Agent Roro's Warehouse
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SCP-xxxx-JP内部を走行する列車内から撮影した写真

アイテム番号: SCP-xxxx-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-xxxx-JPへの進入口がある部屋を含むマンション施設は、現在フロント企業1によって所有されています。該当の進入口であるクローゼット周囲にはカント計数機と2台のスクラントン現実錨(SRA)が設置されます。担当職員は計数機とSRAのメンテナンスを行い、クローゼット周囲のヒューム値を計数機によりモニタリングして下さい。既定値(0.95 ~ 1.05Hm2)を超えるまたは下回るヒューム値が計測された場合、SRAを必要な台数起動してヒューム値を規定値に維持して下さい。実験・探査時以外におけるSCP-xxxx-JP内部への進入は許可されません。また場合を問わず、進入した人員の救助は行われません。

説明: SCP-xxxx-JPは██県██市内のマンション██████ 202号室内にある寝室のウォークインクローゼットから通じている異常空間です。本来のクローゼット内は幅1.5m、奥行き2.5mの空間になっているはずですが、SCP-xxxx-JP内部にはこれより遥かに巨大な空間が形成されています。

SCP-xxxx-JPに接続するクローゼットを開くと、中には暗闇が広がっており、照明を用いても何も視認できません。その中に進入して歩行すると、足元には水平で硬質な床があることを知覚できますが、これも照明で照らすことができず、殆どの光・電磁波を吸収してしまうものと見られます。

クローゼットが閉じられると、SCP-xxxx-JP内部からはドアが完全に消滅します。その後2~3分経過すると、その場に列車(以下SCP-xxxx-JP-T)が出現し、乗車口が開きます。この列車は過去JR線において利用されていた███系車両と酷似していますが、以下の様な相違点が確認されています。

  • 架線が設置されていない場所で走行可能である。
  • 前述の暗闇内から抜けるまでに限って線路が設置されていないが、ここでも走行可能である。
  • 運転士が存在せず、自動運転機能が確認できないにも関わらず、駅のホームにて自動的に発車・停止する。
  • 行先表示用の電光板が点灯しない。
  • 路線図・車内広告は一切存在しない。貼り紙は乗客への標準的な諸注意を示すもののみ存在。
  • 車体の着色部位の色は黒色で統一されている。

また、SCP-xxxx-JP-Tに他の乗客が搭乗していた事例は確認されておらず、SCP-xxxx-JP内部にて新たに乗り込んでこようとする存在も確認されていません。

SCP-xxxx-JP-Tが走行を始めて5分30秒経過すると、対象は地下のトンネルから抜ける様にしてSCP-xxxx-JP内部における"地上"へと移動します。その後、SCP-xxxx-JP-Tは広い草原地帯を通過していきます。この草原地帯の規模は不明ですが、気候は温帯に近く、天候は常に安定しています。季節の変化は確認されず、ぞれでいて植生等はその影響を受けることなく秋頃に見られる状態を保ち続けています。

SCP-xxxx-JP-Tは地上に出て以降は線路の上を走行しますが、線路は一本しか設置されておらず、進行方向は一方通行となっています。線路沿いには不規則な間隔で駅が設置されています。駅施設の規模や状態は様々であり、SCP-xxxx-JP-Tの到着順にそれぞれSCP-xxxx-JP-1~4に指定されています。これらの駅周辺には中小規模の建造物や街が存在しており、一部にはヒト型実体が活動している地帯も確認されています。駅にてSCP-xxxx-JP-Tを降車すると、対象は再び発車して駅を離れますが、1時間程度の間隔で別のSCP-xxxx-JP-Tが同じ進行方向で駅に到着します。

SCP-xxxx-JP内部は、SCP-xxxx-JP-1から-4の方向に移動する程にヒューム値が希薄になっており、0.998 ~ -2.20×104Hm以下の値までが計測されています。SCP-xxxx-JP-TはSCP-xxxx-JP-4より先まで走行している様ですが、これ以降ヒューム値が極端に低くなる為に観測は困難を極めることから、-4以降の行き先は現在も不明です。

[collapsible show="+ 探査ログxxxx-JP-A - 日付2019/██/11" hide="- 閉じる"]

対象: SCP-xxxx-JP

被験者: D-20363

実施方法: 対象に長距離通信機、ストリームカメラ、GPS、携帯型カント計数機、懐中電灯、7日分の水分と食料、現金5万円をそれぞれ装備または所持させ、SCP-xxxx-JP内部へと進入させる。各種機器によるデータ収集を行いながら、通信機によって被験者に指示を出し、探査を行わせる。

<録音開始>

D-20363がSCP-xxxx-JP内部に進入し、クローゼットが閉じられる。

竹内研究員: こちらは竹内研究員です。D-20363、聞こえれば応答して下さい。

D-20363: ええ、よく聞こえる。

カント計数機は0.998Hmの値を示している。

竹内研究員: まず周囲に何が見えるかを報告して下さい。

D-20363: 言われた通りに真っ暗だけど、自分の身体は薄っすら見える。何でかしら……

竹内研究員: 他に何か気付いたことはありますか?

D-20363: そんな風に感じるだけだけど、ここ、かなり広いみたい。あと少し寒い。懐中電灯は……点いたけど、やっぱり自分の身体以外何も見えない……床も。まるで何処かに浮いているみたい。

竹内研究員: 何か遠くに見えませんか?

D-20363: うーん、何も……いえ、待って。

D-20363が振り向いた先から光が接近してくる。D-20363の近くまで来ると、それがSCP-xxxx-JP-Tであると判別できる。対象はD-20363の隣を通過しながら減速し、停止する。

D-20363: ……電車ね。言われてはいたけど本当に来るなんて……

竹内研究員: 電車の外観を報告して下さい。

D-20363: ええと、悪いけどJRの列車っぽいことしか判らない。あと塗装のラインが黒色ね。レールも電線も無いのに走ってきた。行き先も表示されてないみたい……何か不気味な感じがする。

竹内研究員: 電車に乗り込めますか?

D-20363は搭乗口の縁に手を掛け、よじ登って車内へと入る。

D-20363: 何とか入れたみたい。

竹内研究員: 車内の様子はどうですか?

D-20363: 何も無いし、誰もいない。広告も何も無い。床には埃1つも……

搭乗口のドアが自動的に閉まり、SCP-xxxx-JP-Tが発車する。

D-20363: ちょっと……[溜息]……閉じ込められたみたい。

竹内研究員: わかりました。先頭の車両まで移動できますか?

D-20363: ええ、行ってみる。

D-20363は先頭車両まで移動し、運転席のドアを発見する。

D-20363: 残念だけど、誰もいないみたい。ドアも開かない。

竹内研究員: 分かりました。では座席に座っても構わないので、そのまま様子を見て待機して下さい。何か変わったことや気付いたことがあれば報告して下さい。

D-20363: ええ……えっと、この持たされたカロリーメイトは食べてもいいの?

竹内研究員: 今日の昼食の分が無くなっても良ければ、構いません。

約4分後、電車が"地上"に出る。映像の上では列車がトンネルから出た様に見える。カント計数機は0.997Hmの値を示している。

D-20363: 何処かに抜け出せたみたい……わあ。

竹内研究員: 何が見えますか?

D-20363: 窓の外に広い草原が見える。凄い……地平線まで続いてる。それに、見えないけどちゃんと線路もあるみたい。

竹内研究員: 草原の他には何か見えますか?

D-20363: 木がポツポツ立ってるくらいかしら………獣道みたいなものもあるけど、誰かがいる様には見えない。家も田んぼも無いし……本当に草だけ。

約20分後、列車はSCP-xxxx-JP-1に接近している。

D-20363: あ、ようやく何かある所に近付いてきたみたい。降りればいい?

竹内研究員: そうして下さい。

列車がホームに到着する。D-20363が降車すると、間も無くドアは閉まり、列車が発車する。空には夕陽が差し始めている。カント計数機は0.996Hmの値を示している。

D-20363: 行ってしまったけど、また来るのかしら。

竹内研究員: 分かりません。とりあえずは周囲を探索してみて下さい。駅から出られますか?

D-20363: ええ、ホームと屋根があるだけで改札も無いし、このまま降りれば良さそう……近くに街頭と石畳の道があるから、辿ってみる。

D-20363が道を歩いていくと、豪邸の様な外観の建造物が現れる。

D-20363: 何かしら。

竹内研究員: 邸宅の様に見えますが、ヒト等の存在は確認できますか?

D-20363: 今のところは特に。

建造物の前にある看板には"SQUIRREL COAST HOTEL"と書かれている。

D-20363: 何かしら。すくい……すきれる……コーストホテル?ホテルなのね。海岸どころか池1つ見当たらないけれど……

竹内研究員: なるほど。そのホテルの中には入れますか?

D-20363: あそこにドアがあるから、入れると思う。

D-20363がホテルのドアを開け、中に入る。

D-20363: 少し埃っぽいけど、明かりも灯ってるし、誰かいるのかしら。

竹内研究員: 照明は電気でしょうか。

D-20363: いえ、蝋燭みたい。壁とかインテリアの雰囲気も古風な感じで……[言葉を詰まらせる]

竹内研究員: どうかしましたか?

D-20363: 何か聞こえる……機械っぽい、カチャカチャした音というか……

D-20363の右方面からリスの外見を模したアニマトロニクス(以下SCP-xxxx-JP-1-a)が現れ、歯車が軋むような音を発しながらD-20363に接近してくる。

SCP-xxxx-JP-1-a: [乱れる機械音]どうもこんばんは。スクウィレル・コースト・ホテルにようこそ。

D-20363: え、ええ……どうも。貴方は何?ロボット?

SCP-xxxx-JP-1-a: [乱れる機械音]私はこのホテルにてメイドを務めさせて頂いております、リズと申します。お客様をお部屋までご案内させて頂きます。お荷物をお持ちします。

竹内研究員: D-20363、その対象にバックパックを渡してはいけません。

D-20363: あ、えっと、荷物は自分で持てるから結構よ。

SCP-xxxx-JP-1-aは少し首を捻るような動作をした後、再び発声する。

SCP-xxxx-JP-1-a: [乱れる機械音]分かりました。では、お部屋をご案内します。

SCP-xxxx-JP-1-aは背を向けると階段に向かって移動し始める。

D-20363: ついて行って大丈夫かしら。

竹内研究員: とりあえずはSCP-xxxx-JP-1-aの後を追い、様子を観察して下さい。

D-20363とSCP-xxxx-JP-1-aはホテルの2階へと移動。D-20363はその階の"201号室に案内される。

SCP-xxxx-JP-1-a: [乱れる機械音]こちらがお客様のお部屋でございます。どうぞおくつろぎ下さい。

D-20363: あ、ありがとう……あの、料金とかはどうすれば?

SCP-xxxx-JP-1-a: [乱れる機械音]ご心配ありません。お客様からのお代金は不要です。

D-20363: そうなの?でもここ、ホテルなんでしょ?

SCP-xxxx-JP-1-a: [乱れる機械音]実を申し上げますと、もうこのホテルは営業しておりません。しかし、私もホテルにおいてお客様をもてなす為、ここでご奉仕しております故、遥々お越し下さったお客様をもてなしたいのでございます。

D-20363: はあ……ねえ、研究員さん。あのリスさんのお言葉に甘えていいのかしら。

竹内研究員: 分かりました。では、そのホテルを休憩地としましょう。ただし、そのホテルと周辺、そしてリス型ロボットについての調査も今日中に行って下さい。

D-20363: 分かったわ。じゃあその、リズ?今日はここに泊まらせて貰うわね。

SCP-xxxx-JP-1-a: [乱れる機械音]ありがとうございます。ごゆっくりおくつろぎ下さい。夕食のご用意ができましたら、お部屋にお声掛けに参ります。

D-20363: ええ、ありがとう。

<中略>

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