アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその性質上収容は不可能です。定期的にSCP-XXX-JPによって発生する異常と類似した行動をする不審者の情報をニュース番組やSNS上で流布します。SCP-XXX-JP出現が確認された場合フィールドエージェントを派遣、周辺住民へのインタビュー後記憶処理を行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは全国各地の施錠された玄関扉前(主に一般家屋)に、午前1時〜午前3時の間に出現する存在です。SCP-XXX-JPは概ね人型をしており、出現は毎年2、3例確認されています。監視カメラ・ドアスコープ・外部からの観測者などではSCP-XXX-JPを観測できず、唯一すりガラスが用いられた扉でのみシルエットとして存在を確認することができます。
SCP-XXX-JPの行動は出現から時間が経過する毎に変化します。
経過時間 | 行動 | 備考 |
---|---|---|
出現直後 | 扉にノックをし、低い男性の声で「開けてください」と発声する。 | 声量はごく小さなもので、声色は穏やかなものである。また、この時点より扉への内外部からの干渉が不可能となる。 |
約1分 | 扉を連続でノックし、「開けてください」と連呼するようになる。 | 声量は若干の増大を見せる。 |
約30分 | 扉へ強い衝撃を与え始める。発声の内容は前段階と同様。 | 声量は前段階からさらに増大する。声に焦燥感や切迫感が感じ始められる。 |
約1時間 | 前段階よりさらに強い衝撃を扉に加えるようになる。また、発声の内容は「開けてください」から「開けろ」へと変化する。 | 声量は前段階からさらに増大し、焦燥感や切迫感が顕著に感じられるようになる。 |
約2時間 | SCP-XXX-JPが扉前から移動することはないが、扉への衝撃に加えて家屋の窓も同様の衝撃を受けるようになる。また、内容のある発声を行わなくなり、断続的な叫びをあげるようになる。 | 声量は周辺一帯が聞き取ることが可能である程度にまで増大する。 |
約2時間30分 | 扉、窓への衝撃に加え、家屋に存在する壁が同様の衝撃を受けるようになる。この場合もSCP-XXX-JPの移動は確認されない。また、発声を一切行わなくなる。 | 時折、SCP-XXX-JPのシルエットが悶えるように動くことが確認される。 |
約3時間 | 突如として全ての行動を中止し消失する。消失地点付近から人糞のものに似た悪臭が確認される。この悪臭は時間の経過とともに薄れ、5時間程度で完全に確認できなくなる。 | これまでのSCP-XXX-JPのあらゆる行動は扉、窓、壁の破壊に至らない。 |
- 飛翔
- 排便幇助
- ゴミなんて気にするな!
- 死んでも死に切れない
- 気前の良いビールケース
- とある母と娘
- ドーナツ化現象
- 僕と母と化け物
- 仰せの通りに
- 二宮
- 山々
- 街灯
- こたつ
- 歩く二宮金次郎
- 塵も積もれば山となる
- ゴミはゴミ箱へ
- さよならなんて言わないで
- エイプリルフール
- シジョウジカの足は0本である
異動が決定した。異動先は東京のサイト-81██。危険性の低いオブジェクトが多数収容されているサイトである。私の専門分野がオブジェクトの研究に不可欠とあれば、行くしかないだろう。私は異動決定からすぐに荷物をまとめ、秋田から東京へ向かった。
「SCP-1773-JP、ですか」
「そうだ。君には今度、これの実験に参加してもらう」
新しい生活に慣れ、研究にもある程度の成果が出始めた頃、私は上司である橋井博士から報告書を手渡された。
SCP-1773-JP。1枚のフライングディスクらしい。投げると、周りのイエイヌが回転して飛翔するとか。しかも追加実験では、イエイヌのぬいぐるみやイエイヌの着ぐるみを着た人間も飛翔してしまうことが判明している。誰が何のために作ったのかまったく不明の代物である。
「岩田くんから聞いたが、君は――」
「はい」
「まあいい。大丈夫だろう。詳細が決定し次第連絡するよ」
そう言って橋井博士はさっさと私の研究室から出て行った。
イエイヌ。橋井博士はおそらく、それに反応したのだろう。秋田での上司に当たる岩田博士と旧知の中である彼ならば、私が一度厳重注意を受けた身であることを知っているはずだ。あれもイエイヌだった。若気の至りというやつで、今思うとありえないことをしてしまったと反省している。岩田博士の、呆れたような哀れむような目が今も忘れられない。
後日、橋井博士から詳細の連絡を受け、私は部下を連れて地下の巨大実験場へ向かった。本来、広範囲にわたる異常性を有するオブジェクトの距離限界などを調査する場所なのだが、SCP-1773-JPの異常性とよく噛み合うということで実験場として採用されたようだ。飛翔したイエイヌが衝突して破壊されるような物もないし、なにより広い。新たな発見があるかもしれない。
「こっちOKです!」
部下が大声で叫ぶ。観測機器の準備、イエイヌやぬいぐるみのセット、何から何まで計画通り。今回は試験的に、おもちゃの犬耳をつけたDクラスを待機させているが、不服そうな顔をするのみで特に反抗の意思は見られない。後は、SCP-1773-JPを投げるだけ。これは私の役目だ。投げた瞬間に観測室に入り、イエイヌの軌道を観察する。
「いくぞ!」
私は腕をしならせ、SCP-1773-JPを思い切り宙に投げた。
気がつくと、私は体をありえない角度で曲げ、イエイヌやぬいぐるみ、Dクラスと共に宙を舞っていた。
「糸目博士!」
部下が観測室から飛び出して私の名を叫んでいる。
空を飛ぶという不思議な感覚の中で、私はあの
煮物の味を思い出していた。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが存在する個室トイレは「長期工事中」として立ち入りが禁止され、財団の監視下に置かれます。また、同階には新たに個室トイレが建設中であり、これが完成し次第SCP-XXX-JPの存在する個室トイレは完全に封鎖されます。
説明: SCP-XXX-JPは██大学███キャンパスの個室トイレ内に存在する1据の洋式便器です。大学内に設置されている他の便器に異常性は確認されていません。
SCP-XXX-JPの異常性は、便秘などを理由とした排便の困難を自覚する人物(以降、対象者と呼称)が座ることで発揮されます。対象者が座ると、排水管より人間の腕に酷似した3m程度の実体(以降、SCP-XXX-JP-1と呼称)が一対出現します。SCP-XXX-JP-1は対象者の頸部を掴みながら上昇し、対象者を吊り下げます。対象者の頸部はSCP-XXX-JP-1と自身の体重によって圧迫され、最終的に対象者は縊死します。
対象者の縊死後、SCP-XXX-JP-1は対象者の糞尿が排出されるまでその状態を維持し、糞尿が十分量排出され次第対象者・糞尿を伴ってSCP-XXX-JPへ消失します。この際、周囲へ飛散した糞尿もSCP-XXX-JPに吸引されるようにして消失します。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8136の低脅威度物品保管ロッカーにおいて不透明のケースに入れられた状態で収容されています。実験を行う際、実験担当者は保護メガネを着用してください。
説明: SCP-XXX-JPは月めくりの紙製カレンダーです。SCP-XXX-JPは2014年の1月から12月までを示しており、日本における祝日や六曜が記載されています。また、全ての日付の下部に「ゴミなんて気にするな!」と記されています。
SCP-XXX-JPの異常性はこのオブジェクトを直接肉眼で視認した人物(以降、"対象"と表記)に対して発揮されます。対象はオブジェクト視認以降、意識的・無意識的に関わらず"不必要"と判断した物品の認識が困難となります。具体的には、対象は"不必要"と判断した物品を一部のみしか視認できなくなったり、物品が発生させる音が聞こえづらくなるなどします。また、物品の触感が認識不能になったという報告も存在します。
物品の認識困難は徐々に進行するものであり、物品それぞれにおいて進行速度に差異があります。加えて、進行速度には個人差が存在します。対象は物品の認識が困難になるにあたって発生する不都合・不自然な事柄などを自己で理屈を付けることによって解決し、以降それに関する思考を行いません。
認識が困難となる物品の例として
- ゴミ箱の内容物
- 興味のないコンテンツに関連する商品
- 数年間使用していない家具
などが挙げられます。
SCP-XXX-JPは要注意団体███の異常物品販売ルート特定後、そのルートから割り出した販売先である黒井氏邸宅内で発見されました。家屋内で生活していた黒井謙二氏、黒井明子氏はSCP-XXX-JPによる影響を既に受け始めていましたが、2人の息子に当たる黒井冬志氏は常に眼鏡を着用しており、直接SCP-XXX-JPを視認していなかったため影響を受けていませんでした。購入者である謙二氏はSCP-XXX-JPの異常性を認知しておらず、通常のカレンダーとして購入した模様です。以下は冬志氏に行われたインタビューの内容です。
