底辺研究員の下書きレポート

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:

説明: SCP-XXX-JPは██県██町に存在する“峯太郎神社”として知られていた小規模な無人神社です。安山岩の古い石祠が本殿として境内中心部に存在し、その前方銅板葺の拝殿から鳥居までが玉砂利の参道で結ばれています。周囲は鎮守の森に囲まれ、施設としては後年建て加えたとみられる鉄筋コンクリート造の倉庫のみが併設されます。1

SCP-XXX-JPは社殿区域を中心として、動植物の生細胞に成長と増殖を促す未知の微弱なエネルギー(SCP-XXX-JP-A)を放射しています。このエネルギーによる効果は遮蔽物の存在や区域からの距離によって弱まり、無遮蔽状態であっても半径30m程度で概ね無効化されるとみられています。SCP-XXX-JP-Aの影響からか、境内に存在する鎮守の森2のうち社殿に近い樹木には、本来の推定樹齢や環境から比較すると通常の1.5~2倍の成長という特筆すべき大型化・肥大化が確認されました。

当初SCP-XXX-JP-Aについて、SCP-XXX-JPの社殿そのものが何らかの異常性を帯びエネルギーの発生源と化している事が想定されていました。しかし複数回に渡る精密検査を経ても当該建造物並びにその構成物品に特筆すべき異常性が見られなかった事、エネルギー放射の発生地点と社殿本体には明らかな空間上のズレが存在すると発覚した事を経て、この想定は不確定なものとなります。その後SCP-XXX-JP-AはSCP-XXX-JP社殿を概ね内包する直方体空間より、明確な発生源を持たずに放射されていると判断されるに至りました。

当該神社の特徴として、この地に伝わる民間伝承上の人物を神格化し祀る、いわゆる人神信仰に類する形態を取る事が挙げられます。この伝承は地域民話として複数の民俗資料から確認されており、聴取の記録からは区域近辺に在住する住民の間でもある程度の認知を持たれていることが伺えました。SCP-XXX-JPの境内においても、地域自治体主導の元その要略を記した看板(当報告書冒頭写真を参照)が由緒書と並列して設置されています。下記資料文面はその写しです。


前述の資料で言及される様に、SCP-XXX-JPはその由緒から子供の発育や成長を祈る場として近隣地域の人々に古くから利用されていました。一例として、SCP-XXX-JPが存在する███地区、並びに██町周辺の住民の間では安産祈願やお宮参り・七五三といった子供や成長に関するイベントの際にのみ、当該地域の中心的な神社ではなく特例的に当該神社を利用する風習が根付いていた事が確認されています。これはSCP-XXX-JPの特異的な効果と合理的に一致したものであり、事実としてこの地域の出身者に身体的発育の面において有意に良好な数値が得られていた事が、後にSCP-XXX-JPの持つ異常性について財団が認識するに至る要因となっています。

SCP-XXX-JP区域はSCP-XXX-JP-Aの存在に加え空間安定性において僅かに低い数値を示している事が分かっていましたが、その異常性の根源に関する調査は19██年の初期収容から明確な進展を見せずにいました。隔離下での影響力の弱さや暫定的な無害性から、20██年以降は担当班によって試験的に特異性の有効活用が試行されています。この試みにはある程度の成功がみられた事から、他プロジェクトの為のサンプル培養や職員の療養といった幾つかの計画が立案され、項目によっては最終段階まで審議が進められました。

上記状況は20██年█月に発生した██████████の折に一転します。オブジェクトが存在する██町においても強い揺れが認められましたが、この際管理区画内の定点カメラはSCP-XXX-JPの社殿が突如として消失、ほぼ同規模の巨大な石の構造物へと瞬間的に変化する様子を確認していました。記録映像には本殿である石祠が揺れの影響で一部損壊する様子が記録されており、社殿と構造物の置換はこの直後であった事が分かっています。本来この社殿には地震その他の外的要因による損傷を防止する為の保護措置が取られていましたが、この事案が発生した当時は経年劣化による保護資材の交換作業が行われる最中であり、この事が当該事案における本殿の損傷に繋がったと考えられます。現地作業者は地震発生時に構造物の出現地点から離れたものの、多くの保護設備と調査資材がこの変換事象に巻き込まれて社殿と共に喪失しています。構造物は追ってSCP-XXX-JP-Bと区分されました。

SCP-XXX-JP-Bは積まれた安山岩で成り立ち、その内部からはSCP-XXX-JP-Aが発せられています。形状はほぼ直方体であり、これは当初エネルギーの放射が確認されていた直方体空間と一致する事が分かっています。本来拝殿が存在した位置であるSCP-XXX-JP-B前方壁面の中央には四角く区切られた異質な箇所があり、この箇所においてのみ、他に比べて粗く細かい石材が用いられています。その様相から、これはSCP-XXX-JP-B内部空間への入口を石積みによって塞いだものであると推測されました。

補遺: