TD12734
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト81██の低危険度物品収容ロッカーに保管してください。ロッカー内の湿度は常時70%に保つ必要があります。

タイプA対象へのSCP-XXX-JPの使用実験または私的使用をする際は██博士に連絡し、承認された場合に監視下での使用が可能となります。タイプB対象へのSCP-XXX-JPの使用はセキュリティクリアランスレベル4以上の人員3名の許可が必要です。タイプC、D対象へのSCP-XXX-JPの使用はセキュリティクリアランスレベル3以上の人員1名の許可が必要です。現在、タイプC、D対象に対するSCP-XXX-JPの使用は一切禁止されています。

SCP-XXX-JP-β群はそれぞれ異なる人型収容チャンバーへ収容されます。非人間のSCP-XXX-JP-βに対する実験はセキュリティクリアランスレベル4以上の人員3名の許可が必要です。SCP-XXX-JP-βへのSCP-XXX-JPの使用実験はセキュリティクリアランスレベル4以上の人員の許可が追加で2名必要になります。

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発掘直後のSCP-XXX-JP

説明: SCP-XXX-JPは活性時に自立行動を行う石棒1です。20wt%が未知の物質、残りが既知の物質2で構成されており、周囲の湿度が高いほどより硬度を持つ結晶構造に変化する特性3を持ちます。

SCP-XXX-JPの異常性は二段階で発現します。異常性の第一段階はSCP-XXX-JPを生命体(以下、対象)に接近4させた際に発現します。接近させた際にSCP-XXX-JPは湿度に関わらずダイヤモンドに類似した結晶構造に変化し、欠損が生じていた場合は欠損部位が瞬時に修復され、異常性の発現に使用されなかった破片は未知の物質が既知の物質に置き換わった玄武岩質安山岩に変化し、特異性を失います。その後のSCP-XXX-JPの挙動は対象の性別等に応じて変化します。以下に対象の分類を示します。
分類 説明
A 以下の条件を全て満たす人型生命体のメス
・生存中である
・異性の性的パートナーが存在する、または過去に存在した
・SCP-XXX-JP-βを含む生命体を妊娠していない
・年齢が青年期中期~成人期中期5であり、極端に醜悪な外見では無い
B 以下の条件を全て満たす人型生命体のメス
・SCP-XXX-JP-βを含む生命体を妊娠していない
・年齢が青年期中期~成人期中期であり、極端に醜悪な外見では無い
・生存中であり、異性の性的パートナーが現在及び過去に存在しない、
または死亡しており、肉体の腐敗が進行していない
C A、Bの分類に当てはまらない人型生命体のメス、及び全ての非人型生命体のメス
D 性別がオスまたは第三の性の生命体

対象がタイプA、Bの場合はSCP-XXX-JPの表面が粘性、潤滑性、弾力性を有した透明の未知の液体(SCP-XXX-JP-1に指定)に覆われ、SCP-XXX-JPは男性器に極めて近い生物学的状態6に変化し、自立行動を開始します。自立行動は跳躍する、未知の手段で浮遊して移動するなどの単純な動作がほとんどであり、対象はSCP-XXX-JPを掴んで動かすなどの動作を容易に行えます。SCP-XXX-JPは対象の肉体に先端部をこすりつける動作を行う場合もありますが、対象に危害を加えたり自発的に異常性の第二段階を発現させることはありません。

対象がタイプC、Dの場合、SCP-XXX-JPの外見は変化しませんが自立行動を開始します。大抵は対象から逃避する行動を取り、対象がタイプDの場合は逃避の過程で対象を殴打等の暴力的手段を取る可能性もあります。逃避時は移動速度が最大で時速30025,000km7まで増加し、十分に逃避8した後、SCP-XXX-JPは非活性化します。

異常性の第二段階はSCP-XXX-JPが対象の女性器に挿入された際に発現します。対象は「翠の美しい目を持った男性が私を抱いている」と主張します。この男性(SCP-XXX-JP-αに指定)は性器をSCP-XXX-JPとしており年齢や人種は対象によって異なりますが瞳の色が翠色である事、やや筋肉質である事、発声しない、対象に親身な態度を取る事は共通しています。SCP-XXX-JP-αは対象以外には目視や接触が不可能であり、機材を用いた観測も成功していません。挿入後、対象とSCP-XXX-JP-αは性行為を開始しますが対象はSCP-XXX-JP-αとの行為に抵抗を示しません。また、対象はSCP-XXX-JP-αに声による命令を与える事が可能であり、ある程度の命令9にSCP-XXX-JP-αは従います。