対象: 黒井冬志氏
インタビュアー: エージェント・村井<録音開始>
(重要度が低いため省略)
エージェント・村井: ありがとうございます。次の質問なのですが、あのカレンダーはどのようにして入手したのですか。
冬志氏: カレンダーですか。あれは普通に父が買ってきたものです。詳しくは聞いてないので、どこで買ったとかその辺はわかりませんが。
エージェント・村井: なるほど。わかりました。では、あなたは先程、父親と母親がおかしくなったと言いましたね。それを具体的にお願いします。
冬志氏: はい、えっと、まずは転ぶことが多くなっていたような気がします。床に物があるのに気がつかずステンと。転んだ後は不思議そうな顔をしていました。
エージェント・村井: 床の物に気を払わなくなっていたということですね。その他には。
冬志氏: だんだんと家にゴミが増えていきました。捨てに行かないから、ゴミがそこら中にある状態でして。しかもゴミ箱が満杯なのに構わずゴミを捨てたりするんです。
エージェント・村井: なぜ捨てに行かないのかなど質問はしましたか。
冬志氏: はい。まあ、したんですけど、父と母はよくわからないといった表情をして取り合ってくれませんでした。ずっと家に引きこもってる僕にご飯を作ってくれたりする、優しくて几帳面な2人だったので、その時は困惑しました。
エージェント・村井: わかりました。他に何か気になることはありましたか。些細なことでも大丈夫です。
冬志氏: ちょっとしたことで、気のせいかもしれないんですけど。
エージェント・村井: 遠慮なくお話しください。
冬志氏: 2人の、僕への反応が鈍くなっていたように感じました。えっと、それだけです。すみません。
エージェント・村井: いえいえ。貴重な証言です。ご協力ありがとうございました。
<録音終了>
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8139の冷凍収容装置内に収容されています。冷凍収容装置周辺での睡眠は禁止されています。安斎康博氏の自宅は財団によって管理されます。
説明: SCP-XXX-JPは戸籍上「安斎康博」と記録されている男性の死体です。SCP-XXX-JPは腐敗の兆候を見せず、損壊することがありません。
SCP-XXX-JPの異常性は、このオブジェクトを中心とした半径10m以内の地点で人間が睡眠をとった際に発現します(睡眠をとった人物を以降"対象"と表記)。対象の付近に容姿が安斎康博氏と一致した霊的実体(以降SCP-XXX-JP-1と表記)が出現します。SCP-XXX-JP-1は出現直後、対象の方向を向きながら口を数度動かします。これによって対象の意識は覚醒しますが、同時に金縛り状態となり身動きが取れなくなります。対象が金縛り状態となると、対象が居る部屋の天井・壁・床に同様の材質で人間のものと酷似した"口"が生成されます。"口"は隙間なく生成され、次いで対象の周辺物品にも生成されます。
完全に生成が終了すると、SCP-XXX-JP-1と全ての"口"は同時に「俺の」と発声し徐々に消失します。発する内容には続きが存在するようですが、消失に伴って声自体が不明瞭となるため完全な内容の把握はなされていません。
SCP-XXX-JP-1もしくは"口"の発声を聞いた対象はある方向への移動を開始します。これは対象が自発的に行うものであり、SCP-XXX-JP-1から何らかの精神的影響を受けた結果のものであると考えられています。対象の移動は最終的に安斎康博氏の自宅に到着した時点で終了します。この影響は記憶処理・安斎康博氏の自宅への到着によって取り除かれます。
以下はSCP-XXX-JPの実験記録の抜粋です。
実験記録5 - 日付20██/██/██
対象: D-3186
実施方法: 異常性発揮後、金縛り状態となったD-3186をSCP-XXX-JPから遠ざける。
結果: SCP-XXX-JPから10m離れた時点で対象の金縛り状態が解け、SCP-XXX-JP-1と全ての"口"が消失した。
分析: 範囲内に人間が居なくなることでSCP-XXX-JPの異常性は即座に終息するようだ。
実験記録6 - 日付20██/██/██
対象: D-3186、D-4389
実施方法: D-3186によってSCP-XXX-JPの異常性を発揮させ、その後D-4389をSCP-XXX-JPに接近させる。
結果: 異常性は通常通り発揮されたが全てD-3186を中心としており、D-4389には一切の影響はなかった。
分析: SCP-XXX-JPが影響を与えることができるのは1人までのようだ。
実験記録9 - 日付20██/██/██
対象: D-3186
実施方法: D-3186によってSCP-XXX-JPの異常性を発揮させる。実験場には常に██████を供給し続け、4機の非物質変位無効装置(nPDN)を稼働させることでSCP-XXX-JP-1の消失を防ぐ。
結果: SCP-XXX-JP-1は消失せず、通常であれば連鎖的に消失する"口"も同様に消失しなかった。SCP-XXX-JP-1と"口"は「俺のPCのデータを消してくれ」と連呼した。██████の供給が止まるとSCP-XXX-JP-1、"口"は消失した。
分析: SCP-XXX-JP-1はnPDNの稼働にも関わらず██████の供給中止のみで消失した。よってSCP-XXX-JP-1の元々の消失原因は単なる霊素の不足であったと推測できる。安斎康博氏のPCデータについては後日調査予定。
実験9から2日後、安斎康博氏の自宅に置かれていたデスクトップPCの調査が行われ、大量のアダルトコンテンツが保存されたファイルが発見されました。今後この事実に関するSCP-XXX-JP-1との会話実験を行う予定です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8136の低危険度物品保管ロッカーにおいて収容されています。出現したビール瓶とその中身は一部のサンプルを残し破棄してください。
説明: SCP-XXX-JPは███社製のビールケースです。同社の瓶ビールを20本まで収納可能であり、後述する異常性の他に通常のビールケースとの差異はありません。
SCP-XXX-JPの異常性は毎日午後6時に発揮されます。午後6時になると、███社のラベルが貼られた瓶ビールがSCP-XXX-JP内に出現します。ビール瓶・ビールは███社製のものと組成、成分が一致しており異常な点は見られません。また、瓶ビール出現時に男性又は女性の声で毎日の労働をねぎらう簡単な言葉がSCP-XXX-JPの周囲より発されます。発声者の特定は現在まで成功していません。
補遺1: 2008/11/3、瓶ビールの内3本が、中身が飲用された状態で出現しました。これ以降、瓶ビール出現時の発声は確認されず、複数本が必ず飲用された状態で出現するようになりました。
補遺2: 2009/3/19より不定期的にSCP-XXX-JPの周囲から男女の口論が発されるようになりました。内容は、女性が男性の過度な飲酒を咎め、そこから発展して様々な不満を互いに強い口調で言い合うというものです。「リストラ」・「離婚」などの単語が頻発する傾向にあります。
補遺3: 2009/10/24、血液が付着した空のビール瓶1本のみが出現しました。DNA検査によって血液は女性のものであると判明しましたが、財団のデータベース上には一致するDNAの登録が行われておらず、依然としてこの女性の身元は特定できていません。
以降の異常性発現は確認されていないため、オブジェクトクラスがNeutralizedに再分類されました。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8139の冷凍収容装置内に収容されています。
説明: SCP-XXX-JPは知性を有していたと思われる人型生物の死体です。採取されたサンプルからは人間のDNAの痕跡が発見されています。死因は餓死であると断定されており、発見時既に腐敗が始まっていました。
SCP-XXX-JPの体長は2.3m程度で、全身が体毛に覆われています。また、肩まで伸びる頭髪を有した、通常の人間と比較して異常に肥大した頭部を有しています。頭部の内で口部周辺の機能が最も発達しており、様々な頑丈な物質を噛み砕くことが可能であったと推測されています。SCP-XXX-JPの四肢はその体長からすると非常に長く、鋭利な爪を有しています。
補遺1: SCP-XXX-JPは2012/██/██、魔術研究組織██████の構成員である丸山里穂の自宅において発見されました。発見時のSCP-XXX-JPは椅子に座り、机に向かった状態で死亡していました。机には画用紙が乗せられており、死亡するまで画用紙に文字を書いていたと考えられています。
画用紙に書かれていた内容は以下の通りです。
ままえ
いつも ごはん ありがとう
だいすきだよ はやくもどってきてね まってます
補遺2: 更なる調査により丸山里穂の日記が発見されました。以下はその内容の一部です。
2011/2/16
成功した!これでまた娘と生活できる!
