アイテム番号: SCP-872-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-872-JP指定地域には、常に90人以上の人間が在住します。その割合はおおよそ財団職員20%一般市民80%とし、最低でも20戸以上の世帯が存在するように維持してください。
SCP-872-JP-1に在住する財団職員は、極力内部に1人で留まらないようにしてください。SCP-872-JP-1内部に1人しかいない状態で来客があった場合、7分以内に正面玄関以外の場所から家を出て、そこから正面玄関に向かい来客へ応対してください。何らかの事情でそれが不可能な場合、他の職員をその場へ招集してください。
また、一般市民が在住するSCP-872-JP-1の正面玄関は常に担当職員によって監視されます。
説明: SCP-872-JPは20██年現在、██県██市内のある住宅地域です。SCP-872-JPは19██年代に多発した失踪事件を調査する過程で存在が判明しました。その後詳しい調査を行った結果、後述する異常性が発覚し現在に至ります。また、以下の条件の内いずれかを満たした時にSCP-872-JPの異常性は国内に存在する他の住宅街へ"移動"します。
- SCP-872-JP内の住民数が██人以下となった場合
- SCP-872-JP内の世帯数が██戸以下となった場合
- 住民の██%以上がSCP-872-JPの存在を認識している場合
SCP-872-JP-1はSCP-872-JP指定地域内に存在する住宅です。SCP-872-JP-1自体にこれといった異常性は存在せず、物理的破壊も可能です。また、SCP-872-JP指定地域内で住宅を新設するとその住宅もSCP-872-JPとしての特性を帯びる事が確認されています。
SCP-872-JP-2は、SCP-872-JP-1にて不定期に発生する異常現象です。ただし発生する条件として、「SCP-872-JP内部に人間が1人しか存在しない(以下、内部の人間を被害者と表記)」「被害者が睡眠中などの理由で意識を失っていない」「正面玄関が何者にも目視されていない」必要があるようです。
SCP-872-JP-2が発生した場合、玄関先には誰もいないにも関わらずSCP-872-JP-1のチャイムが作動します。被害者がインターホンやドア越しにこれへ応答すると、対象にとって違和感のない人物1の声が何らかの用件を伝えます。モニター付きインターホンや覗き窓で確認すると玄関前の映像へ実際にその人物が映りこみますが、外部のカメラや録画映像で玄関先を確認しても何も映りません。
正面玄関のドアを開かずにいるとチャイムは鳴らされ続け、次第にその頻度は短くなります。およそ3分を経過した辺りからチャイムと同時にノックも行われるようになり、最終的には明らかに二人以上の人間によって鳴らされているとしか思えないほどの密度でチャイムとノックが行われるようになります。特にノックは経過時間に応じてその力が肥大化し、8分ほど経過した頃には鉄製のドアが変形を起こすまでになります。
正面玄関のドアを開く、あるいはドアを開かずにおよそ9分が経過すると、被害者の消失という形でSCP-872-JP-2は終了を迎えます。この際にどういったプロセスを経て対象が消失するかは確認されておらず、どこへ移動するのかも不明のままです。SCP-872-JP-2は「正面玄関以外の場所から家を出る」「外部の人間がSCP-872-JP-2発生中に、正面玄関ドアへチャイムあるいはノックを行う」事で非活性化する事が判明しています。この性質を用いることで消失の回避が可能です。
実験対象:D-872-JP-1
実施方法:SCP-872-JP-2が発生した後、裏口から脱出する。D-872-JP-1はGPS・ビデオカメラ・通信機がセットされたヘッドセットを着用しています。
<録音開始>
D-872-JP-1: ……えっと、聞こえてますか? こちら、D-872-JP-1……で良いんですよね? 現在、指定された住宅の前です。
████研究員: はい。では、住宅の内部に入ってください。
D-872-JP-1: え、大丈夫なんですか?
████研究員: 私たちが差し押さえた住宅です。そうでなければ実験なんてしませんよ。
D-872-JP-1: あ、それもそうか……じゃあ入りまーす。
(ドアの開閉音、D-872-JP-1の足音)
D-872-JP-1: ……お仕事のネタになるくらいだからもっと荒んだ感じかと思ったけど、そうでもないんですね。生活感のあるお家で。そういえば、今回のお仕事ってなんですか?
████研究員: 今回の実験はそこに留まる事そのもので、特別な事を行う必要はありません。実験中は住宅内で自由に過ごしていただいて構いません。
D-872-JP-1: ……このお家、ヤバいんですか?