行為中、SCP-XXX-JP-αは対象が特定の条件を満たす容姿10では無かった場合、対象の肉体の再構築を高確率で行います。SCP-XXX-JP-αは対象の腹部に手を当て贅肉を引き千切り、その肉を胸部や臀部に移植する、脚部を引き延ばす、顔に指を当て端整な顔立ちに作り替えるといった事が確認されています。再構築後の対象に正常に動作しない器官や異常な器官は確認されていません。対象はしばしば自身の肉体の再構築を「まるで私の体は粘土で、職人の手によって美しく作り直されているみたいだった」と表現し、痛みや違和感は全く感じないと証言します。また、対象が生殖機能を喪失している場合は再構築の段階で生殖機能を取り戻します。

挿入後20分~180分でSCP-XXX-JPの先端から粘性と潤滑性を有した白濁した未知の液体(SCP-XXX-JP-2に指定)が対象の膣内に噴出され、SCP-XXX-JPは膣外へ出て非活性化し、SCP-XXX-JP-αは消失します。
性行為後、対象がタイプAの場合は性的パートナーとの関係改善が認められ、特に性生活の改善が顕著です。対象は2ヵ月以内に性的パートナーとの子供を妊娠しますが、これはSCP-XXX-JPの特異性に寄る物か性生活の改善の結果か不明です。この子供には異常性は認められません。

対象がタイプBの場合、対象は性行為直後に人間と非人間を含む人型生物(SCP-XXX-JP-βに指定)を妊娠します。妊娠形態及び期間はSCP-XXX-JP-βの種類により異なりますが、胎児は約40週で出産、卵は約2週で産卵、[削除済]は約██週で排出されます。また死体女性は性行為直後に重度の昏睡状態で蘇生し、SCP-XXX-JP-βの排出または中絶直後に再度死亡します。昏睡状態の対象を回復させる処置は現在の所成功していません。
対象が人間の場合はSCP-XXX-JP-βは30%の確率で人間であり、うち60%はモンゴロイドです。SCP-XXX-JP-βは90%の確率で対象の遺伝子情報を共有しておらず、父親の遺伝子情報は毎回変化します。SCP-XXX-JP-βは現在███人誕生しています。誕生した非人間については補遺を参照してください。

SCP-XXX-JPは破壊する、対象から十分に距離を取らせる事でも非活性化を行えます。SCP-XXX-JPの非活性化と同時にSCP-XXX-JP-α、SCP-XXX-JP-1、SCP-XXX-JP-2は消失します。

収容経緯: SCP-XXX-JPは二子山石器製作遺跡11で██大学の発掘チームにより中央部で割れた状態で発見されました。発見後は発掘チームの研究室に保管されましたが発見の数日後、発掘チームの女子生徒がSCP-XXX-JPを活性化させました。その後、女子生徒や目撃していた他の女子生徒によりSCP-XXX-JPは「生きている古代の[編集済]」として██大学で噂が広がり、噂を耳にした財団エージェントの手によって収容されました。収容後、██大学の全生徒及び職員にAクラス記憶処理が施されました。

実験記録: SCP-XXX-JPに関する実験記録から抜粋したものを以下に示します。記録中に特に記載が無い場合は対象は生存中の人間です。

補遺: 199█年██月██日以降、SCP-XXX-JPに関するこれ以上の情報を閲覧はセキュリティクリアランスレベル3以上の人員にのみに制限されています。

警告: ファイルの閲覧には制限が設けられています

貴方がアクセスを試みているファイルはセキュリティクリアランスレベル3以上の人員にのみアクセスが許可されています。

    • _

    認証完了。

    セキュリティクリアランスレベル3を確認。

    ようこそ、██さん。


    文書XXX-3: 糸魚川研究主任からの書状

    さて、この文書を初めて読む研究者諸君は太古の張型からどのような生物種が誕生したのかーーもしかすれば多少の好奇心を持ってーー閲覧しに来たのだろう。かつては君が求めていた文書をここに置いていたのだが、現在は置いていない。SCP-XXX-JPは我々が大いに懸念すべき悩みの種を2個も持っているからだ。

    第一に懸念すべき事はSCP-XXX-JP-αだ。『彼』は強力な現実改変能力者だ。SCP-XXX-JP-αが持つ██Hmという値はKeterクラスに匹敵する、より正確に言えば多くのKeterクラス現実改変能力者をも凌駕する物だ。

    幸いにして現実改変は『彼』が自身の理想の姿をお相手の女性に見せ、『彼』が彼女を理想の姿に創り替え、『彼』と彼女の営みを現実の世界に反映させる事に限定されていると我々は判断した。実際のヒューム値の測定でも現実改変の範囲は『彼』と彼女だけに限定されているという結果が出た

