riyu0808
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPのうちすでに発見されたものはサイト-8111低脅威度オブジェクト収容ロッカーに収容されています。今後新たにSCP-XXXX-JPが発見された場合速やかに収容してください。日本ならびに各国のオセロ連盟(以後連盟と表記)が主催、並びにSCP-XXXX-JPと同規格の石を用いる大会に参加しないようこの報告書と共に全職員に通達してください。連盟協力のもと、1週間おきに全ての石を検査してください。石の公式規格を変更する提案は、文化保護の観点から却下されています。現在文化保護を念頭に置いた完全な回収手段を模索中であり、提案は広く歓迎されています。

説明: SCP-XXXX-JPは連盟公式規格1のオセロ石です。内部構造含む一般的なオセロ石との物理的な違いは確認されていません。5%以上の物理的欠損を与えればオブジェクトの異常性は消滅します。

SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP(以後オブジェクトと表記)がオセロ石であると理解している存在(以後被験者と表記)が触れるとその異常性を発揮します。オブジェクトに触れた被験者は「以前にこの石に触れた人間の記憶が入ってきた」「頭が冴え渡っている」「この上ないほど冷静になっている」と証言します。検査の結果、オブジェクトに触れている間の被験者は、副交感神経の作用が向上していることが判明しました。これによる人体への悪影響は確認されていません。

被験者がオブジェクトを手放すと、被験者からは記憶が入ってきたという認識が抹消されます。また、対局の中でオブジェクトにより得た情報を用いて対局を進めていた場合、「いいアイデアが浮かんできた」という記憶に置き換わります。(オブジェクトの異常性を被験者があらかじめ把握していた場合、この限りではありません。)

オブジェクトと同規格のオセロ石が80秒以上接触すると、接触していたオセロ石はオブジェクトと同じ性質に変化します。この時オブジェクトに保存されていた記憶も新たなオブジェクトに反映されます。また、オブジェクトが公式・非公式に限らずオセロの対局によって返された場合、1回返されるごとに一人分ずつ、過去から順に保存されている記憶が消去されます。

オブジェクトを財団が発見した際、連盟の所有する全てのオセロ石を一斉に検査しオブジェクトを数万個回収しましたが、その後も定期検査のたびにオブジェクトが発見され、また連盟外からも度々発見されることから、すでに異常性に気がついた一部の人間により持ち帰られ、拡散してしまったものと見られています。

補遺1:
実験記録XXXX-JP-1 - 日付200█/██/██

対象: Dクラス1名(D-3010)

実施方法: D-3010にオブジェクトを持たせた。

結果: D-3010は「連盟選手の記憶が入ってきた」「頭が冴え渡っている」「この上ないほど冷静になっている」と証言した。

補足: 実験後インタビューの証言からは、「記憶が入ってきた」旨の証言が得られなかった。

分析: なるほど。これでオブジェクト発見が遅れたことに説明がつく。

実験記録XXXX-JP-2 - 日付200█/██/██

対象: Dクラス2名(D-3010とD-3011)

実施方法: D-3010にオブジェクトを持ったままオセロの対局をさせた。

結果: 石差58石でD-3010が勝利した。

補足: D-3011が激昂しオセロ版を投げ飛ばした。オセロ盤はD-3010の頭部に命中しD-3010は脳震盪で気絶、持っていたオブジェクトを手放してしまいオブジェクトと他のオセロ石との見分けがつかなくなってしまった。D-3011は機動隊員により直ちに鎮静剤が投与され、D-3010と共に回収された。

分析: 仮説通りだが、ハプニングが発生してしまった。今度からは予備のDクラスをあらかじめ待機させておくべきだろう。次の実験開始まで20分かかる。その間あのオブジェクトは実験室の床に散らばったままだ。

実験記録XXXX-JP-3 - 日付200█/██/██

対象: Dクラス1名(回復したD-3010)

実施方法: 先の実験で散らばったオセロ石からオブジェクトを選別させる。

結果: 全ての石に異常性があることが確認された。実験を中止し、オブジェクトを回収した。

分析: たったの20分で1つのオブジェクトから周囲の全てのオセロ石へ異常性が伝染したことは大きな驚異だ。この伝染力についても詳しい実験が必要になる。

実験記録XXXX-JP-4 - 日付200█/██/██

対象: Dクラス1名(D-3010)

実験方法: D-3010に異常性のないオセロ石を持ったままオブジェクトと接触させ、接触した瞬間から異常性が報告されるまでの時間を計測する。

結果: D-3010は約80秒で異常性を報告した。

分析: オセロは対局が終わると64石を4等分しそれぞれ筒の中に入れる。つまり筒の中に1つオブジェクトが紛れ込めば、全ての石へ異常性を伝染するのに最大で15回の伝染を要する。対局の際持ち時間として頻繁に持ちられる1200秒を15で割った数が80秒だ。タチが悪い。このオブジェクトを作った奴は何がしたかったのだろうか。

実験記録XXXX-JP-5 - 日付200█/██/██

対象: Dクラス2名(D-3010とD-3745)

実験方法: ピッキング知識を持つD-3745をオブジェクトに触れさせ、そのオブジェクトとピッキングに用いる器具をD-3010に与え金庫を開けさせる。

結果: D-3010は1時間ほどで金庫を開けた。また、「いいアイデアが浮かんだ」として、D-3745のピッキングに関する記憶は残った。

補足: D-3010にピッキングに関する予備知識はなかった。

分析: これでこの異常性はオセロ以外でも同様に発動するものであるとわかった。

以下実験記録は省略します。閲覧希望者は担当博士へ連絡を取って下さい。

補遺2:
事案記録XXXX-JP-1 - 日付20██/██/██
説明: 通達を無視した財団職員が日本オセロ連盟主催の定例会に参加しました。その結果、SCP-████-JPの情報がオブジェクトに保存されました。自体の発覚まで半年を費やしたので、SCP-████-JPの情報はすでに拡散してしまっているものと考えられています。幸いそれはオセロの対局においては役に立たない情報なので一般人への情報漏れはないでしょうが、非常に危うい段階に入ったと考えられます。この事案から、通達には等報告書が付随するようになりました。

要注意団体や宗教法人、研究施設等の異常存在またはそれに類似したものを扱い対局している人間の手に渡れば、「いいアイデアが浮かんだ」としてオブジェクトを手放しても記憶が消えることはないだろう。未だ財団の存在を知らない人間に存在を知られること自体が脅威であるのに加え、今回漏洩した情報は幸いにも重大なものではなかったが、上位クリアランスを所有し重大な情報を知る人間には、オセロ有段者も少なくない。そんな重大な情報が要注意団体。最悪な状況を考えれば、世界征服や、地球の滅亡を思索している人間に漏れれば大規模な収容違反を起こしかねない。これはあくまで可能性の話だが、ありえない話ではないし確定のしようもない。職員には通達の遵守と、オブジェクトの発見と収容に励んでほしい。本日より3ヶ月以内に適切な回収手段が考案されなかった場合、当該オブジェクトのketerへの格上げを要請し、強行収容措置を取る。このオブジェクトは、すでに拡散しすぎている。――長谷川博士