組織とはこのあと少し揉めてしまうかもしれないが、あの子を引き渡しはしない。私にはあの子を育てる責任があるのだ。
2011/2/17
何を食べさせようとしても食べない。このままでは餓死してしまう。なんとかしなければ。目も十分に開けられないらしい。無理やり開けさせようとすると暴れ出してしまう。鼻も機能していない。
2011/2/18
試しに組織が用意していた贄の腕をあの子にやってみた。するとバリバリと綺麗に食べてしまった!あの子は人肉を食うのだ!何とかして調達しないと。
2011/2/19
段々と言葉を話せるようになってきた。まだ拙いものだが、このまま行けば十分なコミュニケーションが取れるようになるだろう。字を書くのは、目が開けられない以上難しそうだ。
2011/2/28
何とか贄として用意されていた死体をくすねてきた。これでしばらくは大丈夫だ。視覚、嗅覚が十分でないため、人肉に関しては完全に味覚に頼っているのだろうか。人肉以外を拒絶するのは本能的なものか。
2011/4/2
私のことを「ママ」と呼んだ!記憶が戻ってきているのかもしれない。そして、まだ痛みを伴うようだが目も開けられるようになってきた。
2011/6/29
あの子が自分から、文字を教えて欲しいと頼んできた。私の日記が気になってのことだろうか?何を書きたいかは知らないが明日から教えることにしよう。
2011/11/8
言葉も文字も大分覚えたようだ。コミュニケーションが円滑に進む。そろそろあの子の食べ物がなくなってきた。調達に行こう。
2012/2/20
組織に盗みがバレた。一方的に関係を切られてしまった。あっちでの私の情報もすでに処分されているだろう。どうしよう。あの子が餓死してしまう。
2012/3/2
あの子が苦しそうにうなっている。時間がない。
2012/3/16
覚悟を決めた。私には責任があるのだ。
これ以降の日記の更新はありません。
丸山里穂は現在まで発見されていません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその性質上収容は不可能です。全世界の都市部に設置された監視カメラを用いて、SCP-XXX-JPが発生している人間を発見し収容してください。一般人がSCP-XXX-JPによって変化した対象と接触した場合、その付近には各国の文化に対応したカバーストーリーが流布され、Aクラス記憶処理による補正が行われます。
現在、実験のためD-クラス職員███名を全世界の都市の中心部に配置し、生活させています。
財団が入手した昆虫の生活領域の変化に関する情報は、全て優先的にSCP-XXX-JP研究チームに割り当てられます。
説明: SCP-XXX-JPは人間に対して突発的に発生する身体的異常です(SCP-XXX-JPが発生した人間を以降"対象"と表記)。SCP-XXX-JPは主に世界中に存在する都市の中心部で生活している人間に発生する傾向があります。
SCP-XXX-JPは数段階に分かれて対象に身体的な変化をもたらします。
段階 | 身体的変化と対象の行動 |
---|---|
1 | 1ヶ月程度の期間で少しずつ対象の両側腹部から人間の腕が生える。これは対象がもともと有していた腕と形状が完全に一致し、対象の意思の通り動作する。対象は強い鬱症状を示し、他の人間との接触を断つようになる。 |
2 | 第一段階終了からおよそ2ヶ月で発生する。対象の頤1が骨格、内部組織を含めて前方に一定のスピードで伸長する。対象によって停止するまでの期間、伸長する頤の長さは異なる。対象は顔面の変化やそれによる日常生活の困難化が理由で様々な精神疾患を発症する。また、この段階から対象は極端に少量の食物、水で生命を維持することが可能となる。 |
3 | 第二段階終了からおよそ1ヶ月で発生する。対象の伸長した頤が2つに根元まで裂ける。対象はこれまでの身体的変化について苦悩することはなくなり、積極的に外出し他者を頤で攻撃しようと試みる。また、この顕著な攻撃性の増大の他、思考能力の低下などが見られる。 |
4 | 第三段階終了から数日で発生する。対象は全身を強く発光させ、1匹のギラファノコギリクワガタ(学名: prosopocoilus giraffa)に変化する。変化した対象はしばらく周囲を飛び回り消失する。 |
現在、本来生息し得ない地域でのギラファノコギリクワガタの発見例が相次いでいます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはその性質上収容は不可能です。全国の四肢・頭部の存在しない死体に関する情報は全て優先的にSCP-XXX-JP研究チームに報告されます。
SCP-XXX-JP対象者は発見次第サイト-8153の標準人型オブジェクト収容房にて保護します。対象者にはSCP-XXX-JP内での行動について、SCP-XXX-JPの継続が為されない選択をすべきであると命令する必要があります。この命令はクラスA記憶操作薬によってより強固にしてください。
説明: SCP-XXX-JPは母親が死亡済みである人物(以降"対象者"と表記)が経験する夢とそれに続く異常現象です。日本全国で毎年数件の発生が報告されています。
SCP-XXX-JPの内容は、母親が対象者へ料理を提供するというものです。対象者が料理を食べるかについての判断を母親に告げた時点で対象者は起床します。起床する時間は午前1時から3時ごろまでのケースが多く見られます。SCP-XXX-JP内で料理の摂食を選択していない場合SCP-XXX-JPは終了しますが、選択していた場合これに続いてSCP-XXX-JP-1が起床後の対象者の元に出現します。
SCP-XXX-JP-1は概ね人型をした実体です。肩まで伸びる頭髪の生えた、通常の人間と比較して異常に肥大した頭部を有しています。これには口部以外の諸器官は存在していません。また、全身の皮膚は爛れ、鋭利な爪を有しています。発話は可能ですが、発話の直後数度小刻みに全身を震わせます。対象者はSCP-XXX-JP-1の声を母親のものと同様であると認識します。SCP-XXX-JP-1は共通して女性服を着用しています。
SCP-XXX-JP-1は起床後の対象者に様々な料理を用意し2、それを食べるよう要求します。対象者はこの要求を例外なく受け入れ、食事を始めます。食事中、SCP-XXX-JP-1は対象者の母親として振る舞い、様々な世間話を取り交わします。食事が終わるとSCP-XXX-JP-1は対象者の四肢の内一肢をちぎり、自身に取り付けた後消失します。対象者はこれに対して多大な身体的苦痛を感じますが、ちぎられた部分から出血はせず、傷口は即座に塞がれます。以降、対象者は連夜SCP-XXX-JPを経験します。これはSCP-XXX-JP内で料理の摂食を拒否するか対象者が死亡するまで続きます。SCP-XXX-JPを4度経験したことで四肢を全て失った対象者が、続いて経験するSCP-XXX-JP内において料理の摂食を選択した場合、出現したSCP-XXX-JP-1は四肢ではなく頭部をちぎります。これによって対象者は死亡します。
以下は財団が初めて発見したSCP-XXX-JP対象者へのインタビューです。対象者である伊藤██氏はSCP-XXX-JPを4度経験しています。そのため、伊藤██氏には四肢が存在していません。
対象: 伊藤██
インタビュアー: エージェント・村井<録音開始>
(重要度が低いため省略)
エージェント・村井: では、その夢はどのようであったか説明してくれますか?
