Sin1024
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夏の追放者

牢役人の傲慢、最後の龍1、レプティリア・スパーナス2、レヴォンのタラスク、
肉体からの追放者、手に負えぬ放蕩息子、死の母、SCP-682

梗概


夏の追放者は比類なき怪物であり、限りなく適応的な変身能力を持つ動物である人物だ。かの者を殺すことは不可能であると考えられている。通説ではかの者はその故郷より追放されたと考えられている。また、その地はSCP財団により悪しく解され、再創造されたないしは歪められたとも。かの者は地球に囚われ、この地を永続的には離れることができないと知られている。かの者は人型生物に究極の恐怖を示し、目にした殆どの人型生物を殺そうと試みる。

知識


特徴: 夏の追放者は適応的な変身能力者で、外的刺激に反応して姿を変える。かの者は己に加えられた力に比例した力を得る5。十分な時間が経過すれば、その身体適応の大部分は失われるが、その身体が変化を止めることはない。

外見上、かの者は通常爬虫類のように見えるが、その部位には一貫性がない。


性質: 夏の追放者は高度な理性を持つ、起源が不明なる知的生物種族の一員である。かの者の種族には他の者も存在しており、その種族は雌雄同体の捕食者であると知られている。知られている限りこの種族の一員であると特定された者はいない。夏の追放者は本来の姿からもはや見分けがつかぬほど歪められてしまったため、その姿から種族の残りの者について真っ当な結論を引き出すことは残念ながら難しい。7

夏の追放者は故郷から放逐、あるいは追放されたと考えられている。それについての最も古く最も信頼できる記述には、追放者は「夏の領地から永遠に拒絶された」とある。追放の経緯の全容は知られていない。9

追放者は人間をちょうど西洋の人間がゴキブリを見るのと同じように見ているが、同時にかの者は人間に対して本能を超えた真の恐怖を抱いている。比べれば人間には膨大な数があり、かの者を苦しめるために多くの歳月を費やしてきたからだ(財団において、これは文字通りの事実だ)。追放者にとって、人間とは我々の理解が及ばぬほどの恐怖を体現している。

かの者は他の地球起源の生命体にはより弱い憎悪を抱いているようだ。地球起源ではない生命体と関わる時、かの者は巨大な捕食者として典型的な振る舞いをする。つまり、冷静な警戒と断続的な激しい狩猟行動だ。

かの者の適応的な変身能力が種族の生来のものであったのか、他の理由でかの者に授けられた呪いあるいは特性、例えば放浪者カインの負う"しるし"のようなものであったのか、あるいは看守の介入による副次効果であったのか、いずれも不明である。

歴史と関連組織: 夏の追放者は秘儀的な段階からSCP財団と深く結びついている。しかしこの結びつきの本質について未だ完全には理解されていない。看守らがかの者を前回の冬眠から目覚めさせたことは確かだ。その時かの者の現在の姿を作り出したのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

看守らがその眠りを妨げるまで、夏の追放者は数世紀に渡って冬眠についていたことが知られている。10年以上前の不明な日に、看守らはおそらくその前任者から引き継いだ情報に基づいて(SCP財団の歴史に関する他の記事を参照)、追放者の墓所を発見(再発見か?)した。

看守らは人事不省にある追放者の肉体を掘り起こし、それを実験に供し、他の超自然存在と融合させようと試みた。看守らは、おそらくその瀬戸際になってからだが、結果について警告を受けていたに違いない、追放者が目覚めた時、その場には1人の看守もいなかったのだから。

目覚めたのち、追放者は看守らが辛うじてかの者を捕らえ封じるまでの短い間地球上を彷徨った。それ以来、追放者は常に脱走を試みている。

この事件により、夏の追放者はしばしば"牢役人の傲慢"とも呼ばれる。


看守らは己の過ちへの恐怖に反応を示した。ただし誤った形で。彼らの指導者たちは、追放者がその暗き墓所の中で目覚めるより前に、彼らは追放者の知識を探し求めるべきだったということを理解する代わりに、追放者を知識と科学探求の危険性を示す例として内部的に利用した。予想できることだが、看守らは追放者について外部の助けを拒絶している。

