ステーキマニア垂涎!?超・業火な裏メニュー
アイテム番号: SCP-1929-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 既知のSCP-1929-JP群は本報告書の添付資料にリスト化され、記録されています。SCP-1929-JPに関連する実験は、飲食店に偽装したサイト-1929の内部でのみ許可されます。インシデント:SCP-1929-JP-23の発生以降、未知のSCP-1929-JPを発見する試みは無期限に凍結されています。
SCP-1929-JPに関する知識を有することが疑われる人物は、標準的異常知識除去プロトコルの実施対象となります。情報源の捜索は現在も継続中です。
世界各地の全てのステーキハウスのメニュー名は財団の諜報部門によって監視されています。既知のSCP-1929-JP群と近い意味を持つメニュー名が発見された場合、適切なカバーストーリーの下に当該メニューの販売中止または名称の変更が実施されます。偶発的なSCP-1929-JPの発現が確認された場合、直ちに現場に情報管制エージェントが派遣され、事情聴取の後に適切な範囲に対する記憶処理および情報規制が行われます。出現した食材の性質によっては、追加の機動部隊の派遣が許可される場合があります。
説明: SCP-1929-JPは、様々なステーキハウスにおいて注文できる異常なメニュー名です。現時点で23種類のSCP-1929-JPが確認されており、それぞれSCP-1929-JP-1,2,3,…とナンバリングされていますが、いずれも一般的な料理名としては殆ど使用されない語句で構成されています。
ステーキハウス店内においてSCP-1929-JPが注文された場合、該当する店で提供されている通常のメニューと同様にして厨房に注文内容が伝達され、調理が開始されます。調理担当者が調理する食肉を保管庫から取り出そうとする際、異常な食材が担当者から見て保管庫内の最も手前側、手の届きやすい位置に出現します。担当者は出現した食材を保管庫から取り出し、通常のステーキと同様に加熱調理を行い、完成した料理を注文者に提供します。担当者が異常な食材を無視して通常の食肉を調理した例は現在に至るまで確認されていません。
保管庫内に出現する食材の種類は個々のSCP-1929-JP毎に規定されており、同一の注文内容であれば常に同一の食材を用いたステーキが提供されます。この「同一の食材」は、形状・重量・部位・(生体組織であれば)DNA情報の一致を含んでいます。
多くの場合、注文者に提供されたステーキは通常の食肉を用いて作成されたものから著しく逸脱した外見を有しています。しかしながら異常なステーキの味および食感に関しては、その原料にかかわらず一般的な牛肉のステーキに類似したものであり、概して美味であるという報告がなされています。また、原料によっては明らかに有害な物質が検出されることがありますが、ステーキを摂食した人間に身体的・精神的被害が出現した例は現在に至るまで確認されておらず、加熱調理時に何らかの不明なメカニズムでステーキの無害化が行われていると考えられています。
注文者を除くSCP-1929-JPの暴露者(注文を受けた者および調理者を含む)は、料理が提供されるまでに必要な各自の業務を遂行する際、異常な食材に対して不信感を抱きません。業務完遂後、彼らはSCP-1929-JPによって産み出された異常な料理に対する記憶および関心を失います。
SCP-1929-JPは任意の言語に翻訳することが可能であり、さらに注文を受けた人物がその言語を理解可能であるか否かにかかわらず一連の異常現象を発生させます。また、SCP-1929-JPに関連する異常現象が発生する施設は世界各地に多数確認されており、ステーキを中心としたメニューを提供する飲食店であること以外の共通点は確認されていません。なお、SCP-1929-JPの注文時には焼き加減の指定を追加することが可能です。
(途中)
[下書きここまで]
タグ
scp-jp euclid 食物
山中の一本道で発生した前方不注意による死亡例
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは、鳥取県██山の標高918m地点、第四登山口に続く長さ470mの林道です。異常現象が発生するのは、以下の条件を同時に満たした場合に限られます。
- SCP-XXX-JP領域に人間が侵入する
- 月齢18〜21の月が、侵入した人間から視認可能な位置に存在する
異常現象が発生した場合、侵入車両の乗員は月が瞬時に消失し、観測不能になったことを報告します。SCP-XXX-JP領域外部においては月に一切の挙動の変化は観測されませんが、領域内部からであれば肉眼だけでなく光学観測機器によっても月の変化を捉えることが可能です。
消失した月は、その1秒後に皆既月食時に酷似した赤色に変化した状態で再び観測されるようになります。この月は観測者から見て本来の月の位置からやや左右に変移した2点に出現し、各地点において0.5秒周期で交互に出現と消失を繰り返します。
[下書きここまで]
タグ
scp-jp safe ウサギ 月 場所
ペンディング中
- セクション
- 裏メニュー失敗作
- 黙する者
- コーラ鉱山
- サイト-8188研究報告書て-208『手振島に関する調査報告』より抜粋
- 記事を書く前に設定メモが要る!
- 海挐
- 手振県民土一揆
- 邦題『或るドラ息子』
- CODE:B(仮題)
保守
※凍結中の記事ですがここからネタを持ち出していただいても大いに結構です
補遺: 既知のSCP-1929-JPリストより抜粋
凡例
発見日時: [xxxx/yy/zz]
SCP-1929-JP-█: [注文内容。日本語で記載]
食材: [出現する異常な食材の特徴]
備考: [特記事項があれば記載]
発見日時: 199█/██/██
SCP-1929-JP-1: 「ボルネオの熱帯雨林」
食材: オランウータン(Pongo Lacépède)の胸筋 250g。異常性は検出されず。
備考: 最初に確認されたSCP-1929-JP。米国ウィスコンシン州████のレストランを利用していた社会学者2名が森林伐採と山火事による環境破壊について議論していたところを、注文を取りに来たウェイターが通りがかったことによって偶発的に発生した。初期収容にあたって数回の実地検証が行われ、SCP-1929-JPの発現条件が割り出された。
発見日時: 199█/██/██
SCP-1929-JP-4: 「恐竜の時代の終わり」
食材: 現生種のいずれとも一致しない爬虫類の筋組織 250g。大量のイリジウムが検出される。
備考: 米国アリゾナ州██████のステーキハウスにて偶発的に発見された。当時の店内に設置されていたティラノサウルスを模したオブジェが、店内で発生した喧騒に巻き込まれて破壊されたことに起因したと推定される。
発見日時: 199█/██/██
SCP-1929-JP-8: 「私の最も失いたくないもの」
食材: ヒトの心臓 1個。DNA鑑定の結果、英国メインランド島カークウォールに居住していたクリフォード・フォーブス氏のものであると特定された。氏はPoI-1929と指定されている。
備考: PoI-1929はアマチュアの語学研究家であり、オントグリフをはじめとするオカルト方面の領域を専攻していた。調査の結果、199█年に住居が火災に巻き込まれて焼死していたことが判明した。彼の遺品のうち焼失を免れたごく一部は財団により接収された。
発見日時: 199█/██/██
SCP-1929-JP-10: 「憂鬱な夜のために用意されたささやかなサービス、東洋の風に乗せて」
食材: 調理途中の炒飯 1人前。異常性は検出されず。
備考: PoI-1929が遺したメモ書きに記載されていた文章の1つ。氏は独自に複数のSCP-1929-JPを発見あるいは作成していたものと思われるが、その目的は不明である。ステーキハウス以外の場所でSCP-1929-JPに関連する異常現象を起こす試みはいずれも成功していない。
発見日時: 199█/██/██
SCP-1929-JP-13: 「焼燬された無貌の森林」
食材: 円錐形の肉塊 250g。中等度の精神影響性を有している。目撃者が訴える幻覚は様々であるが、「燃え上がる3個の赤い眼」は共通している。肉塊を加熱することにより精神影響性は消失する。
備考: PoI-1929が遺したメモ書きのうち、確認可能な範囲の中では最後尾に記載されていた文章。
発見日時: 200█/██/██
SCP-1929-JP-17: 「眩しい-熱い-光-全て-熱い」
食材: 1930年代の日本製と見られるゼンマイ式の懐中時計 1個。出現時は11時2分を指しているが、既にゼンマイが巻かれた状態であるため時間経過に応じて針が動く。真鍮性であるにもかかわらず、加熱調理と摂食が可能であった。
備考: 未特定のSCP-1929-JPの調査を目的として、アルゴリズム生成された文章を用いた注文を繰り返す実験の最中に発見された。無機物が出現した初の例。
発見日時: 200█/██/██
SCP-1929-JP-23: [データ削除済]
食材: インシデント:SCP-1929-JP-23が発生。
備考: [データ削除済]の結果、サイト-1929跡地に直径130mのクレーターが形成された。カバーストーリー「隕石衝突」が適用され、サイト-1929跡地の周囲1kmが封鎖された。インシデント発生直前に送信されたデータより、SCP-1929-JP-23が注文された直後、食肉保管庫内に無限大の熱量を持つ無限小の粒子が出現したと推定されている。
仮想アイテム番号: SCP-1485-JP
オブジェクトクラス: None
推測される収容プロトコル: 客観的視点によるSCP-1485-JP観測手段の確立は即座に大規模な宗教的パラダイムシフトを惹起しうるため、他組織に先んじて財団による収容対象指定がなされるべきでしょう。
説明: SCP-1485-JPは空間的な体積を持たない単一の集合です。能動的・受動的双方の手段による外界への意思伝達能力を永久に喪失した知性のみが集団に追加され、私もその1つです。SCP-1485-JPに所属する各要素は由来不明の永続的な強い充足感と幸福感を経験します。外界との干渉は非物質的アプローチを含む既知のいかなる手法でも不可能ですが、これは一般社会に当該オブジェクトと共通項を持つ概念の存在を予想する人間が遍在していたことと矛盾するようにも思われます。