    ……あまりに『彼』は無害過ぎるのだ。██Hmも持っていれば観測者たる我々に理想の『現実』を見せる事も可能だろう。また、カント計数機は極端に高いヒューム値での動作を保証していない。計数機は正常に動作せず、或いは『彼』が計数機を狂わせている可能性も十分ある。真に『彼』が無害である可能性はあるが、実際には現実改変が広範囲に行われている事も否定できないのだ。

    ならば、あの石棒を程よく湿ったロッカーに仕舞い込み、岩石の状態で封じるべきだと君は考えただろう。しかし、第二の懸念にして無害かもしれないでは決して済まされない本当の懸念が存在する。『子供たち』である。

    生まれた『子供たち』には例えば我々に友好な猫人や兎人たち、我々に敵意を向ける狼人たちが居た。『子供たち』がお伽噺に登場する愉快なお友達ばかりならそれで問題無かったし、君も求める文書を閲覧出来ただろう。

    しかし、SCP-XXX-JP-βは我々を驚愕させるほど多種多様だったのだ。率直に言えば種単位でSCiP認定されている人型生命体も誕生した。それも1種や2種では無い。もっとだ。Keterクラスまで存在する。そのような存在も載せたリストをただ置いておく状態に出来るだろうか?

    だが、裏を返せば厄介な異常存在の幼体が--確率の問題はあるが--ほぼノーリスクで手に入れらるようになったのだ。我々はまだ我々が収容していないその種を収容する為に、その種が脅威となっても封じる事が出来るようにSCP-XXX-JP-βを徹底的に研究しなくてはならないのだ。

    そして、これも覚えていて欲しい。『子供たち』は皆、例外無く非常に--人類に勝るとも劣らないほど--賢い。万が一彼らが大規模収容違反をし、子孫を増やす事が出来たのならば我々の文明に取って代わる可能性がある事を忘れないで欲しい。

    ここまで読んだ君は、SCP-XXX-JPの私的利用を許可している現在のプロトコルは危険だと感じただろう。実際には私的使用の申請は全て却下し、記憶処理により却下された事、あるいは申請した事の記憶を消している。ここで1つ情報だが、職員に私的使用を許可しているレベルに安全なSCiPは実験の申請がそうでは無いSCiPの倍以上ある。O5評議会と日本支部理事会はこの経験則を利用し、一人でも多くの『母親』を生み出す為に現在のプロトコルを制定したのだ。

    君はこの文書を読み終わろうとしているが、君が適切な権限を所持していればSCP-XXX-JPについての更なる機密文書が閲覧可能となる。君にはより多くの真実を知る事が許されるのだ。

    レベル4/████クリアランスを確認。

    文書を表示します。

    文書XXX-B-21: ブライアン副局長からの書簡

    まずはSCP-XXX-JPーー日本の遺跡から発見されたよく作られた張型ーーの説明で誤っている部分を諸君に教えなくてはならない。人間女性が妊娠するSCP-XXX-JP-βが我々人類である確率は30%ではなく28%である。当初は人類は30%の確率で出現するとされていたが、後に内2%は人類とは異なる種であると判明したのだ。

    その種は我々とほぼ同一と言える外見ーー強いて違いを挙げるなら人類より少しだけ毛深くて色黒なぐらいかーーをしており、知能は人間と互角で言葉だって問題無く使える。人類のSCP-XXX-JP-βとすぐ友達になったし、担当の職員は彼らも人類の子として可愛がった。幼児の彼らは昼に寝て夜に起きていた事以外、外見内面共に人間のそれと同一なのだ。人類だと勘違いするのも無理は無い。

    しかし、我々が導入して間もなかった遺伝子鑑定により、彼らは我々とは異なる遺伝子を持っていたと判明したのだ。だが、問題の本質は彼らが人類のそっくりさんだったという事ではない。彼らの遺伝子が我々のデータベースに保存されていたとある種、種が丸ごとSCiP認定されているとある種と完全に一致したのだ。

    SCP-1000である。

    この事実は我々SCP-1000研究チーム、そしてO5評議会を非常に驚愕させ、苦悩させた。彼らは『猿』では無く『人間』であったからだ。様々な議論が繰り広げられたが事態は進展せず、最終的に思い切った実験を行う事にした。SCP-1000の遺伝子を持つSCP-XXX-JP-β、SCP-XXX-JP-β-1000に分類された子らと捕獲されたSCP-1000のペアを数組作り、長期間に渡り同一の空間内で生活させたのだ。SCP-XXX-JP-β-1000は英語を話せるが、相手は話せない。

    15年に及ぶこの実験は幾度も我々を驚かせた。まず我々を驚かせたのはSCP-XXX-JP-β-1000とSCP-1000の初対面である。お互いに相手を襲ったり恐れたりする事はせず、2人はまるで永きに渡る別れからの再開を喜ぶように抱擁や握手を行った。

