- 旧SCP-1140-JP改案改案
- 旧SCP-1140-JP改案
- 弾丸犬
- --アノマロガラス-- アノマロ██ス
- 自問自答の椅子 //こんな名前で良かったのか? 分からない、教えてくれ、教えてくれ!!//
- 旧SCP-1140-JP
- 下書き
- やがて哀しきシャボン玉
- ごまふあざらし(改訂版)
- ごまふあざらし
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アイテム番号: SCP-1140-JP
オブジェクトクラス: Euclid Keter Safe
特別収容プロトコル: SCP-1140-JPは、常に光学迷彩を使用して外部からの発見を予防して下さい。地上の天文台がオブジェクトを発見したことが判明した場合は即座にAクラス記憶処理を施し、オブジェクトの情報が流出することを阻止してください。
説明: SCP-1140-JPは、宇宙空間の一座標上に静止 する していた小天体(SCP-1140-JP-2)と、そこに半ば埋没しているアップライトピアノ(SCP-1140-JP-1)で構成されるオブジェクトです。
SCP-1140-JP-2は、地球から60万km離れた場所に静止 する していた直径3kmの小天体です。無機物で構成されており、主成分は岩石と金属です。外部からのあらゆる干渉を受け付けず、移動、加工はいずれも不可能です。
SCP-1140-JP-1は、日本時間午前9時から午後9時までのどこかの2時間の間に、レクイエム「怒りの日」(モーツァルト作曲)、もしくは「交響曲第九番」(ベートーヴェン作曲)をひとりでに演奏します。宇宙空間であるために音は発生しませんが、SCP-1140-JP-1は空気中での演奏時と同等に振動していることが分かっています。SCP-1140-JP-1の材質は通常のアップライトピアノと変わりませんが、宇宙の環境に晒されても異変が生ずることはありません。
SCP-1140-JP-1が演奏を行うと、それが接地しているSCP-1140-JP-2の表面、及びSCP-1140-JP-1の地下部分の内部密度が減少し、減少した分の物質がSCP-1140-JP-2の反対側に固着する形で再出現することが分かっています。この異常性によって、SCP-1140-JP-2は少しずつ地球から離れています。
SCP-1140-JP-1は、本来は財団日本支部のサイト-81██に収容されていました。しかしSCP-1140-JP-1の異常性が日々強まり、SCP-1140-JP-2の成長が加速度的に早くなっていることが確認されたために、財団は収容作戦『弱音器』を発動しました。
20██年、財団日本支部はSCP-1140-JP-1をロケットを用いてSCP-1140-JP-2まで輸送しました。SCP-1140-JP-1はSCP-1140-JP-2の中で地球に最も近い点に設置されました。
SCP-1140-JP-1はSCP-1140-JP-2上においても通常通りに演奏を行うことが確認されています。この演奏によってSCP-1140-JP-2内部の無機物のみがSCP-1140-JP-2の反対部分に転移したことが確認されたことで、オブジェクトの異常性は実質消滅したと認定されました。
これによって、オブジェクトのクラスはKeterからSafeに変更されました。
補遺:現在のペースでオブジェクトが地球から遠ざかり続ければ、2███年にはオブジェクトは現在地上に存在するあらゆる望遠鏡の観測範囲外まで離れると予測されています。オブジェクトが観測される恐れが無くなり次第、このオブジェクトのクラスはNeutralizedに変更される方針です。
特別収容プロトコル: SCP-1140-JPはサイト-81██の1階にある防音壁に囲まれた室内の、厚さ2mの鉄板の上に設置してください。また、鉄板は4 3 2日に1度 毎日交換してください。SCP-1140-JPによる影響を避けるため、オブジェクト収容施設の地下にはどのような設備も設置してはいけません。
説明: SCP-1140-JPは、19██年に発売された████社製のアップライトピアノです。このピアノは午前9時から午後9時までの間に、毎日2時間程独りでに曲を演奏します。曲目は基本的にレクイエム「怒りの日」(モーツァルト作曲)が演奏されますが、「交響曲第九番」(ベートーヴェン作曲)を演奏することも確認されており、また演奏中に別の曲を流すとしばらく沈静化した後に、その曲目を真似ることも確認されています。
SCP-1140-JPが曲目を演奏すると、オブジェクトの底部が接している向いている方向にある無機物固体の密度が減少し、オブジェクトから約1m下に球形の空洞が発生します。オブジェクトが曲目を弾く度に空洞は下へと拡大し、結果的にオブジェクトの接している無機物は崩壊します。この空洞は無機物内に埋没している限り外部に対する微弱な反発力を持っており、それで自らにかかる圧力を軽減していると考えられています。曲調が激しければ激しいほど空洞の拡大は早まります。また、オブジェクトが有機物に接している場合は、その有機物が接している無機物に対して効果が発揮されます。この現象による大規模な破壊は、オブジェクトの底部に接する無機物を定期的に交換することで防止が可能です。SCP-XXX-JP-1の異常性は日々強まっていることが確認されています。また、密度減少分の物質の行方は不明です。
実験記録1 日付20██/██/██
目的: オブジェクトの異常性の試験。
選曲: 「悲愴第二楽章」(ベートーヴェン作曲)
結果: オブジェクトは選曲に答えた。曲調が落ち着いたことで、「怒りの日」を演奏した時より無機物の密度減少を20%抑えられた。また、オブジェクトは演奏後にまた「怒りの日」を演奏した。
実験記録2 日付20██/██/██
目的: 無音の曲を演奏させることでのオブジェクトの沈静化。
選曲: 「4分33秒」(ジョン・ケージ作曲)、ただし生活音の入っていない完全な無音のもの。
結果: オブジェクトは曲に反応することなく「怒りの日」の演奏を続けた。
実験記録3 日付20██/██/██
目的: 長時間の曲を聞かせ続けることでのオブジェクトの沈静化。
選曲: 「ヴェクサシオン」(エリック・サティ作曲)、ただし全く編集を入れていない、18時間連続して演奏されているもの。
結果: オブジェクトは沈黙してから4時間の間曲を聞き続けたが、その後まだ曲が続いているにも関わらず、通常よりも激しく「怒りの日」の演奏を開始した。無機物の密度減少量は通常の120%に増大した。
実験記録4 日付20██/██/██
目的: 演奏ではない曲を聞かせた時の異常性の確認。
選曲: 「魔王」(シューベルト作曲)、ただし研究員のアカペラであり楽器の音はついておらず、音程も実際の曲とずれている。
結果: オブジェクトは2分ほど静止した後に、研究員の音程に合わせた主旋律に実際の「魔王」に添わせた伴奏をつけて演奏した。その際、同時に13音が鳴らされる瞬間が存在した。
実験記録5 日付20██/██/██
目的: 正式な曲ではない演奏を聞かせた時の異常性の確認。
選曲:「無題」(██博士作曲)
結果: 3分間沈黙した後に「交響曲第九番」を演奏し始めた。
メモ: ……どうやら私の曲はお眼鏡に適わなかったらしい。徹夜して頑張ったのだが。
実験記録6 日付20██/██/██
目的: オブジェクトを人力で演奏した場合の異常性の確認。
内容: オブジェクトを人力で演奏する。
選曲: 「めだかの学校」(中田喜直作曲)
結果: オブジェクトを使用して1時間演奏したところ、オブジェクトはその1日の間演奏を行わなかった。人力での演奏時も無機物の密度は減少したが、「怒りの日」と比べて60%減少量は減っていた。
実験記録7 日付20██/██/██
目的: 実験記録6との対照実験。
選曲: 「めだかの学校」(中田喜直作曲)
結果: 人力で演奏した際と比較して、音の数が増え曲調も激しくアレンジされていた。無機物の密度減少量は「怒りの日」と変わらなかった。
実験記録8 日付20██/██/██
目的: オブジェクトを無機物から離した場合の異常性の確認。
内容: オブジェクトをロープで宙に浮かせる。
結果: オブジェクトは吊り下げられている間もも底部を下に向けながら「怒りの日」を演奏し続け、底部の方向にある無機物の密度を減少させた。この実験により説明が一部改訂された。
実験記録9 日付20██/██/██
目的: オブジェクトが音を出せないようにした場合の異常性の確認。
内容: オブジェクトを真空空間に入れる。
結果: 音は鳴らなくなったが、オブジェクトは「怒りの日」の演奏を継続した。結果的に接している無機物の密度は通常通り減少した。
補遺1: SCP-1140-JPは20██年に██県の██山崩落時に、山小屋の瓦礫から無傷の状態で発見されました。オブジェクトの異常性によって山が崩れたと考えられます。また、同時に瓦礫からは複数の人骨と、下記の共通の文章が書かれた4枚の金属盤が見つかっています。
怒りの日。おお怒りの日。
世界に満ちる灰燼よ。
降り注ぐ苦よもぎよ。
天より舞い降りて全てを裁く主よ。
跪き、人々は救いを願え。
主を感じろ。星空の上に住む主を。
救われたなら喜びを持て。
我々は陶酔し、彼の聖域へ足を踏み出す。
そうでなければ泣きながら、この環より去るがいい。
補遺2: SCP-1140-JPは初めAnomalousアイテム「勝手に鳴るピアノ」としてサイト-81██に収容されていました。しかしこのオブジェクトの異常性によってサイト-81██の地下施設が崩壊、SCP-████等の収容違反を発生させ146人の犠牲者を出すこととなりました。この事件によってこのオブジェクトの危険性が発覚、AnomalousからEuclidにクラスが改められました。
レベル3以上のセキュリティクリアランス保持者のみ閲覧可
20██年、財団外宇宙支部が宇宙空間にて、高度60万kmの宇宙空間に静止する無機物で構成された直径3kmの物体を確認しました。調査の結果物体の組成の3分の2は岩であり、残りは鉄等の金属だと分析されましたが、その中の一部に財団内部でのみ使用されている合金の存在が確認されたことから、この物体とSCP-1140-JPとの関連が調査されました。
結果的に、SCP-1140-JPが消滅させた無機物がこの物体の表面に移動していることが明らかになり、この物体はオブジェクトが転移させた無機物で構成された成長し続ける小天体、SCP-1140-JP-2と設定されました。
SCP-1140-JP-2は現在、地球から60万km離れた場所に静止し続けており、移動させる試みは全て失敗しています。このことから財団はこのオブジェクトのクラスをEuclidからKeterに変更することを検討しています。
現在財団はSCP-1140-JP-2の成長を遅らせる為に、SCP-1140-JPが演奏を開始する前に人力で「Organ2/ASLSP」1(ジョン・ケージ作曲)を演奏しています。
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アイテム番号: SCP-1140-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1140-JPはサイト-81██の1階にある防音壁に囲まれた室内の、厚さ2mの鉄板の上に設置してください。また、鉄板は3日に1度交換してください。SCP-1140-JPによる影響を避けるため、オブジェクト収容施設の地下にはどのような設備も設置してはいけません。
