アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の高危険度収容セル内に収容してください。収容セルの内壁にはプラスチックでコーティングする等の処置を施し無機物が露出しないようにしてください。実験の際には有機物で構成された特殊防護服を使用し、使用後は焼却処分をしてください。実験以外でのSCP-XXX-JPに寄生された物体はすべて焼却処分してください。
説明: SCP-XXX-JPは未知の原核生物です。細胞の構造は大腸菌に酷似しています。しかし遺伝子に非常に多岐にわたる改造が施されており、通常原核生物が行えないスプライシングを行うことができます。またSCP-XXX-JPは常時発光しています。
SCP-XXX-JPは無機物に寄生すると、その無機物の内部に侵入し増殖を始めます。増殖が進行し、全体にSCP-XXX-JPが侵入し終わると、寄生された物体は自力で動き出すようになり、生物同様に発熱します。移動方法は寄生した物体の構造によるところが多いです。SCP-XXX-JPが寄生した無機物は、まだSCP-XXX-JP寄生していない無機物に接触を試みる、もしくは他のSCP-XXX-JPに寄生した無機物を取り込もうとする動きを見せるほか、寄生した物の本来の機能を使うような動きを見せます。寄生された無機物はほぼその外見を保ちますが、ところどころに生物的な構造が表面に出現する時があります。生物的な構造には目、触覚、舌といった感覚器官を模していることがほとんどです。
SCP-XXX-JPは有機物を取り込むことができず、また有機物に覆われた無機物には興味を示しません。そのため人体に付着もしくは人が摂取しても問題はありません。SCP-XXX-JPは 200℃程度の熱で死滅します。SCP-XXX-JPが死亡すると寄生されていた無機物が崩壊を始めます。ただし低温に対する耐性は非常に高く、SCP-XXX-JPは外部の温度が-40℃程度なら活動できます。-50℃まで低下するとSCP-XXX-JPは休眠状態になります。休眠状態になったSCP-XXX-JPはさらに低温に対する耐性が高くなり、絶対零度付近まで温度を低下させても再度温度を上昇させることにより活動を始めることができます。
実験記録XXX - 日付20██/██/█
対象: SCP-XXX-JP 鉄の棒(直径1.0㎝、長さ10.0㎝)2本
実施方法: 鉄の棒にSCP-XXX-JPを寄生させる。鉄の棒が動き始めたら行動を観察する。
結果: 一つの鉄の棒は寄生させてから約40分後に動き始め、芋虫に似た動作で行動を始めた。外見には変化は見られなかった。もう一方の鉄の棒は寄生させてから約35分後に動き始め、真ん中のあたりを曲げて両端で立ち、二足歩行のように動いた。棒のところどころに目玉のようなものが形成された。特別な行動は確認されなかった。
分析: 同じ素材、同じ寸法でも動き始めるまでの時間や移動方法などに違いがあることが分かった。
実験記録XXX - 日付20██/██/█
対象: SCP-XXX-JP シャープペン 鉄の棒(直径1.0㎝、長さ10.0㎝)1本
実施方法: シャープペン、鉄の棒にSCP-XXX-JPを寄生させる。動き始めたら行動を観察する。
結果: シャープペンは46分後、鉄の棒は40分後に動き始めた。シャープペンの方が活発に活動し、全体をしならせて障害を飛び越えるなどの高度な移動方法を取った。また時々なにか書き留めるような動きを見せた。外見はシャープペンは触覚のような部位が形成された。
分析: 構造が複雑な方がより活発で広範囲に移動しようとすることが分かった。
SCP-XXX-JPは新潟県██市の完全に閉鎖された倉庫で発見されました。この倉庫の内壁の表面には厚さ 1 m程度のプラスチックの層が存在し、これにより内壁を構成している無機物をSCP-XXX-JPの寄生から防いでいました。倉庫の発見時内部の無機物のほとんどは粉々になっていました。また、部屋の中心に切り刻まれた人間の死体があり、その近くで一冊のノートが落ちていました。以下はこのノートの内容を抜粋したものです。
199█年5月██日: GLIMウイルスの試作品が完成した。早速南京錠に感染させてみよう。
