永遠の築17年

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは表向きにはただの木造住居として管理されています。SCP-XXX-JP内には常に2人以上の職員を配置し、記録、管理を行います。その性質から周辺住民への特別な処置は必要ありません。また、5年から10年に一度は管理職員を引越しという形で入れ替えてください。また、その特異性から補修作業は必要ないと思われます。

事件記録XXX後SCP-XXX-JP敷地内への立ち入り、また、再建築は一切禁じられています。

説明: SCP-XXX-JPは200█/█/██年に日本の██県██市の住宅街に建築された二階建ての一般的な木造建築物の家屋です。現在の設計士は███ ████氏です。この情報は不定期に改変されます。SCP-XXX-JPがscpとして発覚するまでの所有者は、財団職員の山██ ████氏でした。

SCP-XXX-JPは強力な現実改変能力を持っており、常に自身が現在より17年前に建築されたという事実を固定します。改変は映像、音声、書物、記憶、ありとあらゆる全ての記録に影響し、山██ ████氏の報告があるまで発覚する事はありませんでした。

200█/█/██の山██ ████氏の報告によると、SCP-XXX-JPは199█/█/██に建築された築17年であるに関わらず、山██ ████氏とその家族は198█/█/██からそこに18年居住しており、17年より前に関する会話が周囲住民との会話も噛み合わないと言うことでした。山██ ████氏の報告を元に1年後に調査したところ、SCP-XXX-JPの特異性の発覚に至りました。

SCP-XXX-JPの改変能力は全世界に影響しますが、敷地内には影響しないため、SCP-XXX-JPに関する重要な情報はSCP-XXX-JPの敷地内に保管されます。

山██ ████氏: あの建物は永遠に17年前から存在している。今までも、これからも。最低でも、私達が暮らしていた198█年よりも前からは存在していたにも関わらず、だ。結局、あの建物はいつから存在しているのだろう? 記録が残っていない以上確かめる事は叶わないが、もしかしたらずっとずっと前から、もしかしたら世界の始まりから存在しているのか? 今あの建物を設計、建設したと言っている人物は、実際には建てた筈はない。最低でも私達が暮らしていた時には建てていなかった筈だから…………いや、建てたのか? 最初の最初に建てた、最初の建築者は存在するか…………? …………考えるのはやめよう。頭が痛くなる。

事件記録XXX
20██/█/██、火事によりSCP-XXX-JPの建築物が焼失。記録の持ち出しには成功しました。

その後の調査により、建物焼失後の敷地内でも現実改変を逃れる事が可能だと検証されました。山██ ████氏の要請により建築物の焼け跡の保護と、地下に記録保護施設の建築、また、建築物のscp認定を土地そのものを認定する事が検討されています。

山██ ████氏: あの建物は焼失してしまったか………しかし、本当にその日に焼けたのか? もしかしたら、その日に焼けたという事実は、17年前に建てられた事実と同じようにずっとくっついてくるのでは無いのか? そうなると、火事自身の存在の可能性も危うくなるぞ……………とにかく、今すべき事はあの焼失跡を保持し続ける事だ。もしかしたらあの土地そのものに現実改変を逃れる力があるのかも知れない。SCP-XXX-JPが焼失した今、SCP-XXX-JPに関する、いや、世界の全ての情報は、今も認識されない内に時を追いかけて更新されてしまう。写真は常に変わっていってしまうし、手動で書き直すのももう限界だ………検討の早めの実行を頼むよ。………それよりも楽しみなのは、17年後、今の焼け跡がどうなるかだ。何も無いところにいきなり建物が立つのか、それとも建築中の骨組みが焼けるのか。そもそも現実改変の中で火事自体が無かった事になるのか……………楽しみだ。