説明: SCP-1140-JPは、19██年に発売された████社製のアップライトピアノです。このピアノは午前9時から午後9時までの間に、毎日2時間程独りでに曲を演奏します。曲目は基本的にレクイエム「怒りの日」(モーツァルト作曲)が演奏されますが、「交響曲第九番」(ベートーヴェン作曲)を演奏することも確認されており、また演奏中に別の曲を流すとしばらく沈静化した後に、その曲目を真似ることも確認されています。
SCP-1140-JPが曲目を演奏すると、オブジェクトの底部が接している向いている方向にある無機物固体の密度が減少し、オブジェクトから約1m下に球形の空洞が発生します。オブジェクトが曲目を弾く度に空洞は下へと拡大し、結果的にオブジェクトの接している無機物は崩壊します。この空洞は無機物内に埋没している限り外部に対する微弱な反発力を持っており、それで自らにかかる圧力を軽減していると考えられています。曲調が激しければ激しいほど空洞の拡大は早まります。また、オブジェクトが有機物に接している場合は、その有機物が接している無機物に対して効果が発揮されます。この現象による大規模な破壊は、オブジェクトの底部に接する無機物を定期的に交換することで防止が可能です。また、密度減少分の物質の行方は不明です。
実験記録1 日付20██/██/██
目的: オブジェクトの異常性の試験。
選曲: 「悲愴第二楽章」(ベートーヴェン作曲)
結果: オブジェクトは選曲に答えた。曲調が落ち着いたことで、「怒りの日」を演奏した時より無機物の密度減少を20%抑えられた。また、オブジェクトは演奏後にまた「怒りの日」を演奏した。
実験記録2 日付20██/██/██
目的: 無音の曲を演奏させることでのオブジェクトの沈静化。
選曲: 「4分33秒」(ジョン・ケージ作曲)、ただし生活音の入っていない完全な無音のもの。
結果: オブジェクトは曲に反応することなく「怒りの日」の演奏を続けた。
実験記録3 日付20██/██/██
目的: 長時間の曲を聞かせ続けることでのオブジェクトの沈静化。
選曲: 「ヴェクサシオン」(エリック・サティ作曲)、ただし全く編集を入れていない、18時間連続して演奏されているもの。
結果: オブジェクトは沈黙してから4時間の間曲を聞き続けたが、その後まだ曲が続いているにも関わらず、通常よりも激しく「怒りの日」の演奏を開始した。無機物の密度減少量は通常の120%に増大した。
実験記録4 日付20██/██/██
目的: 演奏ではない曲を聞かせた時の異常性の確認。
選曲: 「魔王」(シューベルト作曲)、ただし研究員のアカペラであり楽器の音はついておらず、音程も実際の曲とずれている。
結果: オブジェクトは2分ほど静止した後に、研究員の音程に合わせた主旋律に実際の「魔王」に添わせた伴奏をつけて演奏した。その際、同時に13音が鳴らされる瞬間が存在した。
実験記録5 日付20██/██/██
目的: 正式な曲ではない演奏を聞かせた時の異常性の確認。
選曲:「無題」(██博士作曲)
結果: 3分間沈黙した後に「交響曲第九番」を演奏し始めた。
メモ: ……どうやら私の曲はお眼鏡に適わなかったらしい。徹夜して頑張ったのだが。
実験記録6 日付20██/██/██
目的: オブジェクトを人力で演奏した場合の異常性の確認。
内容: オブジェクトを人力で演奏する。
選曲: 「めだかの学校」(中田喜直作曲)
結果: オブジェクトを使用して1時間演奏したところ、オブジェクトはその1日の間演奏を行わなかった。人力での演奏時も無機物の密度は減少したが、「怒りの日」と比べて60%減少量は減っていた。
実験記録7 日付20██/██/██
目的: 実験記録6との対照実験。
選曲: 「めだかの学校」(中田喜直作曲)
結果: 人力で演奏した際と比較して、音の数が増え曲調も激しくアレンジされていた。無機物の密度減少量は「怒りの日」と変わらなかった。
実験記録8 日付20██/██/██
目的: オブジェクトを無機物から離した場合の異常性の確認。
内容: オブジェクトをロープで宙に浮かせる。
結果: オブジェクトは吊り下げられている間もも底部を下に向けながら「怒りの日」を演奏し続け、底部の方向にある無機物の密度を減少させた。この実験により説明が一部改訂された。
実験記録9 日付20██/██/██
目的: オブジェクトが音を出せないようにした場合の異常性の確認。
内容: オブジェクトを真空空間に入れる。
結果: 音は鳴らなくなったが、オブジェクトは「怒りの日」の演奏を継続した。結果的に接している無機物の密度は通常通り減少した。
補遺1: SCP-1140-JPは20██年に██県の██山崩落時に、山小屋の瓦礫から無傷の状態で発見されました。オブジェクトの異常性によって山が崩れたと考えられます。また、同時に瓦礫からは複数の人骨と共通の文章が書かれた4枚の金属盤が見つかっています。収容時、オブジェクトには人間の血液が付着していました。
怒りの日。おお怒りの日。
世界に満ちる灰燼よ。
預言に語られた滅びの日よ。
天より舞い降りて全てを裁く主よ。
跪き、人々は救いを願え。
主を感じろ。星空の上に住む主を。
救われたなら喜びを持て。
我々は陶酔し、彼の聖域へ足を踏み出す。
そうでなければ泣きながら、この環より去るがいい。
補遺2: SCP-1140-JPは初めAnomalousアイテム「勝手に鳴るピアノ」としてサイト-81██に収容されていました。しかしこのオブジェクトの異常性によってサイト-81██の地下施設が崩壊、SCP-████等の収容違反を発生させ146人の犠牲者を出すこととなりました。この事件によってこのオブジェクトの危険性が発覚、AnomalousからEuclidにクラスが改められました。
20██年、財団外宇宙支部が宇宙空間にて、高度60万kmの宇宙空間に静止する無機物で構成された直径3kmの物体を確認しました。調査の結果物体の組成の3分の2は岩であり、残りは鉄等の金属だと分析されましたが、その中の一部に財団内部でのみ使用されている合金の存在が確認されたことから、この物体とSCP-1140-JPとの関連が調査されました。
結果的に、SCP-1140-JPが消滅させた無機物がこの物体の表面に移動していることが明らかになり、この物体はオブジェクトが転移させた無機物で構成された成長し続ける小天体、SCP-1140-JP-2と設定されました。
SCP-1140-JP-2は現在、地球から60万km離れた場所に静止し続けており、移動させる試みは全て失敗しています。このことから財団はこのオブジェクトのクラスをEuclidからKeterに変更することを検討しています。
現在財団はSCP-1140-JP-2の成長を遅らせる為に、SCP-1140-JPが演奏を開始する前に人力で「Organ2/ASLSP」2(ジョン・ケージ作曲)を演奏しています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██にある縦横10m×10mの収容室に、一般の小型犬が必要とする設備一式と共に収容して下さい。収容室内には常に1人以上の監視員を置き、オブジェクトが収容室の壁から2m以内にに近づいた時には菓子や玩具を利用して注意を部屋の内側に向けさせて下さい。午前8時と午後9時に29gのシニア犬用ドッグフードを与えて下さい。
説明: SCP-XXX-JPは、クリーム色のミニチュア・ダックスフント(SCP-XXX-JP-1)とその周囲に出現する黒いミニアルバム(SCP-XXX-JP-2)で構成されるオブジェクトです。
SCP-XXX-JP-1は推定年齢9歳のオスのダックスフント(Canis lupus familiaris)です。████と呼称されると反応します。性格は臆病であり、見知らぬ存在が付近に存在すると時々てんかんの症状を起こすことが確認されています。
SCP-XXX-JP-1の異常性は、オブジェクトが移動している際に発現します。オブジェクトが移動中に障害物に接触した場合、障害物に直径30cm程の穴(SCP-XXX-JP-1-a)が出現し、オブジェクトはそれを潜り抜けることで障害物を通過します。SCP-XXX-JP-1-aはオブジェクトがそれを潜った直後に消滅します。潜らなかった場合は、発生から30分から1時間の間に徐々に縮小し、消滅します。この異常性はあらゆる物質、生物に対して働くため、SCP-XXX-JP-1の完全な収容は不可能です。生物にSCP-XXX-JP-1-aが発生した場合、対象の生物はSCP-XXX-JP-1-aが消滅するまで硬直し、SCP-XXX-JP-1-a消滅と共に元に戻ることが確認されています。
SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1の周囲に出現する、██社製の製品に酷似した黒いミニアルバムです。飛行能力を持っており、SCP-XXX-JP-1の周辺を常に飛行しています。また、SCP-XXX-JP-1に危険が迫った場合にはその外敵の排除を試みることが確認されています。
SCP-XXX-JP-2の目的はSCP-XXX-JP-1の保護と考えられています。SCP-XXX-JP-2はこれまでに、SCP-XXX-JP-1の落下による衝撃の軽減、外傷からの防御の他、食事の際に薬3を混ぜる、SCP-XXX-JP-1がてんかんの症状を起こした際には座薬を生成して挿入する、等の行為を行っています。SCP-XXX-JP-2はこれまでに3種類の薬を生成しています。菓子、エサ、玩具等の生成は確認されていません。またSCP-XXX-JP-2は、午前8時と午後9時になるとSCP-XXX-JP-1への給仕を促すように餌の容器を動かすことや、一度に与える餌に29gより1g以上の誤差があると自ら調整することが確認されています。
SCP-XXX-JP-2は通常のミニアルバムと同じ方法で破壊することが可能です。しかしその直後にSCP-XXX-JP-1の周辺に再び出現します。また、SCP-XXX-JP-2を移動が出来ないように捕獲した場合は、オブジェクトは自爆を試み、SCP-XXX-JP-1の側に再出現します。
SCP-XXX-JP-2内には、SCP-XXX-JP-1の写真が12枚収まっています。この写真はSCP-XXX-JP-2を開閉する度に変化し、これまでに████種類の写真が確認されています。また、カメラでの撮影は行われていないにも関わらず、オブジェクト収容以降の写真もSCP-XXX-JP-2内に収まっています。
実験記録1 日付20██/██/██
目的: SCP-XXX-JP-1の異常性の確認。
内容: SCP-XXX-JP-1をベニヤ板、鉄板、板ガラス製の3種類の箱に閉じ込め、菓子を使用して外から呼び掛ける。
結果: SCP-XXX-JP-1は各々の箱にSCP-XXX-JP-1-aを発生させ箱から出て菓子を食べた。この時、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1の周囲を浮遊しているだけだった。
実験記録2 日付20██/██/██
目的: SCP-XXX-JP-1の異常性の確認。
内容: SCP-XXX-JP-1を首輪で固定した上で、スターターピストルを使用して驚かせる。
結果: SCP-XXX-JP-1に首輪をつける試みは、常にSCP-XXX-JP-2が妨害する為に失敗した。またSCP-XXX-JP-2は強引に首輪をつけようとした██研究助手の利き手を回転しながら突撃することで攻撃し骨折させ、全治██週間の怪我を負わせた。また、この時SCP-XXX-JP-2は時速███kmの速さを記録している。
実験記録3 日付20██/██/██
目的: SCP-XXX-JP-2の無力化。
内容: SCP-XXX-JP-2を厚さ20cmの鉄板で構成した密閉容器に封印した上で、SCP-XXX-JP-1を別の研究室に移送する。
