
sc
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: scは現在サイト-81██の研究棟に設置されています。棟内へのアクセスにはレベル3以上のセキュリティクリアランスが要求されます。scの使用には担当博士の許可が必要です。
説明: scはサイト-81██に設置されている大型機械です。高さは7.8m程で、ポッド4基、電子モニター、操作用の機器類、本体部分で構成されています。また、scの周囲には鉄製の足場が建てつけられています。サイト設立当初から存在した物品とされていますが、記録が一切残っておらず、起源や収容過程、足場の作製時期などの詳細は不明です。
ポッドは2基で1組となっていて、どちらも開閉が可能になっています。「SPALNET」と刻印された黒のマークが付いているポッド(以下sa)内部にヒト1(以下、被験者)を入れて操作を行うことで、その複製体を作り出すことができます。複製体はもう片方のポッド(以下sb)に出現します。複製には約30秒を要し、その間はポッドにロックがかかり開閉が不可能になります。複製による被験者への影響はありません。
複製体は被験者と遺伝子情報が完全に一致しています。多くの場合において、健康状態、成長段階、身体能力、知能、保持している記憶などの生体要素も一致しており、通常のヒトと同レベルの活動を行うことができます。
複製時に電子モニターに各種情報が提示されます。現在確認されている表示は作業の進行を表すと思われる「解析中」「複製中」の文字と、被験者の種類と個数を表すと思われる番号(詳細は後述の使用記録)です。「解析」は被験者の情報を読み取る作業と考えられます。
sc利用記録:
[
本オブジェクト及び報告書は最高機密に指定されています。

SCP-1144-JPの電子顕微鏡写真(倍率30000倍)
コードを下記の通り修正してください。
変更前
[[include :unofficial-scp-sandbox-jp:classified
変更後
[[include :scp-jp:component:classified-decoration
アイテム番号: SCP-1144-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: その性質上、SCP-1144-JPの完全な収容と除去は不可能であるとされています。オプファー・プロトコルの施行によりSCP-1144-JPは継続的に除去されます。プロトコルによる空気中SCP-1144-JP量の平均減少率は直近10年で0.024%/年であり、現在目標減少率は0.05%/年に設定されています。SCP-1144-JP回収装置の開発と配備を続け、除去量の増加に努めてください。
処置は財団本部と全ての支部によって実行され、世界全域で展開されます。
…
クリアランス情報を参照…..
…
[No.008 日本支部] 対応した情報を開示します。
…
全国のサイト、各地点でオプファー・プロトコルが常時施行されます。現時点でのプロトコル実行環境の整備は既に完了していますが、除去効率の増強を目的とした追加配備が必要です。配備場所についてはO5評議会と対策研究チームにより協議中です。プロトコルの詳細については後述の補遺を参照して下さい。
SCP-1144-JP-Aはサイト-81██の地下シェルター内の大型収容ユニットにおいて管理されます。シェルターの存在は秘匿され、レベル4/1144-JPクリアランスを持つ職員又は対策研究チームのみが入場を許可されます。また、検査より血中SCP-1144-JP濃度が0.5%未満であった人員のみ管理作業に介入することが可能です。管理作業中は防護服の着用が義務づけられ、1度の作業期間は2週間が限度です。作業期間が終了した職員は最低3日間作業から離れなければならず、次回の入場に際して再度の血液検査が必要となります。
大型収容ユニットは大きさ10mx10mx10m、厚さ75cmのコンクリート壁で構築された完全気密性ユニットです。ユニット外部に管制室が設置されており、各機器の操作によってSCP-1144-JP-Aに対する処置を実行することができます。
ユニット内の150kCiコバルト-60線源を主体に用いた放射線機器により、SCP-1144-JP-Aに対し平均線量18kGyのガンマ線が常に照射され続けます。機器はユニット内に4基搭載されています。担当者は計測機器を用いてSCP-1144-JP-A全体に必要量のガンマ線が吸収されていることを確認してください。時間経過や機器の不備等で放射能汚染の危険性がある場合は緊急用ユニット除染装置を起動してください。
