アイテム番号: SCP-1047-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 現在SCP-1047-JPはサイト-81██の高気密性収容ロッカーに保管されています。収容ロッカーは常に施錠されています。
・SCP-1047-JPを接触する。
・SCP-1047-JPを水に接触させる。
以上2項目が起こらないよう注視してください。
当該オブジェクトを用いた実験を行うには担当博士の許可が必要です。
説明: SCP-1047-JPは液体の水の性質を保持した無色透明の固体です。
実験により、SCP-1047-JPは水と同じ沸点・融点、密度、屈折率、温度変化率を有することが確認されました。また、SCP-1047-JPは摂氏0度において通常の氷に変化し、摂氏100度において通常の水蒸気に変化しました。状態変化後の物質には異常性は見られません。
この性質にもかかわらず、通常時のSCP-1047-JPは一定の形を保っており、流動性や物質が溶解する様子はなく、固体のように振る舞います。SCP-1047-JPは柔らかく、弾性が小さいため、人力で変形させることができます。また、粘性は小さいです。実験において、研究員から「小麦粉と水を混ぜて作った生地のようである」と報告されています。
Dクラスを用いた実験により、SCP-1047-JPは問題なく摂食できること、「味」があることが報告されています。
実験記録1047-1
対象: SCP-1047-JP、D-001-1047
実施方法: D-001-1047にSCP-1047-JP(500g)を摂食させる。
結果: D-001-1047に異変は現れなかった。直後に行った体重測定において、500gの体重変化が確認された。数日後の体内検査において、SCP-1047-JPが消化されたことが示された。
補足: D-001-1047はSCP-1047-JPの味について「餅みたいな味がしたけど、大分薄かった」と言及した。
実験記録1047-2
対象: SCP-1047-JP、D-001-1047
備考: 実験1047-1より、SCP-1047-JPは食糧としての性質を有する可能性が示唆されたため確認の実験を行った。
実施方法: D-001-1047に1日1000gのSCP-1047-JPを摂食させて生活させる。
結果: D-001-1047は問題なく22日間生存した。この間対象は排泄をしなかった。
SCP-1047-JPは水のみで構成されており、味覚を刺激する物質や栄養源は含まれていません。SCP-1047-JPが味を有している、栄養源となる理由は今の所不明です。
補遺1047-1: 実験1047-2の実施後、D-001-1047(以下、対象)が昼食をとった際に対象が食物を摂取できなくなっていました。昼食の際、摂食するとすぐに対象は食した食物を全て嘔吐しました。昼食の飲料については問題なく摂取できました。
精密検査の結果、対象は胃運動機能不全に似た症状に罹っていることが判明しました。胃運動機能不全とは、胃の蠕動運動や胃酸の分泌といった機能が著しく低下し、食道から運ばれた食物を即座に口へと戻すようになる病です。通常の胃運動機能不全では、液体も排出されますがD-001-1047はあらゆる飲料茶や、砂糖を含むコーラ等に当てはまらない、植物が原料として使われていない飲料とSCP-1047-JPのみ問題なく摂取でき、固形の食物は摂取できませんでした。この異常性のもつ危険性から、SCP-1047-JPが病を発生させる原因を突き止めることが当該オブジェクトの分析における最優先課題となっています。
他のSCP-1047-JPの異常性として、液体の水がSCP-1047-JPに接触すると3〜4時間ほどかけてSCP-1047-JPに変化していきます。変化した水はもとのSCP-1047-JPと吸着し、一体となります。大規模な収容違反につながる恐れがあるため、このプロセスの進行を食い止めるための実験が進められています。
インシデント1047-1: SCP-1047-JPは長野県██村の住人からの「変なもので川がせき止められている」という通報があったことで発見されました。発見されたSCP-1047-JPは自身の異常性によって量が███kgまで増しており、河原に打ち付けられていました。駆けつけた財団職員によりSCP-1047-JPは██村付近の山間部の川の中腹で発見、回収されました。通報から回収までの時間が短かったことから大規模な収容違反は起こりませんでした。
SCP-1047-JPの出現場所をたどるべく、川の上流の調査していた財団職員が山間部で建築物を発見、内部で複数のSCP-1047-JPを発見、回収しました。建築物は比較的新しく、無人で、研究用の機器や薬品、書類が散見されました。
また、建築物には「動植物愛護団体██████会 ██研究所」と書かれた表札が確認されました。SCP-1047-JPがこの██████会によって作成されたと見て、関係者の捜索が進められています。
補遺1047-2:建築物内で発見された読解可能な文書の一覧です。発見された大半の文書は、焼却されており読解不可能でした。
19██/02/13
プロジェクト初日。会長から新しい飲料を作るよう要請が下った。新しい研究施設と助手数名、数々の薬品や材料、そして新参者の私のために、"水食"と呼ばれる飲料のサンプルを準備してくれた。会長は私の手腕を見込んでくれている。期待に答え、生命を救う使命を全うしたい。
