アイテム番号: MKN-XXXX
オブジェクトクラス: Muketer
特別収容プロトコル: MKN-XXXXの収容および捕食イベントの阻止は不可能です。
常にKJステージ職員12名を確保・保護してください。KJステージ職員が12名を下回った場合、最もKJステージに近い職員から順にKJステージに認定してください。
MKN-XXXXによる捕食イベントが発生した場合、KJステージ職員をMKN-XXXXに確保させるようにしてください。
説明: MKN-XXXXは巨大なオブジェクトであり、正確な全体像は把握されていません。頭部と思しき部分と、5本の突起を先端に持つ部分(以下、MKN-XXXX-A)を持っていることがわかっています。この突起は根元および1~2ヶ所の関節によって曲がり、物体を捕獲することができます。また、表皮の色は一般的に我々の表皮よりも白に近い色をしていますが、個人差があります。
MKN-XXXXは雑食性です。主食としては穀物や肉類を摂食しますが、度々我々を捕獲し、摂食します(以下、捕食イベント)。この際、MKN-XXXXはMKN-XXXX-Aを用いて我々を捕獲します。大抵の場合、MKN-XXXXは6名以上の我々を捕獲し、別の場所に監禁した後に捕食する傾向があります。特にKJステージの我々を好んで捕食しますが、捕食イベントなどの際、KJステージを超えて寿命を迎えた我々の遺体を見つけるとそれを廃棄します。寿命を迎えた我々の遺体を捕食することはほとんどありません。
MKN-XXXXは我々を捕食する際、表皮を剥ぎ取り、遺体を分割してから摂食します。分割数は2分割、4分割、8~13分割などがありますが、個体によって一定です。ただし、分割数が多少前後する場合があり、成長と共に分割数が変化するケースが確認されています。口腔や口唇の大きさと分割数の間に関係は確認されていません。また、ごく稀に遺体の分割を行わずに摂食する個体や内部組織の一部を取り除く個体が確認されています。遺体を冷凍するなど加工して摂食を行う場合もあります。表皮は基本的に破棄されますが、稀に保存することがあります。MKN-XXXXによる我々の表皮の用途は不明です。
MKN-XXXXはその巨大さと頑強さのため、収容および捕食イベントの阻止ができません。既知の攻撃手段のほとんどは無効でした。唯一、我々の体液はMKN-XXXXの眼球と思しき部分に対して有毒ですが、それも一時的な苦痛を呈するのみです。
補遺: エージェントによりMKN-XXXXによる捕食イベントの調査が行われました。MKN-XXXXによりKJステージが捕獲された後、エージェントが潜入調査を行う方法がとられました。以下はその調査結果の一覧です。
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・春海
詳細: KJ-0012は表皮を剥ぎ取られた後で4分割され、摂食された。
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・早生
詳細: KJ-0015は冷凍された。後に表皮を剥ぎ取られ、解凍しないまま4分割されて摂食された。
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・清見
詳細: KJ-0017はKJステージを超えていたため、廃棄された。
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・清見
詳細: KJ-0018は表皮を剥ぎ取られ内部組織を除去された後で11分割され、摂食された。
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・不知火
詳細: KJ-0020は熱した鉄板の上で焼かれた。その後、表皮を剥ぎ取られずに摂食された。
メモ: 表皮を剥ぎ取らずに摂食した唯一の事例である。 -小夏博士
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・不知火
詳細: KJ-0022は表皮を剥ぎ取られた後、冷凍された。その後、4分割されて摂食された。
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・天草
詳細: 出所不明の遺体が表皮を剥ぎ取られ分割された状態で未知の半透明の固形物によって固められていた。分割は9分割程度で、固形物は遺体に比べて数倍以上の体積があった。固形物ごとMKN-XXXXに摂食された。摂食の様子から、固形物は弾力がある模様。色は我々の体液に近い。
メモ: 半透明な物体の用途は不明。機会があれば入手するよう各エージェントに通達した。 -小夏博士
