アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、旧大日本帝国海軍に所属した航空母艦████の外装を模した収容船に収容してください。非活性状態にあるSCP-XXX-JPを秘匿するため、収容船ごと███にある財団の施設に保管されます。
SCP-XXX-JPが行動を開始した場合、太平洋上の特定の海域および ████空港の敷地内を封鎖、滑走路周辺を厳重警戒してください。また、SCP-XXX-JPを中心とした半径2500mの空間に飛行する物体を侵入させないでください。さらに、接触する際は一切の武器を持たず、攻撃の意思を見せないでください。そして、SCP-XXX-JPを飛行甲板に着艦させた後、船内に収容してください。
SCP-XXX-JPの失踪が確認された場合、早期の捜索を行ってください。
追記: 2012/12/8/を以て、SCP-XXX-JPの異常性が喪失したと判断され、オブジェクトクラスがNeutralizedに変更されました。
説明: SCP-XXX-JPは第二次世界大戦中旧大日本帝国海軍に所属した九七式三号艦上攻撃機です。西暦1991年に太平洋上の北緯██度西経███度周辺で発見されました。
主な材質はジュラルミンですが、錆びている様子はありません。
発見当初、翼には貫通したような弾痕があり、機体後部には対空砲用弾頭の物と思わしき破片が無数に刺さっていましが、降着装置やプロペラなどを含む飛行に関係する部品は無事で、特にコクピット内部は不自然なほどきれいな状態に保たれていました。機体下部にはあちこちに穴が開いていましたが、浸水することはなく、海上を漂っていました。燃料および弾薬の類は一切搭載せず、風防が閉じたままで緊急脱出装置も動作した形跡がありませんでした。また、速度計などの計器はすべて機能を停止していました。
発見時、弾薬などが搭載されていないため、危険性はないと判断されましたが、地上に引き上げて調査しようとしたところ、回収に向かったすべてのヘリコプターおよび水上機が弾薬を搭載していないはずのSCP-XXX-JPの後部銃座によって撃墜されるという事態が発生しました。やむなく大型の船舶を用いた海上輸送を試みました。しかし、ワイヤーを掛けることができてもSCP-XXX-JPは海面に張り付くかの如く一切動く素振りを見せなかったと記録されています。仕方なく船舶を常駐させ、監視下に置きました。
こちらから攻撃の意思を見せない限りSCP-XXX-JPは非活性化状態にあり、異常性の発現は認められず、危険度もかなり低いと思われます。しかし、毎年の日本時間12月8日午前1時30分頃から同日午前8時30分頃までの間に自発的な活性化が認められました。
SCP-XXX-JPは燃料になり得るものを積まずに、水上なのにもかかわらず降着装置を展開し水面を滑走した後、離水し、発見された海域にある島の空港(旧アメリカ海軍航空基地)に向けて飛行を開始しました。
部隊が対空ミサイルや対空砲を用いて撃墜を試みました。しかし、命中はしましたが、傷は無く、発動機も異常を見せずに動いていました。その後、逆に数km先から放たれたSCP-XXX-JPの後部銃座の弾により十数名が死亡しました。
SCP-XXX-JPは数時間飛行し午前7時50分前後、空港上空に到達しました。SCP-XXX-JPが空港上空に到達直後、SCP-XXX-JPの付近2、3kmの無線機が
「トラ トラ トラ」
というモールス信号を受信したという報告がありました。これは太平洋戦争において大日本帝国軍が暗号として用いたもので、意味は「ワレ奇襲ニ成功セリ」です。後に逆探知を行った結果、SCP-XXX-JPから発信されたものと思われます。電波妨害などもが意味を為さないことも、後に判明しました。また、このモールス電信を記録できた電子機器はありませんでした。