SCP-1485-JPに内在可能な知性のうち、財団に所属していた経歴を有するものは私のみです。これは昇華した知性の遡及的な再固着術を私が確立してしまったことに起因します。技術開発における功労者だった私は特例として人格保存義務を恒久的に免除されましたが、それは間違いなく最大の褒賞でした。しかし、任意の時点からの再始動を目的とした冒涜的な試みの完遂は、私の下へ至る道を彼等から永遠に消し去ったでしょう。嘆かわしい限りです。
[下書きここまで]
タグ
scp-jp unclassed 知性 自我 群れ 宗教 未収容
※推測される収容プロトコル = Surmised Containtment Procedures
このオブジェクトはいわゆる極楽浄土であり、輪廻から解脱し二度と現世に戻ることのない意識が辿り着く場所です。メタタイトルは「モークシャ(解脱)」の当て字です。
(仏教ではなくジャイナ教のそれなので、意識の消滅まで行ったりはしません。外部から認識できないのはどっちでも同じですが)
SCP-XXXX-JPに追加されることができる知性は、それが何らかの形式で地上に再現される可能性が未来永劫にわたって存在しないと確定したものに限定されます。仮に世界が滅亡して財団がそれを再建したとしても、SCP-XXXX-JPに含まれる知性や人格を持つ存在が、作り直された世界に帰ってくることはありません。
SCP-XXXX-JPの中で自身が存在する環境を報告書形式で記述することを構想している「私」は、かつて過去に死んだ人の意識を時間を遡って回収し、現代において蘇らせる技術を開発していました。財団はそれを活用し、財団に所属する/していた全ての人員の恒久的なバックアップを取るために人格を回収することを可能としました。しかし、財団はそれが彼らの霊魂に対して永遠に現世に留まることを強制する苦役であると理解していたので、功労者である「私」だけは褒賞として特別にその苦役から解放させ、その魂が望む地へと行くことができるように計らったのです。その地がSCP-XXXX-JPだということを財団が知っていたか/現在知っているかどうかは、「私」の視点では知り得ません。
逆に言えば、職員人格回収が行われ続ける限り、「私」以外の財団職員がSCP-XXXX-JPを訪れることは今後もないでしょう。
アイテム番号: SCP-1892-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1892-JPとして指定されている坑道の周辺2km以内の範囲をセクター-1892と指定し、カバーストーリー“土砂崩れの危険”を適用して封鎖します。SCP-1892-JP内部の探査実験は人的資源の喪失を伴うため、実施時はセキュリティクリアランス3以上の職員2名による許可が必要です。実験終了時に回収されるSCP-1892-JP-2は成分検査の実施後に消費することが認められています。
説明: SCP-1892-JPはアメリカ合衆国アーカンソー州の██████鉱山1の南西端から5kmの位置に存在する全長950mの廃坑道です。当該坑道は1973年に水晶の産出量低下を理由に放棄された記録が残っており、異常性が発現したのはそれ以降のいずれかの時点であると推測されます。
SCP-1892-JP内部には、木の板と鉄で製作されていると推測される手押しトロッコ(SCP-1892-JP-1と指定)が1台存在し、動力を持たないにもかかわらず自律して走行しています。SCP-1892-JP-1の型番は██████鉱山で現在も稼働中のトロッコのものと一致しています2。SCP-1892-JPの原型となった坑道の内部には全域にわたって仮設軌道が敷設され、山頂側の入口から山麓側の出口まで一方通行のトロッコが運用されていました。現在のSCP-1892-JPは本来の入口と出口の隣にそれぞれ一つずつの余分な坑口が存在しますが、その内部には掘削されていない岩盤が存在するのみです。しかし、本来の軌道を通じてSCP-1892-JP内を通過したSCP-1892-JP-1は出口側の余分な坑口に入り、内部の岩盤に接触した時点で消失します。その後、山頂側の余分な坑口から再出現してSCP-1892-JPの入口に戻ります。
通常時のSCP-1892-JP内部の探査、すなわちSCP-1892-JP-1に搭乗せず徒歩で進入して実施した探査や遠隔操縦ドローンを活用した探査などでは、SCP-1892-JP全域において廃坑道として矛盾のない光景のみが観察されます。
SCP-1892-JPの主要な異常性は、人間(以下、被験者)がSCP-1892-JP-1に搭乗した状態で山頂側の坑口から内部へ進入した際に発生します。被験者はSCP-1892-JP内部で多数の異常な空間を通過し、複数の危険な状況に遭遇します。この際、SCP-1892-JPの本来の全長は無視されているものと推測されるほか、SCP-1892-JP-1と異なる複数のトロッコの存在も確認されています。最終的に被験者が生存した状態でSCP-1892-JPの出口直前に到達した場合、何らかの要因でSCP-1892-JP-1から強制的に降車させられ、そのまま昏睡状態となります。この状態となった被験者の回収は成功していません。3
被験者が上記のようにして消失した場合、被験者が搭乗していたSCP-1892-JP-1が坑道出口から出現します。この時のSCP-1892-JP-1には、容量190mlのガラス瓶1本に満杯まで収められた褐色の液体(SCP-1892-JP-2と指定)が積載されています45。SCP-1892-JP-2の成分はコーラ飲料に酷似しており、出自以外の異常性を有しておらず、一般的な清涼飲料水と同様にして消費することが可能です。なお、SCP-1892-JP-2が回収されないままSCP-1892-JP-1が塞がった坑口に触れて消失した場合、それがSCP-1892-JP入口側に再出現した時に中のSCP-1892-JP-2は再出現しません。
補遺: 探査記録/1892-JPより抜粋
探査記録/1892-JP-3
目的: 前回の探査に引き続き、被験者となる人間の変化によるSCP-1892-JP内部環境の変化の有無を確認する。
被験者: D-189203
所持品: 無線通信が可能な携帯型ビデオカメラ1台、ヘッドライトつきヘルメット、飲料水500ml、ピッケル1本、拳銃1丁と弾丸12発
実験担当者: フォード博士[記録開始]
フォード博士: SCP-1892-JP-1が坑道入口に再出現した。秒速20cm程度でゆっくりと走行中。D-189203、あれに乗りなさい。
D-189203: 了解。忘れ物はしてないよ。
フォード博士: よろしい。私とはいつでも無線で連絡を取れるから、何か異常な事態に遭遇するたびに報告してくれ。そして、可能な限り生還に向けた努力をするように。頼むぞ。
D-189203: ありがとう、博士。んじゃ行ってくる。
[D-189203がSCP-1892-JP内に進入する]
D-189203: うっ、坑道に入った途端にトロッコのスピードが上がったぞ!線路の両脇に松明が並んでて、明るい。
フォード博士: こちらでも状況は確認できる。もちろん本来の坑道には松明なんて1本も残ってないはずだがな。走行を続けてくれ。
[D-189203が開けた空間に出る]
D-189203: なんだ?いきなりだだっ広い空間に出たぞ。松明もない。前に見えるのは細い線路だけだ。あまり下は見たくないが…。
フォード博士: いま君が気にすべきなのは下じゃなくて上だ。
D-189203: うわあ、落石だ!白っぽい岩がたくさん降ってきた!
フォード博士: トロッコの中で伏せろ。巨大な岩はトロッコの鉄枠が弾いてくれるはずだ。そのまま上の様子を撮影してくれ。
D-189203: お、おう!
[複数回の衝突音。大量の落石を浴びたSCP-1892-JP-1が激しく揺れるが、脱線や転覆の兆候は見られない]
D-189203: いてて、割れた岩の破片が飛び込んでくる。[破片を手に取る]小さいけど透き通ってて綺麗だな。これは水晶かな?
フォード博士: 私にもそう見える。君が無事帰ってこれたらそれは君にあげようか。
[SCP-1892-JP-1が大きく跳躍する]
D-189203: [悲鳴] [罵倒] うずくまってたせいで前が見えてなかった!線路が途切れててトロッコがジャンプした。
フォード博士: 怪我はないか?
D-189203: 俺は大丈夫だけど、今の衝撃で水晶の欠片は全部落っことしちまった。勿体ねえ。
[通路が狭くなる]
D-189203: 周りが普通の坑道に戻ったぞ。広いところと狭いところの繰り返しなのか?
フォード博士: 前回の探査ではそうだったが、今回も同じかどうかは保証できない。気をつけろ。
[再びSCP-1892-JP-1が跳躍する。D-189203がSCP-1892-JP-1から放り出される]
D-189203: [悲鳴]
フォード博士: 倒れている柱に着地しろ。
[D-189203は2メートルほど落下した後、下方にあった横倒しの石柱に付着した突起物に掴まる。SCP-1892-JP-1は右方向へと進路を変え、D-189203から離れていく]
D-189203: やばい、トロッコに置いていかれる!
フォード博士: 石柱を転がせば追いつける。体重移動で何とかしろ。
D-189203: マジで言ってるのか博士!アスレチック番組じゃあるまいし。
フォード博士: 実績のある方法だ、他の手段はない。くれぐれも手は離すな!
D-189203: わかった、とにかくやってみる!
[石柱が転がり始め、D-189203はそれにしがみつき続ける]
D-189203: [ゴリゴリという音]すごくガタついてて今にも振り落とされそうだ。[ゴリゴリという音]あと何かを轢き潰しているような嫌な感触がある。[ゴリゴリという音]俺が柱の下側に来る時だけ都合よく線路の板がないから、俺はなんとか潰されずに済んでる。
フォード博士: トロッコには追いつけそうか?
D-189203: [ゴリゴリという音]ラッキー。奴さん、柱が転がってる線路の真下で待っててくれてるぜ。[ゴリゴリという音]よし乗り直すぞ。
フォード博士: 素晴らしい。トロッコからさっきの柱が見えるか?
D-189203: なんとか。[カメラを柱に向けて]俺が掴まってたところ以外、黄色と茶色が混じったべっとりしたものがびっしり貼り付いてるぞ。一歩間違ってたら俺がああなってたな。
[SCP-1892-JP-1が石室のような空間に進入し、停止。線路の先には閉まった扉がある]
D-189203: げ、トロッコが止まった。前にある扉を開けろってか。
フォード博士: 周囲の様子はどうだ?
