啄木鳥の巣箱

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I woke up late again today… I really should start setting an alarm or something. Doc Rhodes was pretty pissed off, said I'm the worst secretary he's ever seen. That old man's told me that every day for three years now. When's he gonna lighten up? At least the work is easy.

He's been studying a bunch of papers and stuff from one of his patients' home. A guy called Raul Sounder, went crazy and killed a bunch of people. Said he was on some kind of 'quest for meaning', whatever that is. He had this weird obsession with the number eighteen. Rhodes called it the worst case of something called 'Pareidolia' he'd ever seen. Helluvva word, pareidolia. Anyway, I should go to sleep. That damn crow kept me awake all night… I really wish I could live in places where the birds don't cry all night and keep me up.


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今日も寝坊…本格的にアラームか何かをセットした方がいいかも。ローズ先生は怒って、私のことをこれまでで最悪の秘書だって言ってきた。あの年寄り、毎日毎日飽きずに3年間ずっと同じことを言ってくる。機嫌が良いところなんて見たことが無いんだけど。仕事がラクなのがまだ救いね。

このところ、先生はある患者の家から貰った山ほどの書類や資料を研究している。ラウル・サウンダーという男性が気が狂ってしまってたくさん他人を殺したとか。その目的がある種の「人生の意味探し」だったとかなんだとか。あと件の男は数字の18に妙なこだわりがあって、それを見た先生は、「今まで見てきた『パレイドリア』の中でも最悪の症例だ」とか言っていた。 パレイドリアってヘンな言葉よね。今日はこの辺りにしておこう。外のカラスが夜中にずっとうるさいせいでロクに寝れないのよね…鳥達が夜中に鳴かない、ぐっすり眠れるようなどこかに引っ越そうかしら。


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他の人が「日記さんへ」みたいな日記の書き出しをするのって意味が分からないのよね。ただノートに文字を書いてるだけなのに「特別なことをしてます」感を出すのってイタくないのかな。

Aまぁいいわ。今日は仕事は楽だったし、先生の小言に目を瞑れば結構良い一日だった。ローズ先生にサウンダー関係の大量の資料の整理をさせられたから、休めるほど楽という訳ではなかったけど。おかしなこともあって、貰った書類には埃…?では無いと思うけど粉のような物質がついていた。まるで粉まみれの部屋に保管されていたみたい。そのせいで紙の手触りも心地悪かった。しかも紙で指も切ってしまうし。結構傷が深くて、腫れて膿んでしまったみたい。

もう寝よう。あのカラスども、また起こしてきたらもう許さない。夜中にあの鳥達が鳴かないどこかに引っ越せれば本当にいいのにな…はぁ、書いていること昨晩と同じね。「鳥達が鳴かないどこか」。ちょっと詩的で気に入っちゃった。


██/██/████

今日は暇な一日だった。

でもローズ先生はいつもより様子が変だった。ビルを曲がった先の交差点にある赤信号が他よりも速く変わるだとかで、ずっとグチグチ言っていた。窓から顔を出しては信号の色が変わるのを見ようとして。うん、まあ、彼のような年寄りはいつかは変なことをするようになるものでしょう?知らないけど。

そういえば!英語の先生の患者さんがいて、「『鳥達が鳴かないどこか』という面白いフレーズを思いついた」って話したの。彼女は「本や短編のタイトルなんかに良いと思う」って。もっと良い反応を期待してたからちょっと拍子抜けだけど。それにしても本当に詩的。小説「 鳥達が鳴かないどこか」、スーザン・ジェームズ作、ね。

そろそろ寝なきゃ。でもカラスが今晩鳴いてくれないかちょっと期待している自分がいる。そうしたら、鳥達が鳴かないどこかで寝られないことに文句が言えるから。


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ローズ先生が死んだ。

あの信号機のことでおかしくなってしまったのかしら。先生は昨日の夜中に出かけて、そしてあの信号機で首を吊ったんだって。私は一日中事情聴取に付き合わされて、「彼は自殺を仄めかす言動をしていたか〜」とか「最近の彼の精神状態はどうだったか〜」とか質問責めにされた。先生が例の信号機の光の点滅について、ずっとイライラしながら小言を言っていたことを伝えたら、警官さんは頷きながらそれを書き留めていた。その間ずっとあのカラスの鳴き声が聞こえて不愉快だった。警官の1人に「鳥達が鳴かないどこかで寝ないといけなかったなんて、先生は可哀想ね」と言ったら、私が変なことを言ったかのような目つきで私を見てきた。私の言ったことのどこが変なのよ。

このフレーズは私の自慢なの。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達鳴かないどこか。ねぇ、こうやって言っていたら素晴らしい言葉に聞こえてこない?