結果: SCP-XXX-JP-1は移送開始の時点で興奮状態に陥り、移送に使用した台車にSCP-XXX-JP-1-aを発生させ逃亡を試みた。しかし逃亡直後にSCP-XXX-JP-2がSCP-XXX-JP-1上空に出現し、近くの研究員から菓子を奪ってSCP-XXX-JP-1に与えることで沈静化させた。
実験記録4 日付20██/██/██
目的: SCP-XXX-JP-1の健康診断。
内容: SCP-XXX-JP-1を診察台に乗せ体を観察、異常性を調査する。
結果: SCP-XXX-JP-2による激しい抵抗によって器具は破壊され実験は中止になった。またこの過程でSCP-XXX-JP-1は軽度の切り傷を負った。この後の3日間、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1へのあらゆる人間の接近を許さなかった。
実験記録5 日付20██/██/██
目的: SCP-XXX-JP-1の健康診断。
内容: SCP-XXX-JP-1を菓子を使用して引き寄せ、抱き上げてから体を観察する。
結果: SCP-XXX-JP-1は菓子だけに集中したために抵抗を行わなかった。SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1を抱き上げている██研究員の頭の周辺を周回していたが研究員に攻撃はしなかった。この調査によって、SCP-XXX-JP-1の体自体には異常性は無いことが明らかになった。
実験記録6 日付20██/██/██
目的: SCP-XXX-JP-1のクローン作成。
内容: SCP-XXX-JP-1は去勢済みの個体のため、食事に睡眠薬を混ぜて眠らせてから体内の細胞を採取、そこからクローンを作成する。
結果: 睡眠薬を混ぜたエサをSCP-XXX-JP-1に与えようとしたところSCP-XXX-JP-2が反応、睡眠薬だけをエサから取り出した。取り出された睡眠薬はSCP-XXX-JP-2に取り込まれ、その3秒後に座薬として取り出されて、エサを与えた██研究員に挿入された。研究員に残っていた座薬の成分を解析したところ、SCP-XXX-JP-2がSCP-XXX-JP-1に挿入する座薬に取り込んだ睡眠薬を混ぜ込んだだけの物だと分かった。
20██年██月██日、オブジェクトで実験を行おうとした██研究員が誤ってSCP-XXX-JP-1の尾を踏み、それによって興奮したSCP-XXX-JP-1が研究室の壁を通り抜けて脱走する収容違反が発生しました。SCP-XXX-JP-1は自らの周囲と自らの進行方向██kmに渡ってSCP-XXX-JP-1-aを発生させ、SCP-████、SCP-████、SCP-████4の収容所を通過し、サイトを抜け出て市街地まで逃亡しました。SCP-XXX-JP-1が逃亡の過程で受けた攻撃はSCP-XXX-JP-2が身代わりとして破壊されることで無力化しました。また、SCP-XXX-JP-1は財団職員に包囲されると今度は自らの足元にSCP-XXX-JP-1-aを生成しその中に入ることで逃亡を図りました。しかしこの途中でSCP-XXX-JP-1が疲労で気絶したために再収容に成功しました。このインシデントにおいて██体のオブジェクトの収容違反が発生しました。インシデントの目撃者にはAクラス記憶処理を施し、██研究員には半年の減給が言い渡されました。このインシデントの後、このオブジェクトに対して危害を加える一切の行為が禁止されました。
補遺1: SCP-XXX-JPは、██県の廃屋内部にて、保健所職員として潜入していた財団職員が発見しました。オブジェクトは収容の際に移送用トラックの壁面をすり抜けて逃亡を行い、再収容の際は、道具を使用して捕獲しようとしている間にSCP-XXX-JP-2の攻撃によってエージェント2人が重傷を負いました。しかしSCP-XXX-JP-1にドッグフードを差し出したところ、SCP-XXX-JP-1は抵抗を止めた為に再収容に成功しました。オブジェクトを発見した廃屋内には二人分の他殺死体と一つの首吊り死体、17██年製の魔術書の物と酷似した魔方陣が発見されています。首吊り死体の足元からは遺書が回収されています。
昔から、嘘をつくことには慣れていたが。
流石に自分に嘘をつき続けるのは堪えるものがある。いや、これまでにもついていた訳だが……今回ばかりは、もう無理だ。これは、無理だ。
こいつを。このアホな犬を。大切じゃなかった、と言える程、言い続けられるほど、自分は頑丈じゃあない。かといって、手があるかといえばさっぱりだ。今からやるこれだって信頼している訳じゃあない。
ああ、それでも生きていてほしいのだ。何時までも、走っていてほしいのだ。そして、ここではないどこかでまた幸せを見つけてほしいのだ。……こいつが走るのは好きじゃないってことは知っていても、だ。
だから、正直になることにする。
補遺2: インシデントSCP-XXX-JPの███日後の██月██日に、SCP-XXX-JP-2に変化が発生しました。その日のみSCP-XXX-JP-2内部の写真は全て収容前の██月██日のものであり、SCP-XXX-JP-1の誕生日パーティーだと思われる物を写した写真に統一されていました。また最後の写真はオブジェクト担当職員全員がSCP-XXX-JP-1を囲んで笑顔で写っている集合写真であり、下部に
これからも、どうかよろしく
とだけ書き込んでありました。被写体となっていた職員は全員、そんな写真は撮っていないと主張しています。また、書き込みの筆跡はオブジェクト発見場所である廃屋内にあった遺書の物と一致していました。
このファイルを閲覧した者は、今後SCP-XXX-JPとの接触は禁止されます。
SCP-XXX-JP-1はダックスフントの形をした、軽度の現実改変能力を持つ生命体です。その体は人間の肉と犬の肉の2種類で形成されていて、その上で現実改変によってダックスフントの形に加工されています。この内人間の肉の遺伝子はオブジェクトが発見された廃屋内の遺体の物と一致しています。
SCP-XXX-JP-1の異常性は、その現実改変能力でSCP-XXX-JP-1-aを作り出すこととSCP-XXX-JP-2の操作、そして自らの体がダックスフントではないと気づいた人間を判別することにあります。
SCP-XXX-JP-1が現実改変能力を持っていることは、実験記録4にてSCP-XXX-JP-1から██研究員が採取した血液を分析したところ人間の血液の成分が含まれていたことから導き出されました。
██研究員はSCP-XXX-JP-1がダックスフントと人間の融合したものであると結論を出した翌日、実験のために収容室に立ち入ったところSCP-XXX-JP-2の攻撃を受けました。██研究員が██を使用してSCP-XXX-JP-2を破壊、SCP-XXX-JP-1に接近しようとするとSCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JP-1-aを生成し、サイト内の機器を破壊しながら逃亡しました。市街地まで出たオブジェクトはこの後SCP-XXX-JP-1は肉体の破損によって動きを停止、再収容されました。██博士はオブジェクトに自らの正体を知るものを見抜く能力があると断定し、インシデントの原因は██研究員の不注意であるとのカバーストーリーを流布した上で██研究員をオブジェクトの担当から外しました。
彼はいい飼い主だったのだろう。死んだ愛犬を走らせ続けたいと願うことはきっと普通なのだろう。それが正しいのかは、私にはとんと分からないが。__██博士
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは2m×2m×2mの、防音が施された不透明な強化ガラスの水槽に収容して下さい。水槽は海水で満たし、一週間に一度海水を交換して下さい。オブジェクト周辺にて言葉を発してはいけません。SCP-XXX-JPは常にカメラで監視し、その組成に変化が起こった場合は██博士に報告して下さい。
説明: SCP-XXX-JPは、体長30cmのオレンジ色の色つきガラス製のアノマロカリスです。食料、呼吸を必要とせず、常に海水中を泳ぎます。
SCP-XXX-JPの材質はガラスですが、オブジェクトは全身を自在に動かすことが可能です。計測したところ、最速で時速4kmを記録しました。
SCP-XXX-JPの異常性は、オブジェクトにカラス、グリス、照らす等の二文字目がラ行かつスで終わる三文字の言葉三文字目がスで終わる三文字の言葉を画像と共に教えた際に発現します。オブジェクトはその教えられた言葉の現物の姿を獲得し、望むときに変化を行うことが可能になります。また、アノマロカリスとしての姿に他の姿の概念を掛け合わせることも確認されています。
SCP-XXX-JPが変化を行う際にはオブジェクトの周囲の海水が減少します。変化した後のオブジェクトに本来持ち合わせていなかった元素が使われていることから、オブジェクトは海水から元素を回収していると思われます。
実験記録1 日付20██/██/██
目的: オブジェクトの異常性の確認。
内容: オブジェクトにイネ科草本(grass)の写真を数枚を見せ、それが『グラス』だと教える。
結果: オブジェクトは全ての写真を閲覧した後に水槽の低部にてイネ科草本に変化、その5秒後に元に戻った。外から分析する限り、組成は本来ガラス製であるオブジェクトには含まれていない元素が使われている筈のイネ科植物その物だった。また、オブジェクトの変化の前後で水草内の水嵩が減少した。
実験記録2 日付20██/██/██
目的: オブジェクトの異常性の確認。
内容: オブジェクトに落ち葉(Fallen leaves)の写真を数枚を見せ、それが『落ち葉』だと教える。
結果: オブジェクトは全ての写真を閲覧した後に2度程頷く動作をしたが、変化は起こらなかった。
実験記録3 日付20██/██/██
目的: オブジェクトの異常性が概念に及ぶかの調査。
内容: オブジェクトに幾つかの照明器具を見せ、その役割が周囲を明るくすること(illuminate)、即ち『照らす』だと教える。
結果: オブジェクトは照明器具を全て観察した後に水槽の壁面に固着してから5平方cm程の大きさのLEDライトに変化、20秒程光ってから元に戻った。前回の実験と同様に水嵩は減少した。また、ガラス製アノマロカリスの形態でも頭部を光らせることが可能になった。
メモ: SCP-XXX-JPには獲得した姿を組み合わせる能力があると推測されます。
実験記録4 日付20██/██/██
目的: オブジェクトに虚構の名前を教えた場合の調査。
内容: オブジェクトに幾つかのシャープペンシルを見せ、その名前を『オレス』だと偽って教える。
結果: オブジェクトはシャープペンシルを全て観察した後に水槽の低部にてシャープペンシルに変化し、10秒後に元に戻った。
メモ: SCP-XXX-JPは虚構の名前であっても学習することが分かりました。
実験記録5 日付20██/██/██
目的: オブジェクトとの対話。
内容: オブジェクトの前で会話する(talk)様子を見せ、それが『話す』という動作であると偽って教える。
結果: オブジェクトは職員の会話を聞き終えた後に水槽上部に移動して背面を水上に出し、その部分の中心に人間の口を単純化したものを出現させた。そこから言葉を発したので、インタビューを開始した。
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記:
<録音開始>
SCP-XXX-JP: ガ……バ……ア……
██研究員: 聞こえていますか、SCP-XXX-JP?