199█年6月██日: 失敗だ。ウイルスが変質し特性を失ってしまった。遺伝子をもっと弄らなくては。この南京錠は破棄する。
199█年7月██日: 遺伝子操作完了。ついでに光る蛋白質を合成できるようにした。これでうまくいくはず。
199█年9月██日: ついにGLIMウイルスが完成した。これで私の素敵な、そして冷たい[判別不能]に命を、温かさを与えられる。
200█年5月██日: 最近やけに私の周りをウロチョロするやつがいる。うっとしい。私はこの素晴らしい肉体を手に入れた[判別不能]との時間を邪魔されたくないのに。
200█年8月██日: やっとうざったらしいやつらの正体が分かった。どうやらやつらは無機物を信仰しているらしい。なんというやつらだ、こんなにも生物は、進化は素晴らしいものなのに。
200█年11月██日: そろそろやつらがしびれを切らして乗り込んでくるだろう。そんな奴らには特別に変異させたGLIMウイルスをお見舞いしてやろう。こいつは72時間という寿命を与える代わりに凶暴性が増すように操作してある。私はその間に逃げよう。このウイルスはまだまだ弄りがいがあるんだ。これを見ているイカれたやつらではないそこの君よ、サンプルを置いておく、自由に使うと良い。
このノート付近にプラスチック容器を発見しました。この容器の内部には休眠状態になったSCP-XXX-JPが存在していました。なぜSCP-XXX-JPが常温でも休眠状態になっていたかは不明です。また、このノートを書いた人物は現在追跡中です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの監視エージェントはSCP-XXX-JPの半径70mの範囲外に建てられた山荘に偽造した監視施設に最低3人以上で24時間監視を続け、発生後に出現したA4用紙を回収してください。いかなる場合においてもSCP-XXX-JPの半径70mの範囲には一般人を近づけないで下さい。現在は異常性が失われたため監視の必要はありません。
201█/1/██日改定:SCP-XXX-JPが新たに出現したため収容プロトコルはもとに戻されます。
説明: SCP-XXX-JPは新潟県██市の███山に存在する鉄塔のような形状をした物体です。周囲の鉄塔と電線で繋がっていますが電気供給は関係がないらしく、電線を切断するなどしても異常性は発生します。
この鉄塔を中心とした半径70m内全てに20 ㎝以上の積雪があり、なおかつ22時~2時の条件を満たすことにより現象(以後SCP-XXX-JP-1とする)が発生します。SCP-XXX-JP-1が発生してからの最初の20分間は雪で作られた人に酷似した形状をした実体が出現します。発生してから20分が経過すると、人型の実体は戦争のような活動を始めます。この活動に用いられる武器は全て特異性のない雪で作られており、特異性のない人間、動物または地形などは影響を受けませんが、植物と人型の実体だけはその形をしている武器の能力に応じた影響を受けます。実体が活動を始めた直後は石、木の枝など原始的な物しか作られませんが、約20分が経過するごとに金属製の剣や矢じり、銃、戦車などと次第に高度な武器を使用するようになります。SCP-XXX-JP-1は人型実体がすべて破壊されることにより終了します。ほとんどの場合核兵器の形状をした雪の投下によるものですが、ごくまれにそれ以前の武器によりすべての人型実体の破壊が起こることで現象が終了することがあります。現象の発生が終わった後の1時間から4時間の間にSCP-XXX-JPの土台部分に「今回の演算結果」と表紙に書かれたA4用紙が1枚~4枚程度の冊子となり出現します。この紙には現象の状況の経過とそれについてコメントが書かれています。
SCP-XXX-JPは発見当時の███山の管理者からの「明らかに長い期間木が生えない地域がある」という趣旨の通報により発見に至りました。発見後、███山の土地権利を買い取り、通報をした管理者にはAクラス記憶処置を施しました。
一般的なSCP-XXX-JP-1の発生順です。100~120分に到達する前に人型の実体がすべて消滅することにより異常性の発現が終了することもあります。