はぁ、寝よう。私が鳥達が鳴かないどこかで寝なくてもいいなんて、すごく嬉しい。


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仕事を探さないといけないけれど、このアパートの外に出たくはない。窓の外のカラスの声があまりに心地よくて…鳥達が鳴かないどこかに行くことが怖くなってきたくらい。冬が来たらどうしようかしら。南の方に行けば良いか。


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鳥達が鳴かないどこか。


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あのカラスが昨日は一度も鳴いてくれなかった。不安になってしまう。一晩中寝返りをうちながらあの甲高いカーカー声が私を寝かしつけてくれるのを待っていたのに、結局鳴いてくれなかった。鳥達が鳴かないどこかにいるなんて、嫌だ。


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鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか。鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか鳥達が鳴かないどこか—(数ページ続く。 –██████博士)


調査メモ:

スーザン・ジェームス氏の日記は、彼女が自殺したと思われるそのすぐ後に財団によって回収されました。ジェームス氏が自分の部屋から数日間出ていないことに気づいた隣人が地元警察に通報し、警察が駆けつけた時には彼女は幾度か[データ削除済み]を繰り返していた状態で発見されました。この事件の詳細な状況とローズ氏の事件との関連性は財団の注意を引き、ジェームス氏に関する全ての資料は財団によって回収されました。アイテム番号SCP-E-███-2、「サウンダー文書」は分析のために引き取られました。

補遺: SCP-E-███-2を扱う全ての研究者は完全な危険物取扱用防護装備を着用して臨むこと。次の[編集済み]を生み出すことは許容できません。

Two birds with one stone.1

俺は雪の中を歩いている。足音はスローではあるものの一定のリズムを刻み、風の無い風景のなかで驚くほど遠くまで響いていく。俺の名前はニール、1月上旬のこの時期に、山腹を飛びまわるシカをハンティングしている。

SCP財団が所有するバンの1台がセクター28の集荷口に停車したのは今から6時間前のことだった。天候を思えば、彼らが運んできたものが何であれ、それがまだ生きていることは驚きだった。車内はさぞ快適な気温であったに違いない。

山中で道に迷ったと思ったとき、孤立したシカの足跡が続いているのを見つけるようにしている。こうやって奴を追うようになったのはついさっきのことだが、この方法が順調にいっていることについてはかなり自慢に思っている。そして風が穏やかであることを静かに祈りつつ、俺は足早に歩き続ける。あの毛皮野郎をひっ捕らえてやるのだ。

例のトレーラーの中身について俺が少しでも知っていたとしたら、停車したバンのドアをすぐに開けるような迂闊な真似はしなかっただろう。オジロジカに似た生物が中にいるのが視界に入ると、そのシカは戸口の端に脚をかけ、俺の頭上を遠く飛び越えた。高く飛び上がった、そのシカはムササビのような不気味な皮を広げ、森に向かって飛び去っていった。

前方に森が深くなってきた。あの愚かなシカが木に衝突して首を折ってしまっていないことを願う。奴を逃がすことはもちろん重大な問題だ。だが奴が死んでしまうことは俺にとって同じ意味を持つだろう。雪が松の幹にもたれかかるように、緩やかに傾斜しながら吹きだまっている。深い白の中をラッセルしながら進むのはより多くの体力を奪われる。やがてわずかではあるが開けた景色が眼前に現れ、俺は待つことにした。奴はいつかは着地しなければならないが、それをうまく利用できるかもしれない。

例のシカ…仮にそれが実際にシカであったとして、それは奇妙な生物だった。地上から飛び立てる以外にも、いつも隠れているあの皮膚を広げるために肩関節を回転させ、脚を身体と垂直に延長させることができる。徐に雪の中に身を潜ませながら、その皮膚が何というものであったか講義の日々に思い出を巡らせた。するとすぐに、ある考えを思いついた――飛膜だ、あの滑空用の皮膜は、その緊縮性を調整する能力がなければ役には立たない。つまり俺のすべきことは、ただあの空飛ぶシカに飛び乗り、ベルトで身体を縛り上げるだけ…言うは易く行うは難し、だ。

突如頭上に影が走り、俺は視野を上に向けた。シカだ、諸悪の権現であるバンビが、俺が隠た反対側の開けた場所の端に着地した。だが奴は横たわった――低温はシカの体力をあまりに早く奪っていた。今しかない――ベルトを手に、ズボンを無造作に脱ぎ捨て、自分が知っている限り最も下品な言葉を叫びながら、俺は獲物に跳びかかった。

それからおよそ3時間後、俺はセクター28へと戻っていた。陽は傾き、雪だるまのケツよりも冷えた寒気の中、俺は意識の無いシカを運んでいる。どうにかして奴の2本の脚を縛ることはできていたものの、しかし物事は順風満帆というわけではなかった。集荷ドアの内側にいるスタッフにシカを引き渡すと、俺はシャワーや着替え、そしてあったかい布団で眠るためにオフィス兼宿舎へと向かった。自分の名前が書かれている特注のドアに入り、あの生物がこれからどうなるのか、どのナンバーが割り当てられるのか――俺たちが対処しなくてはならない、あの狂った魑魅魍魎の山の中から――を考えた。

オフィスの電話が鳴り響き、受け入れ難いほど早い時間に起こされた。リサーチ・ディレクターの1人がナナ-ニ-ハチを確保したことへの感謝の言葉を語りはじめ、そして週の後半に到着する3つのオブジェクトに対してはより丁寧に取り扱う旨の依頼があった。俺は従わざるを得ないようだ。電話を切ろうと手を伸ばしたとき、ディレクターがもう1つの面白い情報を語り始めた――合衆国のどこかにいるとされる生きた朝食の報告を調査するためにチームを結成するのだが、そこに俺が必要らしい。近い将来この仕事を辞めるだろうな、と俺は心の中でボヤいた。



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