伊藤氏: はい、僕が見た夢っていうのは、最近火事で亡くなった母が料理を出してくれて「食べる?」って聞いてくる夢です。それだけの内容なんですけど、すごくリアルで思わず頷いてしまうようなものでした。
エージェント・村井: なるほど。その夢の中で料理を食べることに頷いたのですね。
伊藤氏: はい。火事で母との思い出も全部燃えちゃいましたから、本当に懐かしい気持ちになって。
エージェント・村井: その夢を見た後、何が起こったのですか?
伊藤氏: 料理を食べることに頷いたら突然夢から覚めましたね。それで、えぇ、何時頃だったかな。まあ、深夜に起きたんです。そしたら目の前に化け物が現れて。
エージェント・村井: 化け物ですか。
伊藤氏: 化け物です。長い髪の毛とめちゃくちゃにでかい頭を持っていて、鼻とか目とかがないんです。口だけ付いていました。
エージェント・村井: なるほど。その化け物に関する情報はまた後ほど聞かせてもらいます。
伊藤氏: わかりました。とりあえずおぞましくて気持ち悪い化け物だったんです。でもそれと同時に懐かしさを感じました。その時はそれが何なのかわからなかったんですけど、化け物がこっちに喋ってきて気づきました。化け物は僕の母の声で喋ったんです。
エージェント・村井: それは間違いないですか?喋り方や口癖などは?
伊藤氏: 間違いないです。喋り方も同じ感じでした。ただ、喋った後少し震えるような動きをしていましたが。
エージェント・村井: 化け物はあなたにどのようなことを喋りかけたのですか?
伊藤氏: 最初は食事についてです。化け物はいつの間にか皿に盛られた料理を持っていて、僕に食べるよう言ってきました。その時にはもう化け物への嫌悪感も無くなってて、出された料理を食べてしまいました。
エージェント・村井: 料理に何か特徴はありましたか?普通使わない食材が入っているとか、そのようなことは。
伊藤氏: いえ、普通の、生前の母がよく僕に作ってくれた料理でした。味まで同じだったものですから、夢中でがっついてしまいました。そういえば、食べている間化け物に色々な世間話を振られましたね。まるで母親みたいに「結婚はまだか」とか「ちゃんとバランスの良い食事を摂っているか」とか。異様な雰囲気でした。
エージェント・村井: なるほど。食事が終わった後、何が起きましたか?
伊藤氏: 料理を全部食べて化け物の方に向き直ると、化け物はそれまでの世間話を続けながら僕の左手を掴んできました。それから僕の左手を根本から引きちぎりました。
エージェント・村井: 抵抗はしなかったのですか。
伊藤氏: もちろんしましたけど、力がとても強くて抵抗は意味がありませんでした。めちゃくちゃ痛くてしばらく何も考えられずにいたら、化け物と料理の皿とかがいつの間にか消えていてとにかく混乱しました。出血とかは無かったんですがね。
エージェント・村井: 出血は無くとも、腕をちぎられれば誰だって痛いでしょう。
伊藤氏: えぇ、まあそうですね。その後は、何もやる気が起きなくなって、会社にも行かずにあの化け物のことについて考えました。
エージェント・村井: 次の夜も同様の夢を見て、料理を食べることを選択したのですか。
伊藤氏: そうですね。夢の中で食事を断っておけば、あの化け物が出ないことは直感的に理解していましたが。
エージェント・村井: 結果的に4度あの夢を経験し、四肢を全て失くした。
伊藤氏: はい、その直後に武器を持った人達が家に入ってきてここに連れられたというわけですが。
エージェント・村井: 腑に落ちないのは、あなたがなぜ四肢を全て失くすまで夢を見続けたかです。痛みを伴い、体が不自由になるのに。
伊藤氏: 先ほども言いましたが、母や母との思い出は火事によって全て燃えてしまいました。でも、でもですよ?あの化け物は母の声で喋って母の料理を出すんです。あいつは、あの化け物は、今唯一ある僕と母との繋がりなんです。
<録音終了>
インタビュー実施後の深夜、伊藤██氏を保護していた収容房内にSCP-XXX-JP-1が出現しました。保安職員が収容房への侵入を試みましたが、不明な作用により扉が解錠されず侵入は失敗しました。SCP-XXX-JP-1は伊藤氏に料理を提供し、伊藤氏が食事を終えると頭部をちぎり消失しました。伊藤氏は職員に止められていたにもかかわらず、SCP-XXX-JP内での料理の提供に対して摂食を選択したものと思われます。
現在まで、SCP-XXX-JP対象者の多くが頭部・四肢が存在しない状態で発見されており、それ以前の状態で保護した対象者についても、5度目のSCP-XXX-JPを経験し死亡する傾向にあります。
アイテム番号: SCP-1571-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1571-JPは出現する貨幣への対応を容易とするためサイト-8151に存在する大型の特製収容コンテナにおいて収容します。出現した貨幣は全て回収し、枚数を確認した後一部のサンプルを残して市場への再流通を試みます。
説明: SCP-1571-JPは戸籍上「西島 知宏」と記録されている男性の死体です。SCP-1571-JPは大きく損壊していますが、常にその状態を維持しており腐敗の兆候を示しません。
SCP-1571-JPの異常性は毎年7月15日の午後5時頃、オブジェクトの直上に非異常性の10円青銅貨幣を約1億枚出現させるという点にあります。これらの貨幣には人間の指紋や様々な付着物が存在しており、実際に市場で流通していた貨幣を未知の手段で用いたものと推測されています。これについて、貨幣は1年間様々な地点から拾集されているものと考えられています3。また、貨幣には出現毎に枚数が減少する傾向があります。
SCP-1571-JP発見のきっかけとなったのは、2014年7月15日、██県████市の西島氏邸宅内に大量の10円青銅貨幣が出現したという事案です4。これにより西島氏邸宅は全壊し、当時9歳であった知宏氏や知宏氏の姉、父親が死亡しました。また、母親は現在行方不明であり、邸宅跡での捜索が続いています。周辺一帯への大量の記憶処理剤の散布、及びカバーストーリーの流布によりこの事案は隠蔽され、その後知宏氏の死体にのみ異常性が確認されたためSCPオブジェクトとして認定されました。
財団による家屋内の調査時、屋根裏部屋跡に段ボール箱が発見されました。内容物は以下の通りです。
- 十字が刻まれた石
- 知宏氏の頭髪数本
- 芯の折れた鉛筆2本
これらの意義は知宏氏の担任教師へのインタビューにより明らかとなりました。以下はその内容です。
対象: 斎藤義仁氏(西島知宏氏の担任教師)
インタビュアー: エージェント・村井付記: エージェント・村井は警察官を装いインタビューを行っています。
<録音開始>
(重要度が低いため省略)
エージェント・村井: ありがとうございます。では、ちょっとこれを見ていただけませんか。
(段ボール箱と内容物の写真を見せる)
エージェント・村井: 事件現場にあったものなんですけども、意味不明の物ばかりで捜査上困り果てている状態でして。
斎藤氏: あぁ、これでしたら生徒に教えられたことがあります。おまじないみたいな物ですかね、たしか。学年で流行ってました。
エージェント・村井: おまじない、ですか。
斎藤氏: えぇ。こういうものを集めてから隠し、儀式をすると願いが叶うとかなんとか。
エージェント・村井: なるほど、分かりました。しかし、知宏君はこれで何を願ったのでしょう。
斎藤氏: さぁ、そこらへんはわかりかねます。特に不満もない学校生活を送っていたとは思うんですが。
エージェント・村井: 金銭関係で何か悩んだりもしていませんでしたか?なにか、その、10円玉にまつわることとか。
斎藤氏: そう言われましても。金銭関係でも特になかったと思います。別に貧困家庭ではなかったはずなので。しかし10円玉ですか。あ、そういえば。
エージェント・村井: 何か思い出しましたか?
斎藤氏: 知宏君がよく言ってたことなんですけども、まあ私達も小さい頃は一度言っていたかもしれないことです。「日本人みんなから10円をもらったら大金持ちになれる」っていう、あれですよ。
エージェント・村井: あ、たしかに僕も言っていた記憶があります。
斎藤氏: 子供の頃にはありがちですよね。いやしかし、あれ?
