…個人識別プログラム起動
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…識別完了、ようこそ
これを君が見ているという事は、既に何もかも手遅れになっているという事だろう。話すことは多いがまずはSCP-XXX-JPの真実と財団で起こった悲劇を知ってほしい。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter None
特別収容プロトコル: この報告書の閲覧はセキュリティクリアランスが4以上の職員に限られます。セキュリティクリアランス3以下の職員が不用意にSCP-XXX-JP-1に近づかないように、カバーストーリー『不可逆なミーム汚染』を適用し、それを踏まえた偽の報告書も作成してください。それと同時にSCP-XXX-JP-1周辺を監視カメラと無人ドローンを併用し、財団職員やオブジェクトの侵入を阻止してください。
事案SCP-XXX-JP-Aの発生を受けてSCP-XXX-JP-1の範囲の拡大が確認された場合には、監視カメラの設置場所の変更と無人ドローンの巡航ルートの変更を行ってください。
事案SCP-XXX-JP-Bの発生を受けて、拡大予想範囲外にSCP-XXX-JPが発生した際は機動部隊を出動させ、財団職員は尋問の上財団の情報の欠落が確認された場合、クラスA記憶処理を施した上で解放し、オブジェクトは最寄りのサイトへ再収容してください。またオブジェクトの特性上機動部隊が財団の情報を喪失しても問題が生じないように、財団のフロント企業である民間軍事会社を経由して出動させてください。
事案SCP-XXX-JP-Dの発生を受けて、SCP-XXX-JP-1の浸食からの退避のみに限り、セキュリティクリアランス3以下の職員の遺棄を認めます。当該行為を行った職員は超法規的措置により処罰は行われません。
説明: SCP-XXX-JPは██県██村(以下同様のSCP-XXX-JP発生源をSCP-XXX-JP-1と呼称)で発生した現実改変現象です。SCP-XXX-JPに影響された地域において、財団の存在やオブジェクトの異常性は完全に抹消されます。SCP-XXX-JP-1に居た財団関係者は、財団に所属していた時期の記憶や痕跡が消え、経歴も最も矛盾が少ない形で財団に関わらないものへと改変されます。SCP-XXX-JP-1に存在していたオブジェクトは、事象系のオブジェクトの場合は完全に消滅します。形状の存在するオブジェクトの場合は形状を留めたまま異常性のみを喪失し、その際にオブジェクトには異常性が排除された新しい来歴が付与されます。SCP-XXX-JPによる具体的な改変記録は下部を参照してください。SCP-XXX-JP-1に侵入した財団関係者やオブジェクトもSCP-XXX-JPの影響を受けるため、財団関係者等の立ち入りは原則として禁止されています。
200█/07/11に██県のローカル局でオカルトを取り扱った番組が放送された際に、SCP-███-JPの収容違反を捉えた映像が修正されずに放送されていたために、テレビ番組を監視していたエージェントが現地に赴きました。調査の結果番組で取り上げられたSCP-███-JPの異常性は完全に喪失しており、SCP-XXX-JP-1に赴いたエージェント田中が行方不明になったため、財団職員のSCP-XXX-JP-1への出入りを禁止にしました。無人ドローンを利用した探索でエージェント田中を保護し、上記の調査結果を回収しましたが、エージェント田中は財団に関する情報をすべて喪失しており、SCP-███-JPの異常性喪失現象と合わせてSCP-XXX-JPとして登録しました。エージェント田中とローカル局のスタッフにはクラスA記憶処理を施し解放しました。SCP-XXX-JP-1を更に調査した結果、財団の存在していた痕跡が完全に喪失しており、回収した異常性の喪失したSCP-███-JPはNeutralized扱いで再収容を行いました。その後このオブジェクトの情報を財団全体に流布させる事は大きな混乱を招くと判断され、セキュリティクリアランス3以下の職員用の偽装情報を用意する事が決定されました。
エージェント田中へのインタビュー記録
対象: エージェント田中
インタビュアー: 東山博士
付記: 長時間に及ぶインタビューなので、この記録では一部を抜粋する。
<録音開始, 200█/07/14>
東山博士: まずあなたの氏名と職業をお聞かせください。
エージェント田中: 田中██、職業はしがない会社員だよ。
東山博士: 会社員?あなたは財団職員のはずです。これがあなたの人事ファイルです。
エージェント田中: こんな物見たこと無いぞ。俺は████株式会社の社員だ、ほら社員証も持っている。
東山博士: 失礼ですが、少し拝借してもよろしいですかな。
エージェント田中: ああ、いいけど。
東山博士: 確かに材質や形式等はきちんとした社員証に見えますな、だがこの████株式会社というのは存在していない。
エージェント田中: そんな訳ないだろ!俺は大学を卒業してから█年間ずっとこの会社で一生懸命働いていたんだ!
