アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-1は人型生物収容室に収容されています。一般人間型取扱規定によりSCP-XXX-JPは収容所に設置された全ての物品にアクセスが許可されます。現在、SCP-XXX-JPは財団の収容に対して協力的であり、強制的な措置は必要ないものと思われます。レベル2以上の職員はSCP-020-JPと接触可能です。
説明: SCP-XXX-JPは身長1.8m、体重40kgの成人男性です。顔面及び身体の左側を中心に、第3~4度の火傷を負ったと考えられる瘢痕が広がっています。年齢不詳ですが、外見上は20代前半の様に見えます。
SCP-XXX-JPの腹部中央には縦方向に開閉可能な金属ファスナーが存在します。内部は鎖骨下から骨盤まで空洞で、臓器が存在しません。食事、排泄、呼吸等も必要としませんが味覚はあり、食事自体は可能です。摂取された食物は咽頭を通過した後に消滅します。
SCP-XXX-JPは人間に直接噛み付く事で対象の臓器を抽出し自身の胴体内部へ収納する事が出来ます。臓器は損傷なく分離され、収納されている限り新鮮に保たれます。ファスナーを開けば取り出すことが可能です。抽出にかかる時間は約5~6秒で、噛み付く部位は問いません。臓器の抽出はSCP-XXX-JPの任意で行われます。ほとんどの場合、対象の胴体内部に位置する臓器及び脳は抽出されますが筋肉などの運動器系及び疾患や損傷のある臓器は残存します。臓器を抽出された対象は即死します。
平均以上の身体的発達が見られないにも関わらずSCP-XXX-JPの身体能力は非常に高く、体力テストでは高い値を示しています。また視覚・聴覚・嗅覚が鋭く、引き換え痛覚・温覚・冷覚は鈍いと考えられます。知能は低く、収容当時は簡単な読み書きや計算にも支障があり、倫理観や社会常識も欠如していました。現在は言語カリキュラムを行っています。
SCP-XXX-JPは基本的に友好的であり、また自身の能力に関して特に異常性を感じていません。
SCP-XXX-JPは███県███山中で猪を焼いていたところを地元の住民に発見、保護されました。発見当時、SCP-XXX-JPは所々焼け焦げた黒のズボンのみを着用しており、傍らにはSCP-XXX-JP-1がいました。
SCP-XXX-JP-1は外見上4~5歳程の少女です。身体能力に特筆すべき点はありません。左右の耳の形や目の色、手足の長さや皮膚の色が異なるなどの特徴があり、全身のバランスが不整合な印象を受けます。身体活動に問題はなく、IQテストでは12歳程度の知能を示しています。SCP-XXX-JP-1は収容当初警戒心が強く、現在も完全に警戒を解いているとは言い難い反応を示しますが根拠や安全性が明確であれば職員の指示に従います。しかしSCP-XXX-JPに関して不本意な事態に陥った場合、SCP-XXX-JP-1は即座に敵対的になります。例としてSCP-XXX-JPの安全が確認できない状況下に置かれた場合、SCP-XXX-JPに危害を加えた場合などです。SCP-XXX-JP-1自身に特異な点はありませんが、SCP-XXX-JPはどのような状況下であってもSCP-XXX-JP-1の指示に従います。SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPの傍を離れる事を基本的に拒否します。事件記録を受け、SCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-1を強制的に引き離す試みは禁止されています。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: エージェント・██
付記: SCP-XXX-JPは割り当てられたナンバーを自分の呼び名であると理解出来ず、またナンバー自体も覚えることが困難であるため、「君」と言った呼び方を用いる。
<録音開始>
エージェント・██: 君は、あの山に来る前はどこにいたんだい。
SCP-XXX-JP: 家にいた。
エージェント・██: 家の見た目や正確な場所は分かるかな。
SCP-XXX-JP: でかかった。ここよりウンとでかかったぜ。こーんな。あとでかい棒が上から生えてて、赤い車と、透明な箱がたくさんあった。車は青もあったけど、俺は赤が良い。強そうだろ。場所は、山の奥の、上の方。えーっと、木がたくさん生えてるとこだ。あと花が咲いてる。
エージェント・██: あー、そうか。ところで、君の腹部はいつからその状態だったんだい。
SCP-XXX-JP: ふくぶってなんだ。
エージェント・██: 腹だ。ここ。ここにファスナー…君はここを開くことが出来るだろう?それはいつからかな。
SCP-XXX-JP: あんた開かないのか。
エージェント・██: 開かないね。私が知る限り、人間の腹は切り裂かなければ開かない。
SCP-XXX-JP: へえ、そうなのか。俺は生まれた時からこうだったぜ。こういうやつ、もっといるのかと思ってた。俺だけなんだな。
エージェント・██: そうだね。あー…それで…君が人の臓器を吸い出だす目的はなんだい。食べているわけでもないようだし、目的があるんだろう。単に殺すためにしては手段が聊か不可解だ。
SCP-XXX-JP: ぞうきってなに?人の?…俺、人のものなんてなんも盗ってねぇよ。ほんとに。…怒ってんの?
エージェント・██: いや、怒ってないよ。大丈夫。えーと…君は人に噛み付いて、中にある物を吸い出しているだろう。それは、なんのためにしているのかな。
SCP-XXX-JP: あんたにやれって言われたから。
エージェント・██: ああ、そうだな。この前はそうだった。でもそれより前にもしたことがあるって話していただろう?それはどうしてだ。
SCP-XXX-JP: 仕事だよ。働かないと飯食べられないだろ。
エージェント・██: つまり、君にそれを依頼…頼んでいた人がいたということか?
SCP-XXX-JP: ああ。俺は父さんから言われて仕事してた。仕事しねぇ奴は飯食ったらだめだからな。
エージェント・██: ……なるほど。…君の母親のことを教えてもらって良いかい。君のような子を他にも生んでいたとか、君と同じような力があったとか。
SCP-XXX-JP: ははおやって?
エージェント・██: 君を生んだ人のことだ。
SCP-XXX-JP: 俺を生んだのは父さんだ。父さんが俺を作った。あと、カネも作ってくれた。
エージェント・██: カネ?
SCP-XXX-JP: (インタビュー室の外でこちらの様子を伺っているSCP-XXX-JP-1を指しながら)あいつ。俺が名前つけたんだぜ。あ、カネってのは父さんが大事にしてたものの名前。よく知らないけど、凄い大事なんだって。だから俺、あいつにカネってつけたんだ。
エージェント・██: …そうか。良い名前だな。
SCP-XXX-JP:だろ?……でも、父さんは悪い奴等に殺された。
エージェント・██: もう亡くなっているのか?
SCP-XXX-JP: 無くなってはねえよ。部屋に死体があった。…皆死んじまった。悪い奴らが乗っ取ったんだ。父さんの友達も、嘘つきの鍵屋も、青帽子も。それから新しくこうじょうちょうになったイイダもだ。…てめぇらは悪い奴らじゃねえよな?