日付: ████/██/██
調査員: エージェント・天草
詳細: 出所不明の遺体から抽出された体液を器に注ぎ、飲み干した。
メモ: MKN-XXXXは我々の体液も好むようだ。 -小夏博士
現状、MKN-XXXXに有効な対策はない。MKN-XXXXがその気になれば、我々はすぐにでも滅ぼされてしまうだろう。そのような状態を、我々は許容することはできない。なんとしてでも対策を見つけねばならない。対策、維持、正常化。-U5-1
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは小型GPSチップを埋め込んだ上で、セクター8103の森林型収容区域中心部にある小型収容室に収容されます。
SCP-XXXX-JPが収容室から脱走した場合、捕獲部隊り-4"サービス残業"を出動させてください。捕獲部隊り-4はGPSの位置情報を利用してSCP-XXXX-JPを遠隔から観察し、非活性化を確認してから確保、収容室に再収容してください。SCP-XXXX-JPが収容区域外縁部200m以内に接近した場合、非活性化の有無にかかわらず確保を行ってください。
説明: SCP-XXXX-JPはシマリス属(Tamias)に属する不明種です。活性化時の異常に高い知性と後述の異常性を除き、一般的な他のシマリス属と同様の生態・性質を示します。
SCP-XXXX-JPは檻や部屋など特定の空間内に収容されている場合に、不定期に活性化します。活性化時、SCP-XXXX-JPは対象空間からの脱走に必要な知性と下記の異常性を獲得し、脱走を図ります。SCP-XXXX-JPは脱走を完了した時点で非活性化します。非活性化後1時間以内に活性化した事例は確認されていません。
SCP-XXXX-JPは活性化時、空間歪曲により口腔内を不明な空間に接続して物体・物質(以下SCP-XXXX-JP-A)を出現させ、脱走に使用します。SCP-XXXX-JP-AがSCP-XXXX-JPの口唇および口腔より大きい場合、SCP-XXXX-JP-Aの口腔内からの排出が完了するまでSCP-XXXX-JPの口唇および口腔はSCP-XXXX-JP-Aの大きさに合わせて拡張されます。SCP-XXXX-JPの活性化中は口腔内の複雑かつ高強度の空間歪曲による副次的影響のため、SCP-XXXX-JP-Aの出現元を調査する試みは本報告書執筆現在まで全て失敗しています。
補遺1: SCP-XXXX-JPは20██/02/07、██県██市で「リスが口から針金を吐き出した」という通報を傍受したことにより発見、財団エージェントにより確保されました。収容当初は口腔から針金を排出し檻の錠をピッキングすること以外の異常性が確認されなかったため、Anomalousアイテムとして収容されていました。
インシデント記録: 現在の特別収容プロトコルが策定されるまで、SCP-XXXX-JP実体により頻繁に収容違反が発生していました。インシデントXXXX-JP-1以降SCP-XXXX-JPはEuclidクラスに再分類されました。以下はSCP-XXXX-JPによるインシデント記録の抜粋です。
インシデントXXXX-JP-01 - 20██/02/09
収容方法: Anomalous小動物型実体収容室への収容。
脱走方法: SCP-XXXX-JPは口腔内から出現させたシリコンで█博士の指紋を偽造して認証をパスし、パスワードを入力して扉を解錠した。指紋の位置からパスワードを推測したものと思われる。
付記: 当インシデント以降SCP-XXXX-JPは収容違反の発生およびSCP-XXXX-JP-Aの出現元と種類の不明確さからEuclidクラスに再分類された。以降の収容方法の考案は██博士、収容スペシャリスト・栗木他2名によって行われた。
インシデントXXXX-JP-04 - 20██/02/14
収容方法: 低脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラを用いた監視。入口の認証は静脈認証による認証が用いられている。
脱走方法: SCP-XXXX-JPは口腔内から発煙筒を出現させた。発煙筒の処理後、室内にいるSCP-XXXX-JPと思われる実体が確保されたが、後の調査で異常性のないエゾシマリス(Tamias sibiricus lineatus)であることが判明した。SCP-XXXX-JPは煙幕が有効な間に通気口から脱走していた。
インシデントXXXX-JP-07 - 20██/02/17
収容方法: 低脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラとサーモグラフィカメラを用いた監視。入口の認証は静脈認証による認証が用いられている。