19██/02/15
"水食"のサンプルを分析、そして摂取してみた。どれも必要最低限の栄養とエネルギーを摂取できるよう精巧に作られていて、好奇心を駆り立てられた。本当によくできている。味もいい。会員がこれのみで生活できるのも納得だ。
正直これだけあれば十分なんじゃないかと思ったが、欠点を見出した。満腹中枢を刺激しないから、満足感がない。当たり前の話だし、我々の使命に比べれば我慢の範疇であるが、最終的にこれを摂取する生活を一般市民に定着させるという目的を鑑みれば重大な欠点だ。多分この組織の人間は食物を噛みしめる感覚の重要さを理解していない。飲料ではなく、固形の食品を作る必要がある。
19██/03/10
柔らかさと取得のしやすさから、思い切って水を固形化することにしてみた。もともと固体の無機物であるものを摂取可能にすることも考えたが、いささか有害なものが多いし、何より、水自体で作った方が組織の理念にそうだろう。飲料に慣れきった会員たちにも問題なく定着するはずだ。助手たちに「難しいのでは」と言われたが、やってみる価値はある。
19██/06/14
試行錯誤してようやく第一段階をクリアした。試験薬の中にあった████████、████████████を混ぜ合わせ、水と配合してみるとわずかに固まり始めた。有害性のある物質でもないだろうから、食すことができた。まだ水っぽいが、少しだけ食感がある。改良すれば良くなるだろう。
19██/08/22
ようやく十分に弾力を持たせることができた。パン生地に似た食感だ。よく伸びる。第二次段階として、栄養源となるよう調整を始めていきたいと思う。
19██/08/24
第二次段階が終了した。もともと組織が作ってあった"水食"作成のプロセスを元に、提供された試薬を投与したところ案外にも早い段階でうまくいった。十分に糖やアミノ酸、脂肪を配合しているし、食感も元のままだ。よくわからないが、幸運なことにちょっとばかし味が付いているようだ。これで組織に提供しようと思う。
19██/09/02
組織幹部から郵送物が届いた。「試作品の実用性が認められたので、説明に従って"プロトコル"を実行せよ。」とのことだ。郵送物には説明書と見たことのない粉状の薬品が入っていた。説明書によると、"プロトコル"とは正式に"水食"として組織で利用するための「仕上げ」だそうで、水食に薬品を添加することでゆくゆくは食肉、菜食を是正することにつながるらしい。早速薬品を私の制作物に練りこんだ。見た目や味も変わらないが、大丈夫だろうか。とりあえずもう一回組織に送ってみる。
19██/09/07
会長から再度連絡があり、最大級の賛辞を受けた。会員たちはまったく新しい"水食"を高く評価したらしく、来月あたりに私の水食が利用されることが決まった。喜ばしい限りである。会長が上級研究員の席を用意してくれた。今日でこの研究所を放棄して、本部の研究施設で働くことになる。今日から全く新しく、輝かしい生活のスタートだ。水食でも食いながら向かうとしよう。
生命を有するものには等しく権利が与えられている。よってそれを食してはならないし、我々は全力を尽くしてそれを避けなければならない。研究は終わらない。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の低危険度収容物ロッカーに施錠された状態で保管されます。
SCP-XXX-JPをロッカーより取り出す際はいかなる理由であれ、セキュリティクリアランス4/XXXが要求されます。SCP-XXX-JPを用いた実験は現在凍結されています。
説明: SCP-XXX-JPは異常性を持った、文庫本「走れメロス」です。現在までに収容されているSCP-XXX-JPは1冊のみです。SCP-XXX-JPは外見、内容に異常性は見受けられません。SCP-XXX-JPは損傷を受けた場合、自身を未知のプロセスにより完全に修復します。
SCP-XXX-JPの主たる異常性は以下の状況下で発動します。
・時刻17:00から日が没しきる前までの間であること。
・この期間に人間(以下、対象者)がSCP-XXX-JP内の短編「走れメロス」に該当するページを読解していること。
・SCP-XXX-JPが損傷の修復段階にない。
上記の条件を満たすとSCP-XXX-JPはSCP-XXX-JPと対象者、及び一部の物体を除き、時間順行を完全に停止させます。前述の物体が時間停止の影響を受けないため、対象者は平常時と同様に活動、物体を視認できます。完全に運動を停止しているため、他の物体に対し対象者は一切干渉できません。
SCP-XXX-JPの「走れメロス」のページに欠損が生じる、または対象者が死亡した場合にSCP-XXX-JPの異常性は解除され、時間が再び順行を開始することが判明しています。
SCP-XXX-JPは、20██/09/02、18:50に日本国東京都警察に「痩せ細った人が路上に倒れている」という通報が入ったことにより発見されました。通報の不審さから、警察に扮した財団職員が駆けつけたところ、東京都██区の街路において、██ ██氏の死体を発見、死因は脱水と栄養失調でした。この時██氏が抱きかかえるように所持していた物品であるSCP-XXX-JPを異常オブジェクトと断定し回収しました。██氏は家族の証言により、発見の直前まで新潟県███市の自宅にいたことが確認されています。██ ██氏は生前、読書を好んでいました。SCP-XXX-JPの出自は依然不明です。SCP-XXX-JPの別個体の捜索も含め、調査が進められています。