エージェント・██: ああ、そうだね。私たちは悪い奴らじゃない。君達を保護…守る者だ。
SCP-XXX-JP: そうか、良かった。悪い奴だったら、もう悪いことしねえように動けなくしねえと駄目だからな。
<録音終了>
終了報告書:
対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: エージェント・██
付記:
<録音開始>
エージェント・██: 君は、人造人間だと聞いたんだが。
SCP-XXX-JP-1: そうよ。私はいろいろな人の「あまり」で作られたの。食べ物にもあるでしょ、食べられるけど要らない部分って。
エージェント・██: どのように、というのは分かるかな。
SCP-XXX-JP-1: 手術された患者が、自分の手術中の様子を話せると思う?誰の部品かくらいならいくつか覚えてるけど。
エージェント・██: 部品?
SCP-XXX-JP-1: そう。彼の父親が酒に酔って作ったの。最初は私、頭と身体しかなかった。でも彼が手足をつけて欲しいって頼んでね。…それで、何人もの命と引き換えにこんなご立派な身体になったのよ。
エージェント・██: 命?
SCP-XXX-JP-1: この手一本、心臓1つ。誰のでもいいから心臓を持っていくと、私の四肢を一つ作ってもらえたの。私の手足全部で心臓4個。馬鹿みたいでしょ。
エージェント・██: 誰のでも良いって事は、SCP-XXX-JPは父親からの依頼じゃなくても人を襲っていたのかい。
SCP-XXX-JP-1: …野蛮な言い方、しないでくれる?
(この後、SCP-XXX-JP-1が対話を拒否したため十分間休憩を入れ再度開始)
エージェント・██: さっきはすまなかった。ただ、SCP-XXX-JPが一般人にどの程度影響を及ぼしていたのか知りたかったんだ。SCP-XXX-JP-1: …わかるでしょ。彼、あまり頭が良くないから。指示されたこと以外はできないし、外で人間らしく振舞うことも出来ないの。悪い子じゃないのよ。少し好奇心が強くて物を知らないだけ。走ってる自転車を掴んじゃったり、マンホールを鳥に投げたり…。だから期待もされてなくて、自由な行動は禁止されてた。仕事で連れ出されるとき以外は外にも出れなかった。私と一緒に、ほとんど地下の物置にいたわ。彼が手を下すのは父親に言われた人だけ。…父親に教えられた「悪い人」だけ、彼は殺してた。
エージェント・██: …そうか。…君はその施設の場所を覚えているかな。SCP-XXX-JP-1: ええ。お望みなら案内するわ。
エージェント・██: ありがとう。最後に一つ、君達はどうやってその施設を抜けてきたんだい?君の話だと彼は随分不自由な状況だったようだけど。SCP-XXX-JP-1: …。
エージェント・██: …話したくないのなら…。SCP-XXX-JP-1: いいえ。……彼の父親は医者だった。子供の臓器移植に失敗して仕事を辞めたらしいけど。それから研究に没頭して、それで彼を作った。本当は、人から人へ臓器を完璧に移し変えるものを作るはずだったのよ。でも、結果は知っての通り。あの男は彼を作るために日本…なんとかってところと協力してた。なにかの会社だと思う。でも失敗して、残ったのは借金とその会社が初回の実験用にって送ってきた子供の死体だけ。…借金と研究継続費用のために、あの男は失敗作の彼を担保にした。彼が人間を殺してたのはその会社の依頼よ。人間とか臓器とかが必要だったらしいわ。いつも彼がとったたくさんの臓器とからっぽになった人間を箱に詰めてトラックで持って行ってた。……でも、私はそんなことどうでも良かった…どうせ外に出たって居場所なんかないもの。あんな場所でも彼にとっては最善なんだって思ってた。…でも…。
エージェント・██: …SCP-XXX-JP-1?
SCP-XXX-JP-1: …あの[編集済み]!彼をその会社に引き渡そうとしたのよ!解剖実験に差し出すって!彼と引き換えに実験費用を出してもらえるから、人助けのためだから、大義のためだから、人類のためだから!ああ大層なお考え本当にご立派だわ!失敗作の化け物を差し出せば、赤の他人を助けるための研究を続けられるんだもの!大事な人類を守るためなら仕方ないんでしょう?化け物一人殺すくらい!!!
エージェント・██: SCP-XXX-JP-1、落ち着いてください。
SCP-XXX-JP-1: ………ごめんなさい………でも…でも私にとっては違うの。他人から見れば化け物でも、出来損ないでも、欠陥品でも、私にとって彼は………それで…それで私……刺した。机の上にメスがあって…あの男はひっくり返って暖炉に……。
エージェント・██: …。SCP-XXX-JP-1: …それで私、嘘をついたの。彼を騙した。皆の脳みそが悪い奴等に乗っ取られて、貴方のお父さんは殺されたのよって。それで、彼に、全員殺させたの。…彼の火傷はその時ついたのよ。今まで怪我をしても痕なんか残らなかったのに、あれだけは消えなかった。…彼の火傷を見るたびに私は…。
<録音終了>
終了報告書:
補遺1: 事件SCP-XXX-JP
当初インタビューのためSCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-1を別に収容した際、30分経過した時点でSCP-XXX-JP-1が事態に気付き、全ての対話を拒否。同時刻、500m離れた部屋に収容されていたSCP-XXX-JPは壁を粉砕。この際傍にいたエージェントには一切危害を加えず、その後数分間施設内を破壊しながらSCP-XXX-JP-1を捜索。両者対面後、SCP-XXX-JPは沈静化したがSCP-XXX-JP-1はその後一週間に渡って全ての対話を拒否。両者がどのような方法を用いて意思疎通を図ったのかは不明。
部位 | 対象 | 備考 |
脳 | 12歳女児 | 11歳男児と同クラス |
右目 | 11歳男児 | 12歳女児と同クラス |
左目 | 4歳男児A | 誕生日当日に抽出 |
左手 | 4歳男児B | 3歳女児の兄 |
右足 | 3歳女児 | 4歳男児Bの妹 |
脊髄 | 5歳男児 | 骨折による入院患者 |
肺 | 6歳男児 | 5歳男児と同じサッカークラブ |
腎臓 | 3歳女児 | デパートで迷子になっていたところを拉致 |
心臓 | 5歳男児 | 糖尿病入院患者 |
補遺3:
SCP-XXX-JP-1
[[/collapsible]]
淹れたての紅茶からやわらかい湯気がゆっくりとのぼり、霧散して消えていく。 それを辿って顔を上げれば、青い絵の具に水をぶちまけ薄く透き通らせたような雲ひとつない空が目にしみた。今晩は空一面に星が見えそうだ。木々をざわめかせる風が、名も知らぬ鳥のさえずりを運ぶ。先程までの緊張が嘘のような穏やかな午後だ。
「で?奥さんとはどうなんだ」
正面に座っている先輩の手の中にも、金の模様で縁取られた白いカップがある。香りが良いのはやっぱり茶葉が良いからだろうか。
「えっと、まあ…式の準備は進めてて…」
「へえ。子供もいるんだろう?」
先輩の問いかけに対し少し照れ笑いを浮かべると、後ろから同期が声をかけてきた。
