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三匹のガチョウ

アイテム番号: SCP-2649-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2649-JPはそれぞれサイト-8126内の、水深30cm以上の水場が室内に設置された標準生体収容室にて1匹ずつ分けて飼育されます。日に2回、担当職員は室内を完全に消灯した後、暗視装置を装備の上、トウモロコシとダイズを主成分とした配合飼料を与え、収容室内を清掃してください。レベル3以上の職員2名の許可があれば、SCP-2649-JP-1、SCP-2649-JP-2に関する実験を行う事ができます。レベル2以上の職員あるいはその許可を受けた人物は所定の用紙に記名することで、SCP-2649-JP-3を持ち出し、職務に用いることが認められています。返却する際はSCP-2649-JP-3にサンマを1尾支給してください。事案2649-JP-1以降、SCP-2649-JP-3の個人的な持ち出しは禁止されました。実験には他のSCP-2649-JPと同じくレベル3以上の職員2名の許可を必要とします。

説明: SCP-XXX-JPは3匹の白いAnser anser var.domesticus（ガチョウ）です。3匹とも体長83cm、右脚付近の褐色斑を除き全体が白く、それぞれの姿は非常に似通っていますが、目視で識別することは可能です。SCP-2649-JPは通常のガチョウと生物学的な差異を持たず、通常の飼料や手順を用いて飼育することが可能で、普段は通常のガチョウと同様の生態を見せます。SCP-2649-JPが人間を目視すると、SCP-2649-JPは目視された人間（以下、SCP-2649-JP-A）を、SCP-2649-JP-Aが死亡するか、半径2km以上離れる、あるいはSCP-2649-JP-Aからサンマを餌として与えられるまで、5mほどの間隔を保ち徒歩で追跡し続けます。SCP-2649-JP-Aを視認できない場合でも何らかの方法により位置を把握し出来る限り接近しようとし、SCP-2649-JP-Aとの間に迂回できない障害物があった場合は、その前で立ち止まり待機し続けます。SCP-2649-JPがSCP-2649-JP-Aを追跡している間、対象に様々な効果を与えます。SCP-2649-JPの個体をそれぞれSCP-2649-JP-1、SCP-2649-JP-2、SCP-2649-JP-3とします。

SCP-2649-JP-1に目視された人物（以下、SCP-2649-JP-1-A）は、極めて楽観的になった上で、非常に運が悪くなり、事故や事件など「不幸な事象」に巻き込まれやすくなります。そして、不幸な事象に巻き込まれたSCP-2649-JP-1-Aは、その直後に何らかの「幸運な事象」に出会います。この幸運な事象は多くの場合、先の不幸な事象とは釣り合わない程の小さな規模に留まりますが、SCP-2649-JP-1-Aは極度に楽観的になっている為、自らの状況について非常に幸せだと感じ続けます。また、SCP-2649-JP-1自身がいずれかの事象に巻き込まれた例はありません。SCP-2649-JP-1の特性に関する記録は記録2649-JP-1を参照して下さい。

記録2649-JP-1

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対象: ██研究員
不幸な事象: 対象が同乗中のSCP-2649-JP運搬車両が路上の障害物を踏み横転し大破、車から投げ出され重症を負う。
幸運な事象: 投げ出された場所に落ちていた百円硬貨を発見する。

対象: D-77812
不幸な事象: カッターナイフの刃が折れ、勢い良く跳ねた刃が右目に直撃し失明する。
幸運な事象: 出血し床に飛び散った血液が対象のイニシャルの形になる。

対象: D-49872
不幸な事象:水道管の破裂に伴う地面の陥没に巻き込まれ、5mほど落下し頭部を強打。下半身が麻痺する。
幸運な事象: 救出された際に四つ葉のクローバーを発見する。

SCP-2649-JP-2に目視された人物（以下、SCP-2649-JP-2-A）は、極めて悲観的になる一方で、しばしば幸運な事象に出会うようになります。その直後にSCP-2649-JP-2は何らかの不運な事象に巻き込まれますが、その規模は先の幸運な事象の規模とは比べものにならない程大きく、SCP-2649-JP-2-Aはほぼ確実に深い絶望を感じます。SCP-2649-JP-2-Aが長期間に渡ってSCP-2649-JP-2の影響下に置かれ続け、なお生存している場合、多くのSCP-2649-JP-Aは精神に異常をきたすか、自殺します。また、SCP-2649-JP-2自身がいずれかの事象に巻き込まれた例はありません。SCP-2649-JP-2の特性に関する記録は記録2649-JP-2を参照して下さい。

記録2649-JP-2

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対象: ██研究員
幸運な事象: 懸賞付き年賀状の5等に当選する。
不幸な事象: 隣家の火の不始末により発生した火事が広がり、自宅が全焼する。

対象: D-69213
幸運な事象: サイコロを4つ振り、その全てで1の目が出る。
不幸な事象: 喜んで立ち上がった瞬間に足がもつれ転倒、それに伴い付近にあった本棚が倒れてきて右腕を潰され失う。

対象: D-92114
幸運な事象: 辞書を開いた時に偶然777ページが開かれた。
不幸な事象: 小規模な隕石が突如対象の座っていた地点に向けて落下、対象は衝撃により肉体が周囲に弾け飛び死亡した。

SCP-2649-JP-3に目視された人物（以下、SCP-2649-JP-3-A）は、あらゆる事物に関して極めて正確にその量や性質を見積もることができるようになります。紐や飲み物などの物質に対しては、それが何cmあるいは何mlであるかを測定せずに判断することができ、酒を飲む、賭けをする、など行為に関しては、その結果何%の確率でどのような影響が自身に与えられるかを事前に判断できるようになります。なお、あくまでSCP-2649-JP-3は事物に関して正確に見積もりを行うことができるだけであり、ルーレットがどの数字に止まるかや、中の見えない箱に何が入っているかなど、情報を持っていなかったり、あるいは極度にカオスであったりする事象に関しては事前に知る事ができません。この性質のため、必要があれば職員はSCP-2649-JP-3を持ち出す事が許されています。事案2649-JP-1を参照。

SCP-2649-JPは2016/██/██、██県山中の放棄された小屋に隣接していた半径10mほどの池から発見されました。小屋の中には飼料と思われるトウモロコシや数尾の腐敗したサンマ、掃除用具の他には何も残っていませんでした。発見された時点で、SCP-2649-JP-1、SCP-2649-JP-2、SCP-2649-JP-3はそれぞれ、「まえむき」「うしろむき」「げんじつ」と刻まれたプラスチック製の足輪をつけていました。不審に思った発見者のエージェント██は財団に連絡を取りましたが、その最中に足を滑らせ池に転落し死亡しました。これを受け、財団は回収チームを派遣、数名の重軽傷者を出しながらもSCP-2649-JPの収容に成功しました。

事案2649-JP-1: 長時間SCP-2649-JP-3を使用した記録のある職員によるヒューマンエラーや勤務態度の悪化が数件報告されたため、該当職員の健康調査を行いました。その結果、SCP-2649-JP-3をある程度使用したことのある職員は軽度のうつに罹患することが判明しました。これを受け、SCP-2649-JP-3自身の実験以外へのSCP-2649-JP-3の使用は禁止されました。この軽度のうつが、SCP-2649-JP-3の異常性によるものなのか、あるいは事象を正確に把握することの出来る特性により間接的に引き起こされたものなのかは現在調査中です。

私たち人間はそもそも、ある程度楽観的な生き物なのかもしれない。 -██博士