1日に1回ユニット内の空気試料が採取され、解析装置により試料に占めるSCP-1144-JPの割合が計測されます。空気中SCP-1144-JP割合が2%を超えた場合、機器が処置CP1144-JPを実行します。SCP-1144-JP割合が0.02%まで低下したことを確認次第、処置を停止させてください。
オプファー・プロトコルに使用するOP投薬を作成するため、定期的にユニット内のSCP-1144-JP-Aは回収されます。ユニット横の作業室にて作成手順に従い投薬を作成、倉庫に保管してください。投薬の作成手順は一部の職員と対策研究チームのみに開示される極秘事項です。
SCP-1144-JP及びSCP-1144-JP-Aに対する実験は対策研究チームのみ実行が許可されています。実験の施行はサイト-81██の地下シェルターに設置された実験室、研究室で行われます。
全国の医療機関、献血機関において利用者の採血時に血中SCP-1144-JP濃度の計測が行われます。民間の機関を介して全ての採血記録が財団データベースにて集計されます。血中SCP-1144-JP濃度が1%を超えた民間人を発見次第、対象の氏名と各情報をリスト1144-JPに登録し動向の監視を開始してください。対象から採取された血液はサンプルとして回収されます。また現在医療機関や献血機関が所有している輸血用血漿製剤に対しSCP-1144-JP濃度の計測が随時行われ、濃度が水準を超えたものは使用前に回収されます。現在までに日本支部では███kLの血液サンプルを確保しており、サイト-81██の地下シェルターにて保管されています。
財団本部と各支部によるSCP-1144-JP対策協議会が設置され、研究成果や収容状況などの情報交換、収容方針の決議等を実施しています。緊急時に備えて一部の職員の間で本部と各支部のSCP-1144-JP-A収容場所、SCP-1144-JPの観測情報が共有されます。
説明: SCP-1144-JPは大きさ70〜90μmほどで、立方対称性のカプシドタンパク質2と一本鎖RNA3から成るウイルスです。上記の画像のように、直径100μmほどの生体膜4由来のエンベロープ5を獲得します。
SCP-1144-JPは平常時は大気中に漂っており、空気、飛沫、血液などの感染経路を通じて宿主生物の体内に侵入します。経口により体内に侵入したSCP-1144-JPは腸管のM細胞6や気道上皮細胞を感染対象として侵入したのちに複製による増殖を始め、その後粘膜を通りぬけ血液や他の細胞に移動していきます。実験によりSCP-1144-JPの自己複製は70〜80分に1回のペースで行われることが確認されています。増殖したSCP-1144-JPは拡散し、やがて宿主の全身に感染が広がっていきます。宿主生物は主にヒトを含む哺乳類が対象となりますが、ごく少数の場合において鳥類への感染が確認されています。
SCP-1144-JPは体内を移動する際に、タンパク質や脂質などを回収してエンベロープを肥大化させていきます。ある程度エンベロープが大きくなるとSCP-1144-JPは体内のクロム親和性細胞7に侵入し、攻撃を始めます。この侵入によりクロム親和性細胞が異常に刺激され過剰量のノルアドレナリン8が分泌されます。
このためSCP-1144-JPによるノルアドレナリンの過剰分泌が進むと心拍数や血圧の異常な上昇などが引き起こされ、最悪の場合死に至ります。またノルアドレナリンにより闘争本能が活発化し、攻撃的になったり、理性が働かなくなったりします。これらの症状をSCP-1144-JPの「感染症」と定義しています。SCP-1144-JPはほぼ全ての哺乳類に対して感染しますが、感染症の発症が確認されたのはヒトのみです。感染から発症までの潜伏期間はおよそ3〜6日です。
SCP-1144-JPを死滅させる、自己複製を停止させる試みは全て失敗しています。
歴史: 19██年代初頭、GHQ9の統治下にあった日本国の各地で、大勢の民間人が突如暴徒と化す事案が発生しました。暴徒は国籍などに関わらず他の民間人や軍人に対し無差別な掠奪や殺人を行い、民家をはじめとした建物や施設を破壊しました。時間がたつにつれて暴徒と化す民間人は急速に増えていき、暴動の規模が大きくなった結果、最終的には人口の減少と社会基盤の崩壊により国の統治がほぼ不可能な状態となりました。確認されているだけでも、この時期に殺人行為に及んだ民間人は█████人にのぼります。