(斎藤氏が写真を凝視する)
エージェント・村井: どうかしましたか?
斎藤氏: それがですね、若干子供達に教えてもらったおまじないとは違っているようでして。
エージェント・村井: 具体的にお願いします。
斎藤氏: はい、あの、段ボール箱に入っていたのは石と髪の毛と鉛筆だけでしたよね。おまじないにはもう一つアイテムが必要で、確かですね、えー、何だったかな。
エージェント・村井: 焦らなくて大丈夫ですよ。ゆっくり思い出してください。
斎藤氏: あ、思い出しました!"その人の一番大切な物"、これです!
<録音終了>
終了報告書: 知宏氏の学年で流行していた「願いの叶う儀式」は財団による再現実験でその効力を否定されました。依然としてSCP-1571-JPの異常性獲得の原因は不明です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団関係者以外のSCP-XXX-JPとの接触を防ぐため、███小学校跡地周辺への立ち入りは警備員により制限されます。
SCP-XXX-JP出現地点には収容ケージを設置し、活性化したオブジェクトの歩行を阻止してください。SCP-XXX-JP収容ケージには監視カメラと録音装置を設置し、オブジェクトの挙動を記録してください。
説明: SCP-XXX-JPは██県████市の███小学校跡地に存在する二宮尊徳像です。後述の異常性を除き、通常の青銅製の銅像と差異は見られません。また、全国各地に見られる二宮尊徳像と同様の形状をしています。
SCP-XXX-JPは毎日午後11時に消失、██km離れた路上脇に出現し特定のルートを移動します。移動中のSCP-XXX-JPは時速5km程度で歩行し、絶えず手元の本を注視します。観測上は所持する本に一切の記述がないにも関わらず、SCP-XXX-JPは様々な書物の記述を音読します。大半は江戸時代までに存在した農学書や「四書」5です。歩行は拘束や妨害によって容易に阻止することが可能ですが、その場合でも音読を中止することはありません。SCP-XXX-JPは午前3時に消失、再度███小学校跡地に出現し、不活性化します。
補遺1: 2002/██/██、日本に上陸した台風██号による暴風でSCP-XXX-JP出現地点における収容ケージが破損し、SCP-XXX-JPは収容プロトコルが未完了の状態で活性化しました。
結果としてSCP-XXX-JPは一般交通規範を無視した歩行を続け、走行中の自動車と衝突しました。自動車の運転手である加藤█氏は全治6ヶ月の怪我を負い、SCP-XXX-JPは衝突により破壊されました。目撃者等には記憶処理が施され、加藤█氏には財団管轄下の病院で治療が行われました。
破壊されたSCP-XXX-JPは午前3時に破片を含め全て消失し、███小学校跡地に完全な状態で再出現しました。以降の活性化は確認されていません。オブジェクトクラスの再指定は現在審議中です。
補遺2を参照してください。
補遺2: 2004/██/██、SCP-XXX-JPの活性化が再度確認されました。また、同時に未確認の書物の音読が観測され始めました。新たに認知された書物を以下に列挙します。
- 六法全書(平成██年版)
- 法学入門
- 憲法学のすすめ
- 交通事故判例集
現在までSCP-XXX-JPは異常性を発揮し続けています。
補遺3: 2006/██/██、██地方裁判所において「二宮尊徳」を原告、「加藤█」を被告とした訴状の存在が確認されました。訴状の記入内容や添付書類は不完全なものでしたが、加藤█氏の氏名、住所等の個人情報が記入されていました。訴状の発見者は"いつの間にか書類に混ざっていた。"と証言しており、これ以外に訴状に関係すると思われる証言や映像は得られていません。
現在、SCP-XXX-JPの挙動に特別な変化は観測されていません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは出現する硬貨への対応を容易とするためサイト-8149に存在する大型の特製収容コンテナにおいて収容します。出現した硬貨は全て回収し、一部のサンプルを残して破棄、もしくは再利用を行います。
説明: SCP-XXX-JPは女性を象ったと思われる高さ約170cmの銅像です。作成者、設置者などは不明で化学的要因により表面は劣化しています。発見以前より、設置場所付近の小学校ではSCP-XXX-JPが「願いを叶える女神」であると噂されていました。ただし、噂は数人の小学生がいたずら目的で無根拠に流したものであると判明しています。
SCP-XXX-JPの異常性は毎月15日の午後5時頃、オブジェクトの前方に非異常性の十円硬貨を100万枚出現させるという点にあります。これらの硬貨には出現以前から存在する傷等は確認されておらず、付着物についても出現場所以外の物質は未確認であるため、硬貨はオブジェクトによる生成物であると考えられています。
SCP-XXX-JPは一部が不可解な崩落を起こした██山調査の過程で2014年9月16日に発見されました。発見当時、SCP-XXX-JPは██山の崩落部分に埋まっており、周囲には大量の十円硬貨が存在していました。SCP-XXX-JPの異常性判明後、オブジェクト移送の上で十円硬貨の撤去が行われました。崩落はSCP-XXX-JPの異常性によるものであると見られています。崩落部分に存在した十円硬貨の枚数から、SCP-XXX-JPの初の異常性発現が2014年5月15日であることが判明しています。
十円硬貨の撤去に伴い、損傷の激しい男性遺体が発見されました。調査の結果、2014年5月15日以降行方不明となり、捜索願が出されていた東野█氏(失踪時9歳)であることが判明しました。死因はSCP-XXX-JPが出現させた十円硬貨による圧死である可能性が高く、これについて、██山の一部崩落と合わせたカバーストーリー"土砂崩れ"を適用、関係者には記憶処理が行われました。
財団エージェントが東野█氏の周辺人物に接触したところ、東野█氏は失踪以前、経済的困窮から来るストレスを理由とした暴力を両親から振るわれており、それが理由で小学校へも登校していなかったことが明らかとなりました。また、両親への接触から、警察へも提出したという東野█氏が失踪を遂げた理由を示唆する置き手紙の存在が判明しました。以下はその内容です。
おかあさんとおとうさんへ
ひどいこともされるけど 本当はやさしいの、知ってるよ
びんぼーになったから なぐるんだよね
きゅうにどっかに行くけどごめんね めがみさまに お金持ちにって おねがいしてくるねいつもありがとう 大好きだよ
置き手紙より、東野█氏は経済的困窮の解決を目的にSCP-XXX-JPのもとへ向かったと考えられ、SCP-XXX-JPの異常性発現のトリガーになったと推測されています。また、失踪から数ヶ月の間、置き手紙による目的地の示唆にもかかわらず東野█氏の発見が為されていなかったという事実は明らかに不自然であるため、異常存在の介入を視野に入れた調査が必要です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8153の低脅威物品保管コンテナにて収容されています。常にコンテナ内の全照明を点灯させ続けてください。コンテナの周辺を自転車を用いて走行することは禁止されています。
SCP-XXX-JPの影響を受けた対象者は同サイトの人型オブジェクト標準収容房にて収容されています。常に収容房内の全照明を点灯させ続けてください。
説明: SCP-XXX-JPは高さ約9mの街灯です。SCP-XXX-JPは電力の供給が行われていないにもかかわらず、20ルクス以下の環境で自動的に点灯します。形状の一致する街灯が販売されていた例は存在しません。
SCP-XXX-JPの異常性はこのオブジェクトが点灯中である際、オブジェクトを中心とした半径5m以内に侵入した自転車の無灯火運転6を行なっている人物(以降、対象者と表記)に対して発現します。対象者の周辺の地面は20ルクス未満の環境で約10000ルーメンの光を放出するようになります。この発光は熱を伴わず、対象者の意思とは無関係に起こります。対象者はこれを直視しても何らかの障害を眼球に負うことはありません。対象者からこの異常性を取り除く手段は不明です。対象者はこの異常性に関して「見守られているような気がする」という旨の発言をする傾向にあり、普段の生活態度や精神状態に著しい改善が見られ始めます。また、SCP-XXX-JPの影響を受けた直後より、自転車や自動車、飛行機などの乗り物への搭乗を事故への恐怖心を理由に忌避するようになります。
補遺1: 2018年6月10日午後11時頃、SCP-XXX-JPの収容コンテナ内に警察官に酷似した外見の人型実体(以降、SCP-XXX-JP-Aと表記)が6体出現しました。SCP-XXX-JP-Aはその後消失と出現を繰り返しながら対象者の収容房へ接近し、到着後対象者と共に消失しました。移動中のSCP-XXX-JP-Aへの攻撃や移動の妨害は効果的でなく、動員されたサイト保安員はSCP-XXX-JP-Aによって無力化されました。以下は対象者である望月██氏の収容房に取り付けられていた録音装置が記録した音声と監視カメラによる映像を文章に書き起こしたものです。
[SCP-XXX-JP-Aの内1体が望月氏の収容房内に出現する。]
SCP-XXX-JP-A: 警察だ!大人しく手を上げろ!
