SCP案
キャッシュキッシュ
金の卵を使用して作られたキッシュ。
現金の代わりに使用することができる。
名前: 赤部 ██ (あかべ ████)
セキュリティクリアランス: レベル2
職務: 低脅威度オブジェクトの研究、インタビュー
所在: サイト-81██
人物: 赤部博士は真面目で規律に厳しく、彼女の同僚からは堅物として知られていました。しかし19██年に起きた事故で、あるAnomalousアイテムの異常性に暴露してしまい、他の職員たちが彼女の顔を記憶することができなくなりました。この異常性は、相手に向かって左右どちらかの目の赤い部分と舌を同時に露出する1ことで解除されるものだったため、それ以来彼女はNeah博士、にゃあ博士と呼ばれるようになりました。
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アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険性物体保管ユニットに保管されます。SCP-XXX-JP-a、SCP-XXX-JP-bは標準生物収容室内におき、定期的に脱走の危険がないか確認してください。追加実験によりSCP-XXX-JP-a及びSCP-XXX-JP-bが生じた場合は、かならず処理してください。
説明: SCP-XXX-JPは、幅90mm×高さ54mm×厚さ19mmのデジタルカメラで、バッテリーとメモリーカードが付属しています。分解の結果、構造に異常性は見当たらず、製造社を示すような印も発見されませんでした。
人間がSCP-XXX-JPを用いて"自撮り"を行った場合、撮影者の両腕が肩先から分離します(SCP-XXX-JPを所持している腕をSCP-XXX-JP-a、所持していない腕をSCP-XXX-JP-bと指定)。この分離には痛覚が伴わず、断面からの出血や劣化が発生することもありません。SCP-XXX-JP-a、SCP-XXX-JP-bは自律して行動することが可能であり、その移動方法はシャクガ科のガ類の幼虫2のものに類似しています。
SCP-XXX-JP-a、SCP-XXX-JP-bは定期的に人間の居住空間へ侵入し、標的として定めた対象の"撮影"を行います。この標的として選ばれる人間は、面識の有無に関わらず、暴露した撮影者にとって「容姿が好みである」人物が選ばれることが判明しています。SCP-XXX-JP-a、SCP-XXX-JP-bは対象が就寝や入浴等の隙を見せるまで潜み、自らの存在を知覚されないように行動します。最終的にSCP-XXX-JP-bは口や鼻を塞いだり、頸動脈を圧迫することで対象を失神、もしくは死亡させます。その後SCP-XXX-JP-bは、対象の肩に手を回しているかのような姿勢をとり、SCP-XXX-JP-aが対象の撮影を行います。およそ2、3人撮影したSCP-XXX-JP-aは写真を現像し、それをSCP-XXX-JP-bが撮影者の住居へと投函します。SCP-XXX-JP-aが、どのような手段で写真の現像を行っているかについては現在も不明です。この行為はSCP-XXX-JP-a、SCP-XXX-JP-bのどちらかが行動不能にならない限り続けられます。
SCP-XXX-JPは20██年、大分県在住の男性から「両腕が逃げた」という旨の通報があったことで発覚しました。男性はSCP-XXX-JPを██市██町の家電量販店で購入したと主張しました。その証言に基づき、財団が件の家電量販店を調査した結果、計2█台のSCP-XXX-JPが外観の酷似している████製のデジタルカメラとして販売されていました。SCP-XXX-JP回収後、店員等関係者の調査も行われましたが、オブジェクトとは関連性がないことが判明したためAクラス記憶処理が施されました。通報した男性にはカバーストーリー「事故による両腕切断」を適応し、財団管理下の医療施設へと移送しました。分離したSCP-XXX-JP-a及びSCP-XXX-JP-bの行方は現在調査中です。20██/12/24、男性の病室に侵入しようとしていたSCP-XXX-JP-bをエージェント・三沢が発見。SCP-XXX-JP-bによる激しい抵抗があったものの、確保に成功しました。
補遺: SCP-XXX-JP-bの確保から数ヶ月後、サイト-81██に存在するエージェント・三沢のオフィスに1█枚の写真が出現しました。その全てにエージェント・三沢、もしくはその血縁者が写されており、SCP-XXX-JP-aによる脅迫行為ではないかと推測されています。SCP-XXX-JP-aが如何にしてエージェント・三沢の情報を入手し、サイト-81██に侵入したか、そしてSCP-XXX-JP-aの行方が何処なのかについては判明していません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準鳥類収容施設に収容します。担当職員は一定期間鳥類の雛の育成を行い、その様子をSCP-XXX-JPに認識させ、育成を引き継がせてください。
説明: SCP-XXX-JPは1羽の雌のスズメ目ヨシキリ科オオヨシキリ(学名:Acrocephalus arundinaceus)です。体長や食性は一般的なオオヨシキリのそれと変わりありませんが、収容時から現在まで老化の兆候を見せていません。