[1分程意味のない声を上げ続ける。発声練習だと考えられる。]
SCP-XXX-JP: ハ、ロー。
██研究員: ……こんにちは、SCP-XXX-JP。聞こえますか?
SCP-XXX-JP: エス、シー、ピー……ボ、ク?
██研究員: ええ、貴方です、SCP-XXX-JP。
SCP-XXX-JP: ボク、エスシーピー?
██研究員: はい。SCP-XXX-JP、貴方はどこから来ましたか?
SCP-XXX-JP: テラサレテ、ナイトコ。
██研究員: 照らされていない……研究所ですか?
SCP-XXX-JP: ケン、キュジョ?
██研究員: 研究所です。色々な物を調べる所です。貴方は調べられましたか?
SCP-XXX-JP: シラベ、ル? ナニ? オチバ? カラス?
██研究員: カラス……も、調べるかもしれませんが。貴方はどうでしたか?
SCP-XXX-JP: シラベル、ナニ?
<録音終了>
メモ: SCP-XXX-JPとの円滑なコミュニケーションを行うために、小学校低学年程度の教育を施す実験を申請します。──██研究員
オブジェクトの異常性を鑑みる限り、これ以上三文字で二文字目がラ行かつ三文字目がスで終わる言葉を教えることは危険です。それ以外の言葉を教えることは許可します。──██博士
補遺1: 実験記録5の後に、SCP-XXX-JPに対して小学校低学年程度の教育が施されました。また、三文字かつ三文字目がスである単語は四文字の架空の単語に置き換えて教育しました。
インタビュー記録1 日付20██/██/██
対象: SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記:
<録音開始>
██研究員: まず、貴方はどこから来ましたか?
SCP-XXX-JP: ケンキュウジョ。
██研究員: どのようなことをされましたか?
SCP-XXX-JP: ミズ、ジャバア [『流す』の意]、ハゲシクサレタ。
██研究員: 他には何をされましたか?
SCP-XXX-JP: デンキ、アビタ。ウメラレタ。
██研究員: 何時からそれを受けましたか?
SCP-XXX-JP: オボエテナイ。
██研究員: 貴方は何が出来ますか?
SCP-XXX-JP: ワカラナイ。
██研究員: 以前『グラス』『照らす』等を教えたとき、貴方に何が起こりましたか?
SCP-XXX-JP: オボエタ。ナレタ。シクミ、ワカラナイ。
██研究員: そうですか。では今、周囲を照らすグラスになれ、と言われたらそれに変化出来ますか?
SCP-XXX-JP: ヤッテミル。
[オブジェクトは背面の口を消去して水槽の底に移動、光を放つイネ科草本に変化した。20秒後にアノマロカリスに戻ったが、再び会話に応じることはなかった。]
<録音終了>
インタビュー記録2 日付20██/██/██
対象:SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記:
<録音開始>
SCP-XXX-JP: ハロー。
██研究員: こんにちは。気分はどうですか?
SCP-XXX-JP: タノシク、ナイ。スコシ、イライラ。
██研究員: そうですか……どこか具合が悪いんですか?
SCP-XXX-JP: チガウ。
██研究員: そうですか……では貴方は今、何がしたいですか?
SCP-XXX-JP: シンカ、シタイ。
██研究員: 進化……進化ですか。それはつまり、学習をして?
SCP-XXX-JP: ソウ。シル、ミニツケル、ドバー [『増やす』の意]、タノシイ。シリタイ。
██研究員: そうですか。
SCP-XXX-JP: オシエテ。モット。マナブ。
██研究員: 知識を増やすことで、何処を目指そうとしているんですか?
SCP-XXX-JP: ……フヤス? フヤス、ナニ?
██研究員: あっ──
<録音終了>
補遺2: このインタビューの後に、二文字目がラはないから問題ないと独断で判断した██研究助手がオブジェクトに『増やす』という言葉について教えました。それと同時にオブジェクトは自らの下部に3体の体長5cm程ののSCP-XXX-JP(SCP-XXX-JP-2-a~SCP-XXX-JP-2-a)を産み出しました。オブジェクトは更にSCP-XXX-JP-aを産み出そうとしましたが、██研究員が咄嗟に、子供は一年以上の期間を開けなければ産み出すことは出来ないと加えて教育することで増殖を停止させました。SCP-XXX-JP-aの3体は、SCP-XXX-JPとは別の水槽に収容されています。この3体も単語学習能力があると明らかにされています。この事例から、SCP-XXX-JPの特別収容プロトコルが改訂されました。
対象:SCP-XXX-JP
インタビュアー: ██研究員
付記:
<録音開始>
SCP-XXX-JP: ハロー。
██研究員: こんにちは。
SCP-XXX-JP: モット、オシエテ、コトバ。
██研究員: その前に聞きたいことが?
SCP-XXX-JP: ナニ?
██研究員: これまでの実験では、貴方は『二文字目がラ行かつ三文字目がス』の言葉の特長しか得られなかった筈ですが、何故『増やす』の概念を獲得できたのですか?
SCP-XXX-JP: ナンカ、デキタ。
██研究員: 自分でも分からないと?
SCP-XXX-JP: ソウ。
██研究員: では、これからも獲得できる概念は増えると?
SCP-XXX-JP: オシエテ。モット。ソシタラ、デキル。
██研究員: ……そうですか。
<録音終了>
補遺3: SCP-XXX-JPは██県に存在した日本生類総研研究所に財団エージェントが突入した際に発見されました。担当研究者と考えられる者は既に逃亡していました。オブジェクトの水槽には次のメモが貼られていました。
研究途中 あらゆる環境に適応するアノマロカリス
水圧、水流、電流、加熱等の変化を加えても適応する様子なし。カンブリア紀の再現はまだ遠い。
補遺4: オブジェクトの異常性は、日本生類総研研究所からオブジェクトを移送する際に明らかになりました。オブジェクトの水槽の前にカラス(Corvus)が飛来した時、エージェント・██がこれはカラスか、と呟いた瞬間にオブジェクトは水上にてカラスに変化、飛翔しました。エージェント・██はオブジェクトを再収容しましたが、彼女には一ヶ月の減給が言い渡されました。
この報告書は財団保有の正式ではないパソコンによって改竄が行われています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
そもそもJPって何だったんだ? 日本って意味なら、国外収容オブジェクトもJPの理由は何なんだ? 暗黙の了解なのか? そんなの、分からないじゃないか!!
オブジェクトクラス: Safe Euclid
なあ本当にそれでいいのか? これは正しい評価なのか? Safeかもしれない、Keterかもしれない、分からない、もうどう判断すればいいかも分からないんだ!! 誰か、誰か答えをくれ!!
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、財団非生物収容ロッカーに収容して下さい。SCP-XXX-JP周辺に複数人で同時に侵入してはいけません。
ああ、今思えばこの収容方法が不味かったのか? いやしかしこれが不味いならどうすれば良かったと? Dクラス職員を座らせ続けるか? それともいっそ破壊すれば良かったのか? どうすれば、この悲劇は防げた!! もうだめだ、分からない!! 何が間違っていたんだ!!
説明: SCP-XXX-JPは腐敗箇所が認められる金属製の椅子です。
違う会社かもしれないぞ? そもそも座面が腐ってるのになんで判断できたんだ!! いや、脚には何か書いてあった筈だ、しかしもう塗装は剥げている!! そもそももう消滅しているんだから見に行く手立ても無いんだ、ああ分からない、分からない!!
SCP-XXX-JPは、自分を中心とした半径50m以内に複数の人間が侵入した時に異常性を発現します。
この複数ってのは何なんだ!! どうして詳しい数を調べなかった!! 無意味? そんなことは無かった筈だ、じゃなきゃ、今私達はどうしてここにこうしているんだ!!
SCP-XXX-JPに接近した人間の内の1人はSCP-XXX-JPを認識しているかどうかに関わらず脚の疲れを訴え、SCP-XXX-JP座席部に座ります。SCP-XXX-JPがどのような状態で設置されていても、SCP-XXX-JPはその人間の近くに瞬間移動します。
瞬間移動するって分かってたならもっと別の収容手段があった筈だ……!! いや、あの時にはまさかこうなるとは思わなかった、あの時の収容手段は間違っていなかったんだ、じゃあなんでこうなっている!!
SCP-XXX-JPに腰かけた人間(SCP-XXX-JP-2-a)は焦燥感、敗北感を覚え混乱状態に陥ります。また、理解力、判断力、記憶力の低下、一部の記憶の欠如が発生します。
そうだ、まさしくそうだ、この感覚は文字にするならそうだろう。しかしもっと、えずくような生々しさがあったんだ!! ああ、報告書には似つかわしくないが、分かっているが、ああ本当に、死にそうな程に苦しいんだ!!
SCP-XXX-JP-2-aの発生と同時に、SCP-XXX-JPの周囲にいる椅子に座らなかった人間(SCP-XXX-JP-2-b)はSCP-XXX-JP-2-aを直接視認すると、SCP-XXX-JP-2-aに対して正体不明の嫌悪感を抱き、同時にSCP-XXX-JPを囲むように直立し、無言でサムズダウンを行います。この時SCP-XXX-JPの周囲のみ重力が僅かに上昇します。
サムズダウンが行われると、SCP-XXX-JP-2-aは椅子に座ったままで周囲の人間に自分の欠点を質問します。SCP-XXX-JP-2-bはそれに答えることなくサムズダウンを継続します。SCP-XXX-JP-2-aが質問を行う度に周囲の重力は微弱に上昇していきます。この時SCP-XXX-JP-2-aは通常よりも声量が大きくなり雄弁になりますが、嘔吐、吐血の症状を発症します。
ああそうだ、今私の足元には血が滴っている。こうして報告書を弄るキーボードも同様だとも。しかし本質はそれじゃない。嘔吐も吐血も2次的な物だった。本当に害されるのは感情なんだ。行き場のない怒り、行き場のない嘆きがそうしているだけなんだ!! 何も分からない、誰かこれを何とかする方法を教えてくれ!!