経過時間 |
状況 |
~20分 |
人型実体の形成 この時何か話し合うような行動をとる時もある |
20~40分 |
戦争行為の発生、石や木の棒などの原始的な武器 |
40~60分 |
金属製の剣、弓矢などの登場 |
60~80分 |
銃器の登場 |
80~100分 |
戦車、戦闘機などの登場 |
100~120分 |
核兵器の投下による人型実体の全消滅 |
実験記録XXX - 日付19██/██/█
対象: SCP-XXX-JP-1
実施方法: 100~120分の間に出現する核爆弾を破壊し、その後のSCP-XXX-JP-1の過程を観察する。
結果: 140分まで武器の発達が進んだ。レールガン、ライトセーバーのようなものなど現代の科学では解明できない武器の発生が確認された。最終的に[データ削除済]の発生による人型実体の全消失によりSCP-XXX-JP-1は終了した。
分析: 核兵器による全実体の消失が無ければさらに武器の発達が進むことが分かった。[データ削除済]以降の武器の発達の観察の実験は現在申請許可待ち。
200█/12/██追記:事案SCP-XXX-JP-1が発生し、SCP-XXX-JPの異常性が消失したと判断されました。このためオブジェクトクラスをEuclidからNeutralizedへ変更します。
事案報告:事案SCP-XXX-JP-1 - 日付 19██/12/██
経過時間 |
状況 |
0~20分 |
人型実体の形成 |
20~40分 |
戦争行為を開始せず、話し合ってるような行動が確認される。 |
40~分 |
人型実体は日常生活のような行動を始める |
その後19██/12/██の日の出時刻である6時██分までこの活動を続け、日の出の時刻と同時に人型実体は消失した。
人型実体の消失後2時間34分の経過したとき、鉄塔の基礎部分に一枚の紙が出現しました。内容は以下の通りです。
[判別不能]回目の演算の結果、人類が戦争行為を取らない選択肢の確認。目的が達成されたため、装置の稼働を終了する。
この紙の出現を最後にSCP-XXX-JP-1の発生条件を満たしても異常性の発現が確認されない状態が10年間続いたため、異常性の消失と判断し、オブジェクトクラスをEuclidからNeutralizedへ変更されました。
201█/12/██追記:SCP-XXX-JPの異常性の再出現を確認されました。その後SCP-XXX-JPの周辺調査により一枚の紙を発見しました。紙に書かれていた内容は以下の通りです。
会議の結果、人類が戦争行為をする選択肢を選んだとしても、和解し世界平和を実現する可能性があるかどうかの演算を開始する。このため装置の再稼働を開始。
これによりオブジェクトクラスをNeutralizedからEuclidへ再分類されました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険度物品倉庫に籾殻の状態で保管されています。実験にはセキュリティクリアランス3以上の職員の許可が必要です。また「光る米」もしくは「米でできたウサギ」に関する報告があった場合はすぐに回収に向かってください。
説明: SCP-XXX-JPはジャポニカ米です。SCP-XXX-JPの種子は通常のジャポニカ米の種子と同じく食べることができるほか、発芽させ育てることも可能ですが、常時発光しています。またSCP-XXX-JPの種子は自力で集まろうとします。SCP-XXX-JPの種子の合計重量が 1.3~1.5 kg程度まで堆積するとウサギの形に形成され、ほぼウサギと同様の行動をとります。この状態になったSCP-XXX-JPの種子は怪我を負っている人間をを見つけるとその人間の口の中に入ろうとし、下記の特異性を発現させようとします。しかしSCP-XXX-JPがウサギの形を形成してから24~72時間が経過すると突然破裂し半径 20 m程度の範囲に種子を散乱させます。
SCP-XXX-JPの特異性は怪我を負っている人間が摂取したときに発現します。この特異性はSCP-XXX-JPを原料とした麹や酒などでも発現します。怪我を負っている人間に摂取された場合、以下の4つの現象の内のどれかが起こります。
