こすことが判明しました。どのようなプロセスで爆発現象が引き起こされているかは明らかになっていません。
当初この傘は1つの独立したオブジェクトであると考えられていましたが、平原博士がSCP-XXX-JPとの類似性を指摘しました。実験を行ったところ、このオブジェクトはSCP-XXX-JP-aであることが判明したためSCP-XXX-JP-a-8に分類されました。SCP-XXX-JP-a-8は構え方によって観測不能な「弾」のようなものをバズーカ、スナイパーライフル、ショットガン、マシンガンのように射出する能力があることが実験から判明しました。しかし実験を行う人間によって、同様の構え方でも異なる「弾」の出方をする、「弾」が出てこない、といった事例が発生しました。これは実験を行った人間の銃器の知識との関係が指摘されています。このことからSCP-XXX-JPの性質はこれまで考えられていたものとは大きく異なる可能性が出てきました。現在SCP-XXX-JPに対する実験は、平原博士が提唱している「SCP-XXX-JPの性質についての仮説」の検証が最優先になっています。