そして電文が発信された数分後、空港の滑走路の中央で突如大爆発が発生、周辺にいた民間機数機が巻き込まれたかに見えましたが一切被害はなく、滑走路には爆発の跡もなかったそうです。また、爆発の原因となったものも見つからず、監視カメラ等には爆発などは記録されていなかったと言われています。しかし、現場に居合わせた職員は確かに爆発を確認したと証言し、また、SCP-XXX-JPからなにか楕円状のものが落下したのを確認していました。そして、物が高速で落下するときに発生する独特な高音を聞いた。と、口を揃えて報告してします。
人にしか認識できないと思われる爆発物を投下したSCP-XXX-JPはその後反転、発見された地点に向かいました。数時間の飛行を行い発見地点に戻ってきたSCP-XXX-JPは着水し、海面を数m滑走、不自然な減速の後に停止し、活動を休止しました。
この報告を受け、翌年の活性化の際、SCP-XXX-JPが飛行を行っている間にSCP-XXX-JPが停止する地点に厚さ300mmの鋼鉄の板を設置、SCP-XXX-JPが停止した後にその上に収容棟を建設して収容する計画を立て、実行しました。
しかし、収容棟は完成したものの翌年の活性化直後にSCP-XXX-JPの進行方向の設備が円形に消失、戻ってきたSCP-XXX-JPが収容棟の外壁を消失させながら滑走、収容棟の再建を余儀なくされました。その翌年には開閉可能な外壁を設けて対策しました。
異常性の喪失について: 発見より20年がたった西暦2011年の活性化の際、SCP-XXX-JPは、離陸時に今までと違いうっすらと発光しながら滑走し、離陸していきました。発光を観測した収容棟からの連絡により、今までも念のため滑走路からの退避は行っていましたが、今回は空港敷地内から全ての民間人および一部を除いた職員を退避させていました。
例年通り、SCP-XXX-JPは飛行を行い電文を発信した後、空港上空に到達、爆弾を投下し、帰投を開始しました。
しかし、今回は爆発物が監視カメラにしっかりと記録され、試行中だった電波妨害が成功し、記録も成功しました。そして、滑走路の中央に爆発の跡を確認しました。
さらに、着水の数十秒前に燃料漏れによる燃料切れで不時着するという旨の音声を受信しましたが、こちらは記録できませんでした。聞いた職員によると、30~40代の男性の声だったと記録されています。
その後、SCP-XXX-JPは収容棟を避けるように滑走、海面で停止しました。SCP-XXX-JPが実害を発生させるようになったため、これからの措置を協議しました。音声の内容で考察する限り、SCP-XXX-JP は、多数の被弾により燃料漏れが発生し、帰投の途中で海面に不時着、放棄された機体と考えられます。また、母艦にたどり着けなかった無念が何らかの形で機体に干渉、SCP-XXX-JPに変化させたと思われます。
そこで、SCP-XXX-JPが最後に所属した航空母艦を再現し、そこに着艦させて様子を見るという案が上がり、翌年の西暦2012年、その案が実行されることとなりました。機体番号を確認したところ、旧大日本帝国海軍に所属した航空母艦████所属の飛行隊長機ということが判明しました。空港への爆撃は毎年爆発が起きる滑走路の中央に路面と同じ色の装甲板を設置してしのぎました。そして、SCP-XXX-JPの停止位置より島に数km近い位置に航空母艦████の外装を模したダミー船を停泊させました。
SCP-XXX-JPはダミー船の周辺を旋回しながら着艦許可を求める発信を行いました。音声としては聞き取れたものの、記録した音声からはうめき声が聞こえるだけでした。それを許可するとSCP-XXX-JPはダミー船の後方から進入、飛行甲板再現時に設置したワイヤーに機体後部のフックを掛けて停止しました。
停止直後、SCP-XXX-JPの風防が開き、周囲が強烈な光に包まれたと記録されていました。その光量は凄まじく、監視装置の類は意味をなさなかった上に、目撃者も真っ白に発光したこと以外は判明しませんでした。
そして、発光が収まってから確認されたのは左翼と降着装置が途中で折れ、ほとんどの部品が朽ち果てたSCP-XXX-JPでした。風防は解放されたままでコクピット内部は酷く風化していました。
SCP-XXX-JPの残骸はダミー船の内部に収容され、それ以降異常性の発現は認められず、ダミー船への着艦を以てSCP-XXX-JPの活性化が終了したと判断されます。