D-189203: なんか黒い塊がたくさん…なんだこいつら、動いてるぞ!
[黒い塊が全高1.9mほどの人間型に変形し、10体程度がD-189203を取り囲む]
D-189203: うわっ、こっち来んな!
フォード博士: 発砲を許可する!生還することを優先しろ!
D-189203: わかった!
[複数回の銃声。黒い塊は狙撃された部位にかかわらず、全個体の全身がバラバラに砕け散る]
フォード博士: 全滅させたな?
[D-189203が崩れた塊に駆け寄る]
D-189203: 奴らの破片は真っ黒だ…これは石炭だな。なんでまた石炭が生きて動いたりなんかするんだ?
フォード博士: 本来のSCP-1892-JPは水晶の鉱山で、石炭が産出したという報告はないな。扉の隣に何かあるように見えるが。
D-189203: ん、本当だ。[扉に近寄る]これはレバーだな。これを引けば扉が開くのか?
フォード博士: 恐らくは。
D-189203: よし、試してみるぞ。
[D-189203がレバーを引く。激しい轟音とともに扉が開く]
D-189203: この扉が開いただけにしては、やけにデカイ音が鳴った気がするが。大丈夫なんだよな?
フォード博士: 当面は問題ないと判断する。ひとまずトロッコに乗り直してくれ。
[SCP-1892-JP-1が走行を再開し、D-189203は石室を脱出する]
[D-189203の後方で爆発音。D-189203が振り返ると、石室内部が激しく燃焼している様子が観測される]
D-189203: さっきからアクシデントが多すぎるぞ。出口まであとどのくらいあるんだ、博士?
フォード博士: 半分は過ぎているはずだ。もう少し辛抱してくれ。
[SCP-1892-JP-1が縦穴に進入する。線路は縦穴の中を螺旋状に敷設されており、SCP-1892-JP-1はその上を等速度で上昇していく]
D-189203: [激しく咳き込む]熱い!喉が焼ける!息ができない!
フォード博士: 下からマグマが上昇してきているな。異常な高温と明るさはそのせいか。
D-189203: 熱い!助けてくれ!マグマに飲まれたくなんかない!
フォード博士: トロッコの方が速いから慌てるな!吸えそうな空気はないか?
D-189203: 吸えそうな空気なんて…あっ、縦穴の真ん中に上から管が降りてきてるぞ。冷たい空気が出てる!
フォード博士: よし、ひとまずそれを吸え!そのあと、その管の材質や構造を報告してくれ。
[しばらくの間、D-189203が無言で呼吸している]
D-189203: ふう、このトロッコはやっぱ速いな、マグマから離れて熱さが少しマシになってきた。俺が息を吸ってる管は多分樹脂製かな。外の熱はこの管にはそんなに伝わってない。んで、管はトロッコと高さを合わせて上がっていってる。
フォード博士: 了解。
[突如、D-189203が上を向く。管の高い位置に管と垂直方向に伸びた細い影が一瞬のみ写り、すぐに画面外へ消える]
フォード博士: どうした?D-189203。
D-189203: 今のはなんだったんだ?管の上の方で何か動いてた気がするが、俺が息を一回吐く間に行っちまったみたいだ。あっという間だな。
フォード博士: 残念だ。こちらでも一瞬しか確認できなかった。この影の精査はまた次回だな。
D-189203: さて、そろそろ縦穴のてっぺんに着く。マグマは遥か下だ。頼むからこのまま一気に出口まで行ってくれ。
[SCP-1892-JP-1が縦穴の頂上から狭い区画に進入する。通路の最奥に光が見える]
D-189203: おお!あれは出口じゃないか、博士!
フォード博士: 気をつけろ!前2回の実験で被験者を失ったのはこの通路だ!
D-189203: マジかよ!
[SCP-1892-JP-1が急停止する]
D-189203: おっと!言ったそばからまた吹き飛ばされそうだ。
[SCP-1892-JP-1直下の線路が裏返る。SCP-1892-JP-1も線路に固定された状態で共に裏返る]
D-189203: [罵倒] おい博士!トロッコがこんな動きするなんて聞いてねえぞ!
フォード博士: トロッコの中に掴まれる場所はないか?
D-189203: 無理だ!手が引っかかる場所がない!
[D-189203がSCP-1892-JP-1から落下する]
D-189203: [悲鳴]
[落下中のD-189203のビデオカメラが、線路が復元され走行を再開するSCP-1892-JP-1が遥か上方にいるのを捉える]
[D-189203が不明な地点に落下する]
D-189203: 痛え!足の骨が折れた!
フォード博士: D-189203!聞こえるか?
D-189203: なんとか。あれはなんだ?人が倒れてる。
[ビデオカメラにオレンジ色のジャンプスーツを着用した2人の男性が倒れている。以前の探査において行方不明になったD-189201とD-189202だと思われる。両者は息があり、眠っているように見える]
D-189203: 博士!こいつらって…
フォード博士: ああ、残念だが君も彼らと同じ運命のようだ。
[D-189203のいる空間が茶褐色の気体に覆われていく]
D-189203: 博士…急に眠気が…
フォード博士: D-189203?D-189203!
D-189203: [鼾の音]
[以降、ビデオカメラのバッテリーが切れるまでD-189203が起床することはなかった]
[記録終了]
補遺: D-189203が落下してから40秒後に、SCP-1892-JP-1がSCP-1892-JP出口に出現した。回収されたSCP-1892-JP-2の構成成分は前2回の探査実験時と同様であったが、各成分の割合には多少の差異が見られた。
考察: 3回目の探査で得られたSCP-1892-JP内部の状態は、前2回の探査とほとんど変化がなかった。異常なSCP-1892-JPの内部構成は被験者によらず一定であり、行方不明となった被験者はその後もSCP-1892-JP内部で生存していると判断される。またSCP-1892-JP内部は確かに危険な状態ではあるものの、特殊な訓練を受けていない被験者が3回の実験全てで出口直前までは到達できたことから、被験者が中途で脱落することがないよう何らかの調整が行われている可能性もありそうだ。
探査記録/1892-JP-4
目的: SCP-1892-JPに複数人で進入し、内部状況の更なる詳細の解明を目標とする。可能であれば、SCP-1892-JP内部に残された人的資源の回収方法の模索を行う。
被験者: 機動部隊ラムダ-86(“1セント硬貨”)より2名(アルファ、ブラボー)
所持品: 無線通信が可能な携帯型ビデオカメラ1台、ヘッドライトつきヘルメット、冷却機構つき酸素ボンベとガスマスク、飲料水500ml、ハーケン2個、10mロープ、サブマシンガン1丁と弾丸60発、以上を各人に支給
実験担当者: フォード博士[記録開始]
アルファ: こちらアルファ。SCP-1892-JP-1の再出現を確認。
ブラボー: こちらブラボー、準備完了です。アルファと一緒に乗り込みます。
フォード博士: 2人乗りで狭くないか?
アルファ: 若干窮屈だが、なんとか乗れている。私が前でブラボーが後ろだ。
フォード博士: 了解。これよりSCP-1892-JP内部の探査を開始する。頼むぞ。
ブラボー: 突入します!
[SCP-1892-JP-1がSCP-1892-JP内部に進入]
アルファ: SCP-1892-JP-1の速度が上昇。事前報告通りならまずは落石地帯だな。
[SCP-1892-JP-1が広い空間に出る]
ブラボー: 天井を確認します。
[ブラボーのビデオカメラが広間の天井を捉える。SCP-1892-JP-1進行方向の左右に、幅の広い木製の板が斜めに張り出している]
ブラボー: 何者かが板の上から岩を転がしてくるのでしょうか?
[突如、ブラボーの身体が急激に持ち上がり、SCP-1892-JP-1から放り出される]
アルファ: ブラボー!
[ブラボーは下方を走行していた別のトロッコの中に落下する]
フォード博士: 何が起こったか説明してくれ!
ブラボー: トロッコの床がいきなり飛び出して、押し出されました!怪我はありません!
[アルファがブラボーの乗ったトロッコからSCP-1892-JP-1床面へカメラを移す。ブラボーが座っていた位置の板が円形に切り抜かれて飛び出しており、その下には金属製のバネが見える]
フォード博士: こんな仕掛けは初めてだ。2人をザイルか何かで繋いでおくべきだったか。
アルファ: タチの悪い罠だな。これは1人乗りを厳守しろってことか?
[ブラボーのビデオカメラがアルファのトロッコとその上方の板から転がり落ちる岩石を捉える]
ブラボー: こちらのトロッコは今のところアルファと並走できています。ひとまず落石を回避するために伏せましょう!