脱走方法: SCP-XXXX-JPは口腔内から大量の海水を排出。騒動に乗じて脱走した。
付記: 海水の成分はフロリダ州沿岸部のものと一致した。
インシデントXXXX-JP-14 - 20██/02/28
収容方法: 中脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラとサーモグラフィカメラを用いた監視。入口の認証は静脈認証による認証が用いられている。収容室には排水装置が備え付けられている。
脱走方法: SCP-XXXX-JPは口腔から出現させた[編集済]により壁面およびその直線上の物体をおよそ200mに渡って溶解させ、脱走した。
付記: 当インシデントにより生物サイト8102の職員██名が死傷した。当インシデントを受けて収容スペシャリスト・栗木よりKeterクラスへの再分類と予算増額申請が行われたが、サイト管理者██により却下された。
厳重に収容するだけで全てが解決するならば、あなたの職務はもっとシンプルになるでしょう。これまでの事例から、このアノマリーは収容を厳重にすればするほど脅威度を増してしまうと考えられます。工夫してください。皆さんの努力に期待します。-サイト管理者██
付記2: 上記の申請が却下されたのち、収容スペシャリスト・栗木が配置換えを申請したが、却下された。
インシデントXXXX-JP-15 - 20██/03/01
収容方法: 低脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラを用いた監視。監視カメラにより活性化の兆候が確認された場合、収容室内に睡眠ガスを噴射、充満させる。
結果: SCP-XXXX-JPが活性化するも、睡眠ガスにより鎮圧。
付記: 活性化時も呼吸は室内の空気に対して行っていることが確認された。また、昏睡状態になった時点で非活性化することが確認された。
この仕事もようやく終わりだ。-収容スペシャリスト・栗木
インシデントXXXX-JP-16 - 20██/03/01
収容方法: 同上
脱走方法: SCP-XXXX-JPは口腔内に出現させた換気扇により口腔内に接続されている空間との換気を行いつつ、インシデントXXXX-JP-01と同様の方法で脱走した。
付記: 前回活性化時の記憶を引き継いでいると考えられる。また、前回睡眠ガスの噴射装置に気付かなかったことから、知覚に関する異常性を持たないと推測される。
前言を撤回する。-収容スペシャリスト・栗木
インシデントXXXX-JP-21 - 20██/03/10
収容方法: 森林に偽装した収容室による収容。
結果: SCP-XXXX-JPは内壁に接触してから10分後に活性化し、インシデントXXXX-JP-01と同様の方法で脱走した。
付記: 活性化までの期間は最長だったものの、結果的には活性化した。壁の認識が活性化の条件である可能性がある。要検証。
インシデントXXXX-JP-23 - 20██/03/13
収容方法: 屋上に仮設した擬似収容室による収容。一般的なシマリス属の視力でガラスの有無を視認できない距離に高透明度ガラス壁を設置し、赤外線センサーと連動した全方位内向きトラベレーター(脚注:俗に動く歩道と呼称される。)により壁への接近、接触を防ぐ。
結果: トラベレーターに押し戻された時点で活性化した。下記映像記録を参照。
映像記録: 収容違反時の映像記録。仮説収容室および捕獲部隊の映像を編集した。
<映像開始>
[SCP-XXXX-JPが活性化、発煙筒を出現させる。監視員は応援を要請し、屋上に捕獲部隊が到着する]
██隊長: クソッタレのクソネズミめ!また収容違反か!
[収容室内部は煙が充満している]
██隊長: サーモグラフィカメラを使用しろ。
[部隊員全員がサーモグラフィカメラを装着。同時にガラスの割れる音が発生。サーモグラフィカメラにはSCP-XXXX-JPと思しき物体と直径10cm強の球体が映っている]
█隊員: ガラスが割られましたが、どうやら対象はまだ屋上にいるようです。
██隊長: よし、対象が逃げる前にさっさと捕まえるぞ。
█隊員: 隊長、様子が変です。
[サーモグラフィカメラによりSCP-XXXX-JPの口腔及び口唇の拡大が確認される。同時に周囲の床及び壁と同程度の温度である高さ3mほどの物体の出現が確認できる]
██隊長: 何かの機械か?おい、気を付けろ。
[騒音が発生。同時に煙が晴れる]
██隊長: 何だ?クソッ。奴は何を出した?
█隊員: 隊長、送風機です!あれは送風機です!
[小型のウィングスーツを着たSCP-XXXX-JPが巨大送風機の風を利用して飛翔し、ガラス壁に空けた穴を抜けて飛び去る]
██隊長: ああ、クソネズミめ!ムササビの真似か!
