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トーローカマキリ

アイテム番号: SCP-1060-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1060-JPはサイト-8102の、給餌用の穴のある小型生物用収容室に収容されています。飼育環境については一般的なカマキリと同様の方法を用いてください。なお、給餌の際は備え付けのロボットアームをモニター越しに遠隔操作し、SCP-1060-JPを肉眼で視認することがないようにしてください。実験や移送などでSCP-1060-JPを肉眼で視認する可能性があるときはSCP-1060-JPをプラスチック製ケージ網目のない鉄製のケージに入れ、必ずサーモグラフィカメラ内蔵の専用ゴーグルを着用してください。SCP-1060-JPが繁殖し個体数が著しく増加した場合、10体を残しすべて終了してください。SCP-1060-JPを用いた実験を行う際は、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員2名以上の許可を得てください。

説明: SCP-1060-JPは、"チョウセンカマキリ(Tenodera angustipennis)"によく似た未知の生物です。体の大きさ及びその構造は通常の雌のチョウセンカマキリと同じですが、体色は鉛色であり、体内の温度が常に摂氏３７度程度に保たれています。SCP-1060-JPにとって安全な環境であれば、8時間に1度、卵管から新たなSCP-1060-JPの幼体一個体が誕生します。幼体の時点では異常性は発現しませんが、24時間後に成体となり異常性を発現するようになります。なお、SCP-1060-JPは現状雌個体のみ存在し、雄個体は確認されていません。

SCP-1060-JPの異常性は、ヒトがSCP-1060-JPを視認した際に発現します。SCP-1060-JP は己を視認したヒトに対し精神的な影響を与えます。(以下、SCP-1060-JPの影響を受けたヒトをSCP-1060-JP-1とします)
SCP-1060-JP-1はSCP-1060-JPの異常性に曝露した直後に自暴自棄になり、自分より圧倒的に地位が高い存在に対して反抗心を抱き、その対象(以下、SCP-1060-JP-1に反抗心を抱かれた存在をSCP-1060-JP-2とします)を殺害せねばならないという強迫観念にかられます。その後SCP-1060-JP-1は様々な方法を用いてSCP-1060-JP-2を殺害しようと試みますが、いずれの試みもSCP-1060-JP-2に傷一つ与えることなく失敗し、SCP-1060-JPの異常性に曝露してから24時間後にSCP-1060-JP-1は世の理不尽さを訴える遺書を残して自己終了します。なお、SCP-1060-JP-1の攻撃はSCP-1060-JP-1自身やSCP-1060-JP-2の肉体には一切の影響を与えませんが、その他の人や物に関しては通常通りの影響を与えます。

+ SCP-1060-JP実験記録を閲覧する

実験記録1060-JP-a - 日付200█/██/██

対象： D-37████
詳細： SCP-1060-JPの収容室に設置された防犯カメラの映像を視認させる
結果： 異常性の影響は見られず
分析： モニター越しなら異常性に汚染されずに視認可能なようだ。

実験記録1060-JP-b - 日付200█/██/██

対象： D-37████
詳細： SCP-1060-JPを①スマートフォンのカメラ撮影モード②デジタルカメラで撮影した画像③プリントアウトした写真、それぞれを介して視認させる
結果： いずれも異常性の影響は見られず
分析： 肉眼とSCP-1060-JPの間に何か間接的な媒体があれば異常性は発現しないようだ。

実験記録1060-JP-c - 日付200█/██/██

対象： D-37████
詳細： D-37████にサングラスをかけさせ、SCP-1060-JPを視認させる
結果： 異常性が発現し、D-37████は██博士への殺意を明言。拘束しようとしたところ暴れ、取り押さえていたエージェントに軽傷を負わせる。D-37████は気絶させられ、クラスB記憶処理を受けたものの、異常性の影響が取り除かれなかったため終了された。
分析： サングラスや眼鏡は異常性が発現してしまうようだ。また、一度異常性の影響を受けてしまえば、記憶処理も意味をなさないらしい。