・6~12時間自分の意思で動くことはできなくなる。また外部からの刺激に対する脊髄反射も不可能となる。
・約30分間中心体温が20℃前後に低下し、低体温症となる。
・4~5時間怪我を負っていた部位が異常に締め付けられたようになる。ほとんどの場合、締め付けられている部位の骨は骨折する。
・怪我を負った部位が 500 mほど上に飛んでいく。この時、怪我をしていない部位も引っ張られるようになって一緒に飛んでいく。
この現象が起こった後に摂取した人間が生き残っていた場合、その人間は負っている怪我、もしくは先天性ではない病気が完治もしくは著しく改善します。しかしSCP-XXX-JPを摂取した人間はジャポニカ米の種子に強い嫌悪感を示すようになります。また人間が起こった現象に耐えられずに死亡した場合、死後30分ほどで死体からSCP-XXX-JPの苗が発芽します。この苗は通常のジャポニカ米との遺伝子的な異常は見られませんが、通常の稲の成長速度よりも異常に早く、発芽してから24時間ほどで結実します。異常な速度で成長する原因は不明です。
実験記録XXX-1 - 日付20██/██/█
対象: D-XXXXX
実施方法: D-XXXXXの腕を切断する。その後SCP-XXX-JPを摂取させる。
結果: D-XXXXXは低体温症となった。31分後体温が急上昇し腕は再生し始め、完全にもとに戻った。
分析: 腕一本程度なら完全に再生されることが分かった。
実験記録XXX-2 - 日付20██/██/█
対象: 実験用モルモット
実施方法: モルモットの足を切断する、その後SCP-XXX-JPを摂取させる。
結果: モルモットは動かなくなった。11時間35分を経過したところで動き出し足が再生し始めたが、異常に膨れ上がり破裂してしまった。
分析: 人間以外の動物にも効果があるようだが、正常な回復をしないことが分かった。足が破裂した理由は不明。
補遺1: 19██/██/█、収容以前にSCP-XXX-JPの入っていた紙袋の底に一枚の紙が発見されました。内容は以下の通りです。
研究物: 米ニ白兎ト[判別不能]ノチカラヲ混ゼ合ワセ憑依サセタ物。効果ハアルガ、因幡ノ白兎セイデ副作用ガ酷ク、自立移動ヲスル。服用ノ際ハ注意スルコト。
補遺2: 20██/██/█、新潟県██市の廃屋付近にSCP-XXX-JPが群生しているのが発見されました。その時群生していたSCP-XXX-JPはすべて回収されました。他の地域でのSCP-XXX-JPの生息について、またSCP-XXX-JPの花粉の飛来による通常のジャポニカ米への影響は現在調査中です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81█の低危険性物品保管倉庫に保管してください。現在白、黄、青色が3本ずつ保管されています。実験にはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは████株式会社の製品「█████」に酷似したチョークです。一般的なチョークと同様に使用でき、通常のチョークのように粉も出ます。しかしいくら使っても体積が減らず、無限に使用できるようです。またチョーク本体は破壊されても10分~20分の間に一番大きな破片を中心として自発的に修復されます。書いた後に発生した粉の成分を調べたところ、炭酸カルシウムが95%、色素が4%と一般的なチョークの成分がほとんどの割合を占めますが、残り1%にはカフェイン、エフェドリンなどの覚醒成分と人間の脳細胞が含まれていることが分かりました。
SCP-XXX-JPの特異性は半径300 mに寝るべきではない場面で寝ている人間がいる場合に投げられることで発現します。そのような状況で投げられた場合、SCP-XXX-JPはその時の投げ方などに関わらず投げられた対象に向かって飛んでいきます。寝ている人間が複数いる場合、一番近い人物に向かって飛んでいきます。対象が移動した場合もそれにあわせてSCP-XXX-JPは進路を変えます。対象がSCP-XXX-JPに当たっても外傷を負いませんが、そのかわり強制的に覚醒状態になります。この時対象は「気分がすっきりして集中できる」「今までにないくらい頭が回る」などと報告します。しかし対象はSCP-XXX-JPが当たってから約1時間30分が経過すると突然強烈な眠気を訴え、そのまま眠ってしまいます。これは、おそらくは脳の酷使による疲労にからくるものと考えられてます。