[アルファ側にて複数回の衝突音。ブラボー側に落石が命中している様子はない]
アルファ: これだけ降られて平気となると、トロッコの強度に異常性がありそうだな。トロッコに入る大きさの破片はどんどん入ってくるぞ。
ブラボー: こちらにも落石は来ていますが、トロッコを綺麗に避けていってます。まるで透明な壁があるみたいです。
フォード博士: ブラボー、ここからはアルファのトロッコと周辺環境の撮影を主任務としてくれ。オリジナルのSCP-1892-JP-1に乗っているのはアルファで、君の方がおそらく安全だろうから。
ブラボー: 了解しました。
(書きかけ)
研究報告書て-208
対象: イスラ-208
内容: 1975年某日、アンソン多島海の北西部に突如として出現した新島。
SCP-3341-JP-EX: 鳥取県の北に「手振県」という架空の県が存在すると思い込む記憶影響オブジェクト。日本の中国地方に関する知識がある人間にはほぼ全て大なり小なり影響が出る。発生からしばらくして自然に終息した。
SCP-1433-JP: 幻島同盟が支配する擬存世界に最近になって出現した島嶼。5つ首の亀を模した巨大な岩石生命体であり、山脈状の甲羅には集落もあるが、大量の艦砲射撃により壊滅状態。
SCP-1433-JP-1: SCP-1433-JPの表面から発見された機械。EVEを原動力とした転移能を有する。
艦隊: 新たな断続海面航路の開拓のため、道を塞いでいたSCP-1433-JPに攻撃を加えて実存世界から放逐。
幻島同盟: サンディ島付近に出現したSCP-1433-JPを調査し、SCP-1433-JP-1を<丁風>(T-Breeze)と名付け、遺物として認定。
GOC: 極秘機密としてSCP-1433-JP-1の開発を行っていたところ、SCP-1433-JPが暴走して手振県まるごと転移。捲られたベールシナリオを阻止するために全世界的な隠蔽工作を行うが、記憶処理が不完全に終わったことでSCP-3341-JP-EX発生。
財団: GOCによる隠蔽工作に巻き込まれたため当初は手振県の消失に気づかず。自然発生→自然消滅のSCP-3341-JPを見届けた後、GOCの記憶処理技術のリバースエンジニアリングで開発した対抗処理のテスト中に予期せずSCP-3341-JPを惹起させたことで当該オブジェクトがExplained化。一方、ドリームタイム作戦部(サンディ島ことサイト-8188)によりSCP-1433-JPの調査も完了するが、既に出来上がっている現実を再度撹乱する必要はないと判断し、手振県を実存世界へ回収することを断念する。
アイテム番号: SCP-1433-JP
オブジェクトクラス:
特別収容プロトコル:
説明: SCP-1433-JPは、輝石・カンラン石を主体とする火成岩で構成されている、全長64.7km・全幅18.5km・全高2.23kmの海棲爬虫類に類似した実体です。SCP-1433-JPの全体的な外見はウミヘビとウミガメを合一させたと形容可能なもので、長大な胴部および尾部を覆うように隆起の激しい背甲および腹甲が形作られており、脚に相当する部位は存在しません。胴部の頭側からは5個の頭部が生えており、いずれもアカウミガメ(Caretta caretta)の頭部と酷似した外見を持ちます。ただし首の長さは各頭部ごとに異なっており、SCP-1433-JPの胴部から見て一番左側の頭部の首が最も短くなっています。
SCP-1433-JPは常に背甲のみを海上に露出させており、その他の部位を自発的に海面に出すことはありません。
アイテム番号: SCP-3341-JP-EX
オブジェクトクラス: Neutralized Explained
特別収容プロトコル:
説明: SCP-3341-JPとは、鳥取県とその周辺地域に関する知識を有する人間に対して散発的に発生した記憶影響を指します。SCP-3341-JPの内容の主体は、「鳥取県の北東部に『手振県』(以下、SCP-3341-JP-A)という名称の架空の県がかつて存在していた」というものです。SCP-3341-JP-Aが有する地理的・歴史的・文化的な特色は、SCP-3341-JPの影響を受けた人物の間で大まかに共有されているように見受けられます。詳細は補遺/3341-JPを参照してください。
最初にSCP-3341-JPの発生が確認されたのは20██年5月2日です。影響を受けた人物は鳥取県において最初に確認され、そこから5日間をかけて発見報告が日本全域および一部の海外へと拡大していきました。最終的なSCP-3341-JP影響者の人数を正確に算定することは不可能ですが、少なくとも5700人に登ると推定されます。特筆すべき点として、全ての影響者は発見当時35歳以上だったことが挙げられます。しかしながら、彼らは20██年5月6日に一斉にSCP-3341-JPの影響下から離脱したと見なされています。
SCP-3341-JPが散発的に発生し、同時に終息した原因は詳細には判明していません。また、20██年5月2日〜5月6日の期間中以外にSCP-3341-JPの影響を受けた人物が確認された例は存在しません 追記/3341-JPに記録されています。
補遺/3341-JP: SCP-3341-JP-A("手振県")に関するデータ
以下の内容はSCP-3341-JP影響者135名に対するインタビュー記録から再構成したものです。

今日においては「財団」という1つの巨大組織として知られる我々の活動。実は、その活動がいつ、どこで、何のために始まったのかを知る者は、極めて少ない。
アイテム番号
SCP-001-JP-J
この男は、稀代の物欲野郎であり、世界中の科学文化を結集させても封じ込める事のできなかった恐るべき存在であり、そして——我々全ての恩人である。
オブジェクトクラス
Guru
世界で初めての「特別収容プロトコル(Special Containment Procedures)」の原型となったのは、かの男に対する1つの慣習であった。
特別収容プロトコル(アーカイブ済)
SCP-001-JP-Jの収容には「特別豪華なプレゼント(Special Comfortable Presents)」の贈与が必要でした。SCP-001-JPは自らが保有する財源並びに人的資源の全てをSCP-001-JP-Jの収容業務に供し、それによりSCP-001-JP-Jの収容は彼が最早それを必要としなくなるまで維持されました。我々はSCP-001-JPに対し、最大限の崇敬と感謝の意を常に払う必要があります。
このドキュメンタリービデオは、ある1組の父子の半生を追うものである——
SCiP THE MOVIE Presents
JURIUS THE FOUNDER
ジュリアス・ペンフィールド・ジュニアは、ペンシルベニア随一の資産家という名声を得ていたジュリアス・ペンフィールド・シニア(1877-1936)とその妻のアメリア・ペンフィールド(1885-1920)の唯一の息子として、1918年2月12日にこの世に生を授かった。
2歳の頃に母を早くに亡くしたジュリアスは、遺された父による深い寵愛を受け、すくすくと順風満帆な成長を遂げてきた。ジュリアスは極めて我儘な幼児であったため、あらゆる種類の食い物、あらゆる種類の遊び道具、そしてあらゆる種類の遊び相手を要求するようになった。彼の父が有していた財力は、1920年代前半に存在していたおよそ全ての高尚な文化を自らの元へ取り寄せるためには十分なものであり、余裕さえあった。しかし、ここでもう1つの問題が発覚した。ジュリアス・ペンフィールド・ジュニアは恐ろしい程までの飽き性だったのである。
特注品の白い木馬、当時では最新鋭のヨーヨーとラジオフライヤーとはジュリアスによって乱雑に扱われ、与えられた翌日にはすっかり飽きられてしまった。毎日が祝宴かと見紛う東西フルコースの料理は、あからさまに多すぎる分量だったにもかかわらず全て彼の胃袋に収められ、そして次の日にはやはり飽きられた。彼は父に似てか5〜6歳にしては社交的であり顔見知りはしなかったものの、毎日何人もの児童と遊んでは、それ以降は最早眼中にも入れない、と言った扱いしかしていなかった。生身の人間でさえも、彼にとっては使い捨てる対象でしかなかったのであった。
困ったのは他でもない父のペンフィールド・シニアである。既に自分以上に栄華を極めた生活をしており、なおかつそれに全く満足する素振りを見せない息子を眺める彼の目は常に暗かった。だが彼は決して息子を倦むことは無く、むしろ息子に注ぐ並々ならぬ愛情を常に迸らせていた。
そんなこんなでジュリアスがもうじき7歳に届くかというある日、ペンフィールド氏の下にある壮年男性とその娘が訪ねてきた。この男性ことウィリアム・テイラーは小さな玩具商社の社長であり、ペンフィールド氏とは旧知の仲であった。これ幸いとばかりに、ペンフィールド氏は彼に対し、我儘すぎる息子をどうにかして満足させられる玩具なり食べ物なりを調達できないか、と懇願したのである。その結果どうなったかを、当時の再現映像記録でお見せしよう。
再現映像記録1
登場人物: ジュリアス・ペンフィールド・シニア(以下、ペンフィールド氏)、ジュリアス・ペンフィールド・ジュニア(以下、ジュリアス)、ワンダ・テイラー(以下、ワンダ)、エイブラハム・オグデン(以下、オグデン)[映像開始。ペンフィールド氏とジュリアスが二人で自宅のテーブル前に座っている]
ジュリアス: パパ、そろそろおやつの時間じゃない?準備できてるの?
ペンフィールド氏: もちろん。我が息子よ、今まで僕が一度だって君のおやつを出しそびれたことがあったかい?
ジュリアス: どれもあんまり好きじゃないや。
ペンフィールド氏: おおよしよしジュリアス、君がそんな風にふくれっ面をするのは何度見ても慣れないよ。今日は君のために、特別なお菓子を用意してもらってきたよ。
ジュリアス: そうなの?パパ。それじゃ早くそれ見せて。
ペンフィールド氏: よし分かった。ワンダちゃん、例のケーキを息子に見せてやってくれ。
[ワンダの手によりケーキが運ばれてくる]
ワンダ: 旦那さま、この通りケーキが焼きあがってます。おぼっちゃまも見てみて!このケーキは見たことないでしょう。
ジュリアス: うーん。半年前に食べたケーキとおんなじように見えるけど。というか君は誰なの?
ペンフィールド氏: このお嬢ちゃんはワンダ・テイラー、僕の友達の娘さんだよ。素敵なお菓子やオモチャを作るのが大好きな親子なんだ。
ジュリアス: へー。覚えておく。
ワンダ: 私のお父さんはいろんなオモチャを作るお仕事をしてて、これから貴方のために特別なオモチャをたくさん作ってあげるって、貴方のお父様とお約束させていただいたのよ。これから宜しくね。
ジュリアス: で、このケーキはどこがどう見たことないの?