夏の追放者は彼女が人型生物であるにも関わらず、第五の失われた子に強い好意を示している。 この理由は不明である。11

興味深いことに、夏の追放者が時折、不明な期間に渡って看守らと協力しているという報告も存在する。仮にこれが真実だとしても、殆どの看守らはそのことを知らないようだ。

接触: 夏の追放者との対決における最大の勝利とは、かの者の注意を逸らすか一時的に封じることで、避難する時間を稼ぐことである。とりわけ人間である手のメンバーはあるゆる手段を用いて夏の追放者から逃れるように推奨される。

夏の追放者を地球以外の次元へと恒久的に放逐することは不可能であり、放逐は一時的なものにとどまる(多くの場合そもそも失敗する)。追放者の放逐において最長の記録は、とりわけ強力な儀式の効果による縺れの森Ravelwoods(図書館の資料を参照)へのものだが、この放逐も僅か数年しか続かなかった。さらにこの成功の要因は縺れの森Ravelwoods自身の特性にある可能性が高い。夏の追放者はWaysに入ることはできず、図書館からは締め出されている。

これまでの夏の追放者の幽閉に永続的なものはなかった。看守らはそれに最も成功しているが、夏の追放者はたびたび檻から脱出している。 看守らの資源なくして追放者の幽閉を継続させることは不可能である。

看守らは夏の追放者の殺害を絶えず試みている。この行いは全くもって推奨されない。夏の追放者をより大きな力に曝すことは、多くの場合ただその力を増大させるだけであり、得られた耐性の全てが時間の経過で失われるわけではないためだ。13

観察と物語

夏の追放者の記録は歴史を通じて断続的に残されている。もっとも、多くの記述は創作であるようだ。有名な記述の1つとして(史実との不一致から創作と思われるが)ブラックウッド卿の大タラスク狩り'83がある。最も初期の言及は詳細不明の作品の一節にあり、夏の追放者の名を挙げて「彼女は見知らぬ受難によって永久なる悲嘆にある」とする。詳細は書かれていない。15


多くの記述では夏の追放者をシーシュポス的な人物とする、つまりある重大な罪への罰として我々の世界に放逐されて、終わりなき、不可解な、しかし間違いなく苦痛に満ちた循環を強いられていると。この地に追放者が存在することそのものが拷問なのだ。17

C.モンデッサは「迷える魂」の中で、夏の追放者は故郷に帰れないことを既に受け入れており、今は安らかに眠ることか文明全体を破壊することのどちらか、手っ取り早い方を望んでいると主張した。地球上すべての知的生命を絶滅させればこの惑星での幽閉から解放されると、追放者は実際に信じているかもしれないと彼女は推測している — この信念は実際に真実なのかもしれない。

「かの追放者は無意味と不合理の肉体。かの追放者は貴族に踏みつけられた労働者、宿から追い払われた放浪者、親に見捨てられた子供、愛想を尽かされた恋人、降りかかった不正義。かの追放者、夏より永久に生まれ変わり還ってきたもの、生と死の苦しみに浸り、どこにもない釣り合いを求めてもがく。目覚めているとき、気付いているとき、永遠のもがきの真実を見るときにだけ、それは苦しみを嘲りに変え9の3倍にして返す。嘲りはあらゆる足掻きを乗り越える。怒りと正当な憤りはあらゆる妨げを払いのける。正義がもたらされるとき、それは火と鋭い石によってもたらされるのだろう。」 ~魔術使いセプティマス

疑念

看守ら自身が夏の追放者をある壮大な実験において、かの者の現在と過去全てを作り出すことで、一から捏ち上げた可能性がある — 元の種族や失った故郷から、古い物語への遡及的な登場までも — 1個の巨大な現実の連なりとして。1920


幾つかの記述では、財団は追放者が神性を取り戻すことを助けようと意図しているのだ、とも主張している。そうすればそれは追放された故郷に戻り復讐を遂げるはずだと。しかし我々の多くはこれはありそうにないと考えている。