SCP-XXX-JPは何らかの手段で血縁関係の有無を判別可能であり、生物が血縁関係に無い個体を養護している様子を認識した際にその異常性を示します。SCP-XXX-JPは養護している個体(以下、仮親と表記する)が養護されている個体(以下、子と表記する)から目を離した隙を狙い、黄色味をおびた白色の粘着性物質を口から吐き出し、それを子に摂取させます。この物質を検査した結果、蛋白質、脂肪、炭水化物等の栄養素が含まれていました。SCP-XXX-JPがどのようにして、この物質を体内で生成しているかについては現在も判明していません。
物質を摂取した子の"声"を聞いた仮親は、子に対して無関心となり養護を放棄します。実験により、暴露後の仮親は子の声や排泄物の臭い等を知覚できなくなっていることが判明しています。SCP-XXX-JPは放棄された子に育雛本能を働かせ、一般的なオオヨシキリが雛を育てる場合と同様に昆虫類や節足動物等を餌として与えます。しかし、あくまでこれはオオヨシキリが雛を育てる方法であるため、対象となった生物によっては餌を摂食出来ずに衰弱死してしまうこともあります。SCP-XXX-JPは子の居場所を正確に把握することが可能であり、子を隔離しようとする試みはSCP-XXX-JPの激しい抵抗を引き起こします。ただし隔離されていない子が他に存在している場合には、そちらへの餌の運搬を優先する様子が確認されています。
200█/██/██の発見時、SCP-XXX-JPは財団フロント企業の託児所で█人の乳幼児に物質を摂取させていたことが確認されています。乳幼児の声を聞いたことで暴露した託児所職員には記憶処理が施されましたが、声を聞く度に影響が再発現するため完全な回復には至りませんでした。
補遺: 収容から3日後、SCP-XXX-JPの収容施設内にカッコウ(学名:Cuculus canorus)の雛1羽の遺体が出現しました。SCP-XXX-JPが雛を回収しようとした職員に対して激しい抵抗を示したことから、出現した雛は物質を摂取した子なのではないかと推測されました。更にその2日後、今度はSCP-XXX-JP発見時に物質を摂取させられた乳幼児の1人が施設内に出現したことで、SCP-XXX-JPは物質を摂取した生物を自身の元へ転移させることが可能であると判明しました。この事例から収容プロトコルは、前述の性質を利用したものへと改訂されました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP(知人のピクルス)
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-8122の低危険物品収容倉庫内に設置された冷凍庫に収容されています。家族、友人、恋人いずれかの関係にある職員1組以上がSCP-XXX-JPに接近することは許可されません。
説明: SCP-XXX-JPは、異常な特性を有している瓶詰めのピクルスです。瓶の側面にはマーカーペンで█████という名前が記されていますが、これが実在する人物のものであるか否かは判明していません。SCP-XXX-JPは、周囲に家族、友人、恋人いずれかの関係にある人間が1組以上存在している際に異常性を発現して暴露させます。
SCP-XXX-JPに暴露した人物が2名(片方をA、もう片方をBと表記)の場合、AはBとの記憶、BはAとの記憶が█████という名前の人物(SCP-XXX-JP-aと表記)との記憶へと改変されます。暴露した関係者が3名以上である場合には、自分以外の全員との記憶がSCP-XXX-JP-aとのものへ改変されますが、それによって生じた矛盾点を指摘したとしても、対象が異常を認識することはありません。また対象はSCP-XXX-JP-aに対して強い親愛の情を示し、SCP-XXX-JP-aが軽視されたと判断した際には非常に攻撃的になります。
SCP-XXX-JPによる改変後、対象は本来上記の関係にあった相手を「SCP-XXX-JP-aの知人であり、初対面の人物」であると認識するようになります。この影響は半永久的に持続することが確認されており、対象は何度面識を持ったとしても相手を「初対面の人物」だと認識します。また第三者が暴露以前の関係を説明した場合、たとえどのような証拠を提示したとしても、対象はそれをSCP-XXX-JP-aを引き離すための"嘘"であると判断します。適切な処置を施すことで影響の持続を解除することは可能ですが、改変された記憶を元の状態に戻す方法は現在も判明していません。
200█/██/██、神奈川県██市在住の男性(当時27歳)が同棲していた女性を殺害する事件が発生しました。逮捕時に男性が所持していたSCP-XXX-JPに警官2名が暴露、それが財団の目に留まり、神奈川県警に潜入中のエージェントによって回収されました。関係者には記憶処理が施され、暴露した警官2名はその後の経過を観察中です。
SCP-XXX-JPは事件当日に女性が購入してきたものであることが判明しましたが、どこで入手したかについては一切記録が残っていませんでした。女性が如何なる経緯でSCP-XXX-JPを入手したか、あるいは何処で荷物に混入したかについては調査が続けられています。
インタビュー記録XXX-█
対象: 男性(当時27歳)
インタビュアー: 渋田研究員
<録音開始, 200█/██/██>
渋田研究員: それでは、貴方と被害者は本当に面識が無いのですね?