████研究員: 我々がSCP-872-JP-1と呼んでいるものです。私たちの指示通り動いていただければ無事に帰ってこれますよ。
D-872-JP-1: ああ、今回の私の番号、そういう事か……。ううん…………テレビとかって点けて良いんですか?
████研究員: 構いませんよ。
<05h-11m-02sの時点まで略>
(チャイム音)
D-872-JP-1: あ、誰か来たみたいです。
████研究員: インターホンに出てください。
(D-872-JP-1が受話器を取る。インターホンのモニターにはエージェント・██が映っていた)
インターホン: こちら、エージェント・██。D-872-JP-1に用がある、すまないが表まで頼めるか。
D-872-JP-1: 私ですか? わかりました。
(受話器を下ろす)
████研究員: では、そこから出てはいけません。待機してください。
D-872-JP-1: え、良いんですか? 先生の所のエージェントさんじゃ……。
████研究員: 本当に用があるならば、貴方の下を訪ねる前にまずこちらに連絡を寄越すはずです。それを我々は受け取っていません。それに、エージェント・██はそこから█00km離れた地点で任務に当たっています。その場にいるはずがありません。
D-872-JP-1: え……。
(チャイム音、D-872-JP-1の小さな悲鳴)
████研究員: ここから何度もチャイムが鳴らされるでしょうが、全て無視してください。それと、今のうちに裏口へのルートを確認しておいてください。
<05h-14m-29sの時点まで略>
(5回のノック音)
D-872-JP-1: ノック……?
████研究員: それも無視してください。応じる必要はありません。
(4回のノック音、それに重なるように1回のチャイム音)
D-872-JP-1: ……この人、本当に……本当に、エージェントさんじゃないんですか?
████研究員: 有り得ません。そのまま待機してください。
<05h-16m-52sの時点まで略>
(19回のチャイム音、8回のノック音。ノックは先ほどよりも強い力で行われている)
D-872-JP-1: 先生、これどうなってるの!?
████研究員: 落ち着いてください。何度も言いますが、こちらの指示通り動いていただければ害はありません。
D-872-JP-1: ……これ、おかしいよ。チャイムが鳴りっぱなしなのに、ノック音が重なったりしてるんです。先生、そのSCP-872-JPって……『1人』なんですか?
████研究員: 今扉を叩いているのはSCP-872-JP-2と呼ばれる過程上の存在です。それが1体存在するのか、2体存在するのか、それ以上存在するのかは私にもわかりません。
D-872-JP-1: そんな……(2回の大きなノック音、D-872-JP-1の小さな悲鳴)先生!
████研究員: ……そろそろ頃合かもしれませんね。裏口から脱出する事を許可します。
(カメラは裏口へ向かい、やがてそこから家を出る姿を記録。音源から遠退くにつれて小さくはなるが、チャイムとノックは継続されている事がわかる)
D-872-JP-1: うぅ、怖かった……。
████研究員: では、そのまま玄関口の方に向かってください。
D-872-JP-1: ……冗談でしょ?
████研究員: 玄関口の方角に向かってください。これは命令です。
D-872-JP-1: 勘弁してください先生! まだチャイムの音が鳴ってるの、聞こえるでしょ!?
████研究員: だからこそ我々は確認する必要があるのです。向かってください。命令に背けばどうなるかはあなた自身分かっているはずです。
D-872-JP-1: …………。
(30秒ほど映像と音声に大きな変化なし。やがて、D-872-JP-1が歩き出し玄関口の方角へ向かう。チャイム音とノック音が歩を進める毎に大きくなる)
(この時点でカメラは住宅の角を映しており、GPSは正面玄関から6mほどの距離にいる事を示していた)
(角まで来るとD-872-JP-1は立ち止まり、それから6秒後に正面玄関を覗き込んだ。直後、チャイム音とノック音の一切が停止する)
D-872-JP-1: …………いません。
████研究員: いない?
D-872-JP-1: 誰も、いません…………今の、今まで……すごく大きい音してた……のに…………。
████研究員: ……わかりました。では指定した場所で合流しましょう。
<以下略>
終了報告書: その後、ランデブーポイントにてD-872-JP-1を回収。実験後に近隣に待機していた財団職員にインタビューを行いましたが、SCP-872-JP-2によって発生していたチャイム音やノック音を全く認識していなかった事が判明しています。この事から、実際にチャイムやノックが行われているわけではなくSCP-872-JP-1内の人間・機材を対象として幻覚を引き起こすオブジェクトではないかとの仮説が立てられました。
実験対象:D-872-JP-2
実施方法:SCP-872-JP-2が発生した後、SCP-872-JP-1内で9分間待機する。D-872-JP-2はGPS・ビデオカメラ・通信機がセットされたヘッドセットを着用しています。
<録音開始>
D-872-JP-2: それで先生、今日は何の実験なんだ?