東山博士: この様子を見るにミーム汚染、いや即興でこのような偽造社員証を作れるはずがない。となるとまさか現実改変か?
エージェント田中: 何言ってるのか知らないけど、俺は確かにこの会社の社員だったと誇りをもって言えるからな。
東山博士: ああ、失礼それでは次の質問に移ろう。
<後略>
<録音終了>
終了報告書: 結果的に貴重な人材が失われてしまったのは痛いが、厄介だったオブジェクトが無力化されたのが救い…いややめよう、それはGOCの理屈だ。
事案SCP-XXX-JP-A: 200█/08/23にSCP-XXX-JP-1の範囲の拡大が確認されました。これ以降定期的にSCP-XXX-JP-1の範囲の拡大が確認される事になります。この拡大を阻止するために、スクラントン現実錨をSCP-XXX-JP-1の拡大範囲に設置しましたが、設置していたスクラントン現実錨がSCP-XXX-JPにより存在ごと消滅する結果に終わりました。現在この現象を食い止める手段は存在していません。
補遺1: 日本の██%がSCP-XXX-JP-1に変化したため、財団日本支部の撤退が決定しました。以後はアメリカ本部と合併し、Dクラス職員を除く全職員はアメリカ本部へと移籍します。また混乱を防止するために、日本支部に在籍している全Dクラス職員を終了させてください。
事案SCP-XXX-JP-B: 20██/12/24にアメリカ合衆国█████州において、SCP-XXX-JPの発生が確認されました。調査の結果SCP-XXX-JP-1の範囲の拡大速度が██倍になっていることが判明したため、まだ異常性が発現していない財団本部のサイトをオブジェクトの影響の無い国家へ移設する案が出されました。
補遺2: アメリカ合衆国の██%がSCP-XXX-JP-1に変化した段階で、財団本部をイギリスへ移転しました。それに伴い移動の困難な財団本部収蔵のオブジェクトを遺棄し、その後SCP-XXX-JPにより無力化されました。
補遺3: 北アメリカ大陸及び日本及びオーストラリア大陸全域がSCP-XXX-JP-1に変化しました。また財団本部貯蔵の全オブジェクトの██%を遺棄したため、収容違反の件数が██%減少しました。
補遺4: 南極大陸及びヨーロッパ大陸全域がSCP-XXX-JP-1に変化しました。これに伴い財団本部を中国に移転し、その際に██%の財団職員が脱走しました。
補遺5: 南アメリカ大陸全域がSCP-XXX-JP-1に変化しました。また██%の財団職員の勤務態度が悪化している他、財団内部でSCP-XXX-JPを崇拝するカルト集団"ニュートラライザー"が構成されました。これに対し機動部隊を出動させ、構成員の█%を拘束しました。現在再教育を主軸とする積極的な研修を行うことが検討されています。
補遺6: 北極海全域がSCP-XXX-JP-1に変化しました。それとほぼ同時にO5██名がSCP-XXX-JPの影響を受けたため、O5が事実上機能停止に陥りました、これにより財団の最高意思決定機関が残存するO5と各国支部理事の合計█名による合議制に変更されました。これ以上の被害を食い止めるため、西田博士を責任者として財団本部月面移転計画が開始されました。
事案SCP-XXX-JP-C: 20██/12/31に財団本部にてクーデターが発生しました。首謀者は東山博士で、参加者の大半がニュートラライザーの構成員で、クーデター勢力の構成員は████人になります。彼らは財団の全権を東山博士に移譲することと、オブジェクトを定期的にSCP-XXX-JP-1に送り出し無力化させる事を主張しました。これに対し、西田博士を中心とする鎮圧部隊が組織され、20██/01/03に鎮圧されました。被害者は財団側が死者██人、重軽傷者███人で、クーデター勢力側が死者███人、重軽傷者███人になりました。クーデター勢力は首謀者の東山博士と参加していたニュートラライザーの構成員は全員終了され、その他メンバーの内セキュリティクリアランス3以下の人員はDクラス職員に降格され、セキュリティクリアランス4の人員はクラスB記憶処理を含む再研修を受け現場に復帰しました。
東山博士終了記録
終了対象: 東山██博士
<記録開始, 20██/01/08>
財団管理の刑場にて目隠しに首輪をかけられ手足を拘束された東山博士と、西田博士が向かい合っている。
西田博士: 東山博士、財団において優秀な職員だったあなたが何故このようなことを。
東山博士: それはこちらのセリフだよ西田博士、君こそ何故私達の味方になろうとしなかったのかね?
