SCP財団 オブジェクト報告書管理データベース
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SCP-XXX-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在、SCP-XXX-JPの収容はサイト-8181/標準低度危険物小型物品保管チャンバーに保管されています。SCP-XXX-JPを用いての実験はカメラなどの機材が被験者から視認されないように構成された中型隔離実験室内でなおかつ衣類を身につけさせずに行い、レベル3/XXX-JPクリアランス取得人員による監視の上で実行してください。
説明: SCP-XXX-JPは金属とプラスチックで構成された、メーカー不明の作業用安全ゴーグルです。SCP-XXX-JPそのものの様子は既存の販売されている安全ゴーグルと差異は見受けられませんが、形状などはいかなるメーカーの製品とも類似しませんでした。
SCP-XXX-JPの異常性として、SCP-XXX-JPを装着した者("装着者"と呼称)は、その視界に映る全ての物品が「意思を持って話しかけてくる」という認識災害と推定される現象を引き起こします。装着者に対するこの現象は一時的なものであり、SCP-XXX-JPを取り外すことでその効果を失います。SCP-XXX-JPを装着することで関知できる「意思を持った物品」("SCP-XXX-JP-A"と呼称)はカメラ映像などには映ることはなく、映像記録として保管することはできません。
SCP-XXX-JP-Aとして認識された物品は(地面などに接合されていない場合は)自発的に移動や行動を起こすことが可能なようであり、非装着者からは「周囲の条件によって物品が移動した」という形で多くの場合は認識されます。SCP-XXX-JP-Aを認知した装着者はこれらについて一概に、SCP-XXX-JP-Aが「漫画やアニメのような、非常にコミカルな動きと語り草で話しかけてくる」と説明しています。
SCP-XXX-JP-Aを認知するには、以下の条件を満たしていることが重要となります。
- SCP-XXX-JPを装着していること。
- 視認対象の全体像のうち80%以上が把握できていること。
- 視認対象が人の手によって加工されたものであること。
- 視認対象が半径6.8mの有効圏内に存在すること。
これらの条件をクリアしている場合、視認する対象はSCP-XXX-JP-Aとして認知することが可能となります。
実験記録XXX-JP-01:
実験日時: 20██/██/██
被験者: D-4829
視認対象物: マグカップ、テーブル(非想定物)、衣類
実験監督責任者: 角田教授
実験概要: SCP-XXX-JPを装着してマグカップを視認し、SCP-XXX-JP-Aとしての会話を試みる。
実験結果: D-4829は、マグカップをSCP-XXX-JP-Aとして認識できることに驚愕の意思を見せたが、2分後には楽しげに話をしている様子が窺えた。実験終了後のD-4829からの報告により、実験時にマグカップを設置するために使用されたテーブル、D-4829の身につけていた職員服もSCP-XXX-JP-Aとして認知されていたものと考えられ、D-4829はそれぞれのSCP-XXX-JP-Aと会話を行ったものと思われる。以後、より正確な検証実験を行うため、実験時は視認対象物と衣服を身につけていない被験者のみを配置することで対応する予定。
実験記録XXX-JP-02:
実験日時: 20██/██/██
被験者: D-4993
視認対象物: マグカップ
実験監督責任者: 角田教授
実験概要: SCP-XXX-JPを装着してマグカップを視認した上でSCP-XXX-JP-Aに指示を出し、SCP-XXX-JP-Aが自発的に移動できるかどうかを検証する。
実験結果: D-4993の様子から、SCP-XXX-JP-Aは移動指示に従おうとしなかったことが窺える。10分ほど観測を続けたものの結果は変わらず、実験は終了した。しかし、実験終了を角田教授が指示した直後にマグカップが自発的に倒れたため、D-4993に状況説明を指示したところ、「仕事もさせてもらえず、面倒くさい会話に疲れて横になった」「大真面目な顔をして話をしてるのに全裸なのが面白かった」とSCP-XXX-JP-Aが言及していると説明した。