「やるこたやってるわけだ」
「やめろよ」
「事実だろ?で、いつ招待状が貰えるんだ?」
「まだそこまで決まったわけじゃないさ。ドレスも見に行きたいし、式場も…でも時間がな」
「まあこんな仕事だからな。仕方ないか」
同期との話を聞いていた先輩が苦笑しながらそう言った。まだニヤついたままの同期をちょっと小突いてから恥ずかしさを誤魔化す様に口を開く。
「ねえ先輩、異次元行った事あるんですよね?話してくださいよ」
「だから、それは追々な」
「いいじゃないですか、少しくらい」
ちょっと粘ってみると、それに加勢するように同期が「俺も聞いた事ないですね、教えてくださいよ」と続く。実際興味はあるのだ。俺も同期もまだまだしがない新人で、命の危険がある任務どころか目に見えて大きな異常性のあるオブジェクトにでさえ全く当たったことがない。異次元なんてそれこそ、話で聞く程度のものだ。それでも、なんとかって隊は全滅して後からオブジェクトの内部探査に関する手記が発見されたとか、隊長1人だけが生還し音声記録にはおかしなものが残っていたとか、そういった話だけは流れてきている。恐ろしいものへの好奇心というのは、人間の性だろう。気にならないはずがなかった。その様子を察したのか少しため息をついた先輩は、渋々と言った風に口を開く。
「仕方ないな…あれは一年くらいまえだったか…」
「失礼します」
がちゃり、というドアノブが捻られる音と共に唐突に背後から聞こえた声に咄嗟に振り返ると、そこには三年ほど前にこのサイトへ来た新人の青年がいた。今は私の元で働いている研究員補佐だ。洞察力もあり、努力家でもあり、評価も悪くない。所謂、優秀な人材というやつだ。しかし彼が例え優秀でなかったとしても、ここで働いており尚且つこの部屋を知っている人間ならば状況を察することが出来ただろう。
「…すいません、ノックはしたんですが……あの、また見ていらっしゃったんですか」
「…ごめんなさい」
「そんな…謝られるようなことじゃ………すいません」
人差し指で停止ボタンを押してから黙って立ち上がる。背中が痛い。どれくらいの時間これを見ていただろうか。時計を見ると、もうそろそろ退勤しなくてはならない時間帯だ。明日の業務に差し支えるようなことがあってはいけない。それがこれを見る際の「決まり」なのだ。しかしどうにも名残惜しくて停止した画面をぼんやり見つめていると、手にしていた書類を棚に戻した青年が口を開いた。
「…まだ待っているんですか」
穏やかな声だった。別に私を責めているのでも、詰っているのでも、嘲っているのでもない。しかしそれが分かっていても、ほんの少しだけ呼吸が詰まった。目の前の止められた空間が酷く遠いものだと思い知らされるような、嘘だとぶち壊したくなるような、一瞬の逡巡。それから少しだけ息を吐いて、なんでもないように言う。
「前にも言ったけど、もう12年よ?とっくに諦めたわ」
停止した画面に映った情景から視線を逸らし、静かに目を閉じる。そう、とっくの昔に諦めたのだ。とっくの、昔に。
さて、例えばの話。この世界に永遠があるとして、永遠の愛は美しいものだろうか。
機動部隊-た-18。あの人の、本来私の夫になるはずだった人の在籍していた機動部隊だ。隊長のことも、他の隊員のことも知っていた。皆良い人たちだった。気さくで、真面目で、少し感情表現が下手だったり少し口が悪い人もいたけれど、良い部隊だった。財団の記録上では全員行方不明扱いとなっているが、彼らはこの一枚の薄っぺらいCDロムの中で今も確かに生きている。いや、生きているのだと私は思い続けている。現在このCDロムは再生と停止の操作以外を受け付けないが、再生しようが停止してようが私にとっては同じことだ。
5年前も、10年前も、彼はここにいた。そしてきっと、5年後も、10年後も、彼はここにいる。ここで、この中で、あの穏やかな任務後の昼下がりが永遠だなんて思いもせずに生きている。尽きることのない時間の中、尽きることのない紅茶を飲みながら、「そろそろ撤退するか」と誰かが声を上げるのを待ち続ける。私が今よりもっと老いさらばえていつの日か暗い土の中へ還っても、穏やかに笑いながら生き続ける。しかし「彼は私を一人置いていったのだ」というには語弊があるだろう。彼は死んでいない。むしろ私を心の底から余すところなく愛した誠実で真っ直ぐな彼のままだ。
置いていくのは、私のほうだ。老いていくのは、私だけだ。
あの人の時間は止まったまま、私は一人老いていく。しかしそれは、彼が今後歩むはずだった財団の機動部隊員としての人生より遥かに穏やかなものであることは間違いない。今を誤魔化すための言い訳だ?そうかもしれない。それでは生きている意味がない?ああ、そうなのかも。あまりに無意味な詭弁だ?その可能性もある。気が狂っている?
…ああ、好きに言えばいい。笑えばいい。哀れめばいい。だってどうせ、どうにもならないのだから。
この時が永遠に続けばいいのに。
そんな少女の戯言がどれほど醜いのかなんて、私は知らなかった。
あの人は永遠に私を愛し続ける。
それがこんなにも残酷なことだなんて、私は思っても見なかった。
閉じられた世界の幸せを年老いた眼で眺め続けている私は、さぞや滑稽だろう。好きに笑うがいい。好きに笑って欲しい。浅はかで、粘着質だと言ってくれて構わない。それこそが、私の想いの証となるのだから。彼は私を愛し続ける。語弊などなく、実際に。それに報いるような愛を持ち続けることは、私にはきっと出来ない。なぜなら私は彼と同じ時間を生きられないからだ。今はまだ彼を…愛している。それでも10年後も20年後もそうかと問われたら保証なんか出来ない。もっと先になったら死んでいるかもしれない。私は半永久的に変わることがないであろうあの世界で彼と一緒に生きる何にも敵わないのだ。あのCDロムに刻み込まれた木の葉の一枚にでさえ、私は敵わない。だったら、笑われても構わないから惨めに彼を想い続けている私を誰かに認めて欲しかった。
あの人を待つことは私には出来ない。あの人と共に生きることは私には出来ない。永遠に、絶対に。
じっと黙ったまま所定の位置にCDロムを戻す。今から帰ったら、家に着くのは何時ごろだろう。やはり上司に勧められた様に財団の寮に越した方が良いのだろうか。けれど私にはまだ、彼の部屋があったあの家を引き払う勇気はない。
研究室を出ると、青年が廊下の壁際に立っていた。
「…いたのね」
「ええ。今日の施錠、僕なんです」
「…ごめんなさい。出るわ」
荷物を両手に持って早足に部屋を出る。どうも、今日は調子が出ない。いつもはこんなに気分が落ち込むことなんていないのに。でも分かっているのだ。年に何回か、こういう日がある。どうしても納得できなくて、自分を惨めだと鬱屈に思う日だ。
「持ちます」
「別に……ありがとう」
重い方の手提げを数個、私の手から取った青年は数歩前を黙って歩く。廊下には誰もいない。微かに薄暗い通路は、なんだか心を不安定にさせた。
「…私ね」
言ってはいけない。黙って。お願いだから消えて。私を愚かにしないで。脳内に響く声に従ったほうが良いことは誰よりよく分かっていた。けれどなぜだか廊下の奥の暗闇にさえ息苦しくなって、呼吸をしようとした口は開き、気づけば勝手に動いていた。