望月氏: だ、誰ですか!?
SCP-XXX-JP-A: いいから手を上げろ!
[望月氏が両手を上げる]
望月氏: 何なんですか急に!
SCP-XXX-JP-A: 俺は警察だ。記録装置からの通報でやってきた。お前、夜間ライトを点けずに自転車を運転していたな?
望月氏: 確かにしていましたけど、今はもう反省しています。そんなことで捕まえる気なんですか?
SCP-XXX-JP-A: 言い訳は署で聞く。おっと逃げようなんて考えるなよ。もう気づいているようだが、今のお前は乗り物にも乗れない上夜間目立ちやすいようにマーキングされてある。監視もついているしな。大人しくお縄につけ!
望月氏: マ、マーキング?それに監視って。
SCP-XXX-JP-A: 性格の矯正までしてやったというのにごちゃごちゃとうるさい奴だ。
[SCP-XXX-JP-Aが望月氏に近づき手錠をかけ、無線機を取る。]
SCP-XXX-JP-A: こちらハツシバ、被疑者を確保。これより帰還する。
[SCP-XXX-JP-Aが望月氏と共に消失する。]
結果として今回のインシデントで6人の対象が消失し、現在まで発見されていません。SCP-XXX-JP-Aの素性は不明であり、所属する組織なども同様に不明です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8136の低危険度物品保管コンテナ内に収容されています。
説明: SCP-XXX-JPは東弊重工によって製造されたと思われる電気炬燵です。蓄電装置と充電コードが付属しています。SCP-XXX-JPは後述の条件を全て満たさない限り通常の炬燵のように使用することが可能です。
SCP-XXX-JPの異常性は以下の条件を全て満たした場合発現します。(SCP-XXX-JPを使用する人物を以降"対象"と表記)
- SCP-XXX-JPの電源が入れられている。
- 炬燵机の直下空間内に対象の身体が存在する。
- 対象が、現在行きたい場所・行く必要のある場所・興味のある場所のいずれかを十分な声量で発言する。
以上の条件が満たされた場合、炬燵机の直下空間内に存在する対象の身体は消失し、対象が発言した地点に出現します。大抵の場合、対象はこの異常性によって下半身を欠損、大量出血により死亡します。対象の発言が具体性に欠けるものであった場合、対象の最も近くに存在する、発言に対応した地点に対象の身体は出現します。
SCP-XXX-JPは20██/██/██、東弊重工社と関連が深いと見られる町工場への襲撃の際発見、回収されました。当施設は財団による襲撃前に廃棄されたと見られ、SCP-XXX-JP以外にも数点の異常性を有する製品を回収しています。
プロジェクト名:どこでもこたつ
製造: 東弊重工社開発部
クライアント依頼: 炬燵から出ないで済むような製品をお願いします。
製品目標: 音声による指示で、使用者ごと指示した地点に転移するこたつ。こたつに入ったまま様々な作業が行える。こたつに入ったまま簡易な旅行も行える。
技術的目的: 周囲の状況と使用する人間を正確に把握し、音声を認識することで転移先の位相を瞬時に計算するシステムの構築。既存の空間転移技術の発展。
製造過程:
200█/██/██、██████テックの技術協力もあり、演算プログラムの構築が完了した。
200█/██/██、転移機構の開発が思うようにいかない。使用するたびに転移範囲が変化し安定しない。これでは安全な使用ができない。
200█/██/██、相変わらず転移機構の開発がうまくいっていない。その他にも、蓄電装置の蓄電容量など、問題が山積みだ。
200█/██/██、今日の試験では転移機構が暴走し、試験中のプロトタイプと施設の一部が破損。一から考え直し。
(以下、数行に渡って開発履歴が列挙されているが、いずれも開発の進行が遅れていることを示している。)
200█/██/██、演算プログラムに致命的なバグを発見。これのせいで転移機構がうまく作動しなかったのかもしれない。
200█/██/██、この工場が財団に発見されたらしい。予想していたより早い。時間がないため最低限のものしか持っていけない。残念ながら、こいつはここに置いていくことにする。不用意な実験で██████7を起こさせないため、転移範囲を最小に調整してロックをかけた。まだ搭載するべき機能も多く、転移機構も満足のいくレベルまでは到達しなかったが仕方ない。しかし、これの開発によって培われた技術は無駄ではない。設計図もある。我々は諦めない。
補遺: 現在、様々な観光地で「瞬間移動する炬燵」の目撃証言が相次いでいます。SCP-XXX-JPとの関連性は不明ですが、調査が必要であると思われます。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団関係者以外のSCP-XXX-JPとの接触を防ぐため、███小学校跡地周辺への立ち入りは警備員により制限されます。SCP-XXX-JPの周辺には監視カメラと録音機が設置され、オブジェクトの挙動が常時記録されます。
SCP-XXX-JPには現在位置の常時把握のためGPS発信機を取り付けます。また、SCP-XXX-JPに専用の拘束器具を装着し、歩行を阻止します。
説明: SCP-XXX-JPは██県████市の███小学校跡地に存在する二宮尊徳像です。サンプル採取の結果、青銅製であることが判明しています。SCP-XXX-JPは各地の小学校に存在していた二宮尊徳像と同様に、薪を背負い、本を読みながら歩くという姿を模した形状をしています。
SCP-XXX-JPの異常性は午後11時から翌日の午前3時にかけて毎日自律的に特定のルートを歩行する点にあります。
SCP-XXX-JPの歩行速度は時速5km程度で、歩行中は絶えず手元の本を注視しています。観測上、本には何も記述されていないにも関わらず、SCP-XXX-JPは様々な書物の記述を音読するように呟きます。大半は江戸時代までに存在した農学書や「四書」8です。歩行は拘束によって容易に阻止することが可能です。歩行を阻止した場合でもSCP-XXX-JPが音読を中止することはありません。また、あらゆるコミュニケーションの試みは失敗しています。SCP-XXX-JPは午前3時になると消失、再度███小学校跡地に出現し、不活性化します。
補遺1: 2002/██/██、日本に上陸した台風██号による暴風で拘束器具が破損し、SCP-XXX-JPは収容プロトコルが未完了の状態で異常性を発揮しました。
結果としてSCP-XXX-JPは一般交通規範を無視した歩行を続け、走行中の自動車と激突しました。自動車の運転手である加藤█氏は全治6ヶ月の怪我を負い、SCP-XXX-JPは激突の衝撃で破壊されました。目撃者等には記憶処理が施され、加藤█氏には財団管轄下の病院で治療が行われました。
破壊されたSCP-XXX-JPは午前3時に破片を含め全て消失し、███小学校跡地に完全な状態で再出現しました。これ以降の異常性発揮は確認されていません。 補遺2を参照してください。
補遺2: 2003/██/██、SCP-XXX-JPの異常性が再度確認されました。また、同時に未確認の書物の音読が観測されました。今回新たに認知された書物を以下に列挙します。
- 六法全書(平成██年版)
- 法学入門
- 憲法学のすすめ
- 交通事故判例集
補遺3: 2003/██/██、██地方裁判所において二宮尊徳を原告、加藤█氏を被告とした訴状の存在が確認されました。訴状の記入内容や添付書類は不完全なものでしたが、加藤█氏の氏名、住所等、ある程度の個人情報が記入されていました。
訴状の発見者は"いつのまにか書類に混ざっていた。"と証言しており、これ以外に訴状に関係すると思われる証言や映像は得られていません。
現在、SCP-XXX-JPの行動パターンに特別な変化は観測されていません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは出現する硬貨への対応を容易とするためサイト-8157に存在する大型の特製収容コンテナにおいて収容します。出現した硬貨は全て回収し、枚数を確認した後一部のサンプルを残して破棄、もしくは再利用を行います。
説明: SCP-XXX-JPは戸籍上「西島 知宏」と記録されている男性の死体です。SCP-XXX-JPは大きく損壊していますが、それ以上の損傷を加えることはできず、腐敗の兆候を示しません。