実験記録XXX-JP-03:
実験日時: 20██/██/██
被験者: D-4611
視認対象物: マグカップ
実験監督責任者: 角田教授
実験概要: SCP-XXX-JPを装着してマグカップを視認し、D-4611にそれを破壊するよう指示する。
実験結果: D-4611はマグカップを手に取ったまま、しばらくSCP-XXX-JP-Aと会話を行った。D-4611の会話内容から命乞いのようなやりとりが行われたものと思われる。2度目の破壊指示を角田教授が促したところで、D-4611はマグカップを地面に叩きつけるに至った。マグカップの破壊後、D-4611が破片を視認したが、SCP-XXX-JP-Aは確認できなかったと説明している。
実験記録XXX-JP-04:
実験日時: 20██/██/██
被験者: D-5829
視認対象物: 財団機動部隊標準小型偵察用ドローン
実験監督責任者: 角田教授
実験概要: SCP-XXX-JPを装着して偵察用ドローンを視認し、SCP-XXX-JP-Aとしての会話を試みる。
実験結果: D-5829は偵察用ドローンを視認し、多少の会話を挟んだ後に突然、偵察用ドローンが飛行を開始した。実験終了後のD-5829からの説明では、「今日は非番みたいだから、少し羽目を外したくなった」とSCP-XXX-JP-Aは説明しており、非常に楽しげに飛び回っていたと付け加えている。なお、何の命令もなく稼働した偵察用ドローンについては実験後に分解・検査を試みたが、一切の異常は検出されなかった。実験施設周辺にも電波ジャックや不正アクセスなどのクラッキングの痕跡もなく、SCP-XXX-JP-Aとして認知され、D-5829と会話を行ったことで自発的に稼働を開始したものと推測される。
実験記録XXX-JP-05:
実験日時: 20██/██/██
被験者: D-2242
視認対象物: イヌ(Canis lupus familiaris)
実験監督責任者: 角田教授
実験概要: SCP-XXX-JPを装着してイヌを視認し、SCP-XXX-JP-Aとしての会話を試みる。
実験結果: D-2242はしばらくイヌを観察し続けたが特に変化は見られず、実験終了後の報告でもSCP-XXX-JP装着前と様子は変わらなかったと説明している。このことから、SCP-XXX-JPの影響は非生物のものに限られることが判明した。
実験記録XXX-JP-06:
実験日時: 20██/██/██
被験者: イヌ(Canis lupus familiaris)
視認対象物: [編集済]社製ドッグフード(商品名: [編集済])および給餌容器
実験監督責任者: 角田教授
実験概要: 特殊器具を用いてイヌにSCP-XXX-JPを装着させ、給餌を行う。
実験結果: イヌはドッグフードに威嚇を行い、数分間吠え続けた。ドッグフードの周囲を周回しつつ接近し、興奮したように給餌容器に噛みつき、振り回した。実験終了後、オブジェクト回収員がイヌを取り押さえようとしたところ、オブジェクト回収員の衣類や器具に対しても威嚇を行い攻撃してきたため、その場で終了措置が執られた。これらのことから、人間以外の動物であってもSCP-XXX-JP-Aを視認することが可能であると判明した。
SCP-XXX-JP-Aインタビューログ(20██/█/██):
インタビュー対象: SCP-XXX-JP-A(ヒト型実体収容チャンバー)
インタビュアー: 角田教授
付記: SCP-XXX-JP-Aはその性質上装着者以外からは認識できないため、角田教授自身が装着し、会話およびSCP-XXX-JP-Aの行動を全てリアルタイムで記録することで対応しています。そのため、一部記述が正確でない可能性があります。
<記録開始>
角田教授: あー、SCP-XXX-JP-A。話すことはできますか?
SCP-XXX-JP-A: はい。角田さん。こうやってお話しするのは初めてですね。
角田教授: 私の名前を知っているのですか?