SCP-XXX-JPは「新潟県█市█大学にチョーク投げがうまい教授がいる」という趣旨の噂が流れているのを財団が知り、内部調査の結果この教師ではなくチョークの方に異常性があることを判明し収容に至りました。チョークを持っていた教師がSCP-XXX-JPを作成したわけではないと判明したのち教師にはAクラス記憶処置を施し解放しました。
実験記録SCP-XXX-JP-1 - 日付20██/██/█
対象: D-XXXXX
実施方法: D-XXXXXに強力な睡眠薬を服用させる。その後寝てはいけないと警告する。D-XXXXXが寝たのを確認した後、D-XXXXXが寝ている部屋の外でSCP-XXX-JPを投げる。
結果: SCP-XXX-JPはD-XXXXXに向かって飛んでいき、壁をすり抜けD-XXXXXの額に当たった。
分析: 目標との間に障害物がある場合、障害物をすり抜けることが分かった。
実験記録SCP-XXX-JP-2 - 日付20██/██/█
対象: D-XXXXX
実施方法: D-XXXXXを強力な睡眠薬を服用させたのち、寝てはいけないと警告してから新幹線に乗せる。D-XXXXXが寝たのを確認した後、新幹線を走らせる。新幹線が走り始めると同時にSCP-XXX-JPを投げる。
結果: SCP-XXX-JPはD-XXXXXを追従し始めたが新幹線の速度に追いつけなかった。20秒間追いつけないとSCP-XXX-JPは加速していき、最終的に[編集済]kmまで加速したがその時の速度に耐えられずにSCP-XXX-JPはバラバラに飛び散った。1時間後に自動修復されたSCP-XXX-JPが回収された。
分析: SCP-XXX-JPは対象に追いつけない状態が20秒間続くと加速が始まることが分かった。
実験記録SCP-XXX-JP-3 - 日付20██/██/█
対象: D-XXXXX
実施方法: D-XXXXXに強力な睡眠薬を服用させ、寝てはいけないと警告する。D-XXXXXが寝たのを確認した後SCP-XXX-JPを投げて覚醒状態にさせ、そのまま待機するように指示をする。その後D-XXXXXが再び眠るのを待ち、眠ったことを確認した後再びSCP-XXX-JPにより覚醒状態にさせる。この作業を30回まで繰り返す。
結果: D-XXXXXは7回目の覚醒状態の時に頭痛がすると報告し、19回目の覚醒状態の時に支離滅裂なことを叫んだ後に突然倒れた。その後D-XXXXXは死亡したことが確認された。解剖の結果、脳が溶けてしまったことが死因と断定された。
分析: SCP-XXX-JPの覚醒作用の連続使用は脳の酷使により脳が溶けてしまうことが分かった。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険性物品保管セルに本に記載された形で保管されています。実験にはセキュリティ
クリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。SCP-XXX-JPの内容もしくは事案SCP-XXX-JP-1を記録している媒体は高危険度収容セルに収容してください。収容セルは24時間の監視をし、保管している媒体から黒い手のような実体が出現した際は収容セル内と収容セルを監視している部屋の内部を1500ルクス以上の光で満たしてください。内部調査は現在困難なため、許可されません。
説明: SCP-XXX-JPは未知の文字で書かれた文です。文字は地球上に存在していたもしくは存在しているどの文字とも共通性がない形状をしています。SCP-XXX-JPを読もうとする人間の識字に関わらず読解が可能であり、発音も可能です。この文章を表示している紙などの媒体は通り抜けられるようになり、通り抜けた先にはこの世界とは別の空間が広がっています。空間内部に入っても有線・無線の通信機はともに通じます。空間内部の空は黒色をしており星などは観察されず、地面は様々な時代もしくは未知の時代の建造物、道具、生物の死骸などで埋め尽くされています。