SCP-XXX-JPの異常性は毎年7月15日の午後5時頃、オブジェクトの直上に非異常性の十円硬貨を約1億枚出現させるという点にあります。これらの硬貨には出現以前から存在する傷等は確認されておらず、付着物についても、出現場所以外に存在する物質は未確認であるため、硬貨はオブジェクトによる生成物であると考えられています。硬貨には出現毎に枚数が減少する傾向があります。
SCP-XXX-JP発見のきっかけとなったのは、2014年7月15日、██県████市の西島氏邸宅内に大量の十円硬貨が出現したという事案です9。これにより西島氏邸宅は全壊し、当時9歳であった知宏氏を含む、家屋内で生活していた男女5名が全員死亡しました。周辺一帯への大量の記憶処理剤の散布、及びカバーストーリーの流布によりこの事案は隠蔽され、その後知宏氏の死体にのみ異常性が確認されたためSCPオブジェクトとして認定されました。
財団による家屋内の調査時、屋根裏部屋跡に段ボール箱が発見されました。内容物は以下の通りです。
- 十字が刻まれた石
- 知宏氏の頭髪数本
- 芯の折れた鉛筆2本
これらの意義は知宏氏の担任教師へのインタビューにより明らかとなりました。以下はその内容です。
対象: 斎藤義仁氏(西島知宏氏の担任教師)
インタビュアー: エージェント・村井付記: エージェント・村井は警察官を装いインタビューを行っています。
<録音開始>
(重要度が低いため省略)
エージェント・村井: ありがとうございます。では、ちょっとこれを見ていただけませんか。
(段ボール箱と内容物の写真を見せる)
エージェント・村井: 事件現場にあったものなんですけども、意味不明の物ばかりで捜査上困り果てている状態でして。
斎藤氏: あぁ、これでしたら生徒に教えられたことがあります。おまじないみたいな物ですかね、たしか。学年で流行ってました。
エージェント・村井: おまじない、ですか。
斎藤氏: えぇ。こういうものを集めてから隠し、儀式をすると願いが叶うとかなんとか。
エージェント・村井: なるほど、分かりました。しかし、知宏君はこれで何を願ったのでしょう。
斎藤氏: さぁ、そこらへんはわかりかねます。特に不満もない学校生活を送っていたとは思うんですが。
エージェント・村井: 金銭関係で何か悩んだりもしていませんでしたか?なにか、その、十円玉にまつわることとか。
斎藤氏: そう言われましても。金銭関係でも特になかったと思います。別に貧困家庭ではなかったはずなので。しかし十円玉ですか。あ、そういえば。
エージェント・村井: 何か思い出しましたか?
斎藤氏: 知宏君がよく言ってたことなんですけども、まあ私達も小さい頃は一度言っていたかもしれないことです。「日本人みんなから十円をもらったら大金持ちになれる」っていう、あれですよ。
<録音終了>
終了報告書: 知宏氏の学年で流行していた「願いの叶う儀式」は財団による再現実験でその効力を否定されました。依然としてSCP-XXX-JPの異常性獲得の原因は不明です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8153の低危険度物品保管コンテナにて収容されています。殺人の前科がある人物がコンテナ内に入ることは禁止されています。
SCP-XXX-JPの影響を受けた対象者には保護及び治療を同サイト付属の病院施設において行ってください。
説明: SCP-XXX-JPは容積650Lの業務用ダストボックスです。同型の商品が販売されていますが、これらには異常性は確認されませんでした。
SCP-XXX-JPはこのオブジェクトを中心とした半径5m以内に殺人の前科がある人物(以降、対象者と表記)が侵入することで活性化します。活性化したSCP-XXX-JPの側面、底面からは人間のものと酷似した上肢・下肢が生えるように出現し、対象者を追跡・捕獲します。捕獲に成功したSCP-XXX-JPは対象者を掴みながら自身の内部に投げ入れます。これによってSCP-XXX-JPの底面と接触した対象者は消失し、付近に存在する清掃工場内に意識を失った状態で出現します。対象者が消失するとSCP-XXX-JPの上肢・下肢は消失し、オブジェクトは非活性化します。清掃工場内に出現した対象者の健康状態自体に問題は見られません。
SCP-XXX-JPによって消失、出現した対象者は以降より睡眠時に必ず特定の夢(以降、SCP-XXX-JP-1と表記)を経験するようになります。全ての対象者が経験するSCP-XXX-JP-1の内容は若干の違いが見られますが概ね一致しています。以下は全てのSCP-XXX-JP-1に見られる共通点です。
- 対象者の家族、対象によって殺害された被害者が登場する。対象者の家族はロープ等で縛られ身動きが取れない。
- 被害者は対象者の家族を罵倒しながら何度も刃物で切りつけるなどして殺害する。
- 対象者の家族を殺害した被害者は、四肢・頭部を切断し付近のダストボックスに投げ入れる。
- 対象者自身がSCP-XXX-JP-1内に現れることはないが、SCP-XXX-JP-1内で起こる出来事をある地点から俯瞰している。
SCP-XXX-JP-1内での出来事が起こる場所は様々であり、対象者の体験や記憶などに依存していると考えられています。SCP-XXX-JP-1を経験している間、対象者の眼球は不明なプロセスを経て消失します。眼球の消失によって発生する、一般的に考えられる被害は確認されていません。対象者がSCP-XXX-JP-1から覚醒した時点で眼球は対象の眼窩に再度出現します。再出現後の眼球は極度に乾燥しています。消失中の眼球の所在は不明です。
対象者はSCP-XXX-JP-1の経験に対し多大な不快感、疲労感、孤独感を主張します。繰り返し経験するSCP-XXX-JP-1は心理的ストレッサーとなり、対象者は結果として睡眠に対しての忌避感や重度の鬱症状を示します。財団による治療は効果的でなく、対象者の多くはカウンセリング毎に職員へ自らの殺害を提案するなどの行動に出ます。SCP-XXX-JP-1を回避する手段は現在まで不明であり、研究が続けられています。
SCP-XXX-JPは2009/8/25、████刑務所内に突如として出現し、収監されている受刑者の存在から活性化、██名を自らに投げ入れ不活性化しました。通報を受けた財団エージェントが駆けつけ、SCP-XXX-JPは収容されました。SCP-XXX-JPを何らかの目的で刑務所に送り込んだ人物の存在が疑われています。
補遺1: 2018/10/14、対象者の1人である小川清司氏が突如として暴れ出し、隣接するベッドに座っていた他の対象者2名を絞殺しました。見張りのスタッフは全て同時刻に発生していたオブジェクトの収容違反の対処に当たっていたため、小川氏を取り押さえることができませんでした。死亡した対象者はサイト-8153の霊安室に移送されました。
対象者の絞殺について小川氏は「悪夢から救ってやりたかった。」と話しており、SCP-XXX-JP-1からの解放を目的として行ったものであると主張しています。
補遺2: 霊安室に安置されている対象者2名の眼球が消失しました。眼球は現在まで発見されていません。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8139の低脅威物品保管コンテナにGPS発信機を取り付けた状態で収容します。コンテナ内にはスピーカーを設置し、リスト-XXX-JPに基づいて録音された音声を流し続けます。SCP-XXX-JPが分泌する腐敗液は1週間に1度、Dクラス職員によって消毒破棄されます。
SCP-XXX-JPはその性質のため収容は不可能です。しかし、SCP-XXX-JPが出現、消失を繰り返すサイト-8141周辺は██████に含まれるため財団によって封鎖されており、一般人の侵入やそれによる被害は考慮に値しません。また、SCP-XXX-JPにはGPS発信機が取り付けられているため、財団は出現したオブジェクトの位置を即時把握することが可能です。サイト-8141周辺で活動をする職員が存在する場合、この位置情報を確認するようにしてください。
説明: SCP-XXX-JPは女性を模したと思われる高さ約165cmの人形に見える実体です。構成物質等はサンプル採取が不可能であるため判明していません。