「…私、紅茶が冷めるまでの間も生きられないの」
「え?」
あのCDロムの中で彼が毎回毎回美味しそうに飲んでいる紅茶は、彼がいなくなったあの日から12年経った今も冷めていない。当然だろう、あの紅茶は彼と永久を生きるのだから。たった紅茶一杯が冷めるまでの間でさえ、私は生きていられないのだ。そう思う度、息苦しくて声が出なくなる。この世界にどうしようもない事が腐るほどあるのは知っている。私は財団職員だ。熱意とプライドを持って職務に当たっている。泣いて喚いて涙が尽きて、例え干からびてしまっても変えられない現実が無数にあることくらい分かっている。それでも生き苦しくて眩暈がするのだ。
「…嘘をついて、ごめんなさい。いつまでも執着して気持ち悪いでしょう?あんなデータなんか、12年もずっと見て…」
困らせている。顔を見なくても分かった。でも、口からこぼれ出た言葉は戻すことが出来なかった。ため息がもれ出て、やはり今日は休むべきだったかもしれないと目を伏せる。睡眠不足が祟ったか、夕食をまだ食べていないせいかもしれない。おかしなことを言ってごめんなさいと返そうとして顔を上げると、青年はいつの間にか振り返って私を見ていた。
「…紅茶が冷めるまで愛する人を見ていることの、何がおかしいんですか」
「……え?」
別に彼が声を張ったわけではない。けれど、それはいやにはっきりと耳に届いた。
「紅茶が冷めるまでの時間なんてたかが知れてるでしょう。たったそれだけの間、愛する人を見ていたからってなにがおかしいんですか」
彼は特に表情を変えることなく、当然のようにそう言った。暫く口を引き結んで黙る。じっと黙って、青年の胸元あたりを見つめる。視界が揺らいで、手提げに印字された文字が滲んだ。すると青年は黙ってくるりと背を向けた。
「ちょっと荷物が重いから、休憩します。お気になさらなくていいですよ」
何を言ってるんだ、と思うと同時に、ふっと瞬きをしてしまった。その瞬間、ぼろ、と涙が一粒こぼれる。前を向いた青年は静かに黙っていた。なるほど、彼はやはり優秀な研究員補佐のようだ。なんだかちょっと情けなくて、でもなぜだか嬉しいような気もして、目を閉じる。瞳に溜まった涙がぼろぼろ零れ落ちた。恥ずかしいから、執着している自分を認めたくないから、研究員として割り切らなければならないから。そう言ってずっと目の奥に溜めていた涙が後から後から重力に従って落ちた。一歩足を進めて、とん、とその白衣をまとった背に額を押し付ける。頭の中のぐちゃぐちゃとした気持ち悪い思いがじわじわと白衣に染みていく。
「…くそったれの、ビデオ。…嫌いよ。全部嫌い。…返してよ…」
「…」
永遠の愛は美しいものだろうか?
そんな非科学的な問いなど知ったことではない。愛の美しさなどどんな単位で何を使って測れというのだろう。まあ探せばそんなオブジェクトもあるかもしれないが、永遠なんて曖昧なものに愛なんて不確かなものを加えて測った結果なんて興味はない。
ただ、いつだってオブジェクトの解明に毅然と挑み続ける彼女が、あの部屋のあの画面の前でだけ見せる表情はいつだって美しかった。そんな彼女に愛され続けているあの隊員は、きっと誰よりも彼女を愛していたのだろう。誰よりも彼女を一番に想っていただろう。いざとなれば何に変えても彼女を守っただろう。それこそ、今を共に生きているのに彼女の涙に背中しか向けられない様な自分では太刀打ちできないほど、素敵な人だったに違いない。
いつの日か、彼女が穏やかな午後の夢を見たまま静かに眠ったら。
交わらないまま続く二人の愛に、せめてもの追悼を捧げよう。
それが、自分に出来る唯一の思慕の表明だ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはセクター27にある8×10mの人型SCP収容エリアに勾留されています。一般人間型取扱規定によりSCP-XXX-JPは収容所に設置された全ての物品にアクセスが許可されます。
また、月に一度カウンセラーによる心理状態の確認が行われます。
現在、SCP-XXX-JPは財団の収容に対して協力的であり、強制的な措置は必要ないものと思われます。
説明: SCP-XXX-JPは、救助者から要救助者へ自己犠牲の精神が伝染していく現象です。救助者から要救助者へ乗り移る人格です。
SCP-XXX-JP-1は「自身を犠牲にしてでも他人を助けなければならない」という考えを持った人間です。SCP-XXX-JP-1はなんらかの方法で死の危険に晒されている要救助者を探し出し、どのような状況であれその救助に最善を尽くします。SCP-XXX-JP-1が救出に失敗したケースは現在まで確認されていません。しかしSCP-XXX-JP-1は救助の際に必ず死亡します。そしてSCP-XXX-JP-1に救助された人間は1日~2日でSCP-XXX-JP-1となります。
当初は自己犠牲の精神のみが伝染していると考えられていましたが、人格ごと乗り移り続けておりSCP-XXX-JPが一つの人格であることを突き止めました。事実を提示した際、SCP-XXX-JPは酷い錯乱状態に陥り昏倒。その後覚醒し、自身が一つの人格である事を認めました。(インタビュー記録-1)
現在SCP-XXX-JPは2█歳の平均的な日本人男性の中にいます。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: エージェント・███
付記:
<録音開始>
エージェント・███: 落ち着きましたかSCP-XXX-JP。
SCP-XXX-JP: その名前で呼ばないでくれ。俺は███だ。…今は何年だ?
エージェント・███: ███年です。
SCP-XXX-JP: …そうか。…俺は誰か助けたか。
エージェント・███: ええ、まあ。そのことについて、お話いただいてもよろしいですか。
SCP-XXX-JP: 聞いて楽しい話じゃないぞ。
エージェント・███: どうぞ。
SCP-XXX-JP: …俺は、物心ついたときから…戦ってた。
エージェント・███: 何とですか。
SCP-XXX-JP: 悪とだ。つまりは正義のヒーローさ。何万馬力ものパワーに、傷の付かない身体。無敵だった。だが、勿論敵は無数にいた。俺はあるとき、敵を倒した。まあなんだ、倒したっていうと聞こえがいいが殺したんだ。下っ端の奴だった。でも…そいつは幹部の恋人だったらしい。勿論そいつらの自業自得さ。でも、悪を相手にそんな理屈は通用しない。幹部の奴は組織から姿を消して、十年かけて恋人の死体と自分の魂を使って俺に呪いをかけた。
エージェント・███: 呪いですか。
SCP-XXX-JP: ああ。あんたらは知ってるだろう。俺が助けた人間に乗り移ってること。そのとおりだ。俺は助けた人間に乗り移る。そしてまた、人助けをする。助けた人間に乗り移る。滑稽だな。結局殺してるようなもんだ。でも次は大丈夫なんじゃないかとまた人を探す。死にたくても死ねない。身体もなくてどう死ねばいい?俺は人殺しだ……人殺しだ!