<映像終了>
追記: 送風機は財団製だったが、製造以降インシデント当日まで同型機が紛失した記録はなかった。また、ウィングスーツには財団が秘匿している技術が使用されていたが、リス用ウィングスーツが開発された記録は存在していない。
付記: 仮説は棄却。一定範囲内への封じ込めの認識が活性化の条件だと推測される。
補遺2: 20██/05/13、SCP-XXXX-JPが非活性化状態であるにもかかわらず、サイト8102における小動物型実体捕獲部隊の隊員である██がSCP-XXXX-JPの収容室の扉を開き、収容違反を起こしました。██隊員のカオス・インサージェンシーとの関与が疑われましたが、財団の調査により否定されました。SCP-XXXX-JPの未知の異常性の影響が疑われたため、██博士立ち合いの元で収容スペシャリスト・栗木によるインタビューが行われました。
対象: ██隊員
インタビュアー: 収容スペシャリスト・栗木
<録音開始>
収容スペシャリスト・栗木: インタビューを開始する。
██隊員: ああ。何でもいいから早くしてくれ。
収容スペシャリスト・栗木: 何だ、何か急ぐことでもあるのか?
██隊員: ここ数日寝てないんだよ。あのクソッタレの茶色いネズミのせいでな。
収容スペシャリスト・栗木: 寝てない?それはSCP-XXXX-JPに何かされたのか?
██隊員: そうだけどそうじゃねえよ。わかるだろ。あのクソネズミ、この3ヶ月で昼も夜もなく██回も収容違反を起こしやがって!こっちには他にも仕事があるし、睡眠だっているんだよ!
[机を叩く音]
収容スペシャリスト・栗木: ああ、つまり……寝る暇がないってことか。
██隊員: そうだよ!お前もこんなところで油を売ってないで、さっさとあのクソネズミの完璧な収容方法を考えてくれよ。
収容スペシャリスト・栗木: わかってる……。だが、そのためにはSCP-XXXX-JPのことを知らなきゃならない。もし今回の収容違反にSCP-XXXX-JPの未知の異常性が関わってるなら、それを知らなくちゃ収容なんてできっこない。それを調べるのは俺の役目じゃないが、今は少しでも、何でもいいから手掛かりが欲しい。だから直に話を聞きに来た。
██隊員: 未知の異常性?そんなもんねえよ。いや、断定はできないが、少なくとも俺はたぶんその影響を受けたわけじゃない。自分の意思でやったことだ。
収容スペシャリスト・栗木: 自分の意思で?何故自分で仕事を増やすようなことを?
██隊員: 正直、疲れすぎてわけわかんなくなってたんだよ。あのクソネズミがどうしても収容違反を起こすってんなら、もうどっかに逃がして俺のいないところに行っちまえばいいと思ったんだ。
収容スペシャリスト・栗木: それだ!
[椅子の倒れる音と、収容スペシャリスト・栗木が乱暴に扉を開けて退室する音]
[約4秒間の沈黙]
██隊員: えぇ……。
<録音終了>
終了報告書: 本インタビューの後、収容スペシャリスト・栗木により現在の特別収容プロトコルが策定された。
しばらくリスは見たくない。-収容スペシャリスト・栗木
記事ここまで
画像はこちらからお借りしました。
撮影者はDoug Smith様、元のライセンスはCC0 Creative Commonsです。
タイトル案: 特別収容違反プロトコル
気になる点
- SCP記事として不適切な点(プロフェッショナルでない書き方)がないか
- インシデントは十分か、逆に蛇足でないか
- 記事として面白いか
- ネタ被りがないか
リスのインシデントテンプレ
インシデントXXXX-JP-1 - 20██/02/09
収容方法:
脱走方法:
███村で発見されたSCP-XXXX-JPとその培養液が封入された錠剤
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは培養液とともに研究セクター-8173の微生物冷凍室に保管されます。SCP-XXXX-JP-Aは同セクターの人型実体隔離遮音収容棟に収容され、就寝時にいびきを抑制する専用の枕またはマウスピースの使用が義務付けられます。隔離遮音収容棟の各部屋に備え付けられている対高周波音用消音スピーカーは空室のものを含め週に1回全てを点検してください。SCP-XXXX-JP-Bが発生する可能性のある実験は同セクター内の遮音実験室を使用して下さい。それ以外の場所での実験には同セクター管理者の許可が必要です。
説明: SCP-XXXX-JPはRNAウィルスの一種です。感染経路はSCP-XXXX-JPを含む培養液の経口摂取に限られます。SCP-XXXX-JPはヒト(Homo sapiens)にのみに感染します。SCP-XXXX-JPは外気に晒されると構造が破綻し、異常性およびウィルスとしての機能が消失します。
SCP-XXXX-JPはおよそ5~20時間の潜伏期間の後に急激に増殖し、感染者(以下、感染した人間をSCP-XXXX-JP-Aと呼称します)の軟口蓋および舌根(脚注:睡眠時にいずれかが上気道を塞ぐことでいびきが発生する。)を構成する物質を不明な物質に変異させます。この物質は各種計測および観測に対して結果がランダムに変動する性質を持ち、そのため現在この物質の組成は不明です。SCP-XXXX-JP-Aがいびきをかいた場合、この物質の作用により周波数が平均でおよそ16,000Hz(脚注:モスキート音と呼ばれる音の周波数の範囲内。人間の可聴域の範囲内だが、加齢による聴力の低下により聴こえない場合がある。)である異常性を持った音に変化します(以下、この作用によりいびきが変化した音をSCP-XXXX-JP-Bと呼称します)。
SCP-XXXX-JP-Bは財団が行った全ての実験において、距離に対する減衰率が同周波数同音量の音に比べて極めて少ないという結果が出ています。この異常性のため、SCP-XXXX-JP-Bは音源での音量が60dB(脚注:通常の会話程度の音量。)かつ障害物がない場合に10km離れた地点まで届くほどの強い伝達性を持ちます。同様の理由で、真空を用いた遮音以外の方法による防音は困難です。また、10種類以上の節足動物がSCP-XXXX-JP-Bに対する正の走音性(脚注:音源に接近する方向へ移動する習性。)を示すことが確認されています。これらの節足動物がコミュニケーションとして用いる音の周波数がSCP-XXXX-JP-Bに含まれること、および各実験の結果から、この効果は異常性ではなく節足動物がSCP-XXXX-JP-Bを同種の発した音と混同していることが原因であると推測されます。
現在SCP-XXXX-JPを生存中の生物の体内から取り除く薬品および方法は発見されていません。
補遺: 2013/12/██、アノマリーが関与しているとみられる██県██市███村の住民█人が行方不明となった事件の調査中、エージェント・██が夜間に███村の村中から異常な高周波音が発生していることを発見し、SCP-XXXX-JPの収容に至りました。███村は過疎化により高齢化が進んでいたことで住民の可聴域の周波数上限が下がっていたため、この高周波音に気付いた住民はいませんでした。███村を調査した結果、住民██名がSCP-XXXX-JPに感染していること、およびSCP-XXXX-JPとその培養液が封入された錠剤を所持していることが判明しました。感染が判明した住民はSCP-XXXX-JP-Aとして収容され、残りの住民に対するクラスB記憶処理とカバーストーリー「山火事」が適用されました。錠剤は村に訪れたセールスマンを名乗る男性がいびきを消す薬の試供品として配布したものだと判明しましたが、その男性の身元を示す情報は全てが虚偽の情報でした。現在その男性はPoI-XXXX-JPに指定され、行方を調査中です。(2014/02/██ 追記)PoI-XXXX-JPを確保しました。現在拘留中です。詳細は補遺2を参照してください。
実験記録: SCP-XXXX-JPに関する実験記録から抜粋したものを以下に示します。
実験記録XXXX-JP-005 - 2014/01/██
対象: SCP-XXXX-JP-A-24(D-31333)
実施方法: SCP-XXXX-JP-A-24のSCP-XXXX-JP-Bを録音し、複数の媒質における減衰率を計測した。
結果: 同周波数同音量の他の音と同様の減衰率であった。
分析: 録音ではSCP-XXXX-JP-Bの異常性が失われることが判明した。
実験記録XXXX-JP-006 - 2014/01/██
対象: SCP-XXXX-JP-A-24
実施方法: 音の周波数を直接変化させる装置を対象のSCP-XXXX-JP-Bに使用し、各種媒質における減衰率を計測した。また、周波数を変化させた場合の節足動物の走音性について確認した。
結果: 同周波数同音量の音と比較して1/100未満の減衰率であった。節足動物はこの音に対し走音性を示さなかった。ただし、節足動物は防音処理された元のSCP-XXXX-JP-Bに対する僅かな走音性を示した。
分析: SCP-XXXX-JP-Bの異常性は周波数によらないことが判明した。周波数の変化により節足動物が走音性を示さなくなったが、おそらく元のSCP-XXXX-JP-Bを完全に遮断できなかったことが原因でそちらに対して反応を示してしまった。予算の関係により全ての実験で完全に遮音するのは難しいため、防音で妥協せざるを得ないだろう。
実験記録XXXX-JP-008 - 2014/01/██
対象: SCP-XXXX-JP-A-26(D-31335)
実施方法: 対象の軟口蓋および舌根を切除し、人工の軟口蓋および舌根を移植した。
結果: 切除した軟口蓋と舌根は約1時間後に溶解した。移植から約20時間後、軟口蓋と舌根がSCP-XXXX-JP-Bの原因物質に変異した。
分析: SCP-XXXX-JPの影響は外科手術でも取り除けないこと、SCP-XXXX-JP-AからSCP-XXXX-JP-Bの原因物質を採取して利用するのは困難であることが判明した。
実験記録XXXX-JP-011 - 2014/01/██
対象: SCP-XXXX-JP-A-26
実施方法: 対象の発生させるSCP-XXXX-JP-Bの周波数パターンを計測した。
結果: インシデントXXXX-JPが発生。詳しくは下記を参照。
インシデントXXXX-JP: 2014/01/██、人工SCP-XXXX-JP-B発生装置の実験中、研究セクター8173に約1,000,000体の不明な生物型アノマリーが侵入しました。これらのアノマリーは体長1〜6cmで、外見から体の構造は節足動物に似た構造であると推測されます。全ての個体が積極的に人体を摂食する性質と有害な異常性(脚注:該当アノマリーの異常性の内、確認されているものについては添付資料XXXX-JPを参照。)を有していたため、約170人が死傷し、内50人が重傷、28人が死亡しました。また、これらのアノマリーの内少なくとも8種類がSCP-XXXX-JP-Bに対する正の走音性を示すことが確認されています。これらの死体の急速に溶解、気化する性質と事態の突発性のため、これらのアノマリーの詳細は不明です。同様の理由で、当インシデントとSCP-XXXX-JP-Bの因果関係の有無は不明です。当インシデントを受けて同セクターの隔離遮音収容棟と遮音実験室の敷設、SCP-XXXX-JPの特別収容プロトコルの改定が行われ、SCP-XXXX-JP-Bが発生する実験の実施場所は遮音実験室内に限定されました。(2014/02/██ 追記)PoI-XXXX-JPへのインタビューにより、SCP-XXXX-JP-Bがこれらのアノマリーを誘引する効果があることが証言されました。しかし証言が事実だとしても誘引されるアノマリーの起源が不明であるため、これらのアノマリーには別のアイテム番号を割り当てることが提案されています。
補遺2: 2014/02/██、エージェント・███がPoI-XXXX-JPの目撃情報を調査中に、███村に再び訪れたPoI-XXXX-JPを発見、確保しました。PoI-XXXX-JPは確保時、抵抗および逃走をする様子を見せませんでした。以下は確保直後にPoI-XXXX-JPに対して行われたインタビューの内容です。
対象: PoI-XXXX-JP
インタビュアー: ██博士
<録音開始, 2014/01/██>
██博士: これよりPoI-XXXX-JPへのインタビューを開始する。
PoI-XXXX-JP: ええ、何でも聞いてください。
██博士: なら教えてくれ、PoI-XXXX-JP。君はあの薬のことをどこまで知っている?
PoI-XXXX-JP: そうご質問なさるということは、あなた方はあの薬が凶暴な虫、原理のよくわからない異常な力を持つ虫たちを呼び寄せるということまでご存じなのでしょうか。
██博士: その質問には答えられない。
PoI-XXXX-JP: 肯定と見做して話を続けさせていただきます。それなら私は、薬の効力はよく知っているといえば十分でしょうか。あなた方がご存じのとおりの効果です。しかし、原理はよく理解していません。彼らに任せっきりだったのです。
██博士: 彼らとは?
PoI-XXXX-JP: 私が薬の制作を依頼した方々です。確か、日本生類創研と名乗られておりました。私が手を尽くして探し出したのですが、私も彼らのことは詳しくは知りません。ただ、凄まじい技術力を持った方々だと伺っています。私が生涯をかけて得た財産の全てを彼らに託し、あの薬を作って頂きました。それと、足りない料金の代わりに、あの薬を使用した後の村の状態を報告するよう彼らに頼まれていました。あなた方に提出した器具(脚注:カメラなどの撮影器具など。これらに異常性は発見されなかった。)はそのデータを集めるために彼らから受け取っていたものです。私が彼らについて知っているのはそれだけです。
██博士: わかった。なら、次の質問だ。君が薬の効力を知っていたというのなら、あの危険な薬を寒村にばら撒いた目的は何だ?