男性: はい。間違いなく彼女と私は初対面でした。
渋田研究員: 何故貴方が初対面である彼女を殺害するに至ったのか、その経緯をお聞かせください。
男性: はい。……あのおん、彼女に対して、私は最初からあまり良い印象を持っていませんでした。彼女が█████の知り合いじゃなかったら、さっさと部屋から追い出していたと思います。彼女も「コイツはいつまでここに居るんだろう」とでも言いたげな顔でしたが……暫くして、彼女は█████が買ってきた荷物を漁り始めました。
渋田研究員: それで貴方は?
男性: 流石に頭にきて、彼女に「今なら警察を呼ばないでやるから、とっとと私達の部屋から出ていけ」と……そうしたら彼女は「ここは私と█████の部屋なんだから出ていく必要は無い。頭がおかしいんじゃないか」と叫びました。そこからはもう売り言葉に買い言葉で……
男性: 私が彼女を殴ると……いえ、普段は女性に暴力を振るうなんて絶対にしませんが、あの時はとにかく頭に血がのぼっていて……彼女は私を突き飛ばして瓶を持って逃げようとしたんです。よりにもよってピクルスを、█████が大好きなピクルスを![5秒沈黙]そこからは記憶が飛び飛びで……気がついたら彼女が血塗れで、私は瓶と包丁を握り締めていて……あぁ![嗚咽]
渋田研究員: そこまでで結構です。ありがとうございました。
<録音終了, 200█/██/██>
追記: 男性は"SCP-XXX-JP-a(つまり改変前の記憶であれば被害者女性)はピクルスが好物"であると供述していましたが、被害者である女性にそのような嗜好は無かったことが確認されています。その後の実験で、暴露した人間は一様に"ピクルスはSCP-XXX-JP-aの好物"であるという認識を持つようになることが判明しました。そのためSCP-XXX-JPに接触する行為は"盗難"であると判断され、暴露した人間の激しい抵抗を引き起こします。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8102の海洋生物型オブジェクト収容室の水槽内に収容されています。SCP-XXX-JPによる破壊を防止するため、水槽には厚さ7cmの強化ガラスが使用されています。現在、SCP-XXX-JPの消失を防ぐ手段は発見されていませんが、定期的な給餌により収容室を再出現場所として学習させることに成功しています。
追記: SCP-XXX-JPの再出現時、頭部の存在しない人型実体が水槽内に出現した場合、直ちに警備職員と研究責任者のアーヴィング博士に連絡してください。
説明: SCP-XXX-JPは異常な性質を持った中型の海棲哺乳類です。後述する異常性以外はラッコ(学名:Enhydar lutris)とよく似た習性を持っています。
SCP-XXX-JPは捕食行動の際、人間の頭部に類似した実体(SCP-XXX-JP-Aと表記)を使用して獲物を叩き割ります。SCP-XXX-JP-Aは皮膚のたるみ3(以下、ポケット)から取り出されていますが、そのサイズは明らかにポケットよりも大きく、また通常時のSCP-XXX-JPの身体を調査しても発見することはできませんでした。捕食行動中に接近した場合、SCP-XXX-JPは即座にSCP-XXX-JP-Aを収納してしまいます。
SCP-XXX-JP-Aは10代後半から20代前半のアイルランド人の特徴を有しています。眼球や口が動いたり、外的刺激に反応を示すことがありますが、視覚や聴覚などは機能していないことが観察によって判明しています。顔認識システムによる調査の結果、SCP-XXX-JP-Aと該当する人物は確認されませんでした。SCP-XXX-JP-Aは通常の人間よりも高い耐久性を持っていますが、捕食行動の度に強く殴打されるため、激しく損壊してしまうことがあります。
SCP-XXX-JP-Aが使用できなくなると、SCP-XXX-JPは未知の方法でその場から消失します。この時、SCP-XXX-JPの身体は大量の気泡に変化するため、カメラやGPSを装着していた場合は外れて残留します。SCP-XXX-JPは不規則なタイミングで同じ場所に出現し、以後は新しいSCP-XXX-JP-Aを使うようになります。収容後に確認された消失から再出現までの期間は、最短で14分、最長で約2週間でした。交換されたSCP-XXX-JP-Aがどうなるのかについては未だ判明していません。