エージェント・███: 落ち着いてください。
SCP-XXX-JP: …すまない。…なあ、俺はもう、人を助けてはいけない。いや、人を助けることなど出来ない。永遠に。それで、なんで俺は生きてる?何故?いつになったら死ねる?
エージェント・███: …貴方が助けてきた人間は、いずれも貴方が助けなければ死んでいた人間だ。厳しいことを言うようですが、つまりは貴方が助けようが助けまいが死ぬ人間です。それに貴方はその力によって生き延びている。本当は、ここにはいないはずの存在だ。貴方が人を助けられなくても、それは助けられる運命にない人間なんです。
SCP-XXX-JP: …ああ、そうだな。その通りだ。でも俺は、この呪いを受けた直後何も知らないで人を助けた。勿論、俺は死んだ。そして相手に乗り移った。訳がわからなかったよ。でも力は漲ってきて、俺はまたその身体で人を助けた。
エージェント・███: …。
SCP-XXX-JP: 一人目は、俺の恋人だった。二人目は父で、次は母だ。家族を全員殺してから、俺は自分が誰も助けられないことを理解して友人達の前から姿を消した。恋人も、家族も、みんな俺が殺したんだ。一度じゃない。二度だ。俺が乗り移ったときに精神を殺して、次に身体を殺す。俺は大事な人を二度ずつ殺したんだ。
エージェント・███: SC…いえ███、貴方は…。
SCP-XXX-JP: なあ、俺はいつ死ねる?
<録音終了>
終了報告書: 翌朝、SCP-XXX-JPは以前の性格に戻っていました。
にんぎょうやき
こびと
たぶー
むげんびでお
ミーム=特に社会における文化情報の伝達に関わる現象についての一つの観点。
ミーム的SCP=何らかの言葉やシンボルを含むSCP、理解した人々に異常な反応を引き起こすもの。
ミーム的=×怪しい精神汚染について書かれただけの報告書 ○この文章自体がミーム的存在
例
ミーム的存在=言葉
ミーム的影響=言葉を理解しようとするプロセス
「知識」という概念自体が伝染性を持つがために、真に危険なミームは山火事のように拡散し歯止めが効かなくなるのです。
SCP-120-JP Euclid
偽装博物館に設置した特別収容ケースに収容。定期的に来場者を入場。
特別収容ケースには同博物館内で最も価値のある化石であると表記、来場者にもそう説明。
収容ケースは、30x30x40cmの厚さ7cmの強化ガラスで密閉。
収容ケース自体も、大型水槽用の耐圧強化ガラスで密閉された10x10x6mの収容室の中央に設置。
収容ケースは常に遠隔監視カメラで監視、もっとも長くSCP-120-JPを担当していて割り当て予算を把握している研究員が、少なくとも24時間監視。
SCP-120-JPは全長約15cmのLambis lambis Linnaeus(クモガイ)の貝殻
SCP-120-JP-2は、戸籍上は████と記録されている、20██年生まれの女性です。SCP-120-JP-2は、身体的にも精神的にも一切異常性は認められない一般的な人間ですが、現在唯一、SCP-120-JPとの円滑な意思疎通を図れるため、特別収容プロトコルに組み込まれています。SCP-120-JP-2は20██年の6月ごろに、近所の海岸でSCP-120-JPを拾ったと証言しています。前述の災害時に保護者が死亡しているため、保護という名目で財団が収容しています。
SCP-120-JP-2かSCP-120-JPの要請があれば審議の上でビデオ通話を許可することがあります。SCP-120-JP-2の安全を考慮し緊急事態以外で直接対面させることは許可されません。審議はLevel3以上のクリアランスをもった3人以上の職員が行ってください。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)
特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]
説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
注意:> 文字を点線で囲む際は>の後ろに半角スペース
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD
対象:
実施方法:
結果:
分析:
使ったことはありませんが、ひょっとしたら使えるかもしれないヒミツの構文を紹介します。
といっても、皆さんご存知の構文の"ほんのちょっとした"応用です。
[[collapsible show=" " hide="+ 開く" folded="no" hideLocation="bottom"]]
(ここに内容)
[[/collapsible]]
これを用いることで、"あること"が起こります。詳しくは以下の「+ 開く」をクリックしてください。
ただし、機密保持の観点から、閲覧を完了した時点であなたに対して自動的に記憶処理が施され、このポストの内容も自動的に抹消されます。ご了承ください。
SCP-1003-JPとして投稿済み
アイテム番号: SCP-1003-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1003-JPから半径500mの区域は鉄柵で囲い「高電圧注意」の看板を設置してください。SCP-1003-JPの出入口には最少でも2人の職員を配置してください。鉄柵を乗り越えた者は拘束し、クラスA記憶処理を実行してください。
説明: SCP-1003-JPは、███県███山中にあるサーカステントです。大きさは平均的な一戸建て程度で、出入口は正面に一つです。外部からの調査の結果、内部は無人且つ無音でした。しかし内部に人間が侵入した際は人型の存在が確認でき、侵入後数十分で開演となります。内部は外観から推測される敷地面積の約██倍の広さの円形劇場で、階段式に観覧席が設置されています。演目の前半は一般的な曲芸ですが、後半は致死的な内容となります。途中退場は可能ですが、途中入場は不可能です。内部で撮影・録音されたデータは破損し、内外での通信は可能ですが映像記録の送信は不可能です。
概要 | 外見・言動 | 事件記録1003-JP-2以降 | 備考 | |
SCP-1003-JP-A | SCP-1003-JPへの侵入者 | 性格・侵入目的に関わらず前半の演目を賞賛、後半の演目には無関心。状況を具体的に説明することは可能だが指摘されるまでSCP-1003-JP-Dが殺害されていることに気づかない。 | 変化なし | ― |