以下はDクラスを用いた調査により観察された内部空間に存在していた物の一例です。
観察された物 |
状態 |
未知の生き物の死骸 |
人のような形をしているが、腕が4本ある。首から上がなく 腐敗が酷く詳細は不明 |
ワニのような生物の死骸 |
足が8本、目が4つあるが、腐敗が酷く詳細は不明 |
未知の道具 |
銃のような見た目をしており、引き金を引くと熱線が発射された。突如暴発し、D-XXXXXが爆発に巻き込まれ死亡した。 |
鳥のような死体 |
羽が赤く、何かに捕食された跡があった。 |
補遺1: 事案SCP-XXX-JP-1
以下は事案SCP-XXX-JP-1の映像記録です。記録の閲覧中に画面から黒い手のような実体が出現したら部屋内部を1500ルクス以上で満たしてください。またこの映像を見た後にはAクラス記憶処理を受けてください。
記録開始
[D-XXXXXは内部調査をし終え、現在帰還する途中。]
D-XXXXX: ん?なんだあれ?(D-XXXXXが右を向く)
██博士: どうしたのですか?D-XXXXX。
D-XXXXX: いや、なんか黒くてまん丸いへんてこりんなものがあるんだ。なんだこれ?
██博士: カメラをそちらへ向けてください。D-XXXXX。
D-XXXXX: はいな(画面に黒く、直径150 cmほどの大きさの球状のものが映し出される)。これいいか。
██博士: 大丈夫です。ふむ、(3秒間沈黙)近づいてみてください。D-XXXXX。
D-XXXXX: あいよ。(D-XXXXXは黒い球体に近づいていく)これでいいか?
██博士: ありがとうございます。なにで出来ているか分かりますか?
D-XXXXX: うーん、分からないな。触れてみてもいいか。
██博士: 少し待ってください。(5秒間話し声が聞こえる)許可が下りました。黒いものに触れてみてください。
D-XXXXX: 了解っと、うわなんだこれ⁉(D-XXXXXが黒い球状のものに触れると、触れた手が飲み込まれていく)クソッ!!抜けない!!
D-XXXXX: これが落ち着いていられるかよ!!うわっ!!(球体から黒い手のようなものが出現し、D-XXXXXを押し込もうとする)なんだこれ!!
[突如画面全体が黒くなり、音声は途絶える]
記録終了
指示をしていた部屋の監視カメラを解析した結果、D-XXXXXからの映像を中継していた画面からD-XXXXXを押し込もうとした黒い手のようなものが多数出現し、██博士を含む4人の職員を引きずり込まれている映像が映し出されました。また同時刻に保管されていたSCP-XXX-JPを記載した本からも同様に黒い手のようなものが出現していることが判明しました。
事案SCP-XXX-JP-1の後、およそ1ヵ月の間隔でSCP-XXX-JPが記録されている媒体や内容を知っている人間から黒い手のような実体が出現するようになりました。この実体は自身を見たもしくはSCP-XXX-JPの内容を知っている人間や動物に襲い掛かり、内部空間に引きずり込むような挙動をすることが実験により分かりました。またこれは映像などで実体を見た人間にも適応されるため事案SCP-XXX-JP-1の映像記録を見たものはAクラス記憶処理を施します。実験の結果、出現する黒い手のような実体は1100ルクス以上の光にさらされることにより消失することが分かりました。これによって、収容プロトコルを変更します。
補遺2: 20██/██/██、SCP-XXX-JPの収容セル内に一枚の紙が落ちていました。内容は以下の通りです。なおこの紙には異常性が見られないため、低危険度物品倉庫に保管されています。
あたらし せかいの きお く を もと ちょうだい
どこなのか分からない山の中。
男はパーカーを被った女性を引き連れて走っていた。
「っはぁ…ここまでくればとりあえず大丈夫だろう…」
男は立ち止まり女性のパーカーを外しながらこういった。
「大丈夫かい?████」
パーカーを脱がされた女性の顔は
金属でできていた。
「う~む、早く隠れられる所を見つけなければなぁ」
そんなことをつぶやいてると、何かが肩を叩いた。振り返ると████は一枚のメモ用紙を差し出した。
”かた のきず だいじょう ぶ ?”
