SenkanY

飯田さんはモニターから目を離さす、打鍵音だけが部屋に響き渡っていた。彼は返答に困ってしまったのだろう。眉間にシワが寄っている。私はこの日、上司たる彼に相談を持ちかけるためにオフィスへやってきた。私は現在財団が提供しているマンションの一室に住んでいる。最寄り駅から十五分、一般的な住宅街の一角に存在している。”提供”といっても実際には民間のマンションであり、寮といった感じではない。傍から見ても様々な人種が住んでおり、生活時間帯もバラバラであって、間違っても特殊な組織の人間がいるようには見えない。そんな普通のマンションである。

「偶然……と言えなくもないが、情報漏えいの可能性もあるだろうし、