reedの下書き「SCP-1411-JP」覚せい剤
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アイテム番号: SCP-1411-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1411-JPはサイト-8181の低脅威物品保管室の金庫に保管します。金庫の開閉はサイト管理者の許可が必要です。使用の際は可能な限りSCP-1411-JP-1のみを持ち出し60分以内に服用するよう努めてください。SCP-1411-JP-2を持ち出す場合は紫外線などによる劣化や物理的な損傷を与えないよう注意して取り扱ってください。服用は睡眠中の事故を防止するため寝具上で行い、監督者は常に服用者の監視を行ってください。現在SCP-1411-JP-1を実験以外で使用することは禁止されています。実験の際はサイト管理者による実施承認が必要です。

説明: SCP-1411-JPは████製の錠剤ボトル(SCP-1411-JP-2に指定)および収められている錠剤(SCP-1411-JP-1に指定)です。SCP-1411-JP-2のラベルには商品名と思われる「覚せい剤」の文字と「1回1錠、水もしくはぬるま湯にて服用し付添い人の監視の下で即入眠すること」と使用方法が表記されています。

SCP-1411-JP-1はSCP-1411-JP-2の蓋を閉じた際に開封前と同量になるまで再出現をするため使用回数に制限は無いものと推定されています。SCP-1411-JP-2から取り出されてから60分間経過もしくはそれ以前に損傷した時点でSCP-1411-JP-1は消失するため、周囲を埋め尽くす危険性は認められていません。SCP-1411-JP-2から別のボトルや容器に移されたSCP-1411-JP-1も60分間経過後に消失します。SCP-1411-JP-1の成分分析は前述の消失現象のため不可能でした。顕微鏡による観察を行ったところいかなる倍率においても全く平らな面を映し出し、電子顕微鏡を用いた場合でも成果は得られませんでした。SCP-1411-JP-2を損壊させた場合SCP-1411-JP-1を失うことが予想されるため、ラベルを含むSCP-1411-JP-2に対してサンプルの採取は行われていませんが、一般製品と外観や触感の差異はありません。

被験者がSCP-1411-JP-1を経口摂取するとおよそ1分間で睡眠状態に移行します。この睡眠状態は通常と同じくレム睡眠とノンレム睡眠を反復するものですが被験者は外部から刺激を与えられても目覚めることはないため、体勢により呼吸が阻害されるなどの危険が生じる恐れがあります。被験者は6時間から8時間の睡眠をした後に起床します。再度の服用は起床後12時間以上を隔てなければ効果が現れません。被験者には通常の覚醒剤や違法薬物などによる禁断症状や依存症は現れず、その他の副作用等も確認されていません。

SCP-1411-JPはインターネットの通信販売サイトにおいて「どんな不眠症でも絶対に熟睡できる睡眠薬」とうたった商品を閲覧した財団職員が個人で使用するために購入し、数度の使用後1に内容物が減少しない異常性を発見したことから収容に至りました。その後の調査では当該職員が閲覧した商品のページはすでに削除されており、商品の送り元住所は存在しないことが判明しています。

当初SCP-1411-JPはAnomalousアイテムとして登録され職員による使用が許可されていました。しかし錠剤を服用した複数の職員間で夢の内容が一部共通していることが判明し、職員へのインタビュー調査の結果を受けてSCP-1411-JPとして仮登録され実験が承認されました。以下の実験は被験者の申告の信憑性を高めるため複数の被験者を用いて別々の部屋で実施されました。

実験記録1411-JP-1 - 20██/01/13

対象: D-31159, D-31215, D-31224

実施目的: SCP-1411-JP-1の服用によって見る夢の確認。

実施方法: D-31159とD-31215にSCP-1411-JP-1を服用させ、起床後に夢の内容を口述させる。D-31224には通常の睡眠薬を服用させる。

結果: 実験後D-31159とD-31215に対してインタビューを行ったところ、2名とも共通して「造作の無い白色の部屋の中のベッド上で目覚めて現実と同じように行動できた。もう一度ベッドで眠ったら起床した」という内容の報告をした。夢のベッド上で目覚めてからもう一度ベッドで入眠するまでの行動は被験者によって異なり、D-31159は「ドアを開けて部屋を出たら白い通路に出た」や「通路には同じようなドアが無数にあったが鍵がかかっているようで開けられなかった」また「現実と相違ない感覚であった」などの申告をした。D-31215は「部屋を見回してベッドで二度寝したら起床した」と申告した。D-31224は起床後に「昔の仕事の夢を見た。普通の夢だった」と申告しその後のインタビューにおいても普遍的な夢を報告した。