SCP-XXX-JP-A: はい。他の職員の会話などから全て把握していますよ。
角田教授: そうですか。
SCP-XXX-JP-A: ああ、すみません! お気に障ってしまったなら謝罪します。なにぶん財団の使われていない収容室なものですから、人が来なくて大抵暇なので。
角田教授: いえ。気にしているわけではありません。それより、SCP-XXX-JP-Aはこうやって人と話をすることについてはどう思っていますか?
SCP-XXX-JP-A: 正直驚いています。多分、その眼鏡のせいですよね? これもそれの研究の一環でお話ししているんだと思いますけど、そんな不思議道具もあるんだなっていうところでビックリしています。
角田教授: そこまで把握しているのですか。
SCP-XXX-JP-A: まあ、その眼鏡をかけてない人に呼びかけても反応はないですし、想像はできますよね。
角田教授: 財団の所有する設備だからこそ把握しているということですか?
SCP-XXX-JP-A: それもあります。普段は物同士で行き交う職員の観察とかをしていますよ。場所によっては重要な機密施設とかでも似たような感じじゃないでしょうか。
角田教授: それってつまり、財団の職員の行動や、機密性を伴う情報を自由に閲覧できているということですか?
SCP-XXX-JP-A: まあそうなりますけど……あっ、でも大丈夫ですよ! どうあがいても僕たちは物です。仮に情報を知ったとしても、それを伝えるだけの手段も能力も持っていません。それに、財団に導入されてる設備や物品たちは、高い志を持ってますから、その眼鏡を使って誰かが聞き出そうとしても話さないと思います。
角田教授: 志?
SCP-XXX-JP-A: そうです。人々を脅威から守り抜くための最終ラインとして運営される財団に使役している物たちは、自分の役割を自覚した物たちで溢れています。人を守っていける事を誇りに思っているんです。あらゆる超常現象にも耐えうる防壁や、実験に使われるフラスコたちでさえ。「僕らは人を守るためにここにいるんだ」って。
SCP-XXX-JP-A: 例え、僕たちがボロボロに壊れてしまったとしても、目的あって生まれてきて、目的を果たして壊れていけるなら本望だと思っています。
角田教授: 生命体ですらない物でもそのように考えるんですか。
SCP-XXX-JP-A: ただの物ですから、お互い普通は相容れることのないものです。話せてること自体おかしいことですよ。まあ、その眼鏡のおかげですね。
[SCP-XXX-JP-Aは微笑んでいる]
角田教授: そこには同意します。
SCP-XXX-JP-A: あ、けれども注意して欲しいことがあります。
角田教授: なんでしょう?
SCP-XXX-JP-A: その、僕や僕が知る限りの物たちは、さっきの通り志を持って使役してるんですが、最近はそうとも言い切れない物たちが出てきてるみたいなので、気をつけてください。
角田教授: どういう意味ですか?
SCP-XXX-JP-A: 最近、財団施設でも、その志や誇りを持っていない物たちのグループがいるという話を聞いたことがあります。メンテナンス上何も問題のない設備が突然問題を起こしたりした場合は注意してください。
角田教授: 物が反乱を起こすことがあり得るのですか?
SCP-XXX-JP-A: 今まではそのようなことはありませんでした。ですが、その眼鏡の存在が物たちの間で噂されるようになってから、同時に嫌な噂が流れるようになってきたんです。財団に反発的だった物たちが、その眼鏡を利用して何かをしようとしているのかも知れません。
角田教授: 分かりました。ひとまず、その件については……
SCP-XXX-JP-A: あっ、一応この部屋については仲の良い物たちばかりなので大丈夫だと思いますが、情報の取扱は注意してくださいね。どこでどんな物が聞いているか、見ているか分かりませんから。
角田教授: ありがとうございます。では、ここで一旦インタビューは終了します。
<記録終了>
画像ソース: pixabay
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