ほぼ同時期に財団本部や各支部は大気中に未知のウイルスを確認していました。また日本国においてそのウイルスが大量発生していることが判明したため財団はウイルスが事案の原因であると断定し、日本支部の管理下においてオブジェクト(現在のSCP-1144-JP)に指定しました。
その後各国でSCP-1144-JPの除去や増殖防止の研究が開始されましたが、既知のウイルスに対する手法は効果がなく、有効な対抗手段も得られることはありませんでした。SCP-1144-JPの増殖の進行に伴い、社会基盤の崩壊により統制を失う国が世界中で続出し、世界人口は██%まで減少、財団は機能の40%程度を失う事態へと発展しました。
文明及び社会基盤の完全復旧が不可能と判断されたのち、O5評議会権限においてアンニュイ・プロトコルが施行されました。記憶処理剤により世界中の人間から事案に関する記憶が消去され、歴史背景に矛盾しない形で新たな価値観が用意されました。プロトコル施行後もSCP-1144-JPの除去手段は確立していません。
追記 <20██/09/07>: 19██年から実施されているオプファー・プロトコルにより、現在のSCP-1144-JP総量は最も多かった時期の██%ほどまで減少しています。国内での犯罪は減り、十分な社会基盤を構築するまでに至りました。この先もプロトコルを持続、長期的なSCP-1144-JPの除去が実施されます。
当時のO5-8による声明文:
我々の世界には“必要悪”だけがあった。
家族や仲間を傷つけられた時、民族や国民としての誇りを穢された時、崇拝する神を侮辱された時。人々は怒るべき時に怒り、憎むべき時に憎んできた。敵を討とうとすれば同胞とともに武器を持って立ち上がり、そうでなければ同胞と酒を飲んで笑っていた。
我々が彼の国で起こったことに理解が追いつかなかったのはそのためである。世界で最も団結が強く、異常な程の忠誠心を持っていた民たちが、意味もなく同胞を殴り、女子供に刃を突きつけ、町を燃やしていた。その暴力に意味はなかった。
その後も悪意は拡散し続けた。世界は希望の光を失い、人間は人間でなくなった。諸君、我々はまたも失敗した。もはや取り返しはつかないのである。
私は“2度目”のアンニュイ・プロトコルを実行する。決してあってはならなかった“2度目”である。「自然に怒り、意味もなく憎む」ことが当たり前になっていくだろう。再び世界中の男女が、美しかった世界を忘れていくのだ。私はーーーもう言葉が出ない。
これはやり遂げられなければならない。
ーO5-8
確保、収容、保護
起源についての調査報告 <19██/03/02 日本支部作成>: SCP-1144-JPは第二次世界大戦中に国家社会主義ドイツ労働者党10政権下のドイツ政府によって作成されたものです。ドイツ政府はSCP-1144-JPを兵士の士気の向上を目的に作成し、同盟国である大日本帝国とイタリアに配布していました。日本での大量増殖は大戦中に大日本帝国が保管していたSCP-1144-JPが原因で起こったとみられます。開発は極秘に行われていたため資料がほとんど残っておらず、正確な作成時期などは不明のままです。引き続き調査を行います。
補遺1144-1 <19██/06/23>: 財団フランス支部の████・████████博士によってSCP-1144-JPの純粋培養技術が確立されました。具体的な手法は秘匿され、対策研究チームにのみ閲覧が許可されます。SCP-1144-JPへの対抗策の構築は最優先事項となります。純粋培養を用いて速やかに研究に取り掛かってください。
補遺1144-2 <19██/08/23>: 日本支部██ ██博士の研究において、SCP-1144-JPにガンマ線を照射することで自己複製の進行を遅延できることが判明しました。実用案は議論中です。 放射汚染の可能性から、広範囲における実用は撤回されました。
補遺1144-3 <19██/09/21>:

SCP-1144-JP-A(倍率30万倍)
日本支部██ ██博士によってSCP-1144-JPの結晶化プロセス(CP-1144)が確立されました。大気中のSCP-1144-JPを結晶化させ回収することが可能であり、SCP-1144-JPの除去を実行することができます。結晶化したSCP-1144-JPをSCP-1144-JP-Aと指定します。同じく██博士の研究チームがプロセスを応用してSCP-1144-JP回収装置を開発しました。本部及び全支部に装置が運送されます。速やかにSCP-1144-JP回収作戦を実行してください。
CP-1144も純粋培養手順同様、詳細は秘匿されます。
SCP-1144-JP-Aの性質は以下の通りです。
・固体となっており拡散しないが、死滅はしていない。