実験記録1060-JP-d - 日付200█/██/██

対象： D-38████
詳細： D-38████にサーモグラフィカメラを介してSCP-1060-JPを視認させる
結果： 異常性の発現は見られず
分析： これが一番いいのかもしれん。

実験記録1060-JP-e - 日付200█/██/██

対象： D-38████
詳細： D-38████に壊れたサーモグラフィカメラ内蔵のゴーグルを介してSCP-1060-JPを視認させる
結果： 異常性の発現は見られず
分析： 壊れていても「暗闇」しか見えないのなら問題ないのか？

実験記録1060-JP-f - 日付200█/██/██

対象： D-40████(D-40████は別のオブジェクトの実験中に視力を失っている)
詳細： D-40████にSCP-1060-JPの方向を向き、目を開けさせる
結果： 異常性の発現は見られず
分析： 視力が無ければ異常性は発現しないようだな。

+ SCP-1060-JP事件記録を閲覧する

事件記録1060-JP - 日付201█/██/██

詳細： 増えすぎたSCP-1060-JPの終了準備中、SCP-1060-JPの個体群が突如としてプラスチック製ケージを破壊しその場にいたエージェント・████及び██研究員に飛びかかり、着用していた専用ゴーグルの内側に入り込みました。これにより両名はSCP-1060-JP-1となり、SCP-1060-JPの収容違反が発生。両名は「創造神」をSCP-1060-JP-2とし、「私という存在、人間を創った神を、滅さねばならない！」と叫び、天井に向かってエージェント・████の所持していた銃を乱射しながら核兵器を捜索。████████博士に要請を受けた機動部隊こ-106（"蟷螂之斧"）によってSCP-1060-JP個体群及びエージェント・████、██研究員は終了されました。この収容違反により特別収容プロトコルの一部が改訂され、専用ゴーグルの改良が行われました。
補足： エージェント・████、██研究員の両名はいずれも、熱心なキリスト教信者であったことが確認されています。また、SCP-1060-JPを収容していたプラスチック製ケージにはいずれも切り刻まれたような跡が入っており、防犯カメラの映像を確認したところ、終了を生物的本能で察知したと思われるSCP-1060-JP全個体が、終了措置日の前々日よりプラスチック製ゲージの一か所を一心不乱に「切って」いたことが判明しました。
分析： 「涓滴岩を穿つ」か。シャレにならんな。網目のないケージにするよう、特別収容プロトコルの修正を申請せねば・・・。それと、確かに人間の作ったあらゆる兵器は「神」には効かないだろうな。だからせめて、最も破壊力の高い武器を選んだのであろうが・・・。今回は対応が間に合ったが、場合によっては・・・　████████博士

補遺SCP-1060-JP: SCP-1060-JPの発見時、日本生類創研のものと思われる当該オブジェクトの説明資料、日記帳及び「日本生類創研　昆虫部門　████」と印字されたバッジが同時に発見されました。以下はその日記帳の抜粋です。

199█/██/██　面白いものができた。ある慣用句を再現させるカマキリだ。カマキリが自身の名を冠する慣用句を人間に再現させるのだ・・・こんなに面白いことがあろうか！ふふふ、こいつであの上司どもをあっと言わせてやる。

199█/██/██　くそったれ。何が失敗作だ。何が「意味不明なものばかり開発する某君にはならないように」だ！！面白い生物が作れるというから日本生類創研に入ったのに。なめやがって。蟷螂の斧でも致命傷になることを、思い知ら[書きかけの「せ」という字で終わっていました]

ちくしょう！あの理不尽な上司どもを[削除済]してやりたかったのに、傷一つ負わせられなかった。結局、粋がってるだけの男には反逆なんて無理[血痕により判読不能]。ああ・・・次生まれ変わる[血痕により判読不能]ば、こんなくそったれな理不尽のない、マシな世界[血痕により判読不能]。すまない、不甲斐ない兄を赦し[血痕により判読不能]