「ん?あぁ大丈…夫でもないようだね…少し血を失いすぎたようだ」
完全に忘れていた。今日私は肩を切りつけられたんだ。幸いちょっと深いかすり傷程度だ…がちょっと動きすぎたらしい。体がしびれる。雨の中走ったからだろうか、少し熱っぽい気もする。
「ふぅ…ダメかなこれは。今日はここまでか」
私の呟きを聞いた████はまたメモ用紙を差し出した。
”きょう は こ こ まで になる ?”
「あぁ、そうなりそうだ。幸いさすがにここまではやつらも来れないだろう…ん?」
少し雨が止んできたおかげで視界がよくなり、それまで気づかなかった前方が見えるようになった。そして誰にも使われていない廃屋があるのを確認できた。
「ちょうどいい、あれが見えるかい?████」
”うん みえる” ”あそこを や どに する の?”
「そうしよう、すまないがちょっと肩を貸しておくれ」
”わか つ た”
私は████の肩を借りながらなんとか歩いて行った。雨はまだ降っていた。そして雨音によって気づかなかった。
自分の体から聞こえるチクタク音に。
「クソッ!!やつら、これを狙って切りつけたな!!」
私は怒鳴りながら机を叩きつけた。
その衝撃で倒れた鏡には目の部分がカメラのようなものに置き換わってる自分の顔が映された。この症状は知っている。やつらの崇拝している憎たらしい生物兵器だ。反吐が出る。
どうやらやつらはこの生物兵器の品種改良に成功したらしい。症状の進行が著しく早い。このままではすぐに症状が脳に広がる。それだけはだめだ。まだまだ彼女は進化するんだ。それを見ないまま完全にただの木偶にはなりたくない。
「どうしたの?」
私はハッとして素早く目を隠した。████だ。彼女はこの1ヵ月の間でかなり進化した。これにより知性が向上し、また発声も可能になった。どう見ても人間に見えるほどに容姿も変化している
「いや…なんでもないよ…」
「なんでもなくないよ」
キッパリ言い放った。
「…そうだね。君に隠し事は良くないね」
そう言って私は目を覆っていた手を放した。
「そういうことならもっと早くから言えば良かったのに」
「…えっ?」
「忘れたの?私の知性はもうあなた並だってこと、一つ案があるよ」
「なんだって?」
彼女は指をさした。その先には”GLIMウイルス”と書いてあるラベルが貼ってあるプラスチック容器があった。
「あれをあなたに感染させよう」
「……なるほど」
確かにこれはいけるかもしれない。こいつは機能を保ったまま変形させる生物兵器だ。逆にGLIMウイルスは機能をそのままに命を持たせるウイルスだ。もとのように使えるようにかもしれない。それに彼女を見れば分かるが知性の強化もされる。
「それじゃあ早速」
「ちょっと待って。少し注意…といえばいいのかな?ともかく聞いてほしいことがあるの」
「うん?なんだい?」
「実は私がはっきりした意識を持つようになったのは結構最近なの、だから…」
「おそらくはそれと同じくらい…私の場合体の変形にかかる時間もあるからもっと意識を取り戻すのに時間が掛かる可能性がある、か」
「うんだから」
「だから、あなたが意識を取り戻すまで見張ってるから」
彼女は少し恥ずかしそうに言った。
「ははは、じゃあ頼むよ」
そう言って私は容器の中のものを一口分手のひらに取り出し、それを飲み込んだ。
「うん、待ってるから」
彼女の声が薄れていく意識の中聞こえた。
「長く日々を楽しむためです。」
ふいに精神鑑定医のペンが止まった。
これは余計なことをしたな、と思った。