SCP-1003-JP-B | 雑務を行う団員 | 臙脂色のワイシャツ、黒のネクタイ・ベスト・ズボン、凹凸の無い白い面を着用。その他特徴はなく個体の区別は不可能。礼儀正しく、常に満席だという体で話す。受付では1体が応対し場内では数体が清掃や舞台準備を行う。 | 受付の1体のみ出現。客入りに関しては、芳しくないと返答。 | SCP-1003-JP-AはSCP-1003-JP-Bの外見を説明する際「顔が無い」と表現しますが、掘り下げると「面をつけていた」と言い換えます。 |
SCP-1003-JP-C | 芸を披露する団員 | 華美な衣装を着用。著しい欠損、奇形あり。計10体。SCP-XXX-JP-Aの侵入後、数十分で舞台上に出現。拍手や歓声、野次に反応せず淡々と演目をこなす。SCP-1003-JP-AがSCP-1003-JP-Dに接触した際は非常に暴力的となる。 | SCP-1003-JP-Dの代役となるが、演目中は無反応。 | ― |
SCP-1003-JP-D | 後半の演目の犠牲者 | 外見上は5~10歳程。継当てだらけの服を着用。後半の演目で舞台上に出現し、SCP-1003-JP-Cにより殺害。演目中は悲鳴を上げ明確な恐怖を示す。明らかに死亡した状況でも後日の舞台では問題なく生存。 | 出現しない | ― |
SCP-1003-JP-E | 実体のない観客 | 前半の演目に野次を飛ばし、後半を賞賛。石、空き缶を投擲可能。SCP-1003-JP-Aは自分以外の拍手や声が聞こえているが、無関心。 | 出現しない | SCP-1003-JP-Bから、SCP-1003-JP-Eはお得意様だとの返答が得られました。 |
SCP-1003-JPは███県███山のふもとの住民間で「███山の奥に魔法のサーカスが来た」といった噂が急速に広がったことで財団の注目を引き発見されました。最初にSCP-1003-JPを見つけた男性は、山の方で花火があがったため悪戯だと思い確認しに行ったところテントを発見し入ってみた、と証言しました。後半の演目について言及されると顔を青褪めさせその場に嘔吐し、それ以上の証言を拒否しました。尋問後、住民全員にクラスB記憶処理を実施しました。
事件記録1003-JP-1: 20██/██/██、D-1003-JP-1を用い一回目の探査を行いました。映像・音声記録は全て破損していたため以降はエージェント・███の証言に基きます。エージェント・███が「殺されている子供の服装は」と質問したところ、D-1003-JP-1が「殺されている?」と返答した後唐突に声を荒げ悪態をつき始めました。エージェント・███は退場を指示しましたが十秒後に通信は途絶し、二十分後にテントからSCP-1003-JP-D-1を連れたD-1003-JP-1が出てきたため両者を確保し尋問を行いました。テントから出てきた際、D-1003-JP-1は負傷しており服には少量の血痕が付着していました、また「SCP-1003-JP-Bに襲われたため殺害した」と証言しました。通信機器は破損していました。
補遺1: インタビュー記録-SCP-1003-JP-1
対象: SCP-1003-JP-D-1
インタビュアー: エージェント・███
付記: 以下のインタビューはポリグラフを用いて行われました。
<録音開始>
エージェント・███: こんにちは。少し話をしたいんだけどいいかな?
SCP-1003-JP-D-1: おじさん、あの男の人のお友達?お願い、みんな、みんなを助けて!僕が出られたんだからきっと皆も出られる、だから…。エージェント・███: 落ち着いて。彼とは友達じゃなく仕事仲間だ。お兄さんの名前は██。君の名前は?
SCP-1003-JP-D-1: ………名前?……わかんない…思い出せない。
エージェント・███: 君はいつからあそこにいたんだい。
SCP-1003-JP-D-1: …ずっと前。パパとママとサーカスを見にきて、でも気づいたらパパもママもいなかったんだ。探しに行こうとしたんだけど入り口で退場料が必要ですって言われて…僕、お金持ってなくて…そう言ったら働いてくださいって言われて、今までずっと働いてた。
エージェント・███: 隙を見て逃げようとは思わなかったのかい?
SCP-1003-JP-D-1: 帰りたかったけど、どうしてもあの入り口を通れなかったんだ。でもあの橙色の服の男の人が…アイツを食べさせちゃったら、出られたんだ。
エージェント・███: 退場料はいくらだったんだい?
SCP-1003-JP-D-1: …ひとつ。
エージェント・███: ひとつ?
SCP-1003-JP-D-1: ひとつ、って言われたんだ。一人ひとつ。
<録音終了>
終了報告書: ポリグラフは以上の証言が事実だと示しました。またSCP-1003-JP-C-1が所持していたハンカチには名前が書かれており、調査の結果、明治██年に出された捜索願の名前と一致しました。
補遺2: インタビュー記録-SCP-1003-JP-2
対象: D-1003-JP-1
インタビュアー: エージェント・███
<録音開始>
エージェント・███: D-1003-JP-1、先程のことに関していくつか質問したいんだが。
D-1003-JP-1: どうぞ。エージェント・███: なぜSCP-1003-JP-Dを連れ出した?
D-1003-JP-1: アイツが勝手についてきたんだよ。ただ俺は人が殺されてるって分かった瞬間に頭に血が上っちまって…まあ元から気が長ぇ方ではないけどな。暫く人が殺せない俺の前であんなクソつまんねえって顔で殺しやがって…ムカついて邪魔してやりたくなったんだ。[編集済]。(舌打ちをする)
エージェント・███: (五秒沈黙してから)SCP-1003-JP-Cを殺害したことについては?D-1003-JP-1: 全身が魚みてえな[編集済]のことか?別に殺したかったわけじゃねえよ。でもあいつ、俺があの餓鬼引き摺って舞台から突き落としたら急に叫び出して俺にしがみついてきやがって、ライオンの前に連れてこうとすんだよ。それで揉み合いになって、突き飛ばしたら喰われてた。ざまあみろ[編集済]。
エージェント・███: SCP-1003-JP-Dを連れ出す際に、他のものに危害を加えたか?なにか思い出せることは?
D-1003-JP-1: だから勝手についてきたんだっつの。…あー…殺しちまってからは逃げて…そしたらなんか手がねえ[編集済]とか頭が2つある[編集済]が追いかけてきたな。そんとき[編集済]共に向かって客席から石とか空き缶とかが飛んできて最高に笑えたぜ。出口の奴にはまたのお越しをお待ちしておりまーすって言われただけだ。…あ。
エージェント・███: なんだ?