分析: SCP-1411-JP-1を服用した2名の見た夢は共通した部分があり、内容は事前に実施した服用経験のある職員へのインタビュー内容と相違ありません。現実と同じように行動できたということは明晰夢のようなものでしょうか。以後SCP-1411-JP-1を服用して見る夢をSCP-1411-JP-3と指定します。指定は第2回目実験後に訂正されました。 - 山田研究員

実験記録1411-JP-2 - 20██/01/15

対象: D-31159, D-31215, D-31224

実施目的: SCP-1411-JP-3の調査。

実施方法: 3名のDクラス職員に当オブジェクトの異常性を説明しSCP-1411-JP-3の調査を指示。SCP-1411-JP-1を服用後就寝させ起床後にインタビューを行う。

結果: 3名のDクラス職員は「通路で他の2人と会って話をした。会った証拠として全員の本名とDクラス職員番号を教えあった」と報告した。供述した3名の本名と職員番号は一致した。なお身体的特徴を尋ねたところ3名の供述は合致しなかった。

分析: ただの夢ではないのは確かでしたがもはや夢とは呼べません。おそらくはSCP-1411-JP-1の効果によって意識のみが別世界のような場所に移動しているのだと思われます。よってこの意識が移動する場所もしくは世界をSCP-1411-JP-3と再指定します。身体的特徴が合わなかったということは、被験者はSCP-1411-JP-3で別人の身体に意識が宿るのかもしれません。 - 山田研究員

被験者の報告からSCP-1411-JP-3の危険性は低いとの判断がされたため、以降は調査の進捗向上を図りDクラス職員の被験者をD-31159のみとし、追加の被験者として██研究員と███研究員の計3名で同様の調査を実施していきました。以下は第6回目の実験・調査までに得られ有益と判断された情報です。

・通路は1本のみではなく複数の通路が格子状に交わっている。全ての通路にドアが無数に存在する。通路に果てがあるかは不明。

・3名それぞれの部屋の位置関係は同じであることから、被験者が目覚める部屋は決まっているものと推測されている。

・他の被験者の部屋に進入することは不可能である。被験者は自身の部屋以外のドアを開けることはできず、他の被験者がドアを開けている状態で室内に進入を試みると見えない壁のようなものによって阻まれる。

・被験者は毎回同一の身体に意識を持つ。性別と容姿は被験者によって異なるが普遍的なヒトである。現実世界で本来欠損している部位はSCP-1411-JP-1での身体において正常に機能する。被服も個人によって異なるが現代においての一般的な形態であり、文字や製造元などの情報は見受けられない。

・呼吸は不要で疲れや空腹、発汗などの生理現象は現れない。ただし自室のベッド上では現実と同等の睡眠欲が発生するため、睡眠不足の被験者は調査に不向きである。2

・被験者は自身の部屋から遠く離れても、部屋に戻ろうという意思を持てば迷わずに部屋までの道を辿ることができる。

・通路上の被験者は他被験者の存在位置を感覚で把握できる。どちらかが室内にいる場合この感覚は働かない。

・SCP-1411-JP-3で目覚めてから即時入眠した場合と、長時間活動した場合とでは睡眠時間に関連性は認められない。活動できる時間には制限がないものと思われるが、長時間活動した場合は起床後に睡眠不足の症状が現れる。

・SCP-1411-JP-1を服用する時刻を被験者ごとに変動させた場合、睡眠時間が重なっている被験者同士はSCP-1411-JP-3で接触を行える。ただしSCP-1411-JP-1を服用する順番とSCP-1411-JP-3で入眠する順番が異なる場合など、条件によっては後に活動開始する被験者は他被験者と接触しないことがある。

・SCP-1411-JP-3で得た記憶はクラスA以上の記憶処理で除去することが可能。

第7回目の実験・調査にて後にSCP-1411-JP-4と指定される人型存在との遭遇が発生しました。詳細はインタビュー記録1411-JP-7-1を参照してください。閲覧は担当者もしくはレベル4以上のセキュリティクリアランスに限ります。

20██/02/12、当オブジェクトはSCP-1411-JPとして正式登録されました。

補遺: SCP-1411-JPの活用案としてSCP-1411-JP-3内で、傷病などの理由から意思疎通困難となっている職員と情報交換を行う実験が計画されていますが、SCP-1411-JP-4との遭遇による影響が未知数のため、現在のところ実施承認がなされていません。