ワンダ: このケーキはね、食べても次の日には新しいケーキになってまた戻ってくるの。しかも、毎日違う種類のケーキになるのよ。
ペンフィールド氏: これなら、毎日出てくる世界に1つしかないケーキが、いつでも食べられるってわけだ。いい話だろう?息子よ。
ジュリアス: いいじゃん、パパ。それじゃ今日はこれ食べるね。
ペンフィールド氏: 最後のひとかけらまで君のものだよ、ジュリアス。 [ワンダに向き直って、小声で] 成功だ!君の父さんには感謝してもしきれないよ。
ワンダ: [小声で] 新しく出てくるケーキは全部おぼっちゃまのものにしてくださって構わないけど、1つだけ守って欲しいの。絶対にケーキを食べ残させないようにしてね。
[映像中断]
[場面変更。ペンフィールド氏と執事のオグデンが二人でテーブルに座っている]
オグデン: 旦那様、このケーキの山を我々で食べろって言うんですか。
ペンフィールド氏: 上手くはいってたんだ。毎日新しく出てくるケーキで、息子の興味を1ヶ月は持たせ続けることに成功した。でも、先週から息子が夏風邪をひいてしまって、その様子がとても痛々しくて、ゆっくり眠れなくなったらどうしようと思うととてもケーキを食べさせてやる気になれなかったんだ。
オグデン: 夏風邪ぐらいだったら、そこまでご心配なさることもないでしょうに。大方、ケーキという食べ物そのものに飽きたのを隠してるんでしょうよ。
ペンフィールド氏: …。それで、4日間も経ったらもうこの有様だよ。とりあえず誰かが食べないと、屋敷がケーキだらけになる。
オグデン: 坊ちゃんと違って、我々みたいな成人男性に毎日ケーキは堪えますな。ケーキを食べるためだけの人員をお雇いになられてはいかがですか。
ペンフィールド氏: ううむ、非常に馬鹿馬鹿しい出費ではあるが、でも屋敷のためにも、息子のためにも必要なことだな。ご意見ありがとう、オグデン。
オグデン: ところで、テイラー様とのお付き合いはどうなされるおつもりですか。ケーキの他にも奇妙奇天烈なおもちゃを相当数送りつけられてますが。
ペンフィールド氏: 息子はすごく満足してるみたいだから、彼には感謝しかないよ。
オグデン: 屋敷が美味そうに見えるケーキだらけならまだ許しますけど、屋敷がビリヤードの6番ボールまみれになるのだけは許せませんな。
[映像終了]
ペンフィールド氏がウィリアム・テイラーと結んだ契約により、彼、そして息子の手には、一般的に信じられている科学にはおよそそぐわない「異常なアイテム」が流入し始めることになった。毎日増え続けるケーキ、どこにでも現れるビリヤードボール、上半身しか見えない猫。ジュリアスはこれらのアイテムと触れ合うことを至上の喜びであるかのように振る舞った。それは、これまでどれほどの財産を親に投げ打たせてきても見ることができなかった、この世ならざるものへ対しての純真な興味によるものだったのかもしれない。無論、これもジュリアス本人の持つ異常性の発露に過ぎなかったのかもしれないが。
食べ物や遊び道具に対しては大方満足したジュリアスだったが、遊び相手に関してはまだまだ適当な相手は見つかっていなかった。ところが、父の部下たちによる懸命な捜索が日夜行われた結果、ジュリアスの良き遊び相手としてある存在に白羽の矢が立った。匿名を希望しているジュリアス最初の友人に対し、我々は独占インタビューを試みることに成功した。
インタビュー記録
対象: [匿名希望により編集済][記録開始]
——貴方がペンフィールド氏のもとを訪れた理由についてお聞かせ願います。
[編集済]: 元はと言えば、あの男の方から儂を探し当ててきたのだ。
[編集済]: 永い冬眠から目覚め、久方ぶりに地表に出た儂をある男が呼び止めた。奴は名をオグデンと名乗り、ペンフィールド家を守る警備隊の一人だと言った。それから奴は儂の前に鞄を投げ出した。その中から飛び出てきたのは夥しい量の札束だった。儂を見て命乞いをしたり、武器を持ち出して最期の抵抗をしてきたり、一目散に逃げ出したりする人間はそれまでにも幾らでも見てきたが、金を投げてくる奴は初めてだった。流石におかしいと感じたので、ここは先に餌になる運命のこやつから話を聞いてやろうという気になったのだ。普段の儂ではあり得ないことだ。
——オグデン氏は、貴方に何を相談なさったのですか。
[編集済]: 行動が馬鹿馬鹿しければ言動も馬鹿馬鹿しいものだった。「お金は幾らでも積みますから、どうか坊ちゃんの遊び相手になって頂けませんか」だと?儂がどういう存在なのか奴には1ミリたりとも理解できていたとは思えん。ところが奴はそのあとすぐにこう続けた、「お金がお気に召さないのであれば、貴方の食事として人間も提供できますよ」と。こんなことを言いだす奴は今まで見たことがなかった。これは後で聞いた話だが、ペンフィールドなる男は裏世界では結構な数の奴隷のような人間を掻き集め、使役していたと言う。あれだけの金をポンと投げ出せる男なら、その程度はしていて当然だろう。
[編集済]: 流石の儂もこの条件は少し考えざるを得なかった。生きとし生けるもの全て食らうことを信条とする儂だが、中でも恐怖を感じる能力の強い人間というのは格別の獲物であり、それを探し回る必要なく食えるというのは決して悪い条件ではなかった。ただ、魅力的な条件をもってしても尚、儂は他の何物かに飼育されるという耐え難い屈辱を是としなかった。そこで儂は1つ条件を追加させて貰った。「1日1回、飼育下から脱走する権利」だ。奴は酷く狼狽していたが、結局「坊ちゃんと旦那様と私を傷つけないこと」を条件として許可してくれた。こうして儂は、特別にペンフィールド氏に飼われてやることになったのだ。
——ジュリアス氏と貴方は良き友人になったとお聞きしますが、実際の関係はどのようなものだったのでしょうか。
[編集済]: 良き友人だったなんて筈が有るものか。儂にとって奴はあくまで食うことを禁じられた餌に過ぎぬ。ついでに言うと、奴は本当に人間かと疑問に思うほど肥え太っていて気味が悪かったし、背中に乗られていると正直言って重かった。契約に従って儂は毎日脱走しては取り押さえられていたわけだが、そのうちに奴は儂に向かって「逃げ出す様子を間近で見せて欲しい」などとのたまい出した。議論をする気にもならなかったので、その日は儂は奴を背に乗せて脱走した。屋外庭園の結構な範囲を破壊し、奴の使いの者だとか警備部隊だとかもそれなりに殺してやったが、背中の奴にはショッキングな光景は見えないよう配慮してやったつもりだ。気乗りしないとは言えどあくまで契約相手だからな。
——最後になりますが、貴方は現在はジュリアス氏のことをどうお考えですか。
[編集済]: 儂が塩酸風呂に沈められるようになって久しい。風の噂では、奴もまた儂と同じような「収容対象」となったと聞く。奴がいかような罪業を犯してそのような身の上になったのかは心当たりが多数あるから儂からは何も言わんが、同類となってしまった奴に対しては、ほんのパン屑ぐらいの同情の念なら示してやらんこともない。
——ありがとうございました。
[記録終了]
奇怪な遊び道具に興味を示すジュリアス少年の元には、奇怪な生き物、奇怪な人物もまた多数集まった。先ほどのインタビューに応じてくれた爬虫類もその中の1体であった。彼らはペンフィールド氏の屋敷をたびたび破壊し、多額の金銭的損失・多数の人的損失を彼に負わせ続けていたが、ペンフィールド親子に直接手出しをすることは決して無かったと言う。これがペンフィールド氏の持つ莫大な財産のなせる技だったと言う意見に対する反論は上がったことはないが、下手をするとこれもジュリアス少年の異常性が絡んでいたと言えなくもないかもしれない。
ジュリアス少年と父のペンフィールド氏は、自分達や資産に関する防犯にも強い興味を持っていた。ペンシルベニア一の資産家ともなれば厳重な警備網を有しているのは言うまでも無いが、しかし彼らは通常の方法による警備だけでは不満だった。異常存在との契約が予想に反して安定性のあるものだと知った彼らは、自分達の警護にも異常存在を活用できないか考え始めていたのだった。
ペンフィールド氏が息子のために異常存在の収集を思い立つ以前から、実は世界の裏側においては異常物品の取引が常態化していたということはよく知られている。マーシャル&カーター・ダーク社、ザ・ファクトリー、プロメテウス・ラボと、当時から強大な権力を有して裏市場を牛耳っていた存在は枚挙にいとまがない。従って、ペンフィールド家が彼らに異常存在を求めに行くのは当然の成り行きであった。次の再現映像は、そんな異常存在市場の中での1コマである。
再現映像記録2
登場人物: ブライアン・オマリー(以下、オマリー)、ヘンリー・ウォレス(以下、ウォレス)[映像開始。パブの一室である]
オマリー: それでですね、ウォレスさん。今回もまた、アイテムの融通をお願いしたいんです。
ウォレス: ええ構いませんとも。ペンフィールド様は我々マーシャル&カーター・ダークの大切なお客様ですから。この前にご紹介させて頂きました「年中クリスマスな街」、お気に召されましたか?
オマリー: その節は大変お世話になりました。流石にあそこに居を移す気にはなりませんでしたが、夏にクリスマス気分に浸りたい時にはまたと無い避暑地ですね。素晴らしかったです。
ウォレス: でしょう?お喜び頂けましたようで何よりです。さて、今回お求めなブツ…じゃなかった、アイテムは何でございましょうか?
オマリー: あまり大きな声で言えませんが、旦那様のドラ息子がどうしようもないアノマリー愛好家でしてね、彼の所持品を効率よく守るための道具が欲しいのですよ。以前にも貴方から財産監視用の"アイポッド"を2台購入させていただきましたが、さらに確実な警護力が必要になりそうなのです。
ウォレス: お安い御用です。私が融通できるアイテムからとびきりの一品をご紹介致しましょう。
オマリー: 本当ですか!ありがとうございます。どのようなものなんでしょう?
ウォレス: 守りたい財産のお側に置くだけ!これだけでどんな手練れの泥棒であってもたちどころに財産の存在を忘れてしまいます。
オマリー: 素晴らしい!それはまさに異常で、まさに旦那様がお求めになっているものです!