以下は収容初期段階で行われた、SCP-XXX-JPの異常性の把握を目的とした実験とインタビューの記録です。
実験記録XXX-1
対象: D-001-XXX
実施方法: D-001-XXXにSCP-XXX-JPを保持させる。
結果: 3時間程保持させたが異常性は現れなかった。
分析: 持っているもしくは触っているだけでは異常性を発現しないようだ。
実験記録XXX-2
対象: D-001-XXX
実施方法: D-001-XXXにSCP-XXX-JPを読ませる。
結果: 読ませた段階で異常性はみられなかったが、時刻が17:00に達すると、やせ細ったD-001-XXXが部屋中央に倒れており、破かれたSCP-XXX-JPが散乱していた。状況の変化を担当者全員が知覚できなかった。D-001-XXXは飢餓状態にあったが、水分と食料の補給により命に別状はなかった。
インタビュー記録XXX-2
対象: D-001-XXX
インタビュアー: ██博士
付記: 実験XXX-2の後、回復したD-001-XXXに対しアンケートを行った。D-001-XXXは興奮状態にあったため拘束している。
<録音開始>
インタビュアー: インタビューを開始します。D-001-XXX、実験の際に何があったか説明しーー[遮られる]
D-001-XXX: 何があったかだって!?とぼけてんじゃねえぞ、この[罵倒]野郎!よくも俺を殺そうとしやがったな。
インタビュアー: あなたの意図がわかりません。D-001-XXX、落ち着いて状況を説明してください。
D-001-XXX: いい加減にしろよ!助けを無視して何十時間も俺を部屋に閉じ込めたのはお前らだろうが!
インタビュアー: あなたは瞬間的に飢餓状態に陥りました。なぜこのようなことになったんですか?
D-001-XXX: 何を言ってんだ?俺はお前らの言ってるように本を読んだだけだ。そしたらお前らが問いかけに返答しなくなった。食事も出さねえ。必死こいてドアをこじ開けようとしたが、ドアノブが全く動かなかった!お前らがやったんだ、そうだろう?何度も気が変になりかけてたし、最後の方は意識も遠のきかけてたんだぞ。
インタビュアー: 破られたSCP-XXX-JPについては何があったんですか?予め破壊しないよう注意したはずですが。
D-001-XXX: あ?本のことか?殺されかけてんのにそんな約束守るわけねぇだろ。粉々にしてやったさ。お前らもこんな悪趣味なことしてんじゃねえぞこの[罵倒]。いいからこれを外せ!お前を今すぐ殺してーー[暴れる]
インタビュアー: インタビューを終了します。
<録音終了>
備考: 我々とD-001-XXXの認識には明らかに齟齬があります。彼の発言から推測するに、SCP-XXX-JPの異常性は時間停止とみていいでしょう。インタビュー後、D-001-XXXにCクラス記憶処理を施し鎮静させました。
実験記録XXX-3
対象: D-001-XXX
実施方法: 午後5:00以降にD-001-XXXにSCP-XXX-JPを読ませる。実験室にモスキート音を流しておき、音が消えた時点でSCP-XXX-JPのページを破り、報告をするようD-001-XXXに伝えておく。この過程により異常性の発動と解除、その確認を繰り返す。
結果: 18:20の異常性の発動を最後に、SCP-XXX-JPは異常性を発現しなくなった。
分析: 類似の実験を複数回行い、SCP-XXX-JPの発現時間を特定した。
時間停止という異常性は極めて危険であり、EK-クラス:未定義シナリオを起こす可能性があります。加えて、これ以上の実験の必要性が低いことからSCP-XXX-JPの異常性の発現は凍結されました。
補遺: SCP-XXX-JPの以下の一節に赤い傍線が引かれていることが判明しました。
願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の専用の大型収容金庫に、多重ロックのかかった状態で保管されます。包装されているSCP-XXX-JPは包装紙とともに、未包装のSCP-XXX-JPは梱包用ビニルに密閉して金庫に収容してください。金庫のロックの解除にはセキュリティクリアランス3/XXX-JPが要求されます。
SCP-XXX-JP-Aは標準人型収容室にて収容されます。1日3回の食事のみを与え、その他の物品は支給しないでください。特にSCP-XXX-JP-Aが自傷に使うことができる物品が収容室内にないことに注意してください。SCP-XXX-JP-Aの人命の保護は収容における最優先事項です。
警察と連携してSCP-XXX-JPに関連した犯罪組織や個人、未収容のSCP-XXX-JPの調査と捜索を続けてください。サイト-81██から2kmの範囲には鉄条網を配置し、1kmの範囲には深さ10mほどの堀を用意します。出入りには跳開橋が使用されます。
説明: SCP-XXX-JPは異常性を持った植物由来の薬物です。色は白く、粉状の形態をとっています。SCP-XXX-JPの成分は大部分が未解明のままです。現在までに███kgのSCP-XXX-JPが収容されています。
SCP-XXX-JPを服用した際の影響はコカインに多くの点で類似しています。SCP-XXX-JPを摂取した際の主な症状は以下です。SCP-XXX-JPのs使用者をSCP-XXX-JP-Aとします。