西田博士: 我々の仕事は人類を守る事だ。それを捨てるなど人として出来ない。
東山博士: 青いな、今の財団は堕落し弱体化しているのにそう言い切るか。
西田博士: だが財団が無ければ、オブジェクトから人類を守ることは出来ない。
東山博士: それこそSCP-XXX-JPに任せればいいではないか。あれは目の上のたん瘤だったオブジェクトをことごとく無力化した。
西田博士: しかしSCP-XXX-JPで、全てのオブジェクトを無力化出来ると決まった訳じゃない。
東山博士: どうやら平行線のようだな、最後に1つだけ言っておこう。私もかつては君のようにSCP-XXX-JPをどうにか収容しようと努力をしていた。しかし全ては無駄なのだよ、君もそのうち分かる。
西田博士: だとしても最後まで足掻いて見せる。そのための計画も始動している。
東山博士: 無駄だよ!月面移転計画だったか、そんなくだらない茶番を続けて貴重な時間を浪費していくがいい!そして貴様も私のように絶望に打ちのめされ
東山博士が暴れ始めたため、監視役のエージェントが絞首台のスイッチを入れました。1分後東山博士の死亡が確認されました。
<記録終了>
補遺7: アフリカ大陸全域がSCP-XXX-JP-1に変化しました。財団施設の月への移設が開始されました。作業の完了予定は20██/11/20を予定しています。またニュートラライザーの根絶に成功しました。元構成員はクラスC記憶処理を施した上で再研修を行い職場へ復帰させました。
事案SCP-XXX-JP-D: 20██/04/28に宇宙空間で活動していた財団職員が、SCP-XXX-JPの影響を受けました。これによりSCP-XXX-JPの影響が、地球圏外にも及ぶ事が判明しました。これに伴い財団本部月面移設計画は中止されました。またこれ以上の優秀な人材の喪失を阻止するために、セキュリティクリアランス3以下の職員を緊急時に限り、財団職員としての全権利を剥奪し、Dクラス職員相当への降格を認める規律が最高意思決定機関の賛成█票、反対2票で可決されました。
SCP-XXX-JPによる改変記録(抜粋)
記録002 - 日付200█/07/14
元の存在: エージェント田中
改変後の境遇: ██県へ出張した会社員
補遺: 彼の所属していたサイト-81██がSCP-XXX-JP-1になった際に、改変後の彼が在籍していると主張していた会社が出現。
記録118 - 日付200█/09/02
元の存在: SCP-488-JP
改変後の境遇: 一般的なタイリクオオカミ
記録230 - 日付200█/10/22
元の存在: エージェント███
改変後の境遇: 財団のフロント企業の社員のまま、だが当該企業と財団との繋がりが消滅していた。
記録342 - 日付200█/01/18
元の存在: SCP-040-JP
改変後の境遇: 異常性の無い井戸小屋
記録550 - 日付200█/03/30
元の存在: SCP-444-JP
改変後の境遇: オブジェクトの存在を認知しても何も起こらなくなった。
記録867 - 日付200█/07/12
元の存在: ██博士
改変後の境遇: ███大学へ通う学生
記録1148 - 日付20██/12/25
元の存在: SCP-682
改変後の境遇: シロイルカの死骸
記録12216 - 日付20██/11/06
元の存在: SCP-173
改変後の境遇: 日本人製作の彫刻
記録25405 - 日付20██/04/28
元の存在: ███博士
改変後の境遇: NASA所属の宇宙飛行士として国際宇宙ステーションに滞在
補遺8: ユーラシア大陸の█.█%を除き地球全体がSCP-XXX-JP-1に変化しました。残存する財団職員は全財団記録のアーカイブ化を最優先事項として行動してください。オブジェクトの収容はもはや無意味です。それに伴いオブジェクトクラスが削除されました。
以上がSCP-XXX-JPの真実だ。恐らく数時間後にはここもSCP-XXX-JP-1になり、財団の痕跡もただの悪趣味な創作として捉えられてしまうだろう。だから真実を埋もれさせない為にこのページを用意した。このメッセージを残し終えたら、私は生まれ故郷の日本に戻ろうと思う。そして日本の土を踏むころには、私は何も知らない一般人に成り下がっているだろう。
最後にこれだけは知っていて欲しい。この世界を覆っていた怪異は確かに実在し、命をかけてそれと戦っていた財団もまた存在していたのだ。