████研究員: 本日はそのアパート内で実験を行います。中へ入ってください。
(ドアの開閉音、D-872-JP-2の足音)
D-872-JP-2: 見た感じ普通のアパートだけど、俺はここで何をすれば?
████研究員: この部屋の内部に留まる事そのものが実験内容ですので、好きに過ごして戴いて構いません。ただし、もしチャイムが鳴ったとしても決して正面玄関のドアは開かず居留守を使ってください。
D-872-JP-2: ああ、なるほど。つまり、今回はその『来客』がヤバいんだな。わかった。
<02h-31m-44sの時点まで略>
(チャイム音)
D-872-JP-2: ……これか。
████研究員: はい。応じないようにお願いします。
D-872-JP-2: うん、わかってる。わかってるが……。D-872-JP-2: アンタたちが、俺に気を利かせてピザを頼んでくれたってわけじゃないんだな?
████研究員: 有り得ません。
D-872-JP-2: 本当に冗談通じねえよな。アンタら。
(チャイム音)
<02h-34m-58sの時点まで略>
(チャイム音、3回のノック音)
D-872-JP-2: おい、今度はノックしてき(チャイム音)たぞ。
(2度のノック音)
████研究員: 無視してください。想定済みです。
D-872-JP-2: 想定済みって……(チャイム音)じゃあ、このドアを叩いてるのは誰なんだ?
(チャイム音と同時に6回のノック音)
████研究員: 私たちもわかりません。それを判断するためにこの実験があるとも言えます。
D-872-JP-2: だんだんおっかなくなってきた。(7回のノック音)……さっさと諦めてくれよ、いつまで玄関前に居座るつもりだ……。
<02h-40m-12sの時点まで略>
(最早チャイムは止め処なく鳴らされ続け、ノックの音は最早打撃音と言えるものになっている)
D-872-JP-2: (パニック状態)おい、どうなってんだよ。ドアの外にいるやつ誰だよ!
(2回の大きな打撃音)
████研究員: 落ち着いてください、この事態は想定済みです。待機(大きな打撃音)してください。
(大きな打撃音)
D-872-JP-2: (罵倒) 畜生、何だってこんな……!(大きな打撃音が2度、ドアの破壊によると思わしき金属音が1度) そもそも、待機っつったって何を待てっていうんだ!
████研究員: 次に(5回の大きな打撃音)発生する現象を我々は確認する必要があります。これは命令です、待機(一際激しい打撃音、ドアの変形が悪化する)してください。
D-872-JP-2: 正(大きな打撃音)気じゃねえ、外にいる連中は正気じゃねえ……何だってあんな馬鹿力でドアを叩けるんだ? 一体何人-(12回の一際激しい打撃音。D-872-JP-2の悲鳴、嗚咽)。
████研究員: もう少しの辛抱です、堪えて下さい。
D-872-JP-2: (荒い呼吸音)クソ、クソ、クソ、何が『堪えて下さい』だ、もう嫌だ。俺は……。
<02h-40m-52秒、SCP-872-JP-2が発生してから9分08秒が経過した時点でチャイム音と打撃音の一切が停止する>
D-872-JP-2: (荒い呼吸音)止まった……?
████研究員: 周囲を確認してください。何か異常はありませんか?
(カメラの映像が旋回し、周囲の映像を映し出す。これといった異常は認められない)
D-872-JP-2: (荒い呼吸音)異常、異常。たぶん、ねえ、と思う。
████研究員: わかりました。では、正面玄関から出てきてください。指定した地点でこちらと合流しましょう。
D-872-JP-2: ……あ、ああ。もうこんなおっかない思いは御免だ。今回の仕事が終わったらしばらく休ませて-(カメラが背後へ旋回する)-あ゛2。
<02h-41m-17秒、SCP-872-JP-2が発生してから9分33秒が経過した時点で音声・映像・GPS共に通信が途絶える>
████研究員: D-872-JP-2?