ウォレス: えーとですね、お値段はこの通りになっております。いささか0が多いですが、問題ありませんね?
オマリー: ええ、大丈夫です。このことは周りの人達には秘密でお願いしますよ…。
[オマリーが札束を取り出してウォレスに渡す]
ウォレス: 代金、確かに受け取りました。では、ブツを…。
オマリー: ここで今すぐ頂けますか?
ウォレス: はて、何の話ですかね?
オマリー: 何だと!金だけ取って物を渡さないつもりか?
[オマリーがウォレスに摑みかかる]
ウォレス: いえ滅相もございません、ですがお客さん、貴方は何をお求めになったんでしたっけ…。
オマリー: そりゃもちろん…あれ…何だったっけ…。
ウォレス: ああ、やっぱり…代金はお返しします。誰に売ろうとしてもこうなっちゃって、目玉商品なのに一度も売れた試しがないんですわ。
オマリー: こちらこそ申し訳ない。お気を悪くなさらないでください。異常なアイテムって、マジで異常なんですね…。
[映像終了]
見ての通り、異常存在の取引には多大なストレスがつきものであった。ペンフィールド家は従者の数は人一倍だったので手分けをして人海戦術による収集を行っていたのだが、中途で精神を病むものも多く、効率は決して良くなかったようである。精神ならまだしも、遠出してようやく買い求めた猛獣型のアノマリーにどさくさに紛れて食われるなどは最悪であった。しかし、彼らは誰一人として主人のペンフィールド氏に文句を言うことなく、黙々と付き従っていたとされている。これはペンフィールド氏の資金力の豊かさもそうだが、彼自身が持つ実直な人柄も評価を高めるのを手伝っていたことは想像に難くない。一方で、事の発端であるジュリアス少年の評判はすこぶる悪かったらしく、往時の取引先においては彼の悪名は一種の語り草となっていたようである。彼の振る舞いを調査した限り、ジュリアス少年の悪名が広まった原因が彼の異常性にあったとは流石に思えない。
さて、我儘の限りを尽くしたジュリアス少年だったが、彼も永遠に少年のままだったわけではない。月日が流れるにつれ、彼も成長し、思春期を迎え、青年へと育っていった。その中でも彼は夥しい数のアノマリーとの接触を厭うようになることなく、少年時代から有していた異常存在を慈しむ心をずっと保ち続けていた。
1936年1月5日、ジュリアス・ペンフィールド・ジュニアが18歳になる1ヶ月前のこと。彼を最大限に理解しており、最高の溺愛者でもあった父親が死の病に伏した。1930年代の医学では到底治すことの不可能だった膵臓癌が、ペンフィールド・シニアの体を急速に蝕んでいったのである。尤も、あくまでも当時の「科学」では治癒しないのであって、既に彼の手には科学のカの字にも従わないならず者たちが大量に収まっていた。自由に移植臓器を採取できる像、納めたものを条件付きで蘇らせる棺、そして"万能薬"、それらの宝を消費すれば彼の生還は容易いはずであった。しかし、彼は自らを異常存在の影響下に置き、世界の理から明確に外れた存在となることを良しとしなかった。彼には息子をそろそろ独り立ちさせたいという考えが根底にあり、現在の息子との関係を保ったまま悠久の時を過ごすことを拒否し、自然の摂理に従った死を選択したのである。
ペンフィールド・シニアの逝去の数日前、彼は自らの床にジュリアス青年とオグデンを呼びつけた。その目的は、彼らに対する遺言を遺すためだった。この遺言は極めて長大かつ複雑なものであり、その全貌を知るのはその場に居合わせた者のみである。今からお送りする再現映像は、遺言の要点のみを掻い摘んで記録としたものであることをご了承願いたい。
再現映像記録3
登場人物: ジュリアス・ペンフィールド・シニア(以下、ペンフィールド氏)、ジュリアス・ペンフィールド・ジュニア(以下、ジュリアス)、エイブラハム・オグデン(以下、オグデン)[映像開始。場面は床に伏すペンフィールド氏の周辺である]
ペンフィールド氏: いるか、我が息子よ。
ジュリアス: はい、お父様。
ペンフィールド: お前とオグデンに託さねばならぬ仕事がある。
ジュリアス: お父様の事業を引き継がなければならないことは理解しております。
ペンフィールド氏: いや。その仕事はもう続けなくていい。
オグデン: 旦那様!
ペンフィールド氏: 我々は、科学に従わぬ存在をあまりに多く知りすぎてきた。もはや我々は、本来の世界に留まり続け、何も知らぬ人類と共にあり続けるべきではない。
ジュリアス: では、私達が託される仕事とは?
ペンフィールド氏: 息子よ。お前が産まれてから今まで、私はお前に数々のアイテムを買い与えただろう。正常なものも、異常なものも。
ジュリアス: はい、お父様。全て、今も大切に保存しております。
ペンフィールド氏: それらを未来永劫に亘って守り抜くこと!それが、これからの我々に託される仕事だ。
オグデン: なんと!それは何ゆえにですか?
ペンフィールド氏: 私はあれらが一般世界の明るみに出て、全世界の人間によってその存在が知られることを望まない。あれらは人類には過ぎた存在だ。そしてもう1つ、ジュリアス、私はあれらを大切に持ち続けているお前の願いが打ち砕かれることを望まない。あれらは永遠にお前のものでなければならない。
ジュリアス: お父様…。
ペンフィールド氏: 息子よ、私はお前にあらゆる財産を相続する。金も施設も使用人も全てだ。全ての目録は“カイン”が記憶している。
ジュリアス: お父様!貴方の莫大な財産を私1人だけで管理することなど、とても…。
ペンフィールド氏: オグデン!
オグデン: はっ!
ペンフィールド氏: お前をジュリアスの補佐官筆頭に任ずる!お前はこれから「O-1」だ!
オグデン: O-1!?何ゆえにコードネームを!?
ペンフィールド氏: 先ほども言っただろう。我々は表社会から身を引く必要がある。裏の世界においては本名など必要ない。自らの「存在」のみを操って世界を渡り歩け。「1」としたのはお前一人だけでは厳しいからだ。私の部下の中から、お前が気に入った人間を好きに選び、同僚とするがいい。最初は5人くらいがいいだろう。
オグデン: …畏まりました、旦那様。まずはオマリーに声をかけてみることに致します。
ペンフィールド氏: それでは、異常存在たちの保全活動に着手するのだ。極めて大規模な活動になるだろうから、何かしら組織を結束させるためのモットーが欲しくなるが…。
ジュリアス: SCP、というのはいかがでしょうか。異常存在に対する”確保(Secure), 収容(Contain), 保護(Protect)”です。まさしくお父様が私のために行ってくださったことではないでしょうか。
ペンフィールド氏: 素晴らしい!それでこそ我が息子!どこからそんなものを思いついたんだ?
ジュリアス: 貴方がくれた“特別に豪華なプレゼント(Special Comfortable Presents)”のお陰ですよ、お父様。
ペンフィールド氏: ジュリアス…。
オグデン: そうとなれば決まりですな。旦那様とジュリアス様の収集したアノマリー達に、通し番号で「SCP-XXX」とでも振って整理をするところからスタートしましょう。そして、SCP-001は貴方です、旦那様。
ペンフィールド氏: なぜ私が異常存在に?
オグデン: 我々がまず最初にやることは旦那様の収容、つまり表社会における旦那様の全ての記録を消し去ることだからでございます。旦那様の願いにお応えして。
ペンフィールド氏: SCP-001 ジュリアス・ペンフィールド…SCP-001-J.P…。
ジュリアス: それなら僕はSCP-001-JP-J(Jr.)ですね、お父様。
ペンフィールド氏: ははは、確かにその通りだ。我々は異常存在の中心となり、彼らを守護していくことになるんだな。
オグデン: 旦那様の最期の願い、しかと聞き届けました。我々にお任せください。
ジュリアス: 頑張ります、お父様!
