pumpkin1234
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アイテム番号: SCP-1047-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 現在SCP-1047-JPはサイト-81██の高気密性収容ロッカーに保管されています。収容ロッカーは常に施錠されています。

・SCP-1047-JPを接触する。
・SCP-1047-JPを水に接触させる。

以上2項目が起こらないよう注視してください。
当該オブジェクトを用いた実験を行うには担当博士の許可が必要です。

説明: SCP-1047-JPは液体の水の性質を保持した無色透明の固体です。

実験により、SCP-1047-JPは水と同じ沸点・融点、密度、屈折率、温度変化率を有することが確認されました。また、SCP-1047-JPは摂氏0度において通常の氷に変化し、摂氏100度において通常の水蒸気に変化しました。状態変化後の物質には異常性は見られません。

この性質にもかかわらず、通常時のSCP-1047-JPは一定の形を保っており、流動性や物質が溶解する様子はなく、固体のように振る舞います。SCP-1047-JPは柔らかく、弾性が小さいため、人力で変形させることができます。また、粘性は小さいです。実験において、研究員から「小麦粉と水を混ぜて作った生地のようである」と報告されています。

Dクラスを用いた実験により、SCP-1047-JPは問題なく摂食できること、「味」があることが報告されています。

SCP-1047-JPは水のみで構成されており、味覚を刺激する物質や栄養源は含まれていません。SCP-1047-JPが味を有している、栄養源となる理由は今の所不明です。

補遺1047-1: 実験1047-2の実施後、D-001-1047(以下、対象)が昼食をとった際に対象が食物を摂取できなくなっていました。昼食の際、摂食するとすぐに対象は食した食物を全て嘔吐しました。昼食の飲料については問題なく摂取できました。

精密検査の結果、対象は胃運動機能不全に似た症状に罹っていることが判明しました。胃運動機能不全とは、胃の蠕動運動や胃酸の分泌といった機能が著しく低下し、食道から運ばれた食物を即座に口へと戻すようになる病です。通常の胃運動機能不全では、液体も排出されますがD-001-1047はあらゆる飲料茶や、砂糖を含むコーラ等に当てはまらない、植物が原料として使われていない飲料とSCP-1047-JPのみ問題なく摂取でき、固形の食物は摂取できませんでした。この異常性のもつ危険性から、SCP-1047-JPが病を発生させる原因を突き止めることが当該オブジェクトの分析における最優先課題となっています。

他のSCP-1047-JPの異常性として、液体の水1がSCP-1047-JPに接触すると3〜4時間ほどかけてSCP-1047-JPに変化していきます。変化した水はもとのSCP-1047-JPと吸着し、一体となります。大規模な収容違反につながる恐れがあるため、このプロセスの進行を食い止めるための実験が進められています。

インシデント1047-1: SCP-1047-JPは長野県██村の住人からの「変なもので川がせき止められている」という通報があったことで発見されました。発見されたSCP-1047-JPは自身の異常性によって量が███kgまで増しており、河原に打ち付けられていました。駆けつけた財団職員によりSCP-1047-JPは██村付近の山間部の川の中腹で発見、回収されました。通報から回収までの時間が短かったことから大規模な収容違反は起こりませんでした。

SCP-1047-JPの出現場所をたどるべく、川の上流の調査していた財団職員が山間部で建築物を発見、内部で複数のSCP-1047-JPを発見、回収しました。建築物は比較的新しく、無人で、研究用の機器や薬品、書類が散見されました。
また、建築物には「動植物愛護団体██████会 ██研究所」と書かれた表札が確認されました。SCP-1047-JPがこの██████会によって作成されたと見て、関係者の捜索が進められています。

補遺1047-2:建築物内で発見された読解可能な文書の一覧です。発見された大半の文書は、焼却されており読解不可能でした。

19██/02/13
プロジェクト初日。会長から新しい飲料を作るよう要請が下った。新しい研究施設と助手数名、数々の薬品や材料、そして新参者の私のために、"水食"と呼ばれる飲料のサンプルを準備してくれた。会長は私の手腕を見込んでくれている。期待に答え、生命を救う使命を全うしたい。

19██/02/15
"水食"のサンプルを分析、そして摂取してみた。どれも必要最低限の栄養とエネルギーを摂取できるよう精巧に作られていて、好奇心を駆り立てられた。本当によくできている。味もいい。会員がこれのみで生活できるのも納得だ。
正直これだけあれば十分なんじゃないかと思ったが、欠点を見出した。満腹中枢を刺激しないから、満足感がない。当たり前の話だし、我々の使命に比べれば我慢の範疇であるが、最終的にこれを摂取する生活を一般市民に定着させるという目的を鑑みれば重大な欠点だ。多分この組織の人間は食物を噛みしめる感覚の重要さを理解していない。飲料ではなく、固形の食品を作る必要がある。

19██/03/10
柔らかさと取得のしやすさから、思い切って水を固形化することにしてみた。もともと固体の無機物であるものを摂取可能にすることも考えたが、いささか有害なものが多いし、何より、水自体で作った方が組織の理念にそうだろう。飲料に慣れきった会員たちにも問題なく定着するはずだ。助手たちに「難しいのでは」と言われたが、やってみる価値はある。

19██/06/14
試行錯誤してようやく第一段階をクリアした。試験薬の中にあった████████、████████████を混ぜ合わせ、水と配合してみるとわずかに固まり始めた。有害性のある物質でもないだろうから、食すことができた。まだ水っぽいが、少しだけ食感がある。改良すれば良くなるだろう。

19██/08/22
ようやく十分に弾力を持たせることができた。パン生地に似た食感だ。よく伸びる。第二次段階として、栄養源となるよう調整を始めていきたいと思う。

19██/08/24
第二次段階が終了した。もともと組織が作ってあった"水食"作成のプロセスを元に、提供された試薬を投与したところ案外にも早い段階でうまくいった。十分に糖やアミノ酸、脂肪を配合しているし、食感も元のままだ。よくわからないが、幸運なことにちょっとばかし味が付いているようだ。これで組織に提供しようと思う。

19██/09/02
組織幹部から郵送物が届いた。「試作品の実用性が認められたので、説明に従って"プロトコル"を実行せよ。」とのことだ。郵送物には説明書と見たことのない粉状の薬品が入っていた。説明書によると、"プロトコル"とは正式に"水食"として組織で利用するための「仕上げ」だそうで、水食に薬品を添加することでゆくゆくは食肉、菜食を是正することにつながるらしい。早速薬品を私の制作物に練りこんだ。見た目や味も変わらないが、大丈夫だろうか。とりあえずもう一回組織に送ってみる。

19██/09/07
会長から再度連絡があり、最大級の賛辞を受けた。会員たちはまったく新しい"水食"を高く評価したらしく、来月あたりに私の水食が利用されることが決まった。喜ばしい限りである。会長が上級研究員の席を用意してくれた。今日でこの研究所を放棄して、本部の研究施設で働くことになる。今日から全く新しく、輝かしい生活のスタートだ。水食でも食いながら向かうとしよう。

生命を有するものには等しく権利が与えられている。よってそれを食してはならないし、我々は全力を尽くしてそれを避けなければならない。研究は終わらない。