(10秒間沈黙)
████研究員: ……通信が途絶えました、以上で映像・音声の記録を終了します。
<録音終了>
終了報告書: D-872-JP-2の行方は現在も判明していません。その後実験に使用したSCP-872-JP-1へ向かうと、映像記録通り正面玄関のドアには激しい力を加えたような変形、深い打撃跡が多数確認されました。この事から、当初幻覚説が有力とされていたSCP-872-JP-2の正体について現在議論が為されています。
アイテム番号: SCP-737-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-737-JPの出現地域および座標(0°0′0″N,0°0′0″E)3は人工衛星を用いて常に監視・記録されます。SCP-737-JPの出現が確認された場合、適切な兵器を用いて即座にSCP-737-JPを終了してください。201█/08/██現在、SCP-737-JPの現在地点座標は[データ編集済]です。
説明: SCP-737-JPは19██/██/██の日本国内で最初の目撃が確認されました。オブジェクトの外見は軍服を着用した第二次世界大戦中の日本兵に酷似していますが、肉体は半透明であり、光の当たり具合によって内部の骨や臓器が透けて見えることがあります。
出現したSCP-737-JPは何処かへ向けて一直線に歩き続けます。進路上に障害物が存在する場合は密着した後に不明な原理によってすり抜け、水上は水面を歩くようにして移動します。この様子はしばしば「行進を行っているよう」と表現され、移動中は常に歌のようなものを発音しています。
SCP-737-JPには明確に実体が存在する事が確認されていますが、移動中のSCP-737-JPは自らの負傷を含めた如何なる事象にも反応を示さず、如何なる拘束も受け付けません。このため、SCP-737-JPは致死レベルの肉体的ダメージを与える事で唯一沈静が可能です。沈静されたSCP-737-JPは破裂した後、次の出現まで完全に消失します。次に活性化したSCP-737-JPは前回の活性化地点から出現、活動を再開します。
SCP-737-JPの存在を補足した19██/██/██当初、財団はSCP-737-JPの移動パターンを把握することができませんでした。しかし19██/██/██にデータの分析を行ったところ、SCP-737-JPの進路が一本の直線によって構成されている事が判明しています。この直線の延長線上には座標(0°0′0″N,0°0′0″E)が存在しますが、これが偶然なのかSCP-737-JPの異常性と何か関係があるのかは不明です。
SCP-737-JPの最終的な目的地については依然調査中です。201█/08/██現在、座標(0°0′0″N,0°0′0″E)であるという予想が有力視されています。詳細な経緯については補遺-737-JP-1を参照してください。
補遺-737-JP-1: SCP-737-JPが座標(1█°██′██″N,6█°██′██″E)に到達して以降、SCP-737-JPの活性化中に座標(0°0′0″N,0°0′0″E)付近で不明な原因による泡立ち・波紋・地鳴りのような音が発生するようになりました。SCP-737-JPが座標(0°0′0″N,0°0′0″E)へ近付くごとにこれらは大規模なものへ変化しています。
当現象の目撃者にはオブジェクト本体の目撃者と同様に記憶処理を施してください。201█/08/██現在、SCP-737-JPと当現象の具体的な関連性は不明です。
補遺-737-JP-2: これまでに録音した「SCP-737-JPが出現時に発する音声」をつなぎ合わせると、次のように読み取ることが可能でした。
てんかへとどろくわれらがぐんか
いまやおそれるものはなしおんてきどもをふんさいせしめん
ながれるなまりはしゅううのごとくたとえみなぞこしずめども
おくにをあいするこころはしなずいざかえらん いざかえらん
ふぼたるわれらのだいていこく
いざかえらん いざかえらん
ふぼたるわれらのだいていこく
(以下繰り返し)
この内容が座標(0°0′0″N,0°0′0″E)の事を示しているかは不明ですが、座標(0°0′0″N,0°0′0″E)で発生する異常現象の正体を調査する上で有力な手がかりになると考えられます。音声の録音・調査は引き続き継続中です。

201█/08/██現在、SCP-737-JPの出現区域
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはエリア-8165にて収容されます。SCP-XXX-JPの異常性による危険から、エリア-8165に核兵器は搭載されません。SCP-XXX-JPには最低でも両手・両足に枷を着用させ、寝台の上に固定してください。これらの枷は2週間ごとに最新のものへ取り替えられます。
対象への栄養補給は適切な量の催眠薬を混入した点滴によって行われます。何らかの理由で対象が目覚めた場合は直ちに死亡以外の方法で意識を失わせてください。現在、如何なる理由であっても対象の殺害を試みる事は許可されません。