段階 |
主な症状 |
備考 |
摂取直後(服用の初期段階) |
既存のアッパー系薬物と同様に、SCP-XXX-JP-Aの神経が刺激され、眠気や疲労感の解消、腕力や知力が増強されたように錯覚するなどの影響がでる。この影響は短期間で終了し、やがて疲労感の増幅や、脳機能の極端な低下などの作用が現れる。また、体全体や足に痙攣が生じ、動かなくなる事例が確認されている。 |
SCP-XXX-JPの快楽作用はおよそ1〜2分程度で終了する。類似した効果を持つコカインよりも遥かに短い期間で終了している。また、初期の摂取で既に重度の痙攣が引き起こされることは注目に値する。 |
依存期 |
初期の摂取後すぐに、SCP-XXX-JPに対する強い欲求が形成される。SCP-XXX-JPを服用しないと、冷や汗や手足の震えが見られ、軽度の幻覚が見え始める。SCP-XXX-JPを服用すると症状が収まり、神経の刺激による影響がもたらされるが短期間で無くなる。2、3度の使用でSCP-XXX-JPに対する耐性ができるほか、幻覚作用が強まる。服用を繰り返すたびに筋力と脳機能が著しく低下していく。 |
通常の麻薬同様、人間の顔や大量の虫が見える等の幻覚作用が報告されている。2、3度の服用で耐性がつき、SCP-XXX-JPの効果が弱まるため、より多くのSCP-XXX-JPを欲するようになる。 |
症状末期 |
依存期後の複数回の服用を経て、症状は最終段階に到達する。この段階になるとほとんどの症状が現れなくなり、筋力と脳機能が通常のレベルまで回復する。依存症状は治らないが、要求するSCP-XXX-JPの摂取量が増えなくなる。また人格が非常に攻撃的になり、物品や人に危害を加えたいという欲求が高まる。未知の方法によりSCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-Aの位置を正確に把握できるようになり、SCP-XXX-JP-Aには敵対しない。 |
既存の麻薬とは大きく異なったSCP-XXX-JPの症状。ある程度の服用後、ランダムな服用時に兆候なく症状末期の段階に移行する。SCP-XXX-JPへの依存を除けば、SCP-XXX-JP-Aは通常通り生活することが可能になる。SCP-XXX-JPの判別については、SCP-XXX-JP-Aへのインタビューにより「直感的にわかる」という証言が得られた。 SCP-XXX-JP-AがSCP-XXX-JPの他のSCP-XXX-JP-Aや提供者に従順になることが確認されているが、これはSCP-XXX-JPの影響ではなく単にSCP-XXX-JPに対する欲求や仲間意識から生じるものと判明。 |
症状について特筆すべき点として、SCP-XXX-JPの影響により死亡したSCP-XXX-JP-Aは今までに確認されていません。既知の麻薬とは大きく異なる点です。
他の異常性として、SCP-XXX-JP-Aは死亡時に激しく燃焼し、その後爆発します。確認されている最大規模の爆発はTNT火薬███kg分の威力でした。爆発のプロセスは未解明であり、研究が進められています。
現在までにSCP-XXX-JP-Aは██名収容されており、内2名は刑務所で拘留されていた者、その他は事案XXX-1において収容した者です。
インシデントXXX-1: SCP-XXX-JPは██ ██元死刑囚が死刑執行時に爆発の異常性を発現したことで発見されました。爆発による刑務所本棟への影響はほぼなかったものの、死刑執行に携わった関係者█名が死亡しました。財団が異常オブジェクトの影響とみて調査を実施。他の死刑囚の中にSCP-XXX-JP-Aとなっていた者がおり、その証言からSCP-XXX-JPの存在を認知するに至りました。その後██元死刑囚の経歴調査を経て、██県██市にある暴力団███の事務所にてSCP-XXX-JPを発見、収容に至りました。この時事務所は既に無人であり、SCP-XXX-JPに関する情報は得られませんでした。
以下はSCP-XXX-JPについて言及した███ ███元死刑囚(現SCP-XXX-JP-A-1)に対して行ったインタビュー記録です。
対象: SCP-XXX-JP-A-1
インタビュアー: エージェント・██
付記: まだ収容段階になかったため、SCP-XXX-JP-A-1は本名で呼称している。またエージェント・██は刑務官に扮装している。
<録音開始>
インタビュアー: では███、まずその麻薬を入手した経緯を教えてください。
SCP-XXX-JP-A-1: うーんと、多分ここに放り込まれる1年ぐらい前だったな。当時の俺は毎日のように酒に入り浸り、深夜に繁華街をうろついてたんだ。ネオンの光に照らされて歩いてたら、知らない男に話しかけられたんだ。そいつにもらったんだよ。
インタビュアー: 詳しく聞かせてください。
SCP-XXX-JP-A-1: かなり酔っ払ってたもんだから、あんまり覚えてないんだけどさ。そいつに唐突に白い粉が入った袋を渡されたわけ。どう考えてもヤバい薬とは思ったんだけど、どうせこのまましょうもない人生を送るくらいだったらと思って、それを受け取ったんだ。その後に吸ってみたらすげえ気持ちよくなったんで、気をよくしてその日はそのまま家に帰った。帰った後に薬の効果が切れちまった。部屋でずっと震えてたよ。どうしようもなく薬が欲しくなったし、これが依存症ってやつか、いよいよ俺も終わりだな、って思った。
インタビュアー: その後は?
SCP-XXX-JP-A-1: 繁華街で毎日あの男に会って、薬をせがむようになった。日に日に求める薬の量を増やしていったよ。今考えると不思議だけど、あいつ金を一切要求してこなかったなーーーで、しばらくの間、変な幻みたり震えてたりしたんだけど、ある日家で薬を飲んだ時、急にそれがなくなった。気持ちがすーっと穏やかになって、体が思うように動くようになってきたんだ。本当に気分が良くなったから、またあいつに薬をもらいに行こうとした。家を出て繁華街に向かったつもりだったんだが……。気づいたら道中で人を殴り殺してて、そのままここに連れてこられたんだ。
インタビュアー: なぜ██が薬を使用していると考えたのですか?
SCP-XXX-JP-A-1: 直感だな。薬飲んでからだけど、薬とか薬を飲んでるやつが大体どこらへんにいるのかがわかるんだ。なんでかはしらないし、説明もできないけど。
インタビュアー: なるほど…..。ご協力感謝します。必要な質問は全て終了しました。他に何か言いたいことはありますか?
SCP-XXX-JP-A-1: 特にないが….俺の勝ちだなって思うね。
インタビュアー: …どういうことです?
SCP-XXX-JP-A-1: ██が爆発したの見たろ?俺もああなるからお前らは俺を死刑にできない、違うか?いやーマジ助かるわー。薬くれた奴に感謝しねえとなぁ![大きな笑い声をあげる]
<録音終了>
終了報告書: インタビュー後、███死刑囚はSCP-XXX-JP-A-1として収容されました。また、SCP-XXX-JP-A-1の証言により██ █死刑囚もSCP-XXX-JP-Aであることが発覚、こちらはSCP-XXX-JP-A-2として収容しました。
補遺-事案XXX-1: SCP-XXX-JP-A-1、-2の収容後の20██/10/██に、██名ほどのSCP-XXX-JP-Aの集団がサイト-81██を襲撃しました。
集団はサイト入口の警備を突破した後、SCP-XXX-JP-A-1、-2の解放とSCP-XXX-JP及びSCP-██-JPの奪取を試みました。エージェントと機動部隊が出動、SCP-XXX-JP-Aとの交戦により█名が死亡、██体のSCP-XXX-JP-Aを殺害したことにより起こった爆発で██名が死亡しました。サイト-81██はその機能の40%を消失、一部のオブジェクトが収容違反を起こしました。2日後に事態の完全な鎮静に成功、SCP-XXX-JP-A-1、SCP-XXX-JP-A-2及びSCP-██-JPの奪取を阻止し、最終的に██名のSCP-XXX-JP-Aを確保しました。また、██名のSCP-XXX-JP-Aの逃亡と一部のSCP-XXX-JPの奪取を許しました。SCP-XXX-JP-Aの集団は能力を用いてSCP-XXX-JP-A-1、-2及びサイト-81██の場所を特定したとみられています。事案を受け、SCP-XXX-JPを奪われないよう、特製のダイヤル式大型収容金庫を作成しました。
事案XXX-1において、集団には明確な連携がみられたことが報告されています。財団はこの事案を受け、財団の存在を察知している団体であった可能性を考慮して調査を進めています。
補遺XXX-2 20██/09/02: 東京都██区の廃ビルにおいて新たに約20kgのSCP-XXX-JPを発見、回収しました。ビルは無人でしたが暴力団███、中華系マフィア██████、███████等の複数の犯罪組織に関連した物品が発見されました。引き続き調査が行われます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の標準物品収容室に保管されています。SCP-XXX-JPの直接の視認を避け、監視は収容室内のカメラを通して行ってください。
SCP-XXX-JP-Aは同じくサイト-81██の標準人型収容室にて収容されます。1日3回食事を給仕し、室内の衛生管理を行ってください。SCP-XXX-JP-Aの要求する物品は審議を行い問題がなければ支給してください。SCP-XXX-JP-Aに"オウムガイ"または"オウムガイ"に関連する物品を見せないでください。
全国███箇所の水族館にて、警備員に扮した機動隊員が"オウムガイ"が飼育されている水槽を常時監視します。SCP-XXX-JP-Aの出現を確認次第、SCP-XXX-JP-Aを確保します。非殺傷性武器の使用が認められています。
説明: SCP-XXX-JPは、大きさ1mの"アンモナイト"(学名:Ammonoidea)の仲間の化石です。約6500万年頃、白亜紀後期に生息していたものとみられています。
人間がSCP-XXX-JPを直接視認すると、認識災害に曝露します(認識災害の対象をSCP-XXX-JP-Aとする)。SCP-XXX-JP-Aは通常通り振舞いますが、"オウムガイ"(学名:Nautilidae)やそれに関する物品(以下、対象)を認識すると、対象に敵対的になり、人格や能力に変化が生じます。SCP-XXX-JP-A多くの場合、対象の殺害や破壊といった行動を行います。またSCP-XXX-JP-Aは異常に筋力が増強され、今までの人格とは異なった別人格として振舞います。対象の殺害や破壊行動を終えたあとは興奮が収まるため、別人格と対話をすることが可能です。一度受けたSCP-XXX-JPの影響は記憶処理によって除去できません。映像や写実を通じた視認によって影響が現れることはありません。
現在までに██人のSCP-XXX-JP-Aが発見、収容されています。
SCP-XXX-JPは200█/10/██に、日本国██県██市の██水族館の通報によって発見されました。当初の通報に対して警察が対応。現場ではSCP-XXX-JP-Aが、オウムガイの水槽をバールで殴打していました。駆けつけた警察官が制止を試みましたがSCP-XXX-JP-Aに振り切られ失敗しました。情報を得た財団が機動部隊を派遣、SCP-XXX-JP-Aを確保しました。財団が駆けつけた際、SCP-XXX-JP-Aは既に水槽のガラスを破壊し、中にいたオウムガイを殴打している最中でした。展示されていたオウムガイ4匹全てが殺害されています。このSCP-XXX-JP-AをSCP-XXX-JP-A-1として収容しました。
この後、収容したSCP-XXX-JP-A-1への尋問によりSCP-XXX-JPの存在が明らかとなりました。財団の捜索によりSCP-XXX-JPを発見、収容しました。SCP-XXX-JPは██博物館の倉庫にて回収され、200█/07/20から08/31まで展示されていた物品であることが確認されました。期間中の来場者数は███人であり、多くの一般人が曝露し、未収容になっている可能性があります。
以下はSCP-XXX-JP-A-1の収容時に行ったインタビューの記録です。
対象: SCP-XXX-JP-A-1
インタビュアー: ██博士
<録音開始>
インタビュアー: では、始めましょう。こんにちはSCP-XXX-JP-A-1。こちらからいくつか質問したいことがあります。
SCP-XXX-JP-A-1: 承知した。
インタビュアー: まず最初にあなたの素性をお聞きしたいのですが。
SCP-XXX-JP-A-1: 我は誇り高き海の戦士。崇高にして最上、唯一無二たる貝の一族の末裔である。
インタビュアー: なるほどーーーでは次に行きます。何故水族館で暴動を起こしたのでしょうか?
SCP-XXX-JP-A-1: 語るまでもなし。奴ら蛮族を一人残らず散らすが為。
インタビュアー: 蛮族、というのはオウムガイのことでしょうか?
SCP-XXX-JP-A-1: 左様。奴らは忌々しき異民族であり、我々の模倣に過ぎない。
インタビュアー: 何故そこまで彼らを憎むのでしょう?
SCP-XXX-JP-A-1: 奴らは脆弱で姑息な族。海の暗き深き所を好み、小人のみを仕留めて貪り生きる。故に、海の明るき所で誇り高く闘う我らこそが覇族であり、奴らが蛮族であることは必然たる理なり。だが古き時に、海は怒り狂い、煉獄が我らの故郷を襲い、我らは滅びてしまったーーーー敗北を喫したとはいえ、我らは勇敢に立ち向かい、最後まで闘い続けた。それに比べてどうだ。姑息な蛮族は深き所に逃げ隠れ、闘うことがなかった。奴らは誇りを捨てた臆病者だ!だのに奴らは生き永らえ、我らは滅びた。この屈辱を晴らさずして何とする!
インタビュアー: ここに来るまで、あなたは何かに満足しているような様子でしたが、何故でしょうか?
SCP-XXX-JP-A-1: 我は奴らを討つ使命を果たし、故郷と同胞達の古来からの恨みを晴らすことができた。当然のことである。時期に我が同胞達が目を覚まし、蛮族を討たんと立ち上がるだろう。奴らが滅びる日が近い。
<録音終了>
補遺XXX-1: 200█/08/21に、日本国██県██市、██博物館から通報がありました。情報から財団職員が駆けつけたところ、展示されていたアンモナイトの化石の破壊を試みていた不審者を発見しました。確保したところ、不審者はSCP-XXX-JP同様の認識災害に曝露しており、別人格とアンモナイトに対する敵対心が生じていました。。不審者の所持していた化石がS異常性を持っていることを特定。SCP-XXX-JP-1として確保し、収容しました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-81██の専用収容庫に保管されます。新たに回収したSCP-XXX-JPは収容庫上部の小ハッチから内部に投入してください。
担当職員は収容庫内の気温を常に5-10℃に保ってください。また、SCP-XXX-JPの直接の視認を可能な限り避けてください。オブジェクトの収容や有事の際には、10秒以上SCP-XXX-JPを視認し続けないよう注意して行動してください。
SCP-XXX-JPの無断使用は禁止されています。SCP-XXX-JPを用いた実験には担当博士の許可が必要です。
説明: SCP-XXX-JPは█████社の商品「██████ 100%」と類似した缶ジュース飲料です。パッケージの「100%」の部分が「30%」となっていること以外、SCP-XXX-JPと既存商品との外見上の違いは見られません。缶と内部の液体には成分上の異常は発見されていません。缶はアルミ製、液体は大部分が林檎の果汁によって構成されています。また、SCP-XXX-JPは常に自立した状態を保ちます。倒れた場合には未知のプロセスにより立ち上がります。
SCP-XXX-JPの異常性は、SCP-XXX-JPを直接視認し続けることで発現します。SCP-XXX-JPを視認した人間(以下、対象)は約30-50分の間、昏睡状態に陥り、意識の徴候がみられなくなります。この間対象の体温が上昇し、過度の発汗、血液中の塩分・糖分濃度の低下などの症状が現れます。また、SCP-XXX-JPは自身の温度を0-2℃に保ち続け、受けた損傷を再生するようになります。
意識を取り戻した対象は、SCP-XXX-JPを摂取したいという強い欲求を抱きます。また、場合によっては人格の変化がみられます。これらの作用にSCP-XXX-JPが関与しているかどうかは不明です。
これまでに█%の対象が、脱水症状等によって死亡しています。SCP-XXX-JPを摂取した対象の死亡例は確認されていません。
SCP-XXX-JPは日本国██県██市の████公園前で、多数の民間人が異常性に暴露したことで発見されました。消防に通報があり、救急隊が昏睡状態にあった全ての民間人を搬送、処置しました。搬送後に民間人がSCP-XXX-JPについて言及。駆けつけた財団が█████公園にて置き去りにされていたSCP-XXX-JPを確保、収容しました。また、SCP-XXX-JPは公園内の自動販売機にて販売されており、販売機からさらに18個のSCP-XXX-JPを回収しました。この収容違反の後、自動販売機からSCP-XXX-JPが発見される事案が多発しました。現在までに██個のSCP-XXX-JPが収容され、その内██が実験に使用されました。
現在まで、SCP-XXX-JPの製造元は未だ不明です。不特定の個人もしくは団体によってSCP-XXX-JPが自動販売機に補充されているとみられますが、その痕跡は見つかっていません。
以下はSCP-XXX-JPに対する実験で、重要とみなされたものの記録です。
実験記録XXX-1
対象: D-XXX-1
担当者: ██博士
実施方法: D-XXX-1にSCP-XXX-JPを視認させ、異常性に曝露させる。
<録音開始>
(D-XXX-1を目隠しした状態で実験室に入れる。)
██博士: ではD-XXX-1。目隠しを取り、部屋にある缶ジュースを眺めてください。
(D-XXX-1が目隠しを外し、司令どおりSCP-XXX-JPを視認する)
(18秒経過。D-XXX-1が倒れ、意識不明になる。)
██博士: D-XXX-1の意識の消失を確認。医療班は室内に入ってください。
(待機していた医療班が室内に入り、D-XXX-1の意識、体温、脈拍等を確認。血液を採取する。この間D-XXX-6の体温と脈拍が大幅に上昇。過度に発汗し始める。SCP-XXX-JPの温度は0℃を記録)
(医療班が退出)
(50分経過。D-XXX-1が意識を取り戻す。SCP-XXX-JPを認識した後、缶をしばらく観察、手に取り液体を摂取しはじめる)
D-XXX-1: [液体を飲み込む音]
(D-XXX-1がSCP-XXX-JPを飲みきる)
D-XXX-1: [吐息]
██博士: 意識の回復を確認ーーー聞こえますか、D-XXX-1。そちらの状[遮られる]
D-XXX-1: 高温下の運動で消費されるものは何だか知ってるか?博士。
██博士: ーーー質問の意図がわかりませんが。
D-XXX-1: まず、当然ながら水分。発汗によって確実に消費される。塩分もそうだ。塩分は汗によって体外に出て行ってしまう。最後に糖分。筋肉や脳をフルに活動させれば、その分だけ糖分は消費される。
██博士: D-XXX-1。まずは自分の状態を[遮られる]
D-XXX-1: つまりだ。疲労しきった肉体は、水分と、糖分を求めるようになる。脳はありったけの力を振り絞って電気信号を放ち、舌の味蕾が極限まで開かれて広がり、嗅覚は甘い香りだけを捉えて離さなくなるーーーこんな状態で視野に缶ジュースが入れば、飲まない奴はいない。まずは缶を手に取る訳だがーーーこいつはまず触覚に訴えてくる。缶に触れた瞬間、心地の良い冷気が手から入って、腕を伝わり、温まっていた体が徐々に冷やされていくーーー次に缶を持ち上げ、ジュースを飲もうとする。ジュースが口に入り込むまでのこのコンマ数秒、その一瞬の間に、えも謂れぬ熟した林檎の香りが鼻腔の隅から隅に広がってくる。嗅覚が最大限に刺激され、疲れによってぼやけていた視界が瞬時に現実を取り戻すーーージュースが口になだれ込んでくる。極限まで開いた味蕾に甘味がこれでもかと押し寄せ、味覚を心ゆくまで満足させる。喉の潤いが取り戻され、体内に入った糖分を体の全細胞が我先にと吸収し、じわじわと全身に活気がみなぎってくる。かろうじて生存していた脳が再び活動を始め、汗で歪んでいた世界がようやく元に戻っていくーーー間違いなく、最高のジュースと言えるだろう。
<録音終了>
実験記録XXX-6
対象: D-XXX-6
担当者: ██博士
実施方法: D-XXX-6にSCP-XXX-JPを視認させ、異常性に曝露させる。
<録音開始>
(D-XXX-6を目隠しした状態で実験室に入れる。)
██博士: ではD-XXX-6。目隠しを取り、部屋にある缶ジュースを眺めてください。
(D-XXX-6が目隠しを外し、司令どおりSCP-XXX-JPを視認する)
(21秒経過。D-XXX-6が倒れ、意識不明になる。)
██博士: D-XXX-6の意識の消失を確認。医療班は室内に入ってください。
(待機していた医療班が室内に入り、D-XXX-6の意識、体温、脈拍等を確認。血液を採取する。この間D-XXX-6の体温と脈拍が大幅に上昇。過度に発汗し始める。SCP-XXX-JPの温度は2℃を記録)
(医療班が退出)
(34分経過。D-XXX-6が意識を取り戻す。SCP-XXX-JPを認識した後、即座に缶を手に取り、液体を摂取し始める)
D-XXX-6: [液体を飲み込む音]
(D-XXX-6が液体を飲みきる)
D-XXX-6: [吐息]
██博士: D-XXX-6の意識の回復を確認ーーーD-XXX-6、聞こえますか。今の自分の状態を詳細に報告してください。
D-XXX-6: なあ博士。俺は今どのくらいこいつを飲んだんだ?
██博士: まるごと1缶飲み干しましたよ。それがどうかしましたか?
D-XXX-6: そうかーーーーー
(D-XXX-6が自分の頭を強く床に打ちつけ始める)
██博士: D-XXX-6!何を[打撃音]るんですか!今すぐにやめ[打撃音]ーーー医療班、室内に[打撃音]てD-XXX-6を制止してくださいーーー
D-XXX-6: お、お、俺は、[打撃音]んとか、母ちゃんを殺したーーー俺[打撃音]やつが、の、飲んでい[打撃音]ゃねえ、一口たりともーーーこ、これは[打撃音]神のーーーー
<録音終了>
付記: D-XXX-6は医療班が制止、現在は意識不明。
実験記録XXX-12
対象: D-XXX-12
担当者: ██博士
実施方法: D-XXX-12にSCP-XXX-JPを視認させ、異常性に曝露させる。
<録音開始>
(D-XXX-12を目隠しした状態で実験室に入れる。)
██博士: ではD-XXX-12。目隠しを取り、部屋にある缶ジュースを眺めてください。
(D-XXX-12が目隠しを外し、司令どおりSCP-XXX-JPを視認する)
(20秒経過。D-XXX-12が倒れ、意識不明になる。)
██博士: D-XXX-12の意識の消失を確認。医療班は室内に入ってください。
(待機していた医療班が室内に入り、D-XXX-12の意識、体温、脈拍等を確認。血液を採取する。この間D-XXX-6の体温と脈拍が大幅に上昇。過度に発汗し始める。SCP-XXX-JPの温度は0℃を記録)
(医療班が退出)
(42分経過。D-XXX-12が意識を取り戻す。SCP-XXX-JPを認識した後、缶を手に取って眺め出す)
D-XXX-12: 高さ17cm幅8cm、アルミ製の缶、厚さ0.2mm、全重量210gーーー
██博士: D-XXX-12の意識の回復を[遮られる]
D-XXX-12: 黙っててください!缶開けはタイプビー、[音が小さいため判読不能]、[判読不能]ーーー
(D-XXX-12がSCP-XXX-JPを開ける)
D-XXX-12: 内容量200ml、容量2[判読不能]、内部空間対液体比[判読不能]%、内部気圧は[判読不能]ーーー
(D-XXX-12が流涕し始める)
██博士: 何かありましたか。D-XXX-12。
D-XXX-12: 私は、私はこの作品の作者に会いたいです。完璧な液体重量比、体積比により缶は自立を保ち、気圧による開封時の風は秒速10m/sに調整され、最適な匂いの拡散を演出しているーーーこれは数学の美そのもの。匠の産物にして美の極致。これを飲むなど天地がひっくり返ろうとできませんーーー
(D-XXX-12が倒れる。意識が消失)
██博士: 医療班!速やかに処置を!
<録音終了>
付記: D-XXX-12は脱水症状により死亡した。実験直前の知能テストで、D-XXX-12は水準以下の成績を記録している。