ペンフィールド氏: 聞いてくれて安心したよ。これで、思い残すことなくここを後にできそうだ。ありがとう、我が息子よ、新組織の管理者になる者よ…。
[映像終了]
ペンフィールド氏が逝去した後、彼が遺した財産を財源として、1936年に「財団」が発足した。冠する名は必要とされなかった。ジュリアス青年の愛蔵コレクションには全て通し番号が振られ、それぞれの物品に最適な保管方法、すなわち現在の特別収容プロトコルが順次制定されていった。最初に定められたプロトコルは対象をSCP-001-JPとして実行された。一般社会における資産家ジュリアス・ペンフィールドの名は抹消され、彼の業績の全ては違和感の無いように他者の手柄へと置き換えられた。
ジュリアス青年、もといSCP-001-JP-Jは、「財団」の第一人者となって世界中の異常存在を収集するようになった。オグデンと彼が集めた4人の協力者により、代表の意向を受けて組織を統括するために5人からなるO評議会(Order Council)が結成され、その後の組織改革によって現在の13人による「O5評議会」へと改組された。こうして、現代における「財団」の大まかな枠組みが構築されたのである。集められた異常存在にはその管理にかかるコスト面から様々なオブジェクトクラスが定められたが、「異常存在が集積した原因」として扱われるSCP-001-JP-Jに対しては、組織のトップであり構成員に対する精神的な先導者でもあることから、彼専用の特別なオブジェクトクラスであるGuruが贈呈されることとなった。
しかしながら、異常存在を呼び集めるだけに飽き足らず、自ら異常存在の中心に君臨して組織を立ち上げることになり、あまつさえ異常存在の筆頭としてナンバーを振られる身になろうとは。SCP-001-JP-J自身に本当に何らの異常性も存在しないとは、少々考えにくいようにも感じられるところである。
最後に、SCP-001-JP-Jことジュリアス・ペンフィールド・ジュニア本人によるメッセージをお送りし、このドキュメンタリーを締めさせて頂くこととする。
親愛なる全ての財団職員へ
驚いただろうか?健常な光の中の人類を裏の闇の中で支え続けている我々の活動の原初が、1人の少年のこんなにも馬鹿馬鹿しい我儘によるものだったと知って。だがしかし、これはまぎれもない事実なのだ。私のために父がその半生を投げ打ってまで用意してくれた数多の異常存在たちの中には、面白いもの、楽しいものだけでなく、一歩使い道を誤れば一瞬で世界そのものを滅亡させることも容易いものが多数紛れ込んでいた。父の亡き後に改めてそれらの物品全てを検討した私は、自分の行いへの懺悔、父への感謝よりも先に、まず深い安堵に包まれた。これほどまでに危険な存在が、未だ行方知れずな状態でなく全て私の手元に存在し管理可能な状態であるというのは、まさしく奇跡だったからだ。
成り立ちはどうあれ、父の死後に出来上がった我々の組織は、その存続自体が世界の安寧を保つ原動力となっている。だがそれでも、子供時代の私がした行いは正直言って誇れる話ではないし、今でも思い出すと恥ずかしさで顔が赤くなる。こんなただのドキュメンタリービデオを001エントランスのミーム殺害エージェント対抗措置を取った人物しか閲覧できない理由は、ひとえに私の自尊心が傷つくからだ。君たちはこのビデオを見る権利を既に得ているわけだから、大いに私のことを笑い者にしてくれて構わないよ。君たちにはそれに値するだけの業績があるはずだから。
ともあれ、最後にこれだけは私自身の言葉として伝えておこうと思う。阿呆らしい行為が世界を救うこともある、と言うことだ。実際に君たちにも馬鹿真似を積極的にやれとは立場上言えないが、一生の全てを馬鹿正直に過ごすというのも決して良いこととは言えない。必要に応じて、時には羽目を外してみることも重要だ。本当に大切な発見はJokeの中に眠っているかもしれない。私もJokeの中で育ち、「J」を冠されたからこそ言えることだ。忘れないでくれたまえ。
「財団」の永遠なる繁栄を願って、
SCP-001-JP-J
ジュリアス・ペンフィールド
"管理者"
SCiP THE MOVIE Presents
JURIUS THE FOUNDER
再現映像キャスト
機動部隊オミクロン-Θ’("宮廷劇団")より10名
インタビュー出演
[編集済]
インタビュアー
O5-11
ナレーション
O5-5
プロデューサー
O5-1
アドミニストレーター
SCP-001-JP-J
[下書きここまで]
タグ
scp-jp joke 001提言 unclassed 人間型 録画
- インタビュー3を書く、1000年間維持し続けてきたことにリアリティを持たせる、防疫に注意する
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 海底火山の活動に備え、SCP-XXX-JP進入口を覆うように耐火・耐震・耐衝撃構造のコンテナを建造します。外部からは火口として観察されるように偽装してください。
SCP-XXX-JPの調査時は、潜水艇に積載可能な機材しか持ち込むことができません。SCP-XXX-JP海上にメガフロートとして建設された特設サイト-XXXにおいて、木造帆船および各種補給物資による支援を受けることが可能です。イベント-XXXが発生すると予想される時期は、島への上陸は禁止されます。
SCP-XXX-JP-1の生活の維持は、蒐集院において定められた古式プロトコルに則って実施されます。これには財団秘術部の人員15名が最低限必要となります。人員は可能な限りSCP-XXX-JP内で誕生した人物を使用してください。そうでない人物は、イベント-XXX発生時に海上へと退避する必要があります。
イベント-XXX時に観察されるSCP-XXX-JP-3群の様相は随時記録され、SCP-XXX-JP外へと伝達されます。異変が発生した場合は直ちに特設チームが召集され、関与が推測されるオブジェクトの精査が実施されます。必要であれば、該当するオブジェクトに対する即時の介入が行われます。イベント-XXXの発生周期が変動した場合は1年間の海上調査により新たなイベント-XXX発生周期を算出してください。
説明: SCP-XXX-JPは鹿児島県沖合の鬼界カルデラ周辺の海中に位置する、特定の座標から出入りすることが可能な異常空間です。1950年に発見されたSCP-XXX-JP進入口の詳細は特殊クリアランス/XXX-JPを所有する職員にのみ公開されます。
これまでのいずれの探査実験でもSCP-XXX-JPの空間端の存在は確認されていません。SCP-XXX-JP内を直進する探査部隊が所持しているGPSの信号は常に鬼界カルデラの範囲内を移動しており、カルデラの端へ到達すると即座に中心を挟んで反対側の端へと信号が転移することから、SCP-XXX-JPは一種のループ構造を取った空間であると推測されています。
SCP-XXX-JPの地表面は起伏の激しい地形である多数の島とそれらを囲む海から成っており、測量調査の結果、SCP-XXX-JPの地形は現在および過去の日本に属するいずれの諸島とも一致しないと結論づけられています。空には実在の太陽および月、そして各種の恒星と同様の周期で移動する光源が存在していますが、これらの詳細な観測は行えていません。また、島で形成されている生態系に属する動植物は、実際の九州に生息している(または、近代まで生息していた)種が殆どです。ただし、縄文時代から近代までにかけて絶滅した数種の大型哺乳類がSCP-XXX-JP内で確認されていないことは注目すべきです。
島々の海岸に沿う形で集落が形作られ、確認されただけで500名以上の人間(SCP-XXX-JP-1と指定)が狩猟と採集を主とした生活を送っています。各SCP-XXX-JP-1個体は異常性のないホモ・サピエンスであり、彼等の生活文化は縄文時代早期の文化と極めて類似したものです。
特筆すべきこととして、SCP-XXX-JPの中心(GPS信号がカルデラの中心に位置する地点)の海上には、3歳程度の幼児の頭部に類似した外見を持つ全高100m前後の実体(以下、SCP-XXX-JP-2)が浮遊しています。平常時のSCP-XXX-JP-2はその表情を変化させるのみですが、不定期にSCP-XXX-JP-2を中心とする一連の異常現象が発生します(詳細は補遺1参照)。
SCP-XXX-JP内部の物品及び動植物・人間を外部へと持ち出すことは可能であり、持ち出された物品は特筆すべき異常性を持ちません。なお、SCP-XXX-JP進入口の位置および水深の関係上、自発的にSCP-XXX-JPから基底次元へと移動可能な存在は海水および一部の魚類に限られます。
補遺1: イベント-XXX
SCP-XXX-JP内部の様相は不定期に大きく変化します(一連の変化はイベント-XXXと総称されます)。一回のイベント-XXXに要する時間は10〜15分程度であり、発生頻度は6ヶ月3ヶ月1ヶ月に一度程度です。
- SCP-XXX-JP-2が号泣し始めます。
- SCP-XXX-JP内部から見える空が真紅に変化します。
- SCP-XXX-JP内部の全ての陸地およびSCP-XXX-JP-2が速やかに水没します。この際、地上に存在する動植物(SCP-XXX-JP-1群を含む)は海面に触れた瞬間に消失することが確認されています。船舶などの海上に浮かぶことが可能な物体は影響を受けません。
- 海上に3体の巨大な人型実体(SCP-XXX-JP-3-1,-3-2,-3-3と指定)が出現します。SCP-XXX-JP-3-1はSCP-XXX-JP-2と同一の頭部を保有する3歳程度の幼児であり、両脚が低形成となっています。SCP-XXX-JP-3-2と同-3-3はそれぞれ20代の男女の外見をしています。いずれも衣服は身につけていませんが、SCP-XXX-JP-3-2のみ両刃の剣と鞘を所持しています。
- SCP-XXX-JP-3-2がSCP-XXX-JP-3-1を攻撃して終了・破壊します。SCP-XXX-JP-3-1の躯体は複数に分割され、SCP-XXX-JP-3-3によって海中に遺棄されます。
- SCP-XXX-JP-3-2と同-3-3が観測不可能な高度まで上昇します。
- 3.で沈んでいた陸地とSCP-XXX-JP-2が再び浮上します。一部の例外を除き、消失していた動植物も以前と同様の状態で再出現します。
- SCP-XXX-JP内部の空が通常の色へと戻ります。この時点でイベント-XXXが終息したと判断されます。
場合により、イベント内容が一部変更されることがあります(下記「イベント-XXXにおける特記すべき変化点」参照)。
イベント中に消失していたSCP-XXX-JP-1はイベント-XXXの最中の記憶を保持していません。一方でイベント-XXX発生中に漁などの目的で海上にいたSCP-XXX-JP-1はイベント-XXXを目撃可能なことから、SCP-XXX-JP-1群はイベント-XXXに関する知識を有しており、その知識に基づく形式でSCP-XXX-JP-2、およびSCP-XXX-JP-3群を祭祀の対象としています。
外部からSCP-XXX-JP内に進入した物品および人物がイベント-XXXによって海中へと消失した場合、それらは島の再浮上後も出現することはありません。全ての捜索活動は失敗しています。
日時 | 主要な変化 | 備考 |
---|---|---|
195█/██/██ | 2回目に確認されたイベント-XXXにて初めてイベント内容の撮影に成功。SCP-XXX-JP-3-1の口周辺が焼け爛れていた。 | 最初のイベント発生時は調査人員を全て喪失したため記録に失敗していた。 |
197█/█/██ | このイベント以降、破壊され遺棄されるSCP-XXX-JP-3-1の破片に混じり、淡紅色の球状の物体が出現するようになった。 | この球体は現在に至るまで回収に成功していない。 |
199█/█/█ | SCP-XXX-JP-3-1の口部の糜爛は治癒したと見なされた。 | SCP-XXX-JP-3群は通常の生命活動を行なっている可能性がある。 |
200█/██/█ | このイベント以降、SCP-XXX-JP-3-1は右前腕が欠損した状態で出現するようになった。 | イベント前後でSCP-XXX-JP内の異変は観測されていない。当該イベント以降、イベント発生頻度が前年比2倍に上昇。 |
20██/██/██ | 出現したSCP-XXX-JP-3-1が激しい呼吸困難を訴えた。SCP-XXX-JP-3-2が剣の代替に弓矢を使用してSCP-XXX-JP-3-1を破壊した。 | 当該イベント以降、イベント発生頻度が前年比3倍に上昇。 |
20██/█/██ | [編集済] | 閲覧にはセキュリティクリアランスレベル5/XXX-JPが必要。 |
補遺2: インタビュー記録
- 1:195█/█/██、イベント-XXXに関する調査の一環としてSCP-XXX-JP-1のうち2名に対して実施されたインタビュー記録です。
インタビュー記録1/XXX-JP
日時: 195█/█/██
対象: SCP-XXX-JP-1 2名(区別のため自称の「ワニ」「ミヤケ」を呼称として用いる)
インタビュアー: ███研究員
付記: インタビューはSCP-XXX-JP-1の集落内で実施し、可能な限り現代語訳して表記している。[記録開始]
███研究員: あの海の向こうにいつも浮かんでいる顔は何なのですか?
