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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-81██の低危険物収容ロッカーに、不透明なプラスチックケースにまとめて入れられた状態で保管されます。新たな個体が発見される場合に備え、日本全国のコンビニエンスストアのSCP-XXX-JPと同形の菓子の仕入情報及び販売情報が財団によって監視されています。新たな個体が発見された場合、速やかにオブジェクトを回収し、可能であればSCP-XXX-JP-1となった人物にインタビューを行ってください。実験の際は、SCP-XXX-JP研究主任の許可を得て、遮光メガネを着用した上でオブジェクトを扱ってください。

説明: SCP-XXX-JPは、一般に市販されているものと同一の外見・材質であるチョコレート菓子のパッケージです。SCP-XXX-JPの中のチョコレート菓子にも異常性は無く、外見・味共に一般のものと変わりありませんが、SCP-XXX-JPに入れられている限り時間が経過しても味や外見が変化することはありません。
SCP-XXX-JPは、パッケージの材質に異常が見られないにも関わらず、活性化時に弱く発光します。この光には、SCP-XXX-JPの対象となった人物(SCP-XXX-JP-1と呼称)の庇護欲を掻き立てる心理作用と、"SCP-XXX-JPは「月の都から逃げてきた姫」である"という認識を植えつける効果があり、この作用は光に曝露した期間と比例し強くなっていきます。この効果は、既にSCP-XXX-JP-1が現れている場合でのみ第三者には影響を及ぼしませんが、SCP-XXX-JP-1となった人物にSCP-XXX-JPと同型の菓子を与え、SCP-XXX-JP-1がそれをSCP-XXX-JPとして認識した場合にのみ、SCP-XXX-JPの光が第三者にも影響を与えることが明らかになっています。
SCP-XXX-JPは日本国内のコンビニエンスストアの菓子コーナーに不活性状態で不定期に出現します。この際オブジェクトの仕入記録は発生しません。店に入った客がSCP-XXX-JPを手に取ることで、オブジェクトの異常性が発現します。以下がSCP-XXX-JPによる心理作用の第一段階目です。手に取った客(以下SCP-XXX-JP-1)は、オブジェクトの効果によって衝動的にSCP-XXX-JPを購入します。SCP-XXX-JPを入手したSCP-XXX-JP-1は、オブジェクトを女児であるかのように扱い自宅に保管します。扱い方の例として、大量の菓子やジュース、また人形などの玩具などを与えるという報告がありましたが、SCP-XXX-JPがそれらに何らかの影響を与えた例はありません。

第二段階目に突入すると、SCP-XXX-JP-1は次第に周囲への警戒心を強めます。他人を家に招かない、外出の回数を抑える、SCP-XXX-JPを常に携帯するなどの異常性が見られます。この段階のSCP-XXX-JP-1は稀に第三者に対してSCP-XXX-JPの存在について"自分が守るべき人ができた"などと話す場合がありますが、それ以上多くを打ち明けることはありません。SCP-XXX-JPは自宅にいる間も、家中の外へと通じる全ての窓・ドアを施錠し、潜むようにして生活します。またオブジェクトに対して、励ましたり慰めたりと積極的に声をかけるようになります。この段階まではBクラス記憶処理によってSCP-XXX-JPの影響下から逃れさせることができます。

第三段階目に入ると、SCP-XXX-JP-1は視認した人間全員を"月の都の使者"であると認識し、SCP-XXX-JPを連れ去ろうとしていると強く思い込みます。そのため、SCP-XXX-JP-1は非常に攻撃的になり、素手または手近な道具を使用して周囲の人間を攻撃するようになります。この状態になって初めて、SCP-XXX-JP-1の周囲の人間はSCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JPに対し異常に執着していることに気がつきます。第三段階目に入ったSCP-XXX-JP-1を通常の状態に戻す方法は今のところ発見されていません。
20██/06/24に██県███市にて█名が重軽傷を負う傷害事件が発生した際に「チョコレート菓子を胸に抱いた男が刃物を振り回している」という通報を███市警察署が受けたことを、当時別件の調査のために███警察署に潜入していたエージェント・███が財団に報告したために異常なオブジェクトの存在が明らかになりました。その後の警察による取り調べにより、現行犯逮捕された███容疑者がその時抱えていたチョコレート菓子に異常な執着心を抱いていることが発覚したため、20██/06/25に██氏とそのチョコレート菓子がサイト-81██へ輸送され、調査が開始されました。当事件については、"薬物中毒者の突発的犯行"というカバーストーリーが適用されました。

補遺: インタビュー記録 XXX-JP-1

対象: [SCP-XXX-JP-1(██氏)]

インタビュアー: [██博士]

付記: [対象はSCP-XXX-JP-1の最初の例となった██歳の男性である。インタビューの時点で既に第三段階目に達しており、攻撃的になることを防ぐ為に事前に鎮静剤が投与された。また同じ目的でSCP-XXX-JP-1にはSCP-XXX-JPと同型の菓子を与えている。]

<録音開始, [20██/06/29]>

██博士: では、インタビューを始めましょう。初めまして、██さん。私はこれから貴方にいくつか質問をします。よろしいですか?

SCP-XXX-JP-1: アンタも姫様を連れてくつもりなのか?(与えられたチョコレート菓子を胸に抱く)

██博士: いいえ、そんなつもりはありませんよ。その、姫様というのは?

SCP-XXX-JP-1: (胸に抱いたチョコレート菓子を揺らして見せる)ここにいるだろ。それとも、わかってて訊いてるのか?

██博士: そうですか。では、何故我々がその姫様を連れ去るのではないかと思ったのですか?

SCP-XXX-JP-1: 姫様が怖がってるからだよ!今も言ってるんだ、怖い、怖いって!

██博士: わかりました、落ち着いてください。…しかし、私には姫様の声が聞こえないのですが、それは何故でしょうか。

SCP-XXX-JP-1: 姫様の声は俺にしか聞こえないんだ。姫様が俺を、俺だけを信頼してくださってるから…だから…俺が姫様を守らなきゃいけねえんだよ!

██博士: …なるほど、わかりました。では、最後の質問です。その、姫様の名前を教えていただけますか。

SCP-XXX-JP-1: 決まってんだろ!"たけのこの里姫"だ!

<録音終了>