D-1003-JP-1: 俺があの[編集済]を殺しちまったとき、拍手がすげえでかくなったな。
<録音終了>
終了報告書: D-1003-JP-1の発言の端々には身体障害者への差別意識や偏見が見られました。
事件記録1003-JP-2: 20██/██/██、事前の調査により以下の三点を満たすD-1003-JP-2、D-1003-JP-3、D-1003-JP-4にSCP-1003-JP内で起こる現象を説明し、一人でも指示を無視した場合は解雇までの期間を延長するとして二回目の探査を行いました。
- 子供がいない
- 小児性愛の傾向がない
- 障害者への明確な差別意識、偏見がない
映像・音声記録は全て破損していたため以降はエージェント・███の証言に基きます。後半の演目に差し掛かるとD-1003-JP-3が「急に客席から子供が出てきた」と発言しました。エージェント・███は反応せず退場するよう指示しましたが、十秒後に通信が途絶したため待機していた職員に突入を指示しました。しかし入り口の布は異常に固く開くことは出来ませんでした。三十分後、テントから9体のSCP-1003-JP-DとD-1003-JP-2、D-1003-JP-3、D-1003-JP-4が出てきたため確保しました。テントから出てきた際、D-1003-JP-2、D-1003-JP-3、D-1003-JP-4は負傷しており服には少量の血痕が付着していました。また「SCP-1003-JP-Cに襲われたため殺害した」と証言しました。通信機器は紛失していました。
9体のSCP-1003-JP-Dは自身の名前を覚えていませんでしたが持ち物や服に記名があり、全て明治███年~大正███年に出された捜索願の名前と一致しました。合計10体のSCP-1003-JP-Dは少なくとも約100年以上に渡って働いていたと考えられますが、身体・精神に異常はなく加齢もしていません。またSCP-1003-JP-Dは舞台上で死亡しても次の日には問題なく生存していましたが、採血や転倒した際の傷の完治までの速度に異常は見受けられませんでした。以上を受け、10体のSCP-1003-JP-Dは財団の児童施設にて保護・監視することが決定しました。
事件記録1003-JP-1、1003-JP-2を受け、SCP-1003-JPの探査にDクラス職員を用いることは禁止されました。
事件記録1003-JP-3: 20██/██/██、児童施設から全てのSCP-1003-JP-Dが消失しました。SCP-1003-JP-Dの部屋の監視カメラのデータは破損していました。現在も捜索は続けられていますが行方は分かっていません。その後の調査により、SCP-1003-JP-D-1の机の引き出しから赤い折り紙が発見され、白い面に鉛筆で以下の文面が書かれていました。
だしてくれてありがとう ごめんなさい
SCP-1003-JP-D-1は入所後、職員に熱心に50音の読み書きを教わっていたとの報告があがっています。
補遺3: インタビュー記録-SCP-1003-JP-3
対象: D-1003-JP-1
インタビュアー: エージェント・███
付記: 事件記録XXX-JP-3の後、月例解雇前のD-1003-JP-1が食事を運んできた職員に対して「SCP-1003-JPについて思い出したことがある」と発言した為、急遽聴取が行われました。
<録音開始>
エージェント・███: D-1003-JP-1。思い出したことって言うのは何だ?
D-1003-JP-1: ちょっと話すだけでもこんな仰々しくやらなくちゃいけねえのか?アンタも大変だな。
エージェント・███: D-1003-JP-1。思い出したこととは?
D-1003-JP-1: ああ、そうだったな。俺が殺したやつがいただろ?アイツがライオンに喰われる瞬間に言ったんだよ。
エージェント・███: なんて言ったんだ?
D-1003-JP-1: 帰りたい、ってさ。[以下、28秒間に渡りD-1003-JP-1によるエージェント・███への呼びかけが続く]
<録音終了>
補遺4: サイト近くの雑木林で支給されている拳銃を用い自殺したと思われるエージェント・███の遺体が発見されました。傍には無断で持ち出されたSCP-1003-JP内での録音・映像記録及び監視カメラのデータが破壊された状態で置かれていました。以下は、エージェント・███のデスクに残されていたメモです。
なにかおかしい。多分Dが殺されていた状況と同様、指摘されなければ気づけないのだろう。だが打開策が分からない。これさえわかれば、もしかしたら彼らを[塗りつぶされているため判読不可能]私は財団職員だ。余計なことは考えなくて良い。あれはSCPだ。それ以上でも、以下でもない。
<中略(SCP-1003-JPについて時系列で書かれている)>
データは全て破損。中に入った人間はEに無関心。つまり外部の人間にはEの存在が証言でしか確認できない。Dクラスも「拍手と歓声が聞こえた」とは言ったが、その存在に関してはまるで気にしていない。それで何故Eに実体がないとわかった?本当に実体がなかったのか?
確かに私も中に入った。無数の拍手や歓声は聞こえた。間違いない。そしてその観客について何の関心も持たなかった。場内には確かに誰もいなかったはずだ。だが、Dクラスを探査に用いていたときからEの実体はないと記録していた。拍手や歓声が聞こえたという彼らの話を聞いて漠然と「実体がないことに無関心だ」と思った。何故私はそう思った?しかしデータは全て破損している。確認するにはもう一度
なぜ破損すると分かっていてデータを取り続けた?なぜ破損したデータを保存している?
い
た
投稿済み
がたん、と開かれた窓から微かに湿っぽい風が流れ込んできた。今日も良い天気だがここ最近は雨が降っていない。もしかしたら午後は断水になるかもね、とアイリが言っていたのはいつだったか。まだ断水とやらになったことは無いが、いつそうなってもおかしくないらしい。しかし朝涼みにはちょうど良い気温だ。だいぶ伸びた庭の雑草を眺めていると、窓際の花瓶の水を替えたアイリが淡い水色のソファに腰掛けた。
「ヤドカリさん。」
「アイリ。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ。」
「…。」
「どうした。」
「…わたしね、結婚するの。」
一年ほど前にアイリと一緒に選んだ白いレースのカーテンが、風に煽られて静かに揺れる。きっとこれから昼にかけて気温は上がっていくだろう。今朝、アイリと一緒に見た天気予報では最高気温はいくつだと言っていただろうか。30度は悠に超えるはずだ。時計の短い針がいやに耳に付く音を立てて進む。
「前に紹介した人がいたでしょ?昨日、プロポーズされたの」
目を細めて微笑んだアイリは、ほんのりと頬を染めて幸せそうに言った。テーブルに乗せられた左手の薬指には、私の何万分の一程度しか価値のないような輪っかがはめられている。アイリはあんな装飾品を持っていただろうか。あまり貴金属に興味はなかったはずだが、いつのまに買ったのだろう。
「結婚式、来てくれる?」
少し首をかしげたアイリが私を見上げる。
けっこん。
けっこんしき。
その言葉を、まるで言葉を覚えたての赤子のように繰り返し反芻してからゆっくり目を閉じた。庭の木々がざわめく音が聞こえる。アイリが植えたトマトは、きっと真っ赤に熟れた実をつけているだろう。それから、アサガオにひまわり。昔、ひまわりを初めて植えたアイリに「ヤドカリさんって、ひまわりの種たべる?」と聞かれたのが懐かしい。あれはまあ、不味くはなかったが美味くもなかった。
もう一度目を開く。そこには先程と同じように私を見上げているアイリの姿があった。
ああそうだ。私はその意味を知っている。
あの指にはめられた輪っかの意味も、その価値も、知っている。