別に精神鑑定を受けてるからといって私はミーム汚染に感染している疑いがあるわけではない。これは財団職員が定期的に受ける精神鑑定だ。日ごろから精神をすり減らす財団の激務をこなしている職員たちのためにやってると入社時のオリエンテーションで言ってた気がする。
まぁ私はうたた寝してたからあんまり記憶がないけど。
「”長く日々を楽しむため”って…どういうことですか?」
ぼーっとそんなことを考えていると精神鑑定医が聞き返してきた。
あぁそうだった、私は「なぜ財団に入ったのですか?」という質問にいつもなら「一般市民を守る~」とか「こんなものを世の中に放って世界が壊れてしまわないように~」などと適当に返していたのに、今日に限って気まぐれで本音を喋ってしまった。
まぁ言ってしまったものはしょうがない、ちゃんと喋ろう、ちょっと気が進まないけど
「そのままのことですよ。長く日々を楽しみたいんですよ。」
「あの…答えになっていないんですけど…」
精神鑑定医が困ったような顔をした
「ははは、そうですね。じゃあ今からちゃんと説明します。」
そう言って私は一呼吸おいて話し始めた
みんなはこんなことを感じたことはないだろうか、”子供の頃は一日がとても長く感じられたのに大人に近づくにつれだんだんと一日が短くなっていく”ということを。
これは別に気のせいではない。ほんとのことなのだ。
人…いや”ヒト”は何か新しいことがないと時間の感じ方が早まるのだ。つまりは年を重ねるにつれ時間の経つのを感じるのが早くなっていく。
実際私もそうだった。小学校、中学、高校、大学と上がるにつれ、どんどん時間が流れるのを早く感じるようになった。それはとても恐ろしいことだった。
だから私は大学の研究に没頭した、何か新しいことを発見し続けるために。
そしたらアレ…今はscp-[削除済み]と言われるものを見つけてしまい、今に至るわけだ。
最初職員から話を聞いた時…こんなこと言ったら不謹慎かもしれないが…正直私はワクワクした。とてもワクワクした。だからぜひ私も財団に入れてほしいと言った。実験に没頭しており、成績も優秀だった私はすぐに要望が通り、晴れて財団職員となった。
これでもう意味が分かっただろう?私は時間を…日々を長く感じるためにここにいるんだ。こんなに人為を超えるもの、人の理解を超えるものがあるんだ、毎日が刺激的だろう?
「…なるほど。」
と精神鑑定医は言った。何か胸に詰まっているような声を出しながら。
私は精神鑑定医の考えてることがすぐに分かった。
「もちろん、scpオブジェクトを世に放つ何てことしませんよ。そんなことしたら、楽しむために存在できなくなってしまう。」
「なるほど。」
鑑定医は安心したような顔持ちになった。
若干この言い方だとやばい思考の持ち主っぽいがまぁ納得してくれたから大丈夫だろう。
「それでは、今回の定期精神鑑定を終わります。おつかれさまでした。」
と言って鑑定医が椅子から立ち上がったので
「おつかれさまでした。」
と言って私もつられるように私も立った
…ふう、なんか危なかった気がする…主に解雇的な意味で。
まぁなんとかなるだろう、最悪疲れてたんだとか言って何とかしてやる。
そんなことを思いながら自分達の研究室に歩いて行った。
そしてひとことつぶやいた
「…さぁ、今日も長くこの日を楽しみますか。」
ここは私が様々な構文を試す(遊ぶ)タブです
本家にあげるときは[[include component:jstyles]]
打消し線
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析: