アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはアクリル製の飼育ケージに入れた状態で小型生物用収容室に保管されています。食事として一日に100g以上の銅板を与えてください。SCP-XXX-JPが脱走したことが確認された場合、サイト-81██敷地内での車両の運転をすべて禁止したうえで捜索及び捕獲活動が進められます。
サイト外部にてSCP-XXX-JPが原因とみられる交通事故が発生した場合は、関係者に記憶処理を施したのち、カバーストーリー「野生動物との接触」を適用します。その後、周辺の捜索を行い、SCP-XXX-JPを発見次第収容してください。SCP-XXX-JPを発見できなかった場合は、周辺地域に殺虫剤を散布した後、一定期間周辺の自動車道で、工事を理由とした速度制限を実施し、更なる事故の発生を防ぐ事が義務付けられています。事故車両を撤去する際は、必ず財団職員が立ち会い、SCP-XXX-JPが車体に潜んでいないかを確認したうえで撤去作業を行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは、外見がハエトリグモ(Salticidae)と近似した未知の種類のクモです。SCP-XXX-JPが一般的なクモと大きく異なる点として、金属を栄養として摂取することが挙げられます。また、ハエトリグモの原種とは異なり、巣を利用した狩猟活動を行います。後述の習性上、二つの壁、もしくは二本の柱の間に数本の糸を渡す、という独特な形状の巣を張ることが確認されています。
SCP-XXX-JPの野生の個体は██県内のごく狭い範囲に分布しており、現在のところ財団はSCP-XXX-JPの全個体を収容しきれていません。もしSCP-XXX-JPが都市部にまで生息域を広げた場合、交通や住民の生活に大きな被害をもたらすことが予測されるため、財団はSCP-XXX-JPの生息域の拡大を防ぐことに力を注いでいます。
SCP-XXX-JPの糸は、接触する物体の速度に応じてその性質を大きく変えます。接触する物体が人間が歩行する程度の速さだった場合では、SCP-XXX-JPの糸は一般的なクモの糸と同様の強度を持ちます。接触する物体の速度が時速60㎞を超えると、SCP-XXX-JPの糸は硬質化し、接触した物体は糸に衝突する形で停止します。接触する物体の速度が時速100㎞を超えると、SCP-XXX-JPの糸は接触した物体を切断する程の強度を持つようになります。糸の成分からは幾つかの種類の金属が検出されており、SCP-XXX-JPは、摂取した金属を混ぜ込むことで糸を硬質化させているものと見られますが、接触する対象の速度によって硬度が変わるメカニズムについては明らかになっていません。SCP-XXX-JPはこの糸の性質を利用し、通行する自動車、および自動二輪車を停止、損壊させ、食料である金属を手に入れるという狩猟活動を行うことが明らかになっています。
SCP-XXX-JPは、██県██市内において連続して起こった不審な交通事故がきっかけとなり財団に発見されました。いずれの事故においても、事故車両は大きく損傷しているものの、付近のガードレールに衝突の痕跡はなく、また対向車両の通行もなかったことが確認されています。一連の事故の中で財団が特に注目したのは、自動二輪車に乗っていた成人男性が頭部の切断により死亡した一件でした。調査の結果、死体の切断面がほぼ完全な平面であること、ヘルメットには何かに衝突した形跡が一切見られない事、などの異常な事実が明らかになりました。詳しい調査のため、研究チームが車両で現場に向かった所、現場付近にてSCP-XXX-JPの糸に衝突、█名が負傷しました。その際、研究員の一人が糸の持つ異常性に気づき、サンプルを確保しました。その後、糸の成分の分析を行った結果、事故に関わっているのが付近に生息するSCP-XXX-JPであることが明らかになりました。
補遺: SCP-XXX-JPは、そのほとんどが██県の██山付近において発見されています。本来、SCP-XXX-JPは元鉄鉱山である██山内に生息していたようです。その後、鉱石の枯渇により鉄鉱山は閉山、それに伴いSCP-XXX-JPは現在の範囲まで生息域を広げたものと見られます。当時の鉱山の従業員にインタビューを行ったところ、レールの損傷によるトロッコの脱線事故が相次いで起こっていたこと、その際、積載していた鉱石の一部が消失し、発見されなかったことが確認されています。SCP-XXX-JPは、車両を停止させることで金属が手に入ることを学んでおり、現在もその経験に基づいた狩猟活動を行っているようです。
事案XXX-1 日時: 20██/08/22
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは10cm×10cm×10cmの密封された容器内に収納されています。この時、機械によって容器を常に回転させることで、SCP-XXX-JPが停止しない状態を保ってください。もし、SCP-XXX-JPがある面を上にして停止していることを確認した場合、遠隔操作、もしくはDクラス職員を用い、上記の状態を回復してください。Dクラス以外の財団職員が許可なくSCP-XXX-JPと物理的に接触することは禁止されています。
説明: SCP-XXX-JPは、2cm×2cm×2cmの正六面体のダイスです。内部に未知の機械が埋め込まれていることがX線撮影により確認されました。現在、財団は3個のSCP-XXX-JPを収容しています。SCP-XXX-JPは、連続して2回以上転がされた(SCP-XXX-JPが360度以上回転した後静止する、という一連の動作が「転がされた」と認識されるようです。)際に異常性を発揮します。SCP-XXX-JPは、自身が6回転がされるまでの間一度出た目が再び出ることがなくなり、各目が出る確率について常に最小の試行回数で確率が収束する結果になります。また、SCP-XXX-JPが転がされたとき、停止した時点でSCP-XXX-JPに触れていた一定以内の体積の物質は消滅する場合があることが確認されています。
SCP-XXX-JPは、██県██市内にある非合法な賭博場から発見されました。賭博場は20██/██/██に摘発され、その際に警察が証拠品の一部としてSCP-XXX-JPを押収しました。その後、地元警察署に潜入していたエージェントがオブジェクトの特異性に気づいたため、関係者に記憶処理を施した後、SCP-XXX-JPを回収しました。賭博場を運営していた██ ██氏について、要注意団体に所属していた事実はありませんが、██ ██氏と要注意団体の間に不穏な資金の流れがなかったかについて調査が続けられています。
実験記録XXX-1 日時: 20██/03/24
内容: D-XXXXがSCP-XXX-JPを120回転がす。
結果: 各面が上になった回数は20回ずつであった。6回ごとの試行においても、各面が1回ずつ上になる結果が出た。
分析: 6回ごとの試行において確率の収束が起こる確率はおよそ1.54%、それが20回続く確率はおよそ5.86×(10)-37%であり、この結果が偶然であるとは考えにくい。
実験記録XXX-2 日時: 20██/03/24
内容: SCP-XXX-JPの「4」の面に半球形の樹脂を接着。その後D-XXXXがSCP-XXX-JPを6回転がす。
結果: 1回目の試行では「5」が上になる。2回目にSCP-XXX-JPが転がされた際に樹脂が消滅し、「3」の面が上になる。消滅した樹脂は、サイト内部にて捜索が行われるも、発見されることはなかった。
分析: 転がることを阻害するものは強制的に消滅させられるのだろうか。SCP-XXX-JPに働いているのは重力のような物理的な力ではないらしい。消滅した樹脂についてはサイト外部の捜索も必要だろう。
事案XXX-1 日時: 20██/03/24
実験記録XXX-2の直後、「4」と「5」の面に同様の樹脂を貼り付けてSCP-XXX-JPを転がす実験を行った。D-XXXXがSCP-XXX-JPを転がしたところ、突如D-XXXXと外見、服装が全く同じ人物がSCP-XXX-JPをつかんだ状態で出現。同人物はSCP-XXX-JP-1に指定された。D-XXXXおよびSCP-XXX-JP-1は非常に混乱する様子を見せたため実験は中止、両者には鎮静剤が投与された。その後、SCP-XXX-JP-1へのインタビューにより、SCP-XXX-JPが平行世界に干渉している可能性が浮上した。
インタビュー記録XXX 日時: 20██/03/24
付記: SCP-XXX-JP-1に対しては事案XXX-1の映像記録を見せ、自分が瞬間移動したことを理解させたうえでインタビューを行っている。
<インタビュー開始>
研究員: もう、落ち着かれましたか。
SCP-XXX-JP-1: …いえ、やはり、まだ…
研究員: 無理もありません。
SCP-XXX-JP-1: でも、大丈夫です。質問に答えるくらいなら。
研究員: わかりました。ではインタビューを始めます。
SCP-XXX-JP-1: (深呼吸)
研究員: あなたの名前はなんですか?
SCP-XXX-JP-1: ████(D-XXXXの本名)です。
研究員: あなたは実験室内に移動してくる直前にはどこにいましたか?
SCP-XXX-JP-1: :さっきのところ…移動した後の実験室と同じような部屋にいました。
研究員: 何をしていましたか?
SCP-XXX-JP-1: サイコロを転がしていました。…その後、転がしたサイコロを指でつまんで止めるように命令されたんで、言うとおりにしました。
研究員: :そのサイコロはなんと呼ばれていましたか?
SCP-XXX-JP-1: SCP-…えー…X…X…?
研究員: 結構です。あなたは、SCP-XXX-JPを用いた実験に参加していたということで間違いありませんね。
SCP-XXX-JP-1: はい。
研究員: 我々は「向こう」の実験室は、こちらの実験室とは別の世界のものだと予想しています。あなたはどう思いますか?
SCP-XXX-JP-1: …よくわかりません。はっきり違うとわかるのは僕が一人いるのか二人いるのかって部分だけです。
研究員: そうですか。…「向こう」の実験では何か変わったことは起こりませんでしたか?あなたが瞬間移動したことを除いて。
SCP-XXX-JP-1: そうですね…一回だけ。なんだか、丸っこいおかしなものがサイコロにくっついてました。白衣の人がひっぺがして色々調べてましたね。
研究員: その「おかしなもの」の色は黒でしたね?
SCP-XXX-JP-1: え?…はい、そうです。
研究員: 接着に使われていたのは両面テープでしたね?
SCP-XXX-JP-1: は、はい…間違いありません。でも、何故知っているんですか?
研究員: 後ほど説明します。サイコロの出目について気になる点はありましたか?
SCP-XXX-JP-1: …なんだか不自然だな、と思いました。まるで完璧主義の誰かが順番を決めてるみたいな…
研究員: わかりました。実験に関する質問は以上です。
SCP-XXX-JP-1: …僕はあのサイコロに触っていたからサイコロごと、ここに来てしまったんですよね?
研究員: まだ詳しいことはわかりません。
SCP-XXX-JP-1: もう一度サイコロに触って瞬間移動すれば元の場所に…
研究員: 答えることはできません。
<インタビュー終了>
同様の実験室にて同様の実験を行っていたという点から、SCP-XXX-JP-1が移動してきた場所は、現世界の平行世界であり、SCP-XXX-JP-1は平行世界のD-XXXXであると見られます。また、「おかしなもの」は実験2において使用した樹脂とほぼ同一のものである事がSCP-XXX-JP-1の証言からわかっています。よってSCP-XXX-JPは、転がされ特定の面が上になった瞬間に自身と平行世界の自身とを入れ替えることにより、出目を操作し確率を収束させている、との結論が出されました。移動が行われる際にSCP-XXX-JPに触れていた一定以下の体積の物質は、SCP-XXX-JPと共に平行世界間を移動するようです。今回の場合、実験の内容が決定した段階でこの世界において「3」の目が出ないことは確定していたため、実験内容を決める段階で分岐した平行世界、つまり別の実験が行われていた平行世界との入れ替えが起こったと考えられています。SCP-XXX-JP内部の機械は平行世界の状況を感知する、平行世界間を移動するといった機能を持つ可能性があるとして、財団の技術班が機械の再現を試みましたが、いずれも失敗に終わっています。
事案XXX-2 日時: 20██/03/25
SCP-XXX-JPは実験後、20██/03/24に「5」の面が上になった状態で収容コンテナの底部に固定された。しかし、 20██/03/25には「3」の面が上になっていたことが職員により確認され、固定に使われていた器具は消失していた。
この事案については、平行世界にてSCP-XXX-JPを用いた実験が行われ、SCP-XXX-JPが確率を操作するために「5」の面を必要とし、入れ替えが行われたものと推測されます。この世界でSCP-XXX-JPを転がさなかったとしても、平行世界からの干渉を止めることはできないとして、収容プロトコルの改定が行われました。現在では、SCP-XXX-JPの特定の面が上になったという結果を出さないことで平行世界からの干渉をシャットアウトすることに成功しています。
・たぶん没
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPに関する情報はレベル3以上の職員のみが閲覧可能です。SCP-XXX-JPはサイト-81██の地下収容室内に保管してください。本オブジェクトの担当でないすべての職員はSCP-XXX-JPと接触することは禁じられています。担当職員が、レベル3以上の職員の許可なしにSCP-XXX-JPの電源を入れた場合、Aクラス記憶処理を施されたのち、本オブジェクトの担当から解任されます。現在、SCP-XXX-JPを用いた実験は全面的に凍結されています。
説明: SCP-XXX-JPは一般的なATM(現金自動預け払い機)の形状をしたオブジェクトです。SCP-XXX-JPは電源に接続されていない状態であっても問題なく稼働します。
SCP-XXX-JPは、██県██市において「入ったはずの人間が消える人食いATM」の都市伝説として認知されていました。噂の真偽を明らかにするために当該地域に関連する記録の調査が行われ、死亡記録の項目において自治体の公的な記録と財団の持つ記録の間に多数の不一致が発見されたことから、「人食いATM」の噂は財団の興味を引きました。その後、潜入したエージェントが██市内に設置されたATMコーナーにおいてSCP-XXX-JPを発見、回収に至りました。
SCP-XXX-JPは、人間の持つ「寿命」に影響を与えることが確認されています。SCP-XXX-JPのメニュー画面には、通常の項目に加え「寿命取扱」と表記されたボタンが表示されます。この挙動を起こすと思われるプログラムはSCP-XXX-JP内には組み込まれていません。「寿命取扱」のメニュー内に存在する各ボタンを押下することで、「寿命」の振り込み、借用などの取引を行う画面に移行します。その後、SCP-XXX-JPは数値の上で行われた「寿命」の取引を反映する形で、使用者や指定された対象の、実際の「寿命」を延長、短縮させます。
取引において、使用者の保有する寿命の年数が、取引によって差し引かれる寿命の年数に満たない場合、SCP-XXX-JPは過去改変能力を発揮し、使用者の過去に干渉することが確認されています。この改変により、使用者は過去の時点において死亡し、公的な記録や近親者の記憶などもその事実と矛盾がなくなるように改変されます。(この改変は完全なものではなく、使用者と面識のない人物の記憶、非公式な記録、および使用者がSCP-XXX-JPを使用したという事実は改変の対象にはならないことが確認されています。)SCP-XXX-JPは不足分の補填として使用者の「過去の寿命」を何らかの方法で徴収しているものと見られ、結果として上記のような改変が引き起こされると推測されています。使用者の過去全ての寿命が徴収された場合、生まれた事実そのものが消失し、それでも不足分に満たない場合は、使用者の両親、祖父母、曾祖父母の順番に、血縁関係を過去にさかのぼる形で影響が及びます。
以下は、取引「お振込み」を用いた実験の記録です。
付記: 記載されている実験対象者の余命は、すべてSCP-XXX-JPの機能「余命照会」を用いて確認したものである。また、D-XXXX-3、D-XXXX-5については、映像記録によってその場から消失した事を確認した。
実験記録XXX-01 2013/██/██
対象: D-XXXX-1およびD-XXXX-2
実験内容: D-XXXX-1(余命12年)がD-XXXX-2(余命7年)に1年分の寿命を振り込む。
結果: D-XXXX-1の余命は11年となり、D-XXXX-2の余命は8年となった。
分析: 寿命は正確に振り込まれている。手数料等は発生しないようだ。
実験記録XXX-██ 2013/██/██
対象: D-XXXX-3およびD-XXXX-4
実験内容: D-XXXX-3(余命3年)がD-XXXX-4(余命1年)に5年分の寿命を振り込む。
結果: D-XXXX-3がその場から消失。記録を確認したところ、D-XXXX-3は2011/██/██に死亡したとされる記録が発見された。D-XXXX-4の余命は6年となった。
分析: D-XXXX-3の未来から3年、過去から2年の寿命が徴収され、合計5年分の寿命がD-XXXX-4に移動したようだ。
実験記録XXX-██ 2013/██/██
対象: D-XXXX-5およびD-XXXX-6
実験内容: D-XXXX-5(余命4年)がD-XXXX-6(余命2年)に30年分の寿命を振り込む。D-XXXX-5が操作を誤り、300年分の寿命がD-XXXX-6に振り込まれる。
結果: D-XXXX-5はその場から消失。記録を確認したところ、D-XXXX-5およびD-XXXX-5の両親の戸籍が消失していた。また、D-XXXX-5の祖父母4人がいずれも19██年代に死亡したとされる記録が発見された。D-XXXX-5の兄弟については全く別の人物の子供として戸籍に登録されていることが確認された。D-XXXX-6の余命は302年となった。
分析: D-XXXX-5の生まれた事実は消失したようだ。不足分は親族に請求されるらしい。D-XXXX-5の両親の生まれた事実が消失したことにより、結婚した事実もなくなり、D-XXXX-5の兄弟が生まれたという結果も改変の対象になったと見られる。消失した人物の行動の結果は、別の人物が起こした行動の結果として再構築が行われるようだ。D-XXXX-6については今後、観察や実験が必要になるものと思われる。
補遺:オブジェクトの性質を知った財団職員は自身もしくは近親者のためにSCP-XXX-JPを不正に利用し、思わぬ過去改変を引き起こす可能性があります。大規模な改変はCKクラス-再構築シナリオの発生につながりかねないとの観点から、現在ではSCP-XXX-JPに関するすべての情報は重要機密に指定されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8181の低脅威物品保管ロッカー内にて収容してください。この時、SCP-XXX-JP内部に固体の物質が入ることがないようにSCP-XXX-JP側面部および底面部の穴を十分な強度のあるビニール製のシートで被い、シートがずれないように結束バンドおよび粘着テープで固定してください。
現在、SCP-XXX-JPを用いた実験は全面的に凍結されています。
SCP-XXX-JPの収容違反によりSCP-XXX-JP-1が発生した際は、SCP-XXX-JP-1からSCP-XXX-JPを30m以上遠ざけることによって、SCP-XXX-JP-1の成長および活動を停止させることが出来ます。この処置に対してSCP-XXX-JP-1からの妨害が予想される場合、警備部隊ヘ救援を要請してください。
説明: SCP-XXX-JPは内部に入れた固体の物質を竹の持つ弾性により打ち出す筒状の玩具です。SCP-XXX-JPの竹弓(側面部に取り付けられた竹の棒)を大きく曲げ引き金で固定した後、側面部の穴から弾丸となる物質を投入し、引き金を引くことで曲がっていた竹弓が解放され内部の物質が打ち出されます。SCP-XXX-JPの直径は2cm、長さは15cmであり、直径1cm前後の大きさの物質を飛ばすのに適しています。
SCP-XXX-JPによって発射された弾丸が1㎡以上の面積と20cm以上の深さを持つ土壌に接触した場合、弾速や土壌の硬さとは無関係に弾丸は土壌に10cm程度埋没します。その後、弾丸はSCP-XXX-JP-1に変化し、異常な特性を発揮し始めます。SCP-XXX-JP-1は、地中にて「発芽」し、急速に成長していきます。SCP-XXX-JP-1はそれが無機物であったとしてもまるで植物のような特性を示し、自分と同一の材質でできた「芽」を伸ばし始め、やがて花を咲かせる、実を結ぶ、などこれもまた植物と同様の成長過程へ移行します。しかし、成長するのは土よりも上の部分のみであり、地中で根やそれに類似する器官が成長する様子は確認されていません。
通常植物の成長に必要とされる、日光、水分、土からの養分が十分でない環境でも成長に問題は見られません。しかし、SCP-XXX-JPとSCP-XXX-JP-1の距離が30m以上離れることにより成長は停止します。成長が止まったSCP-XXX-JP-1の30m以内にSCP-XXX-JPが再度侵入した場合、成長は再開されます。よって、SCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPから未知のエネルギーを供給されることにより成長しているのではないかとの仮説が立てられています。
19██年に██県██市市内の住宅街で発生した「植物が異常に成長し続け建物を覆っている」という事件は財団の注意を引きました。財団の機動部隊が出動し、被害拡大を防ぐため周辺の住民を避難させたところ、SCP-XXX-JP-1の成長が停止したため直ちに回収作業に移りました。この現象については住民の中にSCP-XXX-JPを所持したまま避難した人物がいたためだと推測されています。その後、付近で█歳の男児██ ██がSCP-XXX-JPを用い、大豆の種子を発射して遊んでいたところ、上記の事件が発生したことが男児本人の証言により明らかになったため、関係者に軽度の記憶処理を施し、SCP-XXX-JPを回収しました。
実験番号
日時:
対象: エンドウマメ(ここに学名)の種子1個
内容: D-XXXXにSCP-XXX-JPを用いて対象を発射させる。目標は実験室内に置かれたプランターとする。
結果: 対象はSCP-XXX-JP-1に変化し、毎秒約10cmの速さで成長、実験室全体に広がり始める。実験は約5分間続けられたが、対象に成長の限界はないようにみられる。実験終了につき除草剤を散布。対象は終了した。対象を地中から掘り出したところ、根に当たる部分がほとんど成長していないことが確認された。
分析: 記録映像により、対象は除草剤が散布されるよりも前に成長を停止していたことが明らかになった。成長が停止したのはD-XXXXおよびSCP-XXX-JPが実験室より退避し、安全区域に到達した時刻とほぼ同時であった。当実験や回収時の状況から、SCP-XXX-JPの効果の範囲には距離的な制限が存在するものと推測できる。また、根の部分の発達が見られないことから本来の植物とは異なる形で成長していると考えられる。オブジェクトの効果は植物の持つ成長性を単純に促進させるものである、とは断定できないだろう。
実験番号
日時:
対象: エンドウマメ(学名)の種子1個
内容: D-XXXXに実験番号1と同じ条件で対象を発射させる。その後、D-XXXXはSCP-XXX-JPを保持したまま対象から1mずつ段階的に遠ざかっていく。
結果: 対象は実験1と同様に成長し始める。D-XXXXが遠ざかるにつれ、成長速度も徐々に低下してゆくことが確認された。その後、対象が埋没している地点との距離が30mに到達した時点で成長は完全に停止した。D-XXXXが再び対象に1m近づくと、緩やかながらも成長が再開する様子が確認された。
分析: SCP-XXX-JPには効果範囲が存在すること、および範囲の限界はオブジェクトを中心とした30mの地点までであることが明らかになった。
実験番号
日時:
対象: 1.1cmの鉄球1個
内容:D-XXXXに実験番号1と同じ条件で対象を発射させる。
結果:対象はSCP-XXX-JP-1に変化し、地中から針金のような「芽」を伸ばし始める。成長に伴い、複雑に枝分かれした針金の一部にいびつな歯車のような物体が複数発生。この物体は発生から10秒ほどで錆び始め地面に落ちる。その後、歯車が存在した部分より直径5cm程の金属製の缶のような物体が発生。D-XXXXに開封させたところ、内容物はいずれも5個から8個の対象と同様な鉄球であることが確認された。大きさや密度は同一のものではなく多少の差異はあるものの、材質に関しては対象と一致した。
分析: 植物の種子以外においてもSCP-XXX-JPの効果が適用されることが確認された。歯車の出現については、鉄球の成長過程における「開花」のような現象であると考えられる。また、缶および内部の鉄球は、鉄球の「種子」およびそれを保護する「莢」に当たるものと思われる。
実験番号
日時:
対象: 1cmのハツカネズミの肉片
内容: D-XXXXに実験番号1と同じ条件で対象を発射させる。
結果: 対象はSCP-XXX-JP-1に変化し、地中から毛細血管や神経細胞のような「芽」を伸ばし始める。成長に伴い、複雑に絡み合った血管、神経細胞から「花」と思われる[編集済]が発生。その後、「果実」とみられる[編集済]に変化、急速に肥大化し始め、時おり成長とは関係のない動きを見せる。○博士が実験の終了を伝え、D-XXXXはSCP-XXX-JPを携行して実験室を出ようとすると、対象の「芽」の一本がD-XXXXを追うように急速に動き始めた。「芽」はD-XXXXの頭部に巻きつくと、D-XXXXと同化し侵食を始める。更にSCP-XXX-JPに巻きつき、自身の「果実」内部に取り込もうとする。その後、武装した職員によりSCP-XXX-JPが回収され、効果範囲外まで移動させられたため、対象は成長および職員への抵抗活動を停止。直ちに終了され研究サンプルとして回収された。D-XXXXは[編集済]により死亡が確認された。
分析: SCP-XXX-JPの影響を受けた場合、動物の細胞も植物のように成長することが確認された。また、実験終了時に起こった事案については、自我の芽生えた対象が、自身の成長が停止することを恐れ、SCP-XXX-JPを確保しようとしたものと考えられる。筋肉組織のない血管や神経がどのように運動を行ったかについてはさらなる研究が必要だろう。
補遺: この実験により、SCP-XXX-JPを用いた実験に伴う幾つかの危険性が明らかになりました。一つは、動物の細胞から発生したSCP-XXX-JP-1は、自律的に行動を始め、新たなSCPオブジェクトに変化する可能性がある事、もう一つはSCP-XXX-JPをSCP-XXX-JP-1から隔離することが不可能な事態に陥った場合、現在判明しているSCP-XXX-JP-1の成長を止める手段が失われ、収容の維持が非常に困難になると予測される事です。これらの危険性について議論がなされた結果、SCP-XXX-JPを用いた実験の全面的な凍結が決定されました。
実験においてSCP-XXX-JP-1が起こした行動は本当に自律的なものだったのだろうか。SCP-XXX-JP-1が命を吹き込まれ、自律思考を行う存在になったのだとすれば、SCP-XXX-JPの回収後、一切の抵抗が見られなくなった事に説明が付かない。さらに、自律性に目覚めたばかりのSCP-XXX-JP-1がなぜSCP-XXX-JPの効果範囲について理解しているような行動をとったのか、という点にも疑問が残る。あの行動は「猛獣が逃げるエサを捕まえた」のではなく、「パイロットが戦闘機に乗り込もうとした」と解釈すべきではないのか?
██博士
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明:
補遺:
インタビュー記録