以下はSCP-XXX-JP-Aを代用できるものを見つけ、消失を防ぐことを目的とした実験記録の抜粋です。
実験記録XXX-1
代用品: 適当な大きさの石
結果: SCP-XXX-JPは対象に興味を示さなかった。
実験記録XXX-16
代用品: D-XXX
結果: SCP-XXX-JPは対象に興味を示さなかった。
分析: どうやら襲いかかって首をもぎ取るような凶暴性はないようだ。
実験記録XXX-17
代用品: 人間の頭部(別実験で死亡したDクラス職員を使用)
結果: [編集済み]
分析: SCP-XXX-JPが興味を示したところまでは良かったんだが。対象が石頭じゃなかったのがお気に召さなかったらしい。
SCP-XXX-JPは2000年2月26日、山梨県の水族館で発見されました。発見時、SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-Aを水槽に叩きつけて破壊したことで、利用客4名と飼育されていたラッコ2頭が負傷していました。関係者には記憶処理が施され、カバーストーリー「ガラスの経年劣化」が適応されました。なお、動物園などで飼育されているラッコが水槽のガラスに貝殻を叩きつけて破損させる事例は過去にも確認されており、この1件も害意からの行動ではないと推測されています。
19回目の再出現の際、SCP-XXX-JPにしがみつく頭部のない女性型実体が同時に出現しました。女性型実体は警備職員によって速やかに拘束され、言語による意思疎通が可能であることが確認されたため、アーヴィング博士によるインタビューが実行されました。
対象: 女性型実体
インタビュアー: アーヴィング博士
付記: 対象はアイルランド語で会話している。円滑なインタビューを行うため、アーヴィング博士は対象が名乗ったカトリーナという名前で呼称することが認められている。
<録音開始>
アーヴィング博士: 我々がSCP-XXX-JPを貴女の元へと送り込んだのではないということを理解していただけましたか、カトリーナさん。
女性型実体: ああ。しかしあの忌々しいドアル・クー4を飼っているとは趣味の悪い。
アーヴィング博士: ドアル・クー?
女性型実体: 古い言葉で「水の犬」を意味する。ずる賢い奴だ。
アーヴィング博士: ずる賢い、とは?
女性型実体: あいつは我々の馬が川を渡れないことを知っているんだろう。頭を盗んだかと思えば、さっと逃げ込んでしまうからな。
アーヴィング博士: ではやはりSCP-XXX-JPが所有している頭部はカトリーナさんの、いえ貴女たちのものなのですね?
女性型実体: そうだ、何人もの同胞があいつに頭を奪われた。そしてこの私も!(興奮した女性型実体が椅子から立ち上がる。)
アーヴィング博士: 落ち着いてください。貴女はSCP-XXX-JPに関して悪感情を抱いているんですね?
女性型実体: 当たり前だろう!この手で八つ裂きにしてやりたいぐらいだ!
アーヴィング博士: では、どうして貴女は先程そうしなかったのですか?
女性型実体: 何?
アーヴィング博士: SCP-XXX-JPから頭部を取り返そうとしていた時、貴女はむしろSCP-XXX-JPを傷つけないように気を使っているように見えました。それは何故ですか?
女性型実体: [沈黙](女性型実体が椅子に座り直す。ため息を吐くような音。)
女性型実体: 貴方にはあいつがどう見える?
アーヴィング博士: どう見えるとは?
女性型実体: だからドアル・クーの外見だ。可愛いか?
アーヴィング博士: まあ、そうですね。
女性型実体: だろ?やってることはともかくあいつは可愛いんだ。それにあいつの被害を受けるのは我々だけ。それも少々不便なだけで別に死ぬわけじゃない。手間はかかるが再発行すればいいんだ。だからなあ……(再びため息を吐くような音。)
女性型実体: あいつを殺したりすると、愛護団体がうるさいんだ。
<録音終了>