201█/11/██追記: 収容室内部には監視カメラを搭載し、対象が異常な行動を取ることがないか常に監視してください。対象には1日の内4時間までの睡眠が許可されます。対象の睡眠中、担当職員は脳波計を用いて常に脳の活動を確認し、夢を見ている場合電気ショックを流して直ちに目覚めさせてください。
説明: SCP-XXX-JPは199█/██/██生、身長1.62m、体重4█kgの日本人女性です。200█/04/██に財団よって収容される以前は東京都████区に在住していました。身体能力、知能は一般よりやや劣っていますが、これは次に述べる疾患によるものと考えられます。
SCP-XXX-JPは恒久的な自律神経失調状態にあります。この結果として重度の鬱病を煩っており、突発的な自殺衝動を頻繁に抱えます。これを治療する全ての試みは失敗に終わっていますが、この症状そのものが単なる疾患なのかオブジェクトの異常性の一環なのかは不明です。SCP-XXX-JPは財団や他の人類へ特に敵対的なわけではありませんが、自身を除いた生命に対し酷く無頓着であり、自らの危険性を全く理解していません。
SCP-XXX-JPは自らの身に致命的な危険が迫ると、それを回避すべく周囲の事象を無意識の内に改変します。これらは全て、一見偶発的なプロセスを経てその結果に至るように見えますが、この現象が発生する瞬間に周囲の空間におけるヒューム値の急激な変動が観測されています。この異常性は自殺・他殺を問わず発生します。以下はその例です。
- ベルトで首を吊ることでの自殺。結果、財団職員が発見しこれを中断させた。
- ナイフによる刺殺。結果、加害者は突然の心不全を起こして死亡。
- 拳銃による銃殺。結果、加害者は銃の腔発によって重傷を負った。
- 収容室を水で満たすことでの溺殺。結果、機材が故障し施設全体が浸水した。
- 舌を噛み切ることでの自殺。結果、エリア8165直下で震度6強の地震が発生したことで対象はバランスを崩し転倒。意識を失った。
SCP-XXX-JPの殺害は必ず何らかの方法によって中断され、その方法・被害は一定していません。
SCP-XXX-JPの存在を最初に財団が確認したのは200█/██/██に████県████市の████駅で発生した鉄道車両の車両脱線事故です。この事故においてSCP-XXX-JPは線路へ身を投げることで自殺を図りましたが、鉄道車両が脱線事故を起こした事で未遂に終わりました。なお、この事故では計██人の死傷者が出ています。
この時点での財団は事故を異常存在が関わったものとして認識していませんでしたが、200█/04/██に発生した[データ削除済]の事件にもSCP-XXX-JPが居合わせていた事から財団は対象の経歴を調査。その結果現在の異常性が判明し、対象をSCP-XXX-JPへ分類、確保に至りました。対象が人類へ齎す被害は大小様々ですが、「肉体を拘束した上での睡眠薬投与」という形で比較的安定した収容が可能と判明したためオブジェクトクラス:Euclidとして分類されました。
201█/05/██追記: 対象が舌を噛み切ることを防止するために全歯の抜歯手術を行いました。手術は成功し、現在も上記の方法による自殺の防止に有効です。
201█/11/██追記: 201█/10/██にSCP-XXX-JPの収容は従来の形では不可能である事が判明し、収容プロトコルが改訂されました。原因は対象が睡眠状態であるにも関わらず、エリア-8165直下で前兆のない震度6強の地震が発生、対象が目を覚ましたことによります。その後もう一度従来の収容手順に則って対象の収容を行いましたが、睡眠状態に移行してから█時間後に直径█.██mの隕石がエリア-8165に落下。収容施設へ甚大な被害を及ぼすと共に、衝撃によってSCP-XXX-JPが睡眠状態から覚醒しました。その後対象へのインタビューを行った結果、異常性を発現させる前に「何者かに追いかけられて刺殺される」夢を見ていた事が確認されました。この事からSCP-XXX-JPの異常性は「脳が死を誤認する」ことでも発生するようになったと推測されます。
これを受けて当該固体のオブジェクトクラスをKeterへと再分類する事が提案され、201█/11/██に承認されました。
こいつの異常性はいつになれば、いったいどうすれば消える? 何がこいつを殺してくれるんだ?
疾病? 老衰? いや、こいつはそんなもので本当に死んでくれるのか?
この「悲劇のヒロイン」気取りの面倒を、我々はいつまで診てやればいいんだ? - ████博士
SCP-XXX-JPをこれ以上収容しておく事は危険かつ無益と判断され、異常性を発現させずに対象を無力化させる方法が模索されています。
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「日本語表現用Wiki構文拡張」
提供元:http://ja.scp-wiki.net/japanese-syntax
作者:Nanimono Demonai 様
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画像「19██年、[データ削除済]によって撮影」
提供元:https://pixabay.com/en/building-japan-architecture-glass-737590/
作者:Purota 様