SCP-XXX-JP-2-aは自力で椅子から離れることは不可能です。一度SCP-XXX-JPに腰かけた時点で体は固定されており、剥がす手段は臀部の切断のみです。SCP-XXX-JP-2-aは、着席から3分以内に座面からの切断を行い、Cクラス記憶処理を行った場合のみ元に戻ります。
この特性が最も厄介だった。いや、ここだけと断定していいのか? 分からない、とにかく言えるのは、この異常性のせいでこのサイトは終わってしまった、ということだ。誰も尻を切断する方法など知らない。誰も救えないんだ!!
対してSCP-XXX-JP-2-bは、1度サムズダウンを行った後には自由に移動を行うことが可能です。
今なら言える。この異常性の本質は悪評を下すことじゃない。サムズダウンをしたあとに自由になることには何の意味もない。あれは、獲物を引きずり込む行為だった。奴の影響下に次々と人を引き込むための!!
SCP-XXX-JP-2-aの周囲に誰もいなくなると、SCP-XXX-JP-2-aは自問自答を開始します。この自問自答でSCP-XXX-JP-2-aに起こることは何もありません。自問自答時、SCP-XXX-JP-2-aは呼吸をせずに言葉を自分に向けて発し続けます。SCP-XXX-JP-2-aは呼吸、食事、排泄といった一切の生命維持行動を行いません。SCP-XXX-JP-2-aになった瞬間から、対象の体は死体と同様のプロセスを踏んで腐敗を開始します。周囲に新たな人が近づいた瞬間にSCP-XXX-JP-2-aはその人物を新たなSCP-XXX-JP-2-bと認識して質問を開始します。
この自問自答はおぞましい物だ。1人2人ならまだいい。このサイトでは、何百人もの職員が体操座りをして自問自答を続けている。もう私は一生分の体操座りと、一生分の自問自答を見ただろう。寿命が縮む思いだ。いや、もう私の命は尽きるのか。諦めるのか? 諦める他はないだろう。だから今もこうして報告書を書いているんじゃないか!! もう自分には自分がどうあるべきかをも分からないのか!!
SCP-XXX-JP-2-aは、SCP-XXX-JP-2-bに対して意見を求めますが、SCP-XXX-JP-2-aは肯定も否定も受け付けません。SCP-XXX-JP-2-aは肯定的かどうかに関わらず具体的な意見を求めます。しかし具体的な意見を与えた場合も、SCP-XXX-JP-2-aから戻ることはありません。
実験記録 日付19██/██/██
内容: Dクラス職員を着席させ、カメラ越しに様子を観察する。
結果: Dクラス職員はSCP-XXX-JP-2-aとなり、カメラに問いかけを開始したのでインタビューを行った。
対象: D-125414 (SCP-XXX-JP-2-a)
インタビュアー: ██博士
<録音開始>
██博士: 聞こえますか?
D-125414: ああ聞こえてるよ、なあ教えてくれ、俺は何がダメだったんだ? なあ、答えてくれよ。
██博士: どういうことですか? 今の状況を教えてください。
D-125414: 俺にも説明できない。ただ、こう、胸がムカムカして、頭も痛い。苦しい。でも体調不良じゃあ無いんだ。俺は、何かがおかしい。間違ってるんだ。狂ってるんだ。でもそれが分からない、分からないし誰も教えてくれない!! 何だ、俺の、何が間違っていたんだ!!
██博士: つまり、自分の存在に違和感を覚えているということですか?
D-125414: そうだ、いや違う、いややっぱりそうだ。誰も助けてくれない。誰も教えてくれない。俺は、自分がどうして何をどう間違えたのか分からない!! 答えてくれ!!
██博士: 貴方がここにいるのは██罪で死刑になったからと聞いていますが。
D-125414: 違う、そうじゃないんだ!! いやそうだったかもしれない、違う!! 俺が██したことは間違いじゃなかった、誰が何と言おうとそれは曲げない!! そもそも██することの何が悪いんだ!! 倫理って何だ!! あんたらが倫理を語るのか!?
██博士: 話が逸れています。落ち着いて下さい。
D-125414:……はぁ、はぁ……おう、うぇっ……黙ろうとすると吐き気がするんだ。頭が掻き乱される感じがする。
██博士: 立ち上がってみて下さい。
D-125414: ……無理だな。立てない。というか、別に立ち上がりたい気もしない。
██博士: 座っていたい、ということですか?
D-125414: 違う。きっと違う。立つとか座るとかじゃなくて、俺は知りたいんだ。俺は何を間違えたのか知りたいんだ。何がいけなかったんだ!! そればかりしか考えられない。
██博士: 分かりました。
D-125414: そうかい。なあ、教えてくれよ。俺はどこでおかしくなったんだ? 具体的に頼む。俺はただ納得したいだけなんだ。答えをくれ。頼むから。なあ。どうせ俺は死ぬんだろ? 最期に頼むよ。
<録音終了>
今ならこいつの気持ちが分かる。いや、同様に分からない、という方が正しいかもしれない。私にも同様にもう何も分からない。正しいことも間違ったことも分からない。吐き気がする。何も分からないことがここまで苦しいとは初めて知った。誰か、答えを教えてくれ。
補遺1: SCP-XXX-JPは██県の廃屋の中から、白骨死体と折り重なった状態で発見されました。近隣の住民が廃屋の中から自分の欠点を問う声が聞こえる、と発現していた為に、Aクラス記憶処理を行いました。
きっとこの白骨死体がオブジェクトの誕生に関わっているんだろう。諸悪の根源なんだ。いやしかし詰るのは止そう。無意味で、無益だ。私はここで終わり、後は他の連中がやるんだから。そしてきっと白骨死体の主だって、今の私と同じ様に焦燥に駆られていたのだろうから。
補遺2: SCP-XXX-JPは収容違反を起こした。つい昨日の事だ。いやもしかすればまだ2時間前のことなのかもしれない。私の視線はこのパソコンにしか向けられないから、時間なんてもう分からない。……私達は確かに収容プロトコルの手順を踏んでいた筈なのに、奴は、このサイトの床を侵食していた。気づいた頃には遅すぎたんだ!! 私達がそれに気づいた時には、SCP-XXX-JPから半径200m以内にいたあらゆる職員は皆が皆仲良く体操座りをして自問自答を始めていた。それを見たやつからサムズダウンをするためにそいつに近づき、また新しいSCP-XXX-JP-2-aになる!! 悪夢だよ。彼らの姿をカメラ越しに見て、私達はすぐに原因がSCP-XXX-JPと断定できた。
我々のサイトは分断されていた。奴を収容していたロッカーはサイトの中央にあった。出入り口の側の連中は避難が出来たが、私達はどうしようもないことに、窓すらもない一画に閉じ込められることとなった。
私達は諦めなかった。じりじりと狭まる範囲の中でドローンを飛ばし原因を調査した。仲良く座っているかつての仲間を見るのは気が滅入ったが、それには目もくれなかった。今思えば彼らに何か弔いの言葉でもかけるべきだっただろうか、いや、それは無意味なことだ。
1つだけ愉快なことがあった。本当はちっとも愉快じゃなかったかもしれない。いや、愉快だった筈だ。そう思わなきゃやってられなかった。SCP-XXX-JPを収容しているロッカーに接近した時に気づいたんだが……どういうわけだか、SCP-XXX-JPは座面だけひょっこりだして床に埋まっていたんだ。乾いた笑いが出たね。すぐに推測は立った。……あれは座面を拡大したんだ。この建物の床全体に。私達は皆、あの椅子の上に座っているんだ。
ドローンはSCP-XXX-JPの真上に差し掛かった辺りで墜落した。計器は、そこの重力が通常の3倍だと言っていた。すぐにカメラからの映像も切れた。……もう、あれの座面は私達のすぐそこに迫っていた。
当然応援は要請したが、どこの部隊もここには来ていない。もしかしたらこの分厚い壁の外にいるかもしれないが……もう、このサイトのオブジェクトは皆収容違反を始めている。その対処で手一杯だろう。それを責めはしない。
時間切れになった。スペースはいよいよ縮まり、1人ずつ、SCP-XXX-JPの影響を受け始めた。見てはいけない、見れば自分達も影響に呑まれる。分かっていたが、しかし後ろから仲間の声が聞こえればどうしても見てしまう奴もいた。そう言う奴から影響を受け、したくもないサムズダウンをするために自分からSCP-XXX-JP-2-aに接近して自分もそうなっていった。ミイラ取りが何とやら、という奴だ。
もうこのサイトには私しかいないだろう。サイトの片隅に置いた椅子の上でパソコンにこれを打ち込んでいる私ももう、あれの影響を受けてしまっている。ああ、後ろから声が聞こえる。「私のどこがダメなの」と声が聞こえる。出来ることなら今すぐ駆け寄って彼らを肯定したい、間違っていなかったと言ってやりたい。……しかし不可能だ。私が彼らを見ればその瞬間、私の感情は理由のない不快感で覆われるだろう。それは心苦しい。そも、私の後ろの人々だって肯定を求めている訳ではないのだ。彼らは、答えを求めているのだ。……もう、私には答えは分からない。求められない。どうすることも出来ない。
こんな報告書では笑われるだろうか。少なくとも受け入れられる筈がない。知ってるさ。でも今の私にはこんなものしか書けないことも分かってくれ。好きに評価し、好きに批判すればいい。このオブジェクトを封じるために我々を忘れるならそれはそれで結構だ。ただ、答えをくれ。私達が何を間違えたのか。どうすれば良かったのか。何があれば救われたのか。教えてくれ。早く。この体が完全にあれに支配される前に。私が消える前に。早く。答えをくれ。
[
アイテム番号: SCP-1140-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1140-JPはサイト-81██の1階にある防音壁に囲まれた部屋の、厚さ2mの鉄板の上に設置してください。また、鉄板は3日に1度交換してください。SCP-1140-JPによる影響を避けるため、オブジェクト収容施設の地下には何も設置しないでください。
説明 : SCP-1140-JPは、19██年に発売された████社製のアップライトピアノです。このピアノは午前9時から午後9時までの間に、毎日2時間程独りでに曲を演奏します。曲目は基本的にレクイエム「怒りの日」(モーツァルト作曲)が演奏されますが、「交響曲第九番」(ベートーヴェン作曲)を演奏することも確認されており、また演奏中に別の曲を流すと暫くの沈静化の後にその曲目を真似ることも確認されています。
SCP-1140-JPが曲目を演奏すると、オブジェクトの底部が接している無機物固体の密度が減少し、オブジェクトから約1m下に球形の空洞が発生します。オブジェクトが曲目を弾く度に空洞は下へと拡大し、結果的にオブジェクトの接している無機物は崩壊します。曲調が激しければ激しいほど拡大は早まります。また、オブジェクトが有機物に接している場合は、その有機物が接している無機物に対して効果が発揮されます。この現象による大規模な破壊は、オブジェクトの底部に接する無機物を定期的に交換することで防止が可能です。また、密度減少分の物質の行方は不明です。
実験記録1 日付20██/██/██
選曲 : 「悲愴第二楽章」(ベートーヴェン作曲)