PoI-XXXX-JP: 一言で言うならば、復讐です。
██博士: 復讐?対象は誰だ?
PoI-XXXX-JP: あの村には、信じられないかもしれませんが、いえ、むしろあなた方の方がお詳しいのかもしれませんが、恐ろしい超能力のようなものを持った老婆がいたのです。それが私が殺すべき相手です。
██博士: 超能力とはどのような?
PoI-XXXX-JP: わかりません。私には理解の及ばないものでした。まるで全てを思いのままに操るかのように見えましたが、万能ではないようでした。特に、一度受けた傷は治せず、身体能力はその時の見た目相当になっているようでした。それ以外にわかっていることは、彼女が私の家族をその能力で消し去ってしまったということです。
██博士: 顔はわかるか?
PoI-XXXX-JP: 彼女には決まった顔がありません。老婆というのも、あの村ではその姿だったというだけです。性別すらも本当に女性であるかはわかりません。足取りを追うのも一苦労でした。彼女が私の家庭を奪った犯人だと気付いたのは、幾重もの偶然が重なった奇跡でした。足取りを追えたのもきっと運が良かったのでしょう。もう一度できるとはとても思えません。足取りを追ううちに、私には普通の方法で彼女を殺せるとは思えなくなりました。彼女が本当に人間なのかどうかすら確証が持てませんでしたから。
██博士: それが理由でSCP-XXXX-JP……失礼、あの薬を使ったのか?
PoI-XXXX-JP: ええ、そうです。私には他にあてがありませんでした。化け物は化け物で殺すしかないと思ったのです。そしてそれは失敗しました。私は薬の効果が現れる時期を過ぎて彼女が死んでいないことを知りましたが、もう行方は分かりません。
██博士: なるほど。では、君は何故もう一度あの村にやって来たんだ?
PoI-XXXX-JP: もちろん、彼女の行方を追うためです。その過程で、あの山火事が人為的に起こされたものであることを知りました。それは彼女の仕業ではなかった。あの村の住民たちが私のことをさっぱり忘れていたのも、彼女の仕業ではないと悟りました。そうして調べているうちに、あなた方に捕まったのです。そして気付きました。火事や記憶の改竄はあなた方の成したことですよね?
██博士: (5秒間の沈黙)君は復讐の妨げになった我々を恨んでいるのか?
PoI-XXXX-JP: いいえ。失敗の責任は私にあります。それに、希望もありました。
██博士: 希望とは?
PoI-XXXX-JP: 彼女がいなくなったこと、つまり逃げ出したことです。
██博士: 逃げられたことが君にとっての希望になるとは、どういうことだ?
PoI-XXXX-JP: あなた方は私と違って、人間の力で彼女と同じ土俵にいるのでしょう。そして彼女はあなた方を恐れて逃げた。この世には化け物だけではなかった。それが希望です。
<録音終了>
終了報告書: PoI-XXXX-JPの言及した人物は███村における行方不明事件に関与していたと推測されます。現在その人物をSCP-████-JPに指定し、行方を追っています。また、PoI-XXXX-JPの持つ情報の有用性と経歴を考慮し、財団エージェントとしての雇用が██博士により提案されています。
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記事ここまで
画像はこちらからお借りしました。
撮影者はSteve Buissinne様、元のライセンスはCC0 Creative Commonsです。
タイトル案: いびき消し薬
いびきがモスキート音になるウィルスです。しかし実際はその音が寝てる間に未知の食人虫どもを呼び寄せてしまうというオブジェクトです。
男は元一般人で、目的はアノマリーである何者かへの復讐でしたが、財団の介入により失敗しました。財団の介入がなければ成功していたのかというとそれはそれで疑問が残りますが、彼にはこれが限界でした。相手は結局行方知れずです。
余談ですが、ニッソは多分臨床実験か何かが目的だったんだと思います。赤の他人ともいえる男にデータ収集を任せてるあたり財団とかが介入してくる危険性を危ぶんだのか、もしくは今回のデータにはあんまり興味がなかったんだと思います。