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九州大学。福岡県福岡市に存在する、100年以上の歴史と広大なキャンパスを誇る国立大学である。特に化学、工学系の研究が多く行われており、様々な成果をあげている。SCP財団九州大学支部、通称SCP-QUは、そんな九州大学内部に存在する財団施設サイト-819█及びその内部の組織の俗称である。本来であれば日本国内での異常は財団日本支部の管轄であるが、SCP-QUは九州地方を中心とした支部であるような呼ばれ方をする。

そもそも九州大学は前身である京都帝国大学福岡医科大学が設立された当初から、当時の教授菅原玄一郎を筆頭に福岡県を中心として異常現象、生物の研究を行っていた。その後九州帝国大学が設立された際に彼らの研究部署及び研究成果は大日本帝国異常事例調査局(IJAMEA)に吸収され、以後調査、研究範囲を九州地方全体に拡大、研究分野も医学、工学から農学、法文学、理学と学部の創設とともに広がっていった。第二次世界大戦中には異常存在の軍事転用の研究も盛んにおこなわれたが、軍事的な成果はそれほどあがらなかった。その反面、高脅威異常の安定化、無力化に関しては多くの発見がなされていたため、政府からの評価は高かった。

終戦によるIJAMEAの解体の際、その職員と研究成果の多くは財団、GOCをはじめとする超常組織に吸収されたが、このとき財団は九州帝国大学異常研究部門をほぼすべてそのまま接収することを日本国上層部に承認させることに成功した。しかし米国本部より出向したエージェントから日本支部の構想を提示された当時の責任者菅原宗次郎は財団に「異常研究機関として九州大学内に創設される財団に一つの支部としての権限を与える」ことを接収の条件として提示。当然財団側は拒否するが、武力行使を含む激しい交渉の末に九州大学支部は日本支部に包括されること、緊急時には無条件で財団日本支部との完全な連携を行うことなどを条件に承認、九州大学支部が誕生する。

「国」ではなく「地方」というより近い視点に立ち、大学という研究力の高い施設を拠点とした調査、研究により、SCP-QUの管轄地域では日本の他の地域に比べて高い異常発見率と解明率、低い犠牲者数を誇っていた。しかし1972年に日本国内全域で大規模収容違反が発生、支部の違いによる指示系統の混乱、協力の不完全さなどの問題点が露呈。日本支部、九州大学支部それぞれの内部から完全な統合を求める声が上がる。両支部の上層部は同様の失敗の防止を目的に日本支部による九州大学支部の吸収を決定したが、元来九州大学が持っていた利点を活用するため、サイト-819█には比較的高い自由が認められる。その強い権利と歴史から、サイト-819█は現在でも慣習的に九州大学支部、SCP-QUと呼ばれることもあるのである。

九州帝国大学異常研究部門所有のオブジェクト及び九州大学支部が正式に存在していた時に発見、収容されたオブジェクトはSCP-QUのナンバーで管理され、現在でも一部がそのまま残っている。また吸収後に発見されたオブジェクトでもサイト-819█が管理するものにはSCP-QUのナンバーを持つものがある、といううわさが職員の間でささやかれているが、財団はこのことを否定している。

現在サイト-819█には九大内に表向きの地位(教授など)を持つ職員が多く在籍しており、研究を行っている。そのような職員に指導される九大生や、目立って能力の高い九大生は財団の職員適正テストを(そうと知らされることはなく)受けることになり、高い適正を示した者は財団への就職を斡旋されることもある。また、フロント企業による求人も多くあり、プリチャード学院大学や千葉国際科学大学などに次いで財団就職者が多い大学の一つである。