なぜなら私は、総理大臣よりも大統領よりも偉いのだから。私が知らないことなどこの世にありはしない。そう、結婚。至って簡単な話だ。アイリは結婚する。愛する人間が出来て、これから先の人生を一緒に生きることを誓う。真っ白なウエディングドレスという服を着て、教会という場所で誓いを立てる。きっとあの海岸の教会だ。高く聳える白い外壁に包まれたあの場所で、真っ赤な道を歩いた先に立つ男と祝福の式を挙げるのだ。ああ、行こうじゃないか。24800人の家来を引き連れて必ず行こう。真っ白なウエディングドレスはきっと今のアイリに良く似合うに違いない。しかしどうしたものか、先ほどから頭の中にはどんどん先の考えが溢れてくるのに肝心の言葉が一つも出てこない。そんな私を不思議に思ったのか、ソファから立ち上がったアイリは私がいる棚の傍に来て言った。
「ヤドカリさん?どうしたの?」
私は今、口にするべき言葉を知っている。そして、アイリが理解出来る言葉で話すことが出来る。だから私は、いつものように口を開いてそれを言えばいいだけなのだ。
「お腹空いた?何か作る?」
言えばいいだけだ。
「私、卵焼き上手になったのよ。」
口にするべき言葉を。
「それから、イチゴの「おめでとう、アイリ。」
思ったより、うまく言えた。きっとなんの不自然もなかったろう。当然だ。何回練習したと思っている。暫くの間自分の下にある柔らかなクッションを見つめてからアイリを見る。私を見上げたアイリは微かに目を見開き驚いたような表情をしていた。まあ、驚きもするだろう。アイリが以前に相手の男を連れてきたとき、私はその男と一言も口を利かなかったのだから。今思えばもっと考えて接するべきだったかもしれない。あの男はなんという名前で、どういう性格なのだろう。アイリに相応しい男だろうか。
過去を思い返し珍しくも私が生まれてこの方数えられるほどしかしたことのない後悔をしていると、黙ったまま二、三度瞬きをしたアイリの瞳に透き通った膜が張った。ほんの少し眉根が寄せられ、その口が一瞬引き結ばれる。しかし俯きかけたアイリは再び顔を上げると、真っ直ぐに私を見ながら昔のように無邪気に笑って見せた。
「ありがとう、ヤドカリさん。」
ぽろ、と、その白い頬を水滴が伝う。それを見てしまえば、もう、言葉なんてものは出なかった。
おめでとう。おめでとう、アイリ。私の、世界で一番の…。
ふっと意識が浮上した。
眩い光に少し目を細め、辺りを見渡す。先程まで目の前にいたはずのアイリはどこにもいない。視界に映っているのは分厚いガラスだ。開いた窓から流れ込んでくる湿っぽい外気なんてものもなく、室温も湿度も快適と言って差し支えない。
そう、此処は四方をガラスに囲まれた私の今の住処だ。アイリは学校から帰ってきただろうか。時計がないのでなんともいえない。今度、私に相応しい時計を用意させよう。
『わたしね、結婚するの』
ふと、先程のアイリの言葉が蘇る。結婚。結婚をしたら、子供を生むのだろうか。じっと考える。
私にもし、時を止めることができたなら。勿論空想だ。私に時を止める力はない。しかしもしも私が時を操れるのであれば、私は時を止めるだろう。だが、それはまやかしだ。時が止まった世界でずっと彼女といる。それは、果たして如何程の意味がある幸せなのだろうか。…誰の幸せなのだろうか。
アイリが大人になったとき、彼女の思い出にはどれほどのものが詰まっているだろう。きっと彼女の思い出は素晴らしい。透き通った結晶の中に花がちりばめられたように、色鮮やかで華やかで、そして温かいに違いない。そこにどれだけ私との記憶があるだろう。アイリは私を忘れないだろうか。…忘れないだろう。きっとアイリは、私を忘れない。けれど必ず時間は過ぎる。今日が思い出になって、いつかが今日になる。例え算数のテストで25点しか取れなくとも、リコーダーを上手く吹くことができなくとも、人は必ず年をとる。それくらいのことならば、総理大臣や大統領じゃなくたって誰でも知っているのだ。ここにいるサルどもも、アイリも、そして勿論私も知っている。
きみはいつか大人になる。
私にどれほどの価値があっても、それを止めることはできないだろう。
「…紙と、ペンを用意しろ。」
名前: 初期 化済(うぶとき かすみ)
親しい人間には「初期化(しょきか)先生」と呼称されます。
セキュリティレベル: 3
職務: 財団医療部門職員。サイト-████におけるDクラス専門医療チームに所属。主にDクラス職員の身体及び精神における健康管理と実験時の治療処置・処理にあたる。
所在: サイト-████内Dクラス居住区域に隣接した医務室
人物: 戸籍上27歳の日本人女性です。特徴として常に長い黒髪を茶色のゴムで結っており、また左頬骨の位置に本人曰く「三針縫った」という傷跡がありますがいつ頃どの様な経緯で負ったかは不明です。少なくとも財団就任前に負ったものと思われます。性格は良く言えば素直であり、自分の興味関心がある事になると饒舌且つ早口になります。視力は両目とも0.03以下で、財団就任時は眼鏡を着用していましたが半年の間に82回破損(内24回は原型を留めないレベルで破壊)し、現在は2weekのコンタクトを三ヶ月単位で着用しています。喫煙に対して多少辛辣であり、本人曰く「歩き煙草人間を道路に突き飛ばそうの会」に所属していますがそのような名前の団体は日本国内では確認されていません。
彼女の鎖骨上窩(鎖骨と鎖骨の間)には一見すると「ボタン」と思しきものがあります。それについて本人に聞くと「ホクロです」と返答し、それ以上の回答が得られたことはありません。ちなみに、ボタン(本人曰くホクロ)は暗闇では発光します。現在までにそのボタン(本人曰くホクロ)に触れた人間はおらず、実際に何のボタン(本人曰くホクロ)かは不明です。
彼女は職務上多数のDクラス職員と頻繁に接しその生死に密接に関わっていますが、財団式精神テストにおいて特筆すべき精神強度を記録していないにも関わらず特に精神衛生上に問題を来たしている様子は見られません。ですが感情はむしろ豊かな方で、仕事であってもその時々で一喜一憂を明確に示し「常に冷静」とは言い難いです。彼女の元で働く同じ財団医療部門職員によると、彼女の感覚は一般的な人々と変わらないがどんな感情の処理も違和感を感じるほど迅速に行ってしまっている様に見えると話しています。以上のことから彼女は記憶処理を希望した事はありませんが、時折記憶の齟齬や部分的な忘却が見られます。
例として、長期に渡りカウンセリングを続けており比較的友好な関係にあったDクラス職員が職務で死亡した際にその場では酷く落ち込む様子が見られたが昼食後にはそのDクラスの名前や関連書類を仕舞ってあった場所さえ忘れて嬉しそうにデザートを選んでいる、といった具合です。しかし財団に就職後数回受けた検査では脳機能に問題はなく、認知症などといった疾患もありませんでした。彼女は何か負の感情が呼び起こされるような場面に相対したときは無意識に胸元のボタン(本人曰くホクロ)に触れる癖があります。
経歴: 高校卒業後、看護専門学校へ進学。そのまま学校に隣接する都内某院に就職し看護師をしていましたが、20██年に勤務先で起きた医療事故の後に一身上の都合で辞職。一時消息不明となり、20██年にSCP-███-JPに関連する任務で地方の精神病院を訪れたエージェント███と接触。その時既に医師免許を所持しており、紆余曲折を経て財団に雇用され医療部門職員となりました。看護師を辞職する際に起きた医療事故は彼女が勤務する病棟で起きたものではなく関わりも無いと思われますが、彼女がそれに関して語ることはありません。
執筆作品
SCP-1003-JP-自由を求めたサーカス団/自由の代償と、嘲笑う誰か
きみは、世界で一番の-深き海とそびえる山を統べる偉大なる王が手紙を書くに至るまで/題材SCP-120-JP
無限の愛への追悼を-隊員002の新妻になるはずだった女性と、とある研究補佐の青年の話/題材SCP-265-JP
執筆作品の作成日時と評価
SCP-JP:
Tales-JP:
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