    その後の2人はまるで家族や親友、恋人のように親しい仲になった。最初はお互いにジェスチャーでコミュニケーションを取って居たが次第にSCP-XXX-JP-β-1000がSCP-1000に英語を教育し、SCP-1000は拙いながらも英語を話せるようになった。この事実はSCP-1000がチンパンジー並みの知能しか持っていないと判断していた我々の認識を大きく変える事になった。対するSCP-1000も[削除済]でのコミュニケーションをSCP-XXX-JP-βに教授し、SCP-XXX-JP-β-1000はそれを使えるようになった。

    最終的にSCP-XXX-JP-β-1000とSCP-1000は英語や[削除済]によって円滑なコミュニケーションが可能になり、SCP-1000の知能も8歳程度の人間の児童の物にまで進化した。

    実験のペアの中には互いに異性であるペアも存在し、実験開始から数年後には成長したSCP-XXX-JP-β-1000とSCP-1000の間に恋心が芽生えていた。最終的に2人は愛を語り合い、愛を確かめ合い、子を儲けた。妊娠は順調に進み、誕生した子は例外なく『人間』の姿をしていた。知能も人間のそれと同等だったが、遺伝子はSCP-1000だった。

    実験の一連の結果を受けて我々はいくつかの結論を下した。第一に、SCP-XXX-JP-β-1000は紛れもなくSCP-1000である。第二に、SCP-XXX-JP-β-1000と接触したSCP-1000はある程度の知能を取り戻す。第三にSCP-XXX-JP-β-1000とSCP-1000の子はSCP-XXX-JP-β-1000である、と。

    ここで新たな疑問が生まれた。SCP-XXX-JP-β-1000は何者なのかという事だ。それを知るべく私と局長、日本支部のSCP-XXX-JP-βの複数の研究チームの主任研究員たちと意見交換を行った。

    彼らは彼らで幾度も意見交換を行っており、1つの仮定を立てていた。SCP-XXX-JP-βはその人型生物種の最も優秀な、或いは進化した状態で誕生する、と。根拠は人間のSCP-XXX-JP-βは知能テストと運動テストの成績が最優秀クラスに位置するから、障害を持つSCP-XXX-JP-βを1人も確認出来ていないからという事らしい。

    そして我々もある仮定を立てた。SCP-XXX-JP-β-1000は最も進化した状態のSCP-1000である。より具体的に言うなら、SCP-XXX-JP-β-1000は『花の日(The Day of Flowers)』以前に地球の支配者として君臨し、現在の人類と勝るとも劣らない知能を持ち、類人猿の肉体を与えられる前のSCP-1000実体である。

    我々はすぐさまO5評議会と日本支部理事会にこの仮定を伝えた。さらに、SCP-XXX-JP-β-1000全員の終了、SCP-XXX-JPの実験の停止を要求した。要求した理由は彼らが1人でも収容違反した際のリスクが大きすぎるからだ。1人でも野生のSCP-1000に接触すれば彼らは急速に知恵を取り戻し、類人猿では無いSCP-1000が野生にも発生する。その後どうなるだろうか?

    レベル3/████クリアランス、レベル3/████-JPクリアランスを確認。

    文書を表示します。

    記録XXX-123: 財団による第五次二子山石器製作遺跡発掘調査にて、甲骨文字が書かれたベリリウム青銅の遺物が発掘されました。年代鑑定の結果、遺物は紀元前1700年頃に制作されたと判明しました。以下は甲骨文字を現代語訳した物です。

    日昇る処の天子より日出ずる処の天孫へ

    [数行判別不能]

    貴方様の元へ使者を通じて青銅、石神様をお送りします。石神様は山林の[判別不能]の神で御座します[判別不能]様の男根であり、我らに恵みをもたらします。

    男の女と石神様が交われば女は良き妻賢き母となり、子孫繁栄は約束されます。

    乙女と石神様が交われば女の腹に聖人の魂が宿り、子として再び生を受けます。聖人は顕世のみでなく、三千世界に生きとし生けた存在です。転生した聖人が人の子なら指導者として大地を治め、そうでなけれ英雄賢者として君主に力と智慧を与えるでしょう。

    石神様はかつては[数行判別不能]

    と幾代にも渡り受け継がれ、日没する処の地子より日昇る処の天子に受け継がれました。我らは石神様の御加護により民を増やし、聖人の力と智慧を我が物としました。蛇の賢者が我らに与えし智慧は特に崇高な物であり、我らはこうして大地を平定する事が出来ました。

    [数行判別不能]

    なので石神様を神々が恋した地に御座します、日出ずる処の天孫にお渡しします。[判別不能]様、その王たる[判別不能]様の加護があらん事を。

    貴方が所持する権限ではこれ以上の文書の表示は行えません。

    お疲れ様でした。