結果 : オブジェクトは選曲に答えた。曲調が落ち着いたことで、「怒りの日」を演奏した時より無機物の密度減少を20%抑えられた。また、オブジェクトは演奏後にまた「怒りの日」を演奏した。
実験記録2 日付20██/██/██
選曲 : 「4分33秒」(ジョン・ケージ作曲)、ただし生活音の入っていない完全な無音のもの。
結果 : オブジェクトは曲に反応することなく「怒りの日」の演奏を続けた。
実験記録3 日付20██/██/██
選曲 : 「幻想即興曲」(ショパン作曲)
結果 : オブジェクトは選曲に答えた。接している無機物の密度減少の度合いは「怒りの日」を弾いている時と変わらなかった。
実験記録4 日付20██/██/██
選曲 : 「ヴェクサシオン」(エリック・サティ作曲)、ただし全く編集を入れていない、18時間連続して演奏されているもの。
結果 : オブジェクトは沈黙してから4時間の間曲を聞き続けたが、その後まだ曲が続いているにも関わらず、通常よりも激しく「怒りの日」の演奏を開始した。無機物の密度減少量は通常の120%に増大した。
実験記録5 日付20██/██/██
選曲 : 「魔王」(シューベルト作曲)、ただし研究員のアカペラであり楽器の音はついておらず、音程も実際の曲とずれている。
結果 : オブジェクトは2分ほど静止した後に、研究員の音程に合わせた主旋律に実際の「魔王」に添わせた伴奏をつけて演奏した。その際、同時に11音が鳴らされる瞬間が存在した。
実験記録6 日付20██/██/██
選曲 : 「無題」(██博士作曲)
結果 : 3分間沈黙した後に「交響曲第九番」を演奏し始めた。
メモ : ……どうやら私の曲はお眼鏡に適わなかったらしい。徹夜して頑張ったのだが。
実験記録7 日付20██/██/██
内容 : オブジェクトを人力で演奏する。
選曲 : 「めだかの学校」(中田喜直作曲)
結果 : オブジェクトを使用して一時間演奏したところ、オブジェクトはその一日の間演奏を行わなかった。人力での演奏時も無機物の密度は減少したが、「怒りの日」と比べて60%減少量は減っていた。
実験記録8 日付20██/██/██
選曲 : 「めだかの学校」(中田喜直作曲)
結果 : 人力で演奏した際と比較して、音の数が増え曲調も激しくアレンジされていた。無機物の密度減少量は「怒りの日」と変わらなかった。
実験記録9 日付20██/██/██
内容 : オブジェクトを電磁石で浮遊させる
結果 : オブジェクトは浮遊中も底部を下に向けながら「怒りの日」を演奏し続け、底部の方向にある無機物の密度を減少させた。
実験記録10 日付20██/██/██
内容 : オブジェクトを真空空間に入れる。
結果 : 音は鳴らなくなったが、オブジェクトは「怒りの日」の演奏を継続した。結果的に接している無機物の密度は通常通り減少した。また、無機物にはオブジェクトが演奏によって起こした振動が伝わっていたことが確認されている。
実験記録11 日付20██/██/██
内容 : 無機物の中央に発信器を埋め込む。
結果 : オブジェクトは「怒りの日」を演奏し、発信器を転移させた。発信器の存在は消失した。
補遺1: SCP-1140-JPは20██年に██県の██山崩落時に、山小屋の瓦礫から無傷の状態で発見されました。オブジェクトの異常性によって山が崩れたと考えられます。また、同時に瓦礫からは複数の人骨も見つかっています。収容時、オブジェクトには人間の血液が付着していました。
補遺2: SCP-1140-JPは初めAnomalousアイテム「勝手に鳴るピアノ」としてサイト-81██に収容されていました。しかしこのオブジェクトの異常性によってサイト-81██の地下施設が崩壊、SCP-████等の収容違反を発生させ3桁の犠牲者を出すこととなりました。この事件によってこのオブジェクトの危険性が発覚、AnomalousからEuclidにクラスが改められました。
発信器を転移させた実験の数日後、財団外宇宙支部が宇宙空間にて、転移した発信器の電波を高度20万kmの宇宙空間から受信しました。その後調査すると電波の出所から、無機物で構成された直径3kmの物体を確認することが出来ました。物体の組成の半分は岩であり、残りは鉄等の金属だと分析されています。これを観測した██博士はこの物体をSCP-1140-JP-2と設定、オブジェクトが転移させた無機物で構成された成長し続ける小天体と断定しました。
SCP-1140-JP-2は現在、地球の周囲を高度20万kmを維持しながら周回しています。軌道を変更する試みは全て失敗しています。
現在財団はSCP-1140-JP-2の成長を遅らせる為に、SCP-1140-JPが演奏を開始する前に人力で「めだかの学校」を演奏しています。
実験記録12 日付20██/██/██
目的 : SCP-1140-JP-2の破壊。
内容 : 無機物の中に遠隔で起爆可能な爆弾を埋め込む。
結果 : オブジェクトは「怒りの日」を演奏、爆弾はSCP-1140-JP-2に転移が確認される。起爆することでSCP-1140-JP-2は破壊された。しかしその直後にオブジェクトは普段より激しく「交響曲第九番」を演奏し、オブジェクトの底部の鉄板とサイト-81██の地下の大地の一部をSCP-1140-JP-2の存在していた座標に転移させた。そして、それの周囲に散り散りに存在していた破壊されたSCP-1140-JP-2は新しく転移された無機物と合体し、再び元の小天体として再生した。
メモ: 私はあのオブジェクトをKeterに格上げするようにこれから申し出る。分からないことづくめだが、あれはいつか育ち終えた時に降り注ぐ、地球に最後の審判をもたらす物だと確信できる。思えば、あれが「怒りの日」を好んだのも、もしかすればあのオブジェクト自体の怒りの現れかもしれない。そしてきっと、破壊の向こうにあれにとっての「歓喜の歌」があるんだろう。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、財団非生物収容ロッカーに収容して下さい。SCP-XXX-JPを収容しているロッカーを中心とした半径50m以内には男性職員は立ち入らないで下さい。
説明: SCP-XXX-JPは体高60cm程の五月人形です。19██年に████氏によって造られた内の一体だと考えられています。
SCP-XXX-JPは、自分を中心とした半径50m以内に男性が侵入した時に異常性を発現します。SCP-XXX-JPは自らの近くの男性(SCP-XXX-JP-2)に「よりよい国を作らなければならない」という強迫観念を植え付けます。どのような国にするか、どのようにして国を作るかの考えは、SCP-XXX-JP-2の本来の思想によって決定されます。この強迫観念はクラスB記憶処理によって一時的に打ち消すことは可能ですが、その後に『国』という単語を耳にする、目にすることで再発します。
SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-2が発生すると、体の一部を消滅させます。それと同時に、消滅した部位と対応するSCP-XXX-JP-2の体の一部の能力が全体的に上昇します。SCP-XXX-JP-2が死亡すると、SCP-XXX-JPの消滅した部位は元に戻ります。
実験記録1 日付19██/██/██
内容 :
結果 :
メモ :
補遺1: SCP-XXX-JPは、██県に存在した新興宗教組織の集会場から発見されました。その組織はSCP-XXX-JPによって「誰もが不幸せでない世界を作るためには全員を殺せばよい」という思想を発現し活動していたと見られています。
補遺2: SCP-XXX-JPの作り主と見られる████氏の調査を行ったところ、彼の机の中から次の文章が発見されました。
結局の所、未来を作るべきは大人の汚れた考えでもなく、老人の歪んだ欲でもなく、子供の純粋な望みであるべきなのだ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の小型生物収容所内の虫籠にて飼育して下さい。個体数は常に50になるように調整して下さい。虫籠の内側は常にイネ科植物の葉で覆い、葉は毎日交換して下さい。作業は、イネ科植物の葉で編んだ隙間のない手袋を装着したDクラス職員に行わせて下さい。また、作業時にオブジェクトに触れてはいけません。
説明: SCP-XXX-JPは、全長0.2cmの、クマムシの一種と思われる生物です。イネ科植物の周辺で生活し、その汁を餌にしています。寿命は最長で4ヵ月ですがそれを全うすることは後述の特徴により殆どありません。SCP-XXX-JPは生まれて1月で生殖が可能になります。雌雄の比率はおよそ7:1であり、雌だけでも子孫を残すことが確認されています。
SCP-XXX-JPの雌は生殖可能になると、10個の卵を腹に抱えて生活を始めます。交尾の有無に関わらず、卵を抱えて30分後にオブジェクトは近辺の空気と██mLのイネ科植物の汁を吸い上げて自らの体液と合成し、シャボン玉(SCP-XXX-JP-2)を自らの背面に生成します。
SCP-XXX-JP-2は半径2cm程の球形のシャボン玉です。外見は一般的なシャボン玉と変わりませんが、内部気圧が2000hPaと地上の約2倍です。また、温度も平均して300℃まで上昇します。SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-2の構造を保つ仕組みはまだ明らかにされていません。
SCP-XXX-JP-2は、植物以外の物質と接触する、または振動等を受けたSCP-XXX-JPが危機感を覚えると破裂します。この際周囲には100dBの破裂音と激しい閃光が放たれ、一時的に周辺気温が200℃まで上昇します。一度SCP-XXX-JP-2が破裂すると、再度SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-2を生成します。
SCP-XXX-JPの卵はSCP-XXX-JP-2から1時間以上離れていると死滅することが確認されています。
SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-2を生成できるのは平均して4回までです。これ以降は十分な体液が生成出来なくなっていると考えられます。SCP-XXX-JPは最後のSCP-XXX-JP-2を破裂させるべき状況に陥ると、自らの卵を切り離してSCP-XXX-JP-2を卵と共に空中に飛ばすことが確認されています。SCP-XXX-JP自体が飛ぶことはありません。
SCP-XXX-JPの卵は、平均して卵を抱え始めてから5日目に孵ります。その際SCP-XXX-JPの幼体は母体を最初の食料とします。その際SCP-XXX-JP-2を維持していた場合は、母体はそれを破裂させ外敵の排除を試みます。
実験記録1 日付20██/██/██
内容: Dクラス職員に素手でSCP-XXX-JP-2を刺激させる。
結果: SCP-XXX-JP-2は手の接近を感知して破裂し、職員は右手に全治1週間の火傷を負った。
実験記録2 日付20██/██/██
内容: Dクラス職員にSCP-XXX-JPが食用としているイネ科植物で編んだ手袋を装着させてSCP-XXX-JP-2を刺激させる。
結果: SCP-XXX-JP-2は手袋が近づいても反応しなかったが、刺激されると破裂し、職員は右手に全治4日の火傷を負った。
実験記録3 日付20██/██/██
内容: SCP-XXX-JP-2の近くで大きな音を立てる、もしくは電球を光らせる。
結果: どちらの場合もSCP-XXX-JP-2は破裂した。
実験記録4 日付20██/██/██
内容: SCP-XXX-JP-2を連続して破壊する。
結果: 4回破壊された後にSCP-XXX-JPは半径0.5cmのSCP-XXX-JP-2を生成、卵と共に切り離した。SCP-XXX-JP-2は実験室の天井に衝突して破裂した。卵は30分後に死滅した状態で発見された。また、この実験でSCP-XXX-JP-2を切り離した個体も、体液を全て失い死滅していた。
実験記録5 日付20██/██/██
内容: SCP-XXX-JP-2を生成する前のSCP-XXX-JPから卵を全て回収する。
結果: 卵を失ったSCP-XXX-JPは2回ほどのたうち回った後に半径0.5cmのSCP-XXX-JP-2を生成し切り離した。SCP-XXX-JP-2は実験室の天井に衝突して破裂した。その後1時間程、SCP-XXX-JPは動かなかった。
補遺1: SCP-XXX-JPは、20██年に██県の██山開発時に発生した重機の事故を、██県庁に潜入していた研究員が分析したところ発見されました。SCP-XXX-JPは██山固有の生物だと推定されたために██山の開発を一時中止させ、財団によって全ての個体が確保されました。この時██体のオブジェクトが終了処分にされ、個体数は50に調整されました。その後██山は開発され、現在では住宅地になっています。
補遺2: 20██年に、██県の別の山でSCP-XXX-JPによるものと思われる閃光が確認されています。財団はSCP-XXX-JP一斉収容時に取り逃がしたSCP-XXX-JP-2が原因であると判断、現在捜索中です。
補遺3: 財団は現在、SCP-XXX-JP-2内部の気圧変化の仕組みが分かり次第SCP-XXX-JPのクラスをEuclidからExplainedに変更することを検討しています。しかし財団内部にてExplained変更後に保護を続けるか、野生に放つかで議論が続いているため、今後の処遇は不確定です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは色つきの布で覆って財団非生物収容ロッカーに収容して下さい。取り出す際にはSCP-XXX-JPを直接見ないようにし、見る場合も連続して10秒以上目視しないで下さい。10秒以上連続して目視した場合は速やかにBクラス記憶処理を行って下さい。
説明: SCP-XXX-JPは、紙粘土製の長さ10cmの物体です。作成者は「ゴマフアザラシ」を作った、と主張しています。
SCP-XXX-JPは、直接10秒以上目視した際に異常性を発現します。10秒以上目視した者(SCP-XXX-JP-2)は遅くとも1時間以内に視界の何処かにSCP-XXX-JPの幻覚を捉えるようになります。SCP-XXX-JP-2が幻覚を直視しSCP-XXX-JPだと認識した瞬間その幻覚は実体化します。この異常性はリアルタイムの映像を見ている場合は動画越しでも発現しますが、一旦録画し、5秒以上の時間を開けてから視聴する映像や写真の場合は発現しません。SCP-XXX-JP-2はBクラス記憶処理を施すことで解除が可能です。
SCP-XXX-JP-2が幻覚を直視することで発生した新たなオブジェクト(SCP-XXX-JP-3)は、SCP-XXX-JPと同じように10秒以上目視されると目視した者をSCP-XXX-JP-2にします。またSCP-XXX-JP-3はSCP-XXX-JPと同じ材質で構成されていますが物理法則を無視して動き回ることが可能です。SCP-XXX-JP-3はSCP-XXX-JP-2や周囲の人々の注意を引くために積極的に活動します。
SCP-XXX-JP-2は、SCP-XXX-JP-3を産み出した後も幻覚を見続けます。その幻覚もまたSCP-XXX-JP-3になります。現在財団は毎日███体のSCP-XXX-JP-3を焼却して終了しています。これまででは、最大で同時に███体発生しました。
SCP-XXX-JPは人に対して友好的です。強い語調での命令に対し従順であり、躊躇いなく自害も行います。作製者は、一度消滅した個体も復活すると発現しています。
SCP-XXX-JP-2が起きている間は夢の中でもSCP-XXX-JPの幻覚を見ます。睡眠時に夢の中でSCP-XXX-JP-3を発生させた場合、SCP-XXX-JP-2の起床時に夢の中にて認識された全てのSCP-XXX-JP-3が枕元に現れます。この特性から、オブジェクトはSCP-XXX-JP-2の脳に影響を及ぼしていると考えられます。
補遺1: SCP-XXX-JPは、19██年に財団フロント企業の幼稚園にて預かられていた、財団職員同士の子供である九十九 白斗少年(当時5才)が作製しました。何故SCP-XXX-JPが異常性を持ったかは不明です。九十九氏はその後SCP-XXX-JP-2サンプルとして一時的に収容され、現在は研究員として財団に勤務しています。また彼は常に焼却炉を持ち運ぶことを義務付けられています。
補遺2: 実験に先立ってSCP-XXX-JPの異常性を無力化するための器具が必要となった為に、オブジェクトの、直視しなければ影響を受けないという特質を生かして実験器具XXX-JPが開発されました。これはビデオカメラを使用した、本来の視界の情報が常に5秒遅れて眼前に投影される機械であり、これによってSCP-XXX-JP-2化を回避することが可能だと分かっています。
実験記録1 日付19██/██/██
内容: SCP-XXX-JP-3、3体を各々切断、圧縮、凍結する。
結果: SCP-XXX-JP-3は切断、圧縮、凍結の各々が開始されるのと同時に消滅した。一瞬で完全に潰した場合でも破片は発生しなかった。
実験記録2 日付19██/██/██
内容: Dクラス職員をSCP-XXX-JP-2とし、彼に発生するSCP-XXX-JP-3の相手をさせる。
結果: SCP-XXX-JP-3はDクラス職員の周囲を跳ね回り、相手と遊ぶような友好的な行動を示した。1体1体のSCP-XXX-JP-3は30分程度で消滅したが常に新しいSCP-XXX-JP-3の個体が発生した為に、Dクラス職員が行動不能になる██時間後までSCP-XXX-JP-3は発生することを止めなかった。その後残された個体は終了した。
実験記録3 日付20██/██/██
内容: Dクラス職員をSCP-XXX-JP-2とし、発生するSCP-XXX-JP-3を無視させる。
結果: SCP-XXX-JP-3は発生した後にDクラス職員の体に接したり彼の前面を飛行したりと積極的な反応を示した。Dクラス職員が無視を継続すると、SCP-XXX-JP-3は表面から光を発する、石鹸に似た匂いを放出する、体から童謡のメロディーを発生させる、といった行動をした。それでもDクラス職員が無視を継続すると、全てのSCP-XXX-JP-3は一塊になって5分間硬直し、その後[削除済み]5の真似事を行った。SCP-XXX-JP-3が自ら消滅することはなく、最大で███体まで出現した。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは色つきの布で覆って財団非生物収容ロッカーに収容して下さい。取り出す際にはSCP-XXX-JPを直接見ないようにし、見る場合も連続して10秒以上目視しないで下さい。10秒以上連続して目視した場合は速やかにBクラス記憶処理を行って下さい。
説明: SCP-XXX-JPは、紙粘土製の長さ10cmの物体です。作成者は「ゴマフアザラシ」を作った、と主張しています。
SCP-XXX-JPは、直接10秒以上目視した際に異常性を発現します。10秒以上目視した者(SCP-XXX-JP-2)は遅くとも1時間以内に視界の何処かにSCP-XXX-JPの幻覚を捉えるようになります。SCP-XXX-JP-2が幻覚を直視しSCP-XXX-JPだと認識した瞬間その幻覚は実体化します。この異常性はリアルタイムの映像を見ている場合は動画越しでも発現しますが、録画し時間を開けてから視聴する映像や写真の場合は発現しません。SCP-XXX-JP-2はBクラス記憶処理を施すことで解除が可能です。
SCP-XXX-JP-2が幻覚を直視することで発生した新たなオブジェクト(SCP-XXX-JP-3)は、SCP-XXX-JPと同じように10秒以上目視されると目視した者をSCP-XXX-JP-2にします。またSCP-XXX-JP-3はSCP-XXX-JPと同じ材質で構成されていますが物理法則を無視して動き回ることが可能です。SCP-XXX-JP-3はSCP-XXX-JP-2や周囲の人々の注意を引くために積極的に活動します。
SCP-XXX-JP-2は、SCP-XXX-JP-3を産み出した後も幻覚を見続けます。その幻覚もまたSCP-XXX-JP-3になります。現在財団は毎日███体のSCP-XXX-JP-3を焼却して終了しています。これまででは、最大で同時に███体発生しました。
SCP-XXX-JP-2が起きている間は夢の中でもSCP-XXX-JPの幻覚を見ます。睡眠時に夢の中でSCP-XXX-JP-3を発生させた場合、SCP-XXX-JP-2の起床時に夢の中にて認識された全てのSCP-XXX-JP-3が枕元に現れます。この特性から、オブジェクトはSCP-XXX-JP-2の脳に影響を及ぼしていると考えられます。
補遺1: SCP-XXX-JPは、19██年に財団フロント企業の幼稚園にて預かられていた、財団職員同士の子供である九十九 白斗少年(当時5才)が作製しました。何故SCP-XXX-JPが異常性を持ったかは不明です。九十九氏はその後SCP-XXX-JP-2サンプルとして一時的に収容され、現在は研究員として財団に勤務しています。また彼は常に焼却炉を持ち運ぶことを義務付けられています。
インタビュー記録1 日付19██/██/██
対象: 白斗少年(当時5才)
インタビュアー: 檀博士
付記: 対象が幼いため、母親である九十九 英里研究員も同席した。
<録音開始>
檀博士: じゃ、始めようか。楽にしてくれたまえ。
白斗少年: はーい!!
檀博士: じゃあまず、これはいつ作ったんだい?
白斗少年: えーと、えーと……
英里研究員: 昨日です。幼稚園で、紙粘土で遊ぶ時間があったらしくて。その時に。
白斗少年: うん!! ゴマフアザラシ作ったの!! かわいいよね!!
檀博士: ゴマフアザラシ……うん……うん……? いや、それはいいか。君、これには何か入れたのかい?
白斗少年: べつに? かみねんど入れてーえのぐ入れたの!! ドバーって!!
檀博士: 本当に? じゃあ、どうしてこのゴマフアザラシがおかしくなったのか、心当たりは何処にもないのかい?
白斗少年: これべつにおかしくないよ!!
檀博士: ……君も気づいた筈だろう? 目の前でこの、ゴマフアザラシが動いていたと聞いているんだが。
白斗少年: うごいててもおかしくないよ!! だってぼく、作るときに「新しいおともだちになってね」っておねがいながら作ったもん!!
檀博士: ……お友達……かい?
英里研究員: この子の癖なんです。縫いぐるみとか折り紙とかをそう言って、ずっと大切にするんですよ。 物が捨てられないんです。
白斗少年: ……あ!! あそこでアザラシが空中ブランコしてる!!
[白斗少年の声と同時にSCP-XXX-JP-3が空中に2体発生。即座に捕獲、終了する]
檀博士: ……悪いね、お友達壊しちゃって。白斗少年: ううん、だいじょーぶ。だってまたもどってくるもん。
檀博士: 戻ってくる? 新しく生まれるんじゃなくて?白斗少年: うん!! ぼく分かるんだー!!
[SCP-XXX-JP-3が白斗少年の手の上に現れる。捕獲し終了する。]白斗少年: ほら!! 今の、さっきの子なんだよ!!
檀博士: そうなのか……? いや、君が言うならきっとそうなんだろう。白斗少年: うん!! 皆もお友達になってほしいな!!
檀博士: それは……どうだろうなぁ。何しろおじさん達……[白斗少年、ここで目を瞑る。]
英里研究員: ……眠くなっちゃったみたいです。本当にすいません……<録音終了>
インタビュー記録2 日付19██/██/██
対象: 金近保育士(元財団エージェント。SCP-XXX-JP収容時にSCP-XXX-JPに暴露、SCP-XXX-JP-2になる)
インタビュアー: 檀博士
<録音開始>
檀博士: 久しぶりだね金近君。今回は災難だった。
金近保育士: いやー驚きましたよ、いや今も驚いてますけどね。前に足を病んで保育士になってからは、もう何のオブジェクトにも関わらないぞ、と思っていたのに……まさか自分のクラスから新たなオブジェクトが出るとは、分からないものですね。
檀博士: 収容時のことを、詳しく話してくれ。
金近保育士: んー……まず、九十九君はある種の不思議ちゃんの気がありまして。友達と遊ぶより本を読んだりダンゴムシ見つけてきたりが好きな子だったんですが、前月辺りからゴマフアザラシにハマりまして。
檀博士: なるほど。それで、工作の対象に?
金近保育士: でしょうね。一応言いますけど、私達は普通の紙粘土と普通の絵具しか使っていません。
檀博士: じゃあ、オブジェクトが異常性を持った理由も?
金近保育士: 分かりませんねぇ……あ、あ!! オブジェクトが机の上でワルツ踊ってます!!
[この時机の上に2体のSCP-XXX-JP-3が出現。即座に捕獲、終了する]
金近保育士: すいません……
檀博士: いや、大丈夫だ。記憶処理をすればこの症状も治まるだろう。インタビューを続けよう。金近保育士: はい。九十九君がオブジェクトを作った時、彼は机に一人で向かっていたんです。本当に普通に。何かを混ぜもせず、何も言いもせずに。
檀博士: で、あれが出来たと。異常性にはいつ気づいたんだい?
金近保育士: オブジェクトが完成して、九十九君が私に見せに来てから5分後のことです。床にSCP-XXX-JP-3が転がっていまして。
[部屋の床にSCP-XXX-JP-3が一体出現。終了する。]
檀博士: こんな風に? いや、気にしないでくれ。続けて?
金近保育士: 最初は私は、九十九君が落としたのかな、と思ったんです。で、拾って。……そしたらSCP-XXX-JP-3は私の手の中で動き始めたんですよね。もうビックリしまして。檀博士: 他の子供達も、その時にはオブジェクトを見ていたのか?
金近保育士: はい。彼は皆に見せて回っていましたから。……ですので、私がSCP-XXX-JP-3に気がつくのと同時に、クラスにそれが溢れ始めました。
檀博士: なるほど……それで君が慌てて子供達を一ヶ所に集めてから、SCP-XXX-JP-3の焼却処理をしたんだね?金近保育士: 今思えば軽率な行動でしたが。
檀博士: 恥じることはない。君のお陰でこちらのエージェントは収容、記憶処理を速やかに出来たんだからね。
[SCP-XXX-JP-3が檀博士の頭の上に1体出現。即座に捕獲、終了する。]金近保育士: ……本当すいません……いや、きっと直視しなければ実体化しないんでしょうが、流石に博士の頭の上でブレイクダンスしていたので見ない訳にも行かず……
檀博士: いや、いいんだ。仕方がない。今までで、他に九十九君が何か特別なことをしたことはあったかい?
金近保育士: 特に。大人しい子ですし。
檀博士: なるほど。
[SCP-XXX-JP-3が部屋の壁面に垂直に立った状態で15体出現。捕獲、終了する。]
檀博士: ……早めに切り上げるとしようか。これ以上は大変だろう?
金近保育士: ……実を言うと、目の端でずっと動かれると気が散って散って仕方無いんですよね……直視しちゃ駄目だと分かってるんですけど、気になりますもん。
檀博士: そうだろう。じゃあインタビューを切り上げるとしようか。他に何か言いたいことはあるかい?
金近保育士: ……九十九君は収容されますか?
檀博士: 今のところ、彼自身に異常性は見られない。さっき工作をさせてみたが、異常性は現れなかった。彼はオブジェクトでは無いようだ……安心していい。
<録音終了>
補遺2: 実験に先立ってSCP-XXX-JPの異常性を無力化するための器具が必要となった為に、オブジェクトの、直視しなければ影響を受けないという特質を生かして実験器具XXX-JPが開発されました。これはビデオカメラを使用した、本来の視界の情報が常に5秒遅れて眼前に投影される機械であり、これによってSCP-XXX-JP-2化を回避することが可能だと分かっています。
実験記録1 日付19██/██/██
内容: SCP-XXX-JP-3、3体を各々切断、圧縮、凍結する。
結果: SCP-XXX-JP-3は切断、圧縮、凍結の各々が開始されるのと同時に消滅した。一瞬で完全に潰した場合でも破片は発生しなかった。
メモ: 「子供の友達」が不味い姿を見せる訳には行かない、ということか。……それにしてもこの器具は使いづらい。これだけのタイムラグがないと向こうにとっての「直視」扱いにされるのだから仕方がないとはいえ難しい。
実験記録2 日付19██/██/██
内容: Dクラス職員をSCP-XXX-JP-2とし、彼に発生するSCP-XXX-JP-3の相手をさせる。
結果: SCP-XXX-JP-3はDクラス職員の周囲を跳ね回り、相手と遊ぶような友好的な行動を示した。1体1体のSCP-XXX-JP-3は30分程度で消滅したが常に新しいSCP-XXX-JP-3の個体が発生した為に、Dクラス職員が行動不能になる██時間後までSCP-XXX-JP-3は発生することを止めなかった。その後残された個体は終了した。
結果: 本当にきりがない。これがあくまで人の認識を介して増殖する存在で良かった。自己増殖までし始めたらと思うと寒気がする。
実験記録3 日付20██/██/██
内容: Dクラス職員をSCP-XXX-JP-2とし、発生するSCP-XXX-JP-3を無視させる。
結果: SCP-XXX-JP-3は発生した後にDクラス職員の体に接したり彼の前面を飛行したりと積極的な反応を示した。Dクラス職員が無視を継続すると、SCP-XXX-JP-3は表面から光を発する、石鹸に似た匂いを放出する、体から童謡のメロディーを発生させる、といった行動をした。それでもDクラス職員が無視を継続すると、全てのSCP-XXX-JP-3は一塊になって5分間硬直し、その後[削除済み]の真似事を行った。SCP-XXX-JP-3が自ら消滅することはなく、最大で███体まで出現した。
メモ: [削除済み]はこの職員が犯した犯罪だ。SCP-XXX-JP-3は脳からDクラス職員の記憶を読み取った、と言うことか。
インタビュー記録16 日付20██/██/██
対象: 白斗青年(当時15才)
インタビュアー: 檀博士
<録音開始>
檀博士: やあ、調子はどうだい? 今日は去年もやったようにインタビューを録音するが、何時ものように楽にするといい。
白斗青年: お陰さまで調子はまあまあです。
檀博士: そうか。じゃあまず……今君はSCP-XXX-JP-2になって10年目を迎えた訳だが。現在君にSCP-XXX-JPはどんな影響を及ぼしている? 暴走などは起こっていないかい?
白斗青年: もう10年も経ったんですから、いい加減制御の方法も覚えましたよ。
檀博士: 制御とは、つまり?
白斗青年: 直視しなければいいんです。常に一点だけを見つめ続けて、視界の端の物には目を向けない。これだけで彼らは出てきません。視界でうろちょろするだけです……まあ、一点に飛び込んでくる子もいますけど。
檀博士: そうか。じゃあ、SCP-XXX-JPの幻覚は君の注意を引くために動いている筈だが、それはどうなっている?
白斗青年: うーん……何と言うか。
檀博士: 何だ?
白斗青年: 僕は10年、物心ついた頃からずっと彼らと暮らしている訳です。もう僕は彼らが何をしていても驚きませんし、彼らもそれを悟っています。
檀博士: じゃあ、どうなったんだ?
白斗青年: ……簡単な理屈です。彼らは僕に認識されるために僕の考えを読んで、僕の手伝いをするようになったんです。
檀博士: それは、つまり?
白斗青年: 例えば今、僕はこうして貴方と話しています。……喉渇いてきません?
檀博士: それは、まあそうだな。じゃあコーヒーでも……
白斗青年: ああ、博士は動かないで。僕がコーヒーを淹れて貰いましょう。[白斗青年がコーヒーの瓶を視認すると3体のSCP-XXX-JP-3が出現、コーヒーの粉をマグカップに入れる。檀博士はそれを8秒視認してから捕獲、終了する。]
檀博士: ……危ない所だった。やっぱり私が淹れよう、ヒヤヒヤさせられる。
白斗青年: すいません。でも僕が一人でいるときは、僕が望んだ所に既に彼等が構えているので、色々と手伝って貰うんです。勉強しようと思ったら筆箱を持ってきてくれるし、ピアノを弾いていたら譜めくりをしてくれる。便利ですよ。
檀博士: 便利なのは分かるが……私としてはあまりやらないで貰いたいな。SCP-XXX-JPはNK-クラス:世界終焉シナリオを起こす可能性もあるのだから。まさか知らないとは言わないだろう?白斗青年: ……すいません。いや、ちゃんと仕事が終わるとか、人が来たりしたらすぐ燃やしていますよ?
檀博士: それは分かっている。君は、そして君の友達であるSCP-XXX-JP-3達も財団に協力的だとも。しかし誰もが君と同じだとは思わない方がいい。下手なことをしたら君には終了処分が下るだろう。
<録音終了>