・粒子形態時と同じペースで分裂による増殖を行っている。こちらもガンマ線により遅延できることが判明。内部が完全に結晶化しているのにも関わらず分裂できる理由は不明。
・その他の特別な異常性は確認されておらず、性質は粒子時とほぼ同様。
追記 <19██/10/17>: 全支部において、回収装置の配備が完了しました。これよりSCP-1144-JP-Aの回収を実行します。また、除去量の増加を目的とした追加配備が随時行われます。
補遺1144-4 <19██/10/20>: SCP-1144-JP-AのSCP-1144-JPへの復活が確認されました。一定の期間を経るとSCP-1144-JP-Aは徐々にSCP-1144-JPへと”昇華“するものと思われます。復活したSCP-1144-JPは元の状態を完全に保っており、この復元を考慮すると現在の回収量ではSCP-1144-JPの総量を減らすことができません。 除去手段の確立により現在は減らすことに成功しています。
また、SCP-1144-JP感染者の調査統計によりSCP-1144-JPは約70%ほどの確率で親から子に遺伝することが判明しました。
補遺1144-5 <19██/09/21>: SCP-1144-JPの除去手段として、日本支部██ ██博士よりオプファー・プロトコルが提案されました。実用の可否は議論中です。 O5評議会においてプロトコルの実行が承認されました。 倫理委員会よりプロトコルの凍結が提案されました。 却下されました。プロトコルにより、今後安定した除去が可能になると予測されます。
詳細は以下です。
オプファー・プロトコル
発案者 ██ ██
研究報告: 感染者の研究において得られた統計から、他者に対する暴力行為、特に殺人行為をある程度実行した感染者は他に比べて血中SCP-1144-JP濃度が低くなっていることを発見した。その後感染したDクラスによる実験を繰り返し、殺人行為を行った感染者の体内でSCP-1144-JPが分解されていることを突き止めた。分解のプロセスは不明だが除去に応用できると確信した。
プロトコル概要: SCP-1144-JP-Aを医薬成分とともに溶解させ、高濃度のSCP-1144-JPを含ませた投薬(OP投薬と呼称)を精製する。ランダムに選別した民間人に投与し、殺人行為を故意に起こさせることでOP投薬を介しSCP-1144-JPの除去を行う。
プロトコル詳細: 医療機関などを通じて、血中SCP-1144-JP濃度が1%を超える民間人を発見次第リスト1144-JPに個人情報とともに登録する。定期的な検査によって対象の血中SCP-1144-JP濃度を記録し続け、3%を超えた時点でプロトコルの対象に指定する。その後対象を捕獲しOP投薬を投与する。記憶処置を施して解放し、生活を監視する。暴行や殺人行為を起こした時点で、警察として速やかに対象を確保する。対象の血液検査を行い血中SCP-1144-JP濃度を記録、SCP-1144-JPの除去が成功していることを確認次第記録に書き加える。
OP投薬の精製には回収したSCP-1144-JP-Aを用いる。悪用防止のため、精製方法は極秘でなければならない。
付記: 除去の効率を最大限に高めるために、対象は出来る限りSCP-1144-JP濃度の高いものを選ぶ。プロトコルによりSCP-1144-JPを減少させることはできるが、その性質上完全な除去は不可能であると思われる。また体内のSCP-1144-JPの除去は全人類に適用できないため、今後も遺伝によってSCP-1144-JPは次世代へ引き継がれていくと予想される。
空気中のSCP-1144-JPを直接回収しなければならないため、除去効率は悪い。出来る限りの回収装置を用意し、長期的な除去をしなければならない。現段階でプロトコルを起動すれば、20██年末の時点でSCP-1144-JP総量は今の██%程度まで減少する見込みである。
悪たる異常を収容し人類の平和を取り戻すためにも、一刻も早い実行の承認を要求する。
記録された音声ファイルを再生します。
(ドアが開く)
…..お、██君か。そこに座りたまえ。
これかい?
先日娘が中学校に入学してね。その時配られた「理科」の教科書だ。
もちろん、我々のような人間がわざわざ読むようなものでもない。それとなく読んでいただけだよ….
え?
ああ、そうか。すまんすまん…..
報告を聞こうか。
なるほど。典型的なタイプの過去改変オブジェクトで…..あまり特異な点は見当たらない、と…….
その様子だと、収容の目処も大方ついているんだろう?
よし、ご苦労。レポートは明日までに出すと伝えといてくれ。