suzuri_akiharaの雑記帳

書き途中のもののメモだったり色々にする予定。
後は編集のお試し代わり。


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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8104内の低危険度オブジェクト保管庫内で厳重に保管されています。SCP-XXX-JPを実験以外の目的で取り出す事は禁止されています。

説明: SCP-XXX-JPは██県内の中学校で使用されている標準的な歴史の教科書です。SCP-XXX-JPの出版社は実在する███出版である事が確認されており、現在までに要注意団体との関連性が確認されたことはありません。
SCP-XXX-JPの内容の異常な点は、SCP-XXX-JP内部に出てくる歴史上の人物の死因が必ず轢死と明記されている事にあります。通常教科書内に死因の記載がない人物や、交通手段が発達しておらず、轢死が現実的でない時代の人物についても記載されています。SCP-XXX-JPは、厚さは同種の教科書となんら変わりませんが、死因を記載するために通常の教科書に記載されている歴史上のイベントなどが削減されているページが殆どです。

SCP-XXX-JPを読んだ人物は原則1か月以内に何らかの原因で轢死します。SCP-XXX-JPの内容を読んだ場合にのみ発生し、今のところSCP-XXX-JPの内容の録音を聞いた場合には異常性が発現しないことが確認されています。

SCP-XXX-JPの影響で発生した轢死イベントにはいくつかの特徴が存在します。財団の監視下において被験者を1か月間サイト外の都市で生活させた場合、通常の交通事故において被験者は死亡しました。1か月間被験者を監禁し、カメラなどで監視していた場合、轢死イベントの発生前にカメラが使用不能に陥り、復帰までの間に轢死イベントが発生することが確認されました。拘束具などを付け、着席させていた場合、轢死イベントの際拘束具が未知の力により破壊され、被験者は床に倒れこんだ状態で発見されます。何故SCP-XXX-JPが隔離された室内等でも轢死イベントを発生させられるのか、調査を続けていますが原理は判明していません。

また、被験者に轢死イベントに耐えうる装備を着用させ生活させた場合の実験において、被験者は1か月以内に轢死イベントに遭遇することはありませんでした。しかし、実験終了後装備を解除した後に轢死イベントの発生が確認されています。理論上、SCP-XXX-JPを読んだ後に轢死イベントに耐えうる装備を着用した状態で生活を続ければ轢死イベントを起こすことなく生存できますが、衛生上の問題などから実現は不可能に近いと考えられています。

20██年現在までに、監視員を配置して被験者を監視する試みが2度行われていますが、必ずサイト内での別のオブジェクトの収容違反により監視を外れた短時間の間に轢死イベントが発生しています。他のオブジェクトの存在しない空間にSCP-XXX-JPと被験者を隔離した状態で同様の実験を行った場合、監視員も轢死した状態で発見されました。SCP-XXX-JPが、轢死イベントの発生のために何らかの能力で収容違反を誘発している可能性が指摘されていますが、確認のために実験を行う事は現在禁止されています。SCP-XXX-JPを利用した実験を行いたい場合は、サイト管理官と上級職員4名以上の承認が必要です。

被験者の遺体に残されたタイヤ痕及びその他車輪の後から、使用された車両は一般的な軽自動車から大型車、二輪車、馬車まで様々なものである事が判明しています。轢死イベントに使用される車両の年代とSCP-XXX-JP内の被験者が読んだ位置は必ずしも一致しません。

SCP-XXX-JPは██県██中学校で起きた生徒・教師の連続轢死事故が原因で発見されました。この事故で██中学校の█クラスの内の半数以上が死亡しており、警察内に潜入していた財団職員が不審に思った事から調査が開始され、その結果クラス内の男子生徒1名の遺品からSCP-XXX-JPが見つかりました。これはSCP-XXX-JPがクラスの半数以上を死亡させる原因となった事象についてのインタビューです:

対象: ██中学校█クラス生徒

インタビュアー: 大庭研究助手

付記: 大庭研究助手は、生徒の緊張の緩和のためにに敬語を使わずに話すことを提案し、承認されています。

<録音開始, 20██/██/>

大庭研究助手:それでは、インタビューを開始します。大丈夫?喉が渇いたりしたら言ってね。

██中学校█クラス生徒:はい、大丈夫です。

大庭研究助手:じゃあ早速質問があるんだけど、いいかな?この教科書、見覚えある?(SCP-XXX-JPの写真を取り出す)君のクラスの、亡くなった██君のなんだけど。

██中学校█クラス生徒:ああ、あります。あの、変な教科書ですよね?

大庭研究助手:変っていうと、どういった風に?この教科書について何かあったの?

██中学校█クラス生徒:いつだったか忘れちゃいましたけど、授業で教科書の内容を読む機会があって…。██君が指名されたんです。そしたら、██君困り顔でこう言うんです。「卑弥呼は、邪馬台国を収めている最中に轢死しました。」教室がざわめきました。僕の教科書にはそんなこと書いてなかったし、最初は██君のいたずらだと思いました。でも██君は顔を真っ赤にして泣きそうで…先生が██君の教科書を覗き込んで確認したら、本当に書いてあったんです。

大庭研究助手: それで、どうなったか覚えてる?

██中学校█クラス生徒:はい、先生はとりあえず、出版社がミスしたのかもとかつぶやいて、教室を出ていきました。好奇心の強い奴らが██君の周りに集まって教科書の中身を見ていました。他のページも全部同じような感じだったぽくて、なんだこれ、きもちわるー、なんて気味悪がっていました。僕は読む気にならなかったので…行きませんでした。そのあと先生が戻ってきて、出版社に連絡したので、数日したら新しい教科書が来るって、その変な教科書は██君のほうで処分してくれって言ってました。気味が悪いので先生も持っていたくなかったんだと思います。クラス全員とかだったら回収してくれるのに、ってぼやいてました。

大庭研究助手:██君とは話したことがあるの?

██中学校█クラス生徒:それから数日後に、少し…。教科書の話もしました。気持ち悪くて、開くのをやめてたみたいです。それに、教科書のことが気になって、勉強も手につかなかったって言ってました。家族にも言い出せなかったって。それで、そんな話をして、帰り道で別れて…。数日して、全校集会が毎日毎日…(口をつぐむ)

大庭研究助手:なるほど。…他に変わったことはないかい?なかったら、そろそろインタビューを終わろうか。辛いことを聞いてしまったね。

██中学校█クラス生徒:いえ、大丈夫、です。他には…ないです。ありがとうございました。

大庭研究助手:いえいえ、感謝するのはこちらの方だよ。ありがとう。

<録音終了, 20██/██/>

終了報告書: インタビュー終了後、生徒はAクラス記憶処理を施したのち、解放しました。後日学校関係者・遺族・事故担当者・出版社等の関係したと思われる人物及び事故発生地域に大規模な記憶処理作戦を展開し、カバーストーリー"事故多発地帯"を適用しました。該当地域に居住する住人から他地域の人間にSCP-XXX-JPの存在が伝えられていないか、現在も調査中です。