northwood
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この記事は収容前におけるSCP-122-JPについての内容を記した文章です。
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メイド喫茶という職種が現れて早十数年、メイド喫茶は様々な形態の店が出て来ては消えて行った。特に、本ブログで時々言及する文化祭系メイド喫茶、つまり一般人がイメージする萌え萌えキュンなメイド喫茶は、既に多くの有名老舗メイド喫茶が軒を連ねている。その為、現在では妹、アイドル、魔法使い、武将、ヴァンパイア、ねこ、うさぎ等々何かしらの付加価値を備えたメイド喫茶がオープンされることが常であり、ただの文化祭系メイド喫茶はオープンしてもせいぜい数カ月で閉店してしまう。

しかし、私はそんな定石に囚われず、それでいて今までのメイド喫茶を超える程のクォリティを体現するメイド喫茶を発見してしまった。その名はハートフルカフェ。群雄割拠のメイド喫茶業界に真正面から、しかも文化祭系メイド喫茶として殴りこみをかけたこのお屋敷をレビューしていこう。

私が最初にハートフルカフェを知ったのはさる情報通のご主人様からだった。メイド喫茶レビューをやっている私からすれば、オープンするメイド喫茶を見逃すというのはかなりショックであったが、検索してもハートフルカフェのWebサイトやTwitterアカウント等はなかった。例のご主人様も勤務先近くの[編集済]でたまたまそこのメイドに客引きされたと話しており、宣伝等はあまり積極的にやっていないようだ。それにしても[編集済]である。秋葉原や池袋、中野ならともかく、こんなビジネス街にどうして出店したのだろうか。だがしかし、これらの不安はハートフルカフェにご帰宅し全て杞憂となったのである。

ハートフルカフェの所在地は[編集済]にある██ビルの3階。大きなハートマークがかたどられたドアを開けると「おかえりなさいませご主人様!ハートフルカフェへようこそ!ご帰宅料は500円となっております!」とメイドが応対してくれた。1時間500円のご帰宅料が発生し、それにプラスして1オーダー頼む比較的オーソドックスなスタイル。例えば、一度ご帰宅して1時間経ってから延長したい場合、500円と1オーダーでさらに1時間居られるというシステムになるわけだ。席数は24ですべてテーブル席。全席禁煙。全体的にピンクを基調としており、ハート型の椅子にハートの刺繍の入ったテーブルクロスなど、店名に違わぬ内装である。店内奥にはミニステージもあり、ご帰宅中に見ることは叶わなかったがダンスも披露されるようだ。さらに、入居しているビルの大きさと比べて不釣り合いな程広々としており、開放的な雰囲気となっていることも特徴として挙げられるだろう。

しかし驚くべきはそのメイドの所作である。オープンしてから日が浅いはずだがメイドに完全になりきっている。まるでディズニーリゾートのキャストのように夢の世界を演出せんとする感じだ。オープン当初で研修を終えたばかりのメイドは初々しさというか、どこかぎこちなさを覚えるものだが、応対してくれたメイド(アイちゃんと言うらしい。かわいい。)も含めて非常にレベルの高いお給仕だった。他のメイド喫茶で元々働いていたような娘は見当たらなかったので、おそらくオーナーが一から徹底的に研修させたと思われるが、まさしく非の打ち所が無い「プロ」のメイドが作り出すこの空間に私は久しぶりに感動した。

近頃は「仕事が出来ないメイドの方が好きだ」という「誤」主人様が増えており、それに答えるかのように無作法でタメ口なツンデレメイド、仕事を覚えずまともにお給仕も出来ないドジっ子メイドもまた増えている。人気取りとして短期的には良いかもしれないが(以下冗長な文章のため省略)

ただ、ここのメイドで強いて欠点を述べるなら臨機応変さが足りないというべきか、少し機械的というべきか。ハートフルカフェの制服はハートを随所にあしらったミニ丈のフレンチメイド服で、どうやらオリジナルの制服ではあるものの、質問しても「妖精さんに作ってもらった」以上のことを聞くことは出来なかった。各メイドは店のコンセプトを厳密に順守しており、そこから外れるようなことは(取材目的等であっても)一切回答することはないようだ。もう少し気の利いた受け答えが出来れば良いのだが、そこは彼女らのこれからの経験に期待しよう。

そしてハートフルメイドカフェの魅力はメイドだけにとどまらない。今回はお昼時だったのでLOVEはぁとふるフロートと一緒にハート印のにゃん萌えオムライスを注文したのだが、これが非常に絶品である。一般的なメイド喫茶ではメイド自身の作る手料理、ある程度規模の大きい所ではいわゆる「妖精さん」と呼ばれるコックによる料理、ひどいところでは冷凍食品がそのまま解凍されて出てきたりする。いずれにしろ、平均単価1000円のメイド喫茶のメニューにおいては量、味とも元が取れるような料理はなく、あくまでメイドのお給仕で元を取る感覚で注文するものである。

だが、ここの料理はメイド喫茶どころか下手なレストランのレベルを超えている。LOVEはぁとふるフロートはシャーベットとオレンジジュースのバランスが絶妙にマッチしており、ハート印のにゃん萌えオムライスに至っては口に入れた時にふわっとしたかと思うとすぐにとろけて無くなってしまう。夢中になって食べていたらいつの間にか皿が空になってしまった。これはメイド喫茶に興味が無い方でも料理の味で満足してもらえるだろう。情報を教えてくれたご主人様も、毎日仕事の昼休みに通っているそうだ。羨ましい。

というわけでこのハートフルカフェ、メイド喫茶へ良く行くご主人様、お嬢様だけでなくメイド喫茶に行ったことも無い人にも楽しめる一大アミューズメントカフェだと断言しよう。既存のメイド喫茶業界に圧倒的なクォリティで旋風を巻き起こさんとするハートフルカフェの行く末を、私は応援したいと思う。

補遺:
この記事が投稿された後累計で██人の犠牲者が発生したことで財団の注目を引き、収容に至りました。
犠牲者、記事内で言及される「情報通のご主人様」こと████、及び本記事投稿者にはBクラス記憶処置が施されました。