SCP-XXX-JPは1日に1度、サイト-8141周辺██████から███までのいずれかの地点に出現します。出現後、SCP-XXX-JPは約110dBSPLと見られる叫び声を10秒間上げ続けます10。叫び声を直接聴いた人物は3日間継続する深刻な孤独感や悲哀感に苛まれます。これは普段の生活に食欲不振・不眠症・職務放棄などの形で表面化します。
叫び声を上げたSCP-XXX-JPはサイト-8141が存在する方向への自律的な移動を開始します。しかし、SCP-XXX-JPは移動開始から数分で消失するため、サイト-8141に到着したというケースは現在まで確認されていません。
SCP-XXX-JPは19██/██/██、サイト-8141で発生した大規模収容違反収束直後に初めて発見されました。このインシデントとSCP-XXX-JPの関連性は不明です。
追記: 19██/██/██、SCP-XXX-JPが別れを意味する挨拶に反応することが確認されました。SCP-XXX-JPは別れを意味する挨拶を何らかの手段で認識し、その間、叫び声を上げる・自律的に移動する・消失するなどといった基本行動を全て行いません。
前述の状態となったSCP-XXX-JPは顔面を覆う形に腕を移動させ、眼球から腐敗した人間の体液を未知の手段で分泌し続けるようになります。この腐敗液に異常性は見られません。
██度の実験後、上記の反応が確認される挨拶を纏めたリスト-XXX-JPが作成され、新たな特別収容プロトコルが正式に制定されました。これによってSCP-XXX-JPはサイト-8139に収容されました。
収容方法が確立されたためSCP-XXX-JPのオブジェクトクラスはSafeに再分類されました。
アイテム番号: SCP-███-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-███-JPはサイト-81██の低危険度生物オブジェクト収容房にて収容されています。SCP-███-JPには毎日50gのタカアシガニ剥き身を与えてください。
現在SCP-███-JPは収容されていません。サイト-81██内に潜んでいるものと思われます。発見した職員は直ちに確保してください。
説明: SCP-███-JPは巨大な白色の不定形生物です。ある程度の知性を有していることが確認されており、簡単な会話が可能です。また、常に短尾類に対して強い敵意を抱いており、”潰したい”という旨の言葉をしばしば発していることが確認されています。ただし、タカアシガニ(学名:Macrocheira kaempferi)のみは例外のようであり、好んで食します。なぜタカアシガニのみ例外であるかは判明していません。
SCP-███-JPはタカアシガニ以外の短尾類(以降、対象と表記)を目視した瞬間、5m程度の人間の腕のようなものを2本生やすように出現させ、対象を潰そうと試みます。現在までSCP-███-JPが対象を潰し損ねたことはありません。潰された対象は即座にサイト-81██の厨房に転移します。
対象: SCP-███-JP
インタビュアー: ペイジ博士
<録音開始>
ペイジ博士: では、これよりインタビューを開始します。
SCP-███-JP: えぇ!?
ペイジ博士: なんですか?
SCP-███-JP: わからない…。
ペイジ博士: そうですか。では質問の方に移ります。SCP-███-JP、あなたはなぜ短尾類を潰しているのですか?
SCP-███-JP: さあ?
ペイジ博士: 自分でもわからないということですか。生物学的本能なのかもしれませんね。
SCP-███-JP: そうだぼ!
ペイジ博士: なるほど。では[SCP-███-JPにやって妨げられる。]
SCP-███-JP: うわーん。
ペイジ博士: なんですか?
SCP-███-JP: 蟹を潰したい。
ペイジ博士: それは許可できません。我慢してください。
SCP-███-JP: そんな…。
<録音終了>
終了報告書: 頭がおかしいのか? -ペイジ博士
補遺: 2018/4/1、SCP-██████-JPの収容違反に乗じたSCP-███-JPの収容違反が確認されました。収容房に備え付けられたカメラにはSCP-███-JPが収容責任者であるペイジ博士に擬態した光景が収められてあり、これを利用して脱出したものと思われます。これまでSCP-███-JPの擬態という能力は確認されておらず、SCP-██████-JP収容違反時に新たに獲得した、もしくはこれまで意図的に行使していなかったという可能性が挙げられています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 日本全国の、生物の身体部位認識の異常に関する情報は全て財団によって監視され、SCP-XXX-JPによる影響と判断された場合、直ちに処置がなされます。
また、定期的にシジョウジカの化石に対する大規模調査を行い、SCP-XXX-JPキャリアとしての性質の有無を確認してください。
現在までに回収されたSCP-XXX-JPキャリアは全てサイト-8136の低脅威度物品保管コンテナに不透明のポリエチレン袋を被せた状態で保管しています。
説明: SCP-XXX-JPは日本国内の少数の人物内で共有されている”シジョウジカ(学名: Cervus nippon shijoe)の足は0本である”という認識です。
SCP-XXX-JPは日本全国で発見される数多くのキャリアによって直接の視認で人間に伝搬します(以降、SCP-XXX-JPが定着した人間を”対象者”と表記)。キャリアは大抵の場合シジョウジカの化石ですが、稀にシジョウジカを含む動物図鑑や、シジョウジカについて記述された論文がキャリアとして成立する場合があります。
定着後、対象者はシジョウジカの体の各部位を、足と同様に”存在しないもの”として認識し、次第にシジョウジカ自体を認識することが不可能となります。続いて、これらの認識異常は他の生物に拡大します。対象となった生物への対象者の認識は以下の2パターンに分かれます。
- シジョウジカと同様に身体部位を発端として”存在しないもの”と認識する。最終的に対象生物自体の認識が不可能となる。例としてタラシムシ、ニホンハシマキ、オオツノダイカンなどが挙げられる。
- 対象生物の身体部位を実際とは違う形で認識する。ただし”存在しないもの”として認識するのではなく、主に形状、身体部位の数に関する認識が改変される。例としてホッキョクグマ、インドゾウ、アミメキリンなどが挙げられる。
認識改変後の生物の外見に個人差は存在しません。財団が対象者への実験により作成した、SCP-XXX-JP対象生物とその変化についての詳細なリストは文書SCP-XXX-JPを参照してください。
SCP-XXX-JPは最終的に”人間の下肢は2本である”という認識に終着し、この段階に至った対象者からは、人類を対象としたもの以外のオブジェクトに関する認識が消失します。
SCP-XXX-JPは、通常の人間の下肢、もしくはそれを被写体とした写真を5分以上視認し続けることで対象者からの排除が可能です。SCP-XXX-JP対象者となった人物は以降、もう一度対象者となることはありません。
追記 2014/5/12: SCP-XXX-JPキャリアとして成立したシジョウジカの化石を民間に流していたと見られる人物らの特定と、その本拠地の制圧に成功しました。彼らの本拠地には多数のシジョウジカの化石が保管されており、その全てがSCP-XXX-JPキャリアとしての性質を有していました。
彼らの捕縛は、彼ら自身の拳銃自殺によって失敗しました。しかし、自殺の直前、制圧部隊に「思い出せ」と叫んだという事実は特筆に値します。また、本拠地内の全ての人物は典型的な先天性下肢欠損障害でした。彼らの身元は未だ判明していません。
追記 2014/7/23: SCP-XXX-JPの研究チーム全員がSCP-XXX-JP対象者となっていたことが判明しました。調査の結果、この報告書自体がSCP-XXX-JPキャリアとして成立していたことが証明され、対抗処置として以下の画像が設置されました。報告書閲覧者は以下の画像を5分以上視認することが義務付けられます。
この報告書をSCP-XXX-JPキャリアとして成立させた方法、人物などは現在調査中です。
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