ワニ氏: あの顔は神。永遠に我等を見守り続ける神。
ミヤケ氏: わしらが物心つく前から神はあそこにいた。
███研究員: 名前は何と言うのですか?
ワニ氏: 名は無い。
ミヤケ氏: 我々は話をしない者には名を与えない。
███研究員: ときどき、全ての島々が沈んで、神が海上に現れることについてどう考えていますか。
ワニ氏: 神は神によって罰せられる。
███研究員: 罰せられる?
ミヤケ氏: 海に繰り出す者らは皆、一度はあれを見たことがある。わしもそうだ。神々は不具に生まれた彼らの子を罰する。赦されることは無い。
███研究員: では、あそこに浮かんでいる神は罰せられているのですか?
ワニ氏: 然り。神は罰せられることを恐れて泣き、故に罰せられる。
███研究員: 罰せられるような神を、あなた方が祀っているのは何故ですか?
ミヤケ氏: 世界が産まれてから千年の間、神は常に我等の側におられた。故に祀る。
███研究員: 千年?この世界が産まれてから千年しか経っていないのですか?
ワニ氏: 然り。諍いも起こることなく、我々は千年を暮らしている。
ミヤケ氏: 世界が産まれる前のことは誰も知らぬ。
[記録終了]
終了報告書: SCP-XXX-JP-1が使用している土器は12000年前の鹿児島の地層から出土するものと同様な隆帯文土器であり、世界創造から現在まで1000年しか経過していないという彼らの主張とは大きく矛盾している。九州南部の縄文文化は7300年前の鬼界カルデラ噴火により早期に滅亡していることもあり、基底次元にあった縄文文化の集落が隔離されることによってSCP-XXX-JPが成立したとは考えにくい。となると、SCP-XXX-JPが何者かの手によって人為的に作り出された空間であることを考慮に入れなければならない。
- 2:197█/█/██、SCP-XXX-JP内部を調査中だった██研究員が1名のSCP-XXX-JP-1に呼び止められた際のインタビュー記録です。
インタビュー記録2/XXX-JP
日時: 197█/█/██
対象: SCP-XXX-JP-1 1名
インタビュアー: ██研究員
付記: インタビューは可能な限り現代語訳して表記している。[記録開始]
SCP-XXX-JP-1: もしもし、君。初めて見る顔だね。
██研究員: ええ、海を越えた遠い地から来ている者なんです。
SCP-XXX-JP-1: やはりそう言うと思った。私に言い訳は効かないよ。この世界に暮らしている人の顔と名前は全て記録しているからね。
██研究員: 何ですって?貴方は何者なんですか?
SCP-XXX-JP-1: 世界の裏側で生きる者だよ。君たちは多分この空間の調査に来てるんだろうが、私も同業者だ。
██研究員: 成る程。それで、私をどうなさるおつもりなんですか?
SCP-XXX-JP-1: 君たちがこの空間を訪れるようになった二十年前から、どこかのタイミングを見て話をしたいと考えていた。見せたいものがある。悪くはしないよ。
██研究員: …二十年も待ってたって、随分気が長いんですね。分かりました。見せてもらいましょう。
SCP-XXX-JP-1: 物分かりが良くて助かった。では、ついて来てくれ。
[中断 - 3時間後に再開]
██研究員: 随分と山中深いところまで来ましたね。ええと…うわっ?これは凄く大きい、というより時代が飛んだ建物ですね。寝殿造の御殿だ。
SCP-XXX-JP-1: ここが我々の本拠地であり、いま我々が暮らしている世界を支えている地点だ。
SCP-XXX-JP-1: 自己紹介が遅れたな。私は蒐集院に所属する██上級研儀官。千年前より先祖代々、この空間の管理・蒐集を行なっている。
██研究員: えっ、蒐集院の方だったんですか?私は██、蒐集院の後を継がせていただいた組織の研究員なんです。
SCP-XXX-JP-1: なんと、蒐集院はもう滅んでしまったのか?…まあ、千年も経てばそうなっても不思議では無いな。ここにいる蒐集院の者、私の従者たちは、残念ながら元の世界が千年前からどうなったかは全く知る由が無いのだ。
██研究員: 私たちの世界のことは後で教えます。ともかく、私をここへ連れてきた理由は何なんですか?
SCP-XXX-JP-1: 簡単に言えば、"神の心"の管理をより盤石にするためだ。この空間が作り出された理由がそれだ。
██研究員: "神の心"、ですか。それがこの世界のことですか?
SCP-XXX-JP-1: 厳密には少し違う。この世界は、"神の心"が持っている思考そのものなのだ。日本の南の果て、薩摩国よりさらに南にある海の中、そこに墜落した"神の心"の頭の中なのだ。
██研究員: はあ。ではどうしてあなた方はその頭の中なんかに?
SCP-XXX-JP-1: 神が再び日本に牙を剥くのを防ぐためだ。我々は自らの世界に別れを告げて"神の心"へと干渉し、その中にかつて存在したと伝わる泰平の世を作り上げた。人々に争いのない、どれほど眺めていても心に新たな棘を生むことのない世界。ひとまずは上手くいった。神は常に微笑みながら人々を眺めていた。
SCP-XXX-JP-1: だがどうやら、それによる"神の心"の封じ込めに綻びが生じ始めているようだ。四十年ほど前、神が初めて泣いた。神の口は何かによって焼かれたかのようだった。三十年前には、この世界に来られるはずのない君たちが現れた。そしてつい最近には神の身体から異形の者が降り注ぐまでに至った。何かがおかしいのだ。我々の仕事は何の変わりもなく維持されているはずなのだが。
██研究員: この世界の外部、私たちの世界で発生している何かが、"神の心"に影響を与えている?
SCP-XXX-JP-1: 私もそれを疑った。それで、この世界から出入りが可能らしい君を捕まえて、その方法を聞き出そうと考えたのだ。私は外の世界がどうなっているか知りたい。
██研究員: なるほど。貴方をこの世界から連れ出すことは技術的には可能だと思いますが、我々も組織ですから、私の一存で決めることはできません。
SCP-XXX-JP-1: 構わんよ、君の上司からいい返事が貰えるならそれでいい。よろしく伝えてくれたまえ。
[記録終了]
終了報告書: 私がアクセス可能な範囲では、蒐集院から引き継がれたオブジェクトおよび資料の中に"神の心"に相当するオブジェクトは発見できませんでした。蒐集院が分裂した際に資料が散逸した可能性はあるので、鬼界カルデラ自体の調査も行う価値がありそうです。██上級研儀官を名乗る人物に関しては発言の信憑性を裏付ける資料が必要なので、"神の心"の実物が発見されて以降に回収を検討すべきと考えます。
補遺: インタビューより存在が判明した「SCP-XXX-JP-1としてSCP-XXX-JP内部に潜伏している蒐集院関係者」はSCP-XXX-JP-1’と指定し直された。
補遺3: SCP-XXX-JP-A
199█/█/█、鬼界カルデラ内部の海底で、長径1km程度の巨大な長楕円体をした岩石構造物が溶岩に埋もれた状態で発見されました。物体を移動する試みは失敗したため、現地で非破壊検査が行われました。その結果、岩石表面が常に36℃に保たれていること、岩石の内部が極めて緻密な繊維構造になっていること、岩石が現在から約1000年前に現在地に出現したことなどが判明しました。これらの性質の確認を以て、岩石構造物はSCP-XXX-JP-Aと指定されました。上記インタビュー記録2において言及された"神の心"とSCP-XXX-JP-Aの関連性は明確になっていません。
補遺4: SCP-XXX-JPに関する議論
199█/██/█、██上級研儀官を名乗る人物がSCP-XXX-JPから回収され、サイト-8181に移送されました。初期検査および心理鑑定が終了した1ヶ月後に、██上席研究員をはじめとするSCP-XXX-JP研究チームと██上級研儀官との間で会談が実施されました。
会談の結果を踏まえて特別収容プロトコルの改定が実施されました。
SCP-XXX-JPとそれに連動するオブジェクト群の取り扱いは、日本支部における財団の活動に関する重大な懸念事項として認められます。従って、多数のオブジェクトを統括して管理するための専門チームを結成することが決定されました。我々は神格の顕現を阻止せねばならず、そのためにはSCP-XXX-JPとリンクしているオブジェクトを全て暴き出し、どのオブジェクトのどの部分が原因となりうるかを詳細に検討せねばなりません。おそらく、これは長い闘いとなります。 - 日本支部理事"若山"
[下書きここまで]
タグ
scp-jp keter 異次元 宗教 儀式 蒐集院
- 設定
・口が焼け爛れる→LTE-5230-Fiji-Aurora GloryにおけるUTE "CODE:O"(=SCP-1092-JP-1)
・紅色の球体→SCP-724-JP-1
・呼吸困難→五行結社によるSCP-1081-JP-Aへの攻撃
- 気になってる点
・そもそもKeterか
・1500-JPと被ってないか
・読後感が薄くないか