実験記録739-JP - 日付20██/12/21
対象: ██人のDクラス職員
実施方法: 被験者にSCP-739-JPと[編集済]製の携帯音楽プレーヤーを用いて異なるジャンルの音楽を聴かせ、意識を失うと同時に被験者からSCP-739-JPを取り外す。実験終了後、被験者に健康診断と体力テストを実施する。
結果: 20██年12月21日時点で上記の条件において6つのジャンルで実験が実施されています。以下に実験記録739-JP-001から739-JP-006として結果が記録されています。
実験記録739-JP-001 - 日付20██/04/05
対象: ██人のDクラス職員
使用した音楽のジャンル: ロック
結果: 被験者は2~3分ほど意識を失い、直近2時間ほどの記憶が「同じ曲をループ再生していた」記憶に置換されました。被験者に健康診断と体力テストを実施したところ、血中のアドレナリン濃度の僅かな上昇がみられ、筋力、持久力、肺活量など基礎体力の15~35%程度の向上が認められましたが、その他の異常は見られませんでした。
実験記録739-JP-002 - 日付20██/08/16
対象: ██人のDクラス職員
使用した音楽のジャンル: J-POP
結果: 被験者は15~35分ほど意識を失い、直近3~5日ほどの記憶が「その場でプレーヤー内の音楽を順番に聞いていた」記憶に置換されました。被験者へのインタビューにより、すべての被験者が回答した楽曲の順番が一致していることがわかりました。また、被験者に健康診断と体力テストを実施したところ、血中のアドレナリン濃度の上昇がみられ、筋力、持久力、肺活量など基礎体力の40~75%程度の向上が認められました。実験後の報告により、やや気性が荒く、暴力的になるなど性格に変化が見られました。
実験記録739-JP-003 - 日20██/09/22
対象: ██人のDクラス職員
使用した音楽のジャンル: クラシック
結果: 被験者は、2~4時間ほど意識を失い、直近1~4週間の記憶が「はじめから実験に参加していなかった」記憶に置換されました。被験者とその関係者などへインタビューにより、置換された記憶の中で、全員がSCP-739-JPと同じ外見をもつイヤホンで実験に使用した楽曲を1度以上聴いており、それ以外の行動はすべて実際の出来事と一致することがわかりました。また、被験者に健康診断と体力テストを実施したところ、筋力、持久力、肺活量、柔軟性など基礎体力の5%~17%程度の低下が認められました。実験後の報告によりとても穏やかで落ち着いた性格になるなど性格に変化が見られることがわかりました。
実験記録739-JP-004 - 日付20██/9/25
対象: ██人のDクラス職員
使用した音楽のジャンル: ダブステップ
結果: 被験者は10~24時間ほど意識を失い、直近2~7ヶ月ほどの記憶が「████病院の███号室でプレーヤー内の音楽を順番に聞いていた」記憶に置換されました。被験者へのインタビューにより、すべての被験者がいた病室が異なり、病院に問い合わせたところ被験者が回答した病室が実験した日にすべて空いていたことがわかりました。また、被験者に健康診断と体力テストを実施したところ、血中のアドレナリン濃度の上昇がみられ、筋力、持久力、肺活量など基礎体力の120~175%程度の向上が認められました。実験後の報告により、実験前に比べ意欲的になるなど性格に変化が見られました。
実験記録739-JP-005 - 日付20██/10/02
対象: ██人のDクラス職員
使用した音楽のジャンル: 20██年のアニメソング
結果: 被験者は3日~2週間ほど意識を失い、事前の被験者への質問で使用する楽曲及びその楽曲が主題歌のアニメについて何も知らないと回答した被験者を含め全員の直近1年~3年ほどの記憶が「自分のスマートフォンでSCP-739-JPを使ってアニメを観ていた」記憶に置換されました。被験者へのインタビューにより、見ていたアニメが実験に使用した楽曲がテーマソングのものであることがわかりました。また、被験者に健康診断と体力テストを実施したところ、血中のアドレナリン濃度の上昇がみられましたが、その他に異常などは見られませんでした。実験後の報告により、内向的になり、実験前以上にアニメを視聴したがるなど、性格や行動に変化が見られました。
実験記録739-JP-006 - 日付20██/10/██
対象: ██人のDクラス職員
使用した音楽のジャンル: ジャズ
結果: 被験者の全員が「知らない男の声がする」と言い残して意識を失い、被験者の██%が現在も意識を回復していません。回復した被験者は、全員の知能が0~1歳程度に退行していました。以前の実験で記憶が「SCP-739-JPで音楽を聴いていた」記憶に置換されていたことから、ほぼすべての記憶が「SCP-739-JPで何かを聴いていた」記憶に置換されていたと考えられます。ただし、何を聴いていたのかは、被験者とのコミュニケーションが極めて困難であることから未だわかっていません。
補遺: 回復した被験者の記憶の復元を試みるため、現在施術不可能、あるいは恒久的な昏睡状態に陥るおそれが高いクラスE記憶処理と[O5評議会により削除]を除く全クラスの記憶処理が回復した被験者と回復していない被験者それぞれ1人づつに施されました。クラスA及びクラスBの記憶処理では記憶の復元の効果はみられず、クラスC、クラスD及びクラスFの記憶処理については、施術した被験者の全員が未だ意識を回復していません。被験者の意識が回復し次第その結果がこの補遺欄に追記されます。
音声記録739-JP-006-1
被験者: D-██████
<録音開始>
T█████研究員: では、音楽を再生してください。
[D-██████が音楽を再生する]
D-██████:あぁ。ジャズだな。ただのジャズだ…待った。何か声が混じってないか?
T█████研究員:どんな声ですか?
D-██████:男の声だな…。なんかよくわかんねぇこと言ってるが、何だこりゃ?
T█████研究員:声は何と言っていますか?
D-██████:わかんねぇって言ってんだろ!…あれ、急にはっきりしたな…
T█████研究員:声は何と言っていますか?
D-██████:「大嫌いだ」って繰り返して…うっ
[D-